説明

搬送装置

【課題】連鎖状ソーセージ材料が吊り掛けられた竿を人手に頼ることなく、自動的にしかも効率良く搬送して台車に移しかえることの出来る搬送装置を提供する。
【解決手段】連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を台車に設けられた複数の吊り掛け部の1つに移し替えるための搬送装置であって、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を台車への吊り掛け高さ位置近傍まで昇降させるための昇降機構と、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を台車の所定の吊り掛け部まで搬送して、その吊り掛け部に移し替えるための移し替え機構と、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を昇降装置に搬入するための搬入機構と、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を搬入機構から昇降機構に所定のタイミングで乗換えさせるための乗換え機構とが備えられた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、主として竿に懸架した連鎖状ソーセージ材料を搬送して台車に自動的に移し替えるための搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
連鎖状ソーセージ材料は、例えばウインナーソーセージのように、ケーシング(腸等の表皮)に一定間隔で設けられた結束部を介して複数のソーセージが鎖状に繋がっているものであって、この連鎖状ソーセージ材料は、食肉充填機により、ケーシングに原料(ミンチ肉等)を詰め、所定間隔毎にねじることにより、結束部とソーセージを形成した後、スモーク(加熱薫煙)用の竿に巻き掛ける一方、竿の引掛け部が多数備えられた台車を別途用意し、作業員の手作業により、ソーセージを巻き掛けた竿を前述の台車の吊り掛け部に順次引掛けた後、台車をスモーク室に移動させて、ソーセージのスモーク(加熱薫煙)を行なうようにしている。(特許文献1参照)
しかしながら従来は、以上のスモーク作業を行なうに際して、前記したように、従業員がその都度ソーセージを巻き掛けた竿を手で持って台車の引っ掛け部に引っ掛けるようにしているので、台車に竿を移し替えるための従業員を確保する必要があるのは勿論のこと、作業性が悪く、全体としてスモーク作業の効率が低下するなどの不具合がある。
【特許文献1】特開2004−236555
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は以上の実情に鑑みて開発したものであって、目的とするところは、例えばソーセージが吊り掛けられた竿を人手に頼ることなく、自動的にしかも効率良く搬送して台車に移しかえることの出来る搬送装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0004】
以上の目的を達成するため、請求項1に記載の発明は、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を台車に設けられた複数の吊り掛け部の1つに移し替えるための搬送装置であって、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を台車への吊り掛け高さ位置近傍まで昇降させるための昇降機構と、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を台車の所定の吊り掛け部まで搬送して、その吊り掛け部に移し替えるための移し替え機構とが備えられていることを特徴とするものである。
【0005】
請求項2に記載の発明は、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を昇降装置に搬入するための搬入機構と、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を搬入機構から昇降機構に所定のタイミングで乗換えさせるための乗換え機構とが備えられていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明によれば、例えば連鎖状ソーセージ材料を吊り掛けた竿を昇降機構により、吊り掛けようとする台車の吊り掛け部の高さ位置まで自動的に昇降させた後、移し替え機構により台車の所定の吊り掛け部に自動的に吊り掛けることが出来るので、全体としてソーセージが吊り掛けられた竿を人手に頼らずに自動的にしかも効率良く台車に移し替えることが出来る。
