説明

携帯機器の電源アダプタ及び蓄電ユニット

電源アダプタ及び蓄電ユニットは、携帯電子機器と、携帯電力モジュールとに同時に電力を供給するよう構成される。幾つかの実施の形態では、携帯電力モジュールは、電源アダプタに統合される。電源アダプタは、電子機器では使用不能な電力が供給され、この電力を使用可能な形に変換し、変換電力の一部を蓄電し、可能であれば、この電力を機器に供給する。

【発明の詳細な説明】
【関連出願】
【0001】
本出願は、米国特許法第119条第(e)項に基づき、2006年2月2日に出願された、係属中の米国仮特許出願、発明の名称「携帯機器用の電源アダプタ/バックアップユニット(POWER ADAPTOR/BACKUP UNIT FOR PORTABLE DEVICES)」の優先権を主張する。この特許文献は、引用により本願に援用される。
【技術分野】
【0002】
本発明は、包括的には、携帯可能な、及び電池駆動民生用携帯電子機器用の電源アダプタに関する。
【背景技術】
【0003】
現在、様々な電池駆動民生用電子機器がある。例えば、携帯電話機、デジタルカメラ、ラップトップコンピュータ及びMP3プレーヤがある。この種の製品では、多くの場合、充電可能な2次電池(rechargeable battery)が使用されている。また、使い捨ての1次電池(disposable battery)を使用できる製品もある。
【0004】
このよう製品の殆どは、DC電力入力を備え、外部電源アダプタは、同梱されている場合と、別売の場合とがある。DC電力入力には、適切なDC電圧が供給され、2次電池がある場合は、2次電池を充電し、及び機器を駆動するように構成されている。
【0005】
このような機器にDC電力を供給するための電源アダプタの構成は周知である。典型的な例としては、一般家庭用のコンセントに接続されて、家庭用のAC電力が供給され、このAC電力を、DC駆動機器(以下、単にDC機器という。)に適したDC電力に変換して、変換電力をDC機器に供給するAC/DCアダプタがある。他の具体例として、自動車の電源(シガーソケット)から供給される12VのDC電力を、機器に適した電圧のDC電力に変換して、変換電力を機器に供給するDC/DC変換器も知られている。
【0006】
実際、2次電池を含む最新の機器の多くは、少なくともAC/DCアダプタが同梱されている。したがって、2次電池の電力が低下すると、コンセントが使用可能な場合、単にAC/DCアダプタのプラグをコンセントに差し込み、AC/DCアダプタを機器に接続するだけで、機器を容易に駆動し、2次電池を充電することができる。
【0007】
しかしながら、家庭用又はその他のコンセント及び他の電源は、何時でも使用できるわけではない。この問題を解決するために、様々な携帯電力モジュール(portable power modules:PPM)が市販されている。PPMは、基本的には予備の電池であり、例えば、携帯電話機等のDC駆動機器のDC入力に接続され、放電し、適切な電圧を供給するように設計されている。
【0008】
PPM内の電池には、様々な手法で電力が供給される。幾つかのPPMは、1次電池が装着されており、これらの電力を適切な電圧に変換するように構成されている。他のPPMは、典型的なDC駆動機器と同様に、入力を介してDC電力が供給されるよう構成された、2次電池を備える。所定のDC駆動機器の用のPPMは、通常、アフターサービス市場で販売されるので、PPMは、そのDC駆動機器用のAC/DCアダプタから電力が供給されて、2次電池を充電するような構成が一般的である。
【0009】
ここで、このような設計では、所定のDC駆動機器、例えば携帯電話機のユーザは、あらゆる状況で外部電力を確実に使用するためには、専用のAC/DCアダプタと、適切なPPMとの両方を持ち歩かなくてはならない。更に、携帯電話機の2次電池と、PPMの2次電池との両方を充電するためには、ユーザは、AC/DCアダプタの出力を2つの機器間で繋ぎ代えなくてはならない。
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の好ましい実施の形態では、AC/DCラインから、又はDC電源、例えば自動車のシガーソケットから電力を供給できる電源アダプタと、電池バックアップモジュールとを1つのユニット内に統合する。本発明が提供する電源アダプタは、携帯電力モジュールと、この電源アダプタに対応する携帯電子機器とを同時に充電することができる。好ましくは、本発明の電源アダプタは、入力電力、内部電池及び携帯電力モジュールのうちの1つを用いて、選択的に動作する電子機器用に設計される。更に、幾つかの実施の形態では、電源アダプタには、電子機器が使用できない他の形で電力が供給される。幾つかの実施の形態では、電源アダプタには、蓄電できない他の形で電力が供給され、電源アダプタは、この電力を蓄電可能な形に変換する。何れの場合も、「蓄電可能」とは、蓄電ユニット又は所定の実施の形態における機器を用いて、蓄電できることを意味する。同様に「使用可能」とは、携帯電子機器又は所定の実施の形態が対象とする機器を駆動及び/又は充電できることを意味する。
