説明

携帯情報端末およびその制御方法

【課題】携帯情報端末において、表示部の状態が変更された場合の表示内容を適切に変更する。
【解決手段】メイン表示部が縦長状態から横長状態へと変更された場合、メイン表示部に表示するために抽出される表示領域は、その左上端の点(点P1)が共通するよう変更される。つまり、変更前の表示領域111と変更後の表示領域112とでは、仮想画面上で、表示領域111の左上端の点と表示領域112の左上端の点とが一致する。また、メイン表示部が横長状態から縦長状態へと変更された場合、メイン表示部に表示するために抽出される表示領域は、その左上端の点(点P2)が共通するよう変更される。つまり、変更前の表示領域111と変更後の表示領域112とでは、仮想画面上で、表示領域111の左上端の点と表示領域112の左上端の点とが一致する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯情報端末およびその制御方法に関し、特に、表示手段の状態の変更に応じて当該表示手段における表示内容を変更する携帯情報端末およびその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機等の携帯情報端末において、表示部を設けられた筐体を回転させることなどにより、当該表示部の状態が、縦長から横長へ、または、横長から縦長へ変更されるものがあった。
【0003】
このような携帯情報端末に関し、たとえば特許文献1には、表示部の縦長状態および横長状態における表示態様について開示がなされている。この内容を、図25を参照して説明する。
【0004】
図25を参照して、(A)に示される横長の画像900が携帯情報端末の表示部で表示される場合、(B)に示されるように、筐体901に設けられた表示部902が縦長状態にあるときには、画像900は、表示部902の横方向の寸法に合うように縮小されて表示されるか、または、(C)に示されるように、そのままのサイズで、画像900の中心が表示部902の中心と一致するように左右をカットされて表示される。なお、(D)に示されるように、表示部902が横長状態にあるときには、画像900は、表示部902にそのままの状態で表示される。
【0005】
また、従来の携帯情報端末では、図26に示されるように、表示部が縦長状態にあるときに、仮想画面905から縦長状態に対応して縦長の長方形形状を有する領域906にある画像データが切り出されて表示部が画像を表示している場合であって、当該表示部が横長状態へと状態を変更された場合、仮想画面905から切り出される画像データは、領域906から、横長状態に対応した横長の長方形形状を有する領域907へと変更されるものもあった。
【0006】
なお、このような携帯情報端末では、表示部の状態の変更に伴って、仮想画面905から切り出される領域の形状が(縦長から横長に)変更されるとともに、仮想画面905から切り出される領域の基準位置(領域の左上端の座標)が仮想画面905の左上端に一致するように変更される。
【特許文献1】特開2004−356975号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上説明したように、従来の技術では、表示部の状態が変更された場合、たとえば図25(B)や図25(C)に示したように表示部の表示領域全体を有効利用できなくなったり、図26に示したように仮想画面905上の表示対象となる場所が表示部の状態の変更の前後で大きく変化してしまったりしたため、検討を必要とされる種々の課題があった。
【0008】
本発明は係る実情に鑑み考え出されたものであり、その目的は、表示部の状態が変更された場合に、表示部の表示内容を適切に変更することができる携帯情報端末およびその制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明に従った携帯情報端末は、表示手段と、前記表示手段を、第1の状態および前記第1の状態とは異なる第2の状態となるように支持する支持手段と、前記表示手段の状態を検出する検出手段と、仮想画面を生成する生成手段と、前記仮想画面から前記表示手段の表示領域に応じた範囲の画像データを抽出する抽出手段とを含み、前記抽出手段は、前記検出手段が前記表示手段の状態が前記第1の状態と前記第2の状態の一方から他方へ変更されたことを検出した場合に、状態変更前の範囲に基づいて、状態変更後の前記表示手段の表示領域に応じた画像データの抽出範囲を決定することを特徴とする。
【0010】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記抽出手段は、状態変更前の前記表示領域における特定の位置に表示されていた画像データを、状態変更後の前記表示領域における
前記特定の位置に表示させるように、前記抽出範囲を決定することが好ましい。
【0011】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記特定の位置は前記表示領域の左上端であることが好ましい。
【0012】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記特定の位置は前記表示領域の上下方向および左右方向の中央であることが好ましい。
【0013】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記支持手段は、前記表示手段を回転可能に支持し、前記表示手段は、一定の角度回転されることにより、前記第1の状態と前記第2の状態の間で状態を入れ替わり、前記抽出手段は、前記仮想画面から、状態変更前の前記表示領域に対応した範囲の、当該表示領域の所定の位置に表示された画像データの前記仮想画面上の位置を中心として前記一定の角度回転移動後の範囲を、状態変更後の前記表示領域に応じて抽出する画像データの範囲に決定することが好ましい。
【0014】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記所定の位置は、前記表示領域においてフォーカスをあてられて表示されている領域の中心位置であることが好ましい。
【0015】
また、本発明に従った携帯情報端末では、前記抽出手段は、前記所定の位置が前記表示手段の表示領域の上半分の領域に位置する場合には、状態変更前の前記表示領域に対応した範囲を前記一定の角度だけ反時計方向に回転移動させた後の範囲を、状態変更後の前記表示領域に応じて抽出する画像データの範囲に決定し、前記所定の位置が前記表示手段の表示領域の下半分の領域に位置する場合には、状態変更前の前記表示領域に対応した範囲を前記一定の角度だけ時計方向に回転移動させた後の範囲を、状態変更後の前記表示領域に応じて抽出する画像データの範囲に決定することが好ましい。
【0016】
