説明

携帯無線装置

【課題】アンテナ配置部周辺を手で保持した状態においても良好なアンテナ特性を得ることができる携帯無線装置を提供すること。
【解決手段】携帯無線装置100は、筐体110の第1面から視認可能に設けられた表示部120と、筐体110の第1面側であって、表示部120の下部に配置された第1アンテナ150と、表示部120の下部であって、表示部120の幅方向にみて第1アンテナ150とは反対側に配置された地線160と、を備える。携帯無線装置100は、回路基板130と、地線160と回路基板130との間に設けられたリアクタンス素子161と、筐体110の第1面の反対側の第2面であって、表示部120の下部に配置された無給電素子170と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話機等の携帯無線装置に関し、特に、バー構造(ストレート構造)、カード型など、1つの筐体で構成される携帯無線装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯無線装置では小型化と多機能化が進んでおり、近年の多機能化のひとつとして、デザイン性向上のためアンテナの内蔵化が進んでいる。
【0003】
また、携帯電話機等の携帯無線装置は、アンテナと人体との距離を大きくすることでアンテナの感度劣化を防止している。
【0004】
スマートホンなどのバー構造を持つ携帯無線装置においては、セルラアンテナは通話時における人体頭部との距離および実装体積確保のためボトム部に配置することが主流である。
【0005】
また、クラムシェル・スライド構造においてもヒンジ部にアンテナ素子を配置する際、ヒンジ周辺構造の変化(ヒンジ導体形状・上下基板接続線路等)がアンテナ性能へ大きく影響するため、下筐体ボトム部にアンテナを配置する場合がある。
【0006】
特許文献1には、表示デバイスとタッチセンサからなるタッチパネルを備える無線装置が記載されている。特許文献1記載の無線装置は、筐体の下部でタッチセンサに隠れない位置において、断面視でタッチセンサとは反対側に第3アンテナ素子を配置している。これにより、タッチセンサの影響を抑え、アンテナ特性を確保しようとする。
【0007】
特許文献2には、通信中の通信モ−ドに応じ、筐体に配置された第1,第2のアンテナ部を切替えて使用し、アンテナと人体の距離を大きくしてアンテナ感度劣化が小さく良好な通信を確保する携帯無線機が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2010−239211号公報
【特許文献2】特開2003−163956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このようなスマートホンに代表される大型表示部を搭載したバー構造を持つ端末では、アンテナは、一般的に、通話時における人体頭部からの影響及び実装体積の観点から筐体の下端部に配置することが好ましい。
【0010】
しかし、筐体の下端部は使用形態に関わらず、最も手で保持しやすい位置であるため、手保持時のアンテナ性能確保が課題となる。
【0011】
特許文献1記載の無線装置では、手の影響が想定されておらず、アンテナ配置部周辺を手で保持した場合、アンテナ特性が確保できない。
【0012】
特許文献2記載の携帯無線機では、通話時に下端部が手で覆われる可能性を無視しており、アンテナ配置部周辺を手で保持した場合、アンテナ特性が確保できない。
【0013】
本発明の目的は、アンテナ配置部周辺を手で保持した状態においても良好なアンテナ特性を得ることができる携帯無線装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明の携帯無線装置は、筐体と、前記筐体の第1面から視認可能に設けられた表示部と、前記筐体の第1面側であって、前記表示部の下部に配置された第1アンテナと、を備える構成を採る。
【0015】
また、本発明の携帯無線装置は、筐体と、前記筐体の第1面から視認可能に設けられた表示部と、音を出力するレシーバと、前記筐体の第1面側であって、前記表示部の前記レシーバに対して反対側に配置された第1アンテナと、を備える構成を採る。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、アンテナ配置部周辺を手で保持した状態においても良好なアンテナ特性を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の実施の形態に係る携帯無線装置の概略構成を示す正面図
