説明

携帯可能な酸素濃縮装置

酸素濃縮気体流を発生する圧力スイング吸着装置(12A,12B)と、圧力スイング吸着装置に電力を供給する電池(148)とが携帯可能な酸素濃縮装置(10)に設けられる。酸素濃縮装置は、約4.5kg(10lb)未満の総重量、約0.9リッター/分の酸素100%の気体と等価の最大流量、約13110cm3(800in3)未満の総容積、及び少なくとも約8時間の電池寿命を有する。また、本発明は、前記酸素濃縮装置と組み合わされる液化装置又は移送充填装置を使用する。

【発明の詳細な説明】
【優先権主張】
【0001】
本願は、米国特許法第119条(e)の規定により、2006年4月3日に出願された米国仮出願第60/788,916号、第60/744,164号及び第60/744,197号並びに2006年4月4日に出願された米国仮出願第60/744,271号及び第60/744,272号の優先権を主張する。
【技術分野】
【0002】
本発明は、広義には、携帯可能な酸素供給装置及びその方法、特に、空気から酸素を吸着により濃縮する携帯可能な酸素供給装置及び酸素供給装置の使用法に関連する。
【背景技術】
【0003】
肺病を患う患者は、自身の快適性を改善しかつ/又は生活を質的に向上するため、補充酸素を必要とすることが多い。例えば、患者に酸素を供給する病院又は他の施設の酸素供給ラインで固定された酸素供給源を利用できる。ある程度移動できかつ患者が携帯し又は牽引式運搬カート等の純粋酸素ボンベ及び/又は濃縮酸素ボンベを利用することができる。しかしながら、携帯可能な酸素ボンベは、容量に制限があり、嵩張りかつ重いので、患者の移動が制限される。
【特許文献1】米国特許第5,531,807号公報
【特許文献2】米国特許第6,520,176号公報
【特許文献3】米国特許第6,764,534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
周辺外気から酸素を濃縮して補足酸素が供給される携帯可能な酸素濃縮装置(携帯用酸素濃縮装置)が提案された。例えば、周辺外気から窒素を分離し、濃縮酸素流を発生してタンク内に貯蔵し又は直接患者に供給する圧力スイング吸着装置(Pressure Swing Adsorption [PSA] Apparatus[加圧吸着と減圧脱着を繰り返し、常温で混合ガスの分離を行う装置])は、公知である。例えば、上記特許文献1、特許文献2及び特許文献3は、携帯可能な圧力回転吸収酸素濃縮装置を開示する。従って、酸素を供給する装置及び方法が有用であろう。
【課題を解決するための手段】
【0005】
従って、本発明の目的は、酸素濃縮気体流を発生する圧力スイング吸着装置と、圧力スイング吸着装置に電力を供給する電池とを備える携帯可能な酸素濃縮システムを提供することにある。酸素濃縮装置は、約4.5kg(10lb)未満の総重量と、100%O2相当の気体約0.9リッター/分最大流量と、約13110cm3(800in3)未満の総容積と、少なくとも約8時間の電池寿命とを有する。
【0006】
本発明の更に別の目的は、小型、軽量及び長持続期間の酸素濃縮装置と、酸素濃縮装置に接続される低温冷却装置又は圧縮装置に使用する液化装置又は移送充填装置を提供することにある。
【0007】
参照符号により各図の対応する部分を示す添付図面に関する以下の説明、特許請求の範囲及び本明細書の全構成部分により、本発明の前記目的及び他の目的、特徴及び特性、構造の関連要素の操作法及び機能、部品の組み合わせ並びに製造経済性は、明らかとなろう。しかしながら、図面は、図示及び説明の目的に過ぎず、発明の範囲を制限しないものであることは、明確に理解できよう。別途明記しない限り、明細書及び特許請求の範囲に使用する用語「1つ(a)」、「1つ(an)」及び「その(the)」の単数形は、複数の対象を含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
図1A〜図3は、本発明の原理による携帯可能な用酸素濃縮装置(以下、酸素濃縮装置)10を示す。約言すると、酸素濃縮装置10は、複数の篩台又はタンク12A,12Bと、圧縮装置14と、内部に複数の通路62〜68を形成する下部多岐管又は空気多岐管16と、保管タンク又は貯蔵器18と、空気多岐管16内の通路62〜68を通じて単一又は複数の流路を形成する一組の空気制御弁20と、上部多岐管又は酸素供給多岐管102とを備える。空気制御弁20に連結される制御装置22は、選択的に空気制御弁20を開閉して、空気多岐管16と篩台12を通る空気流を制御する。制御装置22は、例えば、酸素濃縮装置の酸素流量等の動作媒介変数の設定に使用される入力/出力装置23にも連結される。
【0009】
複数の空気制御弁を総称的に一括して参照符号20で示すが、個別に弁20ae,20as,20be,20bsとしても示す点にも留意すべきである。同様に、複数の篩台を総称的に一括して参照符号20で示すが、篩台12A及び12Bとして個別にも示す。図3に示すように、制御装置22と酸素濃縮装置10の種々の要素との接続を短鎖線で示すが、明瞭に図示するため、制御装置22と弁20Bsとの接続を長鎖線で示すことにも留意すべきである。実際の酸素濃縮装置では、制御装置22は、各空気制御弁に接続される。
【0010】
更に後述するが、例えば、単一又は複数の逆止弁、濾過器、センサ、電源(図示せず)及び/又は他の構成要素等の単一又は複数の追加構成要素を酸素濃縮装置10に設けることも選択肢の1つであり、制御装置22(及び/又は図示しない単一又は複数の追加の制御装置)に少なくとも幾つかの追加構成要素を連結できる。周辺空気、加圧窒素、濃縮酸素等を含む特定の流体でも、本明細書全体に用語「空気流」、「空気」又は「気体」を使用する。
【0011】
A.篩台
図4に示すように、各篩台12A又は12Bは、空気入口/出口端部である第1の端部32と、酸素入口/出口端部である第2の端部34とを有する例えば細長い円筒状の外側ケース30を備える。例えば、アクリロニトリル・ブタジエン・スチレン樹脂(ABS樹脂)、ポリカーボネート樹脂等の樹脂材料、アルミニウム等の金属材料又は複合材料等の実質的に剛性の有る材料により外側ケース30が形成される。例示的な実施の形態では、外側ケース30の直径は、約2〜10cm、長さは、約8〜30cmである。例えば、空間基準、性能基準及び/又は構造基準に従って要求される他の形状に、図示の円筒状の外側ケース30を形成することができる。例えば、楕円形、正方形、長方形又は他の規則的若しくは不規則な多角形の断面(図示せず)に外側ケース30を形成することができる。
【0012】
外側ケース30を少なくとも部分的に濾過媒体又は篩材36で充填することにより、加圧下で篩台12A,12B内に供給される空気から窒素を吸着できる篩台12A,12Bを形成することができる。外側ケース30の第1の端部32及び第2の端部34の各々に隣接する円板又は平板38a,38bを篩台12A,12Bにそれぞれ設けて、外側ケース30内に篩材料36を保持することができる。複数の平板38a,38bを互いに離間して配置することにより、外側ケース30内に平板38a,38b間に所望の空間容積を形成することができる。例えば、篩材料36を充填する所望の空間容積は、約150〜600cm3である。例示的な実施の形態では、各篩台12A,12B内の篩材料36の容量は、約721cm3(約44in3)であるが、この点は、後述する。
【0013】
平板38は、空気流が平板38を通過する単一又は複数の開口又は気孔(図示せず)を備える。例えば、焼結樹脂により平板38を形成して、篩材料36の粒径より小さい孔径を有する気孔を樹脂材料内に設けて、空気流が平板38を通過することができる。別法として、内部に多数の開口又は気孔を有する多孔の樹脂材料、金属材料又は複合材料により平板38を形成してもよい。例えば、平板38の形成時に、平板38と多数の孔とを同時にモールド成形して、多数の孔を形成してもよい。他の変形例として、例えば、在庫品、成形品等から切断される中実板により平板38を形成し、例えば、穿孔、レーザ穿孔等により、中実板に多数の孔を形成してもよい。
【0014】
要約すると、例えば、実質的な空洞(ボイド)が篩材料36内に形成されないように、篩台12内の複数の平板38間に篩材料36をほぼ収納又は充填することができる。図4に示す構成要素を含んで形成される篩台12の重量は、約0.1125〜0.675kg(0.25〜1.50lb)である。
【0015】
図示の実施の形態では、例えば、単一又は複数の結合型接続器又は締結具(図示せず)、接着剤、音波溶着等により、例えば、ケース30の第1の端部32に底部平板38aを固定し、固着することができる。第2の端部34に隣接するが、外側ケース30内で移動可能に頂部平板38bを配置することができる。例えば、複数の平板38間の篩材料36を圧縮するばね又は他の偏倚装置39により、底部平板38aに向かい頂部平板38bを押圧することも、本発明は、企図する。篩材料36が沈み又は何らかの理由で篩台12A,12Bから流出するとき、底部平板38aに向かい頂部平板38bを自動的に移動し、篩材料36を所望の加圧状態に維持することができる。作動により粉末化する篩材料36に圧縮力を加えて、酸素濃縮装置10の他の領域への篩材料36の移動を防止しかつ/又は篩材料36を流動化させる流動誘発力を相殺又は阻止することができる。
【0016】
篩台12の断面に沿う平板38の気孔率をほぼ均一にすると、例えば、第1の端部32と第2の端部34の領域に沿ってほぼ均一に分布する流量で篩材料36を篩台12内に流入させかつ/又は篩台12から流出させることができる。別法として、平板38の気孔率を所望のパターンに変更し又は平板38の一部のみを多孔質にしてもよい。更に別の変形例では、平板38に中実壁を設け、例えば、所望のパターンで単一又は複数の開口を平板38の内部に設けてもよい。
【0017】
加圧された周辺空気から窒素を吸着して、篩台12から酸素を放出又は排気する単一又は複数の公知の材料を篩材料36に設けることができる。使用に適する篩材料の例は、「UOP Oxysiv 5」、「5A」、「Oxysiv MDX」「Arkema N5」、「N51」又は「Zeochem Z10-06」等の「結晶中に微細孔を持つアルミノ珪酸塩(合成ゼオライト)」及び「LiX」等である。各篩台12A,12B内に多層の篩材料36を設けて、例えば、第1の端部32と第2端部34との間の篩材料の複数の層に異なる特性を付与することが望ましい。
【0018】
例えば、篩材料が通常水を吸収するので、吸収により劣化する篩材料もあるが、耐久性及び/又は窒素の吸着性能に大きな影響を与えずに水を吸収する篩材料を第1の端部32に設けることができる。例示的な実施の形態では、第1の端部32に隣接して設けられる第1の層36aは、「Oxysiv」材料等の篩材料の全高の約10%から30%の篩台12の長さに近似する寸法深さを有する。「Oxysiv MDX」等の高性能吸着材料を含む第2の層36bが、次に設けられる。第2の層36bは、篩台12の残部をほぼ充填する。所望の特性を有する単一又は複数の篩材料の追加層(図示せず)を勿論更に設けてもよい。このように、使用時に周辺空気が篩台12A,12Bの第1の端部32内に流入するとき、第1の層36aは、空気中の水分をほぼ吸収し、第2の層36bは、比較的乾燥した空気に曝露され、第2の層36bの篩材料が損傷する危険性を十分に減少することができる。毎分リットル(lpm)の排出生成物に対して、約0.225〜0.675kg(約0.5〜1.5lb)、好ましくは、約0.45kg(約1lb)の篩材料「Oxysiv MDX」の重量が、効率的な吸着となることが判明した。
【0019】
2つの篩台12A,12Bを図示するが、例えば、所望の重量及び性能効率等に基づき、単一又は複数の篩台を設けられることは理解されよう。酸素濃縮装置10に設けられる篩台及び/又は篩材料の更に詳細な情報は、米国特許第4,859,217号に開示され、参照することによりこの米国特許の全内容を本明細書の一部とする。
【0020】
B.気体蓄積貯蔵器及び篩組立体
図1A、図1B及び図2に示すように、貯蔵器18は、実質的に閉鎖又は開放される下端部、即ち第1の端部94と、同様に、実質的に閉鎖又は開放(本明細書中他所に説明するように、例えば、多岐管又は他の要素が装着される場合)される上端部、即ち第2の端部96とを有する細長い管状ケース70として構成される。図示のように、管状ケース70は、複数の篩台12間にかつ/又は篩台12に隣接して貯蔵器18を入れ子状に着脱できる中央がくびれた規格外の砂時計断面形状を有する。この構造により、貯蔵器18の占有空間を最小化しかつ酸素濃縮装置10全体の大きさを減少することができる。図示の例示的な実施の形態では、複数の篩台12A,12B間に延伸する管状ケース70の湾曲する外壁71は、図1A及び図1Bに示すように、酸素濃縮装置10の完成した外面を構成する。管状ケース70は、何らかの適切な材料により形成される。本明細書で説明する酸素濃縮装置10の他の要素と同様に、ABS樹脂及びポリカーボネート樹脂等の樹脂材料、アルミニウム等の金属材料又は複合材料が、管状ケース70の材料の例に含まれる。
【0021】
図2及び図10A〜図10Cに示すように、管状ケース70の上端96を少なくとも部分的に閉鎖する蓋80を設けることも、本発明は、企図する。例えば、単一又は複数の接続器、締結具、接着剤、音波溶着等を使用して、篩台12A,12Bの第2の端部34及び/又は貯蔵器18の上端96に蓋80をほぼ永久に又は着脱可能に取り付けることができる。蓋80は、後述のように、篩台12A,12B及び/又は貯蔵器18に対して酸素が流入しかつ流出する単一又は複数の開口82,84を備える。
【0022】
図10Aに示すように、篩台12A,12Bの第2の端部34間を直接連絡する通路を形成する排気オリフィス81(点線で示す)が蓋80に設けられる。常時開放状態に保持される排気オリフィス81により、一方の篩台から他方の篩台に酸素を搬送する通路を形成し、例えば、後述のように、一方の篩台12に酸素を充填しながら、他方の篩台12から酸素を排出する。例示的な実施の形態では、後述のように、単一又は複数の篩台12A,12Bの流量又は他の性能基準に基づき、例えば、直径約0.38〜8.89mm(0.015〜0.35in)又は約0.51mm(0.020in)の精密に決定された断面寸法が排気オリフィス81に付与される。例えば、排気オリフィス81に沿う34474Pa(5psi)の圧力降下で、流量2.5〜10リッター/分、例えば、約5リッター/分で排気オリフィス81を通じて何れかの方向に酸素が流れるように、排気オリフィス81の大きさが設定される。
【0023】
排気オリフィス81に排気弁(図示せず)を設けて、複数の篩台間の気体流を制御することも、本発明は、企図する。この排気弁は、篩台を交互に充填し排気するとき、排気オリフィスの流量を変更する作用を有する。
【0024】
別法として、貯蔵器18を介して複数の篩台12A,12B間に排気オリフィス81を延伸し、接続することができる。例えば、蓋80に沿って延伸しかつ篩台12Aと貯蔵器18との間を連絡する第1の通路(図示せず)と、蓋80に沿って延伸しかつ篩台12Bと貯蔵器18との間を連絡する第2の通路(同様に図示せず)とを排気オリフィス81に設けることができる。
【0025】
管状ケース70の下端94を開放すれば、管状ケース70の下端94を蓋(図示せず)により実質的に閉鎖する構造を選択できる。前記蓋を設ければ、管状ケース70の下端94にほぼ永久的に又は着脱可能に取り付けることができる。別法として、例えば、貯蔵器18を空気多岐管16に取り付け又はこれに隣接して配置するとき、空気多岐管16の一部でケース70の下端94を密封する構造も、本発明は、企図する。
【0026】
他の変形例では、酸素濃縮装置10内の1箇所又は複数の個所、例えば、利用できる空間の異なる位置に多数の貯蔵器(図示せず)を配置して、酸素濃縮装置10全体の寸法を最小化することができる。単一又は複数の可撓性管(図示せず)かつ/又は酸素供給多岐管102を介して、複数の貯蔵器を相互に連結して、複数の貯蔵器に対して酸素を供給しかつ回収することも、本発明は、企図する。この変形例では、複数の貯蔵器に対し流入及び流出する酸素流を制御する単一又は複数の弁を選択的に設けることができる。
【0027】
これに加えて又は別法として、例えば、酸素が流入するときに膨張し又は酸素が流出するときに収縮するバッグ又は他の容器等の単一若しくは複数の可撓性貯蔵器を酸素濃縮装置10に設けることができる。予め決められた形状であるが、酸素濃縮装置10内の利用可能な空間を酸素で充填するとき、貯蔵器を膨張し又は弾力をもって更に膨張させることができる。単一若しくは複数の可撓性の貯蔵器(図示せず)に連絡する単一若しくは複数の剛性のある複数の貯蔵器を選択的に設けて、例えば、酸素濃縮装置10内の空間を保護することができる。別の変形例では、空気多岐管16及び酸素供給多岐管102の一方又は両方の一部として、別要素としてではなく単一又は複数の貯蔵器を設けることができる。
【0028】
C.気体圧縮装置
図1A、図1B及び図2に加えて、図5A、図5B及び図6について、本発明に適する圧縮装置14の例示的な実施の形態を以下説明する。酸素濃縮装置10内に周辺空気を吸引する圧縮装置14は、単一又は複数の所望圧力レベルに空気を圧縮して、篩台12に圧縮空気を供給できる何らかの装置でよいことは、理解されよう。連結式ピストン(ピストンピンにより連接棒に接続されたピストン)、隔膜、揺動ピストン(連接棒に固定されたピストン)、スクロール、リニア及び回転ベーン圧縮機が適切な圧縮装置に含まれるが、列挙する圧縮装置は、本発明を限定しない。本発明の実施に適する揺動ピストン圧縮装置400の例を図43に示す。
【0029】
図5A〜図6Bに示す実施の形態では、多頭式空気圧縮装置である圧縮装置14は、モータ40と、モータ40に作動連結されるカム組立体42と、カム組立体40に作動連結される駆動軸又はロッド44と、駆動軸44に作動連結される複数の隔膜(振動板)組立体、即ち頭部46とを有する。モータ40は、例えば、比較的軽量でかつ長時間の動作寿命を有する「Pittman 4413(商標)」等のブラシレス(回転子に電流を流すブラシの無い)直流モータである。個々のロッドを参照符号44a,44b,44cで個別に示すが、全ロッドを集合的に参照符号4で示す。同様に、個々の頭部を参照符号46a,46b,46cで個別に示すが、全頭部を参照符号46で集合的に示す。
【0030】
モータ40は、中心軸43を形成する出力軸41を備える。モータ40は、ハウジング47から外側に延伸する基板(ベースプレート)、フレーム又は他の支持体45を備える。支持体45を使用して、モータ40に隔膜組立体46を直接固定することにより、支持体45を介して隔膜組立体46の振動を低減できるが、この点を更に後述する。例えば、モータ40と隔膜組立体46とを予め組み立てかつ単一の構成要素としてこれらを取り付ける構造により、酸素濃縮装置又は他の装置に圧縮装置14を容易に装着することができる。
【0031】
図5Cに示すように、出力軸41の回転により、中心軸43の周りをクランク軸49が回転するように、カム組立体42に出力軸41が作動連結される。図5B及び図6Bに示すように、クランク軸49は、出力軸41を嵌合する孔51を一端に形成した細長い円筒体(バレル)でよい。例えば、螺着、キー連結、締り嵌め嵌合、止めねじ(図示せず)又はその他の固定方法により、出力軸41にクランク軸49がを固定される。中心軸43から偏心する位置に孔51を形成して、モータ40により出力軸41を回転するとき、中心軸43周りに偏心してクランク軸49を回転することができる。出力軸41にクランク軸49を他の装置で固定できることは理解されよう。
【0032】
