揺動開閉式入浴装置
【課題】浮力による入浴中の椅子部の移動を防止すると共に、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられていないことによる椅子部と台車との合体不良を防止することを目的する。
【解決手段】一側方に開口がある固定浴槽30と、固定浴槽30の開口に対応する開口を有するとともに開口部分上端部付近に位置する揺動支点を中心に鉛直方向に揺動可能とされた揺動浴槽とが備えられ、固定浴槽30の底面に、揺動浴槽が閉状態方向に揺動するに従い先端部が上げられて傾けられ、揺動浴槽が開状態方向に揺動するに従い先端部が下げられて傾きが小さくなるレール52aが設けられた揺動開閉式入浴装置であって、レール52aが傾けられているとき、レール52aに沿った椅子部12の移動を規制し、レール52aが椅子下部との合体可能位置にきたとき、レール52aに沿った椅子部12の移動を許容するロック機構120が備えられている。
【解決手段】一側方に開口がある固定浴槽30と、固定浴槽30の開口に対応する開口を有するとともに開口部分上端部付近に位置する揺動支点を中心に鉛直方向に揺動可能とされた揺動浴槽とが備えられ、固定浴槽30の底面に、揺動浴槽が閉状態方向に揺動するに従い先端部が上げられて傾けられ、揺動浴槽が開状態方向に揺動するに従い先端部が下げられて傾きが小さくなるレール52aが設けられた揺動開閉式入浴装置であって、レール52aが傾けられているとき、レール52aに沿った椅子部12の移動を規制し、レール52aが椅子下部との合体可能位置にきたとき、レール52aに沿った椅子部12の移動を許容するロック機構120が備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に身体障害者や老人を座位の姿勢で入浴させることができる揺動開閉式入浴装置に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車椅子等に着座した入浴者を座位の姿勢のまま入浴させる入浴装置として、揺動開閉式入浴装置がある。この揺動開閉式入浴装置は、一側方が開口された固定浴槽と、この固定浴槽の開口に対応する開口を有するとともに鉛直方向に揺動する揺動浴槽と、固定浴槽の底面に2本平行に設けられたレールとを備える構成からなる。
【0003】
上記した従来の揺動開閉式入浴装置により入浴する場合、まず、椅子部と台車(椅子下部)とを切り離すことができる車椅子に入浴者を着座させる。前記した椅子部の両側にはローラがそれぞれ付設されている。一方、揺動浴槽を固定浴槽の下に収納させて固定浴槽の開口を開放させる。次に、車椅子を動かし、固定浴槽上のレール上に椅子部のローラを走らせながら椅子部を固定浴槽の中に移動させる。そして、椅子部を固定浴槽の奥まで移動させた後、椅子部を台車から切り離し、台車だけを引き抜く。次に、揺動浴槽を上方に揺動させる。これにより、固定浴槽の開口と揺動浴槽の開口とが連結され、固定浴槽と揺動浴槽とが水密状態で連続され、湯を貯留させることが可能な浴槽が形成される。次に、浴槽の中に湯を入れて入浴者を入浴させる。入浴者の入浴が終わったら、浴槽内の湯を抜く。そして、湯抜きが完了した後、揺動浴槽を固定浴槽の開口側に揺動させて揺動浴槽を固定浴槽の下に収納させて固定浴槽の開口を開放させる。次に、固定浴槽の下に車椅子の台車を配置させ、固定浴槽内の椅子部と台車とを合体させる。その後、レール上に椅子部のローラを走らせながら車椅子を引き出す。
【0004】
ところで、上記したレールは、揺動浴槽の揺動運動に伴って傾動する構成となっている。具体的に説明すると、レールの基端部(固定浴槽の奥側の端部)には、回転軸が設けられており、レールは鉛直回転自在になっている。また、レールの先端部(固定浴槽の開口側の端部)には、揺動浴槽の内面上を転動する転動部材が設けられている。このレールは、揺動浴槽が上方に揺動するに従い転動部材を介してレールが揺動浴槽に押し上げられて傾くとともに、揺動浴槽が固定浴槽の開口側に揺動するに従い下げられる。このような構成によれば、揺動浴槽が開けられている場合、レールは水平状態で配置され、レール上の椅子部に着座した入浴者は起きた姿勢になる。一方、揺動浴槽が閉められている場合、レールは傾斜した状態で配置され、レール上の椅子部に着座した入浴者は後方に倒れた姿勢になる(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【特許文献1】特許第3474554号公報
【特許文献2】特許第3535126号公報
【特許文献3】特開2003−190245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の揺動開閉式入浴装置では、揺動浴槽が閉じられているとき、固定浴槽内の椅子部がレールに沿って移動可能なフリーな状態である。また、椅子部のブロー成形の部分は浮力で浮き易い。このため、浴槽に湯を張って入浴者を入浴させた時に、椅子部自体の浮力により、傾斜したレールに沿って椅子部が上方(先端側)に移動するという問題がある。
【0006】
また、上記した従来の揺動開閉式入浴装置では、レールが台車との合体可能位置まで下がっていない状態であっても、浴槽内の椅子部がレール上をスライド可能であるため、入浴完了後に椅子部を台車に合体させる際に、椅子部と台車との位置がずれてうまく合体できない場合がある。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、浮力による入浴中の椅子部の移動を防止することができるとともに、レールが椅子下部(台車)との合体可能位置まで下げられていないことによる椅子部と椅子下部との合体不良を防止することができる揺動開閉式入浴装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る揺動開閉式入浴装置は、一側方に開口がある固定浴槽と、該固定浴槽の開口に対応する開口を有するとともに前記開口部分上端部付近に位置する揺動支点を中心に鉛直方向に揺動可能とされた揺動浴槽と、が備えられ、前記揺動浴槽が、湯張り可能な浴槽を形成するように、その開口が前記固定浴槽の開口に連結されて前記固定浴槽に対して水密状態で連続される閉状態と、前記固定浴槽の下側に収納されて該固定浴槽の開口を開放させる開状態との間で揺動され、前記固定浴槽の底面には、該固定浴槽の奥行き方向に延在され、車椅子の椅子部を支持するとともに該椅子部を前記奥行き方向に走行させるレールが設けられ、該レールは、前記揺動浴槽が前記閉状態方向に揺動するに従い先端部が上げられて傾けられ、前記揺動浴槽が前記開状態方向に揺動するに従い先端部が下げられて傾きが小さくなる揺動開閉式入浴装置であって、前記レールが傾けられているとき、該レールに沿った前記椅子部の移動を規制し、前記レールが椅子下部との合体可能位置にきたとき、該レールに沿った前記椅子部の移動を許容するロック機構が備えられていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、揺動浴槽を固定浴槽の下側に収納させることで、固定浴槽の一側方が開放された開状態になる。このとき、レールが椅子下部との合体可能位置にくるまで揺動浴槽を開状態方向に揺動させる。これにより、ロック機構は、レールに沿った椅子部の移動を許容するロック解除状態となる。次に、開放された固定浴槽の開口から、車椅子の椅子部に入浴者を着座させたまま、椅子部をレールに沿って固定浴槽の奥側に移動させる。これにより、入浴者が座位姿勢のまま固定浴槽の中に入れられる。このとき、入浴者を後退させるように入浴者の背中側から固定浴槽内に移動させる。次に、固定浴槽の中に入れられた椅子部を椅子下部から切り離した後、揺動浴槽を閉状態方向に揺動させる。これにより、レールの先端部が上げられてレールが傾くとともに、レールに支持された椅子部も前方側が押し上げられて傾く。このように椅子部が傾くことで、椅子部に着座した入浴者は後方に倒された姿勢(仰向け姿勢)となる。揺動浴槽は、その開口が固定浴槽の開口に連結される位置まで閉状態方向に揺動させる。これにより、揺動浴槽と固定浴槽とからなる湯張り可能な浴槽が形成される。この浴槽の中に湯を入れて入浴者を入浴させる。このとき、レールは傾けられているため、ロック機構は、レールに沿った椅子部の移動を規制するロック状態となっており、椅子部のレール先端側への移動は規制される。
【0010】
また、入浴終了後は、まず、浴槽内の湯を抜く。そして、浴槽内の湯が完全に無くなった後、揺動浴槽を開状態方向に揺動させて固定浴槽の一側方を開口させる。このとき、レールが椅子下部との合体可能位置にくるまで揺動浴槽を開状態方向に揺動させる。これにより、ロック機構はロック解除状態となり、レールに沿った椅子部の移動が許容される。なお、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられていない状態では、ロック機構はロック状態のままであり、レールに沿った椅子部の移動が規制される。レールが椅子下部との合体可能位置にくるところまで揺動浴槽を揺動させた後、固定浴槽内の椅子部を椅子下部に合体させ、その後、レールに沿って車椅子を固定浴槽外に移動させる。これにより、入浴後の入浴者が座位姿勢のまま固定浴槽の外に出される。
【0011】
また、本発明に係る揺動開閉式入浴装置は、前記ロック機構が、前記椅子部側に設けられた係止部材と、前記レール側に設けられた被係止部材と、該被係止部材の一部が前記係止部材に当接する係止位置に配置されるように前記被係止部材を付勢する付勢部材と、を備える構成からなり、前記被係止部材には、前記レールが椅子下部との合体可能位置にきたときに前記固定浴槽の底面に当接される当接部が設けられ、該当接部が前記固定浴槽の底面に当接されると、前記被係止部材が前記係止部材に当接しない非係止位置に移動する構成となっていることが好ましい。
【0012】
これにより、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられてなく傾いた状態のとき、付勢部材の付勢力により被係止部材が係止位置に配置される。これにより、椅子部がレールに沿って移動しようとしても、椅子部側に設けられた係止部材がレール側に設けられた被係止部材に当接され、椅子部の移動が規制される。一方、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられると、当接部が固定浴槽の底面に当接して被係止部材が移動し、被係止部材が非係止位置に配置される。これにより、椅子部側に設けられた係止部材がレール側に設けられた被係止部材に当接されず、椅子部の移動が許容される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る揺動開閉式入浴装置によれば、湯が張られた浴槽内の椅子部に浮力が作用しても、揺動浴槽が閉状態ではロック機構によりレールに沿った椅子部の移動が規制されるため、入浴中の椅子部の移動を防止することができる。また、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられていない場合には、ロック機構によりレールに沿った椅子部の移動が規制され、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられたときに、ロック機構が解除されてレールに沿った椅子部の移動が許容されるため、椅子部と椅子下部との合体不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る揺動開閉式入浴装置における一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は入浴者を入浴させる際の揺動開閉式入浴装置を示す斜視図であり、図2は入浴者を出し入れさせる際の揺動開閉式入浴装置を示す斜視図であり、図3は開口側から見た揺動浴槽を示す斜視図であり、図4は揺動浴槽と固定浴槽との間の水密手段を示す断面図であり、図5は車椅子を示す断面図であり、図6は入浴者の搬入状態における揺動開閉式入浴装置を示す断面図であり、図7は入浴者の収容状態における揺動開閉式入浴装置を示す断面図であり、図8は入浴状態における揺動開閉式入浴装置を示す断面図であり、図9は固定浴槽の開口側から見た揺動開閉式入浴装置を示す側面図であり、図10は揺動開閉式入浴装置を示す平破断図であり、図11は固定浴槽に設けられたレールを示す平面図であり、図12は固定浴槽に設けられたレールを示す断面図であり、図13は揺動開閉式入浴装置に備えられたロック機構を示す側面図であり、図14は解除状態のロック機構を示す断面図であり、図15はロック状態のロック機構を示す断面図である。
【0015】
図1、図2に示すように、揺動開閉式入浴装置2は、車椅子1(図5に示す。)に着座している入浴者を車椅子1に乗せた状態のまま浴槽30,31内に搬入し、浴槽30,31内に湯を張ることによって入浴者を入浴させる入浴装置であって、浴槽の一部(揺動浴槽31)が揺動して開閉される構成のものである。
【0016】
まず、入浴用の車椅子1について説明する。
図5に示すように、車椅子1は、キャスタ付きの台車10(椅子下部)と、台車10に着脱手段100により着脱可能に立設された支持ロッド11と、支持ロッド11の上部によって支持される椅子部12とを備える。