【図2】図1の携帯無線装置の構成要素を示す図
【図3】図1の携帯無線装置の構成要素を示す図
【図4】上記実施の形態に係る携帯無線装置の第1アンテナの位置関係を説明する図
【図5】上記実施の形態に係る携帯無線装置の第1アンテナの位置関係を説明する図
【図6】上記実施の形態に係る携帯無線装置のアンテナ配置の特徴を説明する模式図
【図7】上記実施の形態に係る携帯無線装置を手に持ち頭に近づけた場合の底面図
【図8】上記実施の形態に係る携帯無線装置の第1アンテナの配置を説明する底面図
【図9】上記実施の形態に係る携帯無線装置の、比較のために地線がない場合の構成を説
【図10】上記実施の形態に係る携帯無線装置の地線を有する場合の構成を説明する図
【図11】上記実施の形態に係る携帯無線装置の第1アンテナの開放端部を説明する底面図
【図12】上記実施の形態に係る携帯無線装置の無給電素子を有する構成を説明する図
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0019】
(実施の形態)
図1は、本発明の一実施の形態に係る携帯無線装置の概略構成を示す正面図である。図2及び図3は、図1の携帯無線装置の構成要素を示す図である。図2(a)は、その正面図、図2(b)は、その右側面図、図2(c)は、その上面図、図3(a)は、その背面図、図3(b)は、その左側面図、図3(c)は、その底面図である。
【0020】
以下、本発明に係る携帯無線装置を、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末で具現化する。また、カメラ付き携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)の携帯通信端末に適用してもよい。
【0021】
図1に示すように、携帯無線装置100は、バータイプの筐体110を備える。なお、携帯無線装置100が、折畳式携帯電話機の場合、筐体110は、本体側筐体である。
【0022】
携帯無線装置100は、筐体110と、表示部120とを備える。
【0023】
表示部120は、筐体110の第1面から視認可能に設けられている。表示部120は、大画面化のため実装体積が縮小されている。また、表示部120には、タッチパネル(図示略)が設置され、入力手段の機能も兼ね備えている。
【0024】
携帯無線装置100は、通話、データ通信などの使用状態に関わらず、筐体下端部110aを手1で保持する可能性が高い。
【0025】
図2及び図3に示すように、携帯無線装置100は、筐体110と、表示部120と、レシーバ122と、回路基板130と、筐体下端部110aに設置され、回路基板130に給電点140を介して接続された第1アンテナ150と、地線160と、無給電素子170と、を備える。
【0026】
なお、筐体下端部110aには、回路基板130に接続されたマイク信号線及びマイク(図示略)が設置される。マイク(図示略)の吸音孔は、筐体下端部110a底部に開口している。
【0027】
〔表示部120〕
表示部120は、筐体110の第1面から視認可能に設けられている。また、表示部120は、筐体110の表面の略全面を覆う大型ディスプレイである。表示部120は、LCDディスプレイ又は有機EL(Organic Electro-Luminescence)ディスプレイ等で構成され、受信した情報の内容やコンテンツ等を表示する。
【0028】
〔レシーバ122〕
レシーバ122は、表示部120と同様に筐体110の第1面から視認可能に設けられている。また、レシーバ122は、筐体110の第1面の上部に設けられている。より詳しくは、レシーバ122の放音孔が、筐体110の第1面の上部に設けられている。レシーバ122は、音を出力するデバイスである。レシーバ122は、例えば、着信があった場合に、着信音を鳴動させたり、相手の音声を出力したりする。
【0029】
〔回路基板130〕
回路基板130は、携帯無線装置100の各種機能を実現する回路部品が実装されたプリント基板である。回路基板130の下端には、第1アンテナ150を接続する給電点140が形成されている。
【0030】
〔第1アンテナ150〕
第1アンテナ150は、筐体110の第1面側に配置されている。また、第1アンテナ150は、表示部120の下部に配置される。すなわち、第1アンテナ150は、表示部120のレシーバ122に対して反対側に配置されている。また、第1アンテナ150は、回路基板130の下端の給電点140に接続される。第1アンテナ150を構成する金属フレームには、高い導電性を有し、かつ軽量で強度が高い金属、例えばマグネシウム合金を用いる。第1アンテナ150は、筐体下端部110aにおいて、回路基板130の下端に接続された給電点140から、筐体110の幅方向に延びている。
