説明

搬送コンベアのゲート装置

【課題】コンベア本体からサイロへと分岐される分岐部の排出口における残留物残りを確実に防止して、該残留物の除去作業を不要とし、異種の搬送物の混合や搬送物の腐敗等を良好に防止できる搬送コンベアのゲート装置を提供する。
【解決手段】水平方向に走行するコンベアチェーン112を介して粉体、粒体等の搬送物を搬送するコンベアであって、該コンベア内の搬送物を下方に分岐排出するための分岐部124に設けた排出口118を開閉する装置であり、排出口118に嵌合して閉鎖するように開閉するゲート30と、ゲート30を開閉させる開閉機構であり、排出口118の閉鎖時にコンベア本体(110)の底板110a上面と面一となるようにゲート30を閉鎖移動させる開閉機構32と、を備えることを特徴とする搬送コンベアのゲート装置10から構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、粉体、粒体等の搬送物を搬送する搬送コンベアにおいて、該搬送物をサイロ等へ分岐排出する排出口を開閉する搬送コンベアのゲート装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、とうもろこし、マイロ、大豆、菜種、大麦、小麦等の粉体、粒体状の穀類をサイロ内に投入したり、あるいはサイロから必要な分量を取り出して需要者や取引業者等に供給したり、保管、管理等で穀類を他の保管場所等に移動させる場合には、建物内に横長の閉鎖空間を有するダクトを配設させ、このダクト内に穀類を投入し、ダクト内で排出口方向に向けて穀類全体を押送することによりそれらの移動搬送を行なわせる搬送コンベアが用いられている。例えば、一般的な粉粒体状の搬送物の搬送コンベアとしては、コンベアチェーンを介して、粉体、粒体等の搬送物を搬送するコンベアが知られている(例えば、特許文献1、2参照)。図8は、コンベアチェーンを有する搬送コンベアの概略構成を示している。図8に示すように、搬送コンベア100は、例えば50〜100メートル程度の長さの断面矩形搬送ダクト110内に両端側に設置された駆動側及び従動側のチェーンプーリ120に調帯されて搬送ダクトの長手方向略全長にわたって周回移動する無端コンベアチェーン112を配置させ、このコンベアチェーン112には進行方向に対して横方向に張り出すように長手方向について所要の間隙ごとに複数の羽根板114(図10参照)を固定させている。搬送ダクト110の上面に開口させた開口115からシュータ116を介して穀類を搬送ダクト内に導入させ、コンベアチェーン112を周回駆動させることによりその下動部側に位置する羽根板114により穀類全体を排出口側に向けて押送させるようにして穀類等を横方向に搬送させるものであった。さらに、図8に示すように、上記のような搬送コンベアにおいて、穀類の搬送設備コストや穀類の管理、保管等の利便性から、一つの搬送コンベアの下方側に複数のサイロ122を接続し、例えば、穀類の種類等に対応させたサイロ122へ分岐排出させるものが利用されている。搬送ダクトの中間位置の底板110aにはサイロの数Nに対応して該サイロ122へ接続された分岐搬送路117と連通する排出口118が設けられている。各排出口118が設けられたサイロ122への分岐部124には、該排出口を開閉するゲート装置200が設けられており、コンベアチェーンを介して押送される搬送物の種類に応じて所要のサイロに連通する排出口のゲート装置200を開いて該サイロ内へ排出するようになっている。
【0003】
図9、図10は、従来のゲート装置200の要部拡大断面図、及び図10のC−C線断面図を示している。従来のゲート装置200は、搬送ダクト110の底板の下面側に配置されて横移動することにより排出口118を開閉動するゲート体としての開閉板12と、開閉板12の横移動を支持するガイドレール14と、開閉板12を横移動させる横送り装置16と、を備えている。開閉板12は、搬送ダクト110の底板の下面側に接摺するように配置されつつ横方向に水平移動して排出口118を開閉するようになっており、開閉板が搬送ダクト110内のコンベアチェーンの周回駆動を邪魔しないように開閉するように設けられている。横送り装置16は、フレーム17に軸回転可能に軸支された軸ボルト18と、開閉板12の一端側に一体的に取り付けられつつ軸ボルト回りに螺合されて軸ボルト18の回転によって横移動する螺合部20と、軸ボルトを回転駆動されるモータ22と、を備えている。軸ボルト18は、モータ22とスプロケット24を介してチェーン連結されている。ゲート装置200は、モータ22を介して軸ボルト18を回転させることにより、螺合部20の軸ボルトの螺進退に伴って開閉板12を横移動させて排出口118を開閉するようになっているものであった。