本発明に従った携帯情報端末の制御方法は、表示手段が第1の状態および前記第1の状態とは異なる第2の状態となるように支持されている携帯情報端末の制御方法であって、仮想画面を生成するステップと、前記表示手段の状態を検出するステップと、前記表示手段の状態が前記第1の状態と前記第2の状態の一方から他方へ変更されたことを検出した場合に、状態変更前の前記表示手段の表示領域に対応して前記仮想画面から抽出されていた画像データの範囲に基づいて、状態変更後の前記表示領域に応じて前記仮想画面から抽出する画像データの範囲を決定するステップとを含むことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、仮想画面から表示手段の表示領域に応じた範囲の画像データが抽出されるが、表示手段の状態が変更された場合、変更後の表示領域に応じた画像データの範囲は、状態が変更される前の範囲に基づいて決定される。
【0018】
つまり、表示手段の状態が変更されても、変更後の表示領域に応じた範囲の画像データが抽出されるため、表示領域の一部を無駄にすることなく表示を行なうことができ、また、状態変更後の範囲は、状態変更前の範囲に基づいて決定されることから、変更後の表示対象と変更前の表示対象とを、関連付けさせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、本発明の携帯情報端末の一実施形態である携帯電話機について、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1および図2は、本発明の一実施の形態である携帯電話機の斜視図である。携帯電話機1は、表示筐体2、操作筐体5、および、これらの筐体を連結させるヒンジ部3から主に構成される。そして、図1は、これらの筐体が閉じられた状態を示し、図2は、これらの筐体が展開された状態を示す。
【0021】
図1および図2を参照して、表示筐体2には、折畳んだ状態で操作筐体5に対向する内面に、メイン表示部2aおよび受話用レシーバ8が配置されている。メイン表示部2aは、長方形形状に形成されており、その長手方向が表示筐体2の長手方向と一致するように配置されている。受話用レシーバ8は、表示筐体2におけるヒンジ部3と反対側の端部に配置されている。
【0022】
操作筐体5には、折畳んだ状態で表示筐体2に対向する内面に、多数の操作キー4が配置されている。また、当該内面には、送話用マイクロホン7が配置されている。送話用マイクロホン7は、操作筐体5におけるヒンジ部3と反対側の端部に配置されている。
【0023】
携帯電話機1は、折畳み式であることから、コンパクトに折畳んだ状態で携帯することができるとともに、筐体を展開させた状態では、ユーザがメイン表示部2aの表示を見ながら操作キー4を押下操作することができる。ユーザは、携帯電話機1を図2に示すようにメイン表示部2aを縦長状態として、送話用マイクロホン7に口を近づけるとともに受話用レシーバ8に耳を近づけて、良好に通話を行なうことができる。
【0024】
すなわち、より品質のよい音声を送受信するためには、送話用マイクロホン7に口を近づけるとともに、受話用レシーバ8に耳を近づけるのが好ましく、そのためには、送話用マイクロホン7と受話用レシーバ8の距離をある程度確保する必要がある。携帯電話機1では、送話用マイクロホン7を操作筐体5におけるヒンジ部3と反対側の端部に配置し、受話用レシーバを表示筐体2におけるヒンジ部3と反対側の端部に配置することにより、メイン表示部2aが縦長状態とされたときの送話用マイクロホン7と受話用レシーバ8の距離を確保することができるように構成されている。
【0025】
ヒンジ部3は、操作筐体5に対して回動可能に連結される連結部3aと、表示筐体2の外面に対向して表示筐体2を保持する保持部3bとが一体的に形成された構成を有している。連結部3aは、保持部3bの一端において互いに一定間隔を隔てて突出するように形成された2つの円筒体からなる。操作筐体5の内面における長手方向の一端部には、短手方向に延びるように円筒体6が形成されており、この円筒体6が2つの連結部3aの間に同一軸線上に配置され、互いに回転可能に取付けられることにより、ヒンジ部3が操作筐体5に対して回動可能に連結されている。
【0026】
保持部3bは、矩形の板状に形成され、メイン表示部2aを縦長状態としたときに、表示筐体2の外面におけるヒンジ部3側の半分程度に対向する。保持部3bは、表示筐体2をメイン表示部2aに水平な面内で回転可能に保持しており、表示筐体2は、操作筐体5に対する傾斜角度を保った状態で回転できるようになっている。保持部3bの表示筐体2と反対側の外面には、主に筐体を閉じた状態で表示を行なうためのサブ表示部11が配置されている。
【0027】
図3および図4は、図2の携帯電話機1の表示筐体2を操作筐体5に対して図2に示された状態から回転させた状態を示した斜視図である。なお、図3では、図2に示された状態から時計回りに約45°回転させた状態が示され、図4では、図2に示された状態から時計回りに90°回転させた状態が示されている。ユーザは、操作筐体5を把持した状態で、表示筐体2をメイン表示部2aに水平な面内において90°の角度範囲内で回転させることにより、表示筐体2を回転させることができる。なお、本明細書では、図2に示されたメイン表示部2aの状態を縦長状態(メイン表示部2aの長手方向がほぼ鉛直方向に沿う状態)と言い、図4に示されたメイン表示部2aの状態を横長状態(メイン表示部2aの長手方向がほぼ水平方向に沿う状態)と言う。
【0028】
携帯電話機1では、テレビ放送を視聴することができるようになっており、図2に示す状態から表示筐体2を回転させ、図3の状態を経て、図4に示すようにメイン表示部2aを横長状態とすることにより、テレビ画像のアスペクト比に合致した横長状態のメイン表示部2aにテレビ画像を良好に表示させることができる。メイン表示部2aは、長辺と短辺の比が16:9となる長方形形状に形成されており、この比は、一般的なテレビ放送に用いられるテレビ画像のアスペクト比と一致している。
【0029】
図2の状態から表示筐体2を時計回りに回転させる場合、図3に示した状態となるまでは、ヒンジ部3の保持部3b内に備えられた付勢手段により、表示筐体2に対して反時計回りに付勢力が左右するようになっている。したがって、図2に示された状態では、表示筐体2に対して反時計回りに作用する付勢力によって、外力が作用しない限り表示筐体2が図2に示された状態のまま維持されるようになっている。
【0030】
一方、図3に示された状態を超えて表示筐体2がさらに時計回りに回転させられると、表示筐体2に作用する付勢力が時計回りに切換わり、図4に示された状態で表示筐体2が掛かり留めされる。これにより、外力が作用しない限り表示筐体2が図4に示された状態のまま維持されるようになっている。
【0031】
本実施の形態では、携帯電話機1は、表示筐体2が、一定位置に固定された回転軸を中
