説明

搬送装置、および記録媒体駆動装置

【課題】記録媒体を所定位置に確実に搬送するディスク装置を提供する。
【解決手段】ディスク装置100の制御回路部は、検出センサ12,13により、光ディスクが大径ディスクであるか小径ディスクであるかを判断し、大径ディスクである場合は、搬送方向に略平行なガイドレバー411を左壁10B側に移動させ、小径ディスクである場合は、ガイドレバー411を初期状態のまま維持させる。これにより、光ディスクの径寸法に応じて、ガイドレバー411を即座に光ディスクを案内可能な状態に移動させることができ、光ディスクをターンテーブル23の上方に確実に移動させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ディスク状記録媒体を挿入排出する搬送装置、および搬送装置が設けられた記録媒体駆動装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、径の異なるディスク状記録媒体を装置内部に格納可能なディスク装置が知られている。(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この特許文献1に記載のものは、移送ローラによりディスクを搬送し、位置決め機構によりディスクをターンテーブル上方に位置決めするディスク再生装置である。この位置決め機構は、支点ピンで回動可能に枢支されて互いに交差する左右の位置決めレバーと、これらの位置決めレバーに設けられる係合孔に係合する支点ピンを有して、ソレノイドにより回動する切換レバーとにより構成されている。また、このディスク再生装置のディスク挿入口の近傍には、中央センサ、および中央センサの左右に設けられる左右センサ、外側センサが設けられ、これらのセンサによりディスク挿入口から挿入されたディスクの径を判別する。そして、センサにより大径のディスクの挿入が確認されると、切換レバーを回転させて位置決めピンがもっとも開いた位置となるように左右の位置決めレバーを回動させ、小径のディスクの挿入が確認されると、位置決めピンが最も近寄った位置となるように左右の位置決めレバーを回動させる構成が採られている。
【0004】
【特許文献1】特開平02−118955号公報(第3頁ないし第5頁、図1ないし図7参照)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、特許文献1に記載のような従来の構成のディスク再生装置では、センサにてディスクの径寸法を検出し、左右の位置決めレバーを回動させて、ディスクの径寸法に応じた位置に位置決めピンを移動させる。そして、移送ローラを回転させてディスクを奥側に移送する。しかしながら、このような構成では、小径ディスクがディスク挿入口の左右方向から挿入された場合、一方の位置決めピンとディスク再生装置の外装ケースとの間に小径ディスクが移動してしまったり、ディスクのセンター位置がずれたりして、ターンテーブルの上方にディスクのセンター位置を移動させることができないおそれがあるという問題が一例として挙げられる。
【0006】
本発明は、記録媒体を所定位置に確実に搬送する搬送装置、および記録媒体駆動装置を提供することを1つの目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
請求項1に記載の発明は、ディスク状の記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に進退可能に設けられるとともに、径寸法が異なる前記記録媒体を、前記径寸法に応じた案内位置で装置本体の内部に設けられる記録媒体を保持可能な保持部に案内するガイド部材と、前記搬送方向に対して交差する方向に進退可能に設けられるとともに、前記ガイド部材とにより、前記記録媒体を前記保持部に保持される位置に移動させる駆動手段と、前記装置本体に設けられ、前記記録媒体を挿排する挿排口の近傍に配設されるとともに、前記記録媒体の径寸法を検出する検出手段と、前記検出手段にて検出された前記記録媒体の径寸法に応じて、前記ガイド部材による前記記録媒体の案内状態、および前記駆動手段による前記記録媒体の駆動状態を制御して前記記録媒体を前記保持部に保持される位置へ移動させる駆動制御手段と、を具備したことを特徴とした搬送装置である。
【0008】