【0031】
第1アンテナ150は、2GHz帯に対応し、正面視で筐体110下端、断面視で表示部120側に配置する。
【0032】
また、第1アンテナ150には、筐体110の背面ケースと略垂直になる開放端部150a(図7参照)が形成されている。
【0033】
〔地線160〕
地線160は、筐体110の第1面側に配置されている。また、地線160は、表示部120の下部に配置されている。すなわち、地線160は、表示部120のレシーバ122に対して反対側に配置されている。また、地線160は、表示部120の幅方向にみて第1アンテナ150とは反対側に配置されている。
【0034】
地線160は、表示部120側の面の下端付近(すなわち、レシーバ側の面、手から離れる位置)に第1アンテナ150に付加して設ける。第1アンテナ150と地線160とは左右に互いに反対側に配置する。地線160と第1アンテナ150の導電部とは、同一線上で略揃うように配置される。
【0035】
地線160は、正面視で筐体110下端、断面視で表示部120側に配置する。地線160は、リアクタンス素子161を介して接地点162に接地し、所定の帯域で共振するように構成する。具体的には、リアクタンス素子161を調整すること等により、地線160が、800MHz周辺帯域と2GHz帯域内双方で共振するように構成する。接地点162は、第1アンテナ150の給電点140と筐体110短手方向で離れるように構成する。
【0036】
なお、地線160が、800MHz周辺帯域と2GHz帯域内双方で共振するように構成する代わりに、800MHz周辺帯域又は2GHz帯域内のどちらかで共振するように構成こともできる。例えば、地線160を800MHz使用帯域から5〜25%程度低い周波数の範囲内で共振するように調整することもできる。
【0037】
また、地線160には、筐体110の背面ケースと略垂直になる開放端部160a(図6参照)が形成されている。
【0038】
このように、第1アンテナ150開放端部150aと地線160の開放端部160aは、いずれも筐体110の筐体110の第1面と略垂直となっている。
【0039】
〔リアクタンス素子161〕
リアクタンス素子161は、地線160と回路基板130との間に設ける。また、前述したように、リアクタンス素子161を調整すること等により、地線160が00MHz周辺帯域と2GHz帯域内双方で共振するように構成する等、地線160が所定の帯域で共振するように構成することができる。
【0040】
リアクタンス素子161は、筐体手保持時に、地線160の共振周波数が800MHz帯になるように調整することが好ましい。
【0041】
〔無給電素子170〕
無給電素子170は、表示部120側の面の下端付近、表示部120と反対側の面に設ける。
【0042】
無給電素子170は、2GHz帯に対してλ/2程度の電気長を有する導体である。
【0043】
〔第2アンテナ270〕
第2アンテナ270は、筐体110の第1面の反対側の第2面に配置されている。また、第2アンテナ270は、表示部120の下部に配置されている。すなわち、第2アンテナ270は、表示部120のレシーバ122に対して反対側に配置されている。また、第2アンテナ270は、800MHz帯に対応し、正面視で筐体110下端、断面視で表示部120反対側に配置する。第2アンテナ270は、筐体110短手方向で第1アンテナ150の給電点140近傍から給電する。第2アンテナ270は、表示部120側と反対側手に近い位置に配置する。
【0044】
本実施の形態では、第2アンテナ270は、遮断回路(リアクタンス素子171)を介して第1アンテナ150の給電点140に接続された、無給電素子170である。
【0045】
〔リアクタンス素子171〕
リアクタンス素子171は、第2アンテナ270の給電点140に配置された、1.5GHz帯〜2GHz帯の遮断回路である。リアクタンス素子171は、第2アンテナ270と給電点140との間に配置された、1.5GHz帯から2GHz帯までの遮断回路である。
【0046】
図4及び図5は、第1アンテナ150の位置関係を説明する図であり、図4は、図3(b)の要部拡大図、図5は、その底面図である。
【0047】
