説明

搬送装置、及び搬送装置を用いた非破壊検査装置

【課題】簡単な構成によって、被搬送物Sの搬送経路を厳密に規制して搬送することができる搬送装置1を提供することにある。
【解決手段】搬送回転テーブル15に載置した被搬送物Sを周方向に搬送させ、搬送回転テーブル15の搬送力に基づいて、搬送回転テーブル15の上方位置に設けた搬送ガイドバー23に被搬送物Sを押し付けた状態で被搬送物Sを摺動案内する。この時、搬送ガイドバー23の当接面23aに沿って、非搬送物Sは姿勢を一定にして移動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、搬送装置、及び搬送装置を用いた非破壊検査装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
精密な製品や部品を高精度に搬送する搬送コンベアが知られている。(例えば、特許文献1)。
この装置は、コンベア速度の加減速による衝撃を抑えることで、部品の破壊や飛び出しを防止した搬送コンベアであった。
【0003】
また、被検査体を非破壊で検査することができる非破壊検査装置が知られている。(例えば、特許文献2)
この装置は、発泡体をベルトコンベアで搬送し、その搬送途中において、発泡体内部を非破壊で検査を行う装置であった。
【特許文献1】特開2002−080114
【特許文献2】特開2006−090743
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
高信頼性の部品や製品は、技術力向上に伴う競争の激化や原材料の高騰といった事情により、さらなる品質の向上やコスト削減が求められている。
部品等の品質を向上するためには、個々の検品が欠かせず、コストの削減をするためには大量生産が欠かせない。
【0005】
今日、部品等の被検査体を非破壊で検査する非破壊検査装置が知られている。この非破壊検査装置の多くは、搬送装置で被検査体を搬送し、搬送中の被検査体に電波、可視光、X線などの電磁波を照射し、被検査体を透過、反射、又は散乱した電磁波を解析することで被検査体における異常の有無を判定している。このような非破壊検査において、検査精度を向上するためには、搬送装置上での被検査体の位置を高度に安定させる必要がある。
【0006】
被検査体を、被搬送物として常に搬送装置における同じ位置に供給するのは困難であり、また、大量生産に応じて搬送装置の搬送速度を上げる場合には、振動などによって、被搬送物の位置が安定せず、高精度な検査結果を得ることが困難である。
【0007】
このような問題を解決するために、搬送装置において、搬送経路にシリンダ等を設置して被搬送物の位置を規制することも可能であるが、搬送装置がコスト高になってしまうとともに、搬送制御が煩雑になってしまう。一方、搬送装置の搬送面を、被搬送物の形状に合致するように成形することで、被搬送物の位置を規制することも可能であるが、被搬送物ごとに搬送装置を用意しなければならず、汎用性に欠けるため、結果としてコスト高となってしまう。
【0008】
以上のように、搬送装置における被搬送物の破壊や飛び出しを防止するものは知られていたが、被搬送物の搬送途中における搬送位置を厳密に規制する搬送装置は存在しなかった。また、被搬送物の搬送位置を厳密に規制して搬送できる搬送装置を利用することによる高精度な非破壊検査装置はしなかった。
【0009】
本発明は上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、簡単な構成で迅速かつ高精度に被搬送物を搬送することが可能な搬送装置を提供するとともに、そのような搬送
装置を用いることで高速かつ高精度に非破壊検査を行うことを可能とする非破壊検査装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
請求項1の発明は、載置した被搬送物を搬送する搬送装置であって、前記被搬送物を載置して一方向に搬送する搬送体と、前記搬送体の上方位置において、前記一方向に搬送される前記被搬送物と当接するとともに前記搬送体の前記被搬送物に対する前記一方向の搬送力に基づいて、その一方向と異なる方向に被搬送物を摺動案内する搬送経路規制部材とを設けた。
【0011】
請求項2の発明は、請求項1記載の搬送装置において、前記搬送体は、円盤状に形成された搬送回転テーブルであって、前記被搬送物の一方向の搬送は、前記搬送回転テーブルの回転に伴う周方向の搬送であり、前記搬送経路規制部材は、前記搬送回転テーブルの回転に伴って周方向に搬送される前記被搬送物と当接し、前記搬送回転テーブルの前記被搬送物に対する前記周方向の搬送力に基づいて、その周方向と異なる方向に前記被搬送物を所定の距離だけ摺動案内した後、前記被搬送物を離間して前記被搬送物を前記周方向に搬送させる搬送ガイド部を有する。
【0012】
請求項3の発明は、請求項2記載の搬送装置において、前記搬送ガイド部は、少なくとも一部に前記被搬送物の姿勢を一定にさせて、前記所定の距離だけ前記周方向と異なる方向に摺動案内する直進案内部を有する。
【0013】
請求項4の発明は、請求項1記載の搬送装置において、前記搬送体は、コンベアベルトであって、前記被搬送物の一方向の搬送は、前記コンベアベルトの上流側から下流側への移動に伴う直線方向の搬送であり、前記搬送経路規制部材は、前記コンベアベルトの移動に伴って前記直線方向に搬送される前記被搬送物と当接し、前記コンベアベルトの前記被搬送物に対する前記直線方向の搬送力に基づいて、その直線方向と異なる方向に前記被搬送物を所定の距離だけ摺動案内した後、前記被搬送物が離間して前記被搬送物を前記直線方向に前記被搬送物を搬送させる搬送ガイド部を有する。
【0014】
請求項5の発明は、請求項4記載の搬送装置において、前記搬送ガイド部は、少なくとも一部に前記被搬送物の姿勢を一定にさせて、前記所定の距離だけ前記直線方向と異なる方向に摺動案内する直進案内部を有する。
【0015】
