説明

携帯機器の外部機器接続構造

【課題】 バッテリーで駆動可能な携帯機器において、別部品の端子用カバーを利用せずに端子の外部への露出を防ぐことが可能な接続構造を提供すること。
【解決手段】 主回路基板400には、外部機器を接続して搭載された制御回路の設定を書き換えるための書き込みコネクタ(外部機器接続端子)440が設けられ、バッテリー330を収納する収容部21の隔壁22には、書き込みコネクタ440を収容部21内で露出させるためのコネクタ用開口22cが形成されている。バッテリーカバー50を開けてバッテリー303を取り外せば、書き込み用コネクタ440が外部から接続可能となり、ここに外部機器に接続されたケーブルを接続して操作することにより、チューブポンプ100の制御回路の設定を変更することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バッテリーで駆動される携帯機器に搭載されたマイコンやEEPROM等のソフトやデータを書き込むための外部機器を接続するための接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯機器の中には、携帯機器を作動させるプログラムや処理に使用されるデータをマイコン等の外部機器を用いて書き換えられるように、外部機器との接続端子を備えたものがある。外部機器の接続構造は、例えば特許文献1に開示されている。特許文献1の図1及び段落0022には、携帯電話端末1をクレードル2に挿入してこれらの間で各種の情報通信を行うこと、携帯電話端末1の底部に外部装置接続用の端子が設けられていることが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−048197号公報 図1、段落0022
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の構造は、携帯電話端末の外部装置接続用端子が外部に露出した状態となるため、例えば防水構造の携帯機器には適用することができない。端子部分にカバーを設けることも考えられるが、この場合には新たな部品が必要となるため、コストアップを招く。
本発明は、上述した従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、バッテリーで駆動可能な携帯機器において、別部品の端子用カバーを利用せずに端子の外部への露出を防ぐことが可能な接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明にかかる携帯機器の外部機器接続構造は、上記の目的を達成させるため、バッテリーで駆動可能な携帯機器に搭載されたマイコンやROM等のメモリにソフトやデータ等を書き込むための外部機器を接続するための構造において、携帯機器の本体に、バッテリーを収容するための蓋体を有する収容部と、回路基板とを設け、回路基板に、外部機器に接続される外部機器接続端子を設け、収容部からバッテリーを取り外した際にこの外部機器接続端子が収容部内に露出するように、収容部に開口が形成されていることを特徴とする。
【0006】
上記の蓋体は、収容部を水密にカバーすることが望ましい。また、携帯機器としては、可撓性のチューブを駆動部により扱くように変形させることによりチューブ内の液体を移送するチューブポンプに適用することができる。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、収容部からバッテリーを取り外すことにより、外部機器接続端子を収容部に露出させ、ケーブルを用いて外部機器を接続することができる。外部機器を接続するのは、携帯機器のプログラムや設定を変更するための携帯機器の非作動時であるため、バッテリーと外部接続端子とを排他的に利用できるようにしても支障がない。また、既存のバッテリーの収容部を利用することにより、新たなカバー等を設けなくとも、外部機器接続端子を収納することができ、防水構造の機器にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態に係る外部機器接続構造を適用した携帯機器であるチューブポンプの外観を示す斜視図である。
【図2】図1のチューブポンプを示す平面図である。
【図3】図1のチューブポンプを示す背面図である。
【図4】図1のチューブポンプを示す側面図である。
【図5】図1のチューブポンプに組み付けられるチューブカセットを示す平面図である。
【図6】図1のチューブポンプの上ケースと下ケースとを分離した際の上ケースの内部を下方から見た斜視図である。
【図7】図6に示されるチューブポンプの上ケース内に配置された回路基板の下面図である。
【図8】図7のXIII−XIII線に沿う断面図である。
【図9】図1のチューブポンプの上ケースと下ケースとを分離してバッテリーを取り外した際の下ケースの内部とバッテリーとを上方から見た斜視図である。
【図10】図1のチューブポンプのバッテリーを外した状態を示す断面図である。