図5A〜図6Bに示すように、各隔膜組立体46は、ハウジング48と、ハウジング48に固着されかつ空洞部52を形成する隔膜50と、空気を空洞部52内に吸引しかつ空洞部52の外に排出する一組の逆止弁54とを備える。ハウジング48に設けられて実質的に剛性のある単一又は複数の補強支持部により、支持構造を隔膜50に与えかつ少なくとも部分的に空洞部52を形成することができる。ABS樹脂若しくはポリカーボネート樹脂等の樹脂材料、金属材料又は複合材料を使用して、例えばモールド成型、鋳造若しくは注型又は機械加工等によりハウジング48を形成することができる。
【0033】
各隔膜組立体46は、要約すると、入口ポート59及び出口ポート59を有する被覆体53と、吸気弁及び排気弁254を有する頭部55と、頭部55に隔膜50を取り付ける保持部材57とを備える。隔膜50、頭部55及び保持部材57は、全体として空洞部52を形成し、周辺空気は、周期的に空洞部52内に吸引されかつ空洞部52から送出されるが、この点は、本明細書の他所で説明する。図44A及び図44Bに付加的に示すように、隔膜50の外側リップ又は他の周辺部61は、頭部55と保持部材57との間に固定されるが、隔膜50の中心部63は、移動することができる。
【0034】
例えば、締り嵌め嵌合構造、単一又は複数の接続部材、締着具又は接着剤等(図示せず)を使用して、ほぼ永久に又は着脱可能に隔膜50をハウジング48に取り付けて、隔膜50とハウジング48との間に実質的に気密の構造を形成することができる。例えば、エチレン・プロピレン・ジエン・モノマー(「EPDM」)若しくは「BUNA」ゴム(重合ブタジエンにより形成される合成ゴム)等又はバイトン(フッ素ゴム)又は液状シリコーンゴム(LSR)材料等の十分な可撓性、弾性及び/若しくは他の適切な特性を有する可撓性材料又は半剛性材料により隔膜50を形成して、圧縮装置14の動作時に、所望のストロークで反復して隔膜50を屈曲させ、撓ませ又は振動させることができる。対応するロッド44に隔膜50を連結する支持部65が隔膜50に設けられる。
【0035】
例示的な実施の形態では、例えば、一辺約25.4〜76.2mm(1〜3in)の正方形断面又は長方形断面(図6)にハウジング48及び隔膜50が形成される。ハウジング48に深さ約6.35〜38.1mm(0.25〜1.5in)を与えて、容積のある空洞部52が形成される。例示的な実施の形態では、高さと幅の各々が約50mm(2in)の正方形断面が隔膜組立体46に与えられる。しかしながら、例えば、円形断面又は楕円形断面等他の断面形状にハウジング48と隔膜50とを形成できることは、理解されよう。
【0036】
図44A及び図44Bに示すように、隔膜50の外部リップ61と中心部63との間に設けられる肉厚の周辺部69により剛性を高めて、隔膜組立体46の慣性能率を向上することができる。例えば、ロッド44の作動により隔膜50の中心部63が内側及び外側に交互に移動するとき、剛性の増加する肉厚の周辺部69の運動を制限することができるが、この点は、本明細書の他所で説明する。別法として、図44Bの下方の参照符号69'を付与する輪郭で示す中心部63と同様の厚み又はこれより薄い厚みを周辺部69'に付与してもよい。図示のように、湾曲形状、例えば、隔膜の撓みを抑制する外形に周辺部69'を形成してもよい。
【0037】
駆動軸44の長手方向軸に沿いかつカム組立体42に対して接近及び離間するように、駆動軸44が往復運動するとき、空洞部54に対して内側方向と外側方向とに進退自在に隔膜50が、移動するように、隔膜50は、駆動軸44に連結される。このように、空洞部54に対して接近及び離間して隔膜50が移動するとき、空洞部54の容積が増大及び減少し、空洞部54に空気を吸引しかつ加圧して空洞部54から排出することができる。
【0038】
図6Aに示すように、入口通路56in及び出口通路56out等の複数の通路を形成する追加の隔壁をハウジング48に選択的に設けることができる。図6Aに図示しないが、図2に示すように、ハウジング48の底部に設けられる取付口57を介して、入口通路56inと出口通路56outは、空気多岐管16内の各通路62,64に連絡されるが、以下更に説明する。入口通路56inに連絡する入口逆止弁54inは、例えば、空洞部52と入口通路56inとの間の隔壁に設けられる。空洞部52から離間する方向に隔膜50が移動するとき、空洞部52内が負圧になるので、入口逆止弁54inは、開放されるが、空洞部52に向かって接近する方向に隔膜50が移動するとき、空洞部52内が正圧になるので、入口逆止弁54inは、閉鎖される。同様に、出口通路56outに連絡して設けられる出口逆止弁54outは、空洞部52内が正圧になると、開放され、空洞部52内が負圧になると、閉鎖される。弁に沿う圧力差に依存して一方向に開弁する従来の傘型弁等の単純なばね負荷弁により逆止弁54を構成できる。
【0039】
図5C〜図6Bに示すように、各隔膜50とクランク軸49との間にロッド44が配置される。ロッド44は、ハブ71を有する第1の端部と、リング73を有する第2の端部とを備える。ハブ71は、隔膜50の支持部65内に収容され又は隔膜50の支持部65に固定され、クランク軸49の周りにリング73が配置される。各リング73とクランク軸49との間に軸受77が設けられる。これより、軸受77及びリング73内でクランク軸49が自由に回転すると、中心軸43に対して接近する方向と離間する方向とに軸方向に進退自在にロッド44を移動させることができる。この動作により、空洞部52に対して離間する方向と接近する方向に進退自在に隔膜50を移動して、空洞部52内に空気を吸引して圧縮することができる。
【0040】
詳細には、動作時に、連続的に又は選択的にモータ40を作動して、カム組立体42のカム43を回転させて、カム組立体42に対して離間する方向と接近する方向とに駆動軸44を軸方向に往復運動させることができる。例えば、軸方向に約3mm〜約13mmの総移動ストロークで駆動軸44が往復運動するように、カム組立体4をが設計することができる。駆動軸44の往復運動により、ハウジング46に対して隔膜50を内側と外側とに移動させて、入口通路56inを通じて空洞部52内に周辺空気を吸引し、出口通路56outを通じて空洞部52から圧縮空気を圧送し排出することができる。隔膜50の中央部での変位量は、駆動軸44の変位量に1対1で一致する。例えば、隔膜50が実質的に弛緩状態又は無負荷状態にある隔膜50の弛緩容量の上方と、下方とに約80〜95%の間だけ、駆動軸44は、空洞部52の容量を変更することができる。
【0041】
例示的な実施の形態では、例えば、カム43又はカム組立体42の形態に基づき予め決められたパターンで、各隔膜組立体46a〜46cに対し、駆動軸44の往復運動を時間上ずらし、互い違いにし又は偏差を与えることができる。従って、各頭部46により圧縮空気を順次発生させることができる。これにより、例えば、1つの隔膜組立体46の振動量又は移動量を他の隔膜組立体46に対して少なくとも部分的にずらすことにより、圧縮装置14が発生する振動量又は騒音量を最小化できると考える。
【0042】
また、例えば、120°の角度間隔で互いにずれて複数の隔膜組立体46をカム組立体42の周囲に対称に配置すると、圧縮装置14の動作間に生じる振動を相殺し又は最小化することができる。比較のため別の実施の形態では、軸に沿う振動が増大する形態であるが、軸を形成する直線状の形態でカム組立体42の両側に2つの隔膜組立体(図示せず)を設けることができる。頭部の数を増加すると、動的な波高値間圧力振動(ピークピーク圧力振動)が減少し、減少する圧力脈動(周期的振動)により、騒音と振動が減少する利点が得られる。
【0043】
別法として、3つ以上の頭部46を設けることもできるが、この構造は、酸素濃縮装置10の製造価格及び/又は動作の複雑性が増大することがある。振動を最小化するため、例えば、いずれか複数の隔膜組立体46間でも直線軸にならない対称スポーク形態で奇数個(例えば、3、5、7等)の隔膜組立体46を設けて、種々の頭部46間で少なくとも部分的に振動を相殺することが望ましい。
【0044】
図5C及び図6Bに示すように、ロッド44は、クランク軸49上に軸方向に積層されるが、複数の隔膜組立体46は、互いに同一(共通)の平面上に配置される。この装置に適合するため、複数のロッド44の少なくとも幾つかは、リング73とハブ71とが、偏位し又はずれて配置される。例えば、中心に配置されるロッドは、平面内で中心軸43に対して実質的に垂直に延長し、中心に配置されるロッドより垂直方向下方に配置されるロッドは、隔膜組立体の平面より下方に変位する段差部を介してクランク軸49に連結される。中心に配置されるロッドより垂直方向上方に配置されるロッドは、隔膜組立体の平面より垂直方向上方に変位する段差部を介してクランク軸49に連結される。この構造により、同一平面内に配置される各ハブ71を各隔膜50に接続できる。
【0045】
この構造の効果の1つは、隔膜組立体46の設置面積を最小化して、圧縮装置14全体を小型化できることにある。例えば、モータ40の支持部45に隔膜組立体46を直接取り付けてもよい。例えば、ボルトねじ、鋲等の締着具、接着剤若しくは他の接着手段、爪等の係止手段を使用して、モータ40から外部に延伸してリップ又は他の構造体を形成する支持部45に隔膜組立体46の上部縁を取り付けることができる。モータ40に隔膜組立体46を直接取り付ければ、隔膜組立体46を中心軸43に比較的近接して配置できる。
【0046】
図43に示す揺動ピストン圧縮装置400は、隔膜50をピストン402に置換する点を除き、多くの点で図5A〜図6Bに示す隔膜圧縮装置と同様である。各ピストン402は、空洞部52と反対側のピストン402との間の気密構造を保持するピストンカップ密封体404を備える。
【0047】
本発明の携帯可能な酸素濃度装置に適する圧縮装置の他の構造を図45に示す。この変形例では、モータ(図示せず)は、モータ40と同様に、中心軸341を形成する出力軸を備える。クランク軸342は、偏心して出力軸に連結され、回転子345は、クランク軸342の周囲に配置される(例えば、回転子345とクランク軸342との間の図示しない単一又は複数の軸受内に配置される)。本明細書に開示するような複数の頭部346は、中心軸341の周囲に配置され、ロッド344は、頭部346から回転子345に延伸する。これより、中心軸341の周囲でクランク軸342が回転するとき、回転子345は、中心軸341周辺で揺動して、中心軸341に対し接近する方向と離間する方向とに進退自在にロッド344を移動させ、前記実施の形態と同様に、頭部346内の空気を圧縮することができる。
【0048】
しかしながら、図45に示す構造は、回転子345を配置する空間のため、図5A〜図6Bの構造より大きい設置面積を必要とする。従って、この構造は、例えば、酸素濃縮装置の空気多岐管等の取付面上により広い空間を必要とする。しかしながら、この構造により、複数の頭部346間により低くモータを支持して、圧縮装置の高さを低減できるため、ある用途には有利である。
【0049】
図5A〜図6Bに示す実施の形態では、図45と同様に、複数のロッドの往復運動により、時間上のずれ又は偏差を各頭部346に与える。中心軸341の周囲にほぼ均一な離間角度で3つの頭部346を配置するため、角度約120°だけ各頭部346の位相がずれる。このように、各頭部346の作動により、圧縮空気が順次発生する。また、複数の頭部346を互いに角度上ずらして配置する構造により、圧縮装置の作動時に発生する振動を相殺又は最小化できるが、本明細書の他所でも説明する。
【0050】
D.空気多岐管及び酸素多岐管
図1B、図2及び図7〜図8Bに示すように、下部管又は空気多岐管16は、内部に複数の通路62〜68を形成する全体的にほぼ平坦な単一又は複数の構造を有する。空気多岐管16は、原則として密封され、開口72〜79,86〜90を除き、通路62〜68は、事実上気密構造に保持される。開口部72〜79,86〜90を通じて、例えば、圧縮装置14、篩台18及び制御弁20等の他の構成要素は、通路62〜68に連絡され、所期の方法で空気多岐管16を通じて空気が搬送されるが、以下更に説明する。篩台12A,12B、圧縮装置14、貯蔵器18及び/又は空気制御弁20等の酸素濃縮装置10の構成要素を、空気多岐管16に選択的に取り付ける取付台、接続器及び/又は締付具(図示せず)を嵌合する単一又は複数の開口部又はポケット等を空気多岐管16に設けることができる。
【0051】
例示的な実施の形態では、実質的に高い剛性を有する空気多岐管16により、例えば、酸素濃縮装置10を一体構造で形成し又は強化することができる。一実施の形態では、酸素濃縮装置10の単一又は複数の外側構造面、例えば、酸素濃縮装置10の下面又は底面等を空気多岐管16により形成するので、下外部殻を追加する必要がない。例えば、ABS樹脂、ポリカーボネート樹脂等の樹脂材料、アルミニウム等の金属材料又は複合材料等の何らかの産業用材料により空気多岐管16が形成される。空気多岐管16は、射出成形、注型及び鋳造、機械加工等により形成される。
【0052】
例示的な実施の形態では、空気多岐管16は、例えば、最大でも重量0.11〜1.8kg(約0.25〜4.0lb)の比較的軽量の樹脂材料により形成される。別法として、弾性を有する半剛性又は可撓性材料により空気多岐管16の全部、一部又は複数部分を形成して、例えば、酸素濃縮装置10の耐久性及び/又は耐衝撃性を増大することができる。
【0053】
図示の実施の形態では、(a)少なくとも部分的に、通路62〜68を形成する複数の溝を有する多岐管基盤58と、(b)多岐管基盤58に嵌合されかつ溝をほぼ密封して通路62〜68を更に形成する多岐管蓋60とが空気多岐管16に設けられる。多岐管基盤58及び多岐管蓋60の代わりに、互いに嵌合され又は協力して本明細書に記載する通路62〜68を形成する単一又は複数の構成要素により空気多岐管16を構成することができる。
【0054】
図7に明示するように、単一又は複数の圧縮装置入口通路62、圧縮装置出口通路64、篩台通路66a,66b及び排気通路68を少なくとも部分的に形成する溝が多岐管基盤58に設けられる。通路62〜68及び/又は取付面の形成に不要な多岐管基盤58の一部を省略して、例えば、構造一体化に実質的に影響を与えずに空気多岐管16の総重量を減少することができる。別法として、酸素濃縮装置10を設置する例えばほぼ円滑ほぼ連続的な下壁かつ/又は脚又は他の要素(図示せず)を備えるほぼ連続的な下壁を多岐管基盤58に設けてもよい。
【0055】
これに加えて又は別法として、例えば、酸素濃縮装置10の他の外側構造面を形成する少なくとも側壁59の一部を多岐管基盤58に設けることができる。図2に示す別の変形例では、多岐管基盤58ではなく、側壁159を多岐管蓋60の一部とすることができる。更に別の変形例では、空気多岐管16を(L形状でなく)比較的平坦とし、空気多岐管16若しくは酸素多岐管102に接続され又は取り付けられる別の要素(図示せず)で側壁(59,159)を構成してもよい。
【0056】
図8A及び図8Bに示すように、多岐管基盤58の溝に組み合わされる単一又は複数の溝を多岐管蓋60に設けて、例えば、圧縮装置入口通路62、圧縮装置出口通路64、篩台通路66及び排気通路68等の通路62〜68を更に多岐管蓋60に設けることができる。別法として、溝壁を重ねて多岐管蓋60と多岐管基盤58との間の接続構造を強化しながら、多岐管蓋60の溝を多岐管基盤58の溝より僅かに大きく又は小さくすることができる。他の変形例では、多岐管基盤58の溝壁及び/又は他の要素に接合されるほぼ平坦な下面を多岐管蓋60に設けて、更に通路62〜68を形成することができる。
【0057】
例えば、摘み(タブ)と対応溝等の結合爪又はねじ、リベット、ボルト等の締着具等の単一又は複数の接続具を使用して、多岐管基盤58に多岐管蓋60を取り付けることができる。これに加えて又は別法として、接着剤又は音波溶着等を使用して、例えば、多岐管基盤58と多岐管蓋60との間の単一又は複数の接触面に沿い多岐管基盤58に多岐管蓋60を取り付けることができる。
【0058】
図8A及び図8Bに示すように、通路62〜68に連絡する複数の開口部72〜79,86〜90が多岐管蓋60に設けられる。例えば、多岐管蓋60は、圧縮装置入口通路62に連絡する空気入口79を備える。酸素濃縮装置10の外面の入口開口160a,160b(図8A又は図8Bに図示せず、図2に示す)に延伸する管又は他の中空構造体(図示せず)に接続される空気入口79を通じて、例えば、酸素濃縮装置10内に周辺空気が吸引される。選択肢として、図3に示すように、空気入口79の前方に直列に接続される入口空気濾過器162は、入口開口160a,160b内に吸引されて圧縮装置14内に流入する周辺空気から塵又は他の粒子を除去することができる。
【0059】
多岐管蓋60は、圧縮装置14に連絡する複数対の開口部72,74を備える。図示の実施の形態では、圧縮装置14の3つの隔膜組立体46の取付口57(図示せず、図2に図示)に対応する三対の開口部72,74が多岐管蓋60に設けられる。隔膜組立体46の複数の取付口57の間隔と同一で予め決められた間隔で離間して隔膜組立体46に各対の開口部72,74が形成される。開口部72,74及び取付口57の一方又は両方に接続管又は他の延長管を設けて、隔膜組立体46と多岐管蓋60とを容易かつ実質的に密閉接続することができる。例えば、締り嵌め嵌合、螺合、結合爪及び接着剤等の1つ又は複数を使用して、取付口57を開口部72,74に接続することができる。
【0060】
圧縮装置14が空気多岐管16に装着され又は隣接して取り付けられると、隔膜組立体46の入口通路56inは、開口部72と圧縮装置入口通路62に連絡される。使用時に、各隔膜組立体46の作動により入口通路56inから交互に外部空気が吸引されるとき、各開口部72、圧縮装置入口通路62及び空気入口79を通じて空気が吸引される。同様に、隔膜組立体46の出口通路56outは、開口部74及び圧縮装置出口通路64に連絡される。使用時に、各隔膜組立体46の作動により出口通路56outから圧縮空気が排出されるとき、圧縮空気は、各開口部74から空気多岐管16の圧縮装置出口通路64に流入する。
【0061】
図8A及び図8Bに示すように、圧縮装置出口通路64、篩台通路66及び/又は排気通路68に重なりかつ互いに隣接して複数の空気制御弁開口部86,88が多岐管蓋60に設けられる。このように、多岐管基盤58に多岐管蓋60を取り付けると、空気制御弁開口部86,88は、各通路64〜68に連絡される。特に、排気弁入口開口88inを各篩台通路68に連絡すると、供給弁入口開口86inは、圧縮装置出口通路64に連絡される。排気弁出口開口88outが排気通路68に連絡すると、供給弁出口開口86outは、各篩台通路66に連絡される。
【0062】
多岐管蓋60は、篩台通路66の拡大部に連絡する篩台開口部90を有する。このように、空気多岐管16に篩台12を装着し又は隣接して取り付けると、篩台開口部90a,90bは、各篩台12の第1の端部32に連絡される。更に、図8Bに明示するように、多岐管蓋60は、排気通路68に連絡する単一又は複数の排気開口部92も有する。
【0063】
篩台12からの排出気体(通常、濃縮窒素)を排出する管、ノズル又は他の装置(図示せず)を排気開口部92に選択的に連結できるが、この構造を以下更に説明する。一実施の形態では、酸素濃縮装置10内の制御装置22又は他の電子装置等を冷却する排出気体は、これらにに向かって導入される。内部電子装置の冷却流体となる窒素含有量が増加した空気を使用して、電子装置の過熱時又は短絡事故時に発火の危険性を減少して、酸素濃縮装置10の安全性を向上できる。酸素の一部が除去される排出気体は、燃焼を促進する可能性を低下させる。更に、酸素濃縮装置10の内部に連絡する漏洩が貯蔵器18又は篩台12に生じても、酸素濃縮装置10内に排出気体を導入すれば、生成される混合気体中の酸素は、周辺空気より希薄(容量百分率として)である。
【0064】