【0011】
例えば、幾つかの実施の形態では、電源アダプタ及び蓄電ユニットは、外部電源から電源電力が、電子機器によって使用不可能な形で供給され、電源電力を入力電力に変換する第1の回路と、入力電力を供給して、電子機器を駆動するパススルー回路と、入力電力を携帯電力モジュールに蓄電する蓄電回路と、携帯電力モジュールからの入力電力を供給して、電子機器を駆動する放電回路とを備える。
【0012】
幾つかの実施の形態では、携帯機器用の電源アダプタ及び蓄電ユニットを提供する。電源アダプタ及び蓄電ユニットは、電力変換器ユニットと、エネルギ蓄積ユニットと、電力パススルーユニットと、電力出力ユニットと、コントローラユニットとを備える。これらの構成要素には、様々な特定の機能及び構成がある。
【0013】
例えば、電力変換器ユニットは、外部電源から電力が、携帯機器によって使用不可能な形で選択的に供給され、この電力から、使用可能な電力と蓄電可能な電力とを同時に生成する。エネルギ蓄積ユニットは、電力変換器ユニットに接続され、電力変換器ユニットから蓄電可能な電力が供給され、この電力をエネルギとして蓄積する。電力パススルーユニットは、電力変換器ユニットに接続され、使用可能な電力を携帯機器に流す。電力出力ユニットは、エネルギ蓄積ユニットに接続され、エネルギ蓄積ユニット内のエネルギから使用可能な電力を生成して携帯機器に供給する。コントローラユニットは、電力変換器ユニットからエネルギ蓄積ユニットへの蓄電可能な電力の供給を制御し、電力パススルーユニットを介した携帯機器への使用可能な電力の流れを制御し、エネルギ蓄積ユニットから電力出力ユニットを介した携帯機器へのエネルギの供給を制御する。また、幾つかの実施の形態では、コントローラユニットは、様々なパラメータを監視し、保護機能、例えば温度保護、過電流及び過電圧保護の機能を提供する。
【0014】
幾つかの実施の形態は、電子機器用の電源アダプタ及びバックアップ電源ユニットを提供する。この電源アダプタ及びバックアップ電源ユニットは、電力変換器と、エネルギ蓄積ユニットと、第1、第2及び第3のスイッチングモジュールと、コントローラとを備える。これらの構成要素には、様々な特定の機能及び構成がある。
【0015】
幾つかの実施の形態では、電子機器用の電源アダプタ及びバックアップ電源ユニットを提供する。電力変換器は、外部電源から、電子機器によって使用不可能な電力が選択的に供給され、電子機器によって使用可能な変換電力を生成する。エネルギ蓄積ユニットは、電力変換器に第1のスイッチングモジュールを介して接続された入力と、第2のスイッチングモジュールに接続された出力とを有する。第3のスイッチングモジュールは、電力変換器に接続されている。コントローラは、第1、第2及び第3のスイッチングモジュールに接続され、第1、第2及び第3のスイッチングモジュールの動作を制御して、電力変換器からの変換電力を、エネルギ蓄積ユニット及び第3のスイッチングモジュールのうちの1つを介して、当該電源アダプタの及びバックアップ電源ユニットの出力に選択的に供給する。幾つかの実施の形態では、第3のスイッチングモジュールは、パススルースイッチであり、第1のスイッチングモジュールは、充電スイッチであり、第2のスイッチングモジュールは、放電スイッチである。
【0016】
幾つかの実施の形態では、携帯電子機器用の電源アダプタ及び蓄電ユニットを提供する。電源アダプタ及び蓄電ユニットは、電力変換器ユニットと、蓄積ユニットと、出力ユニットと、コントローラとを備える。これらの構成要素には、様々な特定の機能及び構成がある。
【0017】
例えば、幾つかの実施の形態において、電力変換器ユニットは、外部電源から電力が、携帯電子機器によって使用不可能な形で選択的に供給され、電力が外部電源から供給されたときに、供給電力から、第1の使用可能な出力電力と蓄電可能な出力電力を生成する。幾つかの実施の形態において、蓄積ユニットは、電力変換器ユニットから蓄電可能な出力電力が供給され、エネルギレベル及び総容量を有し、エネルギレベルが総容量よりも少ない場合は、出力電力をエネルギとして蓄積する。幾つかの実施の形態において、出力ユニットは、蓄積ユニットからエネルギが供給され、供給されたエネルギから第2の使用可能な出力電力を生成する。幾つかの実施の形態において、コントローラは、外部電源から電力変換器に電力が供給されたかを判定し、外部電源から電力が供給されていない場合は、第2の使用可能な出力電力を生成して、第2の使用可能な出力電力を携帯電子機器に供給するように、出力ユニットに指示する。
【0018】
