説明

携帯型冷風機

【課題】 構造を簡略化して小型化、軽量化を図り、可搬性に優れたものとするとともにコストの低減化を図り、更には、熱交換効率が高く、ウエットな冷風を得ることを可能にした携帯型冷風機を提供する。
【解決手段】 内部を冷却媒体収容室2とする断熱容器3と、前記断熱容器3に支持されて前記冷却媒体収容室2内に空気を送り込むブロア4と、前記断熱容器2に支持されて前記ブロア4に給電する電源部5と、前記ブロア4により冷却媒体収容室2に送り込まれ前記冷却媒体収容室2に収容されている冷却媒体6に触れて冷却された空気を冷風としてを外部に吹き出す吹き出し口7とを備えた構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、冷房装置の無い或いは冷房装置を設置できない高温の環境での使用に好適な携帯型冷風機に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、ボイラー室、鋳物工場等の高温環境で且つ冷房装置の設置が困難な或いは冷房装置が設置されていない作業空間や夏の屋外作業場での作業や、また、夏の屋外スポーツ観戦等で、容易に涼を得られれば、高温環境下での作業が楽になり、また、スポーツ観戦等も楽しいものとなる。
【0003】
このような要求に応えたものとして、搬送可能な携帯型の冷風機が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。この携帯型冷風機は、筐体内に断熱容器、ブロア、電源部を収容し、断熱容器内には冷却媒体とブロアの吹き出す空気を該冷却媒体の中に通して熱交換する熱交換パイプとを収容し、この熱交換パイプに送風通路を接続し、この送風通路の出口を筐体に開口させた構造になっている。そして、電源部のスイッチをオンにすることにより、ブロアから空気が熱交換パイプ内に送り込まれ、送り込まれた空気は熱交換パイプを介して断熱容器内の冷却媒体と熱交換して冷却され、送風通路の出口から冷風となって吹き出すようになっている。
【特許文献1】特開平6−341662号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記のような構造を有する携帯型冷風機によれば、筐体の他に断熱容器を必要とし、断熱容器内の冷却媒体中に熱交換パイプを収容しているので、小型化、軽量化が難しく、可搬性に劣るといったことに加え、構造が複雑化してコスト高になるといった問題があった。また、ブロアにより熱交換パイプに送り込まれた空気に湿気が含まれている場合、この空気が熱交換パイプを介して冷却媒体で冷却されたとき、空気中の湿気が結露して熱交換パイプ内壁面に水滴となって付着し、熱交換パイプ内に水溜まりを生じてしまう場合があるといった問題があった。また、熱交換パイプで熱交換するタイプなので、得られる冷風は常にドライとなり、特に涼感に優れるウエットな冷風は得られないといった問題があった。また、筐体に送風通路の出口が設けられただけの構造なので、使い方によっては、全体を動かさないと、所望の位置に冷風がこないといった問題があった。
【0005】
本発明の目的は、構造を簡略化して小型化、軽量化を図り、可搬性に優れたものとするとともにコストの低減化を図り、更には、熱交換効率が高く、ウエットな冷風を得ることを可能にした携帯型冷風機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、請求項1に記載の携帯型冷風機は、内部を冷却媒体収容室とする断熱容器と、前記断熱容器に支持されて前記冷却媒体収容室内に空気を送り込むブロアと、前記断熱容器に支持されて前記ブロアに給電する電源部と、前記ブロアにより冷却媒体収容室に送り込まれ前記冷却媒体収容室に収容されている冷却媒体に触れて冷却された空気を冷風としてを外部に吹き出す吹き出し口とを備えてなることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の携帯型冷風機は、請求項1に記載の、前記断熱容器が断熱容器本体と該断熱容器本体の開口部を閉塞する断熱蓋とからなり、前記断熱蓋に前記ブロアと前記電源部と前記吹き出し口とが設けられていることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の携帯型冷風機は、請求項1または2に記載の、前記吹き出し口には前記冷風の吹き出す向きが変えられるフレキシブルホースが接続されていることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の携帯型冷風機は、請求項1,2または3に記載の、前記電源部が充電式電池を備えていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、下記のような優れた効果を得ることができる。