弁開口部86,88上で多岐管蓋60に複数の空気制御弁20が取り付けられるが、更に後述する。空気制御弁20を選択的に開弁及び閉弁して、例えば、圧縮装置出口通路64から篩台通路66への流路及び/又は篩台通路66から排気通路68への流路が形成される。例えば、図3に示すように、給気制御弁20Asを開弁すると、開口部72、圧縮装置通路62、供給入口開口86in、空気制御弁20As、供給出口開口86out及び篩台通路66aを通じて、圧縮装置14から篩台12Aへの流路が形成される。排気制御弁20Beを開弁すると、篩台通路66b、排気入口開口88in、空気制御弁20Be、排気出口開口88out及び排気通路68を通じて、篩台12Bから排気開口部92の外部への流路が形成される。
【0065】
他の方法で篩台12に対し空気を流入し流出させることが必要な複数の管及び弁に空気多岐管16を置換してもよい。前記管と弁の各々を省略して、最大4つの空気制御弁20を有する単純な多岐管に置換えられるので、空気多岐管16により、酸素濃縮装置10の全寸法、重量及び/又は製造価格を低減し、特に、酸素濃縮装置10の利便性及び使用容易性を向上しかつ/又は安価な製造に有用である。
【0066】
別法として、同様の方法で2つの三方向弁又は1つの四方向弁を使用して、同一の目的を達成することができる。
【0067】
また、空気多岐管16により、例えば、圧力損失の減少及び/又は騒音の低下への変更を容易に行うことができる。例えば、酸素濃縮装置10のエネルギ需要を最小化するため、通路62〜68を通過する圧縮空気のエネルギ損失を減少するように通路62〜68の寸法及び/又は形状を設計することができる。6894.76Pa(1psi)だけ圧力損失が増加すれば、酸素濃縮装置10の電力消費が10%程度又はそれ以上に増大することがある。図11は、3つの例示的な平均流量24、30及び50リッター/分に対して発生する圧力損失を示す。通路62〜68の平均流径(流れ直径)が増大する程、圧力降下は、顕著に減少する。このように、少なくとも直径約6.35mm(0.25in)の寸法又は他の均等断面積で通路62〜68を形成することが望ましい。
【0068】
更に、酸素濃縮装置10内を流動する空気の流路中にバッフル(隔壁)又は音を減衰する他の消音装置又は消音材料を空気多岐管16に容易に設けることができる。例えば、バッフル(隔壁)、ベンチュリ、流量変更部材(図示せず)等の1つ又は複数を多岐管基盤58の溝に直接モールド成形して、空気流に起因する音波を吸収し又は騒音を減衰することができる。別法として、多岐管基盤58に多岐管蓋60を取り付ける前に、溝内に前記消音要素を挿入し又は取り付けることができる。更に別の変形例では、空気多岐管16の単一又は複数の通路62-68に流量制御弁を直接取り付けることができる。
【0069】
図1A〜図3に示すように、空気多岐管16又は例えば空気多岐管16の多岐管蓋60に空気制御弁20を取り付けることができる。図示の実施の形態では、例えば、接続器、定着具又は接着剤等の1つ又は複数を使用して、多岐管蓋60に4つの「双方向」空気制御弁20が取り付けられる。加圧周期を部分的に重複する性能を選択的に保有しかつ他の篩台から独立して、4つの空気制御弁20により、各篩台12A,12Bを加圧しかつ/又は排気できるが、以下更に説明する。
【0070】
アメリカ合衆国インディアナ州インディアナポリスのエスエムシー社から市販の「SMC
DXT」弁を例示的な双方向弁として各空気制御弁20に使用できる。この空気制御弁は、比較的小さい樹脂製パイロット作動式隔膜弁である。隔膜領域の大きいこの空気制御弁は、使用時に極めて低い最低作動圧力で、特に有効に酸素濃縮装置10の作動圧力を与えることができる。「常開(通常開放)」弁を設けてもよい。パイロット弁を通じて隔膜の頂部側に圧力が加えられるとき、隔膜を弁座に強制的に押圧して流れを遮断することができる。常開パイロット電磁弁又は常閉(通常閉鎖)パイロット電磁弁の何れを使用することができる。通常隔膜弁自体が開放されるので、常開電磁(ソレノイド)弁を使用すると、常閉動作を行えるが、弁の開放時に電気エネルギが必要となる。
【0071】
別法として、空気多岐管16の開口部及び/又は通路にいくつかの些細な変更を必要とするが、空気制御弁20を2つの「三方向」弁に置換してもよい。しかしながら、三方向弁は、高価でかつ動作が複雑でかつ/又は酸素濃縮装置10の使用時に加わる圧力より大きい圧力がパイロット弁に必要になることがある。更なる変形例では、4つの二方向弁の代わりに、単一又は複数の他の多位置弁を設けることができる。
【0072】
図2に示すように、例えば、アルミニウム多岐管等の単一の弁多岐管21に図示の4つの空気制御弁20を設け、弁多岐管21とは別体又は一体にねじ付入口及びねじ付出口を取付口として設けることができる。弁多岐管21に空気制御弁20を取り付けた後に、開口部86,88を覆って空気多岐管16に弁多岐管21が取り付けられる。別法として、個々の空気制御弁20を空気多岐管16に直接取り付けて、例えば、弁多岐管21又は他の付属品及び/若しくは管類を省略すれば、酸素濃縮装置10の全体の大きさ及び/又は重量を更に減少することができる。
【0073】
図1A、図1B及び図2並びに図9A〜図9Bに示すように、貯蔵器18内に貯蔵される酸素を酸素濃縮装置10の使用者に供給する上部管又は酸素供給多岐管102が設けられる。空気多岐管16と同様に、酸素供給多岐管102は、酸素濃縮装置10の外部表面構造を形成するのに十分に剛性の高い一体構造体となり、例えば、酸素濃縮装置10に別体で設けられる外部殻又は上部殻を省略することができる。空気多岐管16と同様に前記材料及び/又は方法を使用して、酸素供給多岐管102を製造しかつ組み立てることができる。
【0074】
図9Bに示すように、例えば、酸素供給多岐管102の下面に単一又は複数のリブ又は他の補強部材103が酸素供給多岐管102に選択的に設けられる。酸素供給多岐管102、例えば、篩台12に複数の補強構造体を所望のパターンでモールド成形(樹脂成形)し、直接成形し又は取り付けることができる。例えば、篩台12A,12B内に設けられて酸素供給多岐管102を上方に押圧する偏倚装置39による押圧力及び/又は篩台12内で発生する空気圧力に対抗して、複数の前記補強構造体により、酸素供給多岐管102を補強することができる。
【0075】
図2に示す実施の形態では、単一又は複数の酸素供給通路108,109を少なくとも部分的に形成する多岐管基盤104と、酸素供給通路108,109を更に形成する多岐管蓋106とが酸素供給多岐管102に設けられる。多岐管基盤104内に互いに隣接して配置される酸素供給通路108,109は、他の構成要素に連絡されて酸素濃縮装置10の使用者に酸素を供給する複数の開口部126〜138を備えるが、以下更に説明する。単一又は複数の電池開口部140a,140b及び/又は電池開口部140にモールド成形又は他の方法で形成される界面体窓部142が多岐管基盤104に設けられる。例えば、使用者界面体がタッチ画面表示装置230のときに必要となる使用者界面体144に界面体窓部142から連絡することができる。
【0076】
図2に示すように、酸素濃縮装置10の側板159の少なくとも一部を酸素供給多岐管102の多岐管基盤104に選択的に設けることができる。側板159は、空気多岐管16上の側板59に当接され、相互連結され又は他の方法で取り付けられる。側板59,159は、酸素濃縮装置10の十分に剛性のある外部構造壁となる。このように、側壁59,159、多岐管16,102、篩台12A,12B及び/又は貯蔵器18を組み合わせて、酸素濃縮装置10及びその内部要素を支持するのに必要な構造フレームとなる。別法として、空気多岐管16及び/又は酸素供給多岐管102に接続され又は他の方法で取り付けられる分離壁板(図示せず)として、側壁59,159の一方又は両方を設けることができる。
【0077】
図2に示すように、酸素濃縮装置10の内部に連絡する単一又は複数の入口開口160a,160bが側壁159に設けられる。図示のように、互いに隣接する2つの入口開口又は網部材160a,160bが側壁159に設けられる。入口開口160a,160bは、例えば、長方形、正方形、円形又は他の形態で如何なる所望の配列に形成することができる。例示的な実施の形態では、各入口開口160a,160bは、約25〜50mm(約1〜2in)の高さ及び/又は幅を有する。容易に空気が通過しても、大きな物体の通過を防止する例えば、直径約0.6〜4mm(約0.025〜0.15in)の比較的小さい複数の孔が入口開口160a,160bの網部材に設けられる。
【0078】
例えば、前記のように、空気多岐管16の空気入口79に連絡する管類等(図示せず)を通じて、第1の入口開口160aは、圧縮装置14に空気を吸引する入口となる。第2の入口開口160bは、酸素濃縮装置10の内部に周辺空気を吸引する換気入口を形成し、吸引した空気により、例えば、内部電子装置及び/又は篩台12の冷却が促進される。例えば、酸素濃縮装置10の内部に一定速度又は可変速度及び/又は一定容量又は可変容量により周辺空気を吸引する吸気送風機164が第2の入口開口160bに隣接して取り付けられる。
【0079】
例えば、酸素濃縮装置10の内部から空気が流出する垂直空間(図示せず)等による単一又は複数の間隙を酸素濃縮装置10の複数の篩台12A,12B間又は篩台12A,12Bと貯蔵器18との間に選択的に設けてもよい。例えば、入口開口160a,160bに対向する酸素濃縮装置10の端部から、酸素濃縮装置10内の空気(特に、排気開口部92からの排出気体)を排出して、酸素濃縮装置10の効率又は有効性を低減する高濃度の窒素を含む空気の篩台12A,12B内への吸引を回避することが望ましい。別法として、例えば、酸素濃縮装置10の空気多岐管16、酸素供給多岐管102及び/又は側壁の1つ又は2つ以上(図示せず)に、所望の方法により空気を酸素濃縮装置10内から排出する単一又は複数の出口開口(図示せず)を設けることができる。
【0080】
E.酸素供給装置
図2及び図3に示すように、貯蔵器18から使用者に酸素を供給する単一又は複数の酸素供給装置が酸素濃縮装置10に設けられる。例えば、本明細書で説明する酸素濃縮装置10の他の構成要素を取り付けるのと同様の方法又は他の方法を使用して、酸素供給多岐管102に前記酸素供給装置を取り付け又は酸素供給多岐管102に隣接して取り付けることができる。
【0081】
例えば、蓋80の開口部82を覆う多岐管基盤104に一対の逆止弁110a,110bが設けられる。逆止弁110a,110bは、前記逆止弁54と同様に、単なる圧力作動弁でよい。篩台12A,12B及び貯蔵器18に又は篩台12A,12B及び貯蔵器18に隣接して酸素供給多岐管102を取り付けるとき、逆止弁110a,110bは、篩台12A,12Bから酸素供給通路108への一方向流路となる。酸素供給通路108は、開口部112を通じて直接かつ連続的に貯蔵器18に連絡される。
【0082】
圧力センサ114は、貯蔵器18内に設けられ又は酸素供給通路108に連絡される。圧力センサ114は、貯蔵器18内、即ち、酸素供給通路108内の絶対圧力を検出する。また、逆止弁110a,110bを利用して、圧力センサ114は、篩台12内の最大圧力を検出することができる。詳細には、篩台12から貯蔵器18及び酸素供給通路108に逆止弁110a,110bを通じて一方向に酸素が流れるので、何れかの篩台12の圧力が貯蔵器18の圧力を超過するときは常に、各逆止弁110a又は110bが開弁される。各篩台12A,12B内の圧力が貯蔵器18の圧力以下になれば、各逆止弁110は、閉弁される。
【0083】
例えば、酸素供給多岐管102に取り付けられる酸素供給通路108,109に直列に接続される酸素供給弁116、酸素センサ118、単一又は複数の圧力センサ120,122及び単一又は複数の空気濾過器124を設けることも、本発明は、企図する。例えば、図9A及び図9Bに付加的に示すように、酸素制御弁開口部126と、圧力センサ開口部128,138と、酸素センサ開口部130,132と、前記構成要素に連絡する出口開口134,136とが多岐管基盤104に設けられる。例えば、酸素制御弁開口部126の下方で酸素供給多岐管102に取り付けられる酸素供給弁116(図3)により、酸素供給通路108と酸素供給通路109との間、即ち、貯蔵器18から酸素濃縮装置10の外部の使用者に供給される酸素流量が制御される。酸素供給弁116は、制御装置22に連結されかつ選択的に開閉される電磁(ソレノイド作動)弁である。酸素供給弁116に使用できる例示的な弁は、比較的大きなオリフィス寸法を有し、酸素供給弁116を通じて流体流量を最大にするハーグレーヴステクノロジ社製「45M型」弁である。別法として、パーカープニュトロニクス社製「Vセキュアード」又は「11シリーズ」弁を使用できる。
【0084】
酸素供給弁116の開放時に、酸素制御弁開口部126a,126b、酸素供給弁116、酸素制御弁開口部126cを通じて、酸素供給通路108から酸素供給通路109に酸素が搬送される。制御装置22により変更調整される所望の周波数で所望持続時間、酸素供給弁116を開放して、断続して酸素が供給されるが、以下更に説明する。別法として、制御装置22により酸素供給弁116を開放状態に維持し、断続して供給せず、酸素を連続的に供給することができる。この変形例では、制御装置22により酸素供給弁116を抑制して、使用者に対する体積流量を調整することができる。
【0085】
図示の実施の形態では、圧力センサ120の開口を圧力センサ開口部128に接続し又は別の方法で連絡させて、酸素供給多岐管102にかつ/又はその下方に圧力センサ120が取り付けられる。このように、圧力センサ120の開口により、複数の酸素供給通路108,109間、即ち、酸素供給弁116に沿う圧力差を測定することができる。圧力センサ120を使用して貯蔵器の圧力を選択的に検出して、圧力センサ114を省略することができる。例えば、酸素供給弁116の閉弁時に、酸素供給弁116の上流圧力は、貯蔵器18内の圧力にほぼ等しい。
【0086】
制御装置22に連結される圧力センサ120は、例えば、酸素供給弁116に沿う圧力差を測定して、制御装置22により処理される検出信号を出力する。制御装置22は、酸素供給弁116に沿う圧力差を使用して、酸素濃縮装置10から供給される酸素の流速、流量又は他の媒介変数(パラメータ)を決定する。制御装置22は、検出した流速、流量に基づいて又は例えば単一又は複数の帰還媒介変数に基づいて酸素供給弁116を開弁する周波数及び/又は持続時間を変更できるが、以下更に後述する。
【0087】
酸素供給多岐管102及び/又は酸素供給多岐管102の下方に酸素センサ118を取り付けて、酸素センサ118の開口を酸素センサ開口部130,132に連絡できる。酸素センサ118は、酸素センサ118を通過する酸素の純度を測定する。酸素センサ118を通過する気体の音速を測定する超音波センサである酸素センサ118の例は、例えば、カンザス州ショーニーに所在のダグラス・サイエンティフィック社により販売されるものである。別法として、酸素センサ118は、セラミックセンサ又は副流センサでもよい。例えば、セラミックセンサの消費電力約1Wに対し、セラミックセンサより少ない約50mWの消費電力を生ずる超音波センサは、より高価である。
【0088】
制御装置22に連結される酸素センサ118は、酸素の純度に比例するレベルの電気信号を発生する。前記電気信号は、制御装置22により処理されかつ酸素濃縮装置10の動作の変更に使用されるが、更に後述する。酸素センサ118の精度は、酸素センサ118を通過する空気流により影響を受けることがあるので、例えば、酸素供給弁116の閉弁時等の非流動状態間に、酸素純度信号を取り出すことが望ましい。
【0089】
酸素多岐管102及び/又はその下方に圧力センサ122を取り付け、圧力センサ122の開口を圧力センサ開口部138に連絡することができる。圧力センサ122は、絶対圧力を測定できる圧電抵抗圧力センサでもよい。使用する例示的な変換器は、ハネウェル・マイクロスイッチ社製「24PC01SMT変換器」、センシム社製「SX01」、モトローラ社製「MOX」又は他社製の全センサを含む。酸素濃縮装置10の最大装置圧力に暴露される圧力センサ122の超過圧力定格値は、最大装置圧力を超過し、例えば、少なくとも約103421Pa(15psi)であることが望ましい。
【0090】
圧力センサ122は、制御装置22に連結され、制御装置22は、圧力センサ122が検出する圧力に比例するレベルの信号を出力する。零基準を持たない圧力センサ122からの圧力信号は、酸素濃縮装置10の動作間に変動する。例えば、圧力センサ122に小型弁(図示せず)を連結して、酸素供給弁116を開弁して酸素を供給するとき、定期的に圧力センサ122を排気し又は零圧力に調整して、圧力センサ122に影響を与える全圧力変動又は他の圧力誤差を最小化することができる。
【0091】
別法として、酸素供給弁116(例えば、常開口)と圧力センサ122との間に直列に比較的小型のオリフィス(例えば、直径約0.254mm(0.010in)を接続することができる。このオリフィスは、圧力センサ122からの圧力信号に悪影響を与えない程十分に小さいが、例えば、100ミリ秒程度の短期パルス間に圧力センサ122が零レベルに圧力を開放するのに十分な大きさを有する。前記オリフィスを使用する詳細な情報は、米国特許公開第2003/0150455号公報に開示され、参照することにより、この米国特許公報の全内容を明確に本明細書の一部とする。他の変形例では、制御装置22は、濾波アルゴリズムを実行して、使用者の呼吸開始を認識することができる。
【0092】
多岐管基盤104は、酸素センサ開口部132及び圧力センサ開口部138に連絡する溝133を備える。溝133上にカバー又は他の部材(図示せず)を取り付け又は他の方法で溝133を被覆し、例えば、溝133により形成される実質的な密閉通路を形成することができる。このように、圧力センサ122は、溝133内の酸素の絶対圧力を測定することができる。この圧力表示数を使用して、例えば、溝133内で生じる圧力降下に基づいて、使用者の吸気開始時期を検出して、使用者にパルス状に酸素の供給を開始できるが、以下更に説明する。
【0093】
酸素供給多岐管102又はこれに隣接して取り付けられる空気濾過器124(図3)になんらかの従来の濾過媒体を設けて、使用者に供給する酸素から不要な粒子を濾過媒体により除去することができる。図9Aに示すように、酸素供給多岐管102は、内部に空気濾過器124を収容する形状を有する溝137を備える。締まり嵌め、単一又は複数の接続器又は接着剤等により、空気濾過器124を溝137内に固定することができる。
【0094】
出口開口136を介して溝135(図9Bに示す)に溝137(図9Aに示す)が接続される。図示の実施の形態では、溝135は、多岐管基盤104内でかつ多岐管基盤104を通じて形成される出口開口134,136間に延伸する。カバー又は他の部材(図示せず)を溝135に取り付け又は溝135を覆い、例えば、実質的に気密の通路を溝135により形成することができる。従って、酸素センサ118から供給される酸素は、出口開口134を通り溝133から溝135を通過し、出口開口136を通り溝137内に流入する。その後、酸素は、空気濾過器124を通過して、使用者に供給される。
【0095】
図1A及び図9Bに示すように、溝137を覆って酸素供給多岐管102に套管操作杆(カニューレバーブ)139又は他の装置を選択的に取り付けてもよい。例えば、ねじ連結、単一又は複数の爪又は他の接続器若しくは接着剤等(同様に図示しない)により、何らかの従来方法を使用して、酸素供給多岐管102に套管操作杆139が取り付けられる。使用者に酸素を供給する例えば、周知の可撓性ホース(図示せず)等の套管(カニューレ)を取り付ける接続管又は他の接続器を套管操作杆139に設けることができる。空気濾過器124から套管操作杆139を分離し又は溝137を覆って酸素供給多岐管102に一緒に套管操作杆139と空気濾過器124とを単一の組立体として取り付けてもよい。
【0096】
酸素供給多岐管102及びそれに取り付ける上記要素ではなく、使用者に酸素を供給する他の形態及び/又は構成要素を設けることができる。また、例えば、酸素供給弁116、圧力センサ120,122、酸素センサ118及び空気濾過器124等の構成要素(酸素供給多岐管102を通じて流れる酸素に関連して)を特定の順序で説明したが、所望により前記構成要素の順序を変更してもよい。
