説明

携帯型プロジェクタの背景色修正方法

本発明の一実施の形態によれば、多色レーザー光源、映写光学系、画像センサおよび移動検出素子を備えた画像プロジェクタを制御する方法は、この画像プロジェクタを用いて表示面上に画像を映写することを含む。映写中、上記移動検出素子によって生成された、画像プロジェクタの位置の変位を示す移動信号はモニタされる。画像プロジェクタを用いてテストパターン画像が表示面上に映写され、このテストパターン画像の映写は、モニタされた移動信号の関数として生起される。その後、映写されたテストパターン画像は画像センサを用いて表示面から取り込まれる。映写されたテストパターン画像のデータと、取り込まれたテストパターン画像のデータとの比較が用いられて、後に続く画像が映写される態様を変更して、取り込まれたテストパターン画像に表れた色歪みを修正する。

【発明の詳細な説明】
【優先権】
【0001】
本願は、2007年12月14日付けで提出された米国特許出願第12/002,206号の優先権を主張した出願であり、その内容の全てが本明細書に引用される。
【技術分野】
【0002】
本発明の実施の形態は、画像プロジェクタの制御方法に関し、さらに詳細には、映写された画像中の色歪みを修正するための画像プロジェクタの制御方法に関するものである。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0003】
本発明の一実施の形態によれば、多色レーザー光源、映写光学系、画像センサおよび移動検出素子を備えた画像プロジェクタの制御方法は、上記多色レーザー光源および上記映写光学系を用いて表示面上に画像を映写することを含む。この方法はまた、上記移動検出素子によって生成された、上記画像プロジェクタの位置の変位を示す移動信号をモニタし、かつ上記多色レーザー光源および上記映写光学系を用いて表示面上にテストパターン画像を映写することを含み、このテストパターン画像の映写は、上記モニタされた移動信号の関数として生起される。この方法は、その後、上記画像センサを用いて、映写されたテストパターン画像を表示面から取り込み、かつ映写されたテストパターン画像データと、取り込まれたテストパターン画像データとの比較を利用して、上記多色レーザー光源および上記映写光学系を用いて映写される後に続く画像における態様を変更して、取り込まれたテストパターン画像中に表された色歪みを修正することを含む。
【0004】
本発明は、上述の、またはここに記載されている他の特定の実施の形態に限定されるものではない。上述の実施の形態に対する変更および変形を通じて、さらなる実施の形態が可能なことが考えられる。本明細書に記載されかつ添付の請求項に定義されている本発明の範囲から離れることのないこのような変更および変形が可能である。
【0005】
添付図面との関連においてなされる下記の説明から、本発明がさらに良く理解されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【図1】画像プロジェクタを示す概略図である。
【図2】画像フレームを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
図面に描かれている実施の形態は、請求項に規定された本発明の本質を示すものであって、本発明を限定するものではない。さらに、上記図面および本発明の個々の態様は、詳細な説明を見れば、より完全に明らかになり、かつ理解されるであろう。
【0008】
先ず図1の概略図を参照すると、本発明の一実施の形態による画像プロジェクタ10が示されている。この画像プロジェクタは、映写光学系を備えた多色レーザー光源12と、画像センサ14と、移動検出素子16とを有する。一般的に、この画像プロジェクタ10はまた、ここに説明されているように、画像プロジェクタ10の種々の構成要素の動作のための命令を発するように構成されたプログラマブル・コントローラを備えている。一つの実施の形態において、この画像プロジェクタは携帯型基台内に収容されている。ここでは、映写光学系を備えた多色レーザー光源12、画像センサ14および移動検出素子16は、上記携帯型基台に機械的に結合されている。図1に概略的に示されているように、上記携帯型基台は自動車電話機内に収容可能である。
【0009】
本発明の実施の形態は、図1に示されているような画像プロジェクタ10の制御方法に関する。一つの実施の形態において、この方法は、画像プロジェクタ10の多色レーザー光源12を用いて表示面18に画像20を映写することを含む。図1および図2に示されているように、画像20は、多色レーザー光源12の多重ビームを画像フレーム全体に走査することによって表示面18に映写される。上記多色レーザー光源12は、赤色、緑色および青色、ならびにそれらの組合せ、またはシアン、マゼンタ、黄色および黒色ならびにそれらの組合せ等の、しかしながらそれらに限定されない種々の色彩および輝度の多重ビームを備えている。画像20は、多数の連続する画像フレーム22を生成させることによって、表示面18上に映写される。図2に示されているように、各画像フレーム22は、一つまたは複数の画素24からなり、これらの画素は、多数の隣接する画素の組26に集めることができる。一つの実施の形態において、画像20は、多軸走査ミラーを備えた映写光学系を用いて、表示面18上に映写される。しかしながら、ここに説明されている方法または色修正方法は、多軸走査であろうとなかろうと、如何なる映写方法にも適用可能である。