例えば、幾つかの実施の形態では、電源アダプタ/バックアップユニットは、DC駆動機器のDC入力に接続され、外部電源として機能する。電源アダプタ/バックアップユニットは、ある使用状態では、電池電力を供給し、他の使用状態では、例えば、家庭用AC電源又は自動車のシガーソケット等の他の電源からの電力を適切に変換して、DC駆動機器に供給しながら、同時に、内部電池の充電を行う。これらの実施の形態は、それぞれ、2次電池、充電回路、放電回路、パススルー及び適切な電源管理を確実に行うためのマイクロコントローラを含む。これらの実施の形態のそれぞれにおいて、電源アダプタ/バックアップユニットは、外部電源に接続されて、内部電池の充電を行い、及びパススルーを介してDC駆動機器に変換電力を提供する。このように、これらの実施の形態によって、充電と、DC駆動機器への変換電力の供給とを同時に行うことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0019】
以下、図面を参照して、本発明の広範な実施の形態を説明する。これらの実施の形態における特定の構成要素の説明は、本明細書に開示する構成の等価物を除外するとは解釈されない。
【0020】
携帯電子機器及び電源モジュール
図4A及び図4Bは、一般的な携帯電子機器(以下、単に機器ともいう。)400と、その電源アダプタ410と、携帯電力モジュール(portable power module:PPM)420とを示している。機器、例えば機器400は、多くの場合、2つの電源に対応するように出荷される。すなわち、機器400は、通常、電力入力402と、内部電池406とを備える。機器400は、内部電池406からの電力又は電力入力402に供給される電力によって駆動される。携帯機器は、電力入力に電気的に接続された充電可能な2次電池を備えることが多くなっている。
【0021】
このような携帯機器は、通常、電源アダプタと共に使用されるように設計されている。例えば、機器400には、電源アダプタ410が接続される。外部電源が利用可能な場合には、電源アダプタ410は、外部電力を機器400で使用可能な形に変換し、変換された電力(以下、変換電力という。)を機器400の電力入力402に供給する。このようにしてユーザは、入力電力で機器400の内部電池406を充電でき、及び/又は機器400を動作させることができる。
【0022】
電源アダプタ410は、外部電源、この場合、ACコンセントに差し込まれるプラグ417を備える。更に、電源アダプタ410は、携帯電子機器400の電力入力402に差し込まれる出力端子415を備える。図4Aでは、出力端子415は、携帯電子機器400の電力入力402に接続されている。
【0023】
携帯電子機器と共に使用される様々なバックアップ電源機器が設計されている。例えば、図4Bに示すPPM420は、携帯電子機器400用に設計されている。PPM420は、一般的な構成として、電力入力422と、電力出力端子425と、2次電池(図示せず)とを備える。電力入力422には、電源アダプタ410の出力端子415が接続され、電源アダプタ410が外部電源に接続されると、電源アダプタ410の出力端子415から電力が供給されるように構成されている。電力出力端子425は、携帯電子機器400の電力入力402に接続されるように構成されている。2次電池が充電された状態で、電力出力端子425が電力入力402に接続されると、PPM420は、携帯電子機器400に電力を供給して、携帯電子機器400を駆動し、又はその内部電池406を充電する。
【0024】
構造
図1に示す第1の実施の形態では、AC電源アダプタ/バックアップユニット100は、入力に接続されたAC/DC変換器110を備える。AC/DC変換器110は、外部AC電源に取り外し可能に接続することができる。図1では、AC電源アダプタ/バックアップユニット100の入力は、外部AC電源100’に取り外し可能に接続されている。AC/DC変換器110の出力は、パススルー150及び充電回路120の両方に接続されている。充電回路120は、2次電池125に接続されており、2次電池125は、放電回路として機能するDC/DC変換器140に接続されている。パススルー150、充電回路120及びDC/DC変換器140は全て、マイクロコントローラ130に接続されており、マイクロコントローラ130は、2次電池125の充電レベルを検出する。パススルー150及びDC/DC変換器140は、共に、DC出力160に接続されており、DC出力160は、DC機器(図示せず)に接続することができる。
【0025】
図2に示す第2の実施の形態では、DC電源アダプタ/バックアップユニット200は、入力に接続された第1のDC/DC変換器210を備える。第1のDC/DC変換器210は、外部DC電源に取り外し可能に接続することができる。図2では、DC電源アダプタ/バックアップユニット200の入力は、外部DC電源200’に取り外し可能に接続されている。第1のDC/DC変換器210の出力は、パススルー250及び充電回路220の両方に接続されている。充電回路220は、2次電池225に接続されており、2次電池225は、放電回路として機能する第2のDC/DC変換器240に接続されている。パススルー250、充電回路220及び第2のDC/DC変換器240は全て、マイクロコントローラ230に接続されており、2次電池225の充電レベルを検出する。パススルー250及び第2のDC/DC変換器240は、共に、DC出力260に接続されており、DC出力260は、DC機器(図示せず)に接続することができる。