請求項5に記載の発明は、請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の搬送装置と、前記記録媒体を保持可能な前記保持部と、前記保持部に保持された前記記録媒体への情報の書き込み処理および前記記録媒体からの情報の読み込み処理のうち少なくとも一方の処理を実施する情報処理部と、前記搬送装置、前記保持部、および前記情報処理部を内部に収納し、前記記録媒体を挿排する前記挿排口を備えた前記装置本体と、を具備したことを特徴とした記録媒体駆動装置である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。図1は、本発明の一実施の形態に係るディスク装置の内部の概略を示す平面図である。
【0010】
[ディスク装置の構成]
図1において、100は、本発明の一実施の形態に係る記録媒体駆動装置としてのディスク装置であり、このディスク装置100は、着脱可能に装着されるディスク状の記録媒体としての光ディスク1における少なくとも一面に設けられた図示しない記録面に記録された情報を読み出す情報処理である読取処理や記録面へ各種情報を記録する情報処理である記録処理をする。このディスク装置100は、例えば携帯型のパーソナルコンピュータなどの電気機器に装着されるいわゆる薄型のスロットインタイプで例示するが、例えばゲーム機や映像データの録画などの記録や再生のための処理をする再生装置などの単体の構成としてもよい。また、このディスク装置100は、光ディスク1として、直径12cmの大径記録媒体としての大径ディスク1Aと、直径8cmの小径記録媒体としての小径ディスク1Bとを収納することができる。なお、ディスク状記録媒体としては、光ディスク1に限らず、磁気ディスク、光磁気ディスクなどのいずれのディスク状記録媒体を対象とすることができる。そして、ディスク装置100は、例えば金属製で内部空間を有する略箱形状の装置本体10を備えて構成されている。なお、この装置本体10において、図1中下側を装置本体の正面10A、図1中の装置本体10の左側壁を左壁10B、図1中の装置本体10の右側壁を右壁10C、装置本体10の正面10Aの反対側を背面10Dと適宜称する。
【0011】
装置本体10の内部には、いわゆるトラバースメカと称されるディスク処理部20と、光ディスク1を搬送する搬送装置としての搬送手段30と、が設けられている。そして、装置本体10の正面10Aには、光ディスク1を挿入排出するための挿排口としてのスロット11が図1中左右方向に延びて形成されている。
【0012】
また、装置本体10のスロット11の両端側近傍には、検出手段を構成する左壁側検出センサ12および右壁側検出センサ13が設けられている。これらの検出センサ12,13は、例えば赤外線センサであり、底部側から天面側に赤外線を照射し、光ディスク1が挿入されて赤外線が遮られると、光ディスク1が挿入されたことを検出する。そして、これらの検出センサ12、13は、後述する制御回路部に電気的に接続されている。
【0013】
ディスク処理部20は、例えば金属板にて略板状に形成され一端が揺動自在に装置本体10に支持された台座部21を有している。この台座部21は、装置本体10の左壁10Bの正面10A側から、中心位置に向かって長手に形成されている。また、台座部21には、長手方向に沿って、長手状の処理開口部21Aが略中央に切欠形成されている。そして、台座部21の処理開口部21Aの一端側、すなわち装置本体10の略中心位置に、ディスク回転駆動手段22が配設されている。このディスク回転駆動手段22は、図示しないスピンドルモータと、このスピンドルモータの出力軸に一体的に設けられた保持部としてのターンテーブル23とを備えている。スピンドルモータは、制御回路部に制御可能に接続され、制御回路部から供給される電力により駆動する。ターンテーブル23は、装置本体10の内部の略中心部に設けられるとともに光ディスク1を回転駆動する駆動部である。
【0014】
また、台座部21には、情報処理部24が配設されている。この情報処理部24は、一対のガイドシャフト25間に架橋する状態に支持されており、図示しない移動機構により処理開口部21A内でターンテーブル23に対して近接離隔される。この情報処理部24は、図示しない光源と、この光源からの光を収束するピックアップレンズ24A(図2参照)と、光ディスク1で反射された出射光を検出する図示しない光センサとを有するピックアップを備えている。