【0007】
また請求項2に記載の発明によれば、請求項1に記載の発明の効果に加え、搬入機構による竿の搬入がランダムに行なわれても、搬入機構から昇降装置には予め設定されている所定のタイミングで送り込まれ、より一層効率良く台車に移し替えることが出来る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1は本発明にかかる連鎖状ソーセージ材料の搬送装置の一実施形態を概略的に示したものであって、符号1で示すこの搬送装置は、前記したように、食肉充填機(図示せず)により製造された連鎖状ソーセージ材料Sをスモーク(加熱薫煙)用の竿Lに巻き掛けた上で、この竿Lを台車8まで順次自動的に搬送して、台車8の所定の吊り掛け部80に移し替えるためのものである。
【0009】
この移し替え装置1は、基本的には、連鎖状ソーセージ材料Sが吊り下げられた竿Lを台車8への吊り掛け位置の高さ近傍(具体的には吊り掛け位置よりも若干高い位置)まで昇降させるための昇降機構2と、連鎖状ソーセージ材料Sが吊り下げられた竿Lを昇降機構2から台車8の所定の吊り掛け部80まで搬送して、その吊り掛け部80に移し替えるための移し替え機構3と、連鎖状ソーセージ材料Sが吊り下げられた竿Lを前述の昇降装置2に搬入するための搬入機構4と、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を搬入機構4から昇降機構2に所定のタイミングで乗換えさせるための第1乗換え機構5と、連鎖状ソーセージ材料Sが吊り下げられた竿Lを昇降機構2から移し替え機構2に乗換えさせるための第2乗換え機構6と、前記した昇降機構2、移し替え機構3、搬入機構4などの駆動を制御するためのマイクロコンピュータが搭載されたコントローラ7とが備えられており、これら各構成機構2〜7は、機体10に搭載されている。
【0010】
昇降機構2は、左右一対の第1、第2、第3スプロケット21・22・23と、これら左右の第1、第2、第3スプロケット21・22・23間にそれぞれ架け渡された左右一対の無端状チエン24と、第1スプロケット21を回転駆動させるための駆動装置25と、左右のチエン21にそれぞれ組み付けられて前述の竿Lの長さ方向端部を保持するための保持溝26を有する複数の保持体27とが備えられている。
【0011】
移し替え機構3は、機体10から上方に向けて立設する支柱31と、この支柱31に対して昇降可能に設けられた昇降体32と、この昇降体32から略水平方向に延びるアーム33と、このアーム33の長さ方向両端部に回転可能に設けられたスプロケット34・35と、これらスプロケット34・35間に架け渡された無端状のチエン36と、昇降体32を支柱31に対して昇降させるための昇降駆動装置37とが備えられ、昇降体32内には、スプロケットの一つ34を回転駆動させるためのパルスモータを備えた第1回転駆動装置38が搭載されており、またチエン36の一側には、竿Lが係合可能な多数の係合溝39が一定間隔で並設されている。
【0012】
搬入機構4は、左右一対とした2組の前後スプロケット41・42と、これら前後のスプロケット41・42間にそれぞれ架け渡された左右一対の無端状チエン43と、スプロケットの1つ41を回転駆動させるための駆動装置44とが備えられ、チエン43の一側には、竿Lが係合可能な多数の係合溝45が一定間隔で並設されている。
【0013】
第1乗換え機構5は、搬入機構4における搬送方向先端側のスプロケット42付近から昇降機構2に向かって斜め下方に傾斜する左右一対のスライディングロッド51と、昇降機構2側に回転可能に設けられた左右一対の円盤状の制御板52と、これら制御板52の側面に組み付けられたスプロケット53とが備えられ、スプロケット53は、昇降機構2を構成する無端状チエン24に噛み合っている。
【0014】
また各制御板52の外周には制御溝54が設けられており、昇降機構2の駆動に伴い、スプロケット53および制御板52が昇降機構2の無端状チエン24を介して回転するように構成されるとともに、制御板52の回転に伴い、この制御板52の外周に設けられた制御溝54がスライディングロッド51の先端位置に来た時点で、無端状チエン24に設けられた保持溝26も同一位置に来るように構成されている。
【0015】