【0097】
図2に戻り、単一又は複数のハードウェア構成要素及び/又は酸素濃縮装置10の単一又は複数の動作形態を制御するソフトウェアモジュールが制御装置22に設けられる。例えば、圧縮装置14、空気制御弁20、酸素供給弁116、圧力センサ114,120,122及び/若しくは酸素センサ118等の酸素濃縮装置10の単一又は複数の構成要素に制御装置22が連結される。1本又は複数本の導線又は他の電気リード(図の簡略のため図示省略)により構成要素を連結して、制御装置22と構成要素との間で信号の送受信を行うことができる。
【0098】
制御装置22は、使用者インターフェイス144にも連結され、使用者インターフェイス144は、単一又は複数の表示装置(ディスプレイ)及び/又は入力装置を含む。図2に示す実施の形態では、使用者インターフェイス144は、酸素供給多岐管102の界面装置窓部142又はその下方に取り付けられるタッチ画面表示装置である。使用者インターフェイス144は、酸素濃縮装置10の動作に関する媒介変数情報を表示しかつ/又は使用者が媒介変数を変更し、例えば、酸素濃縮装置10をオン及びオフし、用量設定又は所望流量等を変更できるが、以下更に説明する。単一の使用者インターフェイス144を示すが、例えば、オン/オフスイッチ、ダイアル及びボタン等(図示せず)の多表示装置及び/又は入力装置を使用者インターフェイス144に設けてもよい。他の構成要素と同様に、1本又は複数本の導線及び/又は他の電気リード(簡略化のため図示省略)により、使用者インターフェイス144を制御装置22に連結することができる。
【0099】
簡素化のため、図2に示す制御装置22は、内部に複数の電気部品を有する単一の電気回路基板を有する。前記構成要素は、回路基板に取り付けられる単一又は複数の処理装置、記憶装置、切替装置、送風装置及び充電装置(図示せず)等を含む。酸素濃縮装置10の異なる動作形態を制御する多数の下位制御装置により制御装置22を構成することができる。例えば、第1の下位制御装置は、圧縮装置14及び空気制御弁20のモータ40の動作を制御し、第2の下位制御装置は、酸素供給弁116及び/又は使用者インターフェイス144の動作を制御することができる。
【0100】
例えば、圧縮装置14の動作を制御する第1の下位制御装置等の制御装置22は、モトローラ社製「ON MC33035」型、テキサス・インスツルメンツ社製「DSP TMS 320LF240」及び/又はエムエスピー社製「430 F449IPZ」の1つ等のブラシレス直流モータ制御装置を備える。前記制御装置は、時間転流にモータ40のホールセンサ(図示せず)を使用する。別法として、無センサ制御装置を使用して、逆起電力を測定して転流時間を測定し、モータの巻線に発生する逆起電力を測定して、モータ回転子の位置を測定することができる。モータのセンサを省略できる上、モータへの配線を単純化できるので、この変形例は、安価である。例えば、フェアチャイルド社は、制御装置22への使用に適する専用集積回路を販売する。別法として、集積型無センサ制御周辺機器を含むテキサス・インスツルメンツ社製「DSP TMS 320LF240」又はエムエスピー社製「430 F449IPZマイクロプロセッサ」を使用することができる。
【0101】
第1の下位制御装置(又は制御装置22の他の構成要素)は、モータの速度、即ち、隔膜組立体46により供給される圧縮空気の圧力及び/又は流量を制御する。また、制御装置22は、空気制御弁20の開弁閉弁順序も制御し、例えば、更に以下に例示する所望の方法により、篩台12に空気を充填しかつ篩台12から気体を排気する。
【0102】
第2の下位制御装置(又は制御装置22の他の構成要素)により、酸素供給弁116を制御して、例えば、圧力センサ122から受信した圧力信号に基づいて、貯蔵器18から使用者に酸素を供給することができる。また、第2の下位制御装置は、使用者及び/又は使用者インターフェイス144上の表示情報からの指令入力を受信する。更に、制御装置22の複数の下位制御装置又は他の複数の構成要素は、後述の所望方法により情報を共有する。このように、制御装置22は、他の構成要素と機能を交換できる単一又は複数の構成要素を備え、本明細書で説明した特定例に制御装置22を限定すべきではない。
【0103】
更に、酸素濃縮装置10は、制御装置22、圧縮装置14、空気制御弁20及び/又は酸素供給弁116に連結される単一又は複数の電力源を備える。例えば、図2に示すように、一対の電池148は、例えば、側壁59,159と篩台12との間の開放側に沿って、空気多岐管16に取り付けられ又は別の方法で固定される。例えば、空気多岐管16は、電池148内に嵌合されて酸素濃縮装置10内で垂直に電池148を安定しかつ/又は固定する単一又は複数の取付台149を備える。加えて又は別法として、他の紐又は支持体(図示せず)を使用して、酸素濃縮装置10内に電池148を固定することもできる。
【0104】
例示的な実施の形態では、電池148は、11ボルト標準3直列リチウムイオン電池、4直列リチウムイオン電池(例えば、製品番号NL2024等のインスパイアード・エネルギを利用できる電池)等の充電式電池である。3直列パックに対し、標準0.45kg(1lb)パックは、3アンペアの電流制限を有するが、0.675kg(1.5lb)パックは、6アンペアの最大電流を有する。インスパイアード・エネルギ社の追加情報をホームページ(www.inspired-energy.com)で参照できる。他の電池供給会社は、モリーン・エネルギ社(www.molienergy.com)、GPバッテリ社(www.gpbatteries.com)、マイクロパワー社(www.micro-power.com)及びバックマン社(www.buchmann.ca)である。
【0105】
制御装置22は、酸素濃縮装置10内で電池148から他の構成要素への配電・給電を制御する。例えば、所定レベルに電力が減少するまで、一方の電池148から制御装置22に電力を供給し、そこで、制御装置22は、他方の電池148に自動的に切り替えることができる。別法として、制御装置22が両方のバッテリを均等に放電させることも、本発明は、企図する。
【0106】
例えば、壁面コンセント等の商用交流電力源又は自動車のシガーライタソケット、ソーラパネル装置(図示せず)等の携帯可能なの交流電力源若しくは直流電力源等、酸素濃縮装置10に電力を供給する外部電力源に対するアダプタを酸素濃縮装置10に選択的に設けてもよい。酸素濃縮装置10に使用できる外部電気エネルギを変換するのに必要な何らかの変圧器又は他の構成要素(図示せず)を酸素濃縮装置10内に設けて、酸素濃縮装置10を外部電力源又は外部装置自体に電線で接続することもできる。
【0107】
外部エネルギ源から電池148にある電気エネルギを供給し、従来方式により電池148を選択的に再充電するように制御装置22を構成してもよい。例えば、自動的に又は使用者インターフェイス144から指令信号を受けたとき、電池148の電力レベル又は酸素濃縮装置10が外部電力源に接続されるか否か等の酸素濃縮装置10の電気エネルギ状態を制御装置22が表示することもできる。単一又は複数の前記機能を実行する単一又は複数の専用構成要素を制御装置22に設けてもよい。制御装置22に設けられる例示的な電池管理集積回路(IC)は、二重電池装置として設計された「Maxim MAX 1773」型である(詳細は、ウェブサイト:www.maxim-ic.com/quick_view2.cfm/qv_pk/2374を参照されたい)。他には、同様に二重電池装置として設計されかつ充電にも同様の選択機能を組み合わせた「Linear LTC 1760」である(詳細は、ウェブサイト:www.linear.com/prod/datasheet.html?datasheet=989を参照されたい)。
【0108】
F.組立体
図1A〜図3に示すように、酸素濃縮装置10の組立時に、前記の通り、空気多岐管16及び酸素供給多岐管102の構成要素を製造しかつ組み立てることができる。例えば、結合爪、接続器、締着具、嵌合、接着剤(図示せず)等の1つ又は2つ以上を使用して、多岐管蓋60,106及び/若しくは他の蓋体又はカバー(図示せず)を成形し又は他の方法で製造し、多岐管蓋60,106及び/若しくは他の蓋体又はカバー(図示せず)を多岐管基盤58,104に取り付けることができる。同様に、例えば、前記の通り、篩台12、貯蔵器18及び圧縮装置20を製造しかつ/又は組み立てることができる。
【0109】
前記の通り、空気制御弁16、篩台12、貯蔵器18及び/又は圧縮装置20を例えば空気多岐管16の多岐管蓋60に取り付けることができる。同様に、酸素供給弁116、圧力センサ120,122、酸素センサ118、空気濾過器124及び/又は他の構成要素を酸素供給多岐管102に取り付けることができる。例えば、篩台12及び貯蔵器18を空気多岐管16に取り付ける前又は後に、酸素供給多岐管102を篩台12及び貯蔵器18に取り付けることができる。所望の製造設備を組立てかつ/又は所望の製造方法に重要でない組立順序を容易に変更できる。
【0110】
同時に又は別途、側壁59,159を互いに取り付け又は側壁59,159が単一又は複数の分離壁板(図示せず)を構成すれば、空気多岐管16及び酸素供給多岐管102にかつ/又はそれらとの間に側壁59,159を取り付けることができる。得られる構造体は、酸素濃縮装置10の構造体フレームを形成するので、支持体、構造体又は外面層を追加する必要がない。
【0111】
回路基板に設けられる制御装置22を構造体フレーム内に取り付け、制御装置22と制御装置22に連結される他の構成要素との間に全ての導線又は他のリードを接続できる。例示的な実施の形態では、例えば、排気開口部92に垂直方向に隣接して、空気多岐管16に制御装置22(又は少なくとも1つの下位制御装置)が取り付けられる。このように、例えば、制御装置22を横切り又は制御装置22に向かって空気多岐管16から排出される濃縮された窒素等の気体を案内して、制御装置22の構成要素を冷却することができる。ブラケット又は他の支持体(図示せず)を多岐管蓋60に取り付け、制御装置22の回路基板及び/又は他の構成要素を常法従来方式でブラケット又は支持体に固定することができる。
【0112】
例えば、酸素濃縮装置10の内部を開放する必要がない限り、酸素濃縮装置10内に電池148を常時収納することができる。複数の多岐管16,102間の側部領域を事実上開放状態に保持(電池148により覆われる領域を除き)して、例えば、組立て時に開放しかつ/又は酸素濃縮装置10の構成要素を試験することができる。酸素濃縮装置10の内部を実質的に包囲する比較的薄くかつ/若しくは軽量の外板又は他の構造体(図示せず)を各開放側領域に選択的に設けて、例えば、接触を制限しかつ/若しくは内部の構成要素を保護する又は又は騒音伝達及び騒音レベルを減少できる。
【0113】
G.装置の動作
図3に示す酸素濃縮装置10の基本動作を以下説明する。通常、酸素濃縮装置10の動作は、篩台12内での吸着により周辺空気から酸素を濃縮する過程と、貯蔵器18から使用者に濃縮酸素を供給する過程との2つの態様を含むが、以下各態様を説明する。各態様の酸素濃縮装置10は、他の装置から独立して動作し又は例えば、単一又は複数の関連する媒介変数に基づいて相互に作動連結されて動作する。
【0114】
酸素濃縮装置10は、単一又は複数の任意の下記の方法を使用して動作して、酸素濃縮装置10の効率又は他の性能特性を増大する。例えば、圧力及び/又は酸素純度の測定値に基づいて、酸素濃縮装置10の動作状態を調整して、酸素純度及び/又は酸素濃度並びに出力流速及び/又は出力圧力を増大し又は電力消費等を減少することができる。
【0115】
例示的な実施の形態では、酸素濃縮装置10は、純粋酸素に等価の約0.9又は1.2リッター/分に流量を上昇して供給する性能を有する。本明細書で使用するように、単位時間当りに供給される気体純粋(100%)酸素量にほぼ相当する等価流量が使用される。酸素濃縮装置10は、周辺空気からの吸着により酸素を濃縮するので、酸素濃縮装置10は、使用者に供給される純粋酸素を生成しない。代わりに、貯蔵器18に貯蔵され篩台12から流出する気体は、最大酸素濃度約95.4%を有し、約4.6%の残部気体は、アルゴン及び他の微量気体から成る。
【0116】
所与の流量で酸素濃縮装置10により供給される濃縮酸素の実際量は、純粋酸素より少ない。従って、濃縮酸素は、純粋酸素より低い治療濃度を有する。純粋酸素の流量より濃縮酸素の流量を大きくして、不足酸素分を補償して同等の酸素量を供給しなければならない。供給される濃縮酸素と等価純粋酸素との比率は、図12に示すように、下式(1)の通りである。
流量比=(100%-21%)/(実際の純度-21%), (1)
例えば、88%濃縮酸素の流量1.05リッター/分は、純粋酸素の流量0.9リッター/分とほぼ同等の酸素流量であり、88%濃縮酸素の流量1.4リッター/分は、純粋酸素の流量1.2リッター/分とほぼ同等の酸素流量である。
【0117】
流量を増大して純度を補償すれば、酸素濃縮装置10の全電力消費量を減少できることが試験により判明した。例えば、図13及び図14は、酸素濃縮装置10により出力される酸素の純度と電力消費量との関係を示す。詳細には、図13は、異なる酸素純度レベルに対する酸素濃縮装置10が消費する総電力特性を示し、図14は、異なる酸素純度レベルに対する圧縮装置14のみにより消費される電力特性を示す。曲線181,182,183は、種々の流量設定に対する総電力と酸素純度との特性を示す。曲線181は、毎分400cm3の酸素供給流量と同等の流量設定2に対応し、曲線182は、毎分600cm3の酸素供給流量と同等の流量設定3に対応し、曲線183は、毎分900cm3の酸素供給流量と同等の流量設定4.5に対応する。曲線184,185,186は、様々な流量設定に対する総電力と酸素純度との特性を示す。曲線184は、流量設定2(毎分300cm3の酸素供給流量)に対応し、曲線185は、流量設定3(毎分600cm3の酸素供給流量)に対応し、曲線186は、流量設定4.5(毎分900cm3の酸素供給流量)に対応する。
【0118】
酸素純度の増大に伴い、酸素の生成に必要な電力が指数関数的に増大することは、図13及び図14から理解できよう。ある時点で、より高い純度の酸素を生成する電力消費量が「高価」になり過ぎる。同様に、酸素純度を約87〜90%から減少すると、電力消費量を比較的小さく抑制できる。即ち、酸素純度を87〜90%未満に更に低下させても、電力消費の更なる低減、即ち、電池使用期間をより延長する観点からより良い利点を得ることはできない。換言すれば、87〜90%未満に酸素純度を低下させる電力消費量では、限界収益(電力消費量抑制効果)が低減する。本発明の発明者らは、酸素純度と電力消費量との背反値が釣り合うとき、酸素純度約85〜90%で好適な効率が得られ、酸素濃縮装置10から供給される気体の例示的な目標酸素純度が88%であることが判断した。
【0119】
図15は、酸素純度に対する発生する酸素量の特性を示す。曲線187は、純度レベルの範囲にわたり発生する酸素の100%酸素当量又は分子を示す。例えば、90〜91%を超えて酸素純度が増大すると、酸素濃縮装置10により発生する酸素分子が低下することは、この図から理解できよう。同様に、例えば、87〜88%未満に酸素純度が減少するとき、発生する酸素の付加的分子量は、極めて僅かである。換言すれば、87〜88%未満の純度で酸素を発生すると、限界収益が減少する。このように、本発明の発明者らは、酸素純度に対する理想的な「スイートスポット(最も電力消費量抑制効果を得られる数値範囲)」が85〜90%の範囲にあると考えた。
【0120】
図16は、図13〜図15の曲線の線図に使用されるデータを示す表である。図16の「サーボメックス酸素純度%」は、センサ名「サーボメックス」で測定される気体中の酸素純度の百分率(%)を表し、図13及び図14のX軸に「酸素純度%」として示す。「バロメータ大気圧hPa」は、酸素純度の測定時の大気圧(hPa)を示す。「調整酸素純度%」は、測定した大気圧に対して調整される酸素純度(%)を示す。「パルス気体量ml」は、所与のパルス間に供給される気体量(ml)を示す。「総容量ml」は、特定の利得設定又はパルス間に供給される気体の総容量(ml)を示す。「酸素量ml」は、気体の総容量中の酸素量(ml)を示す。「圧縮装置のみ」は、電力量(W)/(リッター/分(lpm))、即ち、酸素の生成に要する圧縮装置のみの消費電力量(W/lpm)を示す。圧縮装置の動作を含まずかつ冷却送風機(吸入送風機164)の動作を含む酸素濃縮装置10により消費される電圧値と電流値が下記の通りであることも留意すべきである。
電圧V=18.1V、電流=0.31A、総電力5.6W
圧縮装置の動作又は冷却送風機の動作を含まない酸素濃縮装置10により消費される電圧値と電流値は、下記の通りである。
電圧=18.1V、電流=0.14A、総電力2.5W
このように、単独の送風機は、電力約3.1Wを消費する。
【0121】
1.篩台の駆動
篩台12が「充填」と「排出」とを反復しながら、酸素濃縮装置10を動作させて発生される濃縮酸素は、通常、貯蔵器18に貯蔵されかつ/又は使用者に直接供給される。篩台12を充填し又は加圧しているとき、圧縮された周辺空気が圧縮装置14から篩台12の空気入口/出口端部32に供給され、篩台12が加圧されると、篩材は、酸素より多量の窒素を吸着する。窒素は、篩材により実質的に吸着されるが、篩台12の酸素入口/出口端部34を通じて排出される酸素は、貯蔵器18に貯蔵されかつ/又は使用者に供給される。
【0122】
篩台12内の圧力が予め決められた限界値に達するとき(又は予め決められた時間経過後)、篩台12から空気が排除又は排気され、空気入口/出口端部32は、周囲圧力に曝露される。これにより、篩台12内に発生する圧縮窒素は、空気入口/出口端部32を通じて排出され、例えば、空気多岐管16を通過して排気開口部92から排出される。篩台12Aから空気を選択的に排除しているとき、例えば、充填している篩台内の圧力が、排気の終了まで排気している篩台内の圧力より高ければ、他の篩台12B(同時に充填してもよい)から排出される酸素を排気オリフィス81を通じて排気する篩台12A,12Bの酸素入口/出口端部34に搬送できる。それに加えて又は別法として、排気オリフィス81の通過に加え又はその代わりに、例えば、篩台12と貯蔵器18との相対的圧力により逆止弁110を開弁するとき、複数の篩台12間の逆止弁110を通過して酸素を移動させることができる。排気している篩台12の酸素入口/出口端部34に酸素を供給すれば、再充填前の篩台12から濃縮窒素の排気を促進することができる。
【0123】
排気オリフィス81の大きさを選択して、充填する篩台12と排気する篩台12との間で、予め決められた流量の酸素を送ることができる。例えば、ほぼ対称的形状の排気オリフィス81を設けて、両方の篩台12A,12Bから均等な流量で排気できるように、排気オリフィス81を通過する流量が両方向に等しいことが一般的に望ましい。例示的な実施の形態では、排気オリフィス81は、直径約0.5mm(0.02in)又はこれに均等な他の断面積を有し、排気オリフィス81に沿う圧力差34474Pa(5psi)で流量約2.6リッター/分の酸素流が排気オリフィス81を通過する。充填する篩台12と排気する篩台12との間の圧力差に基づいて決定される実際の流量は、酸素濃縮装置10の種々の状態により流体力学的に変化するので、排気オリフィス81の容量は、酸素濃縮装置10の動作間に複数の篩台12間を流れる酸素の実際の容量とは必ずしも一致しない。
【0124】
例示的な実施の形態では、酸素濃縮装置10は、下表1に示す4つ状態を含む処理過程を使用して作動され、「1」及び「0」は、それぞれ空気制御弁20の「開放状態」及び「閉鎖状態」を示す。
【0125】
表1
【表1】

