説明

携帯用電源バッグ

【課題】電源収納部の開口部からコードを引き出しても開口部が不意に開いてしまうおそれをなくし、安心して使用できるようにする。
【解決手段】携帯用電源バッグ1は、コード21を介してアダプタ22を接続したコンバータ20を収容する電源収納部3を備え、電源収納部3の開口部9を開閉する線ファスナー10に一対のスライダを設けて当該スライダの間からコード21を引き出して、スライダに設けた引き手12,12同士を連結体17で連結することで、スライダをコード21に追従して移動可能としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、充電式電動工具用のバッテリーを収容して携帯可能とした携帯用電源バッグに関する。
【背景技術】
【0002】
充電式電動工具は、重量の大きいバッテリーを装着したまま使用するため、長時間の作業では作業者の負担が大きくなる。そこで、特許文献1に開示のように、バッテリーを背負い式の携帯用電源として、バッテリーに接続したアダプタを電動工具本体に接続すれば、手許での負担が小さくなる。この場合、線ファスナーによって開口部を開閉できる電源収納部を有した携帯用電源バッグを利用すれば、予備のバッテリーも携帯できるし、2つのバッテリーを収容して高電圧を取り出すコンバータも電源として使用できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−101357号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
携帯用電源バッグを利用すると、電源収納部の開口部の一部からコードを引き出して線ファスナーで残りの開口部を閉じることになるが、作業中にコードが移動すると、それに連れて線ファスナーが移動して開口部が開いてしまい、バッテリーが落下するおそれが生じる。
【0005】
そこで、本発明は、電源収納部の開口部からコードを引き出しても開口部が不意に開いてしまうおそれがなく、安心して使用できる携帯用電源バッグを提供することを目的としたものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、任意に開閉可能な開口部を備える電源収納部と、その電源収納部を携帯可能なベルトとを有し、電源収納部に、コードを介してアダプタを接続したバッテリーを収納して、開口部を一部を除いて閉塞した状態で、開口部の当該一部からコードを引き出し可能とした携帯用電源バッグであって、開口部の当該一部をコードに追従して移動可能としたことを特徴とするものである。
請求項2に記載の発明は、請求項1の構成において、開口部を一対のスライダを備えた線ファスナーで開閉可能として、当該一部を一対のスライダの間に形成し、一対のスライダをコードに追従させて当該一部を移動させることを特徴とするものである。
請求項3に記載の発明は、請求項2の構成において、一対のスライダにそれぞれ設けた引き手同士を、任意に連結及びその解除が可能な連結手段で連結して、一対のスライダをコードに追従させることを特徴とするものである。
請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかの構成において、電源収納部内に、コードの余長分の収納部を形成したことを特徴とするものである。
請求項5に記載の発明は、請求項1乃至4の何れかの構成において、電源収納部の外部に、アダプタの保持部を設けたことを特徴とするものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1乃至5の何れかの構成において、少なくとも電源収納部が、防水性の合成繊維で形成されることを特徴とするものである。
請求項7に記載の発明は、請求項1乃至6の何れかの構成において、少なくとも電源収納部の内面に防汚加工が施されていることを特徴とするものである。
請求項8に記載の発明は、請求項1乃至7の何れかの構成において、電源収納部に、予備バッテリーの収納部を形成したことを特徴とするものである。
請求項9に記載の発明は、請求項1乃至8の何れかの構成において、開口部が、電源収納部の上端と左右両端とに連続して形成されることを特徴とするものである。
請求項10に記載の発明は、請求項1乃至9の何れかの構成において、ベルトを肩ベルトとして電源収納部を背負い式で携帯可能としたことを特徴とするものである。