心に回転するのではなく、表示筐体2の回転に伴って移動する回転軸を中心に回転するように構成されている。これにより、図2に示されるように長手方向の一端部が操作筐体5に近接した縦長の表示筐体2を90°回転させても、図4に示されるように表示筐体2の短手方向の一端部が操作筐体5に近接し、コンパクトに横長状態とされメイン表示部2aにテレビ画面を表示させてテレビ放送を視聴することができるようになっている。
【0032】
また、操作筐体5を把持した状態のまま表示筐体2を縦長状態から横長状態に回転させることにより、携帯電話機1を持ち替えることなくテレビ放送を視聴することができる。このとき、表示筐体2に作用する付勢力により、表示筐体2を縦長状態と横長状態との間でスムーズに切換えることができるようになっている。
【0033】
図5〜図7は、図2〜図4の状態における携帯電話機1の背面図であり、それぞれ保持部3b内の構造を透視した状態で示されている。また、図8〜図10は、図2〜図4の状態におけるヒンジ部3の正面図である。図5および図8は、図2に示された縦長状態に対応し、図6および図9は、表示筐体2を約45°回転させた図3の状態に対応し、図7および図10は、図4に示された横長状態に対応している。
【0034】
図5〜図10をさらに参照して、保持部3b内には、矩形形状の保持板16が配置されており、この保持板16に表示筐体2が回転可能に保持されている。保持板16には、横方向に円弧状に延びる円弧孔12と、縦方向に直線方向に延びる直線孔14とが形成されている。円弧孔12の中央部の頂点は、直線孔14の一端部に近接しており、この頂点における法線方向に直線孔14が延びている。
【0035】
円弧孔12および直線孔14には、それぞれ表示筐体2の背面側に形成された摺動軸13および回転軸15が回転可能に係合している。摺動軸13および回転軸15は、表示筐体2の背面に固定された軸保持部材18に一体的に形成されており、それぞれ表示筐体2の中心に対してずれた位置に互いに一定間隔を隔てて配置されている。この軸保持部材18は、保持部3bの前面に形成された開口3dを介して保持部3b内の保持板16に係合している。
【0036】
軸保持部材18は、付勢手段としてのばねの一例である捩りコイルばね20を介して、保持板16に固定されている。捩りコイルばね20は、その一端部が軸保持部材18の摺動軸13に結合されるとともに、他端部が保持板16に形成された取付軸19に結合されている。取付軸19は、円弧孔12の頂点に対する法線上に回転可能に配置されている。表示筐体2には、ヒンジ部3側から延びるフレキシブル基板21の端部が回転軸15の近傍において取付けられており、このフレキシブル基板21を介して、表示筐体2と操作筐体5とが電気的に接続されている。
【0037】
図5および図8に示された縦長状態では、回転軸15が直線孔14の下端に当接し、摺動軸13が円弧孔12の一端に当接している。この状態では、捩りコイルばね20により摺動軸13が円弧孔12の一端側に付勢されており、外力が作用しない限り表示筐体2がこの状態のまま維持されるようになっている。
【0038】
この状態から表示筐体2をヒンジ部3に対して回転させると、回転軸15が直線孔14に沿って上方へ移動するとともに、摺動軸13が円弧孔12に沿って他端側へ移動する。このとき、捩りコイルばね20も取付軸19を中心に回転し、その一端部と他端部とが互いに近接するように縮められる。そして、図6および図9に示すように表示筐体2が約45°回転された状態では、回転軸15が直線孔14の上端に当接し、摺動軸13が円弧孔12の頂点に到達する。
【0039】
この状態では、捩りコイルばね20の一端部と他端部とが最も近接した状態となり、さらに表示筐体2が回転されると、摺動軸13および取付軸19の左右の位置が逆転し、捩りコイルばね20の一端部と他端部とが再び離れていく。したがって、表示筐体2は、図6および図9に示された回転位置を超えて回転されると、その後は捩りコイルばね20の付勢力によってさらに回転され、図7および図10に示されるような横長状態となる。
【0040】
表示筐体2が横長状態のときには、回転軸15が直線孔14の下端に当接し、摺動軸13が円弧孔12の他端に当接している。この状態では捩りコイルばね20により摺動軸13が円弧孔12の他端側に付勢されており、外力が作用しない限り表示筐体2がこの状態
のまま維持されるようになっている。
【0041】
図11は、携帯電話機1の電気的構成を模式的に示すブロック図である。携帯電話機1は、上述したメイン表示部2a、サブ表示部11、受話用レシーバ8、送話用マイクロホン7、および、操作キー4に加えて、スピーカ9、外部入出力端子10、通信部23、テレビ放送受信部24、回転位置検知部25、および、メモリ27を備えており、これらの動作は、プロセッサからなる制御部30により制御される。
【0042】
スピーカ9は、受話用レシーバ8から出力される場合よりも音声を増幅して出力することにより、表示筐体2から耳を離した状態で音声を聞くことができるようにするためのものである。また、外部出力端子10にイヤホンマイクなどの外部入出力装置26を接続すれば、その外部入出力装置26を介して音声を入出力することができる。
【0043】
受話用レシーバ8は、表示筐体2の内面にユーザが耳を当てた状態で使用されるのに対して、スピーカ9および外部入出力端子10は、表示筐体2の内面からユーザが耳を離した状態で使用される。したがって、メイン表示部2aに対するテレビ画像などの表示は、スピーカ9や外部入出力端子10を使用しているときには見ることができるが、受話用レシーバ8を使用しているときには見ることができない。
【0044】
スピーカ9を用いて相手方電話機との間で通話を行なう場合には、相手側電話機からの音声が増幅されてスピーカ9から出力されるとともに、送話用マイクロホン7からの入力信号が増幅されることにより、ユーザは、携帯電話機1を把持することなく、いわゆるハンズフリーで通話を行なうことができる。このとき、送話用マイクロホンからの入力信号は、ハウリングを防止するためのキャンセル回路に入力されるようになっている。受話用レシーバ8による通常の通話とハンズフリーによる通話との切換は、操作キー4の操作により行なうことができる。
【0045】
外部入出力端子10は、外部入出力装置26の接続端子を着脱できるように構成されており、接続端子の着脱に基づいて、受話用レシーバ8による通常の通話と外部入出力装置26による通話とが切換えられるようになっている。すなわち、外部入出力装置26の接続端子を外部入出力端子10に取付けることにより、通常の通話から外部入出力装置26による通話に切換えることができ、外部入出力装置26の接続端子を外部入出力端子10から取外すことにより、受話用レシーバ8による通常の通話に戻すことができる。
【0046】
通話部23は、通信用アンテナ23aを介して基地局との間で電波の送受信を行なうことにより、通話音や電子メールの送受信を行なっている。相手方電話機との間で通話状態が確立された状態では、ユーザの通話音に基づく音声信号が通信部23から送信され、相手方電話機からの通話音に基づく音声信号が通信部23で受信されることにより、通話音がリアルタイムで送受信される。