【0015】
搬送手段30は、駆動制御手段としての図示しない制御回路部と、図示しない搬送モータと、光ディスク1の挿排に応じて駆動するリンク機構部31とを備えている。
【0016】
制御回路部は、検出センサ12,13から入力される信号を認識し、挿入される光ディスク1が大径ディスク1Aであるか小径ディスク1Bであるかを判断する。具体的には、制御回路部は、検出センサ12,13の両方から同時に光ディスク1の挿入を検出した旨の信号が入力されると、挿入された光ディスク1が大径ディスク1Aであると判断し、後述する駆動モータ414に所定の電流量を通電させる。また、制御回路部は、検出センサ12,13のうち、どちらか一方からのみ信号が入力される、またはどちらからも信号が入力されずに、後述するイジェクトアーム611,612に連動するスイッチから光ディスク1が挿入された旨の信号が入力されたことを認識すると、小径ディスク1Bが挿入されたと判断する。また、制御回路部は、ディスク装置100の動作全般をそれぞれ制御する。すなわち、制御回路部は、情報処理部24にて光ディスク1の情報を処理させる制御をしたり、後述する駆動カム44,45を駆動してロードアーム421を回動させる制御をしたり、保持部としてのターンテーブル23を回転させる制御をしたり、駆動カム44,45にて台座部21を揺動させる制御をしたりする。
【0017】
リンク機構部31は、装置本体10の内部であってスロット11の左壁10B側に設けられたガイド部材としてのディスクガイド機構41と、装置本体10の内部であってスロット11の右壁10C側に設けられた駆動手段としてのディスク挿入機構42と、ターンテーブル23に配置された光ディスク1を排出するディスク排出機構43と、台座部21を揺動させる第1の駆動カム44及び第2の駆動カム45とを備えている。
【0018】
ディスクガイド機構41は、光ディスク1の挿排を案内するガイドレバー411と、このガイドレバー411の正面10A側に接続されるディスクガイド412と、ガイドレバー411の背面10D側に接続されるガイドリンクアーム413と、駆動モータ414と、駆動モータ414およびガイドリンクアーム413の間に設けられる減速機構415と、などを備えている。
【0019】
ガイドレバー411は、ディスク挿排方向に長手状に形成される棒状部材である。このガイドレバー411の側面には、内方側(光ディスク1が挿入される側)に、光ディスク1の挿排方向への移動を案内する合成樹脂製の案内部411Aが固定されている。この案内部411Aは、左壁10B側に向かって凹状となる案内溝が形成されており、光ディスク1の周縁をこの案内溝に摺接させて案内する。また、ガイドレバー411の正面10A側の端部および背面10D側の端部には、それぞれ、ディスクガイド412およびガイドリンクアーム413が回動自在に取り付けられている。
【0020】
ディスクガイド412は、長手状に形成され、一端部が装置本体10の左壁10B近傍に回動可能に取り付けられている。また、ディスクガイド412の他端部は前記したように、ガイドレバー411の一端部に回動可能に接続されている。これにより、ガイドレバー411の正面10A側端部は、ディスクガイド412の一端部を回動中心とし、ディスクガイド412の長さ寸法を径とした円弧上を回動運動可能となる。また、ディスクガイド412の底部側には、内方に突出するフランジ部412Aが形成されており、このフランジ部412Aに沿って、光ディスク1が挿入される際に光ディスク1の周縁部が摺接される摺接面412Bが形成されている。
【0021】
ガイドリンクアーム413は、ディスクガイド412の長手方向への長さ寸法と略同一長さに長手状に形成されている。このガイドリンクアーム413の回動軸413Aは、一端部が装置本体10の左壁10B側に回動自在に支持されている。より具体的には、ガイドリンクアーム413は、ディスクガイド412の回動軸412Cからガイドレバー411の長手方向の長さ寸法と略同一寸法だけ背面10D側に離れた位置に設けられている。また、ガイドリンクアーム413の他端部は、ガイドレバー411の背面10D側に回動可能に接続されている。また、ガイドリンクアーム413の底部側には、回動軸413Aを中心としてガイドリンクアーム413の他端部、すなわちガイドレバー411との接続部に向かって延出する扇状の回動ラック部413Bが一体的に設けられている。この回動ラック部413Bは、円弧に沿ってラックが形成されて減速機構415に係合しており、減速機構415から伝達される駆動力により駆動してガイドリンクアーム413を回動させる。また、ガイドリンクアーム413とガイドレバー411との間には、トーションバー413Cが設けられている。このトーションバー413Cは、ガイドレバー411を、ガイドリンクアーム413およびガイドレバー411の角度を広げる方向、すなわちターンテーブル23が設けられる装置本体10の中心位置に向かう方向に付勢している。
