説明

携帯用赤外線カメラ

【課題】携帯性に優れ、片手で、容易に操作することのできる赤外線カメラを提供する。
【解決手段】レンズ組立体2と、電気エネルギー源5と、レンズ組立体を介して受取る情報を記録、処理する処理手段6とを有する手持ち式赤外線カメラで、伸長形状のハウジング3を有し、レンズ組立体2はハウジング3の一方端に取り付けられ、他方端4は使用者用ハンドルとして形成され、好ましくは、その長手方向軸線21は、レンズ組立体の光軸22に対して相対的に傾いて、角度αをなし、片手操作可能な手動制御手段が提供され、視覚による制御手段はカメラ使用者の目や体から離して保持、操作する時に眺めることができる。このカメラは検査用カメラとなり、またカメラからの情報を無線伝送する手段が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前提部分で述べるような種類の手持ち式赤外線カメラに関するも
のである。
【背景技術】
【0002】
様々な品目の局所温度を制御するための、様々な種類の非触型特殊機器を使用して、そ
れらの品目の状態を調べることがますます一般的になっている。例えば、対象物から一定
の距離をおいて制御を行うために、非触型赤外線機器によって熱の漏れの探索が可能であ
ることがよく知られている。また、食品安全、車の製造および修理、飛行機の検査など、
多くの適用分野で、スポット高温計(非触型温度計)が使用される。しかし、スポット高
温計を使用する場合、操作者は、実際の温点を見出すために、スポット高温計を様々な方
向に向けることによって対象物を手動で走査する以外に、制御を実行する方法がない。そ
のため、目的とする対象または重要な温点を逃す危険を冒している。これは、時として厄
介で時間を要する方法であり、実際の温点を見出す効果的な方法ではない。このように、
スポット高温計を使用すると、安全に結果が得られない危険性がある。
【0003】
赤外線カメラを使用すると、温点をより安全に検出することができる。しかし、問題点
として、通常のIRカメラは、かなり重い光学機器であり、両手で注意深く丁寧に扱う必
要がある。これらは、しばしば、回転接合部上に標準的なファインダまたは液晶ディスプ
レイを設けた標準的なビデオ・カメラに類似した設計がなされる。このような機器は、比
較的壊れ易く、作業技術員が、その任務を遂行しなければならない多くの厳しい環境で使
用するのには適していない。
【0004】
多くの適用分野で、作業技術員は、扱い易く、厄介な場所で使い易いIRカメラを必要
としている。また、相当な手荒い扱いにも耐えることができ、様々な状況で持ち歩くこと
が容易な頑丈な機器を望むことがよくある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の目的は、携帯性に優れ、好ましくは片手で、容易に操作することのできる赤外
線カメラを提供することにある。
本発明の他の目的は、相当な手荒い扱いにも耐えることができ、様々な、かつ時として
困難な環境で使用できる赤外線カメラを提供することにある。
本発明の更に他の目的は、妥当な価格で、信頼性のある、用途の広い赤外線カメラを提
供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の目的は、請求項1の特徴を有する赤外線カメラによって達成される。
本発明によると、実質的にハウジングが伸長形状であり、一方の端にレンズ組立体が取
り付けられ、反対側の端が使用者用ハンドルとして形成される赤外線カメラが得られる。
ハウジングには、使用者による親指操作用の手動制御手段と、ある距離を置いて見るため
の視覚による制御手段も設けられる。これによって、使用者の目および体から離して、で
容易に片手カメラを保持し、操作することができる。この創意に富んだカメラは、様々な
環境でのサーモグラフ検査で、有利に使用することができる。
【0007】
カメラのハウジングの伸長形状は、優れた握り性を提供し、壊れ易い突き出た部分が無
く、優れた携帯性を実現し、また、頑丈なデザインを提供するのに寄与する。
また、操作し易いこの設計は、カメラの使用により優れた結果を得ることに寄与する。
これは、カメラを使用する作業員が、カメラの操作に苦心するよりも、解決すべき実際の
問題に、より集中できるからである。
【実施例】
【0008】
本発明の詳細および利点が、以下の記述および添付の請求項から明らかとなる。
図1〜4に、本発明による赤外線カメラ1を示す。レンズ組立体2が提供されるが、こ
れは、交換可能であり、実質的に伸長形状のハウジング3の一方端に固定され、その反対