請求項11に記載の発明は、請求項10の構成において、肩ベルトにポケットを設けたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、電源収納部からコードを引き出しても開口部が不意に開いてしまうおそれがなく、安心して使用できる。
請求項2に記載の発明によれば、請求項1の効果に加えて、線ファスナーのスライダを利用して開口部の当該一部の形成とコードへの追従が簡単に行える。
請求項3に記載の発明によれば、請求項2の効果に加えて、連結手段の採用により、コードへのスライダの追従が簡単且つ確実に行える。
請求項4に記載の発明によれば、請求項1乃至3の何れかの効果に加えて、コードを必要分だけ電源収納部から引き出して使用でき、余ったコードが邪魔になったりするおそれがない。
請求項5に記載の発明によれば、請求項1乃至4の何れかの効果に加えて、充電式電動工具へ装着する前のアダプタを一時置きでき、使い勝手が向上する。
請求項6に記載の発明によれば、請求項1乃至5の何れかの効果に加えて、雨水等の浸入によるバッテリーの不具合の発生を防止できる。
請求項7に記載の発明によれば、請求項1乃至6の何れかの効果に加えて、防汚加工によって電源収納部の汚れや劣化が抑えられ、耐久性が良好となる。
請求項8に記載の発明によれば、請求項1乃至7の何れかの効果に加えて、予備バッテリーによって長時間の作業も可能となって使い勝手に優れる。
請求項9に記載の発明によれば、請求項1乃至8の何れかの効果に加えて、コードの引き出し位置の選択範囲が大きくなり、より作業しやすい位置でのコードの引き回しが可能となる。
請求項10に記載の発明によれば、請求項1乃至9の何れかの効果に加えて、重量の大きいバッテリー等も楽に携帯可能となる。
請求項11に記載の発明によれば、請求項10の効果に加えて、小物の収納が可能となって使い勝手に優れる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】携帯用電源バッグの背面図である。
【図2】コード引き出し部分の拡大図である。
【図3】携帯用電源バッグの側面図である。
【図4】携帯用電源バッグの正面図である。
【図5】携帯用電源バッグの使用状態を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1は、携帯用電源バッグの一例を示す背面図で、携帯用電源バッグ1は、正面視が矩形状の背板2の背面下部に、電源収納部3を、その上部にアダプタ保持部4をそれぞれ設けてなる。背板2の前側には、左右一対の肩ベルト5,5が設けられて、肩ベルト5の一方の前面には、図3,4に示すように携帯電話等の小物を収納できるポケット6が設けられている。7,7・・は背板2の前面に設けたクッションで、背板2の上端には、取手部8が設けられている。
【0010】
電源収納部3は、フッ素系樹脂の付着によって防水性及び防汚性が付与された合成繊維(ここではナイロンオックス)によって縫製された四角箱状で、後面の上端縁と左右の両端縁との三辺が連続する逆U字状の開口部9を形成している。この開口部9には、図2にも示すように線ファスナー10が設けられて、開口部9が任意に開閉可能となっている。線ファスナー10には、引き手12を備えたスライダ11が一対設けられて、開口部9を任意の箇所から開放可能としている。また、電源収納部3内の上部には、前面が線ファスナーによって開閉可能な中収納部13が設けられている。
一方、アダプタ保持部4には、左右に所定間隔をおいて配されて上下端が背板2に結合される一対のラダーロック付きのバンド14,14が設けられている。
【0011】
この電源収納部3内の下部には、2つのバッテリーパックを収容して昇圧した直流電源を供給するコンバータ20が収納される。このコンバータ20には、コード21を介してアダプタ22が接続されている。アダプタ22は、充電式電動工具に装着されるバッテリーパックと同じ装着面を備えて充電式電動工具へ電気的接続可能となっている。
ここではコード21の余長分を中収納部13の後方に形成される収納空間15内に収納した後、線ファスナー10において2つのスライダ11,11の間に形成される線ファスナー10の非結合空間16から外部へ引き出している。両スライダ11,11の引き手12,12は、連結手段としての連結体17によって互いに結合されている。この連結体17は、両端を貫通させて係止する固定具17aによってループ状に形成される紐状体で、固定具17aの位置の変更により、長さ(ループの大きさ)の調整が可能となっている。固定具17aから一方の端部を抜き取れば、引き手12から取り外すことができる。