請求項6の発明は、被搬送物を搬送する搬送部と、前記被搬送物を検査するために、前記搬送部による搬送中の前記被搬送物に電磁波を照射する電磁波照射部と、前記電磁波照射部が前記被搬送物に照射する電磁波の反射波、透過波、又は散乱波を受信する受信部とを備えた非破壊検査装置において、前記搬送部は、回転に伴って周方向に前記被搬送物を搬送する搬送回転テーブルと、前記搬送回転テーブルの回転に伴って周方向に搬送される前記被搬送物と当接し、前記搬送回転テーブルの前記被搬送物に対する前記周方向の搬送力に基づいて、その周方向と異なる方向に前記被搬送物を所定の距離だけ摺動案内した後、前記被搬送物が離間して前記被搬送物を前記周方向に搬送させる搬送ガイド部を有した搬送経路規制部材とを備え、前記電磁波照射部は、前記搬送経路規制部材の搬送ガイド部にて周方向と異なる方向に前記所定の距離だけ摺動案内されている被搬送物に対して電磁波を照射する位置に配置した。
【0016】
請求項7の発明は、請求項6記載の非破壊検査装置において、前記搬送ガイド部は、少なくとも一部に前記被搬送物の姿勢を一定にさせて、前記所定の距離だけ前記周方向と異なる方向に摺動案内する直進案内部を有し、前記電磁波照射部は、前記一定の姿勢で摺動案内されている被搬送物に対しての電磁波を照射する位置に配置した。
【0017】
請求項8の発明は、被搬送物を搬送する搬送部と、前記被搬送物を検査するために、前記搬送部による搬送中の前記被搬送物に電磁波を照射する電磁波照射部と、前記電磁波照射部が前記被搬送物に照射する電磁波の反射波、透過波又は散乱波を受信する受信部とを備えた非破壊検査装置において、前記搬送部は、前記被搬送物を上流側から下流側へ直線方向に搬送するコンベアベルトと、前記コンベアベルトにて直線方向に搬送される前記被搬送物と当接し、前記コンベアベルトの前記被搬送物に対する前記直線方向の搬送力に基づいて、その直線方向と異なる方向に前記被搬送物を所定の距離だけ摺動案内した後に、前記被搬送物が離間して前記被搬送物を前記直線方向に搬送させる搬送ガイド部を有した搬送経路規制部材とを備え、前記電磁波照射部は、前記搬送経路規制部材の搬送ガイド部にて直線方向と異なる方向に前記所定の距離だけ摺動案内されている被搬送物に対して電磁波を照射する位置に配置した。
【0018】
請求項9の発明は、請求項8記載の非破壊検査装置において、前記搬送ガイド部は、少なくとも一部に前記被搬送物の姿勢を一定にさせて、前記所定の距離だけ前記直線方向と異なる方向に摺動案内する直進案内部を有し、前記電磁波照射部は、前記一定の姿勢で摺動案内されている被搬送物に対しての電磁波を照射する位置に配置した。
【発明の効果】
【0019】
請求項1の発明によれば、搬送経路規制部材を設けるだけで、被搬送物を摺動案内するように構成したため、簡単な構成で搬送途中の被搬送物の位置を厳密に規制することができる。また、一方向に搬送される被搬送物を、搬送力に基づいてその一方向とは異なる方向に摺動案内するように構成したことによって、被搬送物は搬送力に基づいて、搬送経路規制部材に押し付けられた状態で搬送体上を摺動することになるため、被搬送物の経路を厳密に規制した状態で被搬送物を搬送することができる。さらに、搬送体による被搬送物の搬送速度を向上させることによって、被搬送物はより強い力で搬送経路規制部材に押し付けられた状態で搬送されるため、被搬送物を搬送する際の高速化と位置規制を高度に両立することができる。つまり、迅速かつ高精度に被搬送物を搬送することができる。
【0020】
請求項2の発明によれば、円板状の搬送体を回転させることによって、搬送体の上面に載置された被搬送物を搬送させるため、簡単な構成によって被搬送物を搬送させることができる。さらに、装置体を小型に構成することができる。
【0021】
請求項3の発明によれば、搬送ガイド部の少なくとも一部に直進案内部を形成したことにより、直進案内部において、被搬送物を、姿勢を一定にさせた常態で搬送させることができる。つまり、円板状の搬送体を回転させることで被搬送物を搬送体の周方向に搬送する搬送装置であっても、一部の領域において被搬送物の姿勢を一定にした状態で搬送位置を規制して搬送させることができるようになる。
【0022】
請求項4の発明によれば、搬送体としてコンベアベルトを利用する構成にしたため、既存のベルトコンベアを利用することができ、位置規制した状態で高速に被搬送物を搬送できる搬送装置を安価に構成することができる。
【0023】
請求項5の発明によれば、コンベアベルトに次々に供給される被搬送物が、個々に位置が微妙にずれていたとしても、搬送経路規制部材の直進案内部においては個々の被搬送物の搬送位置を規制することができる。つまり、安価なベルトコンベア装置であっても、被搬送物の搬送経路を厳密に統制することが可能になる。
【0024】
請求項6の発明によれば、非破壊検査装置における搬送部を搬送回転テーブルで構成したことにより、非破壊検査装置全体を小型化することができる。また、被搬送物が、搬送
回転テーブルの搬送力によって搬送経路規制部材の搬送ガイド部に押し付けられた状態で摺動案内されているときに、電磁波が照射されて非破壊検査されるように構成したことによって、検査精度を向上させることができる。特に、被搬送物は、その搬送経路が搬送経路規制部材の搬送ガイド部によって規制されているため、特に微細な領域をピンポイントで検査する場合などに好適に用いることができる。さらに、搬送回転テーブルの搬送力を増加させることで、被搬送物の搬送速度を向上させることができるとともに、被搬送物をより強い力で搬送経路規制部材に押し付けることができ、より確実に搬送経路を規制することができる。つまり、このような構成によって、高速かつ高精度に非破壊検査を行うことができる。結果として、被搬送物のコスト削減と品質向上を図ることができる。
【0025】
請求項7の発明によれば、一定の姿勢で摺動案内されている被搬送物に対して電磁波を照射して非破壊検査するようにしたため、常に一定の姿勢で位置規制された被搬送物を非破壊検査することになり、検査精度を極めて向上させることができる。
【0026】
請求項8の発明によれば、非破壊検査装置の搬送部として、コンベアベルトを用いた構成にしたことにより、汎用性のあるコンベアベルトを用いた安価な非破壊検査装置でも高精度の非破壊検査を実行することができる。また、被搬送物は、その搬送経路が搬送経路規制部材の搬送ガイド部によって規制されているため、特に微細な領域をピンポイントで検査する場合などに好適に用いることができる。さらに、コンベアベルトの搬送力を増加させることで、被搬送物の搬送速度を向上させることができるとともに、被搬送物をより強い力で搬送経路規制部材に押し付けることができ、より確実に搬送経路を規制することができる。つまり、このような構成によって、検査速度と検査精度を高度に両立させることができ、結果として、被搬送物のコスト削減と品質向上を図ることができる。