【0017】
台車10は、両側下部にキャスタ14,14が取り付けられた前後の板材13a,13bと、それら前後の板材13a,13bの中央の凹部を互いに連結する連結板15と、該連結板15を補強する上側の角パイプ16からなる。そして、前側の板材13aの中央には、着脱手段100を介して前記支持ロッド11が只1本だけ立設されている。
【0018】
支持ロッド11の上部に取り付けられた椅子部12は、両側下部にローラ17aが取り付けられた椅子部フレーム17が設けられ、この椅子部フレーム17には、前部から後部にかけて、フットレスト18、座部19、および背もたれ部20が設けられている。
【0019】
フットレスト18は、椅子部フレーム17の左右に取り付けられたブラケット21に軸21aが支持され、この軸21aに回動自在に支持されたロッド22の下端によって支持されている。
ブラケット21には、介助者が車椅子1を移動操作するときに把持する部分である把持部23aを先端に有するアーム23が回動自在に支持されている。アーム23を支持する軸24にはリンクを介して図示せぬローラが取り付けられており、アーム23、軸24、およびこのローラは一体的に回動するようになっている。このため、介助者がアーム23の先端の把持部23aを持って図5中右回りに上方向へ回転させると、ローラが該アーム23の回動と一体的に回動してフットレスト支持ロッド22の下面に当接し、同支持ロッド22を軸21aを中心に回動させる。
これにより、フットレスト18は、所定角度まで強制的に回動されて、その位置でロックされる。このロックは、前記アーム23の把持部23aとは逆側の先端23bに設けられた被ロック部材が、図示せぬ付勢部材によって軸26を中心に図5中時計方向へ回動するように付勢されるロック部材27の図示せぬ先端に係合することによって行なわれる。
【0020】
このロック状態において、フットレスト18は下方(図5中反時計方向)への回動は規制されるが、上方(図5中時計方向)への回動は自由である。ロック状態を解除するには、ロック部材27を図示せぬ付勢部材に抗して図5中時計方向へ回動操作することによって、アーム23の先端23bの被ロック部材との係合を解除すればよい。
【0021】
また、前記ロック状態において、前記フットレスト18の高さは、フットレスト18の下部に設けられたローラ28が、開放状態の揺動浴槽31の底部38に当接するように設定されている。
【0022】
着脱手段100は、角パイプ16上に略水平位置に並設された複数のローラ101,101と、このローラ101上に載置され支持ロッド下端に接続される着脱板102と、着脱板102の一端側(図5の左側)上に設けられ着脱板102を押さえる押さえローラ103と、押さえローラ103の近傍(図5の右側)に位置してこの着脱板102に貫通された着脱穴104に係止される着脱ピン105と、着脱ピン105を上下動させて着脱板102の固定解除を可能とするピン着脱手段106とを具備するものとされる。
【0023】
複数のローラ101は入浴者の収容時に車椅子1が固定浴槽30に当接した状態で支持ロッド11および椅子部12を固定浴槽30内部に向かって(図5の右方向である後側に向かって)移動可能に開口方向に複数並設される。
ピン着脱手段106としては、一端がピン支点106aに回動自在に支持されるピン着脱ペダル106bと、このピン着脱ペダル106bと一体に着脱ピン105を上下動可能とするピン支持部106cとからなる。
このピン着脱ペダル106bは、図示しない付勢手段によって図5の時計回り方向に付勢されているとともに、ピン着脱ペダル106bを着脱ピン105における着脱板102固定位置と開放位置とに位置設定することを可能とする図示しない位置設定手段が設けられる。これらの構成によって、ピン着脱ペダル106bを踏みつけることにより、着脱ピン105における着脱板102固定位置と開放位置とが位置設定される。
【0024】
押さえローラ103は、最も前側の一つのローラ101に対応する位置に設けられて、この対応するローラ101と着脱板102を挟み込んで固定可能とされる。同時に、押さえローラ103は、椅子部12の着脱時とされる着脱板102の移動時に、固定状態において対応するローラ101の真上位置から椅子部12の移動方向にオフセットするとともに、この対応するローラ101から上方向に離間するように構成されている。このように対応するローラ101から斜め後方に移動することで、対応するローラ101との間に着脱板102を挿入しやすくなるよう固定位置から移動可能(揺動可能)とされている。
【0025】
ピン着脱ペダル106bには、走行中など入浴者を固定浴槽30への搬入・収容時以外に着脱ピン105による着脱板102の係止が解除されないように、固定浴槽30に対する所定位置に位置したときのみにピン着脱ペダル106bが回動可能となる係止解除セーフティ手段107が設けられる。
この係止解除セーフティ手段107は、後述するように、固定浴槽30に設けられたセーフティ当接部108に当接した際、台車10に対する椅子部12の移動方向と同方向に移動可能として台車10の角パイプ16に設けられたセーフティロッド107aと、このセーフティロッド107aがセーフティ当接部(ガイドレール)108に当接しない状態でピン着脱ペダル106bを着脱ピン105の係止位置に維持するロック部材107bとからなる。
このロック部材107bは、その中心付近を回転支点として回動可能とされるとともに図5に示す係止状態(ロック状態)では略直立状態とされてその下端にセーフティロッド107aが回動自在に接続され、このセーフティロッド107aの往復動作により、図5に示すロック状態と、図7,8に示すように、直立状態からは多少傾いた解除状態との切り替え可能とされている。
【0026】
次に、揺動開閉式入浴装置2について説明する。
図1、図2に示すように、揺動開閉式入浴装置2は、前面(図6〜8において左側が前面となる)が開口された固定浴槽30と、この固定浴槽30の開口に対応する開口を有するとともにこの開口が固定浴槽30の開口に連結して前記固定浴槽30外部に浴槽30,31を延長可能な揺動浴槽31とからなる。
【0027】
揺動浴槽31は、図3に示すように、略半割椀状とされて、固定浴槽30よりも大きな内側寸法を有している。この揺動浴槽31は、図6〜図8に示すように、固定浴槽30の開口部分上端部付近に配置された揺動支点91を中心に、図1に示す閉状態と図2に示す開状態との間で揺動可能とされている。前記閉状態とは、湯張り可能な浴槽30,31を形成するように、揺動浴槽31の開口が固定浴槽30の開口に連結され、揺動浴槽31と固定浴槽30とが水密状態で連続されている状態をいう。また、前記開状態とは、揺動浴槽31が固定浴槽30の下側に収納されて固定浴槽30の開口を開放させる状態をいう。
【0028】
固定浴槽30には、浴槽下部フレーム80に固着されたナットにボルトが螺合されてなる高さ調整手段81によって、底部36が略水平状となるように調整されて浴室の床面に設置される。固定浴槽30には、その上辺および開口部分付近をのぞいた外側下部がカバー93によって覆われており、このカバー93内部には、揺動浴槽31を収納するためのスペース、揺動支点91を支持する揺動フレーム92、および、供給する湯を貯留するためのタンク60が設けられている。
揺動フレーム92は、固定浴槽30両側に浴槽下部フレーム80から立設される縦フレーム92aと、縦フレームから開口方向に向けて略水平に延設されその開口側(前側)の一端に揺動支点91が設けられる横フレーム92bとを有する構成とされる。横フレーム92bの後側他端には揺動浴槽31を駆動するためのシリンダ90が回動自在に固定されており、横フレーム92b中央付近からは、支持部材92cが固定浴槽30の開口に沿った位置と平行な状態に固定浴槽30の下側を帯状に支持するように設けられている。
【0029】
揺動支点91には揺動部材94が回動自在に支持され、この揺動部材94には揺動浴槽31の開口側に接続される支持部材95が設けられる。横フレーム92bの開口側端部(前側端部)は、揺動浴槽31の揺動時にこの支持部材95の揺動と干渉しないための逃げとして下方向に開口側から後側に傾斜して形成されている。支持部材95にはシリンダ90のロッドが接続されて、シリンダ90の伸縮により揺動浴槽31を揺動可能となっている。
【0030】
前記固定浴槽30の開口に沿った底部36および側壁37と、前記揺動浴槽31の開口に沿った底部38および側壁39とが、図4に示すように、前記開口方向と直交する方向に折曲されてそれぞれに折曲部30a、31aが形成されている。
これら折曲部30a,31aの互いに対向する位置には、入浴時における前記固定浴槽30と前記揺動浴槽31との水密状態を維持するための水密手段40として、パッキン40aおよびその受け部材40bが前記開口の形状に沿って設けられる。これらのパッキン40aおよびその受け部材40bは、図8に示す揺動浴槽31の閉状態(入浴状態)においては、揺動浴槽を閉塞するだけで、互いに密着し、浴槽30,31を水密状態とすることができる。
【0031】
固定浴槽30の底部36は、図6に示すように、開口側位置において、車椅子1のキャスタ14よりも上方に位置し、車椅子1の椅子部フレーム17より下側位置に配設されている。同時に、開状態の揺動浴槽31の底部38は、図6に示すように、車椅子1のキャスタ14よりも上方に位置し、車椅子1の支持ロッド11下端より下側位置に位置されている。
【0032】
揺動浴槽31の閉状態(入浴状態)において最下部となる開口側の底部38には、図3,図6〜8に示すように、この開口よりも開口方向固定浴槽30側(後側方向)に伸延する排水部41が設けられる。
この排水部41は、開口付近の底部に設けられた排水穴42と、この排水穴42からさらに開口方向固定浴槽側に水平より略下向きに延在する排水管43と、この排水管43端部下側に設けられ排水栓44により密閉可能な排水孔45とを具備するものとされる。排水部41は、図8に示す揺動浴槽31の閉状態(入浴状態)において、排水をおこなう際に、浴槽略中心位置に設けた排水孔45から排水して、後述する車椅子1の台車10に干渉することない位置に配されるとともに、揺動浴槽31の開閉時に、固定浴槽30と干渉することなくスムーズに開閉することが可能となるよう構成される。
【0033】
この排水孔45の下側には、揺動浴槽31の閉状態において対応する位置に、この排水孔45よりも形寸法が大きく揺動開閉式入浴装置2の下側に排水するための排水孔45Aが設けられるとともに、この近傍には、排水栓44を開閉するための排水栓開閉ペダル47と、この排水栓開閉ペダル47によって上下動されこの上下動により排水栓44を開閉させる排水ピン46とが設けられる。
排水ピン46は排水孔45Aの中心に上下動可能に設けられるとともに、排水栓開閉ペダル47によって上方に移動した際に、排水孔45を閉塞している排水栓44を上方に押し上げて開状態として排水をおこなう。
【0034】
固定浴槽30底部36下方に位置する浴槽下部フレーム80には、この固定浴槽30に対する車椅子1の搬入位置を設定し着脱可能に固定するための車椅子固定手段82が設けられる。
車椅子固定手段82としては、図6〜8,図10に示すように、固定浴槽30の開口よりも前方(図6〜8,10の左側方向)に突出し、かつ車椅子1の固定状態に影響を及ぼさないように側方(図10では上側)位置に車椅子解除ペダル82cが設けられる。
この車椅子解除ペダル82cは、回転軸82aに回動可能に支持され、この回転軸82aには、水平状態に前方に伸びてその先端部に上側に突出する凸部を有する鍵状のロック部材82bが接続される。これら車椅子解除ペダル82cおよびロック部材82bは、回転軸82aを中心に一体的に回動可能とされるとともに、図6〜8の時計回り方向に付勢されている。
ロック部材82bは、台車10の板材13bがロック部材82の凸部を乗り越えた状態になるよう凸部の前側が傾斜した状態とされて、ロック部材82bの凸部は、台車10が固定浴槽30に当接した際に、板材13bを固定する位置に設けられている。
【0035】
固定浴槽30には、前記揺動浴槽31の揺動に従って椅子部12上の入浴者を横にするべく椅子部12を傾動する傾動手段が設けられる。
この傾動手段は、図6〜8,図10に示すように、固定浴槽30底部36に固定された回転支点51を中心に回転可能な椅子支持部52と、揺動浴槽31とから構成される。
この椅子支持部52は、固定浴槽30の奥行き方向(図6〜図8における左右方向)に延在する2本平行なレール52a,52aと、レール52aの開口側(同左側)の端部(先端部)に設けられた傾動支持部52bと、この傾動支持部52bの先端に設けられて揺動浴槽31の底部(内面)38に当接された転動部(ローラ)52cとを備える構成からなる。
【0036】
レール52a,52aは、椅子部12を支持するとともに椅子部12を固定浴槽30の奥行き方向に走行させるための部材であり、固定浴槽30の中に椅子部12を入れたり固定浴槽30の中の椅子部12を出したりする際、レール52a,52a上に椅子部12のローラ17aが転動される。このレール52a,52aは、固定浴槽30内から固定浴槽30の外側に亘って延在されており、固定浴槽30外に突出されたレール52a,52a先端部に傾動支持部52bが設けられている。また、固定浴槽30内にあるレール52a,52aの基端部には、上記した回転支点51が設けられている。