【0004】
【特許文献1】特許第3546375号公報
【特許文献2】特許第3546377号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来のゲート装置では、開閉板12が搬送ダクト110内でコンベアチェーンの周回駆動を邪魔することなく搬送物の押送を行えるように、開閉板12は搬送ダクトの底板110aの下面側に接摺しながら横方向に開閉するように構成されているので、各分岐部124では、ゲート装置による排出口118の閉鎖状態では、搬送ダクトの底板110aの厚さ分へこんだ凹部空間Sが形成されていた。よって、搬送物は、コンベアチェーン112の周回駆動により搬送ダクトの底板110aの上面を押送されていく際に、排出口を閉鎖された分岐部の凹部空間S内に入り込み、残留物となっていた。したがって、例えば、とうもろこしから小麦といった他種の穀類に変更して搬送する際に凹部空間S内の残留物と混ざってしまったり、残留物が腐敗したりしてしまい、異種製品混入や衛生上等の問題が生じるので、搬送物の種類を変更するごとに又は搬送作業を終了後に各分岐部の凹部空間S内の残留物を除去する作業が必要となっていた。この除去作業は、前回の搬送作業で閉鎖していた全ての排出口の数だけ(サイロの数N−1回)行う必要があり、煩雑で労力がかかり、しかも清掃作業中長時間にわたって搬送コンベアを停止せざるを得ず、実用性に劣るものであった。
【0006】
本発明は上記従来の課題に鑑みてなされたものであり、その1つの目的は、コンベア本体からサイロへと分岐される分岐部の排出口における残留物を確実に防止して、該残留物の除去作業を不要とし、異種の搬送物の混合や搬送物の腐敗等を良好に防止できる搬送コンベアのゲート装置を提供することにある。また、他の目的は、構造が簡単で、安価に製造できる搬送コンベアのゲート装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、水平方向に走行するコンベアチェーン112を介して粉体、粒体等の搬送物を搬送するコンベアであって、該コンベア内の搬送物を下方に分岐排出するための分岐部124に設けた排出口118を開閉する装置であり、排出口118に嵌合して閉鎖するように開閉するゲート30と、ゲート30を開閉させる開閉機構であり、排出口118の閉鎖時にコンベア本体(110)の底板110a上面と面一となるようにゲート30を閉鎖移動させる開閉機構32と、を備えることを特徴とする搬送コンベアのゲート装置10から構成される。ゲートは、例えば、一端をフレームに枢支され、開閉機構はゲートを回転動作により開閉するように設けても良い。また、ゲートは、例えば、横あるいは斜め方向に直線上に移動させたり、曲線状に移動させて開閉動作を行わせることとしてもよい。
【0008】
また、ゲート30は、横方向から送られることにより排出口118を開閉することとしてもよい。
【0009】
また、開閉機構32は、ゲートを横送り移動させる横送り装置16と、ゲートの横送り動作に連続し、かつ、コンベア本体(110)の底板110a上面と面一として排出口118を閉鎖させるようにゲート30を案内移動させる案内手段34と、を有することとしてもよい。横送り装置は、例えば、シリンダによるロッドの伸縮や、パンタグラフ状に伸縮する構成を利用した構造、ゲートを周回移動するチェーンの鎖子の一部と連係した構造等、その他任意の構成でもよい。また、横送り装置は、既設のゲート装置に利用されている横送り装置の構成を利用してもよい。
【0010】
また、開閉機構32は、排出口118に連通して下方に向けた分岐搬送路117から退避した位置にゲート30を格納させて排出口118を開放させる状態と、分岐搬送路117にゲート30を突出させて排出口118を閉鎖させる状態と、にゲート30を移動させることにより排出口118を開閉させることとしてもよい。
【0011】
また、案内手段34は、上下を板面とし車輪42を取り付けたゲート30を横方向に進退移動自在に案内支持するレール361、362と、横送りされて排出口118の下部近傍に位置するゲート30をコンベア本体の底板110a上面と面一となるようにゲート30を閉鎖移動させる変換移動機構38と、を備えることとしてもよい。レールの設置個数は任意でよく、例えば、中央位置に一個のレールを配置させてもよいし、左右両側にレールを対向して配置させてもよいし、3個以上のレールを配置させる構成としてもよい。変換移動機構は、例えば、レールに対してゲートが上下方向へ移動させる構成としてもよいし、レール自体を上下方向に移動させる構成等、その他任意の構成でも良い。