【0126】
状態1の間、篩台12Aに酸素を充填し、篩台12Bから酸素を排気している。表2に示すように、給気制御弁20As及び排気制御弁20Beは、開弁され、給気制御弁20Bs及び排気空気制御弁20Aeは、閉弁される。図7に示すように、この弁構造により、篩台12Aは、圧縮装置出口通路64及び分離通路66aを通じて圧縮装置14に連絡するが、篩台12Bは、篩台通路66b及び排気通路68を通じて排気開口部92に連絡する。状態1の終期に、篩台12A内の圧力が篩台12B内の圧力を超過するので、排気オリフィス81は、低流量の酸素ガスを供給して、篩台12Bに残留する窒素を排気し洗浄する。状態3は、状態1とは逆の状態となり、篩台12Bに酸素が充填され、篩台12Aから酸素が排気される。
【0127】
排気オリフィス81の大きさ、篩台12から排出される酸素の純度、貯蔵器18内の圧力値等の単一又は複数の媒介変数に基づいて、状態1及び状態3の持続時間(加圧時間)が設定されるが、本明細書の他の箇所で更に説明する。例えば、状態1の間、加圧時間が長過ぎる場合、篩台12B(窒素を排気している)内に残留する全窒素を排気できるが、篩台12A(酸素を充填している)からの酸素が排気オリフィス81を通過して篩台12Bに流れ、排気開口部92から外部に流出して、酸素が無駄になる。加圧時間が短過ぎれば、排気周期の終了後も、窒素は、篩台12Bに残留し、続いて篩台12Bに酸素を充填するとき、篩台12Bの酸素充填率が低下する。このように、排気オリフィス81の大きさを非常に厳しい流量許容値に維持し、製造時及び/又は製造後に加圧時間を調整する必要性がなく、篩台12を一貫して許容差の範囲内に保持しつつ厳密な管理下で篩台12を製造することが望ましい。
【0128】
状態2の間、給気制御弁20Bsは、開弁され、排気制御弁20Aeは、閉弁される。これにより、排気オリフィス81を通じて、加圧空気が篩台12Aから篩台12Bに流れる。一般的に、状態2は、状態1及び状態3より比較的短期間であるため、例えば、篩台12A内の濃縮窒素が篩台12Bに流入し始める前に、加圧空気が篩台12Bに流入する。状態2は、状態3前に圧縮装置14から供給すべき圧縮空気量を低減し、酸素濃縮装置10の全効率を改善することができる。同様に、状態4の間、給気制御弁20Asは、開弁され、排気制御弁20Beは、閉弁される。従って、状態4の間、篩台12Aを充填する(状態1を反復するとき)前に、圧縮空気は、篩台12Bから篩台12Aに流れる。
【0129】
表1に示す実施の形態では、状態2及び4の持続時間(重複時間)は、状態1及び3の持続時間(加圧時間)より大幅に短い。例えば、状態2及び4の持続時間(重複時間)は、約1.5秒を超えず又は約0.6秒を超えないが、状態1及び3の持続時間(加圧時間)は、少なくとも約4秒又は少なくとも約5秒である。
【0130】
例えば、使用者の要求(例えば、用量設定値及び/又は呼吸速度)及び/又は他の媒介変数により変更を要するとき、持続期間を選択的に変更してもよい。別法として、制御装置22を予めプログラム制御しかつ/又はその後に修正するとき、持続期間(加圧時間及び重複時間)を固定することができる。何れにせよ、フラッシュメモリ又は制御装置22に連絡する他の記憶装置に複数の時間又は複数の時定数を記憶することができる。必要に応じて、例えば、初期製造時、その後の修理環境及び/又は使用時に直列接続を介して複数の時間又は複数の時定数を調整しかつ新規値を記憶装置に記憶させてもよい。
【0131】
例えば、貯蔵器18内の圧力(貯蔵器圧力又はPres)が上昇するとき、状態1及び3の持続時間(加圧時間)を短縮することが望ましい。貯蔵器圧力が上昇するとき、圧力が上昇する程、排気オリフィス81を通る気体量が増加して、排気される篩台12A,12Bから窒素を実質的に排気するのに要する時間を短縮することができる。貯蔵器圧力に基づいて、最適時間(加圧時間)を決定する方程式を創設することができる。例えば、比例関係に基づき、下式(2)を推定することができる。
加圧時間=k*貯蔵器圧力, (2)
ここで、kは、理論又は経験により決定できる定数である。別法として、例えば、経験検証に基づき、より複雑な方程式を展開してもよい。製造時又は修理時かつ/又は酸素濃縮装置10の動作時に力学的に、所望により類似の方法で状態2及び4の持続時間(重複時間)も固定し又は調整することができる。
【0132】
排気路(例えば、空気多岐管16の排気通路68内又は排気開口部92に連結する排気通路68内)に単一又は複数の逆止弁(図示せず)を選択的に設けてもよい。例えば、非動作中の酸素濃縮装置10が気圧変化及び/又は温度変化を受けるとき、前記逆止弁は、篩台12の「呼吸動作」を停止する。例えば、排気制御弁20eに設けられる「SMC DXT」弁は、逆止弁として作用する。しかしながら、パイロット圧力がなければ、排気制御弁20eは、漏洩することがある。排気制御弁に比較的小型のばね(図示せず)を挿入して、漏洩を遮断することができる。
【0133】
別法として、排気オリフィス81に平行に又は排気オリフィス81の代わりに、即ち、篩台12の酸素入口/出口端部34間に延伸する流路に単一又は複数の弁(図示せず)を設けてもよい。この変形例では、上記と同様に、酸素濃縮装置10は、4状態周期を使用して動作することができる。しかしながら、重複時間の間に又は圧力周期の終期に、排気オリフィス81に平行に設けた前記弁を開放して、複数の篩台12の圧力又は排気を積極的に制御することができる。
【0134】
目標圧力と、弁開閉時期、即ち充填/排気周期の期間とを決定する本発明の原理による技術は、図17〜図20について後述する。下記に使用するように、「弁時間」は、装填周期間又は排気周期間を指称する。本発明は、本発明の有益な特徴、即ち、軽量、高出力、長電池寿命、携帯可能な(患者が通院できる)酸素濃縮装置を達成するように、弁開閉時間(タイミング)を設定する。弁時間は、異なる酸素生成レベルで経験的に最適化される。篩台12内を高圧にする程、より短い理想的な弁時間が得られる。篩台12内を高圧にする程、排気オリフィス81を通じて流れる気体の流量が増加するので、篩台12をより急速に排気できると考えられる。
【0135】
図17に示すように、生成物タンク/貯蔵器18の圧力を最初に決定することにより、弁時間がステップ290で決定され、生成物タンク/貯蔵器18の圧力は、圧力センサ114の出力に基づいて決定される。篩台12の圧力の代わりに、実質的に同一である生成物タンク/貯蔵器18の圧力を使用することも留意すべきである。篩台12の圧力も勿論使用できる。ステップ292では、図18のグラフに曲線294として示す弁時間と圧力との関係により、弁時間(ミリ秒)が決定される。曲線294に対応して弁時間を定める式(3)は、次の通りである。
弁時間(ミリ秒)=9000-圧力*300, (3)
ステップ296では、ステップ232で算出される弁時間を低域濾波器により一定時間にわたり安定化して、弁時間がステップ298で与えられる。弁時間を低域濾波する目的は、装置性能を不安定化しかつ不十分にする弁時間の急激な変化を抑制することである。このように、ステップ298で決定される弁時間に基づいて、充填時間及び排気時間が設定される。
【0136】
各篩台周期間に、両方の加圧弁20AS,20BSを開放しかつ両方の排気弁20AE,20BEを閉鎖する短い時間(〜400ミリ秒)がある。これにより、加圧周期が停止される篩台から加圧周期が当に開始される篩台に、まだ酸素量が低減されない加圧空気を搬送して、必要な圧縮装置14の空気流を低減して、消費電力を削減することができる。現在、この時間は、一定であるが、最適な性能に対して装置圧力を僅かに調整することができよう。
【0137】
例えば、排気オリフィス81の非対称性、篩材料36の異なる充填量及び操作弁の性能等の様々な理由により、複数の篩台12が不均一になり、装置性能が損なわれることがあるので、本発明は、生成物タンク18への各篩台12内のピーク圧力を監視して、これらのピーク圧力のピーク比を追跡(観測)することを企図する。各相間の生成物タンクの平均圧力は、篩台圧力を示すものではないので、本発明の例示的な実施の形態では、生成物タンクのピーク圧力を選択する。各相の第1の部分の間では、生成物タンク圧力は、現在の篩台圧力ではなく、前回の篩台圧力により影響される。
【0138】
従来の酸素濃縮装置では、時間の代わりに生成物タンク圧力を使用して、周期変更の誘引とした。これにより、複数の篩台の差異を補償できる。本発明による携帯可能で出力が可変の酸素濃縮装置では、この補償機能を作動させることができない。本発明では、例えば、ピーク圧力がより高い程、弁時間をより短縮させるように、弁時間を調整する必要がある。圧力を使用して、篩台12の相を切り換えれば、本発明では、圧縮装置14のモータ電圧を制御する圧力を使用できないであろう。例えば、モータ速度を低く設定すれば、目標圧力を達成するのに必要な時間だけ、弁時間が長くなる。
【0139】
比例積分制御ループ(装置内に分散して配置される機器を一定周期で実行する制御方法)を使用し、弁時間を調整して、ピーク比率を単一値(1)にすることも、本発明は、企図する。第2の篩台12Bより高いピーク圧力で第1の篩台12Aを動作させると、第1の篩台12Aに対する弁時間が短縮され、ピーク圧力は、互いに近似する値となる。
【0140】
2.使用者への酸素供給
貯蔵器18に蓄積される濃縮酸素及び/又は周辺空気から酸素を分離する篩台12A,12Bにより、酸素濃縮装置10を使用して、使用者に濃縮酸素を供給することができる。前記の通り、酸素供給弁116に連結される制御装置22により酸素供給弁116を開弁・閉弁して、酸素濃縮装置10の貯蔵器18から使用者に酸素を供給することができる。
【0141】
例示的な実施の形態では、予め決められた「パルス」持続時間の間に制御装置22により酸素供給弁116を周期的に開放することができる。予め決められたパルス持続時間の間に酸素供給弁116を開弁して、パルスを供給する間、使用者に酸素の「大量瞬時投与(短時間投与、ボーラス)」を行い、その後、次の酸素の大量瞬時投与を行うまで、酸素供給弁16が閉弁される。別法として、制御装置22により酸素供給弁116を開弁して、連続的に酸素を供給し、例えば、酸素供給弁116を絞りながら、使用者への酸素流量を調整することができる。更なる変形例では、制御装置22により周期的に酸素供給弁116を開弁しかつ予め決められた時間中酸素供給弁116を絞ることにより、供給される大量瞬時投与酸素容量を変更することができる。
【0142】
一実施の形態では、使用者の吸気開始時点等の事象を制御装置22が検出した後に、制御装置22は、酸素供給弁116を開弁することができる。この事象が検出されるとき、予め決められたパルス持続時間の間、酸素供給弁116を開放することができる。この実施の形態では、使用者の呼吸速度(又は他の事象間隔)により又はこれに応じて、パルス周波数又は間隔(酸素供給弁116を継続的に開放する時間)を制御することができる。その後、使用者に供給している酸素の全流量は、パルス持続時間及びパルス周波数に基づいて決定される。
【0143】
使用者の吸気開始後に、予め決められた時間の間又は遅延時間の間、制御装置22は、酸素供給弁116の開弁を遅らせて、例えば、使用者への酸素供給量を選択的に最大化することができる。例えば、この遅延動作を使用して、吸気「機能」部分間に酸素供給量を最大化できる。吸気「機能」部分は、例えば、肺内の解剖学的死腔を充填するのに単に使用するのではなく、吸入する酸素の殆どを肺から血流中に吸収する部分である。吸気機能部分は、各呼吸時間のほぼ前半及び/又は最初の600ミリ秒であることが判明した。このように、吸気の検出後に予め決められた延期時間は、約20〜150ミリ秒でよい。
【0144】
このように、早期に吸入開始を検出して酸素の供給を迅速に開始して、吸気動作期間中に酸素を供給することは、特に有効である。鼻で呼吸する使用者は、套管内で例えば約1cmH2O(水柱センチメートル)の比較的強い圧力降下を発生する。しかしながら、口で呼吸する使用者は、約0.1cmH2Oの圧力降下を発生するに過ぎない。
【0145】
例えば、5Vの励起電圧を仮定すれば、圧力センサ122の出力感度は、約320μV/cmH2Oである。従って、(例えば、口吸気の)圧力降下は、0.1Vである。利得1000を有する増幅器(図示せず)を制御装置22に設けると、増幅器は、約32mVの増幅信号を発生するが、この増幅信号は、10ビット5Vアナログデジタル変換器で6個の計数信号を発生する。
【0146】
前記のように、制御装置22が吸気開始を識別して酸素供給弁116を開放することが困難となる特性変動(ドリフト)問題が圧力センサ122に発生することがある。1つの解決方法は、酸素濃縮装置10のオフ時に、圧力センサ122をリセットし又は零にすることである。しかしながら、温度感性の圧力センサ122は、起動レベルより大きい特性変動を発生する温度感応性を有する。別法として、前記のように、圧力センサ122に接続される小型弁(図示せず)を周期的に開放して、例えば、酸素供給弁116を開弁して酸素を供給しながら、圧力センサ122をリセットし又は零にすることができる。更に他の変形例では、前記のように、圧力センサ122と酸素供給弁116との間に接続される比較的小型のオリフィスにより、例えば、100ミリ秒程度の短期パルス間で酸素を供給する間に、圧力センサ122をリセットし又は零にすることができる。
【0147】
更に異なる変形例では、圧力センサ122からの検出信号を濾波して、使用者の吸気開始時点を決定するハードウェア及び/又はソフトウェアが制御装置22に設けられる。この変形例では、例えば、使用者が異なる呼吸法を使用する間に、酸素供給弁116を適切に起動するのに十分な感度を制御装置22に付与する必要がある。例えば、鼻で吸気しかつすぼめた唇で呼気する口すぼめ呼吸を行う使用者も存在する。この呼吸法の間、制御装置22は、吸気開始直前を示す呼気信号を検出しない。
【0148】
吸気開始と呼気減少流量とを識別する濾波アルゴリズムも必要であり、濾波アルゴリズムがなければ、制御装置22が誤って長期の呼気間に酸素を供給する難点がある(不経済である)。加えて又は別法として、長期呼吸間に制御装置22の濾波アルゴリズムを「遅延」して、例えば、比較的長い単一吸気間に多重パルスの発生を防止する必要がある。例えば、予め決められた閾値より低い圧力降下を検出して制御装置22が酸素供給弁116を開放するとき、単一吸気間に酸素供給弁116を2回開弁することがある(これも不経済である)。この状態では、濾波アルゴリズムは、吸気検出後に、例えば、少なくとも約1.5秒の遅延時間を計時する。
【0149】
別法として、制御装置22は、使用者の呼吸速度から独立し又は力学的に調整される一定のパルス周波数に同期して、酸素供給弁116を開弁することができる。例えば、監視する2呼吸前又はそれ以前の複数の呼吸間の平均的若しくは瞬間的な間隔又は周波数に基づいて、制御装置22は、吸気を予測して酸素供給弁116を開弁することができる。更なる変形例では、前記媒介変数の組合せ、例えば、使用者の呼吸速度に基づき、制御装置2は、酸素供給弁116を開弁・閉弁し、予め決められた最低周波数に合致しないとき、酸素供給弁116を開弁することができる。
【0150】