図4及び図5に示すように、第1アンテナ150Aは、寸法・厚さを説明するために図3(c)の第1アンテナ150と断面形状を変えている。第1アンテナ150Aは、第1アンテナ150と同様に、2GHzに対応し、正面視で筐体110下端、断面視で表示部120側に配置する。
【0048】
第1アンテナ150Aは、端末厚み方向で、第1アンテナ150A表面と、表示部120表示面との間隔Aが、携帯無線装置100の総厚みTに対して以下の関係になるように設定する。
【0049】
A≦0.5×T
好ましくは
A≦0.3×T
に設定する。
【0050】
例えば、上記関係式により、携帯無線装置100の総厚みTが14mmの場合、表示面との間隔Aは、4.2mm以下とする。
【0051】
発明者らの実測例によれば、第1アンテナ150A背面と携帯無線装置100背面との間隔Bは、上記Aの条件さえ満たしていれば重要でないことは判明している。
【0052】
なお、図5に示すように、第1アンテナ150Aの形状が、厚み方向で一定ではない場合、上記Aは第1アンテナ150Aの最も表示面側の箇所を基準に考えるものとする。
【0053】
以下、上述のように構成された携帯無線装置100の動作について説明する。
【0054】
図6及び図7は、携帯無線装置100のアンテナ配置の特徴を説明する模式図である。図6(a)は、その正面図、図6(b)は、その右側面図、図6(c)は、その左側面図である。図7は、携帯無線装置100を手1に持ち、頭2に近づけた場合の底面図である。
【0055】
[地線160を有する構成]
図6(a)(c)に示すように、携帯無線装置100は、地線160を有する。
【0056】
[第1アンテナ150:手から離れる配置]
図7a.に示すように、第1アンテナ150は、手1から離れる位置、すなわち正面視で筐体110下端、断面視で表示部120側に配置する。
【0057】
[地線160:手から離れる配置]
図6(a)(c)に示すように、地線160は、手1から離れる位置、すなわち正面視で筐体110下端、断面視で表示部120側に配置する。ここで、正面視で筐体110下端とは、表示部120のレシーバ122に対して反対側のことである。すなわち、地線160は、表示部120のレシーバ122に対して反対側に配置されている。
【0058】
[地線160:リアクタンス素子161を介して接地]
図6(a)(c)に示すように、地線160は、リアクタンス素子161を介して接地点162に接地する。接地点162は、第1アンテナ150の給電点140と筐体110短手方向で離れる位置に形成する。地線160は、リアクタンス素子161を介して接地点162に接地することで、2GHz使用帯域内で共振するよう構成することが好ましい。
【0059】
また、リアクタンス素子161は、地線160を800MHz使用帯域から5〜25%程度低い周波数の範囲内で共振させることが好ましい。このように、リアクタンス素子161を、地線160を800MHz使用帯域から5〜25%程度低い周波数の範囲内で共振させるように構成することにより、図7に示すように手1によって保持された場合に、地線160の共振周波数が800MHz使用帯域になるように構成することができる。
【0060】
また、リアクタンス素子161は、地線160を上記800MHz周辺帯域と2GHz帯域内双方で共振するように構成することが好ましい。
【0061】
[第1アンテナ150:開放端部150a垂直構成]
図7に示すように、第1アンテナ150の、給電点140の反対側である開放端部150aは、筐体110の背面ケースと略垂直になるよう形成する。
【0062】
[地線160:開放端部160a垂直構成]
図6(c)に示すように、地線160の、接地点162の反対側である開放端部160aは、筐体110の背面ケースと略垂直になるよう形成する。
【0063】
[無給電素子170を有する構成]
図6及び図7に示すように、携帯無線装置100は、無給電素子170を有する。無給電素子170は、2GHz帯に対してλ/2程度の電気長を有する導体であり、表示部120側の面の下端付近、表示部120と反対側の面に設ける。無給電素子170は、第1アンテナ150の反射素子として動作する。
【0064】
[無給電素子170:リアクタンス素子171を介して給電点140に接続]
図6及び図7に示すように、無給電素子170は、リアクタンス素子171を介して給電点140に接続する。リアクタンス素子171は、1.5GHz帯〜2GHz帯を遮断する遮断回路である。無給電素子170は、リアクタンス素子171を介して給電点140に接続されることで、第2アンテナ270として動作する。すなわち、無給電素子170は、第1アンテナ150の反射素子として動作する一方、1.5GHz帯〜2GHz帯遮断回路(リアクタンス素子171)を介して給電点140に接続することで、800MHz帯の第2アンテナ270として動作する。
