説明

搬送装置

【課題】基板を搬送するチェーンの走行を安定させる。
【解決手段】リフロー装置のトンネル内にはプリント基板を搬送する搬送レール10が敷設される。搬送レール10の下部レール10Aには溝部12が形成され、上部レール10Bには溝部14が形成される。下部キー材20は、溝部12に嵌め込まれ、チェーン82の下部を支持する。上部キー材30は、その自重によりチェーン82のブッシュ82cの上面に載置されると共に、溝部14に隙間A1,A2を介して移動可能に配置され、チェーン82の上部を支持する。例えば、チェーンが走行中に振動した場合、上部キー材30によってチェーン82の上下方向の振動が吸収され、チェーンの安定した走行が確保される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板のはんだ付けを行うはんだ付け装置の基板搬送等に使用される搬送装置に関する。詳しくは、チェーンの上部を支持する第2の支持部材をレール部の第2の溝部に隙間を介して移動可能に配置することで、チェーンの振動や膨張等を吸収してチェーンを安定して走行させるものである。
【背景技術】
【0002】
プリント基板と電子部品とのはんだ付けを行う場合には、一般にはんだ付け装置が利用される。はんだ付け装置には、一般的にリフロー方式とフロー方式に大別できる。リフロー方式のはんだ付け装置では、基板を搬送する搬送装置と、トンネル状のリフロー装置本体(マッフル)とを備えている。リフロー装置本体の内部には、予備加熱ゾーンと本加熱ゾーンと冷却ゾーンとが設けられている。メタルマスクによってソルダ―ペーストをプリント基板に印刷し、電子部品を載置した後に、予備加熱ゾーンおよび本加熱ゾーンでは、搬送装置によって搬送された基板に対して熱風を吹き付けて、ソルダ―ペーストのはんだを溶融させて基板の電極に電子部品等を固着させる。冷却ゾーンでは、予備加熱ゾーンおよび本加熱ゾーンで加熱された基板を冷却してはんだを固化させる。このような一連の処理により、プリント基板のはんだ付けが行われる。
【0003】
搬送装置には、高温環境に対する耐熱性や耐熱強度が必要とされるため、一般にブッシュ付きチェーンが使用されている。ブッシュ付きチェーンは、基板の両端を支持するために一対で構成され、リフロー装置本体のトンネル内に沿って走行している。一対のブッシュ付きチェーンの対向するプレート面には、基板を保持するための複数の保持ピンが設けられ、この保持ピンに基板が載置されることで、基板がリフロー装置本体のトンネル内の各ゾーンに搬送される。
【0004】
ここで、リフロー装置を走行するブッシュ付きチェーンは、走行中に一対のチェーン間の間隔が広くなったり、チェーンの振動が激しくなることにより、保持ピンに載置されたプリント基板が落下したり、基板の搬送不良によりはんだ付け処理に影響を及ぼすことがあった。
【0005】
このチェーンの搬送不良を防止するために、チェーンの上部および下部のそれぞれにチェーンの走行をガイドするガイド部材を設けたリフローはんだ付け装置が提案されている(特許文献1参照)。例えば、このはんだ付け装置では、上部チェーンガイドと中間部チェーンガイドとによって上段に配置されたチェーンを支持することで、チェーンの安定した走行を図っている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平9−214125号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記特許文献1に開示されるリフローはんだ付け装置では以下のような問題がある。すなわち、上部チェーンガイドはチェーン上部に接触すると共に上部支持部に一体形成され、中間部チェーンガイドはチェーン下部に接触すると共に支持部材に固定された構成となっており、チェーンが上部チェーンガイドと中間部チェーンガイドとの間に隙間なく固定して取り付けられている。そのため、チェーンが走行中に振動した場合には、チェーンの振動を上部チェーンガイドおよび中間部チェーンガイドで吸収できず、その振動によってチェーンの動作が停止してしまうという問題がある。また、上部チェーンガイドや中間部チェーンガイドの材質による膨張によりチェーンが押圧され、チェーンの動作が停止してしまうという問題もある。
【0008】
また、フロー方式のはんだ付け装置では、あらかじめ溶融しているはんだを上方に向けて噴流させ、噴流面にプリント基板を接触させてはんだ付けを行う装置であって、上述のリフロー装置と同様な搬送装置を有しているため、同様の問題を抱えている。さらに、はんだ付け装置に拘わらずに、この種の搬送装置においても同様の問題を抱えている。