【0012】
また、変換移動機構38は、レール361、362上端の横長方向の一部を水平状態から連続せりあがり状に形成させたせり上がり変向部40を含むこととしてもよい。
【0013】
また、案内手段34は、ゲート30に一端を固定され横送り装置16と連係する第1変換要素48と、横送り装置16に直接に接続されて横送り駆動されつつ第1変換要素48に沿って上下移動する第2変換要素50と、を含むこととしてもよい。
【0014】
また、レールは、分岐搬送路117から退避した位置に設置した横送り装置16に沿って同分岐搬送路117から退避した位置に設置される主レール361と、排出口118に連通する分岐搬送路側117に設置される従レール362と、を備え、ゲート30にはそれぞれのレール361、362上をまたがった状態でそれぞれのレールに転動自在な複数の車輪42が設けられていることとしてもよい。
【0015】
また、レール361、362上端と、ゲート30の車輪42外周とはそれぞれV字状に咬合するようにそれぞれが構成されていることとしてもよい。
【発明の効果】
【0016】
本発明の搬送コンベアのゲート装置によれば、水平方向に走行するコンベアチェーンを介して粉体、粒体等の搬送物を搬送するコンベアであって、該コンベア内の搬送物を下方に分岐排出するための分岐部に設けた排出口を開閉する装置であり、排出口に嵌合して閉鎖するように開閉するゲートと、ゲートを開閉させる開閉機構であり、排出口の閉鎖時にコンベア本体の底板上面と面一となるようにゲートを閉鎖移動させる開閉機構と、を備える構成であるから、排出口を閉鎖するゲートが排出口にほとんど隙間なく嵌合しつつコンベア本体の底板上面と面一となることで、分岐部においても底板と同様にコンベアチェーンによって確実かつスムーズに搬送物が搬送されて、残留物が生じるのを防止できる。従って、搬送物に異種製品が混入したり、搬送残留物が腐敗したりすることがなく、搬送物を無駄なく良好にサイロ等へ搬送できる。さらに、分岐部の排出口における残留物の除去作業や頻繁なメンテナンス等を不要として労力を軽減できるので、実用的かつ経済的である。
【0017】
また、ゲートは、横方向から送られることにより排出口を開閉する構成とすることにより、開閉機構の構成を簡単に構成できるとともに、ゲート装置の占有スペースが少なくてすみ、コンベア本体の長手方向に沿った下部空間を効率的に利用して構築できる。同時に、ゲートが排出口下方側に形成されるサイロへの分岐搬送路を形成するシュータ等と互いに干渉しないように構成でき、シュータ等との接続構成も簡単に設計できる。
【0018】
また、開閉機構は、ゲートを横送り移動させる横送り装置と、ゲートの横送り動作に連続し、かつ、コンベア本体の底板上面と面一として排出口を閉鎖させるようにゲートを案内移動させる案内手段と、を有する構成とすることにより、ゲートを移動させる駆動装置としては横送り装置だけとし、案内手段によりゲートを横送り移動とコンベア本体の底板上面と面一となるように排出口を閉鎖させるような案内移動とを実現させて、確実にゲートの開閉動作を行える開閉機構を簡単な構造で構成できる。
【0019】
また、開閉機構は、排出口に連通して下方に向けた分岐搬送路から退避した位置にゲートを格納させて排出口を開放させる状態と、分岐搬送路にゲートを突出させて排出口を閉鎖させる状態と、にゲートを移動させることにより排出口を開閉させる構成とすることにより、コンベア本体のコンベア本体の長手方向に沿った下部空間を効率的に利用してコンパクトな構成の開閉機構を具体的に構成できる。さらに、横送り装置を簡単な構成で設計でき、装置全体を簡単な構成で構築できる。また、排出口を開放させた状態では、例えば、ゲートが分岐搬送路から完全に退避した位置に格納させると、排出口から落とされる搬送物がゲート装置の構成部材に残留することがなく、排出口を開放させた後の清掃、点検等を含むメンテナンス等を必要とせず実用的である。
【0020】
また、案内手段は、上下を板面とし車輪を取り付けたゲートを横方向に進退移動自在に案内支持するレールと、横送りされて排出口の下部近傍に位置するゲートをコンベア本体の底板上面と面一となるようにゲートを閉鎖移動させる変換移動機構と、を備える構成とすることにより、ゲートの横送り動作に連続し、かつ、コンベア本体の底板上面と面一として排出口を閉鎖させるようにゲートを案内移動させる案内手段を具体的に実現できる。また、例えば、横送り装置等を備えた既設のゲート装置などに案内手段であるレール及び変換移動機構等を後付けさせつつ、排出口に嵌合して閉鎖するゲートに改造することで、既設のゲート装置の構成等を利用して、排出口の閉鎖時にコンベア本体の底板上面と面一となるようにゲートを閉鎖移動させる開閉機構等を備えたゲート装置を安価に構成することもできる。