請求項1に記載の携帯型冷風機によれば、断熱容器の内部となる冷却媒体収容室にブロアで空気を送り込み、この空気を冷却媒体に触れさせて冷風を得る構造であるので、熱交換パイプ等が不要になり従来に比べて構造が簡略化されることになり、小型化、軽量化が図れ携帯に便利なものとなり、また、コストの低減化を図ることができる。また、ブロアから断熱容器の内部となる冷却媒体収容室に送り込まれた空気は、前記冷却媒体収容室に収容されている冷却媒体に触れ冷却されるので、熱交換パイプ等を介しての熱交換に比べ遙かに効率よく空気と冷却媒体との熱交換を行うことができる。
【0011】
また、ブロアにより冷却媒体収容室に送り込まれた空気に湿気が含まれており、この空気が冷却媒体収容室内の冷却媒体で冷却され空気中の湿気が結露した場合、どこで結露しても水滴は冷却媒体収容室内で受けられるので、問題になることはない。
【0012】
そしてまた、前記冷却媒体として氷を用いると、冷却媒体収容室に送り込まれた空気で氷が融け、湿気を多く含んだ冷風となって吹き出し口から吹き出すので、心地よい涼感を得ることができる。
【0013】
請求項2に記載の携帯型冷風機によれば、請求項1に記載の、前記断熱容器が断熱容器本体と該断熱容器本体の開口部を閉塞する断熱蓋とからなり、前記断熱蓋に前記ブロアと前記電源部と前記吹き出し口とが設けられているので、断熱蓋とブロアと電源部と吹き出し口とが一括して扱え、断熱容器本体への断熱蓋の取り付け取り外しが容易となり、使い勝手がよい。
【0014】
請求項3に記載の携帯型冷風機によれば、請求項1または2に記載の、前記吹き出し口には前記冷風の吹き出す向きが変えられるフレキシブルホースが接続されているので、フレキシブルホースの向きを変えることにより、冷風を所要なところに吹き出すことができる。
【0015】
請求項4に記載の携帯型冷風機によれば、請求項1,2または3に記載の、前記電源部が充電式電池を備えているので、繰り返し充電して使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の携帯型冷風機を実施するための最良の形態を図1及び図2を参照して詳細に説明する。図1は本例の携帯型冷風機の縦断面図、図2は本例の携帯型冷風機を携帯している状態の説明図である。
【0017】
本例の携帯型冷風機1は、内部を冷却媒体収容室2とする断熱容器3と、前記断熱容器3に支持されて前記冷却媒体収容室2内に空気を送り込むブロア4と、前記断熱容器3に支持されて前記ブロア4に給電する電源部5と、前記ブロア4により冷却媒体収容室2に送り込まれ前記冷却媒体収容室2に収容されている冷却媒体6に触れて冷却された空気を冷風として外部に吹き出す吹き出し口7とを備えている。
【0018】
前記断熱容器3にあっては、冷却媒体収容室2を構成する断熱容器本体8と該断熱容器本体8の開口部を閉塞する断熱蓋9とで構成されている。前記断熱容器本体8と断熱蓋9は、いずれも二重構造となっており、内部に発泡プラスチックやグラスファイバー等の断熱材が収容された構造となっている。前記二重構造となる断熱容器本体8と断熱蓋9の外壁と内壁(図示せず)は、外壁と内壁を金属製とする、外壁を金属製、内壁をプラスチック製とする、外壁と内壁をプラスチック製とする等、種々の構成が考えられる。
【0019】
また、前記断熱容器本体8内、即ち冷却媒体収容室2に収容する冷却媒体6としては、氷、ドライアイス、保冷剤等が使用される。
【0020】
前記断熱容器本体8とともに断熱容器3を構成する断熱蓋9には、前記冷却媒体収容室2内に空気を送り込むブロア4と、このブロア4に給電する電源部5と、吹き出し口7を一体として設けている。
【0021】
前記ブロア4にあっては、風量の調整ができるタイプが好ましい。ブロア4から吹き出す空気は、送風通路10を経て冷却媒体収容室2に送り込まれるようになっている。
【0022】
前記電源部5は、充電式乾電池5aの出力電圧を変圧器等の電圧変換部5bで昇圧してブロア4に与えるタイプが好ましい。本例では、電源部5として充電式乾電池5aを使用しているが、商用電源を用いることができるようにしてもよい。
【0023】