また、中収納部13内には、予備となる2つのバッテリーパック23,23が収納可能となっている。
【0012】
以上の如く構成された携帯用電源バッグ1においては、図1,2のように電源収納部3にコンバータ20を収容してコード21を開口部9の上端中央から引き出し、コード21に隣接させたスライダ11,11の引き手12,12を連結体17で連結する。ここでアダプタ22を充電式電動工具に装着する前は、アダプタ保持部4において、アダプタ22を2つのゴムバンド14,14の内側に挿入することで一時置きできる。なお、コード21の引き出し位置(非結合空間16)は、連結体17を把持して両スライダ11,11を同時に移動させることで容易に変更できる。
【0013】
そして、携帯用電源バッグ1を用いて作業を行う場合は、図5に示すように、肩ベルト5,5によって携帯用電源バッグ1を背負い、アダプタ22を充電式電動工具24に装着する。すると、充電式電動工具24は、アダプタ22を介してコンバータ20から電源を得ることができる。このとき、重量の大きいコンバータ20は背中で支持されるため、手許での負担が少なく、長時間作業を行っても疲れにくくなる。
【0014】
このとき、作業中の充電式電動工具24の動きによってコード21が左右へ移動すると、コード21が一方のスライダ11に当接して当該スライダ11を移動させて開口部9を開けさせる。しかし、他方のスライダ11は連結体17で連結されているので、他方のスライダ11も追従して移動し、コード21の移動によって開いた開口部9を追いかけて閉じることになる。つまり、コード21が移動しても、これに追従するスライダ11,11によって非結合空間16もコード21に追従して移動するため、常にコード21の両側で開口部9の閉じた状態が維持されるのである。
【0015】
このように、上記形態の携帯用電源バッグ1によれば、開口部9の一部となる非結合空間16をコード21に追従して移動可能としたことで、電源収納部3からコード21を引き出しても開口部9が不意に開いてしまうおそれがなく、安心して使用できる。
特にここでは、開口部9を一対のスライダ11,11を備えた線ファスナー10で開閉可能として、非結合空間16を一対のスライダ11,11の間に形成し、一対のスライダ11,11をコード21に追従させて非結合空間16を移動させるようにしているので、線ファスナー10のスライダ11を利用して非結合空間16の形成とコード21への追従が簡単に行える。
また、一対のスライダ11,11にそれぞれ設けた引き手12同士を、任意に連結及びその解除が可能な連結体17で連結して、一対のスライダ11,11をコード21に追従させるようにしているので、コード21へのスライダ11の追従が簡単且つ確実に行える。
【0016】
一方、電源収納部3内に、コード21の余長分の収納空間15を形成したことで、コード21を必要分だけ電源収納部3から引き出して使用でき、余ったコード21が邪魔になったりするおそれがない。
また、電源収納部3の外部に、アダプタ保持部4を設けているので、充電式電動工具24へ装着する前のアダプタ22を一時置きでき、使い勝手が向上する。
さらに、電源収納部3が、防水性の合成繊維で形成されているので、雨水等の浸入によるコンバータ20やバッテリーパック23の不具合の発生を防止できる。加えて電源収納部3の内面に防汚加工が施されているため、電源収納部3の汚れや劣化が抑えられ、耐久性が良好となる。
【0017】
そして、電源収納部3に、予備のバッテリーパック23を収納する中収納部13が形成されているので、長時間の作業も可能となって使い勝手に優れる。
また、開口部9が、電源収納部3の上端と左右両端とに連続して形成されることで、コード21の引き出し位置の選択範囲が大きくなり、より作業しやすい位置でのコード21の引き回しが可能となる。
さらに、ベルトを肩ベルト5として電源収納部3を背負い式で携帯可能としたことで、重量の大きいコンバータ20等も楽に携帯可能となる。
加えて、肩ベルト5にポケット6を設けているので、小物の収納が可能となって使い勝手に優れる。
【0018】
なお、上記形態では、連結手段として、引き手同士を連結する紐状の連結体を採用しているが、これに限らず、カラビナ、ワイヤーやチェーン、リングやS字フック等の他の連結体を採用してもよいし、引き手同士を直接結合したり、スライダをコードに直接連結したりしてもよい。開口部自体の構成も、逆U字状に限らず、上面のみや側面のみ等であっても差し支えない。