【0021】
また、変換移動機構は、レール上端の横長方向の一部を水平状態から連続せりあがり状に形成させたせり上がり変向部を含む構成とすることにより、レールに変換移動機構を一体的に構成させて案内手段を少ない部品点数で簡単に構成することができるとともに、ゲートに取り付けられた車輪のレール上の横方向移動と排出口を閉鎖させるための変換移動との変更を確実かつ円滑に行わせることできる。
【0022】
また、案内手段は、ゲートに一端を固定され横送り装置と連係する第1変換要素と、横送り装置に直接に接続されて横送り駆動されつつ第1変換要素に沿って上下移動する第2変換要素と、を含む構成とすることにより、ゲートと横送り装置との連係を保持しつつ、ゲートが水平方向への移動からコンベア本体の底板上面と面一になるように閉鎖移動させる変換移動をする際の上下方向の変位を伴う移動を円滑に案内して、ゲートの横送り移動と、ゲートを閉鎖移動させる変換移動と、をスムーズに案内及び変換できる構成を簡単かつ安価な構成で実現できる。
【0023】
また、レールは、分岐搬送路から退避した位置に設置した横送り装置に沿って同分岐搬送路から退避した位置に設置される主レールと、排出口に連通する分岐搬送路側に設置される従レールと、を備え、ゲートにはそれぞれのレール上をまたがった状態でそれぞれのレールに転動自在な複数の車輪が設けられている構成とすることにより、簡単な構造で、例えば、分岐搬送路からゲートを退避させて排出口を開放した状態と、分岐搬送路にゲートを突出させて排出口を閉鎖する状態と、のいずれの状態でも安定して開閉移動を行えるとともに、ゲートの傾きや、閉鎖状態での排出口との位置ずれが生じず確実なゲートの開閉が行える。
【0024】
また、レール上端と、ゲートの車輪外周とはそれぞれV字状に咬合するようにそれぞれが構成されている構成とすることにより、車輪とレールとが確実に係合して脱輪やブレ等を生じることがなく安定して移動できるとともに、車輪とレールとの摩擦抵抗が少なく、横送り装置からの駆動力を少ない損失で伝達して、スムーズなゲートの移動が行える。また、排出口側に設置されるレール上に搬送物が堆積残留するのを良好に防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下、添付図面を参照しつつ本発明の搬送コンベアのゲート装置の実施の形態について説明する。なお、[背景技術]で説明した搬送コンベアと同一部材には同一符号を付して説明する。本発明の搬送コンベアのゲート装置は、例えば、図8に示すような、搬送ダクト110内を水平方向に走行するコンベアチェーン112を介して粉体、粒体等の搬送物を搬送するコンベアであって、該コンベア内の搬送物を下方に分岐排出するための分岐部124に設けた排出口118を開閉する装置であり、分岐部124で搬送物を残留させることなく排出口を閉鎖できる。
【0026】
図1ないし図6は、本発明の搬送コンベアのゲート装置(以下、「ゲート装置」という)の実施の形態を示している。図1ないし図3に示すように、本実施形態において、ゲート装置10は、排出口118に嵌合して該排出口を閉鎖するように開閉するゲート30と、ゲート30を開閉させる開閉機構32と、を備えている。本実施形態において、ゲート装置10は、搬送ダクトの外側で底板の下面側に付設されたフレーム17に支持されている。フレーム17は、例えば、金属フレーム体からなり、排出口118の四方を取り囲むように矩形枠体状に配置されつつ搬送ダクトの長手方向に沿って横方向にある程度長く組み付けられている。排出口118の周囲を取り囲むフレーム17a、17b、17cの下方側にはサイロへと連通されるシュータ28が接続されており、排出口118からサイロ内へと連通して下方に向けた分岐搬送路117が形成されている。なお、本実施形態では、図1、図2において、コンベアチェーン112は底板110a上面側を右から左へ移動して搬送物を搬送するようになっており、図上、左側を前方側、右側を後方側とする。
【0027】