【0037】
上記した構成からなる傾動手段により、揺動浴槽31が閉状態方向に揺動する際には、この揺動浴槽31の揺動動作に従って、ローラ52cが揺動浴槽31の底部38上を転動し、これにともなって回転支点51を中心にレール52aの先端側が上昇するように回動(傾動)して、車椅子1上の座位状態の入浴者が後方に倒された仰向け姿勢となる。
【0038】
また、図11、図12に示すように、レール52a,52aの内側側面には、このレール52aに沿って延在する、はずれ止め凸条部114がレール52aの側方に突出して設けられる。この、はずれ止め凸条部114の下側には、椅子部フレーム17から垂設されたはずれ止め凸部113が位置している。このはずれ止め突条部114に沿ってその下側位置を保ったまま、はずれ止め凸部113が移動することにより、椅子部フレーム17の上下方向のはずれ止めとされ、椅子部12がレール52aからはずれてしまうことを防止する。
【0039】
さらに、図12に示すように、椅子部フレーム17,17の四隅には、ローラ17aよりも前後方向外側に、ローラ17b,17bが設けられる。このローラ17bは、ローラ17aの軸線と上下方向略同一位置に軸線を有するとともに、ローラ17aより大きな径寸法を有し、ローラ17bの側面がレール52a,52aの外側側面に当接するようなっている。このローラ17bによって、椅子部フレーム17がレール52aに沿った移動する時に、ローラ17aがレール52a上からずれてしまうことを防止する。
【0040】
また、図11、図12に示すように、平行する2本のレール52a,52aのうちの一方のレール52aには、レール52a(椅子支持部52)が傾けられているとき、レール52aに沿った椅子部12の移動を規制し、レール52a(椅子支持部52)が台車10との合体可能位置にきたとき、レール52aに沿った椅子部12の移動を許容するロック機構120が取り付けられている。
【0041】
図13、図14、図15に示すように、ロック機構120は、椅子部12側に設けられた係止部材(はずれ止め凸部113)と、レール52a側に設けられた被係止部材121と、被係止部材121を付勢する付勢部材122と、を備える構成からなる。
【0042】
被係止部材121は、円筒部121aの外周面に、はずれ止め凸部113に当接させる第1の当接部121b(被係止部材121の一部)と、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられたときに固定浴槽30の底面(底部36)に当接される第2の当接部121c(当接部)とがそれぞれ突設された構成からなる。円筒部121aは、レール52aと平行に延在する軸材123に外装されており、軸材123を中心に回転可能になっている。第2の当接部121cは、先端に、固定浴槽30の底部36に接触させる緩衝材121dが付設された構成からなる。この緩衝材121dとしては、例えばビス等で止められたウレタン製のものが用いられる。
【0043】
付勢部材122は、第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接する係止位置に配置されるように被係止部材121を付勢するコイルバネ状の部材である。この付勢部材122は、軸材123に外装されており、その一端がブラケット124に掛止され、その他端が第1の当接部121bに固定されている。
なお、円筒部121a及び付勢部材122の中にそれぞれ挿通された上記軸材123は、その両端が、ブラケット124,124を介してレール52aに支持されている。
【0044】
また、図6〜図8に示すように、椅子支持部52の回転支点51付近には、例えばリミットスイッチとされる椅子部検出スイッチ121が設けられる。この椅子部検出スイッチ121は、椅子支持部52上の所定位置に椅子部12が載置されたことを検出するとともに、椅子支持部52の傾動により椅子部12の背もたれ部20の姿勢が変化することを検出して、椅子支持部52の傾動状態をも検出可能なものとされている。
【0045】
また、レール52aの下方には、図10に示すように、このレール52aよりも幅狭に2本のガイド71,71が設けられている。これら2本のガイド71,71は、その間に車椅子1における角パイプ16が進入することで台車10(椅子部12)の位置決めがおこなわれる。
このガイド71のそれぞれ対向する位置には複数のガイドローラ72,72が設けられて角パイプ16の進入を容易にしているとともに、このガイド71の先端部分はセーフティ当接部108とされている。ガイド71の先端側は、これらガイド71,71どうしの対向間距離が外側に向けて拡大するように設定されており、角パイプ16の進入をより容易にしている。
【0046】
固定浴槽30内部には、湯量低減部として椅子支持部52の下側に中空容器(フロート)Fが設けられる。また湯量低減部として、固定浴槽30の底部36に浴槽内部側に突出した凸部36Aを設けられる。
これらフロートF、凸部36Aにより、入浴者の入浴には必要のない椅子支持部52の下側空間に入る湯を節約し、入浴時に使用する湯量を低減することができる。
また、フロートFの浮力を椅子支持部52に作用させることができるため、入浴中において椅子支持部52を支持している揺動浴槽30内面への荷重を低減することができる。
【0047】
前記揺動開閉式入浴装置2には、カバー93内部に、揺動開閉式入浴装置2内の湯を蓄えるタンク60と、浴槽30,31とタンク60との間の湯の出し入れをする給排湯手段61が付設されている。
給排湯手段61について説明すると、図6〜8に示すように、タンク60の給湯口62には配管63aを介してポンプ65が介在され、さらにこの配管を介して浴槽本体30の給湯口に接続される。したがって、図示しない制御手段によってポンプが制御され、これにより、タンク60から浴槽30,31へ供湯されるときには、湯は前記タンク60の給湯口62から配管63aを介してポンプ65の吸い込み側に至り、ポンプ65の吐出側から配管合流部,配管を介して浴槽30,31へ至るようになっている。
【0048】
固定浴槽30には、浴槽30,31内の湯量を検出する水位センサ122a、122bが接続されている。これは、センサ配管に分岐接続されて浴槽30,31内の水位を測定するフロート式のセンサであり、水位センサ122bは浴槽30,31内の水位が所定の上限位置以上になった時点で、水位センサ122aは浴槽30,31内の水位が所定の下限位置以上または以下になった時点でそれを検知して制御手段に信号を送るものである。ここでいう所定の上限位置とは、浴槽30,31のオーバーフロー状態、つまり、揺動浴槽31の側壁39上端近傍を指し、下限値とは、浴槽30,31底部36,38程度の位置を指している。
【0049】
タンク60には、浴槽30,31内の湯量を検出する水位センサ123a、123bが接続されている。これは、センサ配管123cに分岐接続されてタンク60内の水位を測定するフロート式のセンサであり、水位センサ123bはタンク60内の水位が所定の上限位置以上になった時点で、水位センサ123aはタンク60内の水位が所定の下限位置以上または以下になった時点でそれを検知して制御手段に信号を送るものである。
また、タンク60には図示しない湯温センサが設けられ、浴槽30,31に供給する湯の温度を検出し、所定の設定温度とされた湯を供給可能とされている。
【0050】
固定浴槽30外側には、揺動浴槽31の開放状態を検出する揺動位置検出手段124aと、閉塞状態を検出する揺動位置検出手段124bとが設けられる。
【0051】
上記の揺動開閉式入浴装置2には、図示しない制御手段が設けられ、この制御手段は、シリンダ90による揺動浴槽31の揺動の制御、浴槽30,31に供給する湯量および温度の制御、タンクに貯留する湯量および温度の制御をおこなうものとされる。
【0052】
次に、上記した構成からなる揺動開閉式入浴装置2の作用について説明する。
【0053】
上述した揺動開閉式入浴装置2により、入浴者を入浴させる場合には、まず、図5に示すように、入浴者を上記した入浴用の車椅子1に着座させるとともに、アーム23を上方へ引き上げてフットレスト18を斜め上に引き上げる。
【0054】
一方、図6に示すように、揺動浴槽31を固定浴槽30の下側に収納させることで、固定浴槽30の一側方が開放された開状態にする。このとき、レール52aが台車10との合体可能位置までくるところまで揺動浴槽31を開状態方向に揺動させる。これにより、図14に示すように、ロック機構120の第2の当接部121cが固定浴槽30の底部36に当接された状態となり、第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接しない非係止位置に配置され、ロック機構120がロック解除状態となる。ロック機構120がロック解除状態となることで、レール52aに沿った椅子部120の移動が許容され、上記した車椅子1を固定浴槽30内に搬入させることができる状態となる。
【0055】
上述した状態で、入浴者を乗せた車椅子1を、を開放された固定浴槽30の開口側に移動させ、固定浴槽30の開口側に入浴者の背中が向けられるようにして搬入位置にセットする。このとき、車椅子1の角パイプ16先端をガイド71,71間に嵌め込み、揺動開閉式入浴装置2に対する車椅子1の位置合わせを行なう。
【0056】
その後、図7に示すように、入浴者を後退させるように入浴者の背中側から固定浴槽30内に車椅子1を移動させ、固定浴槽30の奥側に押し込む。そして、ロック部材82bの凸部により板材13bの固定位置設定を行なうとともにこれを固定し、車椅子固定手段82により車椅子1の台車10を固定し、固定状態(搬入状態)とする。これにより、入浴者は座位姿勢のまま固定浴槽30の中に入れられる。このとき、椅子部フレーム17のローラ17aをレール52a上で転動させて、椅子部12が椅子支持部52で支持可能にする。また、ガイドレール先端71のセーフティ当接部108にセーフティロッド107a先端が当接し、このセーフティロッド107aが車椅子1の進入方向に移動する。これにより、直立したロック状態であったロック部材107bが図6〜8における時計回りに回動して傾き、ピン着脱ペダル106bから離間した解除状態となる。
【0057】
次いで、固定浴槽30の中に入れられた椅子部12を台車10から切り離す。具体的に説明すると、ピン着脱ペダル106bを踏みつけて着脱ピン105を下方向に移動させ、着脱板102の固定状態を解除する。椅子部12を図における右側に押して台車10から分離するとともに、略水平位置とされるレール52a上でローラ17aが転動することにより、該レール52aに沿って椅子部12を移動して、図8に示すように、入浴者を浴槽30,31内に収容した状態とする。このとき、押さえローラ103は、固定状態において対応するローラ101の真上位置から椅子部12の移動方向にオフセットして、この対応するローラ101から上方向に離間するように、固定位置から図の右上に揺動した状態となっている。
【0058】
次いで、椅子部検出スイッチ121により椅子部12が所定の位置に載置されたことを検出した後、制御手段により、シリンダ90を駆動させて、揺動支点91を中心として揺動浴槽31を閉状態方向に揺動させる。揺動浴槽31が閉状態方向に揺動するに従って、ローラ52cが揺動浴槽31の底部38上を転動し、このローラ52c及び傾動支持部52bを介して揺動浴槽31の底部38に支持されたレール52a,52aの先端部は押し上げられるように上昇し、レール52a,52a(椅子支持部52)は回転支点51を中心に回動(傾動)される。これにより、レール52a,52a(椅子支持部52)は傾けられ、レール52a,52a(椅子支持部52)上に載せられた椅子部12がレール52a,52aと同様に傾けられ、椅子部12に着座した入浴者が後方に倒された仰向け姿勢となる。また、図15に示すように、レール52a,52aが傾けられることで、ロック機構120の第2の当接部121cが固定浴槽30の底部36から離れる。これにより、付勢部材122の付勢力によって被係止部121が回転し、第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接する係止位置に配置され、ロック機構120がロック状態となる。
【0059】
上記した揺動浴槽31は、揺動位置検出手段124bにより閉塞状態となったことが検出されるまで閉状態方向に揺動させる。これにより、揺動浴槽31は、その開口が固定浴槽30の開口に連結される位置まで揺動され、揺動浴槽31の上端が略水平となり、揺動浴槽31と固定浴槽30とが水密状態で連続された閉状態になる。閉状態になることで、湯張り可能な浴槽30,31が形成される。
ここで、折曲部30a,31aの水密手段40としてのパッキン40aおよびその受け部材40bが互いに密着して、入浴時における前記固定浴槽30と前記揺動浴槽31とを水密状態とする。
【0060】
次いで、タンク60から浴槽30,31の中に湯を供給し、浴槽30,31に湯を張り、入浴者を入浴させる。この時、揺動開閉式入浴装置2は、水位センサ122a,122b,123a,123bにより湯量を検出するとともに図示しない湯温センサにより湯の温度を検出しながらおこなうようにする。また、このとき、上述したようにレール52aは傾けられており、ロック機構120がロック状態となっているため、椅子部12のレール52a先端側への移動が規制されている。