【0009】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであって、基板を搬送するチェーンの走行を安定させることを可能とした搬送装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上述した課題を解決するために、搬送用チェーンと、チェーンの下方に設けられた第1の案内部とチェーンの上方に設けられた第2の案内部とを有し、チェーンを基板の搬送方向に沿って走行させるレール部と、レール部の第1の案内部に取り付けられ、チェーンの下部を支持する第1の支持部材と、レール部の第2の案内部に移動可能に配置され、チェーンの上部を支持する第2の支持部材とを備えるものである。
【0011】
本発明において、第2の支持部材は、第2の案内部に間隙を介して配置され、隙間の範囲内で移動可能に構成されている。そのため、チェーンが走行中に振動した場合、第2の支持部材によってチェーンの振動が吸収され、チェーンの安定した走行が確保される。また、第2の支持部材やチェーンがその材質により膨張した場合でも、第2の支持部材によって隙間の範囲で膨張が吸収され、チェーンの動作が停止する事態を回避できる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第2の支持部材を第2の案内部に間隙を介して移動可能に配置するので、チェーンが走行中に振動した場合、第2の支持部材によってチェーンの振動を吸収でき、その結果、チェーンを安定して走行させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施形態に係るリフロー装置の構成例を示す図である。
【図2】搬送装置の構成例を示す斜視図である。
【図3】搬送装置の構成例を示す平面図である。
【図4】図3に示す搬送装置のA−A線に沿った断面図である。
【図5】図4に示す搬送装置の要部の構成例を示す断面図である。
【図6】図3に示す搬送装置のB−B線に沿った断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、一例としてリフロー装置に適用される搬送装置に発明を実施した場合の最良の形態(以下実施の形態とする)について説明する。
[リフロー装置の構成例]
まず、本発明の一実施形態に係るリフロー装置100の概略構成について説明する。図1は、リフロー装置100の構成の一例を示している。図1に示すように、リフロー装置100は、リフロー装置本体40と搬送装置80とヒータ50とファン60とモータ62とを備えている。リフロー装置本体40は、搬入口40aと搬出口40bとを有するトンネル状の匡体であって、搬入口40aから搬出口40bに至る搬送経路H1に沿って予備加熱ゾーンZ1と本加熱ゾーンZ2と冷却ゾーンZ3とが設けられている。
【0015】
搬送装置80は、リフロー装置本体40内の搬送経路H1に沿ってプリント基板70を搬送するものであり、無端状のブッシュ付きチェーン82(以下チェーン82という)とスプロケット86とを有している。チェーン82は、図示しない駆動用モータの回転力が伝達された4個のスプロケット86によって張架された状態で、リフロー装置本体40のトンネル内の搬送経路H1、リフロー装置本体40の側方および下方を周回するように敷設されている。なお、搬送装置80については後述する。
【0016】
ヒータ50、ファン60およびモータ62は、予備加熱ゾーンZ1および本加熱ゾーンZ2のそれぞれに設置され、搬送装置80の上下方向のそれぞれに対向して配置されている。ヒータ50は、リフロー装置本体40内部の気体を加熱させて高温の熱風を生成する。ファン60は、例えばシロッコファンからなり、モータ62の駆動により回転駆動してヒータ50によって加熱された熱風をプリント基板70の上下方向から吹き付ける。これにより、プリント基板70のはんだが溶融され、プリント基板70の電極に電子部品等が固着される。なお、本例では、予備加熱ゾーンZ1および本加熱ゾーンZ2に設置されるヒータ50、ファン60およびモータ62は、同一の構成のものを用いている。
【0017】
冷却部92は、例えば冷却部材とファンとモータ等を有し、冷却ゾーンZ3に設置されている。冷却部92は、予備加熱ゾーンZ1および本加熱ゾーンZ2で加熱されたプリント基板70を冷却して溶融したはんだを固化する。
【0018】
[搬送装置の構成例]
次に、搬送装置80の構成の一例について説明する。図2は、搬送装置80の構成の要部の一例を示す斜視図である。図3は、搬送装置80の構成例を示す平面図である。図4は、図3に示す搬送装置80のA−A線に沿った断面図である。図5は、図4に示す搬送装置80の要部の構成例を示す断面図である。図6は、図3に示す搬送装置80のB−B線に沿った断面図である。
【0019】