【0027】
請求項9の発明によれば、一定の姿勢で摺動案内されている被搬送物に対して電磁波を照射して非破壊検査するようにしたため、常に一定の姿勢で位置規制された被搬送物を非破壊検査することになり、検査精度を極めて向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
<第1実施形態>
以下、本発明の搬送装置を図面に従って説明する。
図1〜図4は、本発明における搬送装置1の構成を説明するための図である。図1は、搬送装置1を前方から見たときの斜視図であり、図2は、搬送装置1を後方から見たときの斜視図である。さらに、図3は、搬送装置1を正面から見たときの正面図である。図4は、搬送装置1の作用を説明するための説明図である。
【0029】
図1において、搬送装置1は、載置台2を備えている。載置台2の上面には、支持台5が連結固定されており、支持台5の前後両端部には、支持フレーム6が立設されている。前後一対の支持フレーム6の上端部間には支持板7が連結固定されており、その支持板7は、載置台2と平行に配置される支持枠8を連結固定している。支持枠8の中央部分には貫通孔が形成されており、その下面には駆動装置としてのモータ9を支持固定し、モータ9の駆動軸10を、支持枠8の貫通孔を通過させ上方に突出させている。
【0030】
駆動軸10は、ジョイント11を介して駆動軸13(図3参照)に連結される。駆動軸13の上端部は、円板状に形成された搬送体としての搬送回転テーブル15の中心部に連結固定されている。従って、モータ9が正逆回転すると、搬送回転テーブル15も正逆回転する。搬送回転テーブル15の上面15aの中心部15bには、固定部材16が螺合されている。なお、本実施形態では、モータ9によって、図4において矢印J方向(反時計回り方向)に搬送回転テーブル15は回転し、搬送回転テーブル15に配置された被搬送物Sを搬送するようになっている。詳述すると、搬送回転テーブル15において、一点鎖
線で示す供給領域Z1に配置された被搬送物Sを、一点鎖線で示す排出領域Z2に搬送する。
【0031】
一方、前記載置台2の左右両端部には、左側支持板4、右側支持板3それぞれが立設されている。右側支持板3及び左側支持板4の上端部間には、連結フレーム17が連結固定されている。連結フレーム17には、ベアリング14が設けられ、そのベアリング14は前記駆動軸13を回転可能に支持している。従って、搬送回転テーブル15の重量はモータ9の駆動軸10に荷重されることはなく、搬送回転テーブル15は安定して回転する。
【0032】
右側及び左側支持板3,4の上端部近傍には、それぞれ第1の支持バー20が連結固定されている。一対の第1の支持バー20は、前方に延出され、その先端部には、第2の支持バー21が左右方向で搬送装置1の外側に延出されるように連結されている。左右一対の第2の支持バー21の先端部は、搬送回転テーブル15よりも外側に位置するところまで延出されており、その先端部には、それぞれ第3の支持バー22の基端部が連結固定されている。第3の支持バー22は、上方に向かって延出され、その先端部はそれぞれ搬送回転テーブル15よりも上方に位置するところまで延出されている。
【0033】
左右一対の第3の支持バー22の先端部間には、搬送経路規制部材としての搬送ガイドバー23が連結固定されている。搬送ガイドバー23は、搬送回転テーブル15の上面15aよりも上方に位置し、かつ、図4に示すように、搬送回転テーブル15の中心部15bよりも前側に偏倚した位置に配置される。詳述すると、本実施形態では、図4に示すように、搬送ガイドバー23の中間位置23bは、搬送回転テーブル15の中心部15bから最短距離に有り、その中間位置23bと搬送回転テーブル15の中心部15bとを結ぶ直線が搬送ガイドバー23と直交するようになっている。中間位置23bと搬送回転テーブル15の中心部15bの距離は予め設定されている。
【0034】
なお、搬送回転テーブル15の上面15aと搬送ガイドバー23との間で形成される隙間は、本実施形態では、搬送回転テーブル15に載置する被搬送物Sが隙間を通過しない間隔に設定されている。
【0035】
図2に示すように、左側支持板4の上端部には、第4の支持バー30が連結固定され、その先端部が右側支持板3と左側支持板4との中間位置まで延出されている。第4の支持バー30の先端部には、第5の支持バー31の基端部が連結固定されている。ここで、第5の支持バー31の先端部は、後方に向かって搬送回転テーブル15よりも外側まで延出されている。第5の支持バー31の先端部には、第6の支持バー32の基端部が連結固定されている。第6の支持バー32の先端部は、搬送回転テーブル15の上面15aよりも上方となるように延出されている。第6の支持バー32の先端部には、排出ガイドバー33の基端部が連結固定されている。そして、排出ガイドバー33は、搬送ガイドバー23と同様に搬送回転テーブル15とは間隔をあけて支持されている。また、図4に示すように、排出ガイドバー33は、その基端部が前記供給領域Z1と前記排出領域Z2の間であって、前記排出領域Z2に隣接する位置に配置されるとともに、その先端が搬送回転テーブル15の中心部より右側に偏倚した位置に配置されている。つまり、排出ガイドバー33の基端部における搬送回転テーブル15の接線Tと排出ガイドバー33とのなす角θが、90度より大きく設定されている。
【0036】
なお、搬送回転テーブル15は、表面が歪曲してしまうことを防止するために、アルミやステンレスやセラミックなど、耐久性のある材料で形成されており、表面は、充分に研磨されて平面状に形成されている。また、搬送ガイドバー23の側面であって、搬送回転テーブル15の中心部15b側の側面には、搬送ガイド部としての当接面23aが、直線状に形成されており、同様に充分に研磨されている。つまり、当接面23aの全領域が直
進案内部となっている。
【0037】
次に、上記のように構成した搬送装置1の作用について図4に従って説明する。
今、図4において、搬送回転テーブル15がモータ9によって矢印Jに示す方向(反時計回り方向)に回動されるものとする。
【0038】