【図11】図1のチューブポンプの制御系の概要を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態に係る携帯機器の外部機器接続構造を図面に基づいて説明する。本実施の形態では、携帯機器としてチューブポンプを使用している。図1は、このチューブポンプの外観を示す斜視図である。最初に、チューブポンプ100の全体構成を図1〜図4に基づいて説明する。図1〜図4は、実施の形態に係るチューブポンプ100の外観を示し、図1は斜視図、図2は平面図、図3は背面図、図4は側面図である。
【0010】
チューブポンプ100は、上ケーシング10と下ケーシング20とを組み合わせることによりほぼ直方体状に形成され、これらのケーシングにより囲まれた内部にバッテリー、制御回路、モータ等が収納されている。
【0011】
上ケーシング10の上面には、図1及び図2に示されるように、電源ボタンを含む複数の操作ボタン11が配置されると共に、中央には表示パネルとしての液晶ディスプレイ(LCD)12が取り付けられている。
【0012】
また、上ケーシング10の上面の右側には、図5に示すチューブカセット200を取り付ける取付部Aが形成されている。取付部Aには、その中心位置に、内蔵するモータの回転軸13が導出され、この回転軸13の周囲に上下スライド可能に配置され、内蔵するスプリングにより上方に付勢された円形のスプリングプレート14、後述のセンサが内蔵されたチューブ押さえブロック(以下センサブロックという)30、このセンサブロック30の近傍に取り付けられチューブカセット200を取付部Aに対し補助的に固定するためのインターロック機能を有するストッパ40が取り付けられている。
【0013】
センサブロック30は、取付部Aに取り付けられるチューブカセット200のチューブが通される第1,第2の谷部31、32を形成するよう順に配列する第1、第2,第3の突出部33、34、35を一体に形成して構成される。センサブロック30は、機械的強度、耐摩耗性,耐薬品性に優れたPEEK材等の樹脂で成形されている。
【0014】
上ケーシング10の背面には、駆動部Aに取り付けられたチューブカセット200を取り外す際に操作するイジェクトボタン15と、このイジェクトボタン15の操作をロックするためのロックレバー16とが取り付けられている。
【0015】
また、下ケーシング20の側面には、図4に示すように、後述するバッテリー用の収容部を水密にカバーする蓋体としてのバッテリーカバー50が取り付けられている。バッテリーカバー50には、このバッテリーカバー50を下ケーシング20に対してロックし、あるいは、このロックを解除するためのロック操作部材51が回転可能に設けられている。このロック操作部材51に形成された溝に図示せぬ専用のキーを差し込んで回すことにより、ロックと解除とを切り換えることができる。
【0016】
さらに、下ケーシング20の側面には、カバー50に隣接して通信コネクタ60と電源コネクタ70とが設けられている。通信コネクタ60は、例えばチューブポンプ100をPC等に接続してデータの入出力を行う際に利用され、電源コネクタ70は、チューブポンプ100をAC電源に接続して作動させる際に利用される。
【0017】
チューブカセット200は、図5に示されるように、円板状の底面プレート211の外周に沿って、円筒壁212を形成し、この円筒壁212の内周に沿って可撓性を持つチューブ220を配置し、このチューブ220を押しつぶすように3つのローラ230を配置し、これらのローラ230の中央に取付部Aの背面からモータの回転軸13が挿通する軸孔240を形成することにより構成されている。
【0018】
チューブカセット200をチューブポンプ100に取り付ける際には、チューブカセット200の底面に形成された鈎状突起を取付部Aに形成された溝に合わせ、底面プレート211によりスプリングプレート14を押しつけながら図示せぬロック機構により鈎状突起がロックされるまで押し下げる。これにより、回転軸13は各ローラの周面に当接し、かつ、チューブ220の一方、この例では上流側(イン側)がセンサブロック30の第1の谷部31に挿入され、チューブ220の他方、この例では下流側(アウト側)が第2の谷部32に挿入される。
【0019】
チューブカセット200をチューブポンプ100に取り付けてモータを回転させて回転軸13を図2中の時計回りに回転させると、これに係合する3つのローラ230は反時計回りに自転しながら時計回りに公転する。これにより、チューブ220は扱くように順に変形され、チューブ220内の液体を移送することができる。なお、これらのモータの回転軸13、ローラ230は、チューブ220を扱く駆動部を構成している。センサブロック30は、チューブ220が駆動部から外部に導出される位置に配置されている。
【0020】
チューブカセット200をチューブポンプ100から取り外す際には、ストッパ40によるインターロックを解除した後、ロックレバー16をスライドさせてロックを解除し、イジェクトボタン15を押す。これにより、ロック機構が解除され、図示せぬスプリングの作用でスプリングプレート14が上昇し、チューブカセット200を取付部Aから外すことができる。
【0021】