搬送装置80は、図2〜図6に示すように、搬送レール(レール部)10とチェーン82と下部キー材20と上部キー材30とを有している。搬送レール10は、図4に示すように、プリント基板70の幅方向の両端部のそれぞれを支持するために、対向して配置された一対の搬送レール10,10で構成され、リフロー装置本体40の長手方向(搬送経路H1)に沿うようにして敷設されている。搬送レール10には、例えばアルミニウム等の金属材料が用いられる。
【0020】
一対の搬送レール10,10は、互いに対向する側が開口した側面略コの字形状をなし、チェーン82の下方に設けられた下部レール10Aとチェーン82の上方に設けられた上部レール10Bとを有している。下部レール10Aの上部レール10Bと対向した内面部には、下部キー材20を取り付けるための溝部12が搬送レール10の長手方向に沿って形成されている。図5に示すように、溝部12の幅W1は、下部キー材20の幅W2と略同一に選定され、その深さD1は下部キー材20の上面にチェーン82を載置したときにチェーン82を構成する内プレート82aの下端が下部レール10Aの内面部に接触しないような深さとされる。なお、溝部12は、第1の案内部の一例を構成している。
【0021】
上部レール10Bの下部レール10Aと対向した内面部には、上部キー材30を取り付けるための溝部14が搬送レール10の長手方向に沿って形成されている。図5に示すように、溝部14の幅W3は、上部キー材30の幅W4よりも若干広くなるように選定され、溝部14と上部キー材30との間に隙間A1ができるように構成される。溝部14の深さD2は、上部キー材30をチェーン82のブッシュ82c上に配置したときに上部キー材30の上面と溝部14の溝上面との間に若干の隙間A2ができるように選定される。なお、溝部14は、第2の案内部の一例を構成している。
【0022】
チェーン82は、図5に示すように、一対の内プレート82a,82aと一対の外プレート82b,82bとブッシュ82cとピン82dと保持ピン84eとを有している。2枚の内プレート82a,82aはブッシュ82cを介して圧入して結合されている。ピン82dは、ブッシュ82cの内側に挿入され、ピン82dの両端でかつ内プレート82a,82aの外側のそれぞれには外プレート82b,82bが圧入して結合されている。保持ピン84eは、プリント基板70を保持するものであり、互いに対向する搬送レール10側に配置された外プレート82bのプレート面に突出して設けられている。プリント基板70は、保持ピン84上に載置されて搬送経路H1に沿って搬送される。なお、本例では、一組のチェーン82を示しているが、実際には、内プレート82aおよびブッシュ82cを有する複数の内リンクと、外プレート82bおよびピン82dを有する複数の外リンクとが交互に連結されて構成される。
【0023】
下部キー材20は、図2〜図6に示すように、長尺の柱状体であって、例えばステンレス(SUS)等の耐食性、耐熱性に優れた金属材料から構成されている。下部キー材20は、溝部12に嵌め込まれ、下部キー材20の上部側が溝部12から露出した状態とされ、走行するチェーン82のブッシュ82cをその上面部でスライド可能に支持する。また、下部キー材20は、溝部12に対して隙間なく嵌め込まれ、搬送経路H1およびこれに直交する方向に移動しないように溝部12に固定されている。下部キー材20の幅W4は、ブッシュ82cの長手方向の長さと略同一に選定される。なお、下部キー材20は、第1の支持部材の一例を構成している。
【0024】
下部キー材20は、図6に示すように、複数のキー材20A,20B,20C,20Dに分割されて構成され、隣接するキー材20A,20B、キー材20B,20C、キー材20C,20Dが所定の間隔X1を隔てて溝部12に嵌め込まれている。これは、例えば下部キー材20の材質に基づく膨張により下部キー材20が伸張する場合があるので、隣接する下部キー材20間にある程度のクリアランスを持たせておく必要があるからである。したがって、間隔X1は、下部キー材20の膨張率等に基づいて選定される。なお、図6では、隣接するキー材を離間させた例を便宜上キー材20B,20Cのみ示している。
【0025】
下部キー材20の長手方向の両端部のそれぞれには、その上面部から下方に向かって傾斜したテーパー部22が設けられている。具体的には、キー材20Aの搬入口40a側の端部にはテーパー部22aが設けられ、キー材20Dの搬出口40b側の端部にはテーパー部22dが設けられている。これらのテーパー部22a,22dは、リフロー装置本体40のトンネル内部および外部にチェーン82を円滑に搬送するためのガイド部として機能する。また、キー材20Bのキー材20Cと対向した端部にはテーパー部22bが設けられ、キー材20Cのキー材20Bと対向した端部にはテーパー部22cが設けられている。これらのテーパー部22b,22cは、リフロー装置本体40のトンネル内部でチェーン82を円滑に搬送するためのガイド部として機能する。
【0026】
