説明

搬送物の間隔調整装置

【課題】 搬送ラインを混在して流れる幅が異なる複数の物品を分岐コンベヤラインにソータで直交方向へ移載して仕分ける仕分け設備において、移載前に物品の幅が小さいほど物品間の間隔を小さく調整する。
【解決手段】 搬送ラインの途中位置に前コンベヤ13aと後コンベヤ13bを設け、前コンベヤ13aに物品Bを検知する第1検知器13cを取り付け、左側が下流寄りとなる斜めの光軸で物品Bの右先端部を検知する第2検知器13dを後コンベヤ13bに取り付ける。複数の物品Bを右側へ寄せて前後を近接させて搬送し、第1検知器13cが前方の物品Bを検知した後に第2検知器13dが後方の物品Bの先端部を検知すると後コンベヤ13bを停止させ、その後第1検知器13cが物品Bを検知しなくなると後コンベヤ13bを作動させる。よって、物品Bの幅が小さいほど第2検知器13dの検知のタイミングが遅くなって物品B間の間隔Cwを小さく調整できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送ラインを混在して流れる幅が異なる複数の物品を分岐コンベヤラインにソータで直交方向へ移載して仕分ける仕分け設備において、前後の物品間の間隔を移載前に物品の幅に応じた異なる間隔に調整する搬送物の間隔調整装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を仕分けるソータとしては、押し出し片を複数突設した無端チェーンを搬送ラインと直交する方向へ高速に回動させる構造が公知である(例えば特許文献1,2参照)。搬送中の物品は予め分岐側とは反対側に寄せておき、移動中の押し出し片が後続の物品と接触しないように前後の物品間に間隔を形成している。その物品間の間隔は、搬送ラインを流れる全物品のうち最大幅の物品に基づいて一定に設定している。
【0003】
ところで、このようなソータは、後続の物品の幅が小さいほど押し出し片の移動が終わらないうちに後続の物品を分岐位置へ早く搬送でき、次の押し出し片をより早いタイミングで動作させることが可能である。しかし、従来技術では押し出し片を常に最大幅の物品に合せた一定のタイミングで動作していたから、後続の物品が狭幅であるほど押し出し片が次の動作まで待たされる状態となり、ソータの能力を充分に活用できていなかった。
【特許文献1】特許第3864074号公報
【特許文献1】特許第3864075号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明が解決しようとする課題は、従来のこれらの問題点を解消し、物品の幅が小さいほど物品間の間隔を小さく調整し、ソータの動作の待ち時間を短縮できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
かかる課題を解決した本発明の構成は、
1) 搬送ラインを混在して流れる幅が異なる複数の物品を分岐コンベヤラインにソータで直交方向へ移載して仕分ける仕分け設備において、その前後の物品間の間隔を移載前に物品の幅に応じた異なる間隔に調整する搬送物の間隔調整装置であって、搬送ラインの上流位置に物品を片側へ寄せて前後を近接させる整列手段を設け、同整列手段の下流の搬送ラインの途中位置に独立して駆動する前コンベヤと後コンベヤを直列に設け、前コンベヤに物品を検知する第1検知器を設け、斜めの光軸の光センサで物品の前記寄せる側とは反対側の先端部を検知する第2検知器を後コンベヤに設け、第1検知器が物品を検知した後に第2検知器が物品の先端部を検知すると後コンベヤを停止させ、その後第1検知器が物品を検知しなくなると後コンベヤを作動させるように制御する制御手段を設けたことを特徴とする、搬送物の間隔調整装置
2) 前記1)記載の搬送物の間隔調整装置と、同間隔調整装置で間隔が調整された複数の物品を分岐コンベヤラインへ搬送するソータラインと、同ソータライン上の物品を分岐コンベヤラインに直交方向へ移載して仕分けるソータとで構成した、仕分け設備
3) ソータが、スプロケット間に掛架した無端ベルト又は無端チェーンに物品を押し出す複数の押し出し片を等間隔に突設し、押し出し片が分岐コンベヤラインの方向へ移動した後に反転して循環するようにした構造である、前記2)記載の仕分け設備
にある。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、幅が異なる複数の物品が整列手段で片側へ寄せて前後を近接した状態で搬送され、第1検知器が前方の物品を検知した後に第2検知器が後方の物品の先端部を検知すると後コンベヤが停止し、第1検知器が前方の物品を検知しなくなると(通過すると)後コンベヤが作動し、物品間の間隔が所定の間隔に調整された状態で送り出される。
【0007】