【0010】
この方法は、画像プロジェクタ10の移動検出素子16によって生成される移動信号をモニタすることをさらに含む。この移動信号のモニタは、表示面18上への画像20の映写と同時に画像プロジェクタ10によって行なわれる。さらに詳細には、画像プロジェクタ10が表示面18上へ画像20を映写しているときに、移動検出素子16が画像プロジェクタ10の位置的変位を表す移動信号を発生させる。上記移動検出素子は、加速度計、グローバル・ポジショニング・システムと協働するコンポーネント、またはその他の、画像プロジェクタ10の位置的変位を示す信号を発生し得る従来のまたは開発中の素子である。
【0011】
上述の移動信号は、画像プロジェクタ10の位置的変位を測定するためにモニタされる。例えば、移動検出素子16によって検出される位置的変位値がゼロということは、画像プロジェクタ10が静止状態にあることを示し、ゼロよりも大きい値は、画像プロジェクタ10が、移動が採り得る数値に割り当てられた定義により、種々の変位の形態および/または距離の何れか一つの態様で以前の静止位置から既に動かされたか、または動かされつつあることを示す。変位の形態は、例えば、振動、回転、角度変位、またはその他の移動を含み、変位の距離は長さの測定による。
【0012】
別の実施の形態において、移動検出素子16は、像プロジェクタ10が静止状態にあるか、あるいは動かされているかをより単純に示す移動信号を発生するように構成されている。何れの場合においても、移動信号によって示される位置的変位は、静止状態の画像プロジェクタを示す静止値または変位された画像プロジェクタを示す変位値を含む。例えば静止値はゼロに等しいが、変位値が1であるということは、画像プロジェクタが既に或る移動形態で動かされたことを意味する。
【0013】
画像プロジェクタ10が静止状態にあることを移動信号が示している場合には、画像プロジェクタ10は表示面18上に画像を映写し続ける。しかしながら、画像プロジェクタ10が動かされたか、動きつつあることを移動信号が示している場合には、この方法はさらに、映写光学系を備えた多色レーザー光源12を用いて、表示面18上にテストパターン画像を映写することを含む。従って、テストパターン画像の映写は、モニタされた移動信号の機能として開始される。例えばモニタされた移動信号が画像プロジェクタ10の位置的変位またはその度合いを示す場合には、テストパターン画像の映写が開始される。ここで用いられている「テストパターン画像」とは、画像プロジェクタ10によって映写されるその後の画像の映写を評価および変更するのに用いることができる、生成されかつ映写された何れかの画像または画像フレームを意味する。このテストパターン画像は、画像プロジェクタ10によって映写された以前の画像または画像フレームのいくらかの変形に等しくても、または画像プロジェクタ10によって映写された以前の画像または画像フレーム全く異なっていてもよい。さらに、上記テストパターン画像は、色彩がほぼ一様な、または異なる色彩分布を画成し得る画素の編集を含む。標準的な映写の場合と同様に、多色レーザー光源12の一つまたは複数のビームを、標準的映写フレームと連続するまたは連続しないテストパターン画像フレームに亘って走査することによって、上記テストパターン画像が表示面18上に映写される。
【0014】
上記テストパターン画像の映写の後に、画像センサ14を用いて、このテストパターン画像が表示面18から取り込まれる。図1に示された画像センサ14は、カメラ、電荷結合素子、または表示面から光の強度および色彩を取り込むように構成された画像検出素子である。一般に、映写されたテストパターン画像は、画素の編集物として、またはテストパターン画像の平均色彩および強度を表す単一画像として取り込まれる。
【0015】
映写されたテストパターン画像が画像センサ14によって取り込まれた後、映写されたテストパターン画像データと、取り込まれたテストパターン画像データとの比較が、画像プロジェクタ10によって次に映写される画像の内容を変更するのに用いられて、テストパターン画像に表された色歪みを修正する。画像20を映写するのに用いられる映写データおよびそれに続く画像は、画像データおよび修正データの組合せから派生される。画像データは、映写される画像20特有であり、修正データは、映写されたテストパターン画像と取り込まれたテストパターン画像との比較から派生される。