側の端部4は、使用者用ハンドルとして形成される。ハンドル部4のハウジング3の内側
に、電気エネルギー源5が、再充電可能電池の形態で適切に提供されるが、他の選択肢も
明らかに可能である。ハウジング3の内側には、レンズ組立体2を介して得られる情報を
受け取り、処理する処理装置6も提供される。
【0009】
ハンドル部4の前方の、ハウジング3の前部に、カメラ1を操作するためのユーザ・イ
ンタフェースが配置される。このインタフェースの配置構成は、視覚により、かつ片手だ
けにより、容易で迅速なカメラの制御および操作を提供することを目的とする。このよう
に、ハウジング3の前部の上面の前部に位置するディスプレイ7と、ハンドル部4の前方
に位置する手動制御手段とが提供される。手動制御手段に含まれるものとして、使用者の
親指によって操作されるように意図され、ディスプレイ7とハンドル部4との間に位置す
る、制御手段の第1の集合体8がある。本明細書で示す実施例では、この第1の集合体8
は、4つの押ボタン9〜12と、いくつかの方向に傾けることのできる操作レバー・ボタ
ン13とを含む。押ボタン9〜12は、円弧上に位置することが好ましく、その円弧の半
径は、実質的に、ハンドル部4を保持する使用者の親指の動きの半径に相応するものであ
る。押ボタンではなく、他の種類の手動制御手段も、当然使用することができる。また、
様々な手動制御手段の構成および数も可能である。
【0010】
手動制御手段に含まれるものとして、使用者の人差し指によって操作するように意図さ
れた、ハウジング3の下側の前部で、実質的に前記第1の集合体8の反対側に位置する、
制御手段の第2の集合体14もある。この実施例の場合、第2の集合体14は、カメラ1
の様々な機能を作動および停止させるために使用する引き金15を含む。カメラの所望の
設計、および意図する機能によって、当然他の実施例も可能である。一例として、ハウジ
ング3の前面に窓部16(図4)を有し、所望の対象物にカメラ1を向ける助けとなるこ
とを目的としたレーザを、引き金15によって作動および停止させることができる。
【0011】
状況によっては、任務遂行中に、測定結果や写真を制御センターに送信することが望ま
しい場合がある。この目的のために、カメラ1に、好ましくはハウジング3の前面(図4
)に、通信用窓部17を有する、IRDAリンク、または類似の無線通信用装置を含める
ことができる。また、ブルートゥース(Bluetooth)技術または類似の技術を使
用することもできる。必要な場合、同じ機器を使用して、赤外線画像または他の情報を、
直接または携帯電話で、コンピュータに転送することもできる。カメラに音響警報装置(
図示せず)を配置することもでき、これは、臨界温度が所定の安全範囲内にない対象物ま
たは対象領域を発見または指摘した時、可聴警報を発するように設定できる。このような
方法で、操作者に、視覚および音響の双方によって、重大な状況を知らせることができる

【0012】
図5に示すとおり、ドッキング・ステーション(docking station)2
4にカメラを格納させるために、図3に示すとおりハンドル部4の後端または他の場所に
、蓋19を介して接触可能な接続部の集合体18を設けることができ、それによって、操
作装置6を、様々な目的で、また充電を行うために、基地局と交信させることができる。
ハンドル部4にホルダ20を設けることができ、それによって、カメラ1を、例えば使
用していない時に、操作者のベルトに掛けておくことができる。
【0013】
図1のとおり、ハンドル部4は、長手方向軸線21を有し、レンズ組立体2は、光軸2
2を有する。これら2つの軸は、互いに平行であるか、または図示のとおり、互いに相対
的に角度αをなし、その角度の最大値は90°である。この角度αは、45°未満の値を
有することが好ましい。この角度αは、15〜30°の範囲内にあることが望ましく、実
質的には図面に示す通り約20°であることが有利である。
【0014】
この実施例によれば、図6で概略的に示す通り、どちらの手でもカメラ1を保持するこ
とが可能であり、実線で示す通り、手を安定した低位置に保持し、ディスプレイ7の映像
を十分かつ容易に得ながら、カメラを対象物に向けることが可能となる。カメラを様々な
位置で保持する際、操作者25が、容易にディスプレイ7を見ることができるように、デ
ィスプレイを、可能な限りカメラの前部に配置することが好ましい。これは、良い映像を
得るために使用者が首を曲げる必要を軽減させる助けとなる。処理装置6によってディス
プレイ7で利用できるようにされたメニューの選択を行うために、操作者25は、親指と