【0022】
駆動モータ414は、装置本体10の底部に設置され、制御回路部と電気的に接続されている。そして、制御回路部から所定方向、所定量の電流が通電されることで、駆動モータが駆動される。そして、この駆動モータ414の回転軸には、先端部にウォームギア414Aが設けられ、減速機構415に噛合している。
【0023】
減速機構415は、複数のギアから構成され、駆動モータ414から伝達される回転駆動速度を減速させてガイドリンクアーム413に伝達させる。そして、この減速機構415は、駆動モータ414のウォームギア414Aに噛合する第一減速ギア415Aと、第一減速ギア415Aおよびガイドリンクアーム413に噛合する第二減速ギア415Bと、を備えている。
【0024】
第一減速ギア415Aは、径寸法が大きい第一大径減速ギア415A1と、第一大径減速ギア415A1と同軸上に一体に設けられ、径寸法が小さい第一小径減速ギア415A2とを備えている。第一大径減速ギア415A1は、いわゆるハスバ歯車であり、軸に対し,斜めにねじれた歯を有している。この第一大径減速ギア415A1は、ウォームギア414Aに噛合され、駆動モータ414の回転駆動力を、駆動回転軸を底部に対して直交する軸方向に変換する。また、第一小径減速ギア415A2は、第二減速ギア415Bに噛合されている。これにより、第一減速ギア415Aは、駆動モータ414からの回転駆動力を減速させて第二減速ギア415Bに伝達する。
【0025】
第二減速ギア415Bは、径寸法が大きい第二大径減速ギア415B1と、第二大径減速ギア415B1と同軸上に一体に形成される、径寸法が小さい第二小径減速ギア415B2と、を備えている。そして、第二大径減速ギア415B1は、第一小径減速ギア415A2と噛合し、第二小径減速ギア415B2は、ガイドリンクアーム413の回動ラック部413Bに噛合している。これにより、第二減速ギア415Bは、第一減速ギア415Aから伝達された回転駆動力をさらに減速させてガイドリンクアーム413に伝達する。
【0026】
そして、上記のようにディスクガイド機構41には、ディスクガイド412およびガイドリンクアーム413の他端部同士がそれぞれガイドレバー411の両端部に回動可能に接続されることで、ガイドレバー411が光ディスク1の挿排方向に対して交差する方向に進退可能となる平行リンクが設けられている。これにより、駆動モータ414の駆動力が減速機構415からガイドリンクアーム413に伝達されると、ガイドレバー411が挿排方向に対して進退する。また、ディスク装置100に光ディスク1が挿入されていない状態では、ディスクガイド機構41のガイドレバー411は、小径ディスク1Bを案内可能な位置、すなわち、小径ディスク1Bの径寸法と略同一寸法となる位置に配置されている(初期状態)。
【0027】
ディスク挿入機構42は、スロット11から挿入された光ディスク1を内部に押し込んで、光ディスク1の中心位置とターンテーブル23の中心位置とが略一致する状態に、この光ディスク1を移動させるものである。
【0028】
具体的には、ディスク挿入機構42は、一端部が光ディスク1と当接するとともに他端部側が装置本体10に回動自在とされたロードアーム421と、このロードアーム421に連結されロードアーム421の回動角度が大きい場合にはディスクガイド機構41の後退を許容しロードアーム421の回動角度が小さい場合にはディスクガイド機構41の後退を阻止するアームリンク機構422とを備えている。
【0029】
ロードアーム421は、一端部に光ディスク1の周縁部に当接するローラ状の当接部421Aが設けられ他端部が装置本体10に回動自在に支持されている。このロードアーム421は、細長い矩形状の板部材で形成されており、その長手方向に沿ってガイド溝421Bが形成されている。
【0030】