前記吹き出し口7には,冷風を吹き出す向きを変えられるフレキシブルホース11が接続されている。また、本例では携帯に便利なように、断熱容器本体8には、図2に示すように取っ手12が設けられている。
【0024】
このように構成された携帯型冷風機1によれば、電源部5のスイッチをオンにすると、ブロア4が駆動して空気を送風通路10から冷却媒体収容室2に送り込む。冷却媒体収容室2に送り込まれた空気は、冷却媒体収容室2に収容されている冷却媒体6に触れて冷却され、冷風となってフレキシブルホース11から吹き出される。このようにして冷風が吹き出されるフレキシブルホース11を人に向けることにより、涼を取ることができる。
【0025】
このとき、冷却媒体6として氷を用いると、冷却媒体収容室2に送り込まれた空気で氷が融け、湿気を多く含んだ冷風となって吹き出し口から吹き出すので、フレキシブルホース11から吹き出された冷風を浴びた者は、心地よい涼感を得ることができる。また、前記氷以外でも、冷却媒体6として保冷剤を用い、保冷剤と水とを冷却媒体収容室2に収容することにより湿気を多く含んだ冷風を得ることができる。
【0026】
また、前記吹き出し口7から吹き出される冷風は、フレキシブルホース11の向きを変えることにより、吹き出し方向を冷風を望む方向に変更することができる。
【0027】
また、本例の携帯型冷風機1は、断熱容器3の内部となる冷却媒体収容室2にブロア4で空気を送り込み、この空気を冷却媒体6に触れさせて冷風を得る構造であるので、熱交換パイプ等が不要になり従来に比べて構造が簡略化されることになり、小型化、軽量化が図れ携帯に便利なものとなり、また、コストの低減化を図ることができる。また、ブロア4から冷却媒体収容室2に送り込まれた空気は直接冷却媒体6に触れ冷却されるので、熱交換パイプ等を介しての熱交換に比べ遙かに効率よく空気と冷却媒体6との熱交換を行うことができる。
【0028】
また、ブロア4により冷却媒体収容室2に送り込まれた空気に湿気が含まれており、この空気が冷却媒体収容室2の冷却媒体6で冷却され空気中の湿気が結露した場合、どこで結露しても水滴は冷却媒体収容室2内で受けられるので、問題になることはない。
【0029】
また、本例の携帯型冷風機1は、前記断熱容器3が断熱容器本体8と該断熱容器本体8の開口部を閉塞する断熱蓋9とからなり、前記断熱蓋9に前記ブロア4と前記電源部5と前記吹き出し口7とが設けられているので、断熱蓋9とブロア4と電源部5と吹き出し口7とが一括して扱え、断熱容器本体8への断熱蓋9の取り付け取り外しが容易となり、使い勝手がよい。また、本例では、前記電源部5が充電式電池を備えているので、繰り返し充電して使用することができ便利である。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る携帯型冷風機の一例を示す縦断面図である。
【図2】本例の携帯型冷風機を携帯している状態の説明図である。
【符号の説明】
【0031】
1 携帯型冷風機
2 冷却媒体収容室
3 断熱容器
4 ブロア
5 電源部
5a 充電式乾電池
5b 電圧変換部
6 冷却媒体
7 吹き出し口
8 断熱容器本体
9 断熱蓋
7 ブロア
10 送風通路
11 フレキシブルホース
12 取っ手

【特許請求の範囲】
【請求項1】
内部を冷却媒体収容室とする断熱容器と、前記断熱容器に支持されて前記冷却媒体収容室内に空気を送り込むブロアと、前記断熱容器に支持されて前記ブロアに給電する電源部と、前記ブロアにより冷却媒体収容室に送り込まれ前記冷却媒体収容室に収容されている冷却媒体に触れて冷却された空気を冷風としてを外部に吹き出す吹き出し口とを備えてなることを特徴とする携帯型冷風機。
【請求項2】
前記断熱容器は断熱容器本体と該断熱容器本体の開口部を閉塞する断熱蓋とからなり、前記断熱蓋に前記ブロアと前記電源部と前記吹き出し口とが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の携帯型冷風機。
【請求項3】
前記吹き出し口には前記冷風の吹き出す向きが変えられるフレキシブルホースが接続されていることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯型冷風機。
【請求項4】
前記電源部は充電式電池を備えていることを特徴とする請求項1,2または3に記載の携帯型冷風機。

【図1】
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【図2】
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