人差し指で、適切なボタンを作動させて、所望の機能を選択することができる。カメラを
所望の対象物に向けることを簡単にするために、引き金15によって、カメラに含まれた
レーザを作動させることができる。一度対象物に向けられると、引き金15を使用して、
特別の写真を残すことができる。このカメラは、親指で操作するボタンによって、作動お
よび停止させることができる。必要に応じて、結果および画像を一時的に保存して、後で
都合の良い時にアンロードすることができる。カメラ1は、バランスを良くすることが容
易であり、とりわけエネルギー源5をハンドル部4に配置することによって、保持するた
めにより安定したものとなる。これはまた、従来の機器を使用した場合には、探し出すの
が困難で操作者を疲労させるような対象物を検査したい時に、操作を簡単にする助けとも
なる。
【0015】
ハウジング3を頑丈にし、好ましくは防振ゴムを設けて耐震性を持たせることによって
、おそらくはLCD形式のディスプレイ7を、充分に保護されたものにする。それと同時
に、手動の操作手段を明瞭で、操作し易くすることによって、極めて携帯性が高く、便利
に使用でき、様々な分野で使用することのできるカメラが得られる。
【0016】
この創意に富んだカメラは、以上に示した通り、主に、サーモグラフ検査用の赤外線カ
メラとして意図されるものである。有利な実施例では、このカメラは、温度測定用として
も設計することができ、したがって、放射計カメラであることができる。適切な修正を行
えば他の応用も可能であるが、これも本発明の範囲に入るものである。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるカメラの側面図。
【図2】図1のカメラの背面斜視図。
【図3】図1のカメラの側面斜視図。
【図4】図1のカメラの正面斜視図。
【図5】ドッキング・ステーションに入ったカメラを示す図。
【図6】使用者によって使用中である、図1のカメラを概略的に示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
レンズ組立体(2)を含む手持ち式赤外線カメラであって、該レンズ組立体(2)がハ
ウジング(3)によって支持され、該ハウジング(3)が、電気エネルギー源(5)と、
前記レンズ組立体を介して受け取る情報を記録および処理する処理手段(6)とを保持す
るように構成され、装置を手動により、かつ視覚によって制御する使用者制御手段が前記
ハウジング(3)に設けられている手持ち式赤外線カメラにおいて、
前記ハウジング(3)が実質的に伸長形状であり、
一方の端部に前記レンズ組立体(2)が装架され、反対側の端部が使用者用ハンドル(
4)として形成され、
前記ハウジングの一方の側に、使用者の親指で操作するように意図された手動制御手段
の集合体(8)と、視覚による制御手段(7)とが設けられ、
前記視覚による制御手段(7)が、前記手動制御手段の集合体(8)と前記レンズ組立
体(2)との間に配置され、使用者の目および体から離して赤外線カメラを保持する時に
、見ることができるように適合され、
赤外線カメラが片手で操作するように意図されていることを特徴とする手持ち式赤外線
カメラ。
【請求項2】
前記使用者用ハンドル(4)の長手方向軸線(21)が、前記レンズ組立体(2)の光
軸(22)と角度(α)をなし、前記角度が、0〜90°の範囲、好ましくは45°未満
であることを特徴とする請求項1に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項3】
前記レンズ組立体(2)の光軸(22)と、ハンドル部(4)の長手方向軸線(21)
との間の角度(α)が、15〜30°の範囲、好ましくは約20°であることを特徴とす
る請求項2に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項4】
前記手動制御手段の集合体(8)が、操作レバー・ボタン(13)と、円弧状に並んだ
押ボタン(9〜12)の集合体とを含み、該円弧の中心が、前記ハンドル部(4)を把持
する使用者の親指の内側関節の位置と、実質的に一致するように意図されていることを特
徴とする請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項5】
赤外線カメラの作動モードを選択および制御するために、前記手動制御手段の集合体(
8)が、前記処理装置(6)を制御するように適合されていることを特徴とする請求項4
