説明

携帯機器の照明構造

【課題】中空キーと嵌合キーとの隙間を照明して光線による操作性や審美性を向上させることのできる携帯機器の照明構造を提供する。
【解決手段】携帯電話1の操作層5にナビゲーションキー6を設け、ナビゲーションキー6の内部に、感圧スイッチ10に接離可能に対向するセレクトキー7を僅かな隙間8を介して押圧操作可能に嵌入し、ナビゲーションキー6とセレクトキー7との隙間8を照明する携帯機器の照明構造であって、携帯電話1の筐体2に内蔵されるLED20と、LED20からの光線を隙間8に導光する光透過性のライトガイド層30とを備える。ナビゲーションキー6とセレクトキー7との隙間8にライトガイド層30の先端部31を挿着し、この先端部31をセレクトキー7の周面に近接させるので、セレクトキー7と感圧スイッチ10との狭い隙間にライトガイド層30を介在させることなく、隙間8を適切に発光させることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話等に使用される携帯機器の照明構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話は、図示しないが、例えば筐体の一部に複数の操作キーを並べ備えた操作層が設けられ、この操作層の上部に、中空のナビゲーションキーが揺動操作可能に設けられており、このナビゲーションキーの内部に、筐体の回路基板の感圧スイッチに接離可能に対向するセレクトキーが押圧操作可能に嵌入されている(特許文献1参照)。
【0003】
筐体は、折り畳み式やスライド式に構成され、残部に複数のアイコンや所定の画像を表示する画面が形成される。また、複数の操作キーは、各操作キーの表面に所定の文字等が印刷され、光透過性が付与されており、操作層の裏面側からLEDの光線を導光する導光層により照明される(特許文献2参照)。
【0004】
このような携帯電話は、筐体の画面に表示された複数のアイコン中、所定のアイコンを選択したい場合には、ナビゲーションキーが前後左右に揺動操作されるとともに、セレクトキーが押圧操作され、選択したアイコンの複数の機能中、所定の機能を用いたい場合には、ナビゲーションキーが揺動操作された後、セレクトキーが押圧操作される。
【特許文献1】特開2008‐187569号公報
【特許文献2】特開2004‐200093号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、近時の携帯電話には、複数の操作キーの他、隣接するナビゲーションキーとセレクトキーとの僅かな隙間を照明して演出し、携帯電話の操作性や審美性をさらに向上させたいという要望がある。
しかしながら、セレクトキーと回路基板の硬質の感圧スイッチとが相互に近接して対向しているので、これらセレクトキーと感圧スイッチとの狭い隙間にシートの導光層を介在させることができず、LEDの光線による操作性や審美性を向上させることができないという問題がある。
【0006】
本発明は上記に鑑みなされたもので、中空キーと嵌合キーとの隙間を照明して光線による操作性や審美性を向上させることのできる携帯機器の照明構造を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明においては上記課題を解決するため、携帯機器の操作層に中空キーを設け、この中空キーに、電子部品に接離する嵌合キーを隙間を介して押圧操作可能に嵌め入れ、これら中空キーと嵌合キーとの隙間を照明するものであって、
携帯機器に内蔵される発光素子と、この発光素子からの光線を中空キーと嵌合キーとの隙間に導光する光透過性のライトガイド層とを含んでなることを特徴としている。
【0008】
なお、携帯機器を携帯電話とし、中空キーを押圧操作可能なナビゲーションキーとするとともに、嵌合キーをセレクトキーとすることができる。
また、操作層の下方にライトガイド層を配置してその中空キーと嵌合キーとの隙間に対向する対向部を中空キーと嵌合キーとの隙間に挿入し、このライトガイド層の対向部を嵌合キーの周面に接近させ、ライトガイド層の端部と発光素子とを対向させると良い。
【0009】
ここで、特許請求の範囲における携帯機器には、少なくとも多機能の携帯電話、携帯音響機器、オーディオプレーヤが含まれる。中空キーは、平面視でリング形でも良いし、枠形等でも良い。電子部品には、少なくとも感圧スイッチ、センサ、タクトスイッチ、所定の回路素子が含まれる。また、嵌合キーは、平面視で円形、楕円形、多角形、矩形等でも良い。
【0010】
発光素子には、少なくとも単数複数のLEDやEL(面発光体)が含まれる。また、ライトガイド層は、光透過性を有する各種のエラストマーを用いて形成されるが、シートでも良いし、細長い線条や紐形等でも良い。このライトガイド層の対向部は、ライトガイド層がシートに形成され、このライトガイド層に、嵌合キーに嵌め合わされる貫通孔が設けられる場合には、この貫通孔の周面が中空キーと嵌合キーとの隙間に対向する。