第2検知器は、斜めの光軸の光センサで物品の前記寄せる側とは反対側の先端部を検知するから、第2検知器が検知するタイミングが物品の幅に応じて異なる。広幅の物品の場合は、第2検知器による検知が速くなって平均より上流の位置で停止して前方の物品との間隔が大きくなり、狭幅の物品の場合は、第2検知器による検知が遅くなって平均より下流の位置で停止して前方の物品との間隔が小さくなる。
【0008】
したがって、狭幅の物品が搬送された場合、その物品間の間隔は従来の最大幅の場合より小さい間隔に調整されるから、ソータは最大幅の物品の場合より速いタイミングで作動させることができ、次の動作までの待ち時間を短縮してソータの能力を充分に活用できるようになる。また、搬送ラインを流れる物品間の間隔が小さくなることで、単位時間当たりの搬送数量が増加して搬送効率も向上できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明における物品の整列は、ローラコンベヤのローラの向きと前後のコンベヤの搬送速度差によって成されるのが一般的であるが、作業者の手で直接整列させて送り出してもよい。その整列時の物品間の近接間隔は、第1検知器と第2検知器との間の最小間隔より小さい間隔にする。以下、本発明の実施例を図面に基づいて具体的に説明する。
【実施例1】
【0010】
図1〜7に示す実施例は、生鮮食料品を収容した段ボール箱を店舗別に仕分ける仕分け設備に本発明の搬送物の間隔調整装置を設けた例である。図1は実施例の仕分け設備のレイアウト図、図2は実施例の間隔調整装置の説明図、図3は実施例のソータの側面図、図4は実施例の間隔調整装置の作動を示す説明図、図5は実施例の間隔調整装置の作動のフロー、図6は実施例の間隔調整の比較を示す説明図、図7は実施例の仕分け装置の説明図である。
【0011】
図中、10は投入コンベヤライン、11はスキューコンベヤライン(整列手段)、12はアキュームコンベヤライン(整列手段)、13は搬送物間隔コントロールライン(間隔調整装置)、13aは前コンベヤ、13bは後コンベヤ、13cは第1検知器、13dは第2検知器、13eはコントローラ、14はソータライン、15はソータ、15aは押し出し片、15bはタイミングベルト、15cは駆動スプロケット、15dは従動スプロケット、16は分岐コンベヤライン、Bは物品である。
【0012】
本実施例の仕分け設備は、図1に示すように入荷された物品Bを作業者が投入して送り出す投入コンベヤライン10と、物品Bを左側へ寄せるスキューコンベヤライン11と、寄せられた前後の物品B同士を近接させるアキュームコンベヤライン12と、前後が近接した物品B間を所定間隔に調整する搬送物間隔コントロールライン13と、間隔が調整された物品Bを分岐コンベヤライン16へ搬送するソータライン14と、ソータライン14上の物品Bを右側の分岐コンベヤライン16へ仕分けるソータ15とで構成されている。
【0013】
搬送物間隔コントロールライン13は、図2に示すように独立して駆動する前コンベヤ13aと後コンベヤ13bを直列に配置し、前コンベヤ13aに物品Bを光センサで検知する第1検知器13cを取り付け、左側が下流寄りとなる斜めの光軸の光センサで物品Bの右側の先端部を検知する第2検知器13dを後コンベヤ13bに取り付けている。コントローラ13eは、第1検知器13cが物品Bを検知した後に第2検知器13dが物品Bの先端部を検知すると後コンベヤ13bを停止させ、その後第1検知器13cが物品Bを検知しなくなると後コンベヤ13bを作動させる制御を備えている。
【0014】
ソータ15は、図3に示すように左右一対の駆動スプロケット15cと従動スプロケット15dとの間に2条の無端のタイミングベルト15bを掛架し、2条のタイミングベルト15b間に押し出し片15aを等間隔おいて4体突設し、これをソータライン14の搬送方向と直交する方向に配置し、押し出し片15aが分岐コンベヤライン16の方向へ移動した後に反転して循環する構造としている。押し出し片15aの長さは、全物品Bのうち最も長さの短い物品Bよりやや短く形成し、押し出し片15a間の間隔は、全物品Bのうち最も幅の大きい物品Bより大きく形成している。
【0015】
アキュームコンベヤライン12の搬送速度は40m/min、搬送物間隔コントロールライン13とソータライン14の搬送速度は50m/min、ソータ15の押し出し片15aの移動速度は80m/minとしている。物品B間の間隔Cwは以下の計算式によって算出される。
Cw=(C+W)×VL/VW
C :仕分け中の物品Bと後続の物品Bとのかき出し方向間隔(本実施例では約100mmとしている)
W :後続の物品Bの幅
VL:ソータライン14の搬送速度
VW:ソータ15の押し出し片15aの移動速度
【0016】