【0065】
[第2アンテナ270を有する構成]
図6及び図7に示すように、第2アンテナ270は、無給電素子170を、リアクタンス素子171を介して給電点140に接続することで構成する。第2アンテナ270は、筐体110短手方向で第1アンテナ150の給電点140近傍から給電する。第2アンテナ270は、800MHz帯に対応する。第2アンテナ270は、無給電素子170そのものでもあるため、無給電素子170と同様の位置、すなわち、正面視で筐体110下端、断面視で表示部120反対側に配置される。
【0066】
図7b.に示すように、第2アンテナ270は、表示部120側と反対側手に近い位置に配置する。第2アンテナ270は、筐体110の第1の面の反対側であって、表示部120の上下方向の中心よりも下側に備える。
【0067】
上記アンテナ配置の特徴についてさらに詳細に説明する。
【0068】
図8は、携帯無線装置100の第1アンテナ150の配置を説明する底面図である。
【0069】
図8a.に示すように、第1アンテナ150は、手1から離れる位置、すなわち正面視で筐体110下端、断面視で表示部120側に配置する。また、図示は省略するが、地線160についても手1から離れる位置、すなわち正面視で筐体110下端、断面視で表示部120側に配置する。
【0070】
このアンテナ配置により、第1アンテナ150を手のひらから離すことができ、手1の影響を軽減することができる。人体の影響を抑え、高いアンテナ性能を得ることができる。
【0071】
図9及び図10は、携帯無線装置100の地線160を有する構成を説明する図である。図9(a)は、比較のために地線160がない場合の平面図、図9(b)は、その右側面図である。図10(a)は、地線160を有する構成の正面図、図10(b)は、その右側面図、図10(c)は、その左側面図である。
【0072】
図9に示すように、地線160がない場合には、第1アンテナ150からのアンテナ電流は、給電点140を通して回路基板130に流れる。地線160がない場合のアンテナ電流は、回路基板130に流れるので、手1の影響を受け、アンテナ特性が確保できない虞がある。
【0073】
図10に示すように、携帯無線装置100は、手1から離れる位置、すなわち正面視で筐体110下端、断面視で表示部120側に地線160を配置する構成を採る。地線160は、リアクタンス素子161を介して接地点162に接地し、2GHz使用帯域内で共振するよう構成する。接地点162は、第1アンテナ150の給電点140と筐体110短手方向で離れる位置に形成する。
【0074】
上記地線160を備えることにより、図10に示すように、第1アンテナ150からのアンテナ電流(2GHz電流)は、地線160に乗る(回流する)ことになる。アンテナ電流が、手のひらから離れた地線160に乗ることで、手1の影響を軽減することができる。人体の影響を抑え、高いアンテナ性能を得ることができる。
【0075】
ここで、図6(c)で上述したように、地線160は、接地点162の反対側である開放端部160aが、筐体110の背面ケースと略垂直になるよう形成することで、手のひらと開放端部160aが直交し、手1の影響を更に軽減することができる。
【0076】
図11は、携帯無線装置100の第1アンテナ150の開放端部150aを説明する底面図である。
【0077】
図11に示すように、第1アンテナ150は、給電点140の反対側である開放端部150aが、筐体110の背面ケースと略垂直になるよう形成する。これにより、手のひらと開放端部160aが直交し、インピーダンスの高いセンシティブな部分を垂直にすることで、手1の影響を更に軽減することができる。
【0078】
図12は、携帯無線装置100の無給電素子170を有する構成を説明する図である。図12(a)は、その正面図、図12(b)は、その右側面図である。
【0079】
図12に示すように、携帯無線装置100は、第1アンテナ150と略並行に配置された、無給電素子170を有する。無給電素子170は、2GHzに対してλ/2程度の長さの無接点端子であり、表示部120側の面の下端付近、表示部120と反対側の面に設ける。無給電素子170は、第1アンテナ150の反射素子として動作する。無給電素子170が、反射素子として動作することで、手1の影響を更に軽減することができる。
【0080】