【0011】
本発明によれば、携帯機器の中空キーと嵌合キーとの隙間を照明する場合には、発光素子を発光させる。
すると、発光素子の光線は、ライトガイド層の端部から対向部方向に導光されて嵌合キーを照射し、中空キーと嵌合キーとの対向面の間を反射しながら操作層の表面方向に出射され、中空キーと嵌合キーとの隙間を照明する。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、携帯機器に内蔵される発光素子と、この発光素子からの光線を中空キーと嵌合キーとの隙間に導光する光透過性のライトガイド層とを含むので、中空キーと嵌合キーとの隙間を照明し、発光素子の光線による操作性や審美性を向上させることができるという効果がある。
【0013】
また、携帯機器を携帯電話とし、中空キーを押圧操作可能なナビゲーションキーとするとともに、嵌合キーをセレクトキーとすれば、ナビゲーションキーとセレクトキーとの隙間を照明して演出し、携帯電話の操作性や審美性を向上させることができる。
【0014】
さらに、操作層の下方にライトガイド層を配置してその中空キーと嵌合キーとの隙間に対向する対向部を中空キーと嵌合キーとの隙間に挿入し、このライトガイド層の対向部を嵌合キーの周面に接近させ、ライトガイド層の端部と発光素子とを対向させれば、発光素子の光線が中空キーと嵌合キーとの間を反射しながら操作層の表面方向に出射され、中空キーと嵌合キーとの隙間を照らすことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、図面を参照して本発明に係る携帯機器の照明構造の好ましい実施形態を説明すると、本実施形態における携帯機器の照明構造は、図1や図2に示すように、携帯機器である携帯電話1と、この携帯電話1の筐体2に内蔵されるLED20と、このLED20からの光線をナビゲーションキー6とセレクトキー7との僅かな隙間8に導光する光透過性のライトガイド層30とを備えるようにしている。
【0016】
携帯電話1の筐体2は、所定の樹脂や金属等を使用して構成され、表面の上部に複数のアイコン(例えば、電話アイコン、メールアイコン、カメラアイコン、あるいはデータフォルダアイコン等)や所定の画像を表示する画面3が一体形成されており、表面の下部に複数の操作キー4を並べ備えた操作層5が一体的に設けられる。
【0017】
複数の操作キー4は、各操作キー4が押圧操作可能に形成され、この操作キー4の表面に所定の文字、数字、図柄等が印刷されるとともに、光透過性が付与されており、操作層5の裏面側から筐体2内のLEDの光線を導光する光透過性の導光層により照明される。また、操作層5は、その上部中央に、中空枠形のナビゲーションキー6が揺動操作可能に設けられ、このナビゲーションキー6の内部に、平面矩形のセレクトキー(決定キーともいう)7が僅かな隙間8を介し押圧操作可能に嵌入される。
【0018】
ナビゲーションキー6は、図1や図2に示すように、例えば所定の樹脂等を使用して断面略L字形に屈曲形成され、セレクトキー7を包囲してその周面に平面枠形の隙間8を介して対向する。また、セレクトキー7は、例えば所定の樹脂等を用いてフランジ付きの断面略凸字形に形成され、筐体2に内蔵された回路基板9の硬質な感圧スイッチ10に上方から接離可能に近接対向する。
【0019】
LED20は、図2に示すように、筐体2の上部に内蔵されてその周縁部や操作層5の周縁部下方に位置し、ライトガイド層30に向けて有彩色の光線(例えば、赤色や青色の光線)を照射するよう機能する。
【0020】
ライトガイド層30は、例えば無色透明のシリコーンポリマーに補強用のシリコーンレジンや補強シリカの添加された所定の成形材料を使用して屈曲可能な柔軟な略板形に成形され、操作層5の上部と回路基板9との間に介在して配置され、かつ筐体2や操作層5の位置決め凸部に押圧して位置決め固定される。
【0021】
係るライトガイド層30は、図2に示すように、先端部31が対向するナビゲーションキー6の下端部とセレクトキー7の外方向に張り出したフランジとの間の僅かな隙間8に接着剤等を介して挿着されるとともに、この先端部31が対向するセレクトキー7の周面に僅かな隙間8を介して近接し、この先端部31からセレクトキー7の周面にLED20の光線を照射するよう機能する。
【0022】
ライトガイド層30の先端部31の端面は、光線の照射量を調整するため、凹凸を形成しても良いし、光拡散インクを塗布することもできる。また、先端部31の端面は、ライトガイド層30の厚み方向に垂直でも良いし、下部側が切削されていても良い。ライトガイド層30の末端部32は、回路基板9方向に屈曲してLED20に僅かな隙間を介して近接対向する。
【0023】
