説明

搬送装置またはセメント冷却装置の内部清掃用具およびこれらの内部清掃方法

【課題】内部にスクリューを備えた外筒の内面に付着した搬送物を、効率的、かつ確実に除去することが可能な搬送装置またはセメント冷却装置の内部清掃用具およびこれらの内部清掃方法を提供する。
【解決手段】本発明のセメント冷却装置の内部清掃用具21は、スクリュー13に設けられる。スクリュー13を構成する羽根13aの一面側および他面側それぞれ形成された一対の係止具22a,22bと、この係止具22a,22bに一端および他端がそれぞれ係止される鎖状の清掃具23とから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、スクリューを備えた搬送装置の内部清掃用具、およびセメント冷却装置に関し、さらに詳しくは、簡単な構造で装置内部の清掃作業を腰囲かつ安価に行なうことが可能であり、しかも作業性の向上、メンテナンスの向上を図ることが可能な搬送装置またはセメント冷却装置の内部清掃用具およびこれらの内部清掃方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、スクリューを回転させることで、円筒の一端から他端に向けて粘性物や粉体などの搬送物を搬送する搬送装置が広く利用されている。このようなスクリューを備えた搬送装置の一種として、セメント冷却装置が知られている。
【0003】
セメントは、セメントクリンカと石膏及び高炉水滓スラグ等を、所定の配合率の範囲内でセメント粉砕機(仕上ミル)に供給して粉砕すると共に、粉砕物(以下、セメントと称する)を所定の粒度になるように分級を行うことで作成されるが、セメント粉砕機による粉砕の過程で粉砕物の温度が上昇する。このため、例えば、セメント粉砕機の内部に散水を行なうことによって、粉砕物を水冷し、粉砕物の温度が過度に上昇することを抑制している。
【0004】
しかし、セメント粉砕機の内部に散水を行なうだけでは、粉砕物の温度上昇を十分に抑制することは困難であり、こうした散水を行なった後でも、粉砕物の温度は依然として100℃〜140℃程度の高温度となっている。粉砕物、即ちセメントを100℃程度以上の温度で長時間放置すると、セメント中の石膏分の結晶水が脱水作用で離脱し、セメントを水と混合・混練して水和反応を生じさせる際に、この水和反応に異常をきたす虞がある。また、セメントの温度が高いと、出荷時にこうしたセメントを充填する袋の劣化も早めてしまい、袋の破損により内容物であるセメントが流出する虞もある。
【0005】
そこで、粉砕、分級後のセメントを更に一層冷却するために、外面に冷却水などを流した円筒の内側にスクリューを配し、冷却水によって冷やされた円筒の内面にセメントを接触させて冷却しつつ、スクリューによってセメントを円筒の一端から他端に向けて移送させる構造のセメント冷却装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0006】
このような冷却装置によってセメントを移送しつつ冷却を行うと、空気中の水分及びセメント中に微量に存在する水分等が冷却により凝縮し、セメントと反応して、冷却装置の円筒内面に付着してしまうという現象が生じる。冷却装置の円筒の内面にセメントが固化して付着すると、冷却効率が著しく低下して、セメントが十分に冷却されないまま排出される懸念がある。このため、定期的に冷却装置の円筒の内面に付着したセメントを除去することにより、冷却装置の冷却効率を良好に保つ方法がとられている。
【0007】
冷却装置の円筒の内面に付着したセメントを除去するために、従来は冷却装置のスクリューの中央部分の空間に作業員が入り、円筒の内面に固着したセメントを、たがね等を用いて手作業で除去していた。
【特許文献1】特願平5−155839号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、従来のセメントの冷却装置は比較的大きな設備であり、しかも、スクリューの中央部分にはスクリューの羽根を支持するための多数の支柱や、中心軸などが存在するために、作業員が円筒内を移動することが困難であった。また、スクリューの羽根のピッチは数センチ〜十数センチ程度であり、こうした狭いスクリューの羽根の間に固着したセメントを治具などを用いて手作業で効率的に除去することは著しく困難であった。更に、セメントの冷却装置の内部は円筒形の閉鎖空間であるがゆえ、通風に乏しく、多湿、高温となっており、かつ除去したセメントの粉塵の飛散などもあるため、作業環境の面からも好ましいものではなかった。