アームリンク機構422は、ガイド溝421Bに案内される突起423Aが一端部に設けられた略平板状のリンクアーム423と、このリンクアーム423と一端部が連結された略平板状のスライド板424とを備えている。
【0031】
ロードアーム421及びリンクアーム423は、ターンテーブル23を挟んでディスクガイド機構41と対向された位置にあり、かつ、ディスクガイド機構41が配置された平面と略同じ平面内に配置されている。
【0032】
リンクアーム423は、他端側において、装置本体10に固定された回動軸423Bに対して回動自在に支持されており、回動軸423Bを挟んで突起423Aと対向する位置に係合部423Cが形成されている。
【0033】
スライド板424はターンテーブル23より奥側において図中左右方向に移動可能に配置されており、その右端部が係合部423Cと係合可能とされている。
【0034】
また、ロードアーム421と、リンクアーム423と、このリンクアーム423の他端部が連結され進退駆動する第1の駆動カム44と、光ディスク1がスロット11から所定位置に押し込まれたことを検知するスイッチとを備えてディスク送り機構50が構成されている。このスイッチは後述のイジェクトアーム611,612を備え、これらのイジェクトアーム611,612が光ディスク1の押し込みによって回動したら、第1の駆動カム44を前進動作させる。
【0035】
このディスク送り機構50は、スイッチで光ディスク1が所定位置に押し込まれたことを検知したらロードアーム421で光ディスク1を奥側に押し込んでターンテーブル23に送るものである。
【0036】
リンクアーム423と第1の駆動カム44とには、光ディスク1が大径ディスク1Aである場合にはターンテーブル23へ送る光ディスク1の送り量を小さくし、光ディスク1が小径ディスク1Bである場合にはターンテーブル23へ送る光ディスク1の送り量を大きくするディスク送り用カム部51が設けられている。
【0037】
このディスク送り用カム部51は、リンクアーム423に設けられた突起部52と、この突起部52と係合され第1の駆動カム44に形成されたカム溝53とを備えている。
【0038】
このカム溝53は、大径ディスク1Aを送るための第1カム溝53Aと、小径ディスク1Bを送るための第2カム溝53Bと、これらの第1カム溝53A及び第2カム溝53Bとの一端部で合流される共通のカム溝53Cとを備えて構成されている。
【0039】
第1カム溝53A及び第2カム溝53Bは、ともに他端部側に湾曲部が形成されており、この湾曲部に突起部52が案内されると、リンクアーム423を介してロードアーム421が光ディスク1から離隔される。本実施形態では、ターンテーブル23が回転駆動する際には第1の駆動カム44が最も前進した位置にあり、この位置では、第1カム溝53Aの湾曲部又は第2カム溝53Bの湾曲部に突起部52が案内され、ディスク送り機構50が光ディスク1から離隔される。同様に、ターンテーブル23が回転駆動する際には、ディスクガイド機構41が最も後退した位置にあって光ディスク1から離隔される。
【0040】
ディスク排出機構43は、装置本体10の内部の奥側に設けられた第1ディスク送り出し機構61と、この第1ディスク送り出し機構61よりスロット側に配置され第1ディスク送り出し機構61で送り出された光ディスク1をスロット11の方向に引き続いて送り出す第2ディスク送り出し機構とを備えて構成されている。本実施形態においては、第2ディスク送り機構はディスクガイド機構41である。
【0041】
第1ディスク送り出し機構61は、それぞれ一端部が装置本体10の内部に回動軸613を介して回動自在に支持された一対のイジェクトアーム611,612を備え、これらのイジェクトアーム611,612は第1の駆動カム44及び第2の駆動カム45の進退動作に伴って回動される。
【0042】
これらのイジェクトアーム611,612は、光ディスク1の周縁部を挟持するようにターンテーブル23を挟んで配置されており、その先端部には光ディスク1の周縁と当接するローラ状の当接部61Aがそれぞれ設けられている。
【0043】
イジェクトアーム611,612と第1の駆動カム44及び第2の駆動カム45との間には第1の駆動カム44及び第2の駆動カム45の進退動に伴ってイジェクトアーム611,612に所定の動作をさせるカム機構が設けられている。
【0044】