本実施例の搬送物間隔コントロールライン13の動作を図4,5に基づいて説明する。図2に示すようにアキュームコンベヤライン12から移行した前後の物品Bが図4(a)に示すように後コンベヤ13bとの速度差によって間隔が若干空いた状態で搬送されてくる。図4(b)に示すように第1検知器13cが前方の物品Bを検知し、続いて第2検知器13dが後方の物品Bの先端部を検知すると後コンベヤ13bが停止し、前方の物品Bは搬送が継続される。図4(c)に示すように前方の物品Bが第1検知器13cを通過して検知されなくなると後コンベヤ13bが作動して後方の物品Bの搬送が再開され、物品B間が所定の間隔Cwに調整された状態でソータライン14へ送り出される。
【0017】
このとき、広幅の物品Bでは、図6(a)に示すように上流の位置で右端が検知されて前後の物品Bの間隔Cwが大きく調整される。物品Bの幅Wが例えば600mmであると、間隔Cwは437.5mmに調整される。これに対して狭幅の物品Bでは、図6(b)に示すように下流の位置で右端が検知されて物品Bの間隔Cwが小さく調整される。物品Bの幅Wが例えば150mmであると、間隔Cwは156.3mmに調整され、600mm幅の場合より281.3mm小さくなる。
【0018】
このようにして調整された物品Bは、ソータ15で分岐コンベヤライン16へ仕分けされる。図7(a)〜(c)に示すように、狭幅の物品Bが広幅の物品Bより下流に位置していても、移動中の押し出し片15aとは広幅の物品Bと同等の距離が保持されており、接触することなく仕分けされる。よって、後続の物品Bの幅Wが小さいほど前方の物品Bとの間隔Cwを詰めることができ、その分ソータ15を速いタイミングで作動させることができ、次の動作までの待ち時間を短縮してソータ15の能力を充分に活用できる。また、ソータライン14を流れる物品B間の間隔Cwが小さくなることで、単位時間当たりの搬送数量が増加して搬送効率も向上できる。
【産業上の利用可能性】
【0019】
本発明の搬送物の間隔調整装置は、幅が異なる複数の物品を複数の仕分け先へ仕分ける用途に利用される。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】実施例の仕分け設備のレイアウト図である。
【図2】実施例の間隔調整装置の説明図である。
【図3】実施例のソータの側面図である。
【図4】実施例の間隔調整装置の作動を示す説明図である。
【図5】実施例の間隔調整装置の作動のフローである。
【図6】実施例の間隔調整の比較を示す説明図である。
【図7】実施例の仕分け装置の説明図である。
【符号の説明】
【0021】
10 投入コンベヤライン
11 スキューコンベヤライン(整列手段)
12 アキュームコンベヤライン(整列手段)
13 搬送物間隔コントロールライン(間隔調整装置)
13a 前コンベヤ
13b 後コンベヤ
13c 第1検知器
13d 第2検知器
13e コントローラ
14 ソータライン
15 ソータ
15a 押し出し片
15b タイミングベルト
15c 駆動スプロケット
15d 従動スプロケット
16 分岐コンベヤライン
B 物品

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送ラインを混在して流れる幅が異なる複数の物品を分岐コンベヤラインにソータで直交方向へ移載して仕分ける仕分け設備において、その前後の物品間の間隔を移載前に物品の幅に応じた異なる間隔に調整する搬送物の間隔調整装置であって、搬送ラインの上流位置に物品を片側へ寄せて前後を近接させる整列手段を設け、同整列手段の下流の搬送ラインの途中位置に独立して駆動する前コンベヤと後コンベヤを直列に設け、前コンベヤに物品を検知する第1検知器を設け、斜めの光軸の光センサで物品の前記寄せる側とは反対側の先端部を検知する第2検知器を後コンベヤに設け、第1検知器が物品を検知した後に第2検知器が物品の先端部を検知すると後コンベヤを停止させ、その後第1検知器が物品を検知しなくなると後コンベヤを作動させるように制御する制御手段を設けたことを特徴とする、搬送物の間隔調整装置。
【請求項2】
請求項1記載の搬送物の間隔調整装置と、同間隔調整装置で間隔が調整された複数の物品を分岐コンベヤラインへ搬送するソータラインと、同ソータライン上の物品を分岐コンベヤラインに直交方向へ移載して仕分けるソータとで構成した、仕分け設備。
【請求項3】
ソータが、スプロケット間に掛架した無端ベルト又は無端チェーンに物品を押し出す複数の押し出し片を等間隔に突設し、押し出し片が分岐コンベヤラインの方向へ移動した後に反転して循環するようにした構造である、請求項2記載の仕分け設備。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−208939(P2009−208939A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−55822(P2008−55822)
【出願日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【出願人】(000196705)西部電機株式会社 (80)
【Fターム(参考)】