【0061】
入浴が終了したら、排水栓開閉ペダル47を踏んで、排水孔45を閉塞している排水栓44を上方に押し上げて開状態として排水をおこなう。水位センサ122aにより浴槽30,31内の湯が排水されたことが検出されたら、制御手段により、シリンダ90を駆動させて、揺動浴槽31を開状態方向に揺動させて固定浴槽30の一側方を開放させる。揺動浴槽31が開状態方向に揺動するに従って、ローラ52cが揺動浴槽31の底部38上を転動し、このローラ52c及び傾動支持部52bを介して揺動浴槽31の底部38に支持されたレール52a,52aの先端部は下げられ、レール52a,52a(椅子支持部52)は回転支点51を中心に回動(傾動)され、レール52a,52aの傾きは小さくなる。これにより、レール52a,52a(椅子支持部52)上に支持された椅子部12は水平となり、仰向け姿勢の入浴者の身体が起こされ、入浴者は座位姿勢となる。また、このとき、レール52aが台車10との合体可能位置にくるところまで揺動浴槽31を開状態方向に揺動させる。これにより、図14に示すように、第2の当接部121cが固定浴槽30の底面36に当接され、付勢部材122の付勢力に抵抗して被係止部材121が回転し、第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接しない非係止位置に移動し、ロック機構120がロック解除状態となる。
【0062】
次いで、椅子部12を台車10に合体させた後、揺動開閉式入浴装置2から車椅子1を引き抜き、入浴者を固定浴槽30の外に移動させる。これにより、入浴後の入浴者が座位姿勢のまま揺動開閉式入浴装置2の外に出される。具体的に説明すると、座位に起きあがった入浴者を椅子部12ごとレール52aに沿って前方に移動させ、着脱板102を押さえローラ103とローラ101によって押さえ込んだ状態で、着脱ピン105を着脱穴104に挿入して固定する。この状態で、車椅子解除ペダル82cを踏み、車椅子1のロックを解除して、車椅子1を前方(図の左側方向)に移動することにより、ガイドレール先端71のセーフティ当接部108に当接していたセーフティロッド107aがセーフティ当接部108から離間することで、このセーフティロッド107aが台車10に対して車椅子1の発進方向後側(右方向)に移動する。これにより、傾いて解除状態であったロック部材107bが図6〜8における反時計回りに回動して直立し、ピン着脱ペダル106bに当接したロック状態となるため、車椅子1の移動時に台車10と椅子部12とが不用意に分離することが防止される。
【0063】
また、上記したように椅子部12を台車10に合体させて車椅子1を移動させる際、上述したようにレール52aが台車10との合体可能位置まで下げられてロック機構120がロック解除状態となっているため、椅子部12のレール52a先端側への移動が許容されている。
【0064】
上記した構成からなる揺動開閉式入浴装置2によれば、揺動浴槽31が閉状態のときはロック機構120によりレール52aに沿った椅子部12の移動が規制されるため、入浴中に、浴槽30,31内の湯により椅子部12に浮力が作用しても、ロック機構120により椅子部12の移動が規制される。これによって、入浴中の椅子部12の浮き上がりを防止することができる。また、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていない場合には、ロック機構120により椅子部12の移動が規制され、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられたときに、ロック機構120が解除され、椅子部12の移動が許容されるため、入浴後に、揺動浴槽31が開けられているものの不完全であってレール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていない場合、椅子部12の移動が規制される。これによって、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていないことによる椅子部12と台車10との合体不良を防止することができる。
【0065】
また、上記した構成からなる揺動開閉式入浴装置2によれば、ロック機構120が、椅子部12側に設けられたはずれ止め凸部113と、レール52a側に設けられた被係止部材121と、被係止部材121の第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接する係止位置に配置されるように被係止部121を付勢する付勢部材122と、を備える構成からなり、被係止部121には、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられたときに固定浴槽30の底面36に当接される第2の当接部121cが設けられ、第2の当接部121cが固定浴槽30の底面36に当接されると、被係止部121がはずれ止め凸部113に当接しない非係止位置に移動する構成となっているため、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていない場合には椅子部12の移動が規制され、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられた場合に椅子部12の移動が許容される。これにより、センサ等を用いることなく簡単な構成のロック機構120を実現することができる。
【0066】
また、上記した構成からなる揺動開閉式入浴装置2によれば、座位姿勢の入浴者を仰向け姿勢にさせる際、入浴者は椅子部12に乗ったままであるから、身体保持が確実になされ、傾動動作中も安定が保たれる。また、入浴時は、入浴者は、一般の風呂と同様の姿勢となるから、快適に入浴できる。また、図8のように入浴者の傾動状態された揺動開閉式入浴装置2では、フロートFの浮力により椅子支持部52から揺動浴槽31底部38に係る荷重を低減することができる。
【0067】
以上、本発明に係る揺動開閉式入浴装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、ロック機構120が、ブラケット124,124を介してレール52aに支持された軸材123に被係止部121(円筒部121a)及び付勢部材122がそれぞれ外装されており、ロック機構120の被係止部121等がレール52aに取り付けられた構成となっているが、本発明は、上記したロック機構120に限定されず、他の構成からなるロック機構であってもよい。
【0068】
例えば、図16、図17、図18に示すように、被係止部221等がレール52a,52a間に架設された架材に取り付けられた構成のロック機構220としてもよい。詳しく説明すると、レール52a,52a間に架設された架材200は、2本のレール52a,52aからそれぞれ内側に張り出されて同軸上に延在する水平板材201,202と、これら水平板材201,202を両側から挟み込むように水平板材201,202の先端間に架設された平行する鉛直板材203,203とからなる。平行する鉛直板材203,203間には、レール52aと平行に延在する軸材223が架設されている。この軸材223に、に被係止部221の円筒部221aが外装されて被係止部221が回転自在に設けられている。被係止部221の第1の当接部221bは、水平板材201の上方に配置されており、被係止部221の第2の当接部221cは、間隔をあけて直列に並べられた水平板材201,202の間に配置されている。また、鉛直板材203,203間の上部には、水平板204が架設されており、この水平板204と第2の当接部221cとの間に、第2の当接部221cを下方向に付勢する付勢部材222が介在されている。このような構成からなるロック機構220は、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていない場合には、図17に示すように、付勢部材222によって第2の当接部221cが下方向に付勢されることで、その反対に設けられた第1の当接部221bは上昇してずれ止め凸部113に当接する係止位置に配置される。これにより、椅子部12の移動が規制される。一方、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられた場合には、図18に示すように、第2の当接部221cが固定浴槽30の底部36に当接し、第2の当接部221cが上方に移動するように被係止部221が回転し、第2の当接部221cの反対に設けられた第1の当接部221bは下方向に移動し、ずれ止め凸部113に当接しない非係止位置に配置される。これにより、椅子部12の移動が許容される。
【0069】
また、上記した実施の形態及び前記変形例では、ロック機構120,220が、付勢部材122,222の付勢力により被係止部121,221が係止位置に配置される一方、固定浴槽30の底面36に当接部121c,221cが当接されることで被係止部121,221が非係止位置に配置される構成となっているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、揺動浴槽31を揺動運動させるシリンダ90のピストンの部分に変位センサを設置し、この変位センサからの信号に基づいて被係止部を移動させてロック/ロック解除を切り替えるロック機構であってもよい。さらに、レール52a,52aや揺動浴槽31自体にセンサを設置し、このセンサからの信号に基づいて被係止部を移動させてロック/ロック解除を切り替えるロック機構であってもよい。
【0070】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は本発明に係る揺動開閉式入浴装置の一実施形態における入浴状態の概形を示す斜視図である。
【図2】図2は同揺動開閉式入浴装置の一実施形態における開放状態を示す斜視図である。
【図3】図3は開口側から見た揺動浴槽31を示す斜視図である。
【図4】図4は開口における水密手段40を示す断面図である。
【図5】図5は車椅子1を示す正断面図である。
【図6】図6は入浴者の搬入状態における揺動開閉式入浴装置を示す正断面図である。
【図7】図7は入浴者の収容状態における揺動開閉式入浴装置を示す正断面図である。
【図8】図8は入浴状態における揺動開閉式入浴装置を示す正断面図である。
【図9】図9は固定浴槽の開口側から見た揺動開閉式入浴装置を示す側面図である。
【図10】図10は揺動開閉式入浴装置を示す平面図である。
【図11】図11は椅子支持部52を表す平面図である。
【図12】図12は椅子支持部52を表す断面図である。
【図13】図13はロック機構120を表す側面図である。
【図14】図14はロック状態時におけるロック機構120を表す側面図である。
【図15】図15はロック解除状態時におけるロック機構120を表す側面図である。
【図16】図16は他の実施の形態におけるロック機構220を表す平面図である。
【図17】図17は他の実施の形態におけるロック状態時におけるロック機構220を表す断面図である。
【図18】図17は他の実施の形態におけるロック解除状態時におけるロック機構220を表す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 車椅子
2 揺動開閉式入浴装置
10 台車(椅子下部)
12 椅子部
30 固定浴槽
31 揺動浴槽
52a レール
113 ずれ止め凸部(係止部)
120,220 ロック機構
121,221 被係止部
121b,221b 第1の当接部(被係止部の一部)
121c,221c 第2の当接部(当接部)
122,222 付勢部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、主に身体障害者や老人を座位の姿勢で入浴させることができる揺動開閉式入浴装置に用いて好適な技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車椅子等に着座した入浴者を座位の姿勢のまま入浴させる入浴装置として、揺動開閉式入浴装置がある。この揺動開閉式入浴装置は、一側方が開口された固定浴槽と、この固定浴槽の開口に対応する開口を有するとともに鉛直方向に揺動する揺動浴槽と、固定浴槽の底面に2本平行に設けられたレールとを備える構成からなる。
【0003】
上記した従来の揺動開閉式入浴装置により入浴する場合、まず、椅子部と台車(椅子下部)とを切り離すことができる車椅子に入浴者を着座させる。前記した椅子部の両側にはローラがそれぞれ付設されている。一方、揺動浴槽を固定浴槽の下に収納させて固定浴槽の開口を開放させる。次に、車椅子を動かし、固定浴槽上のレール上に椅子部のローラを走らせながら椅子部を固定浴槽の中に移動させる。そして、椅子部を固定浴槽の奥まで移動させた後、椅子部を台車から切り離し、台車だけを引き抜く。次に、揺動浴槽を上方に揺動させる。これにより、固定浴槽の開口と揺動浴槽の開口とが連結され、固定浴槽と揺動浴槽とが水密状態で連続され、湯を貯留させることが可能な浴槽が形成される。次に、浴槽の中に湯を入れて入浴者を入浴させる。入浴者の入浴が終わったら、浴槽内の湯を抜く。そして、湯抜きが完了した後、揺動浴槽を固定浴槽の開口側に揺動させて揺動浴槽を固定浴槽の下に収納させて固定浴槽の開口を開放させる。次に、固定浴槽の下に車椅子の台車を配置させ、固定浴槽内の椅子部と台車とを合体させる。その後、レール上に椅子部のローラを走らせながら車椅子を引き出す。