なお、本実施形態のチューブポンプ100は、チューブ220の径の縮小を検出する終了センサと、チューブの径の拡大を検出する閉塞センサと、チューブ内の気泡を検知する気泡センサを構成する送信部及び受信部とをセンサブロック30内に備えている(図示は省略する)。
【0022】
次に、上記のチューブポンプの内部構成を図6〜図10に基づいて詳細に説明する。図6は、図1のチューブポンプ100の上ケース10と下ケース20とを分離した際の上ケース10の内部を下方から見た斜視図、図7は、図6に示されるチューブポンプの上ケース内に配置された回路基板の下面図、図8は、図7のXIII−XIII線に沿う断面図、図9は、上ケース10と下ケース20とを分離してバッテリーを取り外した際の下ケースの内部とバッテリーとを上方から見た斜視図、図10は、図1のチューブポンプ100のバッテリー303を取り外した状態を示す断面図である。なお、本実施の形態では、チューブポンプ100からバッテリー303を取り外した状態が携帯機器の本体を構成する。
【0023】
図6に示すように、上ケース10内には、制御回路が実装される主回路基板400が取り付けられており、駆動部Aに相当する部位にはモータ基板500を介してモータ306が装着されている。主回路基板400上の回路と、モータ基板500上の回路とは、それぞれの基板に設けられたコネクタ間をつなぐフレキシブルフラットケーブル501により電気的に接続されている。
【0024】
主回路基板400には、各種電子部品(図示せず)が搭載される他、図7及び図8にも示すように、ボタン電池305が図示せぬ電極板により取り付けられ、このボタン電池305を覆って絶縁性のカバー420が固着されている。ボタン電池305の基板への取り付けには、従来公知の手段を用いることができる。
【0025】
カバー420は、樹脂製であり、主回路基板400に平行な基板部420aと、この外周に沿って基板部420aに垂直に設けられた枠部420bと、基板部420aの左右両側部に設けられた電極支持部421a,421bとからなり、基板部420aと枠部420bとにより形成された内部空間にボタン電池305及びこのボタン電池305からのエネルギー供給により活電状態となっている回路部を収容している。カバー420は、枠部420bの主回路基板400に接触する面の複数箇所に形成された突起を主回路基板400に形成された穴に嵌合させることにより主回路基板400に対し位置決めされ、接着剤を用いて1次固定され、後述する電極の主回路基板400への半田付けにより2次固定されている。カバー420の図7中左右方向の両端に設けられた一対の電極支持部421a,421bには、基板に対して垂直な貫通穴が形成されている。
【0026】
一方、主回路基板400には、バッテリー接続用の2本の電極430a,430bが半田付けにより自立して固定されている。電極430a,430bは、断面円形の針金状の金属により同一形状で形成されている。以下、一方の電極430aを例にして説明するが、他方の電極430bについても、同一の構成が採用されている。
【0027】
図8に示すように、電極430aは、主回路基板400に垂直な立ち上がり部431aと、基板に垂直な面内でU字状に曲げられてバッテリーの端子に接触する接触部432aとを有し、立ち上がり部431aから直角に曲げられて主回路基板400に対して平行に伸び、この平行な面内でさらに直角に曲げられて接触部432aに至る。立ち上がり部431aは、カバー420の電極支持部421aを貫通し、さらに、主回路基板400に形成された取り付け穴を貫通して半田401により固定されている。
【0028】
すなわち、電極430aは、主回路基板400とカバー420の電極支持部421aとにより支持されている。電極430aを主回路基板400のみで支持すると、接触部432aがバッテリーの端子に接触して応力が生じた場合に、この応力を基板との接続部分のみで受けることになり、基板に対してストレスを与える。これに対して、上記のように電極430aを主回路基板400に固定した上にカバー420でも支持して補強することにより、上記の応力が基板とカバーとに分散され、基板にかかるストレスを減少させることができる。加えて、カバー420の電極支持部421aにおける主回路基板400との反対側の面には貫通穴に連続して案内溝が形成されており、電極430aの主回路基板400に平行な部分のうち立ち上がり部431aから垂直に曲げられた部分がこの案内溝に嵌り込むことにより、電極430aの立ち上がり部431aを中心とした回転が阻止される。そして、この状態で電極430aの立ち上がり部431aを半田付けすることにより、この電極430aを介してカバー420が強固に固定されることになる。
【0029】
なお、主回路基板400には、外部機器を接続して搭載された制御回路の設定を書き換えるための書き込みコネクタ(外部機器接続端子)440が設けられている。
【0030】
図9及び図10に示すように、下ケース20には、バッテリー303を収容する収容部21が形成されている。この収容部21は、隔壁22により区画されている。隔壁22には、図9に示すように、電極430a,430bを収容部21内に進入させるための一対の電極用開口22a,22bが形成されると共に、書き込みコネクタ440を収容部21内で露出させるためのコネクタ用開口22cが形成されている。