【0026】
第2の実施の形態は、様々な非専用の電源に適応化された電源コネクタ及び変換器を備えることができる。具体例としては、例えば、ラップトップコンピュータ用の電源等の様々なAC/DCアダプタの出力、太陽電池のDC出力、自動車のシガーソケットのDC出力等がある。
【0027】
図3に示す第3の実施の形態では、AC又はDC電源アダプタ/バックアップユニット300は、第1の入力に接続されたAC/DC変換器310Aと、第2の入力に接続された第1のDC/DC変換器310Bとを備える。第1のDC/DC変換器310Bは、外部DC電源に取り外し可能に接続することができる。更に、AC/DC変換器310Aは、外部AC電源に取り外し可能に接続することができる。図3では、AC又はDC電源アダプタ/バックアップユニット300の第1及び第2の入力は、それぞれ外部AC電源300A、外部DC電源300Bに取り外し可能に接続されている。第1のDC/DC変換器310B及びAC/DC変換器310Aの出力は、パススルー350及び充電回路320の両方に接続されている。図3では、変換器310A、310Bは、互いに接続されているが、好ましくは、この接続は、一方から他方に電流が流れないように行われる。
【0028】
充電回路320は、2次電池325に接続されており、2次電池325は、放電回路として機能する第2のDC/DC変換器340に接続されている。パススルー350、充電回路320及び第2のDC/DC変換器340は全て、マイクロコントローラ330に接続されており、マイクロコントローラ330は、2次電池325の充電レベルを検出する。パススルー350及び第2のDC/DC変換器340は、共に、DC出力360に接続されており、DC出力360は、DC機器(図示せず)に接続することができる。
【0029】
図5Aは、本発明の他の実施の形態を示している。電源アダプタ及び蓄電ユニット500は、入力に接続された変換器回路510を備える。変換器回路510は、外部電源に取り外し可能に接続することができる。図5Aでは、電源アダプタ及び蓄電ユニット500の入力は、外部電源500’に取り外し可能に接続されている。変換器回路510の出力は、パススルー550及び蓄電インタフェース520の両方に接続されている。
【0030】
蓄電インタフェース520は、PPM580に接続されており、PPM580を充電するとともに、PPM580から放電する。更に、蓄電インタフェース520は、電源アダプタ及び蓄電ユニット500の出力を介して携帯機器590に接続されている。
【0031】
PPM580は、電源アダプタ及び蓄電ユニット500から電力が供給され、又は携帯機器590に電力を供給するために、電源アダプタ及び蓄電ユニット500に対して放電するように、蓄電インタフェース520に選択的に接続することができる。更に、PPM580は、オプションとして、携帯機器590に直接接続して、電力を直接供給することもできる。図5Aは、携帯機器590に電力を供給する電源アダプタ及び蓄電ユニット500に対応するPPM580を示している。
【0032】
図6は、本発明の他の種類の実施の形態を示している。電源アダプタ及びバックアップ電源ユニット600は、入力に接続された変換器回路610を備える。変換器回路610は、外部電源に取り外し可能に接続することができる。図6では、電源アダプタ及びバックアップ電源ユニット600の入力は、外部電源600’に取り外し可能に接続されている。変換器回路610の出力は、パススルースイッチ602及び蓄電スイッチ601の両方に接続されている。
【0033】
蓄電スイッチ601は、蓄電ユニット620に接続されており、蓄電ユニット620は、放電スイッチ603に接続されている。蓄電ユニット620は、変換器回路610が外部電源600’に接続され、蓄電スイッチ601がオンになると、蓄電スイッチ601を介して電力が供給される。蓄電ユニット620は、放電スイッチ603がオンになるとともに、負荷が存在している場合には、放電スイッチ603を介して、負荷に放電する。パススルースイッチ602、蓄電スイッチ601及び放電スイッチ603は全て、コントローラ630に接続されており、コントローラ630は、各スイッチを切り換えて、電力の供給及び蓄電を制御する。
【0034】
パススルースイッチ602及び放電スイッチ603は共に、出力660に接続されており、出力660は、電子機器(図示せず)に接続することができる。
【0035】
幾つかの実施の形態では、コントローラ630は、変換器回路610及び/又は蓄電ユニット620に接続されており、動作中の変換器回路610及び/又は蓄電ユニット620の特性を判定及び/又は制御する。例えば、幾つかの実施の形態では、コントローラ630は、蓄電ユニット620の充電レベル又はエネルギレベルを判定する。
【0036】
動作