以上詳細に説明したように、本実施の形態の携帯無線装置100は、筐体110の第1面から視認可能に設けられた表示部120と、筐体110の第1面側であって、表示部120の下部に配置された第1アンテナ150と、表示部120の下部であって、表示部120の幅方向にみて第1アンテナ150とは反対側に配置された地線160と、を備える。第1アンテナ150は、第1面と略垂直である開放端部150aを有し、地線160は、第1面と略垂直である開放端部160aを有する。
【0081】
また、携帯無線装置100は、回路基板130と、地線160と回路基板130との間に設けられたリアクタンス素子161と、を備える。リアクタンス素子161は、800MHz使用帯域から5〜25%程度低い周波数の範囲内で共振するように調整する。また、また、リアクタンス素子161は、筐体手保持時に、地線160の共振周波数を800MHz帯に調整する。また、リアクタンス素子161は、地線160の共振周波数を800MHz周辺帯域と2GHz帯域内双方で共振するように調整する。
【0082】
また、携帯無線装置100は、筐体110の第1面の反対側の第2面であって、表示部120の下部に配置された無給電素子170を備える。無給電素子170は、2GHz帯に対してλ/2程度の長さの無給電素子である。
【0083】
また、携帯無線装置100は、筐体110の第1面の反対側の第2面であって、表示部120の下部に配置された第2アンテナ270を備える。第2アンテナ270は、遮断回路(リアクタンス素子171)を介して第1アンテナ150の給電点140に接続された、無給電素子170である。
【0084】
以上の構成により、第1アンテナ150を手のひらから離すことができ、手の影響を軽減することができる。また、手のひらから離れた地線160に2GHz電流を載せることで、手の影響を更に軽減することができる。手のひらと第1アンテナ150及び地線160開放端部が直交し、手の影響を更に軽減することができる。
【0085】
無給電素子170が反射素子として動作することで、手の影響を更に軽減することができる。
【0086】
ここで、800MHz帯は筐体110サイズの関係上、筐体110電流が支配的であるため、手から離す効果が小さい。そこで、2GHz帯との干渉を抑えるために厚み方向で第1アンテナ150と離して構成(断面視で表示部120反対側に配置)するようにしている。
【0087】
リアクタンス素子161は、800MHz使用帯域から5〜25%程度低い周波数の範囲内で共振するように調整するのは、下記の理由による。
【0088】
実装制約の都合上、800MHz帯に対して地線160は小さくせざるを得ない。地線160に電流を乗せすぎると根本の放射効率が劣化する。そこで、本実施の形態では、地線160を800MHz使用帯域より少し低い周波数で共振させ、地線160と筐体110の給電から離れた地線160接点側に電流を分散させることで、800MHz帯における手の影響を軽減している。
【0089】
リアクタンス素子161は、筐体手保持時に、地線160の共振周波数を800MHz帯に調整することで、さらに手の影響を軽減することができる。
【0090】
リアクタンス素子161は、地線160の共振周波数を800MHz周辺帯域と2GHz帯域内双方で共振するように調整することで、800MHzと2GHz双方で、上述した地線160の効果を得ることができる。
【0091】
無給電素子170を、遮断回路(リアクタンス素子171)を介して第1アンテナ150の給電点140に接続することで、無給電素子170を第2アンテナ270として動作させることができ、第2アンテナ270を無給電素子170と共用できる効果がある。
【0092】
ここで、第1アンテナ150の給電側を太く、開放端側を細く成形するように構成してもよい。この際、細くなった開放端はできる限り表示部120側になるように成形する。さらに、アンテナ整合回路として1.5GHz帯と2GHz帯の間で共振する並列共振回路を給電対GNDに挿入し、1.5GHz帯と2GHz帯で整合を取るようにする。このように構成することで、第1アンテナ150を一般的な素子途中へのトラップ装荷なしで2共振化(1.5GHz帯、2GHz帯)することができる。トラップロス分性能改善することに加え、低コスト化にも繋がる効果がある。
【0093】
以上の説明は本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されることはない。
【0094】