図1、図2、図3に示すように、本実施形態において、開閉機構32は、ゲート30を搬送ダクト110の長手方向に沿って横方向から送ることにより排出口118を開閉するようになっており、開閉機構32は、分岐搬送路117から退避した位置Pにゲート30を格納させて排出口118を開放させる状態(図2参照)と、分岐搬送路117にゲート30を突出させて排出口118を閉鎖させる状態(図1参照)と、にゲート30を移動させることにより排出口118を開閉させるように設けられている。開閉機構32は、ゲート30を横送り駆動させる横送り装置16と、ゲート30の横送り動作に連続し、かつ、ゲート30を排出口118の閉鎖時に搬送ダクトの底板上面と面一になるようにゲート30を案内移動させる案内手段34と、を備えている。本実施形態では、横送り装置16は、分岐搬送路117から横方向に退避した位置Pに設けられており、分岐搬送路に落とされる搬送物が構成部材に干渉しないようになっている。即ち、横送り装置16は、搬送ダクトの底板110aの直下であって分岐搬送路117に面する壁の内側真横位置に設置されている。本実施形態では、横送り装置16は、軸回転可能に長手方向を横方向に向けてフレーム17に支持された軸ボルト18と、軸ボルト回転駆動用のモータ22と、を含む。横送り装置16の軸ボルト18は、連係部26を介してゲート30と連係されており、モータ22の回転駆動により軸ボルト18を回転させることにより連係部26を介してゲート30を横方向に送り移動させて排出口118を開閉する。軸ボルト18は、その両端を前後に対向して架設されたフレーム17c、17dに軸回転自在に支持されている。軸ボルト18の後端側は、フレーム17dから貫通状に突出させており、モータ22とチェーン連結されたスプロケット24が取り付けられている。モータ22を介して正逆回転により軸ボルト18が正逆方向に回転する。
【0028】
図1、図2に示すように、案内手段34は、本実施形態では、ゲート30が搬送ダクトの底板110aと干渉しない段下がり位置で分岐搬送路117へ突出または分岐搬送路から退避した位置に進退自在に移動できるように横送り動作を案内支持するとともに、ゲート30が分岐搬送路へ突出した位置で前記段下がり位置から該ゲート30を搬送ダクトの底板上面と面一として排出口を閉鎖させるように上方向へ変換案内移動させる。本実施形態では、案内手段34は、ゲート30を横方向に進退移動自在に案内するレール361、362と、横送りされて排出口の直下下部近傍Qに位置するゲート30を搬送ダクトの底板上面と面一になるようにゲート30を上方向へ案内して閉鎖移動させる変換移動機構38と、を備えている。レール361、362は、横方向に長く水平に設けられており、後述のゲート30に取り付けられる車輪42を横方向に進退移動自在に案内支持する。本実施形態では、レールは、分岐搬送路117から退避した位置P、すなわち、横送り装置16の配置位置に対応して設置された主レール361と、排出口118に連通する分岐搬送路117側、すなわち、排出口の下部近傍位置Qに設置される従レール362と、を備えている。なお、レールは、分岐搬送路117から退避した位置Pにゲート30が移動した際にゲートの前端が排出口の縁部118aより後方になるように格納させる長さで設けられており、排出口118から分岐搬送路へ投入される搬送物が残留しないようになっている。図4、図5にも示すように、主レール361、従レール362は、細長い帯状の板を立てた状態でそれぞれ左右両側に対向して配置されており、搬送ダクトの長手方向に沿って設けられたフレーム17aからわずかに内側に離隔した位置に固定されている。本実施形態では、図7に示すように、レール361(362)の上側には断面逆V字状に先鋭させたV字凸部39が設けられており、ゲート30に設けられた車輪42と係合している。特に排出口側の従レール362では、V字凸部39により排出口からの搬送物がレール上に残留するのを防止する。
【0029】
図1、図2に戻って、本実施形態では、変換移動機構38は、レール361、362上を横方向に移動するゲート30の移動方向を変換させて搬送ダクトの底板110aを上下方向に連通した排出口118に嵌合するように閉鎖移動させる。本実施形態では、変換移動機構38は、レール361、362と一体的に設けられており、各レール上端の前方側を水平状態から左斜め上方に連続せり上がり状の傾斜で形成させたせり上がり変向部40を含む。すなわち、ゲート30は、レール361、362の水平部分から連続してせり上がり変向部40で斜辺に沿って斜め上方に移動することにより排出口118に嵌合して閉鎖するようになっている。
【0030】