【0047】
電子メールを送受信する際には、電子メールの本文の内容である文字情報の他に、その電子メールの件名を表わす文字情報や送信元のメールアドレスなどの情報が、通信部23において送受信される。すなわち、電子メールを送信する際には、この携帯電話機1のユーザが操作部4の操作により作成した電子メールの本文および件名の文字情報、ならびに、ユーザ側のメールアドレスなどのメール情報が、相手方の電話機やパーソナルコンピュータ(以下、これらの電子メールを送受信可能な相手方の通信端末を総称して「相手方通信端末」と呼ぶ)に送信される。一方、電子メールを受信する際には、相手方通信端末において作成された電子メールの本文および件名の文字情報、ならびに、相手方通信端末のメールアドレスなどのメール情報が受信される。
【0048】
テレビ放送受信部24は、テレビ放送受信用アンテナ24aを介して、テレビ局から発信されているテレビ放送波を受信するためのものである。テレビ局から発信されているテレビ放送波には、アナログ放送に対応したアナログ放送波と、デジタル放送に対応したデジタル放送波とが含まれる。このテレビ放送受信部24が受信するデジタル放送波は、一般のデジタルハイビジョン放送波の一定帯域に割当てられた携帯電話機向けの1セグメント放送波であり、テレビ画像およびテレビ音声に加えて、そのテレビ画像に対応する字幕や関連する記事などの文字情報が含まれている。
【0049】
テレビ放送受信部24で受信したテレビ放送波に基づいて、メイン表示部2aにテレビ
画像を表示するとともに、そのテレビ画像に対応するテレビ音声をスピーカ9または外部入出力端子10から出力することにより、テレビ放送を視聴することができる。また、テレビ放送波に含まれる文字情報を抽出してメイン表示部2aに表示させることにより、テレビ画像とともに字幕などの文字情報を表示させることができる。
【0050】
回転位置検知部25は、たとえば機械的または電気的なスイッチにより構成され、表示筐体2の回転位置を検知する。この回転位置検知部25は、ユーザによる表示筐体2の回転操作を検出する回転操作検出手段である。
【0051】
図12は、携帯電話機1の制御ブロック図である。
図12を参照して、携帯電話機1は、入力処理部51、縦横検出器52、表示領域設定部53、表示領域情報記憶部54、仮想画面情報記憶部55、表示領域描画処理部56、通信制御部57、コンテンツキャッシュ58、構文解析部59、フレームバッファ60、および、表示ドライバ部61を含む。
【0052】
入力処理部51は、操作キー4に対してなされた操作に対応する情報を表示領域設定部53に通知する。なお、携帯電話機1には操作キー4を構成するキーの他に、バーやトラックボール、タッチパネルなどの他の入力手段が備えられていてもよく、そして、入力処理部51は、これらの入力手段に対する操作内容に対応した情報を表示領域設定部53に通知するよう構成される。
【0053】
縦横検出器52は、回転位置検知部25の出力に基づいて、メイン表示部2aが、上記した縦長状態であるか横長状態であるかを検出し、表示領域設定部53および表示ドライバ部61に通知する。
【0054】
表示領域設定部53は、仮想画面情報記憶部55から仮想画面の解像度を取出し、また、表示領域情報記憶部54から現在表示している表示領域の基準位置や解像度、ポインタの位置情報を取出し、これらに基づいて、メイン表示部2aに仮想画面上のどの領域を表示させるか(どういう領域を表示用に抽出するか)を制御する。また、表示領域設定部53は、メイン表示部2aに表示させる仮想画面中の領域を変更した場合、変更後の表示領域の基準座標を表示領域情報記憶部54に格納させる。
【0055】
表示領域情報記憶部54は、現在の表示領域(メイン表示部2aでの表示のために仮想画面からデータを抽出された領域)に関係する情報を格納するメモリから構成される。なお、現在の表示領域に関係する情報とは、たとえば、表示領域の解像度、表示領域の基準座標、および、メイン表示部2a上のフォーカス位置の中心座標、現在の仮想画面の解像度を含む。
【0056】
表示領域描画処理部56は、表示領域設定部53において決定された表示領域に基づいて、コンテンツキャッシュ58のHTML(Hyper Text Markup Language)コンテンツの解析結果を、仮想画面情報記憶部55に格納された解像度の仮想画面に表示する情報として、そのうちの必要な表示領域のデータをフレームバッファ60に格納する。
【0057】
構文解析部59は、コンテンツキャッシュ58に記憶されたコンテンツを解析して、表示領域描画処理部56に渡す。
【0058】
コンテンツキャッシュ58は、ネットワーク100上にあるサーバから取得したコンテンツを格納するキャッシュメモリである。コンテンツキャッシュ58には、制御部30によって仮想画面が展開される。
【0059】
通信制御部57は、ネットワーク100上にあるサーバからコンテンツなどを取得し、コンテンツキャッシュ58に格納する。
【0060】
フレームバッファ60は、表示部(メイン表示部2a,サブ表示部11)に表示する映像データを格納する。なお、本実施の形態では、主にメイン表示部2aにおける表示内容について説明する。
【0061】
表示ドライバ部61は、フレームバッファ60に格納されている映像データを、実際に表示部(メイン表示部2a,サブ表示部11)に表示させる。
【0062】
入力処理部51、縦横検出器52、表示領域設定部53、表示領域描画処理部56、構文解析部59、および、表示ドライバ部61は、制御部30(図11参照)が所定のプログラムを実行することによって構成される。なお、本発明に従った携帯情報端末では、こ
れらの各構成要素のすべてまたは一部が、専用のLSI(Large Scale Integration)などのハードウェアによって構成されてもよい。
【0063】
また、通信制御部57は、通信部23および制御部30から構成される。なお、これらの各構成要素についても、すべてまたは一部が専用のLSIなどのハードウェアによって構成されてもよい。
【0064】
また、携帯電話機1では、表示領域情報記憶部54、および、仮想画面情報記憶部55は、メモリ27から構成される。コンテンツキャッシュ58、および、フレームバッファ60は、たとえば制御部30内の図示せぬメモリによって構成される。
【0065】
図13は、携帯電話機1における仮想画面とメイン表示部2aに表示される画像データとの関係を模式的に示す図である。なお、本実施の形態では、画像データとは、フォントや線や図形や写真や動画などの一般的なディスプレイで表示できる様々なデータを意味している。
【0066】
図13を参照して、仮想画面110は、左右方向(横方向)にWの寸法を有し、上下方向(縦方向)にHの寸法を有する。なお、図13では、横方向をx方向とし縦方向をy方向としたx−y平面が定義されており、仮想画面110の左上端が原点(座標(0,0))とされ、右下端の点が座標(W,H)とされている。