そして、搬送回転テーブル15が反時計回りに回転されている状態で、搬送回転テーブル15の供給領域Z1に被搬送物Sが載置されると、被搬送物Sは搬送回転テーブル15とともに中心部15bを中心として周方向に周回する。やがて、周回する被搬送物Sは、搬送ガイドバー23に当接し、周方向の周回が規制される。
【0039】
このとき、被搬送物Sは、回転する搬送回転テーブル15からの受ける周方向の力P0によって、搬送ガイドバー23に沿って移動させられる分力P2を受ける。そのため、被搬送物Sは、この分力P2によって、搬送ガイドバー23に沿って移動する。このとき、被搬送物Sは、力P0によって、搬送ガイドバー23に直交する方向に押し付けられる分力P1を受ける。従って、被搬送物Sは、搬送ガイドバー23に押し付けられた状態で摺動案内されることになる。
【0040】
被搬送物Sが、搬送回転テーブル15上において搬送ガイドバー23の中間位置23bに配置されたとき、同被搬送物Sに加わる搬送回転テーブル15からの受ける周方向の力P0が、搬送ガイドバー23から離間して周回する方向に変わる。
【0041】
その結果、搬送ガイドバー23の中間位置23bまで被搬送物Sが移動すると、被搬送物Sは、搬送ガイドバー23から離間し、搬送回転テーブル15とともに中心部15bを中心として周方向(反時計回り方向)に周回する。やがて、周回する被搬送物Sは、排出ガイドバー33の当接面33aに当接し、搬送ガイドバー23と同様に、周方向の周回が規制される。
【0042】
被搬送物Sは、排出ガイドバー33によって、反時計回り方向の周回が規制されると、回転する搬送回転テーブル15からの受ける周方向の力P0の分力P2によって、排出ガイドバー33に沿って排出領域Z2に移動する。
【0043】
つまり、供給領域Z1に配置された被搬送物Sは、搬送ガイドバー23に当接するまで周回し、搬送ガイドバー23に当接すると、搬送ガイドバー23の中間位置23bまで搬送ガイドバー23に沿って移動する。被搬送物Sは、中間位置23bまで移動すると、搬送ガイドバー23から離間して周回する。やがて、被搬送物Sは、排出ガイドバー33に当接し排出ガイドバー33に沿って排出領域Z2まで移動する。
【0044】
次に、上記のように構成した搬送装置の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態では、搬送回転テーブル15の上側に搬送ガイドバー23及び排出ガイドバー33を配置し、搬送回転テーブル15を回転させるといった簡単な安価な構成で、被搬送物Sを供給領域Z1から排出領域Z2までの間を、方向を変えながら搬送することができる搬送装置1を提供することができる。
【0045】
しかも、搬送回転テーブル15を回転し、その搬送回転テーブル15上で被搬送物Sを搬送する構成なので、装置全体を小型化することができ、その他の装置に大型化させることなく組み付けることができる。
【0046】
(2)本実施形態では、被搬送物Sは、搬送ガイドバー23に沿って中間位置23bまで移動する際には、搬送回転テーブル15の回転力(搬送力)にて搬送ガイドバー23に
押し付けられながら移動する。従って、搬送ガイドバー23に沿って被搬送物Sが移動している間は、被搬送物Sの搬送姿勢を確実に一方向に規制することができる。
【0047】
(3)本実施形態では、搬送回転テーブル15の上面15aを研磨して摩擦係数を小さくするとともに、搬送ガイドバー23及び排出ガイドバー33の当接面23a,33aも研磨して摩擦係数を小さくした。従って、被搬送物Sは、スムーズに搬送ガイドバー23及び排出ガイドバー33に沿って移動することが可能であり、被搬送物Sが搬送回転テーブル15、搬送ガイドバー23及び排出ガイドバー33と摺接することによって生じる微振動を低減させることができる。
【0048】
なお、本実施形態は、搬送回転テーブル15、搬送ガイドバー23及び排出ガイドバー33は、特に限定しなかった。搬送装置1の使用環境に応じて適宜変更してもよい。例えば、搬送回転テーブル15の材質としては、硬度があれば充分であり、アクリルやガラス等を用いて搬送回転テーブル15を作成してもよい。このような材質を用いることで、搬送回転テーブル15の加工を容易にすることができる。さらに、搬送回転テーブル15をアクリルやガラスで作成することは、搬送回転テーブル15を透明なテーブルとして作成することができ、下方からの外観検査も実施することができるようになる。
【0049】
<第2実施形態>
次に、本発明の第2実施形態を図面に従って説明する。
第2実施形態の搬送装置1の基本構成は、第1実施形態に記載した搬送装置1と同等であるため、ここでは第2実施形態の搬送装置1の特徴部分のみの説明に留め、基本構成についての説明は省略する。
【0050】
図5は搬送装置1を後方から見たときの斜視図であり、図6は搬送装置1を上方から見たときの平面図である。
図6に示すように、排出ガイドバー33の時計回り方向側であって、排出ガイドバー33と搬送ガイドバー23の間に、第2の排出ガイドバー50を設ける。この第2の排出ガイドバー50は、排出ガイドバー33(以下、第2の排出ガイドバー50と区別するために、これを第1の排出ガイドバー33という)と相違して、基端部を回動中心として回動する。このとき、第2の排出ガイドバー50は、実線位置で示す回収位置と2点鎖線で示す待機位置の2位置間を回動する。この回動動作は、モータ51にて回動する。モータ51は、図5に示すように、右側支持板3に固設された支持部板52に支持固定され、その回転軸51aが第2の排出ガイドバー50の基端部と連結固定されている。
【0051】
また、第1の排出ガイドバー33及び第2の排出ガイドバー50の基端部側であって、搬送回転テーブル15の下側には、第1案内樋53及び第2案内樋54が図示しない支持部材を介して配設されている。第1案内樋53は、第1の排出ガイドバー33に沿って案内されてくる被搬送物Sを受け止め、図示しない第1回収箱へ案内する。第2案内樋54は、第2の排出ガイドバー50に沿って案内されてくる被搬送物Sを受け止め、図示しない第2回収箱へ案内する。
【0052】