【0009】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、搬送時に外筒の内面に付着した搬送物を、効率的かつ確実に除去することが可能な搬送装置またはセメント冷却装置の内部清掃用具およびこれらの内部清掃方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明は次のような搬送装置の内部清掃用具を提供した。すなわち、本発明の搬送装置の内部清掃用具は、略円筒形の外筒と、この外筒の内部に回転自在に設けられ、前記外筒の一端から他端に向けて搬送物を搬送するスクリューとを備えた搬送装置の内部清掃用具であって、
前記スクリューに設けられた少なくとも一対の係止具と、これら係止具に着脱可能に取り付けられ、前記スクリューの回転によって揺動しつつ前記外筒の内面に付着した前記搬送物を除去する鎖状の清掃具とを備えてなることを特徴とする。
【0011】
このような構成の搬送装置の内部清掃用具によれば、スクリューに形成された係止具に鎖状の清掃具を取り付けてスクリューを回転させるだけで、外筒の内面に付着、堆積した搬送物が確実かつ迅速に除去される。従って、従来のように、スクリューの中央部分の空間に作業員が入り、円筒の内面に固着した搬送物を、手作業で除去するなどの手間のかかる作業が必要無くなり、清掃作業による搬送装置の停止時間が短縮される。
また、清掃具は係止具に容易に着脱可能な構造とされているので、通常の搬送運転と清掃運転との間の切り替え作業が迅速になされ、効率的に搬送装置を稼動させることが可能になる。
【0012】
前記スクリューに前記係止具を複数対設けるとともに、これら各対の係止具のそれぞれに前記清掃具を着脱可能に設け、互いに隣接する前記清掃具は、少なくともその一部が前記スクリューの羽根の幅方向に互いに重なるように設けてなるのが好ましい。
前記清掃具の幅は、前記スクリューの羽根の外周端と、外筒の内面との間隔よりも大きいことが好ましい。
【0013】
また、本発明のセメント冷却装置の内部清掃用具は、略円筒形の外筒と、この外筒を外側から冷却する冷却手段と、前記外筒の内部に設けられ、前記外筒の一端から他端に向けてセメントを搬送するスクリューとを備え、
前記スクリューの回転により、前記セメントを前記外筒の内面かつその軸方向に沿って搬送すると同時に冷却するセメント冷却装置の内部清掃用具であって、
前記スクリューに設けられた少なくとも一対の係止具と、これら係止具に着脱可能に取り付けられ、前記スクリューの回転によって揺動しつつ前記外筒の内面に付着した前記セメントを除去する鎖状の清掃具とを備えてなることを特徴とする。
【0014】
このような構成のセメント冷却装置の内部清掃用具によれば、スクリューに形成された係止具に鎖状の清掃具を取り付けてスクリューを回転させるだけで、外筒の内面に付着、堆積したセメントを確実に、かつ迅速に除去できる。従って、従来のように、スクリューの中央部分の空間に作業員が入り、円筒の内面に固着したセメントを、たがね等を用いて手作業で除去するなどの手間のかかる作業が無く、清掃作業による冷却装置の停止時間を最小限にすることができる。また、作業員が通風に乏しい多湿、高温の環境に長時間置かれたり、除去したセメントの粉塵による影響を受けることもない。
さらに、こうした清掃具は、係止具に容易に着脱可能な構造とされているので、通常の冷却運転と清掃運転との間の切り替え作業を迅速に行なうことができ、効率的に冷却装置を稼動させることが可能になる。
【0015】
また、本発明の搬送装置の内部清掃方法によれば、略円筒形の外筒と、この外筒の内部に回転自在に設けられ、前記外筒の一端から他端に向けて搬送物を搬送するスクリューとを備えた搬送装置の内部清掃方法であって、