【0067】
メイン表示部2aに表示される画像データは、仮想画面110の中から、表示領域描画処理部56によって適宜抽出される。図13では、縦長状態に対応した表示領域111が実線で示されている。表示領域111は、その左上端の点が座標(Xa,Ya)とされ、また、横方向にW0の寸法を有し、縦方向にH0の寸法を有する。
【0068】
本実施の形態では、メイン表示部2aの状態が、縦長状態と横長状態との間で変更された場合、仮想画面110からメイン表示部2aに表示するために抽出される領域のサイズおよび位置も変更される。
【0069】
以下、本明細書では、状態を変更される前のメイン表示部2aに対応した表示領域を表示領域111とし、状態を変更された後のメイン表示部2aに対応する表示領域を表示領域112とする。
【0070】
図13では、変更前の表示領域111は、メイン表示部2aの縦長状態に対応しており、また、状態を変更された後の表示領域112は、横長状態のメイン表示部2aに対応している。
【0071】
表示領域112は、横方向にXBの寸法を有し、縦方向にYBの寸法を有しており、その左上端の座標を(Xb,Yb)としている。
【0072】
以下、本明細書では、図13に示されるように、表示領域111,112の寸法について、縦長状態にある場合には、縦方向の寸法をH0とし、横方向の寸法をW0とする。また、横長状態にある場合には、縦方向の寸法をH1とし、横方向の寸法をW1とする。また、本明細書では、各図を参照しながら座標について言及する場合、右方向をx軸の正方向とし、また、下方向をy軸の正方向とする。
【0073】
図14〜図18は、表示筐体2が回転されたことにより、メイン表示部2aの状態が変化したことに応じて当該表示部における表示内容を変更するために実行される処理のフローチャートである。
【0074】
まず図14を参照して、縦横検出器52によって表示筐体2の回転(縦長→横長、または、横長→縦長の状態の変更)が検出されると、制御部30は、ステップS10において、回転の方向を検出する。そして、回転の方向が横長状態から縦長状態へと回転されたものであると判断すると、ステップS100へ処理を進め、縦長状態から横長状態への回転であると判断すると、ステップS20へ処理を進める。
【0075】
ステップS20では、制御部30は、表示領域情報記憶部54に記憶させる表示領域の解像度を横×縦=W1×H1に変更して、ステップS21へ処理を進める。一方、ステップS100では、制御部30は、表示領域情報記憶部54に記憶させる表示領域の解像度を、横×縦=X×Yに変更して、ステップS101へ処理を進める。以上、ステップS20およびステップS100の処理により、表示領域情報記憶部54に記憶される解像度が、状態を変更された後のメイン表示部2aに合致したものに更新される。
【0076】
制御部30は、ステップS21およびステップS101では、それぞれ、回転後表示領域の基準座標設定処理を実行する。当該処理のサブルーチンのフローチャートを図15に示す。
【0077】
図15を参照して、回転後表示領域の基準座標設定処理では、ステップS21Aとして、制御部30は、表示領域設定部53において、変更後の表示領域の基準座標((Xb,Yb))として(Xa,Ya)を設定する。
【0078】
再度図14を参照して、制御部30は、ステップS21の後ステップS22へ処理を進め、また、ステップS101の後ステップS102へそれぞれ処理を進める。なお、本明細書では、表示領域の基準座標とは、表示領域の左上端の座標を言う。つまり、ステップS21およびステップS101の処理により、Xb=Xa,Yb=Yaとされる。
【0079】
ステップS22では、制御部30は、変更後の表示領域の基準座標のx成分であるXbについて「0≦Xb」の関係にあるか否かを判断し、そのような関係にあると判断すればステップS24へ処理を進め、そのような関係にはないと判断するとステップS23へ処理を進める。なお、「0≦Xb」が満たされる場合とは、表示領域112の左端が仮想画面110内に位置することを意味する。
【0080】
ステップS23では、矩形(変更後の表示領域に対応して抽出する長方形形状)が、仮想画面110内に入るように、基準座標の「Xb=0」とx成分を修正して、ステップS24へ処理を進める。この修正により、変更後の表示領域に対応して抽出される長方形形状の左端が仮想画面110の左端と一致するように、基準座標のx成分が修正される。
【0081】
ステップS24では、制御部30は、変更後の表示領域の基準座標のx成分であるXbについて「Xb+W1≦W」の関係にあるか否かを判断し、そのような関係にあると判断すればステップS40へ処理を進め、そのような関係にはないと判断するとステップS25へ処理を進める。なお、「Xb+W1」とは、基準座標のx成分がXbとされたときの表示領域112の右端のx方向の位置である。そして、「Xb+W1≦W」が満たされる場合とは、表示領域112の右端が仮想画面110内に位置することを意味する。
【0082】
ステップS25では、制御部30は、矩形(変更後の表示領域に対応して抽出する長方形形状)が、仮想画面110内に入るように、基準座標のx成分を修正して、ステップS40へ処理を進める。なお、この場合の修正とは、次の式(1)に示すものである。
【0083】
Xb=W−H0…(1)
この修正により、変更後の表示領域に対応して抽出される長方形形状の右端が仮想画面110の右端と一致するように、基準座標のx成分が修正される。
【0084】
図16を参照して、ステップS40では、制御部30は、変更後の表示領域の基準座標のy成分であるYbについて「0≦Yb」の関係にあるか否かを判断し、このような関係にあると判断するとステップS60へ処理を進め、このような関係にはないと判断すると、ステップS50へ処理を進める。なお、「0≦Yb」が満たされる場合とは、表示領域112の上端が仮想画面110内に位置することを意味する。
【0085】
ステップS50では、制御部30は、矩形(変更後の表示領域の長方形形状)が仮想画面110内に入るように基準座標のy成分を「Yb=0」と修正して、ステップS60へ処理を進める。この補正により、変更後の表示領域に対応して抽出される長方形形状の下端が仮想画面110の上端と一致するように、基準座標のy成分が修正される。
【0086】
ステップS60では、制御部30は、変更後の表示領域の基準座標のy成分であるYbについて「Yb+H1≦H」の関係にあるか否かを判断し、このような関係にあると判断するとステップS80へ処理を進め、このような関係にはないと判断すると、ステップS70へ処理を進める。なお、「Yb+H1」とは、基準座標のy成分がYbとされたときの表示領域112の下端のy方向の位置である。そして、「Yb+H1≦H」が満たされる場合とは、表示領域112の下端が仮想画面110内に位置することを意味する。