なお、本例では、各下部キー材20は、図6に示すように、プリント基板70の搬送経路H1に対して上流側において、固定されており、下流側は自由端となっている。具体的には下部キー材20に設けられたストッパー23が、溝部12の凹部11に挿入されることで、固定されるようにしている。これは、熱によって下部キー材20が膨張した場合に、下部キー材20が、搬送方向側に伸張するように構成するためである。これによって、チェーン82の走行方向と下部キー材20の伸張方向とが一致するため、下部キー材20の伸張がチェーン82の走行によってストレスを受けることないため、下部キー材20の伸張がチェーン82の走行に支障を来たすことがない。下流側を固定し上流側を自由端とした場合には、チェーン82の走行によって下部キー材20に固定側を基点とした振動が発生し、その結果、下部キー材20の自由端が搬送経路内に持ち上がる力を受け、チェーン走行に支障をきたしたり、熱によって、下部キー材20は搬送方向と反対側に伸張する一方でチェーン82は搬送方向に走行しているので、下部キー材20の伸張に伴って下部キー材にストレスが加わり、搬送経路内に下部キー材20が膨らんでしまい、チェーン82の走行を阻害するというような、下部キー材20の伸張がチェーン82の走行に影響を及ぼす場合がある。
【0027】
上部キー材30は、下部キー材20と同様に、長尺の柱状体であって、例えばステンレス(SUS)等の耐食性、耐熱性に優れた金属材料から構成されている。上部キー材30は、溝部14とチェーン82とで構成される空間部に挿入され、自重によりチェーン82のブッシュ82c上に載置される。これにより、チェーン82のブッシュ82cが上部キー材30の下面部に接触した状態でスライドし、チェーン82の内プレート82aが上部キー材30によって支持されることでチェーン82の走行方向が規制される。
【0028】
図5に示すように、上部キー材30の周面と溝部14の溝周面との間には隙間A1が設けられると共に、上部キー材30の上面と溝部14の溝上面との間には隙間A2が設けられ、上部キー材30は遊びを有した状態で溝部14に配置される。すなわち、上部キー材30は、隙間A1,A2を介して上下左右に移動可能に溝部14に配置される。なお、上部キー材30は、第2の支持部材の一例を構成している。
【0029】
また、上部キー材30は、図6に示すように、複数のキー材30A,30B,30C(支持部材)に分割されて構成されている。これは、上部キー材30を分割することで溝部14に円滑に取り付けるためである。ここで、複数のキー材30A,30B,30Cは、下部キー材20およびチェーン82を取り付けた後に、溝部14とチェーン82とで構成される空間部に順次に挿入することで取り付けが行われる。そのため、溝部14の搬出口40b側の他端には、先に挿入した上部キー材30(キー材30C)が溝部14の搬出口40b側から落下または飛び出ないようにするための止め部34が設けられている。なお、本例では、上部キー材30を3本で構成した例を示しているが、これに限定されることはない。
【0030】
キー材30Aの搬入口40a側の端部には、図6に示すように、その下面部から外側上方に向かって傾斜したテーパー部32が設けられている。このテーパー部32は、チェーン82の進入口を広く確保して、チェーン82をリフロー装置本体40の内部に円滑に搬送するためのガイド部として機能する。
【0031】
上部キー材30(キー材30A)の搬入口40a側の端部30aは、図6に示すように、下部キー材20(キー材20A)の搬入口40a側の端部20aよりも距離X2だけ搬送経路H1の下流側にずれた位置に設けられている。これは、キー材20Aの端部20aとキー材30Aの端部30aとを同一位置とした場合には、キー材20Aとキー材30Aと間の進入口が狭くなってしまうため、搬入口40aから搬入されるチェーン82がキー材20A,30Aに接触して噛み込み、チェーン82の走行が停止してしまう場合があるからである。上部キー材30(キー材30A)と下部キー材20(キー材20A)とをずらして配置することで、進入口の開口が広くなり、搬入口40aから搬入されるチェーン82を下部キー材20でガイドしてから、上部キー材30でチェーン82をガイドするので、チェーン82の噛み込みを防止でき、安定したチェーン82の走行を確保できる。
【0032】
[搬送装置(キー材)の組み立て例]
次に、搬送装置80の組み立ての一例について図2〜図6を用いて説明する。まず、下部キー材20を溝部12の所定位置に嵌め込む。このとき、上述したように、ストッパー23を凹部11に挿入し、隣接する下部キー材20,20同士は、所定の間隔X1を隔てて溝部14に嵌め込む。続けて、下部キー材20の上面部に、連結していない状態のチェーン82を下部キー材20をガイドとして取り付けた後に、4箇所のスプロケット86にチェーン82を張架させた状態でチェーン82を連結する。
【0033】