筐体の第1面から視認可能に設けられた表示部と、筐体の第1面側であって、表示部の下部に配置された第1アンテナとを有する携帯無線装置であればどのような装置にも適用できる。例えば、バー構造を持つ携帯無線装置は勿論のこと、携帯電話機/PHS(Personal Handy-Phone System)、PDA(Personal Digital Assistants)等の携帯情報端末、ノート型パソコン等の情報処理装置にも適用可能である。
【0095】
また、上記実施の形態では、携帯無線装置という名称を用いたが、これは説明の便宜上であり、携帯無線機、無線装置等でもよいことは勿論である。
【0096】
また、上記携帯無線装置を構成する筐体、アンテナ素子、表示部の種類、数及び接続方法などは前述した実施の形態に限られない。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明に係る携帯無線装置は、アンテナ配置部周辺を手で保持した状態においても良好なアンテナ特性を得ることができる携帯無線装置を提供できる。バー構造を持つ携帯電話機等の携帯無線装置などに有用である。
【符号の説明】
【0098】
1 手
2 頭
100 携帯無線装置
110 筐体
110a 筐体下端部
120 表示部
122 レシーバ
130 回路基板
140 給電点
150,150A 第1アンテナ
150a,160a 開放端部
160 地線
160a 開放端部
161,171 リアクタンス素子
162 接地点
170 無給電素子
270 第2アンテナ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体の第1面から視認可能に設けられた表示部と、
前記筐体の第1面側であって、前記表示部の下部に配置された第1アンテナと、
を備える携帯無線装置。
【請求項2】
筐体と、
前記筐体の第1面から視認可能に設けられた表示部と、
音を出力するレシーバと、
前記筐体の第1面側であって、前記表示部の前記レシーバに対して反対側に配置された第1アンテナと、
を備える携帯無線装置。
【請求項3】
前記筐体の第1面側で、かつ、前記表示部の下部であって、前記表示部の幅方向にみて前記第1アンテナとは反対側に配置された地線を備える、請求項1又は請求項2に記載の携帯無線装置。
【請求項4】
前記第1アンテナは、前記第1面と略垂直である開放端部を有する、請求項1又は請求項2に記載の携帯無線装置。
【請求項5】
前記地線は、前記第1面と略垂直である開放端部を有する、請求項3に記載の携帯無線装置。
【請求項6】
前記筐体の前記第1面の反対側の第2面であって、前記表示部の下部に配置された無給電素子を備える、請求項1に記載の携帯無線装置。
【請求項7】
前記筐体の前記第1面の反対側の第2面であって、前記表示部の前記レシーバに対して反対側に配置された無給電素子を備える、請求項2に記載の携帯無線装置。
【請求項8】
前記無給電素子は、2GHzに対してλ/2程度の長さの無接点素子である、請求項6又は請求項7に記載の携帯無線装置。
【請求項9】
前記筐体の第1面の反対側の第2面であって、前記表示部の下部に配置された第2アンテナを備える、請求項1に記載の携帯無線装置。
【請求項10】
前記筐体の第1面の反対側の第2面であって、前記表示部の前記レシーバに対して反対側に配置された第2アンテナを備える、請求項2に記載の携帯無線装置。
【請求項11】
回路基板と、
前記地線と前記回路基板との間に設けられたリアクタンス素子と、を備える請求項3に記載の携帯無線装置。
【請求項12】
前記リアクタンス素子は、前記地線の共振周波数が800MHz使用帯域から5〜25%程度低い周波数の範囲内になるように調整された、請求項11に記載の携帯無線装置。
【請求項13】
前記リアクタンス素子は、前記筐体を手で保持した場合に、前記地線の共振周波数が800MHz帯になるように調整された、請求項11に記載の携帯無線装置。
【請求項14】
前記リアクタンス素子は、前記地線の共振周波数が800MHz周辺帯域と2GHz帯域内双方になるように調整された、請求項11に記載の携帯無線装置。
【請求項15】
前記第2アンテナは、遮断回路を介して前記第1アンテナの給電点に接続された、無給電素子である、請求項9又は請求項10に記載の携帯無線装置。
【請求項16】
前記遮断回路は、1.5GHzから2GHzを遮断するリアクタンス素子である、請求項15に記載の携帯無線装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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