【0016】
一つの実施の形態において、後に続く画像が映写される態様は、映写されたテストパターン画像データと取り込まれたテストパターン画像データとの比較を用いることによって変更されて、相殺されたカラー強度値表を生成させる。この相殺されたカラー強度値表は、上述の修正データとして機能する。上記相殺されたカラー強度値は、取り込まれたテストパターン画像に表れた色歪みを修正するように、対応する画素のカラー強度値に加算され、または対応する画素のカラー強度値から減算される。
【0017】
一つの実施の形態において、映写されたテストパターン画像データおよび取り込まれたテストパターン画像データは、画素単位を基準として比較される。その後に画像プロジェクタによって映写されるその後の画像が画素単位を基準として変更される。
【0018】
別の実施の形態においては、映写されたテストパターン画像データと取り込まれたテストパターン画像データとは、テストパターン画像中の多数の隣接する画素を集合的に参照することによって比較される。その後、後に続く画像中の多数の隣接する画素を集合的に変更することによって、後に続く画像が映写される態様が変更される。
【0019】
さらに別の実施の形態においては、映写されたテストパターン画像データと取り込まれたテストパターン画像データとが、テストパターン画像中の細かく分割された画素を参照することによって比較される。その後、後に続く画像中の細かく分割された画素を変更することによって、後に続く画像が映写される態様が変更される。
【0020】
さらに別の実施の形態においては、テストパターン画像の平均カラー強度値を参照することによって、映写されたテストパターン画像データと取り込まれたテストパターン画像データとが比較される。その後、後に続く画像における平均カラー強度値を変更することによって、後に続く画像が映写される態様が変更されることができる。例えば、このことは、複数の画素の複数のカラー強度値によって規定された平均カラー強度値を変更することによって、あるいは、ほぼ全ての画素のほぼ全てのカラー強度値によって規定された平均カラー強度値を変更することによって、達成されることができる。
【0021】
もし映写されたテストパターン画像データと取り込まれたテストパターン画像データとが等しければ、映写される後に続く画像における態様の変更が必要でないことは言うまでもない。このような状況下では、画像プロジェクタは、画像の映写を変更なしに継続することができる。
【0022】
さらに、色歪みを修正するための上述のステップは、プロジェクタ10の設定中にも開始されることができる。
【0023】
以上、一つの特定の色修正方法について詳細説明がなされたが、画像映写の色修正が開始される態様に関する本発明の考え方は、何れかの特定の色修正方法に限定されるものではない。さらに詳細には、ここに説明されている方法の実施の形態を通じて、種々の他の色修正方法が生起され得ると考えられる。例えば、米国特許第6,814,448号明細書、米国特許出願第2007/0091334号明細書、米国特許出願第2004/0070565号明細書および米国特許出願第2007/0091334号明細書に記載されている色修正方法は、本願に記載された方法の種々の実施の形態によって生起されることができる。
【0024】
特定の方法で「構成された」、特定の特性を具現するようにまたは特定の態様で機能するように「構成された」本発明の構成要素の記述は、対象とする用途の記述とは対照的に構造的記述であることが注目される。より具体的には、構成要素が構成される態様を参照することは、構成要素の現在の物理的条件を意味し、したがって、構成要素の構造的特徴の明確な記述と考えられる。
【0025】
本明細書において、「概して」および「一般的に」という語が用いられた場合には、請求項に記載された本発明の範囲を限定するためでも、またはある特徴が、請求項に記載された本発明の構造または機能にとって重大な、必須な、またはさらには重要であることを意味するためでもない。むしろ、これらの語は、本発明の実施の形態の特定の態様を確認するため、あるいは、本発明の特定の実施の形態に利用されても利用されなくてもよい代替的または付加的特徴を強調することを意図するためのものに過ぎない。
【0026】
本発明を説明しかつ定義する目的のために、「実質的に」という語が用いられて、量的比較、値、測定またはその他の表現に帰するであろう不確かさの固有の度合いを表していることが注目される。「実質的に」という語はまた、当の対象物の基本的機能を変更することなしに、規定された基準から変化し得る量的表示の度合いを表すのに用いられる。
【0027】
以上、特定の実施の形態を参照することによって本発明が詳細に説明されたが、添付の請求項に規定された本発明の範囲から離れることなしに、変更および変更が可能なことは明らかであろう。より具体的には、本発明のいくつかの態様が、好ましい、特に効果的なまたは望ましいものとしてここに特定されたが、本発明は、これらの本発明の好ましい態様に限定される必要はないと考えられる。