カム機構は、光ディスク1がスロット11から押し込まれる際にイジェクトアーム611,612の先端部同士の開放を許容し、ターンテーブル23が回転駆動する際には、先端部同士を最も開放された位置にして光ディスク1から離隔する。
【0045】
ディスクガイド機構41は、ディスクガイド412が時計方向に回動する構造であるため、当接部412Dが光ディスク1の周縁部を押し出すことで第2ディスク送り機構として機能する。
【0046】
なお、スライド板424にはイジェクトアーム611,612との干渉を防止するための溝や切欠きが適宜な箇所に形成されている。
【0047】
[ディスク装置の動作]
次に、本実施形態におけるディスク装置の動作を説明する。図2は、ディスク装置に小径ディスクを挿入した際の搬送開始時の装置本体の内部を示す平面図である。図3は、ディスク装置に小径ディスクを挿入した際の搬送完了時の装置本体の内部を示す平面図である。図4は、ディスク装置に大径ディスクを挿入した際の搬送開始時の装置本体の内部を示す平面図である。図5は、ディスク装置に大径ディスクを挿入した際の搬送途中における装置本体の内部を示す平面図である。図6は、ディスク装置に大径ディスクを挿入した際の搬送完了時における装置本体の内部を示す平面図である。
【0048】
(ディスクの搬送)
まず、図1に示すような初期状態において、ディスク装置100の電源を入れると、制御回路部は、検出センサ12,13を作動させる。また、制御回路部は、駆動モータ414を制御して、図1に示すように、ガイドレバー411を内方側に移動させた状態で保持する。
【0049】
そして、このディスク装置100にスロット11から光ディスク1を挿入すると、制御回路部は、挿入位置に応じて光ディスク1の径寸法を検出する。ここで、挿入される光ディスク1が小径ディスク1Bである場合、中央位置、左壁10B側、右壁10C側からそれぞれ挿入可能であるが、このうち、左壁10B側から小径ディスク1Bが挿入されると、左壁側検出センサ12のみが光ディスク1の通過を検出する。また右壁10C側から挿入されると、右壁側検出センサ13のみが光ディスク1の通過を検出する。また、中央位置から小径ディスク1Bを挿入すると、どちらの検出センサ12,13も光ディスク1の通過を検出しない。また、挿入される光ディスク1が大径ディスク1Aである場合、図4に示すように、検出センサ12,13の双方が同時に光ディスク1の通過を検出する。
【0050】
この後、光ディスク1がさらに挿入され、イジェクトアーム611、612を背面10D側に押し込むと、イジェクトアーム611,612に設けられるスイッチが作動し、制御回路部は光ディスク1が挿入されたことを認識する。この時、制御回路部は、検出センサ12,13から入力される信号に基づいて、左壁側検出センサ12および右壁側検出センサ13のうちいずれか一方からのみディスクが通過した旨の信号を認識した場合、または、どちらからもディスクが通過した旨の信号を認識できなかった場合、挿入されたディスクが小径ディスク1Bであると判断する。一方、制御回路部は、検出センサ12,13の双方から同時に光ディスク1が通過した旨の信号を認識すると、挿入された光ディスク1が大径ディスク1Aであると判断する。
【0051】
そして、制御回路部は、光ディスク1が小径ディスク1Bであると判断した場合、ガイドレバー411の移動を規制して、初期状態のまま維持させる。また、制御回路部の制御によりロードアーム421が内方側に回動し、小径ディスク1Bを背面10D側に押し込む。これにより、図3に示すように、小径ディスク1Bはガイドレバー411の案内部411Aに沿って移動され、ターンテーブル23の上方側に移動される。
【0052】
一方、制御回路部は、光ディスク1が大径ディスク1Aであると判断した場合、駆動モータ414を駆動させて、ガイドレバー411を左壁10B側に移動させる。また、制御回路部の制御によりロードアーム421が内方側に回動し、大径ディスク1Aを背面10D側に押し込む。これにより、図5に示すように、大径ディスク1Aはガイドレバー411の案内部411Aに沿って移動され、図6に示すように、ターンテーブル23の上方側に移動される。
【0053】
この後、制御回路部の制御により、駆動カム44,45が駆動され、台座部21が天面側に移動し、光ディスク1がターンテーブル23に係合される。そして、制御回路部は、情報処理部を駆動し、光ディスク1の情報処理を実施する。
【0054】
〔ディスク装置の作用効果〕