【0004】
ところで、上記したレールは、揺動浴槽の揺動運動に伴って傾動する構成となっている。具体的に説明すると、レールの基端部(固定浴槽の奥側の端部)には、回転軸が設けられており、レールは鉛直回転自在になっている。また、レールの先端部(固定浴槽の開口側の端部)には、揺動浴槽の内面上を転動する転動部材が設けられている。このレールは、揺動浴槽が上方に揺動するに従い転動部材を介してレールが揺動浴槽に押し上げられて傾くとともに、揺動浴槽が固定浴槽の開口側に揺動するに従い下げられる。このような構成によれば、揺動浴槽が開けられている場合、レールは水平状態で配置され、レール上の椅子部に着座した入浴者は起きた姿勢になる。一方、揺動浴槽が閉められている場合、レールは傾斜した状態で配置され、レール上の椅子部に着座した入浴者は後方に倒れた姿勢になる(例えば、特許文献1〜3参照。)。
【特許文献1】特許第3474554号公報
【特許文献2】特許第3535126号公報
【特許文献3】特開2003−190245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記した従来の揺動開閉式入浴装置では、揺動浴槽が閉じられているとき、固定浴槽内の椅子部がレールに沿って移動可能なフリーな状態である。また、椅子部のブロー成形の部分は浮力で浮き易い。このため、浴槽に湯を張って入浴者を入浴させた時に、椅子部自体の浮力により、傾斜したレールに沿って椅子部が上方(先端側)に移動するという問題がある。
【0006】
また、上記した従来の揺動開閉式入浴装置では、レールが台車との合体可能位置まで下がっていない状態であっても、浴槽内の椅子部がレール上をスライド可能であるため、入浴完了後に椅子部を台車に合体させる際に、椅子部と台車との位置がずれてうまく合体できない場合がある。
【0007】
本発明は、上記した従来の問題が考慮されたものであり、浮力による入浴中の椅子部の移動を防止することができるとともに、レールが椅子下部(台車)との合体可能位置まで下げられていないことによる椅子部と椅子下部との合体不良を防止することができる揺動開閉式入浴装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る揺動開閉式入浴装置は、一側方に開口がある固定浴槽と、該固定浴槽の開口に対応する開口を有するとともに前記開口部分上端部付近に位置する揺動支点を中心に鉛直方向に揺動可能とされた揺動浴槽と、が備えられ、前記揺動浴槽が、湯張り可能な浴槽を形成するように、その開口が前記固定浴槽の開口に連結されて前記固定浴槽に対して水密状態で連続される閉状態と、前記固定浴槽の下側に収納されて該固定浴槽の開口を開放させる開状態との間で揺動され、前記固定浴槽の底面には、該固定浴槽の奥行き方向に延在され、車椅子の椅子部を支持するとともに該椅子部を前記奥行き方向に走行させるレールが設けられ、該レールは、前記揺動浴槽が前記閉状態方向に揺動するに従い先端部が上げられて傾けられ、前記揺動浴槽が前記開状態方向に揺動するに従い先端部が下げられて傾きが小さくなる揺動開閉式入浴装置であって、前記レールが傾けられているとき、該レールに沿った前記椅子部の移動を規制し、前記レールが椅子下部との合体可能位置にきたとき、該レールに沿った前記椅子部の移動を許容するロック機構が備えられていることを特徴としている。
【0009】
このような特徴により、揺動浴槽を固定浴槽の下側に収納させることで、固定浴槽の一側方が開放された開状態になる。このとき、レールが椅子下部との合体可能位置にくるまで揺動浴槽を開状態方向に揺動させる。これにより、ロック機構は、レールに沿った椅子部の移動を許容するロック解除状態となる。次に、開放された固定浴槽の開口から、車椅子の椅子部に入浴者を着座させたまま、椅子部をレールに沿って固定浴槽の奥側に移動させる。これにより、入浴者が座位姿勢のまま固定浴槽の中に入れられる。このとき、入浴者を後退させるように入浴者の背中側から固定浴槽内に移動させる。次に、固定浴槽の中に入れられた椅子部を椅子下部から切り離した後、揺動浴槽を閉状態方向に揺動させる。これにより、レールの先端部が上げられてレールが傾くとともに、レールに支持された椅子部も前方側が押し上げられて傾く。このように椅子部が傾くことで、椅子部に着座した入浴者は後方に倒された姿勢(仰向け姿勢)となる。揺動浴槽は、その開口が固定浴槽の開口に連結される位置まで閉状態方向に揺動させる。これにより、揺動浴槽と固定浴槽とからなる湯張り可能な浴槽が形成される。この浴槽の中に湯を入れて入浴者を入浴させる。このとき、レールは傾けられているため、ロック機構は、レールに沿った椅子部の移動を規制するロック状態となっており、椅子部のレール先端側への移動は規制される。
【0010】
また、入浴終了後は、まず、浴槽内の湯を抜く。そして、浴槽内の湯が完全に無くなった後、揺動浴槽を開状態方向に揺動させて固定浴槽の一側方を開口させる。このとき、レールが椅子下部との合体可能位置にくるまで揺動浴槽を開状態方向に揺動させる。これにより、ロック機構はロック解除状態となり、レールに沿った椅子部の移動が許容される。なお、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられていない状態では、ロック機構はロック状態のままであり、レールに沿った椅子部の移動が規制される。レールが椅子下部との合体可能位置にくるところまで揺動浴槽を揺動させた後、固定浴槽内の椅子部を椅子下部に合体させ、その後、レールに沿って車椅子を固定浴槽外に移動させる。これにより、入浴後の入浴者が座位姿勢のまま固定浴槽の外に出される。
【0011】
また、本発明に係る揺動開閉式入浴装置は、前記ロック機構が、前記椅子部側に設けられた係止部材と、前記レール側に設けられた被係止部材と、該被係止部材の一部が前記係止部材に当接する係止位置に配置されるように前記被係止部材を付勢する付勢部材と、を備える構成からなり、前記被係止部材には、前記レールが椅子下部との合体可能位置にきたときに前記固定浴槽の底面に当接される当接部が設けられ、該当接部が前記固定浴槽の底面に当接されると、前記被係止部材が前記係止部材に当接しない非係止位置に移動する構成となっていることが好ましい。
【0012】
これにより、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられてなく傾いた状態のとき、付勢部材の付勢力により被係止部材が係止位置に配置される。これにより、椅子部がレールに沿って移動しようとしても、椅子部側に設けられた係止部材がレール側に設けられた被係止部材に当接され、椅子部の移動が規制される。一方、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられると、当接部が固定浴槽の底面に当接して被係止部材が移動し、被係止部材が非係止位置に配置される。これにより、椅子部側に設けられた係止部材がレール側に設けられた被係止部材に当接されず、椅子部の移動が許容される。
【発明の効果】
【0013】
本発明に係る揺動開閉式入浴装置によれば、湯が張られた浴槽内の椅子部に浮力が作用しても、揺動浴槽が閉状態ではロック機構によりレールに沿った椅子部の移動が規制されるため、入浴中の椅子部の移動を防止することができる。また、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられていない場合には、ロック機構によりレールに沿った椅子部の移動が規制され、レールが椅子下部との合体可能位置まで下げられたときに、ロック機構が解除されてレールに沿った椅子部の移動が許容されるため、椅子部と椅子下部との合体不良を防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明に係る揺動開閉式入浴装置における一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は入浴者を入浴させる際の揺動開閉式入浴装置を示す斜視図であり、図2は入浴者を出し入れさせる際の揺動開閉式入浴装置を示す斜視図であり、図3は開口側から見た揺動浴槽を示す斜視図であり、図4は揺動浴槽と固定浴槽との間の水密手段を示す断面図であり、図5は車椅子を示す断面図であり、図6は入浴者の搬入状態における揺動開閉式入浴装置を示す断面図であり、図7は入浴者の収容状態における揺動開閉式入浴装置を示す断面図であり、図8は入浴状態における揺動開閉式入浴装置を示す断面図であり、図9は固定浴槽の開口側から見た揺動開閉式入浴装置を示す側面図であり、図10は揺動開閉式入浴装置を示す平破断図であり、図11は固定浴槽に設けられたレールを示す平面図であり、図12は固定浴槽に設けられたレールを示す断面図であり、図13は揺動開閉式入浴装置に備えられたロック機構を示す側面図であり、図14は解除状態のロック機構を示す断面図であり、図15はロック状態のロック機構を示す断面図である。
【0015】
図1、図2に示すように、揺動開閉式入浴装置2は、車椅子1(図5に示す。)に着座している入浴者を車椅子1に乗せた状態のまま浴槽30,31内に搬入し、浴槽30,31内に湯を張ることによって入浴者を入浴させる入浴装置であって、浴槽の一部(揺動浴槽31)が揺動して開閉される構成のものである。
【0016】
まず、入浴用の車椅子1について説明する。
図5に示すように、車椅子1は、キャスタ付きの台車10(椅子下部)と、台車10に着脱手段100により着脱可能に立設された支持ロッド11と、支持ロッド11の上部によって支持される椅子部12とを備える。
【0017】
台車10は、両側下部にキャスタ14,14が取り付けられた前後の板材13a,13bと、それら前後の板材13a,13bの中央の凹部を互いに連結する連結板15と、該連結板15を補強する上側の角パイプ16からなる。そして、前側の板材13aの中央には、着脱手段100を介して前記支持ロッド11が只1本だけ立設されている。
【0018】
支持ロッド11の上部に取り付けられた椅子部12は、両側下部にローラ17aが取り付けられた椅子部フレーム17が設けられ、この椅子部フレーム17には、前部から後部にかけて、フットレスト18、座部19、および背もたれ部20が設けられている。
【0019】
フットレスト18は、椅子部フレーム17の左右に取り付けられたブラケット21に軸21aが支持され、この軸21aに回動自在に支持されたロッド22の下端によって支持されている。
ブラケット21には、介助者が車椅子1を移動操作するときに把持する部分である把持部23aを先端に有するアーム23が回動自在に支持されている。アーム23を支持する軸24にはリンクを介して図示せぬローラが取り付けられており、アーム23、軸24、およびこのローラは一体的に回動するようになっている。このため、介助者がアーム23の先端の把持部23aを持って図5中右回りに上方向へ回転させると、ローラが該アーム23の回動と一体的に回動してフットレスト支持ロッド22の下面に当接し、同支持ロッド22を軸21aを中心に回動させる。
これにより、フットレスト18は、所定角度まで強制的に回動されて、その位置でロックされる。このロックは、前記アーム23の把持部23aとは逆側の先端23bに設けられた被ロック部材が、図示せぬ付勢部材によって軸26を中心に図5中時計方向へ回動するように付勢されるロック部材27の図示せぬ先端に係合することによって行なわれる。
【0020】
このロック状態において、フットレスト18は下方(図5中反時計方向)への回動は規制されるが、上方(図5中時計方向)への回動は自由である。ロック状態を解除するには、ロック部材27を図示せぬ付勢部材に抗して図5中時計方向へ回動操作することによって、アーム23の先端23bの被ロック部材との係合を解除すればよい。
【0021】
また、前記ロック状態において、前記フットレスト18の高さは、フットレスト18の下部に設けられたローラ28が、開放状態の揺動浴槽31の底部38に当接するように設定されている。
【0022】
着脱手段100は、角パイプ16上に略水平位置に並設された複数のローラ101,101と、このローラ101上に載置され支持ロッド下端に接続される着脱板102と、着脱板102の一端側(図5の左側)上に設けられ着脱板102を押さえる押さえローラ103と、押さえローラ103の近傍(図5の右側)に位置してこの着脱板102に貫通された着脱穴104に係止される着脱ピン105と、着脱ピン105を上下動させて着脱板102の固定解除を可能とするピン着脱手段106とを具備するものとされる。
【0023】
複数のローラ101は入浴者の収容時に車椅子1が固定浴槽30に当接した状態で支持ロッド11および椅子部12を固定浴槽30内部に向かって(図5の右方向である後側に向かって)移動可能に開口方向に複数並設される。