【0087】
ステップS70では、矩形(変更後の表示領域の長方形形状)が仮想画面110内に入るように基準座標のy成分を修正して、ステップS80へ処理を進める。なお、ここで、基準座標のy成分の修正は、以下の式(2)によるものである。
【0088】
Yb=H−W0…(2)
この補正により、変更後の表示領域に対応して抽出される長方形形状の下端が仮想画面110の下端と一致するように、基準座標のy成分が修正される。
【0089】
ステップS80では、基準座標に基づいて仮想画面上に設定される表示領域の映像を描画処理して、ステップS90へ処理を進める。
【0090】
ステップS90では、制御部30は、描画する映像をメイン表示部2aに転送して、処理を終了する。
【0091】
図17を参照して、制御部30は、ステップS102では、制御部30は、変更後の表示領域の基準座標のx成分であるXbについて「0≦Xb」の関係にあるか否かを判断し、そのような関係にあると判断すればステップS104へ処理を進め、そのような関係にはないと判断するとステップS103へ処理を進める。なお、「0≦Xb」が満たされる場合とは、表示領域112の左端が仮想画面110内に位置することを意味する。
【0092】
ステップS103では、矩形(変更後の表示領域に対応して抽出する長方形形状)が、仮想画面110内に入るように、基準座標の「Xb=0」とx成分を修正して、ステップS104へ処理を進める。この修正により、変更後の表示領域に対応して抽出される長方形形状の左端が仮想画面110の左端と一致するように、基準座標のx成分が修正される。
【0093】
ステップS104では、制御部30は、変更後の表示領域の基準座標のx成分であるXbについて「Xb+W0≦W」の関係にあるか否かを判断し、そのような関係にあると判断すればステップS120へ処理を進め、そのような関係にはないと判断するとステップS105へ処理を進める。なお、「Xb+W0」とは、基準座標のx成分がXbとされたときの表示領域112の右端のx方向の位置である。そして、「Xb+W0≦W」が満たされる場合とは、表示領域112の右端が仮想画面110内に位置することを意味する。
【0094】
ステップS105では、制御部30は、矩形(変更後の表示領域に対応して抽出する長方形形状)が、仮想画面110内に入るように、基準座標のx成分を修正して、ステップS120へ処理を進める。なお、この場合の修正とは、次の式(3)に示すものである。
【0095】
Xb=W−H1…(3)
この修正により、変更後の表示領域に対応して抽出される長方形形状の右端が仮想画面110の右端と一致するように、基準座標のx成分が修正される。
【0096】
図18を参照して、ステップS120では、制御部30は、変更後の表示領域の基準座標のx成分であるXbについて「0≦Yb」の関係にあるか否かを判断し、そのような関係にあると判断すればステップS140へ処理を進め、そのような関係にはないと判断するとステップS130へ処理を進める。なお、「0≦Yb」が満たされる場合とは、表示領域112の上端が仮想画面110内に位置することを意味する。
【0097】
ステップS130では、矩形(変更後の表示領域に対応して抽出する長方形形状)が、仮想画面110内に入るように、基準座標のy成分を「Yb=0」と修正して、ステップS60へ処理を進める。この修正により、変更後の表示領域に対応して抽出される長方形形状の右端が仮想画面110の下端と一致するように、基準座標のy成分が修正される。
【0098】
ステップS140では、制御部30は、変更後の表示領域の基準座標のy成分であるYbについて「Yb+H0≦H」の関係にあるか否かを判断し、このような関係にあると判断するとステップS160へ処理を進め、このような関係にはないと判断すると、ステップS150へ処理を進める。なお、「Yb+H0」とは、基準座標のy成分がYbとされたときの表示領域112の下端のy方向の位置である。そして、「Yb+H0≦H」が満たされる場合とは、表示領域112の下端が仮想画面110内に位置することを意味する。
【0099】
ステップS150では、矩形(変更後の表示領域の長方形形状)が仮想画面110内に入るように基準座標のy成分を修正して、ステップS90へ処理を進める。なお、ここで、基準座標のy成分の修正は、以下の式(4)によるものである。
【0100】
Yb=H−W1…(4)
この補正により、変更後の表示領域に対応して抽出される長方形形状の下端が仮想画面110の下端と一致するように、基準座標のy成分が修正される。
【0101】
ステップS160では、基準座標に基づいて仮想画面上に設定される表示領域の映像を描画処理して、ステップS170へ処理を進める。そして、ステップS170では、制御部30は、描画する映像をメイン表示部2aに転送して、処理を終了する。
【0102】
以上説明した本実施の形態によれば、メイン表示部2aが縦長状態から横長状態へと変更された場合には、図19(A)に示されるように、仮想画面110からメイン表示部2aに表示するために抽出される表示領域は、その左上端の点(点P1)が共通するように変更される。このことは、図19(A)において、仮想画面110中の表示領域111の左上端の点と表示領域112の左上端の点とが一致していることによって示されている。
【0103】
また、本実施の形態によれば、メイン表示部2aが横長状態から縦長状態へと変更された場合には、図19(B)に示されるように、仮想画面110からメイン表示部2aに表示するために抽出される表示領域は、その左上端の点(点P2)が共通するように変更される。このことは、図19(B)において、仮想画面110中の表示領域111の左上端の点と表示領域112の左上端の点とが一致していることによって示されている。
【0104】
なお、本発明に従った携帯情報端末では、変更後の表示領域は、少なくとも変更前の表示領域の位置に基づいて決定されればよい。
【0105】
つまり、必ずしも、図19(A)および図19(B)に示されたように左上端の点を共有する必要はない。
【0106】
つまり、たとえば、図20(A)または図20(B)に示されるように、変更後の表示領域は、その中心点(点P3または点P4)が、変更前の表示領域の中心点と共通となるように決定されてもよい。なお、図20(A)は、縦長状態から横長状態への変更に対応した表示領域の変更を示し、図20(B)は、横長状態から縦長状態への変更に対応した表示領域の変更を示している。そして、図20(A)および図20(B)に示されたように変更後の表示領域が決定される場合、図15に示された回転後表示領域の基準座標設定処理は、図21に示される処理に置換される。
【0107】
図21を参照して、ステップS21Bでは、制御部30は、基準座標のx成分(Xb)を、次の式(5)のように設定する。
【0108】
Xb=Xa−(|W1−W0|)/2…(5)