第2乗換え機構6は、昇降機構2を介して送られてくる竿Lを順次受け止めて、移し替え機構3に向けてスライドさせるための左右一対のスライディングロッド61と、移し替え機構3を構成するスプロケット34と同一軸線上に回転可能に設けられた左右一対の円盤状の制御板62とが備えられている。
【0016】
スライディングロッド61は、その一端が移し替え機構3の昇降体32に組み付けられて、昇降機構2側から移し替え機構3に向かって斜め下方に傾斜している。
【0017】
制御板62の回転は、昇降体32内に組み込んだ第2回転駆動装置63で行うようにしている。
【0018】
各制御板62の外周には受け止め面64と、この受け止め面64よりも一段低い制御溝65とが形成されており、スライディングロッド61に沿ってスライドしてくる竿Lを受け止め面64で受け止めると共に、コントローラ7の制御による制御板62の回転操作で、スライディングロッド61上の竿Lが、制御板62の制御溝65に入り込んだ時点で、移し替え機構3の無端状チエン24に設けられた係合溝39の一つに適宜嵌り込むようにしている。
【0019】
台車8は、図8にも示すように、4本の縦枠部材81と、これら縦枠部材81間に上下5段で架設される10本の横枠部材82a〜82eと、左右の縦枠部材81を連結する複数の連結枠部材83とにより、直方体状に組まれた台車本体84が備えられ、その下面四隅には、キャスター85が組み付けられている。
【0020】
そして以上の台車8は、最下段の横枠部材82eを除く4段の左右横枠材82a・82b・82c・82d間に竿Lを架け渡すようにしているのであって、これら4段の左右横枠材82a・82b・82c・82dの上面には、竿Lの長さ方向端部が嵌合可能な嵌合溝86が、一定間隔で、具体的には移し替え機構3を構成するチエン36の一側に設けられた多数の係合溝39と同一ピッチで形成されており、この嵌合溝86が前述の吊り掛け部80として機能する。
【0021】
またコントローラ7は、主として昇降機構の駆動装置25、移し替え機構3の昇降駆動装置37及び第1回転駆動装置38、第2乗換え機構6の第2回転駆動装置63、搬入機構4の駆動装置44を制御するものであって、移し替え機構3の昇降駆動装置37では、例えば台車8の4段の左右横枠材82a・82b・82c・82dの高さよりも若干高い位置で順次停止するように制御する。
【0022】
また移し替え機構3の第1回転駆動装置38では、予め設定された複数の設定パターン中から選択した設定パターンに基づいて、竿Lが例えば4つ目毎の係合溝39内に載るようにチエン36の移動を制御する。
【0023】
尚、竿Lに巻き掛けられる連鎖状ソーセージ材料Sは、前述した通り、ケーシング(腸等の表皮)に一定間隔で設けられた結束部を介して複数のソーセージが鎖状に繋がっているものであって、この連鎖状ソーセージ材料Sは、図1及び図2にも示すように竿Lにループ状に巻き掛けられて、竿Lを介して台車8に載せられた状態でスモーク室内においてスモーク(加熱薫煙)が行われる。
【0024】
また竿Lは、例えば直径14〜15mm程度の断面円形としたステンレス製のロッドから形成されている。
【0025】
次に以上の搬送装置1により連鎖状ソーセージ材料Sを台車8に吊り掛けて、スモーク処理を行なう場合について説明する。
【0026】
先ず、移し替え機構3のアーム33が台車8内に挿入される位置まで、台車8を移し替え機構3の横に移動させる。
【0027】
次にコントローラ7を介して搬送装置1を始動させた上で、連鎖状ソーセージ材料Sが巻き掛けられた竿Lの長さ方向両端部を、搬入機構4を構成するチエン43の任意の係合溝45内に順次セットすることで、各竿Lが搬入機構4を介して昇降機構2に順次送り込まれる。
【0028】
そして搬入機構4の終端部のスプロケット42近くまで移動して来た竿Lは、そのスプロケット42での下方への旋回に伴い、第1乗換え機構5のスライディングロッド51で受け止められて、このスライディングロッド51上を昇降機構2に向かって滑って、制御板52の外周に当接する。
【0029】
そして 制御板52が回転して、この制御板52外周に設けられた制御溝54及び昇降機構2の無端状チエン24に設けられた保持溝26がスライディングロッド51の先端位置に来た時点で、竿Lの両端部が制御板52の制御溝54並びに無端状チエン24の保持溝26に嵌り込んで、竿Lが昇降機構2に乗り換わる。
【0030】
以降、竿Lは上昇して、第2スプロケット22を通過した後、水平方向に移動し、更に第3スプロケット23を通過した後、下降し始める。
【0031】