次に、上部キー材30を、チェーン82の上部と搬送レール10の溝部14との間に形成される空間部に搬入口40a側から挿入する。上部キー材30は、複数本に分割されているので、これらを順次、空間部に挿入して行く。溝部14の搬出口40b側には、止め部34が設けられているので、先に挿入した上部キー材30が止め部34によって停止するまで上部キー材30を押し込む。このようにして、搬送装置80を構成することができる。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態によれば、上部キー材30は、溝部14に隙間A1,A2を介して移動可能に配置されるため、チェーン82が走行中に振動した場合でも、上部キー材30によってチェーン82の上下方向の振動を吸収することができるので、チェーン82を安定させて走行させることができる。また、上部キー材30やチェーン82がその材質により膨張した場合でも、上部キー材30が隙間A1,A2の範囲で膨張を吸収することができるので、チェーン82を安定させて走行させることができる。その結果、チェーン82の動作が停止してしまう事態を回避できる。
【0035】
なお、本発明の技術範囲は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において、上述した実施形態に種々の変更を加えたものを含む。上述の実施の形態においては、第1及び第2の案内部として、溝部12及び溝部14として構成した場合につき説明したが、溝に代えて凸部状に案内部を形成するようにしても良い。このように案内部を凸部状に形成した場合、この凸部に係合するようにキー材に凹部を設ければ良い。
【0036】
さらに、一例としてリフロー装置に適用される搬送装置の給油装置に本発明を実施した場合について説明したが、フロー方式のはんだ付け装置や同様の搬送装置においても本発明を適用できる。
【符号の説明】
【0037】
10・・・搬送レール、12,14・・・溝部、20・・・下部キー材、22,22a,22b,22c・・・テーパー部、20A,20B,20C,20D・・・支持部材、30・・・上部キー材、30A,30B,30D・・・支持部材、32・・・テーパー部、82・・・ブッシュ付きチェーン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
搬送用チェーンと、
前記チェーンの下方に設けられた第1の案内部と前記チェーンの上方に設けられた第2の案内部とを有し、前記チェーンを前記基板の搬送方向に沿って走行させるレール部と、
前記レール部の前記第1の案内部に取り付けられ、前記チェーンの下部を支持する第1の支持部材と、
前記レール部の前記第2の案内部に移動可能に配置され、前記チェーンの上部を支持する第2の支持部材と
を備えることを特徴とする搬送装置。
【請求項2】
前記第1の支持部材は、前記基板の搬送方向に対して伸張可能なように、前記案内部に搬送方向の上流側が固定されていることを特徴とする請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記第1の支持部材は、複数の支持部材で構成され、
互いに隣接する前記支持部材が所定の間隔を隔てて配置された
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の搬送装置。
【請求項4】
前記第1の支持部材の長手方向の両端部の少なくとも一方は、前記チェーンと対向する面がテーパー面とされたことを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項5】
前記第2の支持部材の前記基板の搬入口側端部は、前記第1の支持部材の搬入口側端部から所定の距離だけ搬送経路の下流側にずれて配置された
ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記第2の支持部材の前記基板の搬入口側端部は、前記チェーンと対向する面がテーパー面とされた
ことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第2の支持部材は、複数の支持部材で構成された
ことを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の搬送装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−106273(P2012−106273A)
【公開日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−258596(P2010−258596)
【出願日】平成22年11月19日(2010.11.19)
【出願人】(000199197)千住金属工業株式会社 (101)
【Fターム(参考)】