上述したように、上記一実施の形態のディスク装置100では、制御回路部は、検出センサ12,13により、光ディスク1が大径ディスク1Aであるか小径ディスク1Bであるかを判断し、大径ディスク1Aである場合は、搬送方向に略平行なガイドレバー411を左壁10B側に移動させ、小径ディスク1Bである場合は、ガイドレバー411を初期状態のまま維持させる。そして、このガイドレバー411の案内部411Aで光ディスク1の搬送を案内させながら、ロードアーム421を回動させて、光ディスク1をターンテーブル23の上方まで押し込む。このため、光ディスク1の径寸法に応じて、ガイドレバー411を即座に光ディスク1を案内可能な状態に移動させることができ、光ディスク1を良好にターンテーブル23の上方に確実に移動させることができる。
【0055】
また、検出センサ12,13は、スロット11の両端近傍に小径ディスク1Bの径寸法以上の間隔を開けて配置され、制御回路部は、検出センサ12,13の双方にて光ディスク1が通過したことを検出すると、大径ディスク1Aが挿入されたと判断し、検出センサ12,13のうちどちらか一方、もしくは双方が光ディスク1の挿通を検出しなかった場合、小径ディスク1Bが挿入されたと判断する。このため、光ディスク1の通過を検出した検出センサ12,13の数により、容易に光ディスク1の径寸法を認識できる。したがって、径寸法の異なる光ディスク1を径寸法に応じて、確実にターンテーブル23の上方まで誘導できるうえに、左壁側検出センサ12と右壁側検出センサ13との2つを設置するのみで光ディスク1の径寸法に応じてガイドレバー411を移動できるため、ディスク装置100の構成をより簡単にできる。
【0056】
そして、制御回路部は、初期状態において、ガイドレバー411を小径ディスク1Bを案内可能な内方側に移動させている。このため、このガイドレバー411およびディスクガイド412により、異物の侵入を防止できる。また、小径ディスク1Bがスロット11の中央位置から挿入されて、検出センサ12,13にてディスクの通過を検出できない場合でも、良好に小径ディスク1Bをターンテーブル23の上方に案内することができる。
【0057】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した一実施の形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0058】
例えば、上記実施の形態において、スロット11の両端近傍に検出センサ12,13を配置する構成を示したが、3つ以上の検出センサを設けてもよい。この場合、制御回路部は、例えば、3つ同時に検出センサが光ディスク1の通過を検出する場合は大径ディスク1Aであり、1つ、または2つの検出センサが光ディスク1の通過を検出する場合は小径ディスク1Bであると判断する。
【0059】
また、本実施の形態では、光ディスク1の挿入を検出するスイッチがイジェクトアーム611,612に設けられる例を示したが、設けられない構成としてもよい。この場合、例えば、検出センサ12,13にて光ディスク1の通過が検出されると、光ディスク1が挿入されたと判断してロードアーム421を回動させる制御をしてもよい。
【0060】
その他、本発明の実施の際の具体的な構造は、本発明の目的を達成できる範囲で他の構造などに適宜変更できる。
【0061】
〔実施の形態の効果〕
上述したように、上記一実施の形態では、ディスク装置100では、制御回路部は、検出センサ12,13により、光ディスク1が大径ディスク1Aであるか小径ディスク1Bであるかを判断する。そして、大径ディスク1Aである場合は、搬送方向に略平行なガイドレバー411を左壁10B側に移動させ、小径ディスク1Bである場合は、ガイドレバー411を初期状態のまま維持させる。この後、ロードアーム421を内方に回動させて光ディスク1をガイドレバー411に案内させてターンテーブル23の上方に搬送する。このため、光ディスク1の径寸法に応じて、ガイドレバー411を即座に光ディスク1を案内可能な状態に移動させることができ、光ディスク1を良好にターンテーブル23の上方に確実に移動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0062】
【図1】本発明の一実施の形態に係るディスク装置の内部の概略を示す平面図である。