そして、最上位置の横枠部材82a近くまで下降して来た段階で、竿Lが、横枠部材82a近くに止まっている第2乗り換え機構6のスライディングロッド61で受け止められて、このスライディングロッド61上を移し替え機構3に向かって滑って行って、制御板62の受け止め面64で受け止められた後、コントローラ7の制御により、第2回転駆動装置63を介して制御板62が回転して、スライディングロッド61上の竿Lが、制御板62の制御溝65に入り込んだ時点で、移し替え機構3のチエン36に設けられた係合溝39の一つに嵌り込んで、竿Lが移し替え機構3に受け渡されるのである。
【0032】
そしてコントローラ7が、移し替え機構3への竿Lの受け渡しを検知すると、第1回転駆動装置38がコントローラ7の制御により駆動して、コントローラ7にあらかじめ設定した設定値に基づいて、例えば竿Lが嵌り込んだ係合溝39から4つめの嵌合溝39がスライディングロッド51と対向する位置まで移し替え機構3のチエン36が旋回する。
【0033】
以上の作業動作の繰り返しにより、台車8の最上位置の横枠部材82aに吊り掛ける個数分の竿Lが移し替え機構3のチエン36上に載った段階で、移し替え機構3の昇降駆動装置37がコントローラ7の制御により駆動して、昇降体32が一段下の横枠部材82b近くまで下降するのであって、昇降体32の下降に伴い、チエン36上に載った複数本の竿Lが横枠部材82aの所定の嵌合溝86に嵌って、これにより、竿Lが左右の横枠部材82a間に架設されるのである。
【0034】
斯くして前記した動作の繰り返しにより、一段下の横枠部材82bにも竿Lが引っ掛けられ、更には、その下の横枠部材82c・82dにも竿Lが順次引っ掛けられた後、台車8をスモーク室に移動させて、竿Lに吊り掛けている連鎖状ソーセージ材料Sをスモークするのである。
【0035】
斯くして以上の実施形態では、連鎖状ソーセージ材料Sが吊り下げられた竿Lは、搬入機構4の係合溝45にセットするだけで、作業員の手を煩わせることなく、台車8の吊り掛け部80に自動的にしかも整然と吊り掛けることが出来、台車への連鎖状ソーセージ材料の積み込みが効率よく行える。
【0036】
以上の実施形態では、昇降機構2の上流側に搬入機構4及び第1乗換え機構5を設けたが、これら搬入機構4及び第1乗換え機構5は必ずしも必要ではない。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明にかかる搬送装置の概略説明図。
【図2】本発明にかかる搬送装置の概略平面図。
【図3】本発明にかかる搬送装置の作動を説明する概略説明図。
【図4】同、要部を拡大して示す説明図。
【図5】本発明にかかる搬送装置の制御系統のブロック図。
【図6】第1乗換え機構の作動の説明図。
【図7】第1乗換え機構の作動の説明図。
【図8】竿が吊り掛けた台車の斜視図。
【符号の説明】
【0038】
1 搬送装置
10 機体
2 昇降機構
24 無端状チエン
26 保持溝
3 移し替え機構
32 昇降体
4 搬入機構
43 チエン
5 第1乗換え機構
52 制御板
6 第2乗換え機構
61 スライディングロッド
7 コントローラ
8 台車
80 吊り掛け部
S 連鎖状ソーセージ材料
L 竿

【特許請求の範囲】
【請求項1】
連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を台車に設けられた複数の吊り掛け部の1つに移し替えるための搬送装置であって、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を台車への吊り掛け高さ位置近傍まで昇降させるための昇降機構と、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を台車の所定の吊り掛け部まで搬送して、その吊り掛け部に移し替えるための移し替え機構とが備えられていることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を昇降装置に搬入するための搬入機構と、連鎖状ソーセージ材料が吊り下げられた竿を搬入機構から昇降機構に所定のタイミングで乗換えさせるための乗換え機構とが備えられていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2007−185122(P2007−185122A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−4410(P2006−4410)
【出願日】平成18年1月12日(2006.1.12)
【出願人】(503049427)匠技研株式会社 (14)
【Fターム(参考)】