ピン着脱手段106としては、一端がピン支点106aに回動自在に支持されるピン着脱ペダル106bと、このピン着脱ペダル106bと一体に着脱ピン105を上下動可能とするピン支持部106cとからなる。
このピン着脱ペダル106bは、図示しない付勢手段によって図5の時計回り方向に付勢されているとともに、ピン着脱ペダル106bを着脱ピン105における着脱板102固定位置と開放位置とに位置設定することを可能とする図示しない位置設定手段が設けられる。これらの構成によって、ピン着脱ペダル106bを踏みつけることにより、着脱ピン105における着脱板102固定位置と開放位置とが位置設定される。
【0024】
押さえローラ103は、最も前側の一つのローラ101に対応する位置に設けられて、この対応するローラ101と着脱板102を挟み込んで固定可能とされる。同時に、押さえローラ103は、椅子部12の着脱時とされる着脱板102の移動時に、固定状態において対応するローラ101の真上位置から椅子部12の移動方向にオフセットするとともに、この対応するローラ101から上方向に離間するように構成されている。このように対応するローラ101から斜め後方に移動することで、対応するローラ101との間に着脱板102を挿入しやすくなるよう固定位置から移動可能(揺動可能)とされている。
【0025】
ピン着脱ペダル106bには、走行中など入浴者を固定浴槽30への搬入・収容時以外に着脱ピン105による着脱板102の係止が解除されないように、固定浴槽30に対する所定位置に位置したときのみにピン着脱ペダル106bが回動可能となる係止解除セーフティ手段107が設けられる。
この係止解除セーフティ手段107は、後述するように、固定浴槽30に設けられたセーフティ当接部108に当接した際、台車10に対する椅子部12の移動方向と同方向に移動可能として台車10の角パイプ16に設けられたセーフティロッド107aと、このセーフティロッド107aがセーフティ当接部(ガイドレール)108に当接しない状態でピン着脱ペダル106bを着脱ピン105の係止位置に維持するロック部材107bとからなる。
このロック部材107bは、その中心付近を回転支点として回動可能とされるとともに図5に示す係止状態(ロック状態)では略直立状態とされてその下端にセーフティロッド107aが回動自在に接続され、このセーフティロッド107aの往復動作により、図5に示すロック状態と、図7,8に示すように、直立状態からは多少傾いた解除状態との切り替え可能とされている。
【0026】
次に、揺動開閉式入浴装置2について説明する。
図1、図2に示すように、揺動開閉式入浴装置2は、前面(図6〜8において左側が前面となる)が開口された固定浴槽30と、この固定浴槽30の開口に対応する開口を有するとともにこの開口が固定浴槽30の開口に連結して前記固定浴槽30外部に浴槽30,31を延長可能な揺動浴槽31とからなる。
【0027】
揺動浴槽31は、図3に示すように、略半割椀状とされて、固定浴槽30よりも大きな内側寸法を有している。この揺動浴槽31は、図6〜図8に示すように、固定浴槽30の開口部分上端部付近に配置された揺動支点91を中心に、図1に示す閉状態と図2に示す開状態との間で揺動可能とされている。前記閉状態とは、湯張り可能な浴槽30,31を形成するように、揺動浴槽31の開口が固定浴槽30の開口に連結され、揺動浴槽31と固定浴槽30とが水密状態で連続されている状態をいう。また、前記開状態とは、揺動浴槽31が固定浴槽30の下側に収納されて固定浴槽30の開口を開放させる状態をいう。
【0028】
固定浴槽30には、浴槽下部フレーム80に固着されたナットにボルトが螺合されてなる高さ調整手段81によって、底部36が略水平状となるように調整されて浴室の床面に設置される。固定浴槽30には、その上辺および開口部分付近をのぞいた外側下部がカバー93によって覆われており、このカバー93内部には、揺動浴槽31を収納するためのスペース、揺動支点91を支持する揺動フレーム92、および、供給する湯を貯留するためのタンク60が設けられている。
揺動フレーム92は、固定浴槽30両側に浴槽下部フレーム80から立設される縦フレーム92aと、縦フレームから開口方向に向けて略水平に延設されその開口側(前側)の一端に揺動支点91が設けられる横フレーム92bとを有する構成とされる。横フレーム92bの後側他端には揺動浴槽31を駆動するためのシリンダ90が回動自在に固定されており、横フレーム92b中央付近からは、支持部材92cが固定浴槽30の開口に沿った位置と平行な状態に固定浴槽30の下側を帯状に支持するように設けられている。
【0029】
揺動支点91には揺動部材94が回動自在に支持され、この揺動部材94には揺動浴槽31の開口側に接続される支持部材95が設けられる。横フレーム92bの開口側端部(前側端部)は、揺動浴槽31の揺動時にこの支持部材95の揺動と干渉しないための逃げとして下方向に開口側から後側に傾斜して形成されている。支持部材95にはシリンダ90のロッドが接続されて、シリンダ90の伸縮により揺動浴槽31を揺動可能となっている。
【0030】
前記固定浴槽30の開口に沿った底部36および側壁37と、前記揺動浴槽31の開口に沿った底部38および側壁39とが、図4に示すように、前記開口方向と直交する方向に折曲されてそれぞれに折曲部30a、31aが形成されている。
これら折曲部30a,31aの互いに対向する位置には、入浴時における前記固定浴槽30と前記揺動浴槽31との水密状態を維持するための水密手段40として、パッキン40aおよびその受け部材40bが前記開口の形状に沿って設けられる。これらのパッキン40aおよびその受け部材40bは、図8に示す揺動浴槽31の閉状態(入浴状態)においては、揺動浴槽を閉塞するだけで、互いに密着し、浴槽30,31を水密状態とすることができる。
【0031】
固定浴槽30の底部36は、図6に示すように、開口側位置において、車椅子1のキャスタ14よりも上方に位置し、車椅子1の椅子部フレーム17より下側位置に配設されている。同時に、開状態の揺動浴槽31の底部38は、図6に示すように、車椅子1のキャスタ14よりも上方に位置し、車椅子1の支持ロッド11下端より下側位置に位置されている。
【0032】
揺動浴槽31の閉状態(入浴状態)において最下部となる開口側の底部38には、図3,図6〜8に示すように、この開口よりも開口方向固定浴槽30側(後側方向)に伸延する排水部41が設けられる。
この排水部41は、開口付近の底部に設けられた排水穴42と、この排水穴42からさらに開口方向固定浴槽側に水平より略下向きに延在する排水管43と、この排水管43端部下側に設けられ排水栓44により密閉可能な排水孔45とを具備するものとされる。排水部41は、図8に示す揺動浴槽31の閉状態(入浴状態)において、排水をおこなう際に、浴槽略中心位置に設けた排水孔45から排水して、後述する車椅子1の台車10に干渉することない位置に配されるとともに、揺動浴槽31の開閉時に、固定浴槽30と干渉することなくスムーズに開閉することが可能となるよう構成される。
【0033】
この排水孔45の下側には、揺動浴槽31の閉状態において対応する位置に、この排水孔45よりも形寸法が大きく揺動開閉式入浴装置2の下側に排水するための排水孔45Aが設けられるとともに、この近傍には、排水栓44を開閉するための排水栓開閉ペダル47と、この排水栓開閉ペダル47によって上下動されこの上下動により排水栓44を開閉させる排水ピン46とが設けられる。
排水ピン46は排水孔45Aの中心に上下動可能に設けられるとともに、排水栓開閉ペダル47によって上方に移動した際に、排水孔45を閉塞している排水栓44を上方に押し上げて開状態として排水をおこなう。
【0034】
固定浴槽30底部36下方に位置する浴槽下部フレーム80には、この固定浴槽30に対する車椅子1の搬入位置を設定し着脱可能に固定するための車椅子固定手段82が設けられる。
車椅子固定手段82としては、図6〜8,図10に示すように、固定浴槽30の開口よりも前方(図6〜8,10の左側方向)に突出し、かつ車椅子1の固定状態に影響を及ぼさないように側方(図10では上側)位置に車椅子解除ペダル82cが設けられる。
この車椅子解除ペダル82cは、回転軸82aに回動可能に支持され、この回転軸82aには、水平状態に前方に伸びてその先端部に上側に突出する凸部を有する鍵状のロック部材82bが接続される。これら車椅子解除ペダル82cおよびロック部材82bは、回転軸82aを中心に一体的に回動可能とされるとともに、図6〜8の時計回り方向に付勢されている。
ロック部材82bは、台車10の板材13bがロック部材82の凸部を乗り越えた状態になるよう凸部の前側が傾斜した状態とされて、ロック部材82bの凸部は、台車10が固定浴槽30に当接した際に、板材13bを固定する位置に設けられている。
【0035】
固定浴槽30には、前記揺動浴槽31の揺動に従って椅子部12上の入浴者を横にするべく椅子部12を傾動する傾動手段が設けられる。
この傾動手段は、図6〜8,図10に示すように、固定浴槽30底部36に固定された回転支点51を中心に回転可能な椅子支持部52と、揺動浴槽31とから構成される。
この椅子支持部52は、固定浴槽30の奥行き方向(図6〜図8における左右方向)に延在する2本平行なレール52a,52aと、レール52aの開口側(同左側)の端部(先端部)に設けられた傾動支持部52bと、この傾動支持部52bの先端に設けられて揺動浴槽31の底部(内面)38に当接された転動部(ローラ)52cとを備える構成からなる。
【0036】
レール52a,52aは、椅子部12を支持するとともに椅子部12を固定浴槽30の奥行き方向に走行させるための部材であり、固定浴槽30の中に椅子部12を入れたり固定浴槽30の中の椅子部12を出したりする際、レール52a,52a上に椅子部12のローラ17aが転動される。このレール52a,52aは、固定浴槽30内から固定浴槽30の外側に亘って延在されており、固定浴槽30外に突出されたレール52a,52a先端部に傾動支持部52bが設けられている。また、固定浴槽30内にあるレール52a,52aの基端部には、上記した回転支点51が設けられている。
【0037】
上記した構成からなる傾動手段により、揺動浴槽31が閉状態方向に揺動する際には、この揺動浴槽31の揺動動作に従って、ローラ52cが揺動浴槽31の底部38上を転動し、これにともなって回転支点51を中心にレール52aの先端側が上昇するように回動(傾動)して、車椅子1上の座位状態の入浴者が後方に倒された仰向け姿勢となる。
【0038】
また、図11、図12に示すように、レール52a,52aの内側側面には、このレール52aに沿って延在する、はずれ止め凸条部114がレール52aの側方に突出して設けられる。この、はずれ止め凸条部114の下側には、椅子部フレーム17から垂設されたはずれ止め凸部113が位置している。このはずれ止め突条部114に沿ってその下側位置を保ったまま、はずれ止め凸部113が移動することにより、椅子部フレーム17の上下方向のはずれ止めとされ、椅子部12がレール52aからはずれてしまうことを防止する。
【0039】
さらに、図12に示すように、椅子部フレーム17,17の四隅には、ローラ17aよりも前後方向外側に、ローラ17b,17bが設けられる。このローラ17bは、ローラ17aの軸線と上下方向略同一位置に軸線を有するとともに、ローラ17aより大きな径寸法を有し、ローラ17bの側面がレール52a,52aの外側側面に当接するようなっている。このローラ17bによって、椅子部フレーム17がレール52aに沿った移動する時に、ローラ17aがレール52a上からずれてしまうことを防止する。
【0040】
また、図11、図12に示すように、平行する2本のレール52a,52aのうちの一方のレール52aには、レール52a(椅子支持部52)が傾けられているとき、レール52aに沿った椅子部12の移動を規制し、レール52a(椅子支持部52)が台車10との合体可能位置にきたとき、レール52aに沿った椅子部12の移動を許容するロック機構120が取り付けられている。
【0041】
図13、図14、図15に示すように、ロック機構120は、椅子部12側に設けられた係止部材(はずれ止め凸部113)と、レール52a側に設けられた被係止部材121と、被係止部材121を付勢する付勢部材122と、を備える構成からなる。
【0042】
被係止部材121は、円筒部121aの外周面に、はずれ止め凸部113に当接させる第1の当接部121b(被係止部材121の一部)と、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられたときに固定浴槽30の底面(底部36)に当接される第2の当接部121c(当接部)とがそれぞれ突設された構成からなる。円筒部121aは、レール52aと平行に延在する軸材123に外装されており、軸材123を中心に回転可能になっている。第2の当接部121cは、先端に、固定浴槽30の底部36に接触させる緩衝材121dが付設された構成からなる。この緩衝材121dとしては、例えばビス等で止められたウレタン製のものが用いられる。
【0043】
付勢部材122は、第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接する係止位置に配置されるように被係止部材121を付勢するコイルバネ状の部材である。この付勢部材122は、軸材123に外装されており、その一端がブラケット124に掛止され、その他端が第1の当接部121bに固定されている。