そして、搬送ガイドバー23から離間して周回してくる被搬送物Sを第2の排出ガイドバー50で回収したい場合には、第2の排出ガイドバー50を回収位置に配置すれば、被搬送物Sは、第2の排出ガイドバー50に当接し、同第2の排出ガイドバー50に沿って移動し第2案内樋54を介して第2回収箱に搬送される。また、搬送ガイドバー23から離間して周回してくる被搬送物Sを下流側の第1の排出ガイドバー33にて回収させる場合には、第2の排出ガイドバー50を2点鎖線で示す待機位置に配置すれば、被搬送物Sは、下流側の第1の排出ガイドバー33に当接し、同第1の排出ガイドバー33に沿って移動し第1案内樋53を介して第1回収箱に搬送される。
【0053】
従って、この場合には、被搬送物Sを適宜選択して2つの位置(第1回収箱と第2回収箱)に搬送することができる。
以上、詳述したように、本実施形態は、上記第1実施形態の効果に加えて以下の効果を有する。
【0054】
(1)本実施形態によれば、第1の排出ガイドバー33と第2の排出ガイドバー50を設け、第2の排出ガイドバー50を回収位置と待機位置の2位置間を回動するように構成した。従って、搬送回転テーブル15上を搬送される被搬送物Sを、適宜選択して2つの位置(第1回収箱と第2回収箱)に搬送することができる。その結果、例えば、搬送回転テーブル15上で搬送されている被搬送物Sをその搬送途中で良品か不良品かの検査装置で検査を行う場合、良品と判定した被搬送物Sを第1の回収箱に、不良品と判定した被搬送物Sを第2回収箱に回収させることができる。
【0055】
<第3実施形態>
次に、本発明の第3実施形態を図7に従って説明する。
第3実施形態の搬送装置1は、搬送経路規制部材としての搬送ガイド23Aの形状に特徴を有し、他は上記第1及び第2実施形態で説明した搬送装置1と基本構成が同じであるので、構成の詳細についての説明は省略し、特徴部分のみの説明に留める。
【0056】
図7において、本実施形態の搬送ガイド23Aは、第1及び第2実施形態の搬送ガイドバー23が四角柱であるのに対して、平板である。そして、平板の搬送ガイド23Aは、その第1及び第2の排出ガイドバー33,50側の側面を切り欠いて搬送ガイド部を構成する搬送ガイド面60が形成されている。
【0057】
搬送ガイド面60は、供給領域Z1からの被搬送物Sを受け止め最初に摺動案内させる第1ガイド部61と、その第1ガイド部61に続いて被搬送物Sの姿勢を一定にした状態で摺動案内させる直進案内部としての第2ガイド部62と、その第2ガイド部62に続いて被搬送物Sを離間位置まで摺動案内させる第3ガイド部63とから構成されている。
【0058】
第1ガイド部61は、円弧状に形成されたガイド面であって、第2ガイド部62に到るまで同じ曲率で形成されている。従って、供給領域Z1からの被搬送物Sが、第1ガイド部61に当接するとき、第1ガイド部61のガイド面が円弧状に形成されているので、被搬送物Sの周方向の力が、徐々に吸収されていく。その結果、被搬送物Sが第1ガイド部61に当接する際の衝撃力は小さくなり、被搬送物S及び第1ガイド部61を損傷させたり、被搬送物Sを表裏反転させたり、弾き飛ばしたりすることなく、被搬送物Sを第2ガイド部62側に案内する。また、衝撃力は小さくなる分、搬送スピードを上げることができる。
【0059】
第2ガイド部62は、第1ガイド部61から第3ガイド部63に到るまで直線状に形成されたガイド面であって、被搬送物Sをガイド面に摺動させながら第3ガイド部63まで案内させる。従って、第1ガイド部61からの被搬送物Sが、第2ガイド部62に案内されたとき、第2ガイド部62のガイド面が直線状に形成されているので、被搬送物Sは姿勢を一定にした状態でそのガイド面を摺動する。
【0060】
第3ガイド部63は、円弧状に形成されたガイド面であって、離間位置に到るまで同じ曲率で形成されている。従って、第2ガイド部62からの被搬送物Sが、第3ガイド部63に案内されるとき、第3ガイド部63のガイド面が円弧状に形成されているので、被搬送物Sは姿勢を変えながら離間位置にまで案内されて行く。
【0061】
以上、詳述したように、本実施形態は、上記第1及び第2実施形態の効果に加えて以下の効果を有する。
(1)本実施形態によれば、搬送ガイド23Aに、第1〜第3ガイド部61〜63からなる搬送ガイド面60を形成した。そして、第1ガイド部61はそのガイド面を円弧状に形成して被搬送物Sの周方向の力(搬送力)が、徐々に吸収されていくようにした。従って、被搬送物Sが第1ガイド部61に当接する際の衝撃力は小さくなり、被搬送物S及び第1ガイド部61を損傷させたり、被搬送物Sを表裏反転させたり、弾き飛ばしたりすることなく、被搬送物Sを案内することができる。また、衝撃力は小さくなる分、被搬送物Sの搬送スピードを上げることができる。
【0062】
(2)本実施形態によれば、第1ガイド部61に続いて形成された第2ガイド部62は、直線状に形成して被搬送物Sの姿勢を一定にした状態で被搬送物Sを摺動させるようにした。従って、搬送回転テーブル15上を搬送される被搬送物Sを搬送途中で良品か不良品かを判定する検査装置で検査を行う場合に、第2ガイド部62で被搬送物Sがその姿勢を一定に制御されている位置で検査を行えば、精度の高い検査が可能となる。
【0063】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態の搬送装置1を図8に従って説明する。
図8において、搬送装置1は、公知のベルトコンベア70を基本構造としている。ベルトコンベア70は、コンベア脚71を有したコンベア基台72に搬送体としてのコンベアベルト73が設けられている。コンベアベルト73は図示しないモータにて回転駆動し、コンベアベルト73上に載置された被搬送物Sを、矢印方向に搬送する。なお、説明の便宜上、コンベアベルト73について、図8において、手前側を上流側、後方を下流側、上流側から下流側を見て、右側を右側、左側を左側という。
【0064】
コンベアベルト73の上方位置であって、同コンベアベルト73の上流端と下流端を挟んだ中央位置には、L字状の搬送ガイド74が配置されている。L字状の搬送ガイド74は、その両基端部がコンベアベルト73から離間したコンベア基台72の右側に対して、それぞれ間隔保持部材75を介して連結固定されている。
【0065】
L字状の搬送ガイド74の一方(上流側)の辺には搬送ガイド部及び直進案内部としてのガイド部74aが形成されている。ガイド部74aは、コンベアベルト73の搬送方向に対して、上流から下流に向かって斜めに交差するように、コンベア基台72の右側からコンベアベルト73の横幅略2/3の位置まで左側へのびるように形成されている。