前記スクリューに設けられた少なくとも一対の係止具と、これら係止具に着脱可能に取り付けられた鎖状の清掃具を用い、前記スクリューを回転して前記清掃具を揺動させることにより前記清掃具を前記外筒の内部に接触させ、前記外筒の内部に付着した前記搬送物を除去することを特徴とする。
【0016】
このような構成の搬送装置の内部清掃方法によれば、スクリューに形成された係止具に鎖状の清掃具を取り付けてスクリューを回転させるだけで、外筒の内面に付着、堆積した搬送物が確実かつ迅速に除去できるので、従来のように、スクリューの中央部分の空間に作業員が入り、円筒の内面に固着した搬送物を、手作業で除去するなどの手間のかかる作業が必要無くなり、清掃作業による搬送装置の停止時間が短縮される。
【0017】
また、本発明のセメント冷却装置の内部清掃方法によれば、略円筒形の外筒と、この外筒の内部略円筒形の外筒と、この外筒を外側から冷却する冷却手段と、前記外筒の内部に設けられ、前記外筒の一端から他端に向けてセメントを搬送するスクリューとを備え、
前記スクリューの回転により、前記セメントを前記外筒の内面かつその軸方向に沿って搬送すると同時に冷却するセメント冷却装置の内部清掃方法であって、
前記スクリューに設けられた少なくとも一対の係止具と、これら係止具に着脱可能に取り付けられた鎖状の清掃具を用い、前記スクリューを回転して前記清掃具を揺動させることにより前記清掃具を前記外筒の内部に接触させ、前記外筒の内部に付着した前記セメントを除去することを特徴とする。
【0018】
このような構成のセメント冷却装置の内部清掃方法によれば、スクリューに形成された係止具に鎖状の清掃具を取り付けてスクリューを回転させるだけで、外筒の内面に付着、堆積したセメントが確実かつ迅速に除去できるので、従来のように、スクリューの中央部分の空間に作業員が入り、円筒の内面に固着した搬送物を、手作業で除去するなどの手間のかかる作業が必要無くなり、清掃作業による搬送装置の停止時間が短縮される。また、清掃具は、係止具に容易に着脱可能な構造とされているので、通常の冷却運転と清掃運転との間の切り替え作業を迅速に行なうことができ、効率的にセメント冷却装置を稼動させることが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
本発明の搬送装置の内部清掃用具および内部清掃方法によれば、外筒の内面に付着、堆積した搬送物を容易に、かつ迅速に除去できる。そして、搬送装置の稼動効率を高めるとともに、搬送装置の内部の清掃作業を容易にする。
また、本発明のセメント冷却装置の内部清掃用具および内部清掃方法によれば、外筒の内面に付着、堆積したセメントを容易に、かつ迅速に除去でき、セメントの冷却効率を高く維持することが可能になる。このため、清掃作業による冷却装置の停止時間を最小限にすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係る搬送装置またはセメント冷却装置の内部清掃用具およびこれらの内部清掃方法の最良の形態について、図面に基づき説明する。なお、本実施形態は、発明の趣旨をより良く理解させるために具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、本発明を限定するものではない。
【0021】
以下に説明する実施形態では、本発明の搬送装置の内部清掃用具を詳細に説明するにあたって、搬送装置としてセメント冷却装置をとり上げる。このセメント冷却装置は、セメントを冷却しつつ搬送する搬送装置を構成する。図1は、セメント冷却装置を示す斜視図である。また、図2は、図1に示すセメント冷却装置の要部を示す一部破断斜視図である。
【0022】
セメント冷却装置10は、台座11に据え付けられた略円筒形の外筒12と、この外筒12の内部に回転自在に設けられたスクリュー13とを備えている。外筒12は、熱伝導性に優れた金属板などから構成され、下端(一端)側にセメント(搬送物)を導入する導入口14aが、また上端(他端)側にセメントを排出する排出口14bがそれぞれ形成されている。導入口14aは、例えば、セメント製造設備の竪型粉砕装置に接続され、セメントを導入する構造になっている。また、排出口14bは、冷却後の粉砕物を貯留する貯留サイロなどに接続されている。