なお、円筒部121a及び付勢部材122の中にそれぞれ挿通された上記軸材123は、その両端が、ブラケット124,124を介してレール52aに支持されている。
【0044】
また、図6〜図8に示すように、椅子支持部52の回転支点51付近には、例えばリミットスイッチとされる椅子部検出スイッチ121が設けられる。この椅子部検出スイッチ121は、椅子支持部52上の所定位置に椅子部12が載置されたことを検出するとともに、椅子支持部52の傾動により椅子部12の背もたれ部20の姿勢が変化することを検出して、椅子支持部52の傾動状態をも検出可能なものとされている。
【0045】
また、レール52aの下方には、図10に示すように、このレール52aよりも幅狭に2本のガイド71,71が設けられている。これら2本のガイド71,71は、その間に車椅子1における角パイプ16が進入することで台車10(椅子部12)の位置決めがおこなわれる。
このガイド71のそれぞれ対向する位置には複数のガイドローラ72,72が設けられて角パイプ16の進入を容易にしているとともに、このガイド71の先端部分はセーフティ当接部108とされている。ガイド71の先端側は、これらガイド71,71どうしの対向間距離が外側に向けて拡大するように設定されており、角パイプ16の進入をより容易にしている。
【0046】
固定浴槽30内部には、湯量低減部として椅子支持部52の下側に中空容器(フロート)Fが設けられる。また湯量低減部として、固定浴槽30の底部36に浴槽内部側に突出した凸部36Aを設けられる。
これらフロートF、凸部36Aにより、入浴者の入浴には必要のない椅子支持部52の下側空間に入る湯を節約し、入浴時に使用する湯量を低減することができる。
また、フロートFの浮力を椅子支持部52に作用させることができるため、入浴中において椅子支持部52を支持している揺動浴槽30内面への荷重を低減することができる。
【0047】
前記揺動開閉式入浴装置2には、カバー93内部に、揺動開閉式入浴装置2内の湯を蓄えるタンク60と、浴槽30,31とタンク60との間の湯の出し入れをする給排湯手段61が付設されている。
給排湯手段61について説明すると、図6〜8に示すように、タンク60の給湯口62には配管63aを介してポンプ65が介在され、さらにこの配管を介して浴槽本体30の給湯口に接続される。したがって、図示しない制御手段によってポンプが制御され、これにより、タンク60から浴槽30,31へ供湯されるときには、湯は前記タンク60の給湯口62から配管63aを介してポンプ65の吸い込み側に至り、ポンプ65の吐出側から配管合流部,配管を介して浴槽30,31へ至るようになっている。
【0048】
固定浴槽30には、浴槽30,31内の湯量を検出する水位センサ122a、122bが接続されている。これは、センサ配管に分岐接続されて浴槽30,31内の水位を測定するフロート式のセンサであり、水位センサ122bは浴槽30,31内の水位が所定の上限位置以上になった時点で、水位センサ122aは浴槽30,31内の水位が所定の下限位置以上または以下になった時点でそれを検知して制御手段に信号を送るものである。ここでいう所定の上限位置とは、浴槽30,31のオーバーフロー状態、つまり、揺動浴槽31の側壁39上端近傍を指し、下限値とは、浴槽30,31底部36,38程度の位置を指している。
【0049】
タンク60には、浴槽30,31内の湯量を検出する水位センサ123a、123bが接続されている。これは、センサ配管123cに分岐接続されてタンク60内の水位を測定するフロート式のセンサであり、水位センサ123bはタンク60内の水位が所定の上限位置以上になった時点で、水位センサ123aはタンク60内の水位が所定の下限位置以上または以下になった時点でそれを検知して制御手段に信号を送るものである。
また、タンク60には図示しない湯温センサが設けられ、浴槽30,31に供給する湯の温度を検出し、所定の設定温度とされた湯を供給可能とされている。
【0050】
固定浴槽30外側には、揺動浴槽31の開放状態を検出する揺動位置検出手段124aと、閉塞状態を検出する揺動位置検出手段124bとが設けられる。
【0051】
上記の揺動開閉式入浴装置2には、図示しない制御手段が設けられ、この制御手段は、シリンダ90による揺動浴槽31の揺動の制御、浴槽30,31に供給する湯量および温度の制御、タンクに貯留する湯量および温度の制御をおこなうものとされる。
【0052】
次に、上記した構成からなる揺動開閉式入浴装置2の作用について説明する。
【0053】
上述した揺動開閉式入浴装置2により、入浴者を入浴させる場合には、まず、図5に示すように、入浴者を上記した入浴用の車椅子1に着座させるとともに、アーム23を上方へ引き上げてフットレスト18を斜め上に引き上げる。
【0054】
一方、図6に示すように、揺動浴槽31を固定浴槽30の下側に収納させることで、固定浴槽30の一側方が開放された開状態にする。このとき、レール52aが台車10との合体可能位置までくるところまで揺動浴槽31を開状態方向に揺動させる。これにより、図14に示すように、ロック機構120の第2の当接部121cが固定浴槽30の底部36に当接された状態となり、第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接しない非係止位置に配置され、ロック機構120がロック解除状態となる。ロック機構120がロック解除状態となることで、レール52aに沿った椅子部120の移動が許容され、上記した車椅子1を固定浴槽30内に搬入させることができる状態となる。
【0055】
上述した状態で、入浴者を乗せた車椅子1を、を開放された固定浴槽30の開口側に移動させ、固定浴槽30の開口側に入浴者の背中が向けられるようにして搬入位置にセットする。このとき、車椅子1の角パイプ16先端をガイド71,71間に嵌め込み、揺動開閉式入浴装置2に対する車椅子1の位置合わせを行なう。
【0056】
その後、図7に示すように、入浴者を後退させるように入浴者の背中側から固定浴槽30内に車椅子1を移動させ、固定浴槽30の奥側に押し込む。そして、ロック部材82bの凸部により板材13bの固定位置設定を行なうとともにこれを固定し、車椅子固定手段82により車椅子1の台車10を固定し、固定状態(搬入状態)とする。これにより、入浴者は座位姿勢のまま固定浴槽30の中に入れられる。このとき、椅子部フレーム17のローラ17aをレール52a上で転動させて、椅子部12が椅子支持部52で支持可能にする。また、ガイドレール先端71のセーフティ当接部108にセーフティロッド107a先端が当接し、このセーフティロッド107aが車椅子1の進入方向に移動する。これにより、直立したロック状態であったロック部材107bが図6〜8における時計回りに回動して傾き、ピン着脱ペダル106bから離間した解除状態となる。
【0057】
次いで、固定浴槽30の中に入れられた椅子部12を台車10から切り離す。具体的に説明すると、ピン着脱ペダル106bを踏みつけて着脱ピン105を下方向に移動させ、着脱板102の固定状態を解除する。椅子部12を図における右側に押して台車10から分離するとともに、略水平位置とされるレール52a上でローラ17aが転動することにより、該レール52aに沿って椅子部12を移動して、図8に示すように、入浴者を浴槽30,31内に収容した状態とする。このとき、押さえローラ103は、固定状態において対応するローラ101の真上位置から椅子部12の移動方向にオフセットして、この対応するローラ101から上方向に離間するように、固定位置から図の右上に揺動した状態となっている。
【0058】
次いで、椅子部検出スイッチ121により椅子部12が所定の位置に載置されたことを検出した後、制御手段により、シリンダ90を駆動させて、揺動支点91を中心として揺動浴槽31を閉状態方向に揺動させる。揺動浴槽31が閉状態方向に揺動するに従って、ローラ52cが揺動浴槽31の底部38上を転動し、このローラ52c及び傾動支持部52bを介して揺動浴槽31の底部38に支持されたレール52a,52aの先端部は押し上げられるように上昇し、レール52a,52a(椅子支持部52)は回転支点51を中心に回動(傾動)される。これにより、レール52a,52a(椅子支持部52)は傾けられ、レール52a,52a(椅子支持部52)上に載せられた椅子部12がレール52a,52aと同様に傾けられ、椅子部12に着座した入浴者が後方に倒された仰向け姿勢となる。また、図15に示すように、レール52a,52aが傾けられることで、ロック機構120の第2の当接部121cが固定浴槽30の底部36から離れる。これにより、付勢部材122の付勢力によって被係止部121が回転し、第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接する係止位置に配置され、ロック機構120がロック状態となる。
【0059】
上記した揺動浴槽31は、揺動位置検出手段124bにより閉塞状態となったことが検出されるまで閉状態方向に揺動させる。これにより、揺動浴槽31は、その開口が固定浴槽30の開口に連結される位置まで揺動され、揺動浴槽31の上端が略水平となり、揺動浴槽31と固定浴槽30とが水密状態で連続された閉状態になる。閉状態になることで、湯張り可能な浴槽30,31が形成される。
ここで、折曲部30a,31aの水密手段40としてのパッキン40aおよびその受け部材40bが互いに密着して、入浴時における前記固定浴槽30と前記揺動浴槽31とを水密状態とする。
【0060】
次いで、タンク60から浴槽30,31の中に湯を供給し、浴槽30,31に湯を張り、入浴者を入浴させる。この時、揺動開閉式入浴装置2は、水位センサ122a,122b,123a,123bにより湯量を検出するとともに図示しない湯温センサにより湯の温度を検出しながらおこなうようにする。また、このとき、上述したようにレール52aは傾けられており、ロック機構120がロック状態となっているため、椅子部12のレール52a先端側への移動が規制されている。
【0061】
入浴が終了したら、排水栓開閉ペダル47を踏んで、排水孔45を閉塞している排水栓44を上方に押し上げて開状態として排水をおこなう。水位センサ122aにより浴槽30,31内の湯が排水されたことが検出されたら、制御手段により、シリンダ90を駆動させて、揺動浴槽31を開状態方向に揺動させて固定浴槽30の一側方を開放させる。揺動浴槽31が開状態方向に揺動するに従って、ローラ52cが揺動浴槽31の底部38上を転動し、このローラ52c及び傾動支持部52bを介して揺動浴槽31の底部38に支持されたレール52a,52aの先端部は下げられ、レール52a,52a(椅子支持部52)は回転支点51を中心に回動(傾動)され、レール52a,52aの傾きは小さくなる。これにより、レール52a,52a(椅子支持部52)上に支持された椅子部12は水平となり、仰向け姿勢の入浴者の身体が起こされ、入浴者は座位姿勢となる。また、このとき、レール52aが台車10との合体可能位置にくるところまで揺動浴槽31を開状態方向に揺動させる。これにより、図14に示すように、第2の当接部121cが固定浴槽30の底面36に当接され、付勢部材122の付勢力に抵抗して被係止部材121が回転し、第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接しない非係止位置に移動し、ロック機構120がロック解除状態となる。
【0062】
次いで、椅子部12を台車10に合体させた後、揺動開閉式入浴装置2から車椅子1を引き抜き、入浴者を固定浴槽30の外に移動させる。これにより、入浴後の入浴者が座位姿勢のまま揺動開閉式入浴装置2の外に出される。具体的に説明すると、座位に起きあがった入浴者を椅子部12ごとレール52aに沿って前方に移動させ、着脱板102を押さえローラ103とローラ101によって押さえ込んだ状態で、着脱ピン105を着脱穴104に挿入して固定する。この状態で、車椅子解除ペダル82cを踏み、車椅子1のロックを解除して、車椅子1を前方(図の左側方向)に移動することにより、ガイドレール先端71のセーフティ当接部108に当接していたセーフティロッド107aがセーフティ当接部108から離間することで、このセーフティロッド107aが台車10に対して車椅子1の発進方向後側(右方向)に移動する。これにより、傾いて解除状態であったロック部材107bが図6〜8における反時計回りに回動して直立し、ピン着脱ペダル106bに当接したロック状態となるため、車椅子1の移動時に台車10と椅子部12とが不用意に分離することが防止される。
【0063】
また、上記したように椅子部12を台車10に合体させて車椅子1を移動させる際、上述したようにレール52aが台車10との合体可能位置まで下げられてロック機構120がロック解除状態となっているため、椅子部12のレール52a先端側への移動が許容されている。
【0064】