【0066】
このように構成したことによって、コンベアベルト73の上流位置であって、コンベアベルト73の右側に被搬送物Sを載置すると、被搬送物Sはコンベアベルト73によって下流側に搬送される。やがて、被搬送物Sは、搬送ガイド74のガイド部74aに当接すると、図4における説明と同様に、ガイド部74aに押し付けられた状態でコンベアベルト73上を摺動することになる。つまり、被搬送物Sはコンベアベルト73の右側から左側に変移しながら下流側に搬送される。そして、被搬送物Sは、ガイド部74aの終端(下流端)まで案内されると、ガイド部74aから開放されて、以後、左側に変移することなく下流に搬送される。
【0067】
次に、上記のように構成した搬送装置1の効果を以下に記載する。
(1)本実施形態では、コンベアベルト73の上方に搬送ガイド74を配置したことで、簡単で安価な構成で、被搬送物Sが上流側から下流側に搬送される間に、コンベアベルト73の右側から左側に変移させる搬送を行うことができる搬送装置1を提供することができる。
【0068】
(2)本実施形態では、被搬送物Sは、搬送ガイド74のガイド部74aに沿って右側から左側に移動する際には、コンベアベルト73の搬送力にてガイド部74aに押し付けられながら移動する。従って、ガイド部74aに沿って被搬送物Sが移動している間は、被搬送物Sはコンベアベルト73の搬送によって振動が付与されることもなく、その搬送姿勢を確実に一方向に規制されて搬送される。
【0069】
発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
○前記第2実施形態では、第2の排出ガイドバー50を設け、第2の排出ガイドバー50を回収位置と待機位置の2位置間を回動するように構成した。そして、搬送回転テーブル15上を搬送される被搬送物Sを適宜選択して2つの位置(第1回収箱と第2回収箱)に搬送するようにした。
【0070】
これを、第2の排出ガイドバー50を、図9に示すように、その回収位置からの上方の位置に上動させるように実施してもよい。なお、上動位置は、搬送回転テーブル15上の被搬送物Sが当接しない位置である。またこの場合、第2の排出ガイドバー50を上下動させるのは、電磁ソレノイドSLが行うことになる。
【0071】
そして、第1の排出ガイドバー33に従って被搬送物Sを回収したい場合には、第2の排出ガイドバー50を上動させて、被搬送物Sを第1の排出ガイドバー33に案内させる。反対に、第2の排出ガイドバー50に従って被搬送物Sを回収したい場合には、第2の排出ガイドバー50を回収位置まで下動させて、被搬送物Sを第2の排出ガイドバー50に当接させる。従って、この場合にも、第2実施形態と同様な効果を期待することができる。
【0072】
○前記第3実施形態では、搬送ガイド23Aに、第1〜第3ガイド部からなる搬送ガイド面60を形成し、被搬送物Sの姿勢を一定にするため直線状に形成して第2ガイド部62を設けたが、搬送ガイド面60には、被搬送物Sの姿勢を一定にするため直線状に形成してガイド部を設けなくともよい。例えば、図10(a)に示すように、搬送ガイド23Aの搬送ガイド面60が、被搬送物Sが摺動していくほど、曲率が小さくなるように形成してもよい。搬送ガイド面60をこのような形状にすることによって、被搬送物Sは周方向に近似した搬送経路を摺動案内されることになる。従って、被搬送物Sの搬送速度を向上させることができる。
【0073】
また、図10(b)に示すように、搬送ガイド23Aの搬送ガイド面60を、平板を搬送回転テーブル15の径より短い径の円の部分円弧に沿って切り欠くことで、曲率が一定となるように形成してもよい。平板を切り欠いている円の中点60aを、搬送回転テーブル15の中心部15bと変位させて設置することで、上記と同様の効果を得ることができる。さらに、このようにして搬送ガイド面60をこのような形状となるように形成することで、搬送ガイド23Aの加工が容易となり、低コストで再現性のある搬送ガイド23Aを得ることができる。
【0074】
○前記第4実施形態では、コンベアベルト73に設けた搬送ガイド74のガイド部74aは、被搬送物Sの姿勢を一定にするために直線状であった。これを図11に示すように、ガイド部74aを曲線状にして実施してもよい。また、図12に示すように、搬送ガイド74を、平板材を切り欠いて円弧状のガイド部74aを形成して実施してもよい。さらに、図13に示すように、被搬送物Sの姿勢を一定にするために2つのガイド部74a、74bを有する搬送ガイド74を設けて実施してもよい。ガイド部74aをこのような形状にすることによって、被搬送物Sを所望の経路に規制して搬送させることができる。
【0075】
○前記第4実施形態の搬送ガイド74は、そのガイド部74aのコンベアベルト73となす角度は固定であった。これを、適宜変更できるようにしてもよい。例えば、図14に示すように、コンベア脚71にベース81を固設し、そのベース81に対して、モータ82を、その回転軸82aが上方に向くように固定する。モータ82の回転軸82aには、搬送ガイドバー83の基端部が連結固定されている。そして、搬送ガイドバー83を、モータ82を回転駆動させることにより、モータ82の回転軸82aを回動中心に回動させ、コンベアベルト73となす角度を適宜変更して実施してもよい。
【0076】
また、モータ82を用いないで、手作業にて搬送ガイドバー83のコンベアベルト73となす角度を適宜変更調整するようにしてもよい。
このように搬送ガイドバー83を回動可能に構成したことによって、被搬送物Sの質量、や大きさ、又は搬送速度などに応じて、搬送ガイドバー83のコンベアベルト73となす角度を調節できるため、被搬送物Sを安定して搬送させることができる。
【0077】
さらに、図15に示すように、コンベア脚71に固設したベース81に対して、一対の基台84を設け、その一対の基台84に対して第4実施形態の搬送ガイド74を取着してもよい。このような構成で搬送ガイド74を取着することで、既存のベルトコンベアに容易に搬送ガイドを容易に取着することができる。
【0078】
○上記実施形態の搬送装置1を、被搬送物Sにミリ波を照射し、その反射波、透過波、又は散乱波を受信部で検出し、被搬送物Sの良否を検出する非破壊検査装置に取り付けて搬送部として実施してもよい。