【0023】
外筒12の上部には、冷却水などを外筒12の外面12aに沿って流すための環状の散水環15aが設けられている。また、外筒12の下部には、外筒12の外面12aを伝って流下した冷却水を受け止めて排水するための集水環15bが設けられている。この散水環15a及び集水環15bにより、外筒12を冷却する冷却器(冷却手段)15が構成されている。そして、上部の散水環15aから冷却水Cを外筒12の外面12aに沿って流下させることによって、外筒12が冷却される。
【0024】
スクリュー13は、外筒12の内面12bに対して僅かな隙間を保って螺旋状に周回する幅の狭い羽根13aと、この羽根13aを縦方向に支える複数の支軸13bと、羽根13aの中心に設けられた中心軸13cと、複数の支軸13bと中心軸13cとを上下で繋ぐ連結環13dとを備えている。そして、外筒12に隣接して、この中心軸13cを回転させることで、スクリュー13を回転させるモータ16が設けられている。この中心軸13cおよびモータ16は、例えば、ベルト(図示せず)によって連結されている。この中心軸13cを回転させることによって、支軸13b及び連結環13dを介して羽根13aが外筒12の内部で回転するようになっている。
【0025】
このスクリュー13には、図3、図4に示すように、本発明の内部清掃用具21が設けられている。内部清掃用具21は、スクリュー13を構成する羽根13aのうち、周回違いで互いに隣接する下部の羽根13aの上面側に形成された係止具22aと、上部の羽根13aの下面側に形成された係止具22bと、この係止具22a,22bに一端23aおよび他端23bがそれぞれ係止される鎖状の清掃具23とから構成されてなる。
【0026】
係止具22a,22bは、それぞれ羽根13aに突出するように固定されており、鎖状の清掃具23を係止できるようリング状にされている。清掃具23は、図5(a)に示すように、金属製の鎖23aの端部に開環および閉環が可能な係合環23bが接続され、この係合環23bによって、清掃具23の一端と他端はそれぞれ係止具22a,22bに着脱自在とされている。
【0027】
図3に示すように、清掃具23は、その長さが対を成す係止具22a,22bの直線的な間隔よりも十分に長いとされており、一周違いの上下方向に位置する羽根13a,13aどうしの間に斜めに垂れ下がった状態で位置している。これにより、スクリュー13が回転したときに揺動可能にされる。また、互いに隣接する位置にある清掃具23どうしは、図4に示すように、羽根13aの幅W1において、少なくともその一部が互いに重なるように係止される。更に、清掃具23の幅W2は、羽根13aの外周端と、外筒12の内面12bとの間隔W3よりも大きくされるのが好ましい。
【0028】
以上のような構成のセメント冷却装置10の作用について説明する。通常運転であるセメントの冷却動作時においては、まず、冷却器15によって外筒12の外面に水を流して外筒12を冷却させ、また、モータ16によってスクリュー13を回転させる。そして、外筒12の下部の導入口14aから、セメントを導入する。
【0029】
冷却装置10に導入されたセメントは、外筒12の内部で回転しているスクリュー13の遠心力によって外筒12の内面12bに押し付けられつつ、スパイラル形状の羽根13aによって、導入口14aから排出口14bに向けて搬送される。この搬送過程で、セメントは外筒12の内面12bに沿って上昇していくことにより、外筒12の内面12bと、外面12aを流下する冷却水との間で熱交換が行なわれる。これにより、セメントは、外筒12内を上に向けて搬送されつつ、冷却されていく。
【0030】
例えば、竪型粉砕装置から冷却装置(搬送装置)10の導入口14aに送り込まれた直後のセメントは、100〜140℃程度の高温となっているが、排出口14bまで搬送されたセメントは、40〜80℃程度にまで冷却される。こうして、粉砕直後のセメントを冷却することによって、セメント中の石膏分の結晶水が脱水作用で離脱することを防止し、また、セメントの出荷時に充填する袋の劣化も防止する。
【0031】