図1〜図3に示す実施の形態の動作は、高いレベルでは類似しており、同時に説明することができる。したがって、以下では、図1の実施の形態を説明するが、この説明は、適切な構成要素名を読み替えることによって、図2又は図3の実施の形態にも同様に適用することができる。
【0037】
電源アダプタ/バックアップユニット(以下、単にユニットという。)100は、充電のみ、充電及び変換、変換のみ、放電を含む幾つかの動作状態がある。これらの状態については、理想的な動作について説明する。実際のユニットは、電子回路に生じる漏洩のために、この理想的な動作に近似した動作を示すこととなる。
【0038】
充電状態では、ユニット100は、外部電源、例えば外部AC電源100’に接続されており、これによって、AC/DC変換器110には電力が供給されている。更に、ユニット100のDC出力160は、機器が電気的に接続されておらず、開回路となっている。マイクロコントローラ130は、DC出力160が開回路であることを検出すると、パススルー150及びDC/DC変換器140をシャットダウンする。
【0039】
AC/DC変換器110に供給された電力は、ACからDCに変換され、充電回路120に供給される。充電回路120は、マイクロコントローラ130の制御の下に、DC電力を2次電池125に供給して、2次電池125を充電する。また、AC/DC変換器110は、パススルー150にも接続されているが、この2つの構成要素間では、電流は殆ど又は全く流れない。更に、DC/DC変換器140をシャットダウンすることによって、2次電池125の放電が制限される。マイクロコントローラ130は、好ましくは、2次電池125が完全に充電されると、充電回路120への電力の供給を抑える。
【0040】
充電及び変換状態では、ユニット100は、外部電源、例えば外部AC電源100’に接続されており、これによって、AC/DC変換器110には電力が供給されている。この状態では、ユニット100のDC出力160は、ユニット100から電力を得るDC駆動機器に電気的に接続されている。マイクロコントローラ130は、DC/DC変換器140を介する2次電池125の放電を調整して、DC出力160から出力される電圧を適切な値に維持しながら、充電時間が最短となるようにする。
【0041】
AC/DC変換器110に供給された電力は、ACからDCに変換され、充電回路120及びパススルー150に供給される。充電回路120は、マイクロコントローラ130の制御の下に、DC電力を2次電池125に供給して、2次電池125を充電する。また、パススルー150は、マイクロコントローラ130の制御の下に、変換されたDC電圧を、DC出力160を介してDC駆動機器に供給する。マイクロコントローラ130は、好ましくは、2次電池125が完全に充電されると、充電回路120への電力の供給と、DC/DC変換器140を介する放電とを制限する。この時点で、ユニット100は、変換のみの状態に移行する。
【0042】
変換のみの状態では、ユニット100は、外部電源、例えば外部AC電源100’に接続されており、これによって、AC/DC変換器110には電力が供給されている。この状態では、ユニット100のDC出力160は、外部AC電源100’からユニット100を介して電力を得るDC駆動機器に電気的に接続されている。マイクロコントローラ130は、DC/DC変換器140を介する2次電池125の放電を制限する。
【0043】
AC/DC変換器110に供給された電力は、ACからDCに変換され、パススルー150に供給される。充電回路120は、マイクロコントローラ130の制御の下に、消費電力を制限する。また、パススルー150は、マイクロコントローラ130の制御の下に、変換されたDC電圧を、DC出力160を介してDC駆動機器に供給する。ユニット100が電力をDC駆動機器に供給している最中に、外部AC電源100’から切断されると、ユニット100は、放電状態に移行する。
【0044】
放電状態では、ユニット100は、外部電源に接続されておらず、AC/DC変換器110には、電力が供給されていない。この状態では、ユニット100のDC出力160は、ユニット100から電力を得るDC駆動機器に電気的に接続されている。マイクロコントローラ130は、DC/DC変換器140を介する2次電池125の放電を調整して、DC出力160から出力される電圧を適切な値に維持する。マイクロコントローラ130の制御の下に、電力は、2次電池125から、DC/DC変換器及びDC出力160を介して、DC駆動機器に供給される。
【0045】
また、図5A及び図5Bに示す電源アダプタ及び蓄電ユニット(以下、単にユニットという。)500も、幾つかの動作状態がある。この動作状態には、蓄電のみ、蓄電及び供給、供給のみ、放電が含まれる。これらの状態については、理想的な動作について説明する。実際のユニットは、電子回路に生じる漏洩のために、この理想的な動作に近似した動作を示すこととなる。
【0046】