上記した構成からなる揺動開閉式入浴装置2によれば、揺動浴槽31が閉状態のときはロック機構120によりレール52aに沿った椅子部12の移動が規制されるため、入浴中に、浴槽30,31内の湯により椅子部12に浮力が作用しても、ロック機構120により椅子部12の移動が規制される。これによって、入浴中の椅子部12の浮き上がりを防止することができる。また、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていない場合には、ロック機構120により椅子部12の移動が規制され、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられたときに、ロック機構120が解除され、椅子部12の移動が許容されるため、入浴後に、揺動浴槽31が開けられているものの不完全であってレール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていない場合、椅子部12の移動が規制される。これによって、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていないことによる椅子部12と台車10との合体不良を防止することができる。
【0065】
また、上記した構成からなる揺動開閉式入浴装置2によれば、ロック機構120が、椅子部12側に設けられたはずれ止め凸部113と、レール52a側に設けられた被係止部材121と、被係止部材121の第1の当接部121bがはずれ止め凸部113に当接する係止位置に配置されるように被係止部121を付勢する付勢部材122と、を備える構成からなり、被係止部121には、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられたときに固定浴槽30の底面36に当接される第2の当接部121cが設けられ、第2の当接部121cが固定浴槽30の底面36に当接されると、被係止部121がはずれ止め凸部113に当接しない非係止位置に移動する構成となっているため、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていない場合には椅子部12の移動が規制され、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられた場合に椅子部12の移動が許容される。これにより、センサ等を用いることなく簡単な構成のロック機構120を実現することができる。
【0066】
また、上記した構成からなる揺動開閉式入浴装置2によれば、座位姿勢の入浴者を仰向け姿勢にさせる際、入浴者は椅子部12に乗ったままであるから、身体保持が確実になされ、傾動動作中も安定が保たれる。また、入浴時は、入浴者は、一般の風呂と同様の姿勢となるから、快適に入浴できる。また、図8のように入浴者の傾動状態された揺動開閉式入浴装置2では、フロートFの浮力により椅子支持部52から揺動浴槽31底部38に係る荷重を低減することができる。
【0067】
以上、本発明に係る揺動開閉式入浴装置の実施の形態について説明したが、本発明は上記した実施の形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更可能である。例えば、上記した実施の形態では、ロック機構120が、ブラケット124,124を介してレール52aに支持された軸材123に被係止部121(円筒部121a)及び付勢部材122がそれぞれ外装されており、ロック機構120の被係止部121等がレール52aに取り付けられた構成となっているが、本発明は、上記したロック機構120に限定されず、他の構成からなるロック機構であってもよい。
【0068】
例えば、図16、図17、図18に示すように、被係止部221等がレール52a,52a間に架設された架材に取り付けられた構成のロック機構220としてもよい。詳しく説明すると、レール52a,52a間に架設された架材200は、2本のレール52a,52aからそれぞれ内側に張り出されて同軸上に延在する水平板材201,202と、これら水平板材201,202を両側から挟み込むように水平板材201,202の先端間に架設された平行する鉛直板材203,203とからなる。平行する鉛直板材203,203間には、レール52aと平行に延在する軸材223が架設されている。この軸材223に、に被係止部221の円筒部221aが外装されて被係止部221が回転自在に設けられている。被係止部221の第1の当接部221bは、水平板材201の上方に配置されており、被係止部221の第2の当接部221cは、間隔をあけて直列に並べられた水平板材201,202の間に配置されている。また、鉛直板材203,203間の上部には、水平板204が架設されており、この水平板204と第2の当接部221cとの間に、第2の当接部221cを下方向に付勢する付勢部材222が介在されている。このような構成からなるロック機構220は、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられていない場合には、図17に示すように、付勢部材222によって第2の当接部221cが下方向に付勢されることで、その反対に設けられた第1の当接部221bは上昇してずれ止め凸部113に当接する係止位置に配置される。これにより、椅子部12の移動が規制される。一方、レール52aが台車10との合体可能位置まで下げられた場合には、図18に示すように、第2の当接部221cが固定浴槽30の底部36に当接し、第2の当接部221cが上方に移動するように被係止部221が回転し、第2の当接部221cの反対に設けられた第1の当接部221bは下方向に移動し、ずれ止め凸部113に当接しない非係止位置に配置される。これにより、椅子部12の移動が許容される。
【0069】
また、上記した実施の形態及び前記変形例では、ロック機構120,220が、付勢部材122,222の付勢力により被係止部121,221が係止位置に配置される一方、固定浴槽30の底面36に当接部121c,221cが当接されることで被係止部121,221が非係止位置に配置される構成となっているが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、揺動浴槽31を揺動運動させるシリンダ90のピストンの部分に変位センサを設置し、この変位センサからの信号に基づいて被係止部を移動させてロック/ロック解除を切り替えるロック機構であってもよい。さらに、レール52a,52aや揺動浴槽31自体にセンサを設置し、このセンサからの信号に基づいて被係止部を移動させてロック/ロック解除を切り替えるロック機構であってもよい。
【0070】
その他、本発明の主旨を逸脱しない範囲で、上記した実施の形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能であり、また、上記した変形例を適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0071】
【図1】図1は本発明に係る揺動開閉式入浴装置の一実施形態における入浴状態の概形を示す斜視図である。
【図2】図2は同揺動開閉式入浴装置の一実施形態における開放状態を示す斜視図である。
【図3】図3は開口側から見た揺動浴槽31を示す斜視図である。
【図4】図4は開口における水密手段40を示す断面図である。
【図5】図5は車椅子1を示す正断面図である。
【図6】図6は入浴者の搬入状態における揺動開閉式入浴装置を示す正断面図である。
【図7】図7は入浴者の収容状態における揺動開閉式入浴装置を示す正断面図である。
【図8】図8は入浴状態における揺動開閉式入浴装置を示す正断面図である。
【図9】図9は固定浴槽の開口側から見た揺動開閉式入浴装置を示す側面図である。
【図10】図10は揺動開閉式入浴装置を示す平面図である。
【図11】図11は椅子支持部52を表す平面図である。
【図12】図12は椅子支持部52を表す断面図である。
【図13】図13はロック機構120を表す側面図である。
【図14】図14はロック状態時におけるロック機構120を表す側面図である。
【図15】図15はロック解除状態時におけるロック機構120を表す側面図である。
【図16】図16は他の実施の形態におけるロック機構220を表す平面図である。
【図17】図17は他の実施の形態におけるロック状態時におけるロック機構220を表す断面図である。
【図18】図17は他の実施の形態におけるロック解除状態時におけるロック機構220を表す断面図である。
【符号の説明】
【0072】
1 車椅子
2 揺動開閉式入浴装置
10 台車(椅子下部)
12 椅子部
30 固定浴槽
31 揺動浴槽
52a レール
113 ずれ止め凸部(係止部)
120,220 ロック機構
121,221 被係止部
121b,221b 第1の当接部(被係止部の一部)
121c,221c 第2の当接部(当接部)
122,222 付勢部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
一側方に開口がある固定浴槽と、該固定浴槽の開口に対応する開口を有するとともに前記開口部分上端部付近に位置する揺動支点を中心に鉛直方向に揺動可能とされた揺動浴槽と、が備えられ、
前記揺動浴槽が、湯張り可能な浴槽を形成するように、その開口が前記固定浴槽の開口に連結されて前記固定浴槽に対して水密状態で連続される閉状態と、前記固定浴槽の下側に収納されて該固定浴槽の開口を開放させる開状態との間で揺動され、
前記固定浴槽の底面には、該固定浴槽の奥行き方向に延在され、車椅子の椅子部を支持するとともに該椅子部を前記奥行き方向に走行させるレールが設けられ、
該レールは、前記揺動浴槽が前記閉状態方向に揺動するに従い先端部が上げられて傾けられ、前記揺動浴槽が前記開状態方向に揺動するに従い先端部が下げられて傾きが小さくなる揺動開閉式入浴装置であって、
前記レールが傾けられているとき、該レールに沿った前記椅子部の移動を規制し、前記レールが椅子下部との合体可能位置にきたとき、該レールに沿った前記椅子部の移動を許容するロック機構が備えられていることを特徴とする揺動開閉式入浴装置。
【請求項2】
請求項1記載の揺動開閉式入浴装置において、
前記ロック機構が、前記椅子部側に設けられた係止部材と、前記レール側に設けられた被係止部材と、該被係止部材の一部が前記係止部材に当接する係止位置に配置されるように前記被係止部材を付勢する付勢部材と、を備える構成からなり、
前記被係止部材には、前記レールが椅子下部との合体可能位置にきたときに前記固定浴槽の底面に当接される当接部が設けられ、該当接部が前記固定浴槽の底面に当接されると、前記被係止部材が前記係止部材に当接しない非係止位置に移動することを特徴とする揺動開閉式入浴装置。
【請求項1】
一側方に開口がある固定浴槽と、該固定浴槽の開口に対応する開口を有するとともに前記開口部分上端部付近に位置する揺動支点を中心に鉛直方向に揺動可能とされた揺動浴槽と、が備えられ、
前記揺動浴槽が、湯張り可能な浴槽を形成するように、その開口が前記固定浴槽の開口に連結されて前記固定浴槽に対して水密状態で連続される閉状態と、前記固定浴槽の下側に収納されて該固定浴槽の開口を開放させる開状態との間で揺動され、
前記固定浴槽の底面には、該固定浴槽の奥行き方向に延在され、車椅子の椅子部を支持するとともに該椅子部を前記奥行き方向に走行させるレールが設けられ、
該レールは、前記揺動浴槽が前記閉状態方向に揺動するに従い先端部が上げられて傾けられ、前記揺動浴槽が前記開状態方向に揺動するに従い先端部が下げられて傾きが小さくなる揺動開閉式入浴装置であって、
前記レールが傾けられているとき、該レールに沿った前記椅子部の移動を規制し、前記レールが椅子下部との合体可能位置にきたとき、該レールに沿った前記椅子部の移動を許容するロック機構が備えられていることを特徴とする揺動開閉式入浴装置。
【請求項2】
請求項1記載の揺動開閉式入浴装置において、
前記ロック機構が、前記椅子部側に設けられた係止部材と、前記レール側に設けられた被係止部材と、該被係止部材の一部が前記係止部材に当接する係止位置に配置されるように前記被係止部材を付勢する付勢部材と、を備える構成からなり、
前記被係止部材には、前記レールが椅子下部との合体可能位置にきたときに前記固定浴槽の底面に当接される当接部が設けられ、該当接部が前記固定浴槽の底面に当接されると、前記被係止部材が前記係止部材に当接しない非係止位置に移動することを特徴とする揺動開閉式入浴装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【公開番号】特開2008−149000(P2008−149000A)
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−341308(P2006−341308)
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000182373)酒井医療株式会社 (46)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成20年7月3日(2008.7.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年12月19日(2006.12.19)
【出願人】(000182373)酒井医療株式会社 (46)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]