また、予備バッテリーの収納部や余長コードの収納部の位置や形態も適宜変更可能で、例えば余長コードの収納部を収納空間でなくポケット構造にしたりすることができる。勿論これらの収納部を省略することもできる。
さらに、アダプタ保持部の形態も、電源収納部の上面側でなく、側面側へポケット状に設けたりしてもよいし、省略してもよい。
【0019】
一方、防水性の合成繊維は、電源収納部に限らず、ベルト等の他の構成部において使用してもよい。防汚加工も同様である。
その他、肩ベルトのみによる携帯に限らず、腰ベルトも併せて設けたり、腰ベルトのみとして電源収納部を腰から吊り下げ携帯させたりする構造も考えられる。ポケットも腰ベルトに設けたり、電源収納部の側面に設けたりしても差し支えない。
そして、上記形態ではバッテリーとしてコンバータを例に挙げているが、アダプタを接続した単体のバッテリーパックを電源収納部に収納する場合でも本発明は適用可能である。
【符号の説明】
【0020】
1・・携帯用電源バッグ、2・・背板、3・・電源収納部、4・・アダプタ保持部、5・・肩ベルト、6・・ポケット、9・・開口部、10・・線ファスナー、11・・スライダ、12・・引き手、13・・中収納部、14・・ゴムバンド、15・・収納空間、16・・非結合空間、17・・連結体、20・・コンバータ、21・・コード、22・・アダプタ、23・・バッテリーパック、24・・充電式電動工具。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
任意に開閉可能な開口部を備える電源収納部と、その電源収納部を携帯可能なベルトとを有し、前記電源収納部に、コードを介してアダプタを接続したバッテリーを収納して、前記開口部を一部を除いて閉塞した状態で、前記一部から前記コードを引き出し可能とした携帯用電源バッグであって、
前記開口部の前記一部を前記コードに追従して移動可能としたことを特徴とする携帯用電源バッグ。
【請求項2】
前記開口部を一対のスライダを備えた線ファスナーで開閉可能として、前記一部を前記一対のスライダの間に形成し、前記一対のスライダを前記コードに追従させて前記一部を移動させることを特徴とする請求項1に記載の携帯用電源バッグ。
【請求項3】
前記一対のスライダにそれぞれ設けた引き手同士を、任意に連結及びその解除が可能な連結手段で連結して、前記一対のスライダを前記コードに追従させることを特徴とする請求項2に記載の携帯用電源バッグ。
【請求項4】
前記電源収納部内に、前記コードの余長分の収納部を形成したことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の携帯用電源バッグ。
【請求項5】
前記電源収納部の外部に、前記アダプタの保持部を設けたことを特徴とする請求項1乃至4の何れかに記載の携帯用電源バッグ。
【請求項6】
少なくとも前記電源収納部が、防水性の合成繊維で形成されることを特徴とする請求項1乃至5の何れかに記載の携帯用電源バッグ。
【請求項7】
少なくとも前記電源収納部の内面に防汚加工が施されていることを特徴とする請求項1乃至6の何れかに記載の携帯用電源バッグ。
【請求項8】
前記電源収納部に、予備バッテリーの収納部を形成したことを特徴とする請求項1乃至7の何れかに記載の携帯用電源バッグ。
【請求項9】
前記開口部が、前記電源収納部の上端と左右両端とに連続して形成されることを特徴とする請求項1乃至8の何れかに記載の携帯用電源バッグ。
【請求項10】
前記ベルトを肩ベルトとして前記電源収納部を背負い式で携帯可能としたことを特徴とする請求項1乃至9の何れかに記載の携帯用電源バッグ。
【請求項11】
前記肩ベルトにポケットを設けたことを特徴とする請求項10に記載の携帯用電源バッグ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−22022(P2013−22022A)
【公開日】平成25年2月4日(2013.2.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155994(P2011−155994)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【出願人】(000137292)株式会社マキタ (1,210)
【Fターム(参考)】