蓄電のみの状態では、ユニット500は、外部電源、例えば外部電源500’に接続されており、これによって、変換器回路510には電力が供給されている。更に、ユニット500と携帯機器590は、電気的に接続されていないので、パススルー550及び蓄電インタフェース520は、開回路となっている。蓄電インタフェース520の放電素子は、この開回路に起因して、シャットダウンされる。
【0047】
変換器回路510に供給された電力は、変換されて、蓄電インタフェース520に供給される。変換電力は、蓄電インタフェース520からPPM580に供給され、例えば2次電池を充電することによって、蓄電される。また、変換器回路510は、パススルー550にも接続されているが、この2つの構成要素間では、電流は殆ど又は全く流れない。更に、放電素子をシャットダウンすることによって、PPM580から蓄電インタフェース520を介する放電が制限される。
【0048】
蓄電及び供給の状態では、ユニット500は、外部電源、例えば外部電源500’に接続されており、これによって、変換器回路510には電力が供給されている。この状態では、ユニット500は、ユニット500から電力を得る携帯機器590に電気的に接続されている。充電時間を最小化するために、蓄電インタフェース520の放電素子は、PPM580に蓄電されている電力を殆ど又は全く使用しない。同時に、変換器回路510は、変換電力を、パススルー550を介して携帯機器590に適切な電圧で供給する。
【0049】
変換器回路510に供給された電力は、変換されて、蓄電インタフェース520及びパススルー550に供給される。蓄電インタフェース520は、変換電力をPPM580に供給し、ここで、変換電力が蓄電される。パススルー550は、変換電力を携帯機器590に供給する。蓄電インタフェース520は、PPM580が一旦完全に蓄電されると、好ましくは、PPM580への電力の供給を制限する。この時点で、ユニット500は、供給のみの状態に移行する。
【0050】
供給のみの状態では、ユニット500は、外部電源、例えば外部電源500’に接続されており、これによって、変換器回路510には電力が供給されている。この状態では、ユニット500は、ユニット500から電力を得る携帯機器590に電気的に接続されている。充電時間を最小化するために、蓄電インタフェース520の放電素子は、PPM580に蓄電されている電力を殆ど又は全く使用しない。同時に、変換器回路510は、変換電力を、パススルー550を介して携帯機器590に適切な電圧で供給する。
【0051】
変換器回路510に供給された電力は、変換されて、蓄電インタフェース520及びパススルー550に供給される。蓄電インタフェース520は、完全に蓄電されたPPM580の消費電力を制限する。パススルー550は、変換電力を携帯機器590に供給する。ユニット500が携帯機器590に電力を供給している最中に、外部電源500’から切断されると、ユニット500は、放電状態に移行する。
【0052】
放電状態では、ユニット500は、外部電源に接続されておらず、変換器回路510には、電力が供給されない。この状態では、ユニット500は、ユニット500から電力を得る携帯機器590に電気的に接続されている。蓄電インタフェース520は、PPM580からの放電を調整して、携帯機器590に対する電圧を適切な値に維持する。
【0053】
図5Bに示すように、ユニット500は、PPM580が携帯機器590に直接接続される放電状態の変化形をサポートする。この状態では、PPM580は、変換器回路510及び蓄電インタフェース520によって、既に蓄電されている。好ましくは、この変化形をサポートするために、PPM580は、蓄電インタフェース520とのインタフェースから独立した、携帯機器590との直接的なインタフェースとして構成可能な放電素子を備える。幾つかの実施の形態では、PPM580の蓄電インタフェース520に対するインタフェースを、携帯機器590にも接続できるように構成してもよい。
【0054】
また、図6に示す電源アダプタ及びバックアップ電源ユニット(以下、単にユニットという。)600も、幾つかの動作状態がある。この動作状態には、蓄電のみ、蓄電及び供給、供給のみ、放電が含まれる。これらの状態については、理想的な動作について説明する。実際のユニットは、電子回路に生じる漏洩のために、この理想的な動作に近似した動作を示すこととなる。
【0055】
蓄電のみの状態では、ユニット600は、外部電源、例えば外部電源600’に接続されており、これによって、変換器回路610には電力が供給されている。更に、ユニット600は、機器に電気的に接続されていないので、パススルースイッチ602及び放電スイッチ603は、開回路となっている。この開回路は、好ましくはコントローラ630によって検出され、放電スイッチ603は、コントローラ630によって、シャットダウンされている。コントローラ630は、好ましくは、変換器回路610から供給される電力を検出して、蓄電スイッチ601をオンにする。
【0056】