ゲート30は、排出口118を閉鎖する状態で該排出口118に嵌合してその上面側は搬送ダクトの底板110a上面と面一となり、底板と同様にコンベアチェーンによる搬送物の搬送面を形成する。これにより、ゲート30が排出口118を閉鎖した状態で、コンベアチェーンの周回駆動がゲートと干渉することがないとともに、分岐部124においても排出口に搬送物が残留することなく搬送物を確実に搬送される。本実施形態では、ゲート30は、図1、図3、図4に示すように、全体的に水平方向に広がった板面を上下に有する矩形板状に設けられており、搬送ダクトの底板110a下方側で横方向に移動して排出口118を閉鎖する開閉基板部44と、開閉基板部44の上面側に一体的に設けられ開閉基板部44が排出口を閉鎖した状態で該排出口118に嵌合される嵌合段部46と、を含む。本実施形態では、ゲートの開閉基板部44の下面側には、各レール361、362上を転動しながら移動する車輪42が取り付けられており、該車輪42を各レール361、362に載置状に係合させてゲート30が各レールをまたがった状態でレールに沿って横方向に自在に進退移動できるようになっている。さらに、図7に示すように、車輪42の外周は断面V字状の凹溝43が形成されており、上記したレール36の逆V字状凸部37に咬合するように設けられている。これにより、車輪42とレール361、362との摩擦が少ないとともに、レールに沿って移動させる際に車輪42の脱輪やブレが生じにくく、横送り装置からの横方向駆動力が良好に伝達され、ゲートはスムーズかつ安定して走行できる。ゲート30は、上記したように、排出口118の下部近傍位置Qでは、レール361、362のせり上がり変向部40の傾斜に沿って移動することとなり、移動方向が水平方向から斜め方向に変換されて排出口118の閉鎖状態とする。
【0031】
図1、図2に示すように、ゲート30の開閉基板部44は、搬送ダクトの底板110aに矩形状に開口された排出口118よりも大きな面積の矩形板からなり、該底板110aの下面側に配置されている。開閉基板部44は、分岐搬送路117を横切るように横方向に長く設けられ、分岐搬送路に突出させたゲートの閉鎖状態で後端側一部を分岐搬送路117から退避された横送り装置16が配置された位置まで延長されている。嵌合段部46は、開閉基板部44の上面側で排出口118と同じ面積で、かつ搬送ダクトの底板110aの厚さと略同じ厚さで突設されており、上面側は水平な面を有している。ゲート30は、排出口118の閉鎖状態では、案内手段34のせり上がり変向部40の傾斜によって斜め上方にせり上がり、開閉基板部44の上面が排出口の周縁を構成している搬送ダクトの底板110a下面と密着状に近接して排出口118を閉鎖するとともに、嵌合段部46が排出口118にほとんど隙間なく嵌合して、上面が搬送ダクトの底板上面と面一となる。さらに、本実施形態では、嵌合段部46の後端縁部46aと排出口118の縁部118aとはレール361、362のせり上がり変向部の傾斜に対応して斜めに当接係合するようになっている。これにより、ゲート30は、レールのせり上がり変向部40に沿った斜め方向移動する際にもゲートの嵌合段部と排出口縁部とが互いに干渉することなくスムーズに移動できると同時に、排出口の閉鎖状態では隙間なく嵌合して閉鎖される。
【0032】
本実施形態では、ゲート30は、図5、図6に示すように、連係部26を介して横送り装置16に連係されている。連係部26は、横送り装置16による横送り動作をゲート30に伝達して横送りさせるとともに、その横送り装置との連係を保持しつつ変換移動機構38(せり上がり変向部40)によってゲート30が傾斜に沿って斜め方向へ移動する際のゲート30の上下方向の移動を案内する案内手段34である。連係部26は、本実施形態では、ゲート30に一端を固定された第1変換要素48と、横送り装置16に直接に接続されて横方向駆動されつつ第1変換要素48に沿って上下移動する第2変換要素50と、を備えている。第1変換要素48は、本実施形態では、下方を開口させた中空の案内筒体49からなり、開閉基板部44の後端側に下方の軸ボルト18に向けて縦長に設けられている。案内筒体49は、前後方向に対向する壁の一部を軸ボルトが貫通するように切り欠いた切欠部51が形成されている。第2変換要素50は、軸ボルト18に貫通された状態で螺合しながら第2変換要素50は、本実施形態では、内側に軸ボルト18の雄ねじ部に螺合する雌ねじ部が形成された矩形箱状の螺進退部材52からなり、横断面が案内筒体49の横断面と略同じ形状に形成されて、案内筒体49内に遊嵌状に配置される。螺進退部材52は、案内筒体49に対しては案内筒体の周壁に規制されながら、上下方向にのみ移動自在に設けられている。横送り装置16の軸ボルト18が軸回転すると、螺進退部材52が軸ボルトに対して前または後方へ横方向に移動し、該螺進退部材52が案内筒体49を横方向に移動させて、案内筒体49に一体化されたゲート30を移動させる。ゲート30の車輪42がレールのせり上がり変向部の傾斜に沿ってせり上がる際、または傾斜に沿って下降する際には、ゲート30と一体となった案内筒体49が螺進退部材52に対して上下移動して横送り装置による斜め方向への動作を実現している。このような案内手段によって、ゲートの駆動装置としては一つの横送り装置16だけで、ゲートを突出・格納させる水平方向移動及びゲートを排出口に嵌合して閉鎖させる変換移動を可能とし、簡単かつ安価に開閉構成を実現できる。