また、ステップS41では、制御部30は、基準座標のy成分(Yb)を、次の式(7)または式(6)のように設定する。
【0109】
Yb=Ya−(|H1−H0|)/2…(6)
また、本発明に従った携帯情報端末では、以上説明したように、変更後の表示領域の左上端の点または中心点のような特定の位置の座標が変更前の表示領域と一致するように設定されなくてもよい。たとえば、図22(A)または図22(B)に示されるように、表示領域111中の点P5または点P6を回転中心として、メイン表示部2aの回転角だけ表示領域111を回転させることによって、表示領域112が決定されてもよい。なお、図21において、点P5および点P6は、たとえば、メイン表示部2aにおいてフォーカスが当たっている領域(図22(A)中の領域111A)の縦方向および横方向の中心点(以下、「フォーカス中心」と呼ぶ)とすることができる。なお、フォーカスが当てられている領域とは、たとえば、メールアドレスやURL(Uniform Resource Locator)が選択されることにより、それらを構成する文字列を含む矩形領域が反転表示されている場合、当該反転表示されている領域を言う。
【0110】
また、このような回転移動によって表示領域112を決定する場合、表示領域111におけるフォーカス中心の位置に応じて、回転方向を変更しても良い。具体的には、フォーカス位置が、図22(A)および図22(B)に示すように表示領域111の上下方向の上半分の領域にある場合には、表示領域111を、これらの図において矢印で示すように反時計方向にメイン表示部2aの回転角だけ回転移動させた領域を、表示領域112とすることが好ましい。図23(A)および図23(B)には、それぞれ、表示領域111におけるフォーカス位置が点P7,点P8で示されている。そして、フォーカス位置が図23(A)および図23(B)に示すように表示領域111の上下方向の下半分の領域にある場合には、表示領域111を、これらの図において矢印で示すように時計方向にメイン
表示部2aの回転角だけ回転移動させた領域を、表示領域112とすることが好ましい。
【0111】
図22(A)および図22(B)ならびに図23(A)および図23(B)に示したように表示領域112を得ることにより、表示領域112が横長状態のときにはフォーカス位置が表示領域112の左半分に位置し、表示領域112が縦長状態のときにはフォーカス位置が表示領域112の上半分に位置するようになる。なお、一般的に、人は左上から文字を読む。つまり、このように表示領域112を得ることにより、ユーザが、メイン表示部2aの状態の変更に伴って表示内容が変更された場合であっても、変更後の表示内容からフォーカス位置を容易に見つけられるようになる。
【0112】
図22および図23に示されたように変更後の表示領域が決定される場合、図15に示された回転後表示領域の基準座標設定処理は、図24(A)および図24(B)に示される処理に置換される。なお、図24(A)に示されたフローチャートは、縦長状態から横長状態に回転される場合、つまり、ステップS21として実行される処理のフローチャートである。また、図24(B)に示されたフローチャートは、横長状態から縦長状態に回転される場合、つまり、ステップS101として実行される処理のフローチャートである。また、以下の説明では、点P5〜点P8として示した回転中心の点の座標を(Xp,Yp)として説明する。また、携帯電話機1では、このような座標(Xp,Yp)は、周知の技術から求められる。
【0113】
図24(A)を参照して、ステップS31Aでは、制御部30は、回転中心の座標のy成分であるYpが以下の式(7)の関係を満たすか否かを判断し、満たすと判断するとステップS32Aへ、満たさないと判断するとステップS33Aへ、それぞれ処理を進める。
【0114】
Yp≦Ya+H0/2…(7)
これにより、回転中心が変更前の表示領域111の上下方向の上半分の領域に位置する場合には、ステップS32Aへ処理が進められ、下半分の領域に位置する場合には、ステップS33Aへ処理が進められる。
【0115】
ステップS32Aでは、制御部30は、変更後の表示領域112のx座標(Xb)を、以下の式(8)に従って算出する。
【0116】
Xb=Xp−(Yp+Y0)…(8)
また、ステップS32Aでは、制御部30は、変更後の表示領域112のy座標(Yb)を、以下の式(9)に従って算出する。
【0117】
Yb=Yp−{(Xa+W0)−Xp}…(9)
一方、ステップS33Aでは、制御部30は、変更後の表示領域112のx座標(Xb)を、以下の式(10)を用いて算出する。
【0118】
Xb=Xp−{(Ya+H0)−Yp}…(10)
また、ステップS33Aでは、制御部30は、変更後の表示領域112のy座標(Yb)を、以下の式(11)を用いて算出する。
【0119】
Yb=Yp−(Xp+Xa)…(11)
一方、図24(B)を参照して、ステップS31Bでは、制御部30は、回転中心の座標のy成分であるYpが以下の式(12)の関係を満たすか否かを判断し、満たすと判断するとステップS32Bへ、満たさないと判断するとステップS33Bへ、それぞれ処理を進める。
【0120】
Yp≦Ya+H1/2…(12)
これにより、回転中心が変更前の表示領域111の上下方向の上半分の領域に位置する場合には、ステップS32Bへ処理が進められ、下半分の領域に位置する場合には、ステップS33Bへ処理が進められる。
【0121】
ステップS32Bでは、制御部30は、変更後の表示領域112のx座標(Xb)を、以下の式(13)に従って算出する。
【0122】
Xb=Xp−(Yp+Y0)…(13)
また、ステップS32Bでは、制御部30は、変更後の表示領域112のy座標(Yb)を、以下の式(14)に従って算出する。
【0123】
Yb=Yp−{(Xa+W1)−Xp}…(14)
一方、ステップS33Bでは、制御部30は、変更後の表示領域112のx座標(Xb)を、以下の式(15)を用いて算出する。
【0124】
Xb=Xp−{(Ya+H1)−Yp}…(15)
また、ステップS33Bでは、制御部30は、変更後の表示領域112のy座標(Yb)を、以下の式(16)を用いて算出する。
【0125】
Yb=Yp−(Xp+X0)…(16)
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【0126】
【図1】本発明の一実施形態である携帯電話機の、閉じられた状態の斜視図である。
【図2】図1の携帯電話機の筐体の展開された状態の斜視図である。
【図3】図2の携帯電話機の表示筐体を、図2に示された状態から時計回りに約45°回転させた状態を示す斜視図である。
【図4】図2の携帯電話機の表示筐体を、図2に示された状態から時計回りに90°回転させた状態を示す斜視図である。
【図5】図2の携帯電話機の背面図である。
【図6】図3の携帯電話機の背面図である。
【図7】図4の携帯電話機の背面図である。