変換器回路610は、供給された電力を変換し、蓄電スイッチ601を介して蓄電ユニット620に供給する。蓄電ユニット620内において、変換電力は、例えば2次電池を充電することによって、蓄電される。また、変換器回路610は、パススルースイッチ602にも接続されているが、この2つの構成要素間では、電流は殆ど又は全く流れない。更に、放電スイッチ603をシャットダウンすることによって、蓄電ユニット620からの放電が制限される。
【0057】
蓄電及び供給の状態では、ユニット600は、外部電源、例えば外部電源600’に接続されており、これによって、変換器回路610には電力が供給されている。この状態では、ユニット600は、ユニット600から電力を得る携帯機器(図示せず)に電気的に接続されている。充電時間を最小化するために、放電スイッチ603はオフにされ、蓄電ユニット620に蓄電されている電力は、殆ど又は全く使用されない。同時に、変換器回路610は、変換電力を、パススルースイッチ602を介して携帯機器に適切な電圧で供給する。
【0058】
変換器回路610に供給された電力は、変換されて、蓄電ユニット620及びパススルースイッチ602に供給される。変換器回路610は、変換電力を蓄電ユニット620に供給し、ここで、変換電力が蓄電される。パススルースイッチ602は、変換電力を出力660に供給する。一旦蓄電ユニット620が完全に蓄電されると、好ましくは、コントローラ630は、蓄電スイッチ601をオフにすることによって、蓄電ユニット620への電力の供給を制限する。この時点で、ユニット600は、供給のみの状態に移行する。
【0059】
供給のみの状態では、ユニット600は、外部電源、例えば外部電源600’に接続されており、これによって、変換器回路610には電力が供給されている。この状態では、ユニット600は、ユニット600から電力を得る携帯機器(図示せず)に電気的に接続されている。充電時間を最小化するために、放電スイッチ603はオフにされ、蓄電ユニット620に蓄電されている電力は、殆ど又は全く使用されない。同時に、変換器回路610は、変換電力を、パススルースイッチ602を介して出力660に、機器に適した電圧で供給する。
【0060】
変換器回路610に供給された電力は、変換されて、パススルースイッチ602に供給される。コントローラ630は、放電スイッチ603をオフに切り換えることによって、蓄電ユニット620の消費電力を制限する。パススルースイッチ602は、変換電力を、出力660及びその先の機器に供給する。ユニット600が機器に電力を供給している最中に、外部電源600’から切断されると、ユニット600は、放電状態に移行する。
【0061】
放電状態では、ユニット600は、外部電源に接続されておらず、変換器回路610には、電力が供給されない。この状態では、ユニット600は、出力660を介して機器に電気的に接続されており、機器は、ユニット600から電力を得る。コントローラ630及び蓄電ユニット620は、蓄電ユニット620からの放電を調整して、機器に対する電圧を適切な値に維持する。
【0062】
使用
通常の使用時には、電源アダプタ/バックアップユニットは、非常に頻繁に、上述した様々な状態間を移行する。好ましい実施の形態では、電源アダプタ/バックアップユニットに含まれるマイクロコントローラは、全ての可能な変換を最適に実行し、迅速な2次電池の充電と、有効で一貫性がある電力供給とのバランスをとりながら、電力を管理する。
【0063】
本発明の構成及び動作の原理を明瞭に説明するために、様々な詳細を含む特定の実施の形態を用いて本発明を説明した。このような特定の実施の形態の説明及びその詳細は、特許請求の範囲を制限するものではない。本発明の主旨及び範囲から逸脱することなく、例示的に選択された実施の形態を変形できることは、当業者にとって明らかである。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】AC/DC変換及びバックアップ電池電力を提供する本発明の好ましい実施の形態を示す図である。
【図2】DC/DC変換及びバックアップ電池電力を提供する本発明の変形例を示す図である。
【図3】DC/DC変換、AC/DC変換及びバックアップ電池電力を提供する本発明の変形例を示す図である。
【図4】Aは、典型的な携帯電子機器及び例示的なアダプタを示す図であり、Bは、例示的な携帯電力モジュールを示す図である。
【図5】Aは、本発明の幾つかの実施の形態に基づく電源アダプタと、携帯電力モジュール及び携帯機器との可能な相互動作を説明する図であり、Bは、携帯電力モジュールと、電子機器との可能な相互動作を説明する図である。
【図6】本発明の幾つかの実施の形態に基づく電源アダプタ及びバックアップ電源ユニットを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力電力、内部電池及び携帯電力モジュールのうちの1つを用いて選択的に動作する電子機器用の電源アダプタ及び蓄電ユニットにおいて、
a.外部電源から電源電力が、上記電子機器によって使用不可能な形で供給され、該電源電力を上記入力電力に変換する第1の回路と、
b.上記入力電力を供給して、上記電子機器を駆動するパススルー回路と、