使用者が選択する用量設定値に基づいて、供給するパルスのパルス持続時間を決定することができる。このように、特定の用量設定値が付与されれば、酸素供給弁116を開放する度毎に、ほぼ同一容量の酸素を使用者に供給することができる。使用者は、定量的又は定性的な用量設定値を選択できる。定性的に用量を設定する目盛板又は単一又は複数のボタンが設けられ(例えば、使用者インターフェイス144に)、使用者は、例えば、目盛1〜10で又は最小値と最大値との間の範囲でレベルを選択することができる。制御装置22は、定性的用量設定値を所望の流量又は大量瞬時投与量、例えば、酸素濃縮装置10の最大許容流量等に関連付けることができる。
【0151】
例えば、用量設定値は、酸素濃縮装置10による濃縮酸素の最大供給容量、例えば、酸素濃縮装置10の最大供給容量の0〜100%の範囲内の複数の設定値に相当する。例えば、酸素濃縮装置10は、約6〜16リッター/分間で最大流量(又は純粋酸素の流量と同等)を設定できる。別法として、例えば、酸素最大瞬時投与最大容量約10〜150ミリリッター又は約10〜80ミリリッターも使用できる。
【0152】
定量的用量設定値により、使用者は、実際の濃縮酸素流量、等価純粋酸素流量又は所望の酸素最大瞬時投与容量(例えば、単位ミリリッター)等の所望の流量(例えば、単位リッター/分)を選択できる。定性的用量設定値と同様に、酸素濃縮装置10の容量により、選択可能な流量又は容量が制限されることもある。連続流と同義ではないが、容量基準用量設定装置に関する別の情報は、「呼吸治療2004」49(2)号160〜165頁に記載されるピー・エル・ブリス、アール・ダブル・マッコイ及びエー・ビー・アダムス著「要求酸素供給装置の特性並びに最大出力及び設定推奨値」に記載され、参照により、その全内容を本明細書の一部とする。
【0153】
用量設定値が増加すると、例えば、約50ミリ秒から500ミリ秒にパルス持続時間が増加して、各パルス間に予め決められた最大瞬時投与酸素が供給される。使用者の呼吸速度がほぼ一定であれば、パルス周波数もほぼ一定に維持できるので、使用者に供給している全酸素流量が増加される。しかしながら、酸素濃縮装置10の実際の使用時に、使用者の呼吸速度は、例えば、使用者の活動レベル又は環境条件等により変化する。例えば、肺疾患患者の呼吸速度は、毎分約13から40回呼吸又は毎分約18から30回呼吸の間で変化する。従って、酸素濃縮装置10は、前記呼吸周波数で使用者に酸素流を供給することができる。
【0154】
比較的小型の携帯可能な酸素濃縮装置10は、用量設定値及び使用者の呼吸速度が酸素濃縮装置10の能力を超える状況が生ずる可能性がある。このように、何らかの所与の用量設定値、即ち、1呼吸毎の特定容量(例えば、ミリリッター単位)に対し、酸素濃縮装置10は、所望の用量設定値で酸素流を供給できる最大呼吸流量を有する。
【0155】
特定の用量設定値に対する最大呼吸速度を超えれば、酸素濃縮装置10は、単一又は複数の方法でこれに対応できる。例えば、前記事象の発生を使用者に通報する例えば視覚警報器及び/又は音声警報器等の警報器が酸素濃縮装置10に設けられる。これにより、使用者に通報し、使用者は、必要に応じて、例えば安静等により身の呼吸速度を鈍化することができる。
【0156】
更に別法として、酸素濃縮装置10により供給媒介変数を変更して、例えば、約900ミリリッター/分又は約1200ミリリッター/分等の酸素濃縮装置10の最大流速能力又はそれに近い流量で、酸素流の供給を維持することができる。これを達成するため、使用者の呼吸速度(例えば、呼吸速度で最大流速を除算し又は参照表を使用して)を仮定して、制御装置22は、供給できる酸素最大瞬時投与の大きさを算出し、これに応じてパルス持続時間を調整する(及び/又は酸素供給弁116を絞る)。例えば、直近30秒間等予め決められた時間経過中に毎分約23回の呼吸速度で使用者が呼吸することを制御装置22が検出すると仮定すると、用量設定値は、1呼吸毎に40ミリリッターの酸素を供給する。得られる流量920ミリリッター/分は、容量900ミリリッター/分の装置能力を超える。従って、制御装置22は、例えば、少なくとも約(1−900/920)又は2%だけパルス持続時間を短縮して、900ミリリッター/分以下に流量を低下する。
【0157】
パルス供給の体積流量を選択するとき、単一又は複数の付加係数若しくは付加要因を考慮することができる。例えば、本明細書で説明する携帯可能な酸素濃縮装置10と同様の比較的低圧の装置では、特に、流量を増加する程、高くなる背圧が套管内に発生して、流量制御が一層困難となる。
【0158】
例えば、消費電力を低減し、酸素濃縮装置10の電池寿命を延長するように、最大効率を得る方法で酸素濃縮装置10を選択的に動作することができる。これにより、使用者の移動範囲が拡大され、例えば、使用者は、外部電力源からより長い時間離れることができる。
【0159】
酸素濃縮装置10の動作に必要なエネルギ量の決定には複数の変数が関連する。酸素濃縮装置10の消費電力の95%程度を消費する圧縮装置14の速度又は電力は、独立変数である。制御装置22が制御できる圧縮装置14のモータ40の速度は、本質的に電池148の電力パルス幅変調(PWM)により決定され、必要な電力量が増大する程、パルス幅変調のデューティサイクルが一層高くなる。
【0160】
モータ40の閉ループ速度制御又はトルク制御を行ってもよいが、必ずしも必要ではない。処理周期間に圧力が増大するとき、より高いトルクが必要であるから、圧縮装置14のモータ40を減速することができる。これにより、要求される総エネルギがほぼ平均化され、最高電流値を最小化できる。
【0161】
処理周期間に篩台給気弁が開弁されかつ篩台/生成物タンク18の圧力が目標圧力に向かって上昇するとき、モータは、一定速度に制御されない。その代わり、モータ速度を低下して、モータに供給される電流/電力が制限される。モータに供給される電流/電力を制限することにより、この電池の消費電力を抑制し、電池の寿命を最大化できる。これにより、電池の放電電流速度が低下するので、電池の稼働時間(実行時間)を改良し/最大化することができる。
【0162】
パルス幅変調を0〜100%で表わすことができ、0%は、圧縮装置14のオフ動作状態に相当し、100%は、圧縮装置14の最高速度動作状態に相当する。実際には、圧縮装置14が回転できないが到達可能な下限最小値も存在するので、真範囲は、約40〜100%である。本明細書に使用する方程式は、十分な近似式となる線形関係を示すと仮定する。別法として、例えば、非線形方程式又は例えば、制御装置22の記憶装置内の参照表を使用して実行できる理論的計算又は実験上の計算によって、より精密な方程式を展開できる。
【0163】
監視する貯蔵器圧力(貯蔵器18内の圧力)によりパルス幅変調を制御し、圧縮装置14のモータ40を制御して、目標貯蔵器圧力を維持することができる。例えば、貯蔵器18内の圧力センサ114に制御装置22を接続して、貯蔵器圧力を監視し、制御装置22によりモータ40のパルス幅を変調し調整することができる。例えば製造時若しくは修理時に設定する調整値である固定値又は例えば目標酸素純度及び/若しくは本明細書の他所に記載する他の媒介変数を維持するため変更される変動値に目標貯蔵器圧力を設定できる。別法として、多数の変数を監視して、モータ40を制御し、選択される複数の目標値に多数の変数を維持することができる。
【0164】
例えば、用量設定値及び使用者の呼吸速度に基づいて、目標貯蔵器圧力を選択できる。例示的な実施の形態では、目標貯蔵器圧力は、約34474〜103421Pa(5〜15psi)又は約41369〜82737Pa(6〜12psi)である。酸素純度等他の媒介変数に基づいて、目標圧力を選択的に調整でき、この点を以下更に説明する。
【0165】
例えば、圧力センサ122の圧力測定値に基づいて、制御装置22により使用者の呼吸速度を決定することができる。使用者の吸気間(例えば、図9A及び図9Bに示すように、溝133,137及び溝135から酸素を吸引する)に、圧力センサ122は、圧力減少を検出することができる。制御装置22は、圧力センサ122が圧力減少を検出する時点の周波数を監視して、呼吸速度を決定することができる。また、制御装置22は、圧力センサ120が検出する圧力差を使用することができる。
【0166】
用量設定値が増加されるとき、使用者の呼吸速度は、増加しかつ/又は電池電圧が低下し、生成物貯蔵器18の圧力が降下する傾向がある。この圧力降下を補償するため、パルス幅変調を増加することができる。このように、目標貯蔵器圧力が選択され、制御装置22は、ループ制御を実行して、この目標貯蔵器圧力を維持することができる。
【0167】
図19は、使用圧縮装置14のモータ40の速度を制御する処理装置10の処理法を例示する。本発明では、生成物タンク又は貯蔵器18内の平均目標圧力を維持するように、モータ40の速度が制御される。情報収集のみを目的として、モータ速度を全く監視しなければ、モータ速度を検出し又は決定しないことも、留意すべきである。モータ速度を制御しないことも、当然留意すべきである。その代わり、図19に示す処理法を使用して、モータに供給される電圧が調整され、例えば、モータが経験しているトルクに依存して、モータ速度を変更しても変更しなくてもよい。
【0168】
ステップ300では、パルス又は投与量設定と平均患者呼吸速度とにより、酸素要求量(分時換気量)が決定される。ステップ302では、分時換気量(1分間の換気量)を使用して、このステップで与えられる関係に一致する目標生成物タンク圧力(「目標圧力」)が算出される。分時換気量と目標圧力との関係を図20のグラフに曲線303として示す。より高水準の酸素生成には、より高い目標圧力が要求される。目標圧力は、いくつかの安全要因により、経験的に十分に高く決定され、分時換気量の範囲全体で酸素が発生される。
【0169】
目標圧力は、出力される生成物の純度に基づいて、緩慢に(動作時間経過中)更に変更される。この変更因子は、「02酸素係数」と呼ばれる。図19のステップ304を参照されたい。02酸素係数は、最低値1を有し、初期設定目標圧力を減少できない(純度センサの変動予防手段として)。ステップ302では、しかしながら、目標純度未満の酸素純度、例えば、88%が長期間安定して続く場合、増大される02酸素係数により圧力を増加することができる。これにより、例えば、水負荷による篩台12の長期間劣化を考慮することができる。ステップ306に示すように、比例積分制御ループを使用して、平均時間基準で生成物タンク18内の目標圧力が保持される。圧縮装置モータを加速(ステップ308に示すように、低域濾波器を通じて徐々に)して、より高い生成物タンク圧力が生成され、目標圧力より圧力が高いと、圧縮装置モータは、減速される。ステップ310に示すように、パルス幅変調制御を使用して、電圧を変更しながら、モータ速度が制御される。
【0170】
低域濾波器を通じてパルス幅が変調されるので、モータに供給される電力は、篩台周期を通じて比較的一定に維持される。従って、篩台周期を通じて篩台圧力が上昇するとき、増加する圧力荷重(トルク)のため、圧縮装置14は、減速される。これにより、固定速度(rpm[回転数/分])を目標とする場合の電力変動よりも要求電力の変動を抑制することができる。増加する圧力負荷の下で一定の回転数を保持するには、電力が高い程、作動が困難になる結果となる。得られる低電力変動は、電池のピーク電流が低下し、これにより、電池の寿命(持続期間)を延長できることを意味する。
【0171】
生成物タンク圧力を保持するために算出されるパルス幅変調は、装置電圧の変化により、変更される。このように、丁度1/4(〜13V)電池が充電されるようにパルス幅変調を完全に設定して、外部交流電力源(18V)に電気接続されれば、大幅に増加した後緩慢に減少する代わりに、モータ速度は、僅かに上昇するのみで同一レベルに維持される。
【0172】
本発明は、酸素センサ118が監視する酸素純度を使用して、モータの速度を制御することも企図するが、必要条件ではない。篩台12内の篩材の状態、酸素濃縮装置10に吸引され篩台12内に充填される周辺空気の温度及び/又は湿度等により、酸素純度は、影響を受けて変化する。制御装置22は、約85〜93%、例えば88%の設定目標酸素純度を記憶装置内に記憶し、酸素センサ118が検出する酸素純度を監視ことができる。酸素純度が目標酸素純度未満に減少すれば、制御装置22は、目標貯蔵器圧力を増大して、酸素純度を補償しかつ増大することができる。これにより、制御装置22が使用する制御ループに基づいて、制御装置22によりパルス幅変調を増大させて、新たな目標貯蔵器圧力を維持することができる。
【0173】
このように、制御装置22は、パルス幅変調、即ち、圧縮装置14のモータ40の速度を変更して、目標圧力付近に貯蔵器圧力を維持し、制御装置22は、制御装置22が監視する媒介変数に基づいて、目標圧力を変更することができる。
【0174】
最大酸素生成速度は、圧縮装置14の速度に依存し、次に、圧縮装置14の速度は、電池148からの入力電圧に依存する。電池148の電荷が減少し始めても、目標媒介変数で又はその付近で酸素濃縮装置10を有効に作動させることが望ましい。リチウムイオン電池「4S4P」の充電終期電圧は、約11Vである。比較のため、この電池が新品のとき(又は酸素濃縮装置10を外部電力源に接続するとき)、電圧は、16.8V程度である。電池148の完全充電時での過剰酸素の生成を防止するため、例えば、約2500rpm未満に圧縮装置14の最高速度を制限することが望ましい。別法として、予め決められた安全限度内を臨時に超えるこの最高速度を制御装置22が容認して、圧縮装置14に損傷を与える危険性を低減してもよい。
【0175】
一例として、1呼吸当たり最高60ミリリッター以下の酸素を供給する酸素濃縮装置10では、約8リッター/分又は約133ミリリッター/秒の例示的な流量を使用できる。88%酸素気体に等価容量は、約70ミリリッターであり、パルス持続時間は、約0.53秒である。酸素濃縮装置10が最高約1200ミリリッター/分で酸素を発生できれば、最大用量設定値の最大呼吸速度は、毎分約17呼吸である。I:E(吸気/呼気時間)比を1:2とし、使用者の各呼吸の最初の50%が有効(かつ死腔を充填しない)と仮定すれば、最小利用時間は、0.60秒である。呼吸速度が高い程、最高生成速度のため、最大パルス容量(及びパルス持続時間)は、一層低下する。
【0176】
例えば、約34474〜82737Pa(5〜12psi)間の比較的低圧力で酸素濃縮装置10を動作できるので、酸素濃縮装置10内の何れの制御通路を通過する流れも音速で流動しない。従って、例えば、使用者に接続される套管又は管類により、酸素濃縮装置10の背圧が変化すれば、使用者に供給される酸素流量を変更できる。8リッター/分では、套管の圧力抵抗は、約4826〜13790Pa(0.7〜2psi)であり、例えば、ハドソン・カニューレ又はTTOカテーテルでも同様であった。この増加される背圧により、使用者に供給される酸素の流量を25%程度だけ低下することができる。
【0177】
貯蔵器圧力と下流側圧力(套管を通じて貯蔵器18から使用者に供給される気体の圧力)との両方の相違を考慮して、下記アルゴリズムを使用することができる。弁の「開弁時間」を調整して、一定のパルス容量(選択される用量設定値に設定)を維持することができる。酸素供給弁166のオフ時に貯蔵器圧力を測定し、酸素供給弁116の開弁時に、例えば、圧力センサ120を使用して、酸素供給弁116に沿う圧力を測定することができる。
【0178】
酸素純度により調整される用量設定値の要因(係数)として開弁時間又はパルス持続時間(表2の時間供給)を設定して、実際の容量、貯蔵器圧力及び酸素供給弁116に沿う圧力降下を算出することができる。酸素濃縮装置10の動作に使用できる例示的な制御媒介変数を含む表2に前記計算に使用する方程式を示す。
【0179】
表2
【表2−1】