上記において、筐体2の画面3に配列表示された複数のアイコン中、所定のアイコン(例えばメールアイコン)を選択したい場合には、ナビゲーションキー6を前後左右に揺動操作し、セレクトキー7を押圧操作すれば良い。このようにして所定のアイコンを選択し、このアイコンの複数の機能中、所定の機能(例えば、メールアイコンの新規メール作成機能)を用いたい場合には、ナビゲーションキー6を再度揺動操作した後、セレクトキー7を押圧操作すれば良い。
【0024】
また、ナビゲーションキー6とセレクトキー7との僅かな隙間8を照明し、これらナビゲーションキー6とセレクトキー7の操作性や審美性を向上させたい場合には、携帯電話1の所定の操作キー4を押圧操作して電源をONし、この操作キー4の押圧操作にLED20を連動して発光させれば良い。
【0025】
すると、LED20の光線は、ライトガイド層30の末端部32から先端部31方向に導光されつつ、セレクトキー7の周面に照射され、ナビゲーションキー6とセレクトキー7との対向面間を繰り返し反射しながら操作層5の裏面方向から表面方向に出射される。この出射により、LED20の光線は、隣接するナビゲーションキー6とセレクトキー7との僅かな隙間8を効率的に照明し、良好な演出感、装飾美、機能美を醸し出す(図2の矢印参照)。
【0026】
なお、ナビゲーションキー6とセレクトキー7との対向面は、LED20の光線の反射を容易にする反射層に形成しても良いし、別体の反射層を積層しても良い。また、セレクトキー7には、必要に応じ、光透過性を付与することができる。
【0027】
上記構成によれば、ナビゲーションキー6とセレクトキー7との隙間8にライトガイド層30の先端部31を挿着し、このライトガイド層30の先端部31をセレクトキー7の周面に近接させるので、セレクトキー7と感圧スイッチ10との狭い隙間にライトガイド層30を介在させることなく、隙間8を適切に発光させることができる。したがって、LED20の光線による操作性や審美性を向上させることができる。さらに、セレクトキー7と感圧スイッチ10との狭い隙間を拡大してライトガイド層30を挿通させる必要もないので、携帯電話1の構成の複雑化や煩雑化を防ぐことができる。
【0028】
なお、上記実施形態の筐体2は、折り畳み式でも良いし、スライド式でも良い。また、操作キー4用のLEDとライトガイド層30用のLED20とは、別体でも良いし、そうでなくても良い。ライトガイド層30用のLED20は、単数でも良いし、複数でも良い。また、操作層5とライトガイド層30との間に、接着層等の別の層を介在させることもできる。さらに、ライトガイド層30にセレクトキー7に嵌合する貫通孔を穿孔し、この貫通孔の周面をナビゲーションキー6の下端部とセレクトキー7のフランジとの隙間8に接着剤等を介して挿着することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る携帯機器の照明構造の実施形態を模式的に示す説明図である。
【図2】本発明に係る携帯機器の照明構造の実施形態を模式的に示す部分断面説明図である。
【符号の説明】
【0030】
1 携帯電話(携帯機器)
2 筐体
5 操作層
6 ナビゲーションキー(中空キー)
7 セレクトキー(嵌合キー)
8 隙間
9 回路基板
10 感圧スイッチ(電子部品)
20 LED(発光素子)
30 ライトガイド層
31 先端部(対向部)
32 末端部(端部)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯機器の操作層に中空キーを設け、この中空キーに、電子部品に接離する嵌合キーを隙間を介して押圧操作可能に嵌め入れ、これら中空キーと嵌合キーとの隙間を照明する携帯機器の照明構造であって、
携帯機器に内蔵される発光素子と、この発光素子からの光線を中空キーと嵌合キーとの隙間に導光する光透過性のライトガイド層とを含んでなることを特徴とする携帯機器の照明構造。
【請求項2】
携帯機器を携帯電話とし、中空キーを押圧操作可能なナビゲーションキーとするとともに、嵌合キーをセレクトキーとした請求項1記載の携帯機器の照明構造。
【請求項3】
操作層の下方にライトガイド層を配置してその中空キーと嵌合キーとの隙間に対向する対向部を中空キーと嵌合キーとの隙間に挿入し、このライトガイド層の対向部を嵌合キーの周面に接近させ、ライトガイド層の端部と発光素子とを対向させた請求項1又は2記載の携帯機器の照明構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate


【公開番号】特開2010−114010(P2010−114010A)
【公開日】平成22年5月20日(2010.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−287254(P2008−287254)
【出願日】平成20年11月10日(2008.11.10)
【出願人】(000190116)信越ポリマー株式会社 (1,394)
【Fターム(参考)】