【0031】
バッテリー303は、図9に示されるように、ほぼ直方体状であり、一方の端部上面には、プラス端子303aとマイナス端子303bとが配置されている。
【0032】
上記のように構成された上ケース10と下ケース20とを組み付けると、図10に示すように、隔壁22に形成された電極用開口22aから電極430aの接触部432aが収容部21内に突出すると共に、コネクタ用開口22cから書き込み用コネクタ440が収容部21内に露出する。
【0033】
したがって、バッテリーカバー50を開けて(外して)バッテリー303を取り外せば、書き込み用コネクタ440が外部から接続可能となり、ここに外部機器に接続されたケーブルを接続して操作することにより、チューブポンプ100の制御回路の設定(マイコンのプログラムや、後述するEEPROMに記憶された設定値)を変更することができる。なお、設定の変更は非使用時に行われるため、書き込み用コネクタ440とバッテリー303とは排他的に使用できるようになっている。つまり、書き込み用コネクタ440は、バッテリー303を抜かないと露出しないためにポンプ使用時には書き込み用コネクタ440は使用できず、また書き込み用コネクタ440を使用する際は、バッテリー303が抜かれるためにポンプとしての使用ができないようになっている。
【0034】
また、バッテリー303を収容部21内に収容すると、バッテリー303の各端子303a,303bが、電極430a,430bの接触部432a,432bに接触し、主回路基板400に電力を供給することができる。
【0035】
次に、実施の形態のチューブポンプ100の制御系の構成について、図11に基づいて説明する。図11は、チューブポンプ100の制御系の概要を示すブロック図である。この例では、実施の形態の説明に必要な部分のみを取り出し、簡略化して説明し、チューブポンプ100の機能として必要な流量制御やタイマー制御については説明を省略する。
【0036】
制御回路は、チューブポンプ100の全体の制御を司る制御装置300を中心に、各種のデータを記憶するEEPROM301、外部電源から電力を供給するためのACアダプタ302、バッテリー303、カレンダーIC304を駆動するためのボタン電池305、モータ306を駆動制御するモータドライバ307、装置の電源をオンオフするメインスイッチ11a、LCD12、終了センサ250、閉塞センサ260、気泡センサを構成する送信部270及び受信部271、警報装置308等が接続されて構成されている。
【0037】
以上説明したように、本実施の形態によればバッテリー330を収納する収納部21からバッテリー330を取り外すことにより、外部機器接続端子である書き込みコネクタ440を収容部内に露出させ、ケーブルを用いて外部機器を接続することができる。また、既存のバッテリーの収容部を利用することにより、新たなカバー等を設けなくとも、外部接続端子を収納することができ、防水構造の機器にも適用することができる。
【0038】
100 チューブポンプ
10 上ケーシング
20 下ケーシング
21 収容部
22 隔壁
22a,22b 電極用開口
22c コネクタ用開口
50 バッテリーカバー(蓋体)
300 制御装置
303 バッテリー
303a,303b 端子
305 ボタン電池
306 モータ
400 主回路基板
420 カバー
430a,430b 電極
440 書き込みコネクタ(外部機器接続端子)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バッテリーで駆動可能な携帯機器に搭載されたマイコンやメモリにソフトやデータ等を書き込むための外部機器を接続するための構造において、
携帯機器の本体に、バッテリーを収容するための蓋体を有する収容部と、回路基板とを設け、
前記回路基板に、外部機器に接続される外部機器接続端子を設け、前記収容部から前記バッテリーを取り外した際に前記外部機器接続端子が前記収容部内に露出するように、前記収容部に開口が形成されていることを特徴とする携帯機器の外部機器接続構造。
【請求項2】
前記蓋体は、前記収容部を水密にカバーすることを特徴とする請求項1に記載の携帯機器の外部機器接続構造。
【請求項3】
前記携帯機器は、可撓性のチューブを駆動部により扱くように変形させることによりチューブ内の液体を移送するチューブポンプであることを特徴とする請求項1に記載の携帯機器の外部機器接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate


【公開番号】特開2012−55567(P2012−55567A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−203361(P2010−203361)
【出願日】平成22年9月10日(2010.9.10)
【出願人】(000228730)日本電産サーボ株式会社 (276)
【出願人】(000153030)株式会社ジェイ・エム・エス (452)
【Fターム(参考)】