【0079】
例えば、図16に示すように、第1実施形態の搬送装置1を、非破壊検査装置100の搬送部として、電磁波照射部及び受信部とから構成される検出部101の下方に配置して実施してもよい。この場合、ホッパー102から被搬送物Sを搬送回転テーブル15上に供給する。そして、搬送回転テーブル15に供給された被搬送物Sが、一定の姿勢で搬送ガイドバー23に沿って移動しているとき、上方の検出部101からミリ波が照射され、その反射波が同じく検出部101にて受信される。そして、非破壊検査装置100において、受信した検出信号に基づいて良否が判断される。つまり、搬送ガイドバー23に沿って搬送しているとき、被搬送物Sはその良否が検出される。そして、良否が検出された被搬送物Sは、排出ガイドバー33を介して、非破壊検査装置100の回収箱103に回収される。また、図示はしないが、第2実施形態及び第3実施形態の搬送装置1も同様に実施可能である。特に第2実施形態の搬送装置1を搬送部とする場合は、第1の排出ガイドバー33や第2の排出ガイドバー50(図5及び図6参照)を介して良否判定に応じて良品、不良品に選別される。これらのような場合、これら搬送装置1において、被搬送物Sは搬送ガイドバー23にて一定の姿勢に保持して移動されているため、非破壊検査装置100の検出部101は高精度に被搬送物Sを検出することができる。さらに、搬送回転テーブル15の搬送力を増加させることで、被搬送物Sの搬送速度が向上するとともに、被搬送物Sがより強い力で搬送ガイドバー23に押し付けられるため、より確実に搬送経路が規制されることになる。つまり、検査速度と検査精度を高度に両立することができ、結果として、被搬送物Sの製造コストの削減と品質向上を図ることができる。
【0080】
また、図17に示すように、第4実施形態の搬送装置1を、非破壊検査装置100の検出部101の下方に配置して実施してもよい。この場合、ホッパー102から被搬送物Sをコンベアベルト73の上流に供給する。
【0081】
そして、コンベアベルト73にて搬送される被搬送物Sが、一定の姿勢で搬送ガイド74のガイド部74aに沿って移動しているとき、上方の検出部101からミリ波が照射され、その反射波が同じく検出部101にて受信される。そして、非破壊検査装置100に
おいて、受信した検出信号に基づいて良否が判断される。つまり、搬送ガイド74に沿って搬送しているとき、被搬送物Sはその良否が判断される。そして、良否が検出された被搬送物Sは、搬送ガイド74の下流側へ搬送される。このとき、搬送ガイド74の下流側へ搬送された被搬送物Sは、コンベア基台72に取着されたモータ110にて回動される振り分けレバー111にて振り分けられる。詳述すると、検出部101での検出で良品と判定された被搬送物Sは、図17で手前側に配置された良品回収箱112に振り分けレバー111で回収する。検出部101での検出で不良品と判定された被搬送物Sは、振り分けレバー111に当接させることなく、そのまま下流に移送させ、コンベアベルト73の下流端から落下させ図示しない不良品回収箱に排出するようにする。
【0082】
この場合、これら搬送装置1において、被搬送物Sは搬送ガイド74にて一定の姿勢に保持して移動されているため、非破壊検査装置100の検出部101は高精度に被搬送物Sを検出することができる。さらに、コンベアベルト73の搬送力を増加させることで、被搬送物Sの搬送速度が向上するとともに、被搬送物Sがより強い力で搬送ガイド74に押し付けられるため、より確実に搬送経路が規制されることになる。つまり、検査速度と検査精度を高度に両立することができ、結果として、被搬送物Sの製造コストの削減と品質向上を図ることができる。
【0083】
○上記実施形態の搬送装置1は、搬送させた被搬送物Sを検査する種々の検査装置の搬送部として適用することが可能である。例えば、搬送されてくる被搬送物S中の金属を探知する金属探知機や、同様に、搬送されてくる被搬送物Sを非破壊で検査するX線非破壊検査装置や3次元計測装置などにおける搬送部としても実施が可能である。搬送部における被搬送物Sは、高速で搬送されつつ、かつ搬送経路が厳密に規制されているため、どのような検査装置であっても、検査速度と検査精度を高度に両立することができる。
さらに、搬送装置1は、検査装置の搬送部に限定されず、被搬送物Sを搬送する機能を有するあらゆる装置の搬送部として適応が可能である。
【0084】
○上記第1実施形態では、搬送ガイド部は当接面23aとして面状に形成したが、被搬送物Sを摺動案内させることができればよく、例えば、ワイヤーや薄状板などを用いて、被搬送物Sと線接触に近い状態で当接するようにライン状に形成してもよい。このように形成することで、搬送ガイド部と被搬送物Sとの間の摩擦を減少させて、被搬送物Sの移動をさらにスムーズにすることができる。これは、第1実施形態に限らず、他の実施形態でも同様である。
【図面の簡単な説明】
【0085】
【図1】第1実施形態の搬送装置を前方から見たときの斜視図。
【図2】第1実施形態の搬送装置を後方から見たときの斜視図。
【図3】第1実施形態の搬送装置を正面から見たときの正面図。
【図4】第1実施形態の搬送装置の作用を説明するための説明図。
【図5】第2実施形態の搬送装置を後方から見たときの斜視図。
【図6】第2実施形態の搬送装置を上方から見たときの平面図。
【図7】第3実施形態の搬送装置を上方から見たときの平面図。
【図8】第4実施形態の搬送装置を前方から見たときの斜視図。
【図9】別例の搬送装置を前方から見たときの斜視図。
【図10】(a)別例の搬送装置を上方から見たときの平面図。(b)同じく、別例の搬送装置を上方から見たときの平面図。
【図11】別例の搬送装置を前方から見たときの斜視図。
【図12】別例の搬送装置を前方から見たときの斜視図。
【図13】別例の搬送装置を前方から見たときの斜視図。
【図14】別例の搬送装置を前方から見たときの斜視図。
【図15】別例の搬送装置を前方から見たときの斜視図。
【図16】第1実施形態の搬送装置を用いた非破壊検査装置を後方から見たときの斜視図。
【図17】第4実施形態の搬送装置を用いた非破壊検査装置を後方から見たときの斜視図。
【符号の説明】
【0086】