c.上記入力電力を上記携帯電力モジュールに蓄電する蓄電回路と、
d.上記携帯電力モジュールからの上記入力電力を供給して、上記電子機器を駆動する放電回路とを備える電源アダプタ及び蓄電ユニット。
【請求項2】
上記電源電力は、AC電力であり、上記入力電力は、DC電力であることを特徴とする請求項1記載の電源アダプタ及び蓄電ユニット。
【請求項3】
上記電源電力は、ある電圧のDC電力であり、上記入力電力は、異なる電圧のDC電力であることを特徴とする請求項1記載の電源アダプタ及び蓄電ユニット。
【請求項4】
異なる種類の電源電力が、上記電子機器によって使用不可能な形で供給され、該異なる種類の電源電力を上記入力電力に変換する第2の回路を更に備える請求項1記載の電源アダプタ及び蓄電ユニット。
【請求項5】
携帯機器用の電源アダプタ及び蓄電ユニットにおいて、
a.外部電源から電力が、上記携帯機器によって使用不可能な形で選択的に供給され、該電力から、使用可能な電力と蓄電可能な電力とを同時に生成する電力変換器ユニットと、
b.上記電力変換器ユニットに接続され、該電力変換器ユニットから上記蓄電可能な電力が供給され、該電力をエネルギとして蓄積するエネルギ蓄積ユニットと、
c.上記電力変換器ユニットに接続され、上記使用可能な電力を上記携帯機器に流す電力パススルーユニットと、
d.上記エネルギ蓄積ユニットに接続され、該エネルギ蓄積ユニット内のエネルギから使用可能な電力を生成して上記携帯機器に供給する電力出力ユニットと、
e.上記電力変換器ユニットから上記エネルギ蓄積ユニットへの上記蓄電可能な電力の供給を制御し、上記電力パススルーユニットを介した上記携帯機器への上記使用可能な電力の流れを制御し、上記エネルギ蓄積ユニットから上記電力出力ユニットを介した上記携帯機器への上記エネルギの供給を制御するコントローラユニットとを備える電源アダプタ及び蓄電ユニット。
【請求項6】
上記エネルギ蓄積ユニットは、2次電池と、充電回路とを備えることを特徴とする請求項5記載の電源アダプタ及び蓄電ユニット。
【請求項7】
上記電力出力ユニットは、放電回路を備えることを特徴とする請求項5記載の電源アダプタ及び蓄電ユニット。
【請求項8】
上記電力出力ユニットは、電力変換器を備えることを特徴とする請求項5記載の電源アダプタ及び蓄電ユニット。
【請求項9】
携帯電子機器用の電源アダプタ及びバックアップ電源ユニットにおいて、
a.外部電源から、上記電子機器によって使用不可能な電力が選択的に供給され、該電子機器によって使用可能な変換電力を生成する電力変換器と、
b.上記電力変換器に第1のスイッチングモジュールを介して接続された入力と、第2のスイッチングモジュールに接続された出力とを有するエネルギ蓄積ユニットと、
c.上記電力変換器に接続された第3のスイッチングモジュールと、
d.上記第1、第2及び第3のスイッチングモジュールに接続され、該第1、第2及び第3のスイッチングモジュールの動作を制御して、上記電力変換器からの変換電力を、上記エネルギ蓄積ユニット及び第3のスイッチングモジュールのうちの1つを介して、当該電源アダプタの及びバックアップ電源ユニットの出力に選択的に供給するコントローラとを備える電源アダプタ及び蓄電ユニット。
【請求項10】
携帯電子機器用の電源アダプタ及び蓄電ユニットにおいて、
a.外部電源から電力が、上記携帯電子機器によって使用不可能な形で選択的に供給され、電力が該外部電源から供給されたときに、該供給電力から、第1の使用可能な出力電力と蓄電可能な出力電力を生成する電力変換器ユニットと、
b.上記電力変換器ユニットから上記蓄電可能な出力電力が供給され、エネルギレベル及び総容量を有し、該エネルギレベルが該総容量よりも少ない場合は、該出力電力をエネルギとして蓄積する蓄積ユニットと、
c.上記蓄積ユニットからエネルギが供給され、該供給されたエネルギから第2の使用可能な出力電力を生成する出力ユニットと、
d.上記外部電源から上記電力変換器に電力が供給されたかを判定し、該外部電源から電力が供給されていない場合は、上記第2の使用可能な出力電力を生成して、該第2の使用可能な出力電力を上記携帯電子機器に供給するように、上記出力ユニットに指示するコントローラとを備える電源アダプタ及び蓄電ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−525723(P2009−525723A)
【公表日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−553397(P2008−553397)
【出願日】平成19年2月2日(2007.2.2)
【国際出願番号】PCT/US2007/003027
【国際公開番号】WO2007/092376
【国際公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【出願人】(506380075)フレクストロニクス エーピー,リミテッド ライアビリティ カンパニー (15)
【Fターム(参考)】