【0033】
次に、本実施形態にかかる搬送コンベアのゲート装置の作用について説明する。本実施形態に係るゲート装置10は、例えば、図8に示すような、コンベアチェーンを介して粉体、粒体等の搬送物を搬送するコンベアであって、搬送物を下方に分岐排出するための分岐部124に設けられる排出口118に設置される。図2に示すように、排出口を開放した状態では、ゲートは車輪を介して主、従レール上に支持されながら分岐搬送路から退避した位置に格納されている。コンベアチェーンによって水平に搬送される搬送物は排出口に連通した分岐搬送路を介して下方に向けて搬送される。ゲートを閉鎖させる際には、横送り装置のモータを回転させて軸ボルトを回転させて第2変換要素を前方に移動させ、第2変換要素に係合する第1変換要素を介してゲートが横方向に送り動作される。ゲートはレールに案内支持されつつその水平部を横方向に移動し、分岐搬送路側へ突出して排出口の直下下方近傍まで移動する。さらにゲートは横送り動作によってレールに形成されたせり上がり変向部によって、斜め上方に向けて変換方向するように案内移動されて、ゲートの嵌合段部が排出口に嵌合して閉鎖する。この際、ゲートに一端を固定された第1変換要素が横送り装置と直接に接続された第2変換要素に対して上下移動することにより、横送り装置の横送り動作を保持しつつゲートの上方向への変換移動を案内する。ゲートが排出口を完全に閉鎖した状態でモータを停止させて、ゲートはレールのせり上がり変向部に乗り上げた状態で保持される。ゲートの上面と搬送ダクトの底板上面とは面一になり、ゲートの上面は底板同様に搬送面を形成し、コンベアチェーンと接摺しつつ搬送物が残留することなく搬送されていく。したがって、搬送物を変更する際等に分岐部において残留物の除去作業を必要とせず労力が軽減され、同時に、異種の製品が混合したり、残留物が腐敗したりするのを良好に防止できる。一方、排出口を閉鎖した状態から再び開放させる際には、前記とは逆にモータを回転させて軸ボルトを逆回転させて第2変換要素を逆に移動させる。第2変換要素の逆方向移動に伴って第1変換要素を介してゲートは分岐搬送路から退避させる方向に横送り駆動されつつゲート自体の自重によりせり上がり変向部の傾斜を下降して、ゲートと搬送ダクトの底板とが干渉しないレールの水平部分へ移動する。そして、ゲートはレールの水平部に沿って分岐搬送路から退避された位置に格納されたらモータを停止し、排出口は完全に開放される。このように、ゲートを移動させる駆動装置としては簡単な横送り装置だけとし、案内手段によりゲートの横送り移動と、上下方向に連通する排出口にゲートを嵌合させて搬送ダクトの底板上面と同一となるように閉鎖移動させるような変換移動と、を実現させて、確実にゲートの開閉動作を行える開閉機構を簡単な構造で構成できる。
【0034】
なお、上記した本実施形態の搬送コンベアのゲート装置10は、例えば、図9、図10に示すような既設された従来の搬送コンベア及びゲート装置の構成部材を利用、改造等して構築することとしてもよい。従来のゲート装置200のフレーム17、横送り装置16の軸ボルト、スプロケット24、モータ22の構成、ゲート30の開閉基板部として開閉板12を利用し、開閉板12に嵌合段部や連係部26、及びレール361、362をフレーム17に後付け等して本実施形態のゲート装置10を構成することができ、大幅な改造をすることなく、比較的構造が簡単で、安価に構築することができる。
【0035】
以上説明した本発明の搬送コンベアのゲート装置は、上記した実施形態のみの構成に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した本発明の本質を逸脱しない範囲において、任意の改変を行ってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0036】