1…搬送装置、15…搬送体としての搬送回転テーブル、23…搬送経路規制部材としての搬送ガイドバー、23a…搬送ガイド部及び直進案内部としての当接面、62…直進案内部としての第2ガイド部、73…搬送体としてのコンベアベルト、74a…搬送ガイド部及び直進案内部としてのガイド部、100…非破壊検査装置、101…電磁波照射部及び受信部とから構成される検出部、S…被搬送物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
載置した被搬送物を搬送する搬送装置であって、
前記被搬送物を載置して一方向に搬送する搬送体と、
前記搬送体の上方位置において、前記一方向に搬送される前記被搬送物と当接するとともに前記搬送体の前記被搬送物に対する前記一方向の搬送力に基づいて、その一方向と異なる方向に被搬送物を摺動案内する搬送経路規制部材と
を設けたことを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
請求項1記載の搬送装置において、
前記搬送体は、円盤状に形成された搬送回転テーブルであって、前記被搬送物の一方向の搬送は、前記搬送回転テーブルの回転に伴う周方向の搬送であり、
前記搬送経路規制部材は、前記搬送回転テーブルの回転に伴って周方向に搬送される前記被搬送物と当接し、前記搬送回転テーブルの前記被搬送物に対する前記周方向の搬送力に基づいて、その周方向と異なる方向に前記被搬送物を所定の距離だけ摺動案内した後、前記被搬送物を離間して前記被搬送物を前記周方向に搬送させる搬送ガイド部を有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項3】
請求項2記載の搬送装置において、
前記搬送ガイド部は、少なくとも一部に前記被搬送物の姿勢を一定にさせて、前記所定の距離だけ前記周方向と異なる方向に摺動案内する直進案内部を有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項4】
請求項1記載の搬送装置において、
前記搬送体は、コンベアベルトであって、前記被搬送物の一方向の搬送は、前記コンベアベルトの上流側から下流側への移動に伴う直線方向の搬送であり、
前記搬送経路規制部材は、前記コンベアベルトの移動に伴って前記直線方向に搬送される前記被搬送物と当接し、前記コンベアベルトの前記被搬送物に対する前記直線方向の搬送力に基づいて、その直線方向と異なる方向に前記被搬送物を所定の距離だけ摺動案内した後、前記被搬送物が離間して前記被搬送物を前記直線方向に前記被搬送物を搬送させる搬送ガイド部を有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項5】
請求項4記載の搬送装置において、
前記搬送ガイド部は、少なくとも一部に前記被搬送物の姿勢を一定にさせて、前記所定の距離だけ前記直線方向と異なる方向に摺動案内する直進案内部を有していることを特徴とする搬送装置。
【請求項6】
被搬送物を搬送する搬送部と、
前記被搬送物を検査するために、前記搬送部による搬送中の前記被搬送物に電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記電磁波照射部が前記被搬送物に照射する電磁波の反射波、透過波、又は散乱波を受信する受信部と
を備えた非破壊検査装置において、
前記搬送部は、
回転に伴って周方向に前記被搬送物を搬送する搬送回転テーブルと、
前記搬送回転テーブルの回転に伴って周方向に搬送される前記被搬送物と当接し、前記搬送回転テーブルの前記被搬送物に対する前記周方向の搬送力に基づいて、その周方向と異なる方向に前記被搬送物を所定の距離だけ摺動案内した後、前記被搬送物が離間して前記被搬送物を前記周方向に搬送させる搬送ガイド部を有した搬送経路規制部材と
を備え、
前記電磁波照射部は、前記搬送経路規制部材の搬送ガイド部にて周方向と異なる方向に前記所定の距離だけ摺動案内されている被搬送物に対して電磁波を照射する位置に配置したことを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項7】
請求項6記載の非破壊検査装置において、
前記搬送ガイド部は、少なくとも一部に前記被搬送物の姿勢を一定にさせて、前記所定の距離だけ前記周方向と異なる方向に摺動案内する直進案内部を有し、
前記電磁波照射部は、前記一定の姿勢で摺動案内されている被搬送物に対しての電磁波を照射する位置に配置したことを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項8】
被搬送物を搬送する搬送部と、
前記被搬送物を検査するために、前記搬送部による搬送中の前記被搬送物に電磁波を照射する電磁波照射部と、
前記電磁波照射部が前記被搬送物に照射する電磁波の反射波、透過波又は散乱波を受信する受信部と
を備えた非破壊検査装置において、
前記搬送部は、
前記被搬送物を上流側から下流側へ直線方向に搬送するコンベアベルトと、
前記コンベアベルトにて直線方向に搬送される前記被搬送物と当接し、前記コンベアベルトの前記被搬送物に対する前記直線方向の搬送力に基づいて、その直線方向と異なる方向に前記被搬送物を所定の距離だけ摺動案内した後に、前記被搬送物が離間して前記被搬送物を前記直線方向に搬送させる搬送ガイド部を有した搬送経路規制部材と
を備え、
前記電磁波照射部は、前記搬送経路規制部材の搬送ガイド部にて直線方向と異なる方向に前記所定の距離だけ摺動案内されている被搬送物に対して電磁波を照射する位置に配置したことを特徴とする非破壊検査装置。
【請求項9】
請求項8記載の非破壊検査装置において、
前記搬送ガイド部は、少なくとも一部に前記被搬送物の姿勢を一定にさせて、前記所定の距離だけ前記直線方向と異なる方向に摺動案内する直進案内部を有し、
前記電磁波照射部は、前記一定の姿勢で摺動案内されている被搬送物に対しての電磁波を照射する位置に配置したことを特徴とする非破壊検査装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2008−7324(P2008−7324A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−182439(P2006−182439)
【出願日】平成18年6月30日(2006.6.30)
【出願人】(504368077)三重津田電器産業 株式会社 (6)
【Fターム(参考)】