このように、水冷した外筒12の内面12bに沿って、セメントを冷却させつつ搬送していくと、空気中の水分及びセメント中に微量に存在する水分等が冷却により凝縮し、セメントと反応して外筒12の内面12bに付着し堆積していく。外筒12の内面12bにセメントが堆積したまま運転を行うと、冷却効率が著しく低下して、セメントが十分に冷却されないまま排出される懸念がある。そこで、一定量のセメントの冷却を行う度に、外筒12の内面12bの清掃運転を行なう。
【0032】
冷却装置(搬送装置)10の清掃運転時には、まず、スクリュー13を構成する羽根13aに形成された一対の係止具22a,22bに清掃具23を取り付ける。清掃具23は、一対の係止具22a,22bの数だけ順次取り付けていく。全ての係止具22a,22bに清掃具23の取り付けが完了したら、導入口14aからセメントを導入させずにスクリュー13を回転(空転)させる。
【0033】
係止具22a,22bに清掃具23を取り付けた状態でスクリュー13を回転させると、揺動可能に弛んで取り付けられた清掃具23は、スクリュー13の遠心力によって外筒12の内面12bに向けて撓み、内面12bに接触して擦られた状態になる。こうして、外筒12の内面12bを擦りつつ回転する清掃具23によって、内面12bに付着、堆積したセメントAは擦り落とされ、落下する。この清掃運転時、清掃具23幅W2を、羽根13aの外周端と外筒12の内面12bとの間隔W3よりも大きくとることによって、スクリュー13の回転中に、羽根13aの外周端と外筒12の内面12bとの隙間に清掃具23の一部が挟み込まれ、羽根13aや清掃具23が破損することを防止できる。
【0034】
このような清掃運転を例えば30分程度行なうことによって、外筒12の内面12bに付着、堆積したセメントAは、清掃具Sによってほぼ全て除去される。この後、係止具22a,22bから全ての清掃具23を取り外すだけで、再び、導入口14aから高温のセメントを導入して通常の冷却運転を開始することができる。
【0035】
清掃具23は、端部に開環および閉環が自在な係合環23bを備えているので、係止具22a,22bに簡単に着脱することができ、通常の冷却運転から清掃運転へ、また清掃運転から通常の冷却運転へ、速やかに切り替えを行なうことができる。
【0036】
なお、係止具22a,22bに取り付ける清掃具は、図5(a)に示したもの以外にも、例えば、図5(a)に示す清掃具33のように、金属製の鎖33aの端部に開環および閉環が可能な係合環33bを備えるとともに、鎖33aを構成する個々のリングに金具33cを取り付け、清掃運転時に外筒12の内面12bに付着、堆積したセメントを擦り落とす能力を高めたような形状であるのがより好ましい。これにより、より一層確実にセメントを除去できるとともに、清掃運転の時間の短縮にも寄与する。
【0037】
以上説明したように、本発明の内部清掃用具21によれば、スクリュー13の羽根13aに形成された係止具22a,22bに鎖状の清掃具23を取り付けてスクリュー13を回転させるだけで、外筒12の内面12bに付着、堆積したセメントを確実に、かつ迅速に除去できる。従って、従来のように、スクリューの中央部分の空間に作業員が入り、円筒の内面に固着したセメントを、たがね等を用いて手作業で除去するなどの手間のかかる作業が無く、清掃作業による冷却装置の停止時間を最小限にすることができる。また、作業員が通風に乏しい多湿、高温の環境に長時間置かれたり、除去したセメントの粉塵による影響を受けることもない。
【0038】
さらに、こうした清掃具23は、係止具22a,22bに容易に着脱可能な構造とされているので、通常の冷却運転と清掃運転との間の切り替え作業を迅速に行なうことができ、効率的にセメント冷却装置(搬送装置)10を稼動させることができる。
【0039】
なお、上述した実施形態では、搬送装置の一例としてセメント冷却装置をとり上げたが、スクリューの回転によって搬送物を略円筒形の外筒の内部で搬送する一般的なスクリュー搬送装置においても、本発明の搬送装置の内部清掃用具を適用することができる。また、清掃具のスクリューへの取付形態は、上述した実施形態に限定されず、スクリューの回転時に外筒の内面に清掃具が接触することができればよく、スクリューへの清掃具の取付形態を限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本発明の一実施形態のセメント冷却装置を示す斜視図である。