【表2−2】

【表2−3】

【0180】
別の実施の形態では、圧力調整器と同様に作用する弁(図示せず)が設けられる。下流のゲージ圧力を制御する代わりに、供給弁の下流に直列に接続されるオリフィスに沿う圧力降下を制御することができる。このように、下流圧力とは無関係に同一の流量を供給して、選択されるパルス持続時間で得られる容量をほぼ一定にすることができる。
【0181】
使用者が酸素濃縮装置10の駆動停止又は電源切断を決定して、例えば、使用者インターフェイス144に設けられるオン/オフスイッチ又はタッチ画面の「ボタン」を押圧することにより、酸素濃縮装置10の手順を自動的に完了して酸素濃縮装置10を保護することが望ましい。例えば、電源切断後に篩台12内に加圧空気が残留すれば、空気中の水分は、凝縮し又は別の方法で篩材料に吸収されて、篩材料に損傷を与えることがある。大気状態から篩台12を実質的に隔離して、例えば、酸素濃縮装置10が気圧変化及び/又は温度変化に遭遇するときの篩台12の「呼吸動作」を防止することが望ましい。前記呼吸動作により、篩台12内に空気が流入し又は篩台12から空気が排出されて、篩材料内に水分が流入するであろう。
【0182】
酸素濃縮装置10を駆動を停止しているとき、酸素供給弁116を閉弁して、貯蔵器18からの酸素の流入を停止することができる。例えば、排気制御弁20eを開弁する間に、給気制御弁20sを(積極的に又は電源をオフする初期設定時の何れかで)自動的に閉弁させることができる。予め決められた最初の時間経過後、例えば、約100〜300ミリ秒後に、圧縮装置14をオフにすることができる。給気制御弁20sの閉弁後に圧縮装置14をしばらく動作状態に放置しながら、空気多岐管16内の残留圧力を除去し、延長期間中に空気制御弁20sを閉鎖状態に確実に維持することができる。この圧力は、時間の経過と共に徐々に漏洩する。
【0183】
予め決められた第2の時間経過後、例えば、約9〜12秒後、全加圧空気も篩台12から排気することができ、排気制御弁20eを(積極的に又は電源をオフする初期設定時の何れかで)閉弁することができる。
【0184】
H.搬送バッグ
酸素濃縮装置10の全体的な外観を図1A及び図1Bに示す。下部外面は、空気多岐管16により形成され、対向する上部外面は、酸素多岐管102により形成され、一端部外面は、側部壁板59,159により形成され、対向する他の端部外面は、篩台12及び貯蔵器18により形成され、一側部外面は、壁板200により形成され、対向する他の側部外面は、壁板202により形成される。例示的な実施の形態では、壁板200,202は、樹脂又は金属等の材料で形成される比較的薄い板材である。壁板の主目的は、酸素濃縮装置10の内部体積を包囲することにある。しかしながら、全壁板は、酸素濃縮装置10を構造的に支持する。本発明は、前記壁板を完全に省略できることを企図する。
【0185】
酸素濃縮装置10を僅かに保護しかつ酸素濃縮装置10が発生する音を減少する上記部材が示す酸素濃縮装置10の外観の意匠は、美学的に優れないものであることは、理解できよう。前記及び他の機能を達成するため、本発明は、酸素濃縮装置10を収容する搬送バッグ(以下、バッグ)210を提供することを企図する。バッグ210により、従来の酸素濃縮装置にありふれた外部樹脂包囲体の必要性及びその重量を省略できる。
【0186】
この目的に適切なバッグ210を図21〜図23に例示する。バッグ210は、塩化ビニルが被覆されるポリエステル等の軽量材料により形成され、酸素濃縮装置10の形状に一致する全体的形状を有し、酸素濃縮装置10を完全に収容できる。耐久性があり、軽量であり、汚れ難く、防水性がある若しくはそれらの組み合わせの材料又は組み合わせ材料を選択される。
【0187】
酸素濃縮装置10とバッグ210とを互いに固定して、バッグ210の背面から酸素濃縮装置10を容易に取り出す構造も、本発明は、企図する。例えば、ねじ、ボルト又は他の締着具を使用して、酸素濃縮装置10にバッグ210を取り付けることができる。例えば、専門家は、酸素濃縮装置10からバッグ210を取り外せるが、使用者がバッグ210から酸素濃縮装置10を取り出すのを困難にして、過失又は事故によるバッグ210からの酸素濃縮装置10の滑落を防止できる。このように、バッグ210は、全酸素濃縮装置10体の一体品である。
【0188】
バッグ210は、酸素濃縮装置10の形状に合致するほぼ矩形状を有する。しかしながら、酸素濃縮装置10のハウジングにバッグの形状を合致させる必要がない。バッグ210の一部の側壁及び端壁から、少なくとも部分的に分離してバッグ210の内部を開放できる頂壁又はフラップ212がバッグ210に設けられる。図示の実施の形態では、バッグ210の周辺部の一部に設けられるジッパー(ファスナー)214を2部分に分離すると、図23に示すように、頂壁212を開放できまた図21及び図22に示すように閉鎖できる。酸素濃縮装置10は、頂壁212の開放部を通じてバッグ210内に配置されかつバッグ210から取り出される。本発明は、許可なく頂壁を開放できない固定ジッパー214を設けることも企図する。
【0189】
頂壁212は、頂壁212の閉鎖時にタッチ画面表示装置230を被覆する透明壁板216を備える。透明壁板216は、透明壁板216を通じて使用者がタッチ画面使用者界面体を操作できる十分な可撓性を有する。透明壁板216も防水性(耐水性)と耐久性を有する材料により形成され、その用途を妨げずに、タッチ画面(接触画面)を効果的に保護できる。バッグ壁を通じて套管操作杆139が導出される套管操作杆開放口218が頂壁212に設けられる。例示的な実施の形態では、套管操作杆開放口218周辺は、ネオプレン等の可撓性材料が設けられ、浸水を防止すると共に、バッグ壁を通る套管操作杆139の位置を柔軟に変更できる。
【0190】
電池開口部140a及び/又は140bを開放して、頂壁212に電池挿入口220も設けられる。電池挿入口フラップ222は、電池挿入口220を被覆し、フックループ型ファスナー(マジックテープ[登録商標])、ジッパー、スナップ等の固定装置により閉鎖位置に保持される。電池挿入口フラップ222を移動して、電池挿入口220を開放し、電池を電池挿入口220に挿入し又は電池挿入口220から取り出せる。図22では、バッグ210に設けられる夫々単一の電池挿入口220及び電池挿入口フラップ222を示すが、同様の仕組みで開放しかつ被覆する第2の電池開口部を設けられることも、理解されよう。しかしながら、単一の電池挿入口220を設ければ、図23に示すように、頂壁212を開くと、第2の電池開口部を開放できる。
【0191】
バッグ210内に酸素濃縮装置10を配置するときに入口開口部160a,160b上に配置される単一又は複数の入口切欠部226がバッグ210の端壁に設けられる。入口切欠部226に設けられる網又は他の遮壁228により入口開口部160a,160b内への大きい物質の侵入を防止することができる。例示的な実施の形態では、バッグ210の内側、外側又はその両方の入口切欠部226に設けられる濾過ハウジングポケット(溝)内に、入口開口部160a,160bを覆う使い捨て濾過部材を保持することができる。他の実施の形態では、屈曲経路を形成しかつ下方に向かって開口する入口開口部160a,160bは、空気の流路を形成するが、バッグ210の内部への水の侵入を阻止するように、空気流の流路がバッグ210に設けられる。
【0192】
本発明は、バッグ210に固定され又はバッグ210から除去できる搬送用取手又は帯紐224をバッグ210に設けることを更に企図する。ポケット232もバッグ210に設けられる。内部ポケット又は溝の設置を含む使用者の要求に合致する全ての方法により、ポケット、取手又は帯紐の数、寸法、位置及び構造を変更できる。
【0193】
バッグ壁の内面の単一若しくは複数箇所に緩衝体(バンパー)又は他の間隔保持体(スペーサ)を設けることができる。パッド又は他の吸音材をバッグ210に設けて、バッグ210から外部に漏れる音を最小限に低減できる選択肢もある。換言すれば、音量を減衰する物質により、バッグ210自体を形成し若しくは梱包し、又は効果的な位置に音量を減衰する物質をバッグ210に設けて、音量レベルを最小限に維持できる。また、バッグ210の内部の底若しくはバッグ210の他の位置に発泡パッド又は他の支持/衝撃吸収部材を設けて、酸素濃縮装置10を支持できる。例示的な実施の形態では、バッグ210の各下部隅に比較的高い密度の発泡パッドを設けて、酸素濃縮装置10を保護し、バッグ210の他の位置に低密度発泡材を使用して、バッグ210の重量を最小限にする。また、ゴム等の高強度で不透水の物質をバッグ210の下部に設けて、最も大きな摩耗及び裂傷を受けると予想されるバッグ210の下部を保護できる。
【0194】
I.タッチ画面使用者界面体
図24〜図32は、表示装置、即ち、酸素濃縮装置10の使用時に使用者界面体144に提供する視覚情報を示す。詳細には、図24〜図32は、タッチ画面230に表示される情報を示す。酸素濃縮装置10が停止(オフ)状態のとき、表示装置は、空欄である。タッチ画面230に一度接触すると、図24に示すように、オン/オフ動作アイコン(図像)240が表示される。酸素濃縮装置10を作動させるには、オン/オフ動作アイコン240に接触して、酸素濃縮装置10を作動状態に切り換える必要がある。タッチ画面230の他の位置を接触しても、酸素濃縮装置10は、始動しない。このように、タッチ画面230に2度(又は2箇所同時に)接触して、酸素濃縮装置10を作動させる必要があり、2番目の接触は、タッチ画面230の特殊な位置にある。本発明のこの特徴「ダブルタッチ」は、酸素濃縮装置10の不要な又は不測の起動を防止することができる。
【0195】
酸素濃縮装置10が一旦作動すると、酸素濃縮装置10は、会社のロゴ(シンボルマーク)、広告、使用者への指示(説明)、診断情報、障害(不正、錯誤)情報、使用法情報又はその他の同様の情報等の所定の情報を示す。図25は、起動時にタッチ画面230に表示できる情報である。図25に示すように、タッチ画面230は、酸素濃縮装置10により現在実行されているソフトウェアの種類(バージョン)を示す領域242、装置を使用した時間数を示す領域246、及び何らかのエラーコード、即ち、酸素濃縮装置10の起動中及び/又は起動前の早期に実行できる診断過程の間に検出される障害を示す領域248を含む。
【0196】
図26は、酸素濃縮装置10が起動(オン)した後に通常のタッチ画面230に表示される情報である。図26に示すように、タッチ画面230は、オン/オフ動作アイコン240、図示の実施の形態では、数字「1」であるパルス供給量表示又は流量設定表示250と、電池アイコン252とを含む。流量設定表示250の寸法が比較的大きく、タッチ画面230全体の20〜80%を占める十分な大きさを有することは、理解できよう。これにより、使用者は、容易に視覚的に流量設定を認識することができる。本発明の例示的な実施の形態では、流量設定アイコンの実際の高さは、少なくとも38mm(1.5in)であり、実際の幅は、少なくとも32mm(1.25in)である。例示的な実施の形態では、各数字の高さは、少なくとも32mm(1.25in)であり、幅は、38mm(1.5in)以上である。また、例示的な実施の形態では、電池アイコン252は、少なくとも13mm(1/2in)の幅と、少なくとも19mm(3/4in)の高さとを有する。
【0197】
電池アイコン252は、電池開口部140aに挿入されて完全に充電される第1の電池を示す中実の電池型画像である。第2の電池開口部140bに第2の電池を挿入すれば、第2の電池アイコンは、タッチ画面230の他の側部に表示される(図28)ことは、理解されよう。これにより、使用者は、何れの電池が電池開口部に挿入されかつ各電池の残電力量がどれくらいかを迅速且つ容易に判断できる。
【0198】
図27は、電池内に残存する(又は電池から消費された)エネルギ量を示す形式の電池アイコン252である。本実施の形態では、電池アイコン252は、右側領域260及び左側領域262を有する。右側領域260と左側領域262を使用して、電池に関するより詳細な情報を示す。例えば、本実施の形態では、右側領域260は、充電量(例えば、図示の実施の形態では、75%)を示し、左側領域262は、電池の充電の有無を示す。図示の実施の形態では、垂直バーは、何らかの方法で画面移動(スクロール)する又は動画化され、バッテリ充電を実行されていることを示す。タッチ画面230に交流電力アイコン266も示して、交流電源に酸素濃縮装置10が接続されることを表す。
【0199】
図28の電池アイコン252a,252bで示すように、通常の表示装置は、2つの電池が各電池開口部に挿入されることを表す。電池開口部140bの第2の電池が完全に充電され(左側の電池アイコン252b)、殆ど空の電池開口部140aの第1の電池が充電されている(右側の電池アイコン252a)ことが、この表示装置から理解できよう。タッチ画面230は、例えば、自動車のアダプタを通じて利用可能な直流電源に酸素濃縮装置10が接続されているか否かを示す直流電源アイコン270も表示する。
【0200】
流量設定を変更するため、使用者は、流量設定表示250を最初に押さなければならない。図29及び図30に例示する表示装置では、2〜6秒の短時間後に、流量設定変更アイコン272及び/又は274が表示される。「1」は、最低流量設定値を示すので、1つの流量設定変更アイコンのみを図29に示すことに留意すべきであり、流量設定値は、増加できるが、減少できない。流量設定変更アイコン272,274を作動して、酸素濃縮装置10の出力流量を変更させる。新規流量設定が表示される。流量設定変更アイコン272,274は、例えば、2〜6秒の短時間又は流量設定表示250が再び押されるまで画面230に表示される。
【0201】
上記のように、監視される変数が閾値を超えるとき、酸素濃縮装置10は、音声警報又は他の警告を行う機能を有する。図31及び図32は、警報状態の検出時のタッチ画面230の表示を例示する。警報発生を検出すると、警報の性質を示す警報アイコン276がタッチ画面230に表示される。流量設定表示250の寸法がより縮小して、警報アイコンをより良好に示すことに留意すべきである。図示の実施の形態では、警報状態は、使用者の呼吸の検出不良である。例えば、使用者が酸素濃縮装置10を使用するのを中止した場合に、この警報状態を発生できる。
【0202】
可聴警告により警報状態を通知するとき、可聴警報アイコン278も表示される。可聴警報アイコン278に単に接触すれば、可聴警報アイコン278が起動し停止する。図31では、作動中の可聴警報を示し、図32では、消音状態の可聴警報を示す。
【0203】
図33の表は、タッチ画面230に表示される警報アイコンを示す。この表に一覧を示す各警報状態を以下簡単に説明する。
非呼吸警報(NO BREATH ALARM)−この警報は、呼吸が30秒以上の期間検出されないときに発生する。呼吸を検出でき次第、この警報は、消音される。約5分後に呼吸を検出できないとき、ユニット(酸素濃縮装置10)は、電源との接続を切断して節電する。
酸素濃度警報(OXYGEN CONCENTRATION ALARM)−この警報は、指定される濃度の酸素を酸素濃縮装置10が供給していないときに発生する。
高呼吸速度警報(HIGH BREATH RATE ALARM)−この警報は、使用者の呼吸速度(呼吸流量)が始動して酸素濃縮装置10の許容量を超えたことを通知する。呼吸速度が低下するとき、警報は、初期状態に戻る。
技術的障害/一般的故障警報(TECHNICAL FAULT/GENERAL MALFUNCTION ALARM)−この警報は、酸素濃縮装置10と電源との接続が切断されるときに発生する。この警報は、電池の電力が消耗し又はユニットがもはや適切に作動していない通常の故障を酸素濃縮装置10が生じたときに発生する。
可聴警報アイコン(AUDIBLE ALARM ICON)−このアイコンは、可聴警報が発生するときに表示される。このアイコンを押して、可聴警報を消音できる。
警報消音アイコン(ALARM SILENCE ICON)−このアイコンは、使用者が可聴警報アイコンを押して、可聴警報を消音するときに表示される。
電池低下警報(BATTERY LOW ALARM)−電池アイコンは、電池寿命が約17分残存するときに点滅する。
電池減少警報(BATTERY DEPLETED ALARM)−電池寿命が約2分残存することを示す。
【0204】
本発明は、図面に明示しかつ/又は本明細書に詳記したアイコン及び領域に限定されることを意図しないことは、理解できよう。動画及び音声を含む事実上あらゆる形式により、他の情報を提供することができる。また、組み合わせ情報を提供することもできる。単一のタッチ画面表示装置を使用して、大量の機能を表示することにより、本発明では、別々又は専用の入力/出力装置を必要としない。本発明では、各装置の機能を達成するタッチ画面230を使用することにより、例えば、従来の酸素濃縮装置に一般的に使用されるオン/オフ動作スイッチ、流量設定摘み、流量設定表示(流量計又はデジタル型表示器)、作動状態/警報発光ダイオード及び電力及び/又は電池表示器を省略することができる。
【0205】
本発明は、専門家等の許可者のみが実行すべき機能を作動させる隠匿(非表示)アイコンをタッチ画面230に設けることも企図する。例えば、起動時に、何れのアイコンも表示されないタッチ画面230の一部に隠匿アイコンを設けることができる。画面の該当部を押すと、業務/設定一覧表が表示され、使用者は、酸素センサの調整等の詳細機能を実行することができる。
【0206】
J.性能比較
酸素濃縮装置10は、所与の寸法、寸法、重量及び音量レベルを有するエアセプ・ライフスタイル酸素濃縮装置(エアセプ社の製品)及びイノジェン酸素濃縮装置(イノジェン社の製品)等の従来の携帯可能な酸素濃縮装置よりも良好な酸素出力性能を生ずるいくつかの特徴を有する。例えば、重量0.516kg(1.14lb)のみの高出力でかつ高効率の3頭部放射型空気圧縮装置/モータが例示的な実施の形態として酸素濃縮装置10に設けられる。また、酸素濃縮装置10の他の特徴として一体的な軽量部材が選択される。例示的な実施の形態での篩台の容器は、0.5mm(0.020in)の壁厚を有する。また、空気多岐管と酸素供給多岐管をに気体流路を一体に設け、前記多岐管によって他の構成要素を構造的に支持させることにより、構成要素の全数、複雑性、大きさ及び重量を最小限にできる。従来の個別の使用者用制御装置の代わりに、タッチ画面230を使用すれば、大きさと重量を最小化できる。また、搬送バッグ210は、酸素濃縮装置10の重量及び騒音を減少できる。最低電力/最高酸素出力に対して圧力回転吸収過程は、最適化される(即ち、(a)88%に減少される酸素濃度、(b)丁度8274Pa(12psig)に周期時間制限ピーク圧を変更)。また、2つの内部電池を使用して、比較的大きい携帯可能な電源を酸素濃縮装置10に与えることができる。
【0207】
これらの構造により、従来の酸素濃縮装置を超えて最適化された性能を有する本発明の酸素濃縮装置が得られる。図34の表は、酸素濃縮装置として示す4つの他の従来の装置と比較する2つの電池を使用する本発明の特徴の一覧を示す。
【0208】
図34に示す表から推論できる1つの注目すべき媒介変数は、ユニットの総重量に対する酸素発生速度及び電池寿命である。媒介変数RODWは、下式(4)により決定される。
RODW=(酸素排出量*持続期間)/総重量, (4)
酸素排出量は、式(1)及び/又は図12のグラフで決定される100%酸素(純粋酸素)の排出量で示され、持続期間は、所与の電池充電量の装置動作寿命で示され、重量は、全構成部材を含むユニットの総重量で示される。下記表3は、1つ、2つ又は3つの電池(各電池の重量は、0.68kg[1.5lb]である)を使用する本発明の装置と既存の酸素濃縮装置との媒介変数RODWを示す。
【0209】
表3
【表3】

【0210】
イノジェン酸素濃縮装置、エアセプ・ライフスタイル酸素濃縮装置及びエアセプ・フリースタイル酸素濃縮装置(エアセプ社の製品)では、図34に示す100%酸素当量に変換される装置及び/又は同様の装置の動作の測定に基づいて、酸素排出量が算定される。例えば、セクアル酸素濃縮装置(セクアル・テクノロジー社の製品)では、式(1)の補正係数及び/又は図12に示すグラフを使用して、酸素排出量は、100%酸素当量に変換される。詳細には、セクアル酸素濃縮装置は、91%酸素純度で3.0リッター/分の排出量を有する。この値から100%純度当量への変換は、式:3.0/1.13(1.13は、91%純度レベルを使用して図12から選択される)を算出して、2.65リッター/分の100%純度当量が得られる。
【0211】
本発明の酸素濃縮装置が既存の酸素濃縮装置より非常に大きい媒介変数RODWを有することは、表3から理解できよう。これは、他の酸素濃縮装置と比較して、本発明の酸素濃縮装置は、製品の実際の総質量とそれに対する酸素を発生する性能とが非常に効率的であることを意味する。各酸素濃縮装置の重量に対し、本発明の酸素濃縮装置は、既存の酸素濃縮装置より長い時間の間高酸素流量を供給できる。
【0212】
K.音量に対する電池寿命
図35のグラフは、2つの電池を使用する酸素濃縮装置10の異なるパルス設定時の様々な性能基準を示す。本発明の酸素濃縮装置は、長い動作寿命を有し、比較的低い音量レベルでこれを達成することは、この図から理解できよう。例えば、本発明の酸素濃縮装置は、50dBレベル未満の音量を少なくとも10時間持続する。また、グラフは、例えば酸素の分時換気量、酸素濃度、各期間に供給される気体の大量瞬時投与の大きさ、音量、電力及び電池寿命等の酸素濃縮装置の性能と、パルス設定との特性(関係)を明確に示す。このグラフでは、「最大」電池稼働時間は、電池の理論上の最大値を示し、「標準」電池稼働時間は、正常動作状態の下で通常達成できる典型的な又は公表される稼働時間を示す。
【0213】
本発明では、動作寿命(持続期間)と音量との組み合わせが既存の酸素濃縮装置より如何に優れているかを十分に理解するために、持続期間/音量レベルとして定義される音量と持続期間との比率(RDS)を検討する。本発明の音量と持続期間との比率(RDS)と、既存の酸素濃縮装置の比率の一覧を下記表4に示す。
【0214】
表4
【表4】

【0215】
2つの電池を使用する本発明では、既存の酸素濃縮装置より非常に高い音量対持続期間比率(RDS)を示すことは、理解できよう。
【0216】
L.重量最適化
電池の寸法が酸素濃縮装置10の総重量と動作期間との両方に影響することは、自明である。酸素濃縮装置10に装着する電池の寸法が大きい程、ユニットの動作時間が長くなることは、望ましい特徴である。しかしながら、酸素濃縮装置に複数の電池を装着すると、酸素濃縮装置の重量が増加するので、望ましい特徴とは言えない。本発明の酸素濃縮装置は、単一又は2つの電池を使用して動作する性能を有し、これにより、使用者は、所望の動作時間に対する酸素濃縮装置10にの増加重量(電池の数)を決定できる。
【0217】
例示的な実施の形態では、各電池の重量は、約0.7kg(約1.5lb)である。全く電池を装填しない酸素濃縮装置10の重量は、約3.5kg(約7.8lb)である。単一の電池を使用する酸素濃縮装置10では、酸素濃縮装置10の総重量は、約3.8kg(約8.3lb)である。従って、単一の電池の重量のみで、酸素濃縮装置10の総重量の約17.6%を示すことは、理解できよう。
【0218】
2つの電池を使用する酸素濃縮装置10では、酸素濃縮装置10の総重量は、約4.4kg(約9.8lb)である。従って、2つの電池の重量のみで、酸素濃縮装置10の総重量の約30.6%を示すことは、理解できよう。下記表5は、上記情報に加え、酸素濃縮装置10の総重量に占める0.68kg(1.5lb)の追加電池パックの重量の割合を示す一覧である。
【0219】
表5
【表5】

【0220】
本発明の酸素濃縮装置は、比較的高出力(0.90リッター/分)で酸素を少なくとも8時間供給でき、総電池重量が酸素濃縮装置10の総重量の僅か30.6%に過ぎないことは、表5から理解できよう。
【0221】
従来の酸素濃縮装置では、圧縮装置の重量は、酸素濃縮装置の総重量の比較的大きな割合を通常占める。上記圧縮装置は、比較的軽量で高出力を供給する。下記表6は、圧縮装置14の重量が酸素濃縮装置10の総重量に占める割合を示す。
【0222】
表6
【表6】