本発明の搬送コンベアのゲート装置は、搬送ダクト内を水平方向に走行するコンベアチェーンを介して粉体、粒体等の搬送物を搬送するコンベアであって、該コンベア内の搬送物を下方に分岐排出するための分岐部に設けた排出口を開閉する装置として利用される。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の実施形態の搬送コンベアのゲート装置の要部断面説明図である。
【図2】図1のゲート装置のゲートを開放した状態の説明図である。
【図3】図1のゲート装置の底面説明図である。
【図4】図3のA−A線断面説明図である。
【図5】図3のB−B線断面説明図である。
【図6】案内手段の第1、第2変換要素を拡大して示した斜視説明図である。
【図7】車輪とレールとの咬合状態を示す拡大説明図である。
【図8】搬送コンベアの概略説明図である。
【図9】従来のゲート装置の要部断面説明図である。
【図10】図9のC−C線断面説明図である。
【符号の説明】
【0038】
10 ゲート装置
16 横送り装置
30 ゲート装置
32 開閉機構
34 案内手段
361 主レール
362 従レール
38 変換移動機構
40 せり上がり変向部
42 車輪
48 第1変換要素
50 第2変換要素


【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に走行するコンベアチェーンを介して粉体、粒体等の搬送物を搬送するコンベアであって、該コンベア内の搬送物を下方に分岐排出するための分岐部に設けた排出口を開閉する装置であり、
排出口に嵌合して閉鎖するように開閉するゲートと、
ゲートを開閉させる開閉機構であり、排出口の閉鎖時にコンベア本体の底板上面と面一となるようにゲートを閉鎖移動させる開閉機構と、を備えることを特徴とする搬送コンベアのゲート装置。
【請求項2】
ゲートは、横方向から送られることにより排出口を開閉することを特徴とする請求項1記載の搬送コンベアのゲート装置。
【請求項3】
開閉機構は、ゲートを横送り移動させる横送り装置と、
ゲートの横送り動作に連続し、かつ、コンベア本体の底板上面と面一として排出口を閉鎖させるようにゲートを案内移動させる案内手段と、を有することを特徴とする請求項1または2記載の搬送コンベアのゲート装置。
【請求項4】
開閉機構は、排出口に連通して下方に向けた分岐搬送路から退避した位置にゲートを格納させて排出口を開放させる状態と、分岐搬送路にゲートを突出させて排出口を閉鎖させる状態と、にゲートを移動させることにより排出口を開閉させることを特徴とする請求項3記載の搬送コンベアのゲート装置。
【請求項5】
案内手段は、上下を板面とし車輪を取り付けたゲートを横方向に進退移動自在に案内支持するレールと、
横送りされて排出口の下部近傍に位置するゲートをコンベア本体の底板上面と面一となるようにゲートを閉鎖移動させる変換移動機構と、を備えることを特徴とする請求項3または4記載の搬送コンベアのゲート装置。
【請求項6】
変換移動機構は、レール上端の横長方向の一部を水平状態から連続せりあがり状に形成させたせり上がり変向部を含む請求項5記載の搬送コンベアのゲート装置。
【請求項7】
案内手段は、ゲートに一端を固定され横送り装置と連係する第1変換要素と、
横送り装置に直接に接続されて横送り駆動されつつ第1変換要素に沿って上下移動する第2変換要素と、を含むことを特徴とする請求項5または6記載の搬送コンベアのゲート装置。
【請求項8】
レールは、分岐搬送路から退避した位置に設置した横送り装置に沿って同分岐搬送路から退避した位置に設置される主レールと、
排出口に連通する分岐搬送路側に設置される従レールと、を備え、
ゲートにはそれぞれのレール上をまたがった状態でそれぞれのレールに転動自在な複数の車輪が設けられていることを特徴とする請求項5ないし7のいずれかに記載の搬送コンベアのゲート装置。
【請求項9】
レール上端と、ゲートの車輪外周とはそれぞれV字状に咬合するようにそれぞれが構成されていることを特徴とする請求項5ないし8のいずれかに記載の搬送コンベアのゲート装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2006−111427(P2006−111427A)
【公開日】平成18年4月27日(2006.4.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−302447(P2004−302447)
【出願日】平成16年10月18日(2004.10.18)
【出願人】(595033838)パシフィックグレーンセンター株式会社 (2)
【Fターム(参考)】