【図2】本発明の一実施形態のセメント冷却装置の要部を示す一部破断斜視図である。
【図3】本発明の内部清掃用具を示す平面図である。
【図4】本発明の内部清掃用具を示す平面図である。
【図5】本発明の清掃具の形状を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0041】
10 セメント冷却装置
12 外筒
13 スクリュー
13a 羽根
15 冷却手段
21 内部清掃用具
22a,22b 係止具
23 清掃具




【特許請求の範囲】
【請求項1】
略円筒形の外筒と、この外筒の内部に回転自在に設けられ、前記外筒の一端から他端に向けて搬送物を搬送するスクリューとを備えた搬送装置の内部清掃用具であって、
前記スクリューに設けられた少なくとも一対の係止具と、これら係止具に着脱可能に取り付けられ、前記スクリューの回転によって揺動しつつ前記外筒の内面に付着した前記搬送物を除去する鎖状の清掃具とを備えてなることを特徴とする搬送装置の内部清掃用具。
【請求項2】
前記スクリューに前記係止具を複数対設けるとともに、これら各対の係止具のそれぞれに前記清掃具を着脱可能に設け、互いに隣接する前記清掃具は、少なくともその一部が前記スクリューの羽根の幅方向に互いに重なるように設けてなることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置の内部清掃用具。
【請求項3】
前記清掃具の幅は、前記スクリューの羽根の外周端と、外筒の内面との間隔よりも大きいことを特徴とする請求項1または2に記載の搬送装置の内部清掃用具。
【請求項4】
略円筒形の外筒と、この外筒を外側から冷却する冷却手段と、前記外筒の内部に設けられ、前記外筒の一端から他端に向けてセメントを搬送するスクリューとを備え、
前記スクリューの回転により、前記セメントを前記外筒の内面かつその軸方向に沿って搬送すると同時に冷却するセメント冷却装置の内部清掃用具であって、
前記スクリューに設けられた少なくとも一対の係止具と、これら係止具に着脱可能に取り付けられ、前記スクリューの回転によって揺動しつつ前記外筒の内面に付着した前記セメントを除去する鎖状の清掃具とを備えてなることを特徴とするセメント冷却装置の内部清掃用具。
【請求項5】
略円筒形の外筒と、この外筒の内部に回転自在に設けられ、前記外筒の一端から他端に向けて搬送物を搬送するスクリューとを備えた搬送装置の内部清掃方法であって、
前記スクリューに設けられた少なくとも一対の係止具と、これら係止具に着脱可能に取り付けられた鎖状の清掃具を用い、前記スクリューを回転して前記清掃具を揺動させることにより前記清掃具を前記外筒の内部に接触させ、前記外筒の内部に付着した前記搬送物を除去することを特徴とする搬送装置の内部清掃方法。
【請求項6】
略円筒形の外筒と、この外筒を外側から冷却する冷却手段と、前記外筒の内部に設けられ、前記外筒の一端から他端に向けてセメントを搬送するスクリューとを備え、
前記スクリューの回転により、前記セメントを前記外筒の内面かつその軸方向に沿って搬送すると同時に冷却するセメント冷却装置の内部清掃方法であって、
前記スクリューに設けられた少なくとも一対の係止具と、これら係止具に着脱可能に取り付けられた鎖状の清掃具を用い、前記スクリューを回転して前記清掃具を揺動させることにより前記清掃具を前記外筒の内部に接触させ、前記外筒の内部に付着した前記セメントを除去することを特徴とするセメント冷却装置の内部清掃方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2008−105765(P2008−105765A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−287837(P2006−287837)
【出願日】平成18年10月23日(2006.10.23)
【出願人】(000183266)住友大阪セメント株式会社 (1,342)
【出願人】(506356003)八戸セメント株式会社 (2)
【Fターム(参考)】