に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項6】
前記押ボタンの集合体に4つの押ボタン(9〜12)が含まれ、2つの押ボタンが前記
操作レバー・ボタン(13)の両側にあることを特徴とする請求項4に記載された手持ち
式赤外線カメラ。
【請求項7】
赤外線カメラのバランスを良くするために、電気エネルギー源(5)が、前記ハンドル
部(4)に位置することを特徴とする請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載さ
れた手持ち式赤外線カメラ。
【請求項8】
前記ハンドル部(4)の自由端に、ドッキング・ステーションの対応する電気接続部と
接触する電気接続部(18)が設けられ、好ましくは、前記接続部が、開閉可能な蓋(1
9)によって保護されていることを特徴とする請求項1から請求項7までのいずれか1項
に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項9】
被制御パラメータが所定範囲を外れた時に、音響信号を与えるように適合される警報装
置が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載さ
れた手持ち式赤外線カメラ。
【請求項10】
赤外線カメラ(1)が赤外線画像用の赤外線検査用カメラであることを特徴とする請求
項1から請求項9までのいずれか1項に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項11】
赤外線カメラの照準合わせを容易にするために、赤外線カメラにレーザが含まれ、該レ
ーザが、制御手段によって作動および停止するように適合されていることを特徴とする請
求項1から請求項10までのいずれか1項に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項12】
赤外線カメラの実行する機能を制御および選択するために、前記ハウジング(3)に、
赤外線カメラを保持する使用者の人差し指によって操作するようにされた引き金手段(1
5)が設けられていることを特徴とする請求項1から請求項11までのいずれか1項に記
載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項13】
前記引き金手段(15)が、レーザを作動および停止させるとともに、赤外線カメラの
向けられた対象物に関する情報の保存を開始するように意図されていることを特徴とする
請求項12に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項14】
赤外線カメラから情報を無線で伝送する手段が設けられていることを特徴とする請求項
1から請求項13までのいずれか1項に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項15】
前記レンズ組立体(2)が取替え可能であることを特徴とする請求項1から請求項14
までのいずれか1項に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項16】
前記ハウジング(3)に、赤外線カメラを掛けるホルダ(20)が設けられることを特
徴とする請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載された手持ち式赤外線カメラ

【請求項17】
前記ハウジング(3)が頑丈で耐震性があることを特徴とする請求項1から請求項16
までのいずれか1項に記載された手持ち式赤外線カメラ。
【請求項18】
温度測定用にも適合していることを特徴とする請求項1から請求項17までのいずれか
1項に記載された手持ち式赤外線カメラ。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−252921(P2011−252921A)
【公開日】平成23年12月15日(2011.12.15)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2011−169090(P2011−169090)
【出願日】平成23年8月2日(2011.8.2)
【分割の表示】特願2002−588123(P2002−588123)の分割
【原出願日】平成13年5月7日(2001.5.7)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(501455611)フリル システムズ アクチボラゲット (4)
【Fターム(参考)】