【符号の説明】
【0028】
10 画像プロジェクタ
12 多色レーザー光源
14 画像センサ
16 移動検出素子
18 表示面
20 画像
22 画像フレーム
24 画素
26 画素の組

【特許請求の範囲】
【請求項1】
多色レーザー光源、映写光学系、画像センサおよび移動検出素子を備えた画像プロジェクタを制御する方法であって、
前記画像プロジェクタの前記多色レーザー光源および前記映写光学系を用いて、表示面上に画像を映写し、
前記移動検出素子によって生成された、前記画像プロジェクタの位置的変位を示す移動信号をモニタし、
前記多色レーザー光源および前記映写光学系を用いて、前記モニタされた移動信号の関数として生起されたテストパターン画像を前記表示面上に映写し、
前記画像センサを用いて、前記表示面からの前記映写されたテストパターン画像を取り込み、
映写されたテストパターン画像データと取り込まれたテストパターン画像データとの比較を利用して、前記画像プロジェクタの前記多色レーザー光源および前記映写光学系を用いて映写される、後に続く画像における態様を変更して、前記取り込まれたテストパターン画像中に表された色歪みを修正する、
各ステップを含むことを特徴とする、画像プロジェクタの制御方法。
【請求項2】
前記テストパターン画像が多数の画素の編集物として映写され、
該映写されたテストパターン画像が多数の画素の編集物として取り込まれ、
前記映写されたテストパターン画像データと前記取り込まれたテストパターン画像データとが画素単位を基準として比較され、かつ
前記映写される、後に続く画像における態様が画素単位を基準として変更される、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記テストパターン画像が画素の編集物として映写され、
該映写されたテストパターン画像が画素の編集物として取り込まれ、
前記テストパターン画像中の多数の隣接する画素を集合的に参照することによって、前記映写されたテストパターン画像データと前記取り込まれたテストパターン画像データとが比較され、
前記後に続く画像中の多数の隣接する画素を集合的に変更することによって、映写される前記後に続く画像における態様が変更される、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項4】
前記テストパターン画像が画素の編集物として映写され、
該映写されたテストパターン画像が画素の編集物として取り込まれ、
前記テストパターン画像中の細分割された画素を参照することによって、前記映写されたテストパターン画像データと前記取り込まれたテストパターン画像データとが比較され、
前記後に続く画像中の細分割された画素を変更することによって、映写される前記後に続く画像における態様が変更される、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項5】
前記テストパターン画像が画素の編集物として映写され、
該映写されたテストパターン画像が画素の編集物として取り込まれ、
前記テストパターン画像の平均カラー強度値を参照することによって、前記映写されたテストパターン画像データと前記取り込まれたテストパターン画像データとが比較され、かつ
前記後に続く画像中の平均カラー強度値を変更することによって、
映写される前記後に続く画像における態様が変更される、
ことを特徴とする請求項1記載の方法。
【請求項6】
前記取り込まれた前記テストパターン画像中に表れた色歪みを修正するために、前記映写されたテストパターン画像データと前記取り込まれたテストパターン画像データとの比較を用いて相殺されたカラー強度値の表を生成させることによって、前記後に続く画像が映写される態様が変更され、かつ前記相殺されたカラー強度値が、対応する画素のカラー強度値に加算されまたは対応する画素のカラー強度値から減算されることを特徴とする請求項1記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2011−508248(P2011−508248A)
【公表日】平成23年3月10日(2011.3.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−537946(P2010−537946)
【出願日】平成20年12月9日(2008.12.9)
【国際出願番号】PCT/US2008/013521
【国際公開番号】WO2009/078929
【国際公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【出願人】(397068274)コーニング インコーポレイテッド (1,222)
【Fターム(参考)】