【0223】
M.酸素節約装置
上記実施の形態では、単一の管腔套管を使用して、使用者に気体流が供給される。これと同一の套管を使用して、圧力及び/又は流量の変化を検出し、酸素濃縮装置10は、酸素の大量瞬時投与を供給する時期を検知できる。制御装置22は、圧力センサ122により測定される圧力に基づいて、酸素供給弁116により気体流を制御し、呼吸周期の吸気段階間のみ患者に気体流を供給することができる。これは、酸素濃縮装置10に組み込まれる電子省電力装置(コンサーバ)の一例である。
【0224】
本発明は、電子圧力センサ及び電子弁を単一の管腔中空酸素節約装置に置き換える構造を更に企図する。中空酸素節約装置は、吸気間のみ気体流を供給する電気エネルギを要しない効果を有し、電池寿命を延長することができる。本発明の用途に適する中空酸素節約装置の例は、米国特許第5,881,725号、第6,484,721号、第6,568,391号及び第6,752,152号公報に開示され、参照することにより各米国特許の内容を本明細書の一部とする。
【0225】
本発明は、中空酸素節約装置に使用する単一の前記管腔装置の代わりに、二重管腔套管装置を使用できることを企図する。二重管腔中空装置では、套管内の1つの管腔は、患者への気体供給に使用され、他の管腔は、使用者の気体流及び/又は圧力を検出するため鼻孔等の気道に液体接続される。流量及び/又は圧力センサは、套管の他端に連結される。本実施の形態では、酸素濃縮装置10に必要な第2の突起又は第2のバーブに流量センサ、圧力センサ又はその両方が接続される。
【0226】
本発明は、酸素濃縮装置10に取り付けられないが、電子制御され又は空圧作動される分離する省酸素装置に酸素節減機能を与えることを更に企図する。換言すれば、酸素濃縮装置10の外部に又は酸素濃縮装置10と一体に電子制御され又は空圧作動される省酸素装置502を設けることができる。図36は、ハウジング内に収容される酸素濃縮装置10と、酸素濃縮装置10のハウジングから物理的に離間して配置される電子制御され又は空圧作動される省酸素装置502とを設けた酸素濃度装置500を示す。使用者、バッグ210及び/又は搬送帯紐(ハンドル、ショルダベルト)224等のバッグの一部に省酸素装置502を取り付けられる締着具(ファスナ)、帯紐(ストラップ)、把持部材(クリップ)又は他の装置が省酸素装置502に設けられる。図示の例示的な実施の形態では、套管504の長さの分だけ、酸素濃縮装置500から省酸素装置502が分離される。他の套管506は、省酸素装置502から使用者(図示せず)に気体の搬送案内する。所望により、搬送バッグ210内に酸素濃縮装置10を設けることができる。本発明の酸素濃縮装置のこの構造により、酸素濃縮装置10に余分な重量、複雑さ及び電力消費の増加を防止できる。
【0227】
分離型の省酸素装置502は、所望により酸素濃縮装置10及び/又は搬送バッグ(キャリングケース)210に取り付けられる着脱可能又は交換可能な装置でもよい。図37は、酸素濃縮装置10に省酸素装置512を選択的に取り付けられる酸素濃縮システム510を示す。例えば、酸素濃縮装置10と省酸素装置512とを互いに分離できるように、操作杆139を収容する溝と、酸素濃縮装置10に省酸素装置512を接続する機構とが省酸素装置512に設けられる。図示の実施の形態では、搬送バッグ514から外部に延伸する套管516を有する省酸素装置512と、酸素濃縮システム510との両方を内部に封入する搬送バッグ514が設けられる。
【0228】
図38は、酸素濃縮装置10に省酸素装置522を選択的に取り付けられかつ酸素濃縮装置10を収容する搬送バッグ524に酸素濃縮システム520も収容できる酸素濃縮システム520を示す。本実施の形態では、酸素濃縮装置10を収容する第1の空洞部526と、省酸素装置522を収容する第2の空洞部又はポケット528とが搬送バッグ524に設けられる。これにより、使用者は、省酸素装置522を必要としないとき、ポケット528を空にし又は他の目的に使用できる。酸素濃縮システム520の出口と省酸素装置522の入口に跳び越し導通套管530又は他の空圧作動接続体が接続される。省酸素装置522から使用者に酸素濃縮気体を供給する配給套管532が設けられる。
【0229】
N.液化装置又は移送充填装置での使用法
本発明は、部分的に又は全体的に他種の酸素発生/供給装置と組み合わせて、酸素濃縮装置10を使用することを企図する。例えば、使用者消費用の液体酸素を発生する液化装置550に酸素濃縮装置10を使用できる。図39に示すように、通常の液化装置550は、気体の温度レベルを低下して気体から液体に酸素を液化する低温冷却装置552に液化用気体を供給する酸素濃縮装置10を備える。液体酸素は、使用者が容易に運搬できる通常真空二重壁断熱瓶(dewer、デュワー瓶)と称する貯蔵容器554に保管される。使用者は、矢印556で示す貯蔵容器554からの気体酸素、矢印558で示す酸素濃縮装置10の出力からの気体酸素、又はその両方からの気体酸素を吸引することができる。これにより、使用者は、輸送用と消費用の液体酸素供給源を取得することができる。
【0230】
使用者又は低温冷却装置552への酸素濃縮気体流を制御する任意弁を設けて、使用者と低温冷却装置552との何れか一方又は両方同時に気体を供給することができる。また、液化装置550に携帯可能な断熱瓶を取り付けないときでも、液化装置550に内部断熱瓶を設けて、液化装置550から液体酸素を発生することができる。液化装置550に携帯可能な断熱瓶を接続すれば、内部断熱瓶から携帯可能な断熱瓶に液体酸素を供給することができる。本発明の実施への使用に適する液化装置の例は、米国特許第5,893,275号、第5,979,440号、第6,212,904号、第6,314,957号、第6,651,653号、第6,681,764号及び第6,698,423号公報に記載され、参照することにより各米国特許の内容を本明細書の一部とする。
【0231】
圧縮装置14、篩台12及び動作等の酸素濃縮装置10の特徴のある構造を液化装置550に組み込み、酸素濃縮装置10と冷凍装置等の液化装置550の構成部材とを共通の装置に結合することができる。本発明の酸素濃縮装置10は、比較的高い酸素流量出力と長期間の電池寿命を有する軽量の酸素濃縮器を提供できるので、携帯可能な酸素濃縮装置10を設けた液化装置550は、使用者が運搬できかつ交流電源なしで作動できる。本発明は、液化装置550の残余部分から酸素濃縮装置10を分離することも企図する。これにより、個別かつ容易に液化装置550の各構成部材を運搬できる。
【0232】
図40に略示するように、酸素濃縮装置10は、移送充填装置580にも使用できる。移送充填装置580は、濃縮酸素等の気体を圧縮して、携帯可能な酸素タンク等の貯蔵容器584に圧縮気体を供給する装置である。通常の移送充填装置580では、酸素は、酸素濃縮装置10からピストン圧縮装置等の圧縮装置582に供給され、例えば、10340000〜24130000Pa(1500〜3500psi)等の比較的高い圧力に圧縮される。圧縮気体は、使用者が搬送又は運搬可能な携帯可能な貯蔵容器584に供給される。矢印586で示す貯蔵容器584からの気体酸素、矢印588で示す酸素濃縮装置(酸素濃縮装置10)の出力からの気体酸素又はその両方からの気体酸素を使用者が吸入できる。これにより、使用者は、酸素の運搬と消費のため高圧酸素供給源を携帯することができる。
【0233】
使用者又は圧縮装置582への酸素濃縮気体流を制御する任意弁を設けて、使用者と圧縮装置582との何れか一方又は両方同時に気体を供給することができる。また、移送充填装置580に携帯可能な貯蔵容器を取り付けないときも、移送充填装置580内に内部貯蔵容器を設けて、移送充填装置580により高圧酸素濃縮気体を発生することができる。移送充填装置580に携帯可能な貯蔵容器を接続するとき、内部貯蔵容器からの高圧酸素濃縮気体を携帯可能な貯蔵容器に供給できる。本発明に使用される移送充填装置の例は、米国特許第5,071,453号、第5,354,361号、第5,858,062号、第5,988,165号、第6,302,107号、第6,446,630号、第6,889,726号、第6,904,913号及び第6,923,180及び欧州特許出願第0247365A2公報に記載され、参照することにより各特許の内容を本明細書の一部とする。
【0234】
圧縮装置14、篩台12及び動作等の酸素濃縮装置10の特徴を移送充填装置580に組み込み、酸素濃縮装置10と高圧圧縮装置等の移送充填装置580の構成部材とを共通の装置に結合することができる。本発明の酸素濃縮装置10は、比較的高い酸素流出力と長期間の電池寿命を有する軽量の酸素濃縮器を提供できるので、使用者は、運搬できかつ交流電源なしで作動できる酸素濃縮装置10を備える移送充填装置580を携帯できる。本発明は、移送充填装置580の残余部分からの酸素濃縮装置10の分離も企図する。これにより、個別にかつ容易に移送充填装置580の各構成要素を運搬できる。
【0235】
O.音の減少
極力静かな酸素濃縮装置10とするため、本発明は、酸素濃縮装置10から発生する音を低減するいくつかの技術を企図する。音は、酸素濃縮装置10の種々の部分から発生する。それらの音源は、酸素濃縮装置10の内部及び周囲の気体流である。この気体流による騒音を減衰するため、本発明は、流路62〜68に隔壁を設けることを企図する。前記隔壁の例は、通路壁から流路に延伸する突出部又は傾斜突起を有する。
【0236】
他の音源は、圧縮装置14である。圧縮装置14からの音は、圧縮装置14の各部の運動により生じる音、及び圧縮装置14の動作により発生する振動音が原因であると考えられる。圧縮装置14の各部の移動により生じる音を抑制するため、本発明は、圧縮装置14の入口又はそれに近接して消音器を設けることを企図する。入口の消音器は、入口流路に逆流する音及び圧縮装置14の入口流路から排出される音により圧縮装置14内で発生する騒音を防止又は減少する。
【0237】
図41に示すように、本発明は、圧縮装置14の少なくとも一部を保護又は被覆する圧縮装置被覆体(ジャケット)350を設けることも企図する。図示の実施の形態では、圧縮装置被覆体350は、複数の壁板352を備え、1枚の壁板352のみを図41に図示及び/又は略示する。複数の圧縮装置頭部46の各間に配置されかつ図5Aに示すカム組立体42を被覆する壁板352が圧縮装置14に設けられる。吸音材料により形成される壁板352は、何らかの公知の技術を使用して、圧縮装置14に直接又は間接的に取り付けられる。図示の実施の形態では、壁板352は、複数の圧縮装置頭部46間の領域のみを被覆して、生成される熱を断熱する。しかしながら、壁板352の寸法、形状及び位置を変更できることは、理解されよう。例えば、本発明は、圧縮装置14全体を覆う圧縮装置被覆体350を設けることを企図する。
【0238】
図示の実施の形態では、空気多岐管16に圧縮装置14が直接取り付けられる。空気多岐管16に圧縮装置14を直接取り付けると、圧縮装置14から空気多岐管16に振動が伝達されて、騒音が発生する可能性がある。圧縮装置14と圧縮装置14を取り付ける空気多岐管16との間に、振動の伝達を阻止する防振部材360(図37に図示せず)を設けることも、本発明は、企図する。例示的な実施の形態では、ゴム等の可撓管により形成される防振部材360は、各圧縮装置頭部46の入口及び出口に設けられる。防振部材360により、動作時に圧縮装置14に発生する振動が空気多岐管16に伝達するのを防止できる。
【0239】
P.電池寿命の最適化
本発明の例示的な実施の形態では、単一又は複数の電池を集合的に電池パックと総称するリチウムイオン電池を酸素濃縮装置10に使用して、酸素濃縮装置10の様々な構成部材に電力を供給することができる。リチウムイオン電池は、図42に例示する公知の放電速度特性を有する。X軸は、放電性能「ミリアンペア*時間(mA-hr)」を表わす。0mA-hrでは、リチウムイオン電池は、100%の残存容量を示す。2100mA-hrでは、リチウムイオン電池は、0%の残存容量を示す。図42の各特性線370,372,374,376は、異なる放電電流での時間経過(徐々にmA-hrが増加)に対する電圧低下特性を示す。このグラフでは、電流は、0.42〜4.2Aの間で10倍変化する。消費する電流値が大きいほど、同一のエネルギ(mA-hr)を消耗する電圧値は、低下する。
【0240】
本発明の酸素濃縮装置では、電池パックから放電される電流は、篩台12の加圧時に約4A以下に制限される。しかしながら、電池パックは、8Aで放電する能力を有する。ピーク電流を4Aに制限すると、特性線370に沿う動作特性での酸素濃縮装置10の動作を防止し、その代わりに、例えば、最大電流値の半分に使用電流が制限されて、酸素濃縮装置10が特性線372に沿って動作する効果が得られる。図42に示すように、特性線372,374又は376は、比較的類似し、酸素濃縮装置10がその電流範囲で動作しているとき、稼働時間の減少量が最小である。特性線370に電流が増加するときのみ、稼働時間が顕著に減少する。
【0241】
本発明の酸素濃縮装置は、高濃度酸素濃縮(PSA)過程とモータ最大電流とをリチウムイオン電池に固有の放電特性に適合させ、酸素濃縮装置10は、電池パックから放出される全エネルギを「搾取(利用)」し、実際の稼働時間は、理論上の最大稼働時間に近い。また、電池パックに2つの電池(バッテリ)を使用するとき、各電池から流出する電流を更に制限して、特性線374又は特性線376等の更に低い電流線に沿って各電池を放電させることができる。
【0242】
現在最も実用的かつ好適と思われる実施の形態を図示して詳記したが、前記記載は単に説明の便宜に過ぎず、本発明を開示した実施の形態に限定されず、本発明は、特許請求の範囲内に該当すると共に、特許請求の範囲と同趣旨の変更態様並びに同等の装置を包含すること企図する。例えば、何れかの実施の形態の単一又は複数の特徴を他の何れかの実施の形態の単一又は複数の特徴に可能な範囲内で組み合わせられることも、本発明が企図することを理解されよう。
【図面の簡単な説明】
【0243】
【図1A】本発明の原理による携帯可能な酸素濃縮装置の第1の実施の形態を示す上面斜視図
【図1B】本発明の原理による携帯可能な酸素濃縮装置の第1の実施の形態を示す底面斜視図
【図2】図1A及び図1Bに示す酸素濃縮装置の分解斜視図
【図3】図1A及び図1Bに示す酸素濃縮装置の気体流回路を表す概略ブロック図
【図4】図1A及び図1Bの酸素濃縮装置への使用に適する例示的な篩台の断面図
【図5A】図1A及び図1Bの酸素濃縮装置への使用に適する圧縮装置の斜視図
【図5B】図1A及び図1Bの酸素濃縮装置への使用に適する圧縮装置の平面図
【図5C】図1A及び図1Bの酸素濃縮装置への使用に適する圧縮装置の分解斜視図
【図6A】図5Aの6A−6A線に沿う圧縮装置の平面断面図
【図6B】図5Aの6B−6B線に沿う圧縮装置の側面断面図
【図7】図1A及び図1Bの酸素濃縮装置の空気多岐管の一部を形成する多岐管基盤の平面図
【図8A】図7の多岐管基盤に取り付けられる多岐管蓋の底面図
【図8B】図7の多岐管基盤に取り付けられる多岐管蓋の平面図
【図9A】図1A及び図2Bの酸素濃縮装置の酸素供給多岐管の一部を形成する多岐管基盤の平面図
【図9B】図1A及び図2Bの酸素濃縮装置の酸素供給多岐管の一部を形成する多岐管基盤の底面図
【図10A】図1A及び図1Bの酸素濃縮装置の一部を形成する篩台蓋部の底面図
【図10B】図1A及び図1Bの酸素濃縮装置の一部を形成する篩台蓋部の側面図
【図10C】図1A及び図1Bの酸素濃縮装置の一部を形成する篩台蓋部の平面図
【図11】例示的な平均流速に基づいて空気流が通過する通路断面積が増加する程、通路内の空気流圧力の低を示すグラフ
【図12】流量比と酸素純度との特性を示すグラフ
【図13】電力消費と酸素純度との特性を示すグラフ
【図14】電力消費と酸素純度との特性を示すグラフ
【図15】酸素排出量と酸素純度レベルとの特性を示すグラフ
【図16】異なる流量設定値に対する本発明の携帯可能な酸素濃縮装置の様々な性能基準を示す表
【図17】篩台を駆動する弁時間を設定する動作を示すフローチャート
【図18】篩台/生成物タンクの圧力と弁時間との特性を示すグラフ
【図19】本発明の酸素濃縮装置に使用する圧縮装置のモータを制御する動作を示すフローチャート
【図20】分時換気量と目標圧力との特性を示すグラフ
【図21】開放又は閉鎖される種々の壁板を有する搬送容器に収容される携帯可能な酸素濃縮装置の上面斜視図
【図22】開放又は閉鎖される種々の壁板を有する搬送容器に収容される携帯可能な酸素濃縮装置の上面斜視図
【図23】開放又は閉鎖される種々の壁板を有する搬送容器に収容される携帯可能な酸素濃縮装置の上面斜視図
【図24】本発明の酸素濃縮装置に使用するタッチ画面使用者界面体の正面図
【図25】本発明の酸素濃縮装置に使用するタッチ画面使用者界面体の正面図
【図26】本発明の酸素濃縮装置に使用するタッチ画面使用者界面体の正面図
【図27】本発明の酸素濃縮装置に使用するタッチ画面使用者界面体の正面図
【図28】本発明の酸素濃縮装置に使用するタッチ画面使用者界面体の正面図
【図29】本発明の酸素濃縮装置に使用するタッチ画面使用者界面体の正面図
【図30】本発明の酸素濃縮装置に使用するタッチ画面使用者界面体の正面図
【図31】本発明の酸素濃縮装置に使用するタッチ画面使用者界面体の正面図
【図32】本発明の酸素濃縮装置に使用するタッチ画面使用者界面体の正面図
【図33】使用者界面体に表示できる種々の警報アイコンを示す一覧表
【図34】既存の酸素濃縮装置に対する本発明の携帯可能な酸素濃縮装置の比較表
【図35】異なる流量設定値での本発明の酸素濃縮装置の種々の媒介変数を示す表
【図36】酸素濃縮装置と、酸素濃縮装置から分離される酸素節約装置とを備える酸素濃度システムの略示ブロック図
【図37】搬送容器内の共通の空洞部内に酸素濃縮装置及び酸素節約装置を配置した酸素濃縮システムの概示ブロック図
【図38】搬送容器内の別々の空洞部内に酸素濃縮装置及び酸素節約装置を配置した酸素濃度システムの概示ブロック図
【図39】本発明の酸素濃縮システムを使用する液化装置の概示ブロック図
【図40】本発明の酸素濃縮システムを使用する移送充填装置の概示ブロック図
【図41】圧縮装置用減音装置を有する圧縮装置の斜視図
【図42】本発明の実施に適する電池の放電速度特性を示すグラフ
【図43】本発明の酸素濃縮装置に適する揺動ピストン圧縮装置の平面断面図
【図44A】図5A〜図6Cの圧縮装置に使用する隔膜の正面図
【図44B】図5A〜図6Cの圧縮装置に使用する隔膜の側面図
【図45】本発明の実施に適する圧縮装置の別の実施の形態を示す平面断面図
【符号の説明】
【0244】
(10)・・携帯可能な酸素濃縮装置、 (12A,12B)・・圧力スイング吸着装置、 (148)・・電池(第1の電池)、 (210)・・搬送バッグ、 (502,512)・・省酸素装置、 (552)・・低温冷却装置、 (554)・・携帯可能な貯蔵断熱瓶、 (584)・・携帯可能な貯蔵容器、 (588)・・排出口、

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸素濃縮気体流を発生する圧力スイング吸着装置(12A,12B)と、
圧力スイング吸着装置に電力を供給する電池(148)とを備え、
約4.5kg(10lb)未満の総重量、約0.9リッター/分の酸素100%の気体と等価の最大流量、約13110cm3(800in3)未満の総容積、及び少なくとも約8時間の電池寿命を有することを特徴とする携帯可能な酸素濃縮装置(10)。
【請求項2】
圧力スイング吸着装置を収容する搬送バッグ(210)を更に設けた請求項1に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項3】
圧力スイング吸着装置の出力口に連結される省酸素装置(502,512)を更に備え、
省酸素装置は、患者に供給される酸素濃縮気体流を制御して、呼吸周期の吸気段階の少なくとも一部の間に患者に酸素濃縮気体の大量瞬時投与を供給する請求項1に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項4】
圧力スイング吸着装置に作動連結されかつ酸素濃縮気体流の少なくとも一部を収容する低温冷却装置(552)を更に備え、
低温冷却装置は、収容した酸素濃縮気体を使用して液体酸素を発生する請求項1に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項5】
低温冷却装置に連結されかつ使用者消費用の液体酸素を貯蔵する携帯可能な貯蔵断熱瓶(554)を更に設けた請求項4に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項6】
圧力スイング吸着装置と低温冷却装置との間に排出口(588)を更に設け、使用者は、圧力スイング吸着装置からの酸素濃縮気体を消費できる請求項4に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項7】
低温冷却装置に酸素濃縮気体を供給するのと同時に、使用者が圧力スイング吸着装置からの酸素濃縮気体を消費できるように、排出口を構成した請求項6に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項8】
圧力スイング吸着装置に作動連結されかつ酸素濃縮酸素流の少なくとも一部を収容する圧縮装置(582)を更に備え、
圧縮装置は、収容された酸素濃縮気体の圧力を増加する請求項1に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項9】
圧縮装置は、少なくとも10340000Pa(1500psi)に酸素濃縮気体流を加圧するピストン圧縮装置である請求項8に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項10】
圧縮装置に連結されかつ使用者消費用の加圧酸素濃縮気体を貯蔵する携帯可能な貯蔵容器(584)を更に設けた請求項8に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項11】
圧力スイング吸着装置と圧縮装置との間に排出口(588)を更に設け、使用者は、酸素濃縮装置からの酸素濃縮気体を消費できる請求項8に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項12】
圧縮装置に酸素濃縮気体を供給するのと同時に、使用者が圧力スイング吸着装置からの酸素濃縮気体を消費できるように、排出口を構成した請求項11に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項13】
酸素濃縮気体流を発生する圧力スイング吸着装置(12A,12B)と、
圧力スイング吸着装置に電力を供給する第1の電池(148)とを備え、
比率RODWを「RODW=(酸素排出量*持続期間)/総重量」で決定するとき、酸素排出量は、100%酸素排出量であり、持続期間は、所定の電池量に対する酸素濃縮装置の動作寿命であり、重量は、酸素濃縮装置の総重量であり、
酸素濃縮装置に対する比率RODWは、少なくとも約0.19(lpm-hr)/kg(0.43(lpm-hr)/lb)であることを特徴とする酸素濃縮装置(10)。
【請求項14】
第2の電池を更に備え、
第1の電池及び第2の電池を有する酸素濃縮装置の比率RODWは、少なくとも約0.33(lpm-hr)/kg(0.73(lpm-hr)/lb)である請求項13に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項15】
第3の電池を更に備え、
第1の電池、第2の電池及び第3の電池を有する酸素濃縮装置の比率RODWは、少なくとも約0.43(lpm-hr)/kg(0.95(lpm-hr)/lb)である請求項14に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項16】
酸素濃縮気体流を発生する圧力スイング吸着装置(12A,12B)と、
圧力スイング吸着装置に電力を供給する第1の電池(148)とを備え、
酸素濃縮装置の動作時に発生する音に対する持続期間の比率RDSを持続期間/音量と定義するとき、
酸素濃縮装置の音に対する持続期間の比率RDSは、少なくとも約0.073持続期間/音量であることを特徴とする酸素濃縮装置(10)。
【請求項17】
第2の電池を更に備え、
第1の電池及び第2の電池を有する酸素濃縮装置の音量に対する持続期間の比率は、少なくとも約0.145持続期間/音量である請求項16に記載の酸素濃縮装置(10)。
【請求項18】
第3の電池を更に備え、
第1の電池、第2の電池及び第3の電池を有する酸素濃縮装置の音量に対する持続期間の比率は、少なくとも約0.218持続期間/音量である請求項17に記載の酸素濃縮装置(10)。

【図1A】
image rotate

【図1B】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5A】
image rotate

【図5B】
image rotate

【図5C】
image rotate

【図6A】
image rotate

【図6B】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8A】
image rotate

【図8B】
image rotate

【図9A】
image rotate

【図9B】
image rotate

【図10A】
image rotate

【図10B】
image rotate

【図10C】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate

【図27】
image rotate

【図28】
image rotate

【図29】
image rotate

【図30】
image rotate

【図31】
image rotate

【図32】
image rotate

【図33】
image rotate

【図34】
image rotate

【図35】
image rotate

【図36】
image rotate

【図37】
image rotate

【図38】
image rotate

【図39】
image rotate

【図40】
image rotate

【図41】
image rotate

【図42】
image rotate

【図43】
image rotate

【図44A】
image rotate

【図44B】
image rotate

【図45】
image rotate


【公表番号】特表2009−532183(P2009−532183A)
【公表日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−504407(P2009−504407)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/065802
【国際公開番号】WO2007/118054
【国際公開日】平成19年10月18日(2007.10.18)
【出願人】(508297687)オキシテック・メディカル・コーポレーション (2)
【Fターム(参考)】