【図2】ディスク装置に小径ディスクを挿入した際の搬送開始時の装置本体の内部を示す平面図である。
【図3】ディスク装置に小径ディスクを挿入した際の搬送完了時の装置本体の内部を示す平面図である。
【図4】ディスク装置に大径ディスクを挿入した際の搬送開始時の装置本体の内部を示す平面図である。
【図5】ディスク装置に大径ディスクを挿入した際の搬送途中の装置本体の内部を示す平面図である。
【図6】ディスク装置に大径ディスクを挿入した際の搬送完了時の装置本体の内部を示す平面図である。
【符号の説明】
【0063】
1 記録媒体としての光ディスク
1A 大径記録媒体としての大径ディスク
1B 小径記録媒体としての小径ディスク
10 装置本体
11 挿排口としてのスロット
12 検出手段としての左壁側検出センサ
13 検出手段としての右壁側検出センサ
23 保持部としてのターンテーブル
24 情報処理部
41 搬送装置としてのディスクガイド機構
100 記録媒体駆動装置としてのディスク装置
411 ガイド部材としてのガイドレバー
414 駆動手段としての駆動モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスク状の記録媒体の搬送方向に対して交差する方向に進退可能に設けられるとともに、径寸法が異なる前記記録媒体を、前記径寸法に応じた案内位置で装置本体の内部に設けられる記録媒体を保持可能な保持部に案内するガイド部材と、
前記搬送方向に対して交差する方向に進退可能に設けられるとともに、前記ガイド部材とにより、前記記録媒体を前記保持部に保持される位置に移動させる駆動手段と、
前記装置本体に設けられ、前記記録媒体を挿排する挿排口の近傍に配設されるとともに、前記記録媒体の径寸法を検出する検出手段と、
前記検出手段にて検出された前記記録媒体の径寸法に応じて、前記ガイド部材による前記記録媒体の案内状態、および前記駆動手段による前記記録媒体の駆動状態を制御して前記記録媒体を前記保持部に保持される位置へ移動させる駆動制御手段と、
を具備したことを特徴とした搬送装置。
【請求項2】
請求項1に記載の搬送装置であって、
前記検出手段は、前記搬送方向に略直交する方向に配置される複数のセンサを備え、前記記録媒体の挿入を検出した前記検出センサの数に応じて前記記録媒体の径寸法を検出する
ことを特徴とした搬送装置。
【請求項3】
請求項2に記載の搬送装置であって、
前記ガイド部材は、径寸法が大きい大径記録媒体、および径寸法が小さい小径記録媒体を案内可能であり、
前記センサは、前記挿排口の近傍で、前記小径記録媒体の径寸法以上の間隔を空けて2つ配置され、
前記検出手段は、両方の前記センサにて記録媒体の挿入を検出することで前記大径ディスクを検出し、前記2つのセンサのうちいずれか一方が記録媒体の挿入を検出した場合、または2つのセンサともに記録媒体の挿入を検出しなかった場合、前記小径ディスクを検出する
ことを特徴とした搬送装置。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の搬送装置であって、
前記駆動制御手段は、前記記録媒体が前記装置本体の内部に挿入されていない状態において、前記駆動手段に前記ガイド部材を前記装置本体の中央位置に最近接する位置に移動させる制御をする
ことを特徴とした搬送装置。
【請求項5】
請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の搬送装置と、
前記記録媒体を保持可能な前記保持部と、
前記保持部に保持された前記記録媒体への情報の書き込み処理および前記記録媒体からの情報の読み込み処理のうち少なくとも一方の処理を実施する情報処理部と、
前記搬送装置、前記保持部、および前記情報処理部を内部に収納し、前記記録媒体を挿排する前記挿排口を備えた前記装置本体と、
を具備したことを特徴とした記録媒体駆動装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−149289(P2007−149289A)
【公開日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−345532(P2005−345532)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(000005016)パイオニア株式会社 (3,620)
【Fターム(参考)】