【図8】図2の携帯電話機におけるヒンジ部の正面図である。
【図9】図3の携帯電話機におけるヒンジ部の正面図である。
【図10】図4の携帯電話機におけるヒンジ部の正面図である。
【図11】図1の携帯電話機の電気的構成を模式的に示す図である。
【図12】図1の携帯電話機の制御ブロック図である。
【図13】図1の携帯電話機における仮想画面およびメイン表示部に対応した表示領域を模式的に示す図である。
【図14】図1の携帯電話機においてメイン表示部の状態の変更に応じて当該メイン表示部の表示内容を変更するための処理のフローチャートである。
【図15】図1の携帯電話機においてメイン表示部の状態が変更されたことに応じて当該メイン表示部の表示内容を変更するための処理のフローチャートである。
【図16】図1の携帯電話機においてメイン表示部の状態が変更されたことに応じて当該メイン表示部の表示内容を変更するための処理のフローチャートである。
【図17】図1の携帯電話機においてメイン表示部の状態が変更されたことに応じて当該メイン表示部の表示内容を変更するための処理のフローチャートである。
【図18】図1の携帯電話機においてメイン表示部の状態が変更されたことに応じて当該メイン表示部の表示内容を変更するための処理のフローチャートである。
【図19】図1の携帯電話機におけるメイン表示部の状態の変更に応じた表示領域の変更の態様の一例を示す図である。
【図20】図1の携帯電話機におけるメイン表示部の状態の変更に応じた表示領域の変更の態様の他の例を示す図である。
【図21】図15に示した処理(回転後表示領域の基準座標設定処理)の変形例を示す図である。
【図22】図1の携帯電話機におけるメイン表示部の状態の変更に応じた表示領域の変更の態様のさらに他の例を示す図である。
【図23】図1の携帯電話機におけるメイン表示部の状態の変更に応じた表示領域の変更の態様のさらに他の例を示す図である。
【図24】図15に示した処理(回転後表示領域の基準座標設定処理)の他の変形例を示す図である。
【図25】従来の携帯情報端末における表示部の状態の変更に応じた当該表示部における表示内容の変更態様の一例を説明するための図である。
【図26】従来の携帯情報端末における表示部の状態の変更に応じた当該表示部における表示内容の変更態様の他の例を説明するための図である。
【符号の説明】
【0127】
1 携帯電話機、2 表示筐体、2a メイン表示部、2b テレビ画像表示領域、2c スクロール表示領域、2d テレビ画像表示領域、2e メール表示領域、3 ヒンジ部、4 操作キー、5 操作筐体、7 送話用マイクロホン、8 受話用レシーバ、9
スピーカ、10 外部入出力端子、23 通信部、23a 通信用アンテナ、24 テレビ放送受信部、24a テレビ放送受信用アンテナ、25 回転位置検知部、26 外部入出力装置、27 メモリ、30 制御部、31 文字情報抽出部、32 スクロール表示部、51 入力処理部、52 縦横検出器、53 表示領域設定部、54 表示領域情報記憶部、55 仮想画面情報記憶部、56 表示領域描画処理部、57 通信制御部、58 コンテンツキャッシュ、59 構文解析部、60 フレームバッファ、61 表示ドライバ部、110 仮想画面、111,112 表示領域。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示手段と、
前記表示手段を、第1の状態および前記第1の状態とは異なる第2の状態となるように支持する支持手段と、
前記表示手段の状態を検出する検出手段と、
仮想画面を生成する生成手段と、
前記仮想画面から前記表示手段の表示領域に応じた範囲の画像データを抽出する抽出手段とを含み、
前記抽出手段は、前記検出手段が前記表示手段の状態が前記第1の状態と前記第2の状態の一方から他方へ変更されたことを検出した場合に、状態変更前の範囲に基づいて、状態変更後の前記表示手段の表示領域に応じた画像データの抽出範囲を決定する、携帯情報端末。
【請求項2】
前記抽出手段は、状態変更前の前記表示領域における特定の位置に表示されていた画像データを、状態変更後の前記表示領域における前記特定の位置に表示させるように、前記抽出範囲を決定する、請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項3】
前記特定の位置は前記表示領域の左上端である、請求項2に記載の携帯情報端末。
【請求項4】
前記特定の位置は前記表示領域の上下方向および左右方向の中央である、請求項2に記載の携帯情報端末。
【請求項5】
前記支持手段は、前記表示手段を回転可能に支持し、
前記表示手段は、一定の角度回転されることにより、前記第1の状態と前記第2の状態の間で状態を入れ替わり、
前記抽出手段は、前記仮想画面から、状態変更前の前記表示領域に対応した範囲の、当該表示領域の所定の位置に表示された画像データの前記仮想画面上の位置を中心として前記一定の角度回転移動後の範囲を、状態変更後の前記表示領域に応じて抽出する画像データの範囲に決定する、請求項1に記載の携帯情報端末。
【請求項6】
前記所定の位置は、前記表示領域においてフォーカスをあてられて表示されている領域の中心位置である、請求項5に記載の携帯情報端末。
【請求項7】
前記抽出手段は、
前記所定の位置が前記表示手段の表示領域の上半分の領域に位置する場合には、状態変更前の前記表示領域に対応した範囲を前記一定の角度だけ反時計方向に回転移動させた後の範囲を、状態変更後の前記表示領域に応じて抽出する画像データの範囲に決定し、
前記所定の位置が前記表示手段の表示領域の下半分の領域に位置する場合には、状態変更前の前記表示領域に対応した範囲を前記一定の角度だけ時計方向に回転移動させた後の範囲を、状態変更後の前記表示領域に応じて抽出する画像データの範囲に決定する、請求項5または請求項6に記載の携帯情報端末。
【請求項8】
表示手段が第1の状態および前記第1の状態とは異なる第2の状態となるように支持されている携帯情報端末の制御方法であって、
仮想画面を生成するステップと、
前記表示手段の状態を検出するステップと、
前記表示手段の状態が前記第1の状態と前記第2の状態の一方から他方へ変更されたことを検出した場合に、状態変更前の前記表示手段の表示領域に対応して前記仮想画面から抽出されていた画像データの範囲に基づいて、状態変更後の前記表示領域に応じて前記仮
想画面から抽出する画像データの範囲を決定するステップとを含む、携帯情報端末の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2008−118286(P2008−118286A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−297989(P2006−297989)
【出願日】平成18年11月1日(2006.11.1)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】