説明

携帯端末、電力制御方法及び電力制御プログラム

【課題】リモート制御の使用可能期間を長くする。
【解決手段】携帯端末50は、外部との通信を通じて、リモートロック指示を受け付ける。さらに、携帯端末50は、受け付けたリモートロック指示に応じ、外部との通信は可能な状態を保ちつつ、操作ロックを周期的に行い、当該携帯端末50のバックライド光量調節などにより電力消費を抑制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、電力制御方法及び電力制御プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
スマートフォンに代表される携帯電話機を始め、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Digital Assistants)などの携帯端末が普及している。携帯端末は、据え置き型のコンピュータとは異なり、持ち運びが可能である反面で、常に紛失のリスクが伴う。
【0003】
かかる紛失への対策として、携帯端末を遠隔操作する各種のリモート制御が提案されている。リモート制御の一例としては、携帯端末に対する操作をロックするリモートロック、携帯端末を初期化するリモートワイプや携帯端末の特定の領域に記憶されたデータを削除するリモートデータ削除などが挙げられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−125053号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
携帯端末の紛失対策としては、所有者以外の第三者からのデータ保護と、携帯端末の探索を両立させることが必要となる。仮に、所有者以外の第三者からのデータ保護のみを目的とするのであれば、例えば、所有者以外が電源ONできず、メモリカードを取り出してもデータが読めない状態とするだけで十分である。しかしながら、所有者以外の第三者からのデータ保護と、携帯端末の探索を両立させるためには、できるだけ長く、リモート制御が可能な状態とすることが求められる。上記の従来技術には、リモート制御の使用可能期間が短くなってしまうという問題がある。
【0006】
すなわち、上記の従来技術では、携帯端末の紛失の如何にかかわらず、基地局との定期通信や表示部のバックライトの点灯等の標準機能によって電力が無駄に消費される。このように、携帯端末の電池が無駄に消費された場合には、携帯端末が稼働できる時間も短くなるので、リモート制御を使用できる期間も短くなってしまう。
【0007】
開示の技術は、上記に鑑みてなされたものであって、リモート制御の使用可能期間を長くすることができる携帯端末、電力制御方法及び電力制御プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本願の開示する携帯端末は、携帯端末であって、外部との通信を通じて、リモートロック指示を受け付ける受付部と、受け付けた前記リモートロック指示に応じ、前記外部との通信は可能な状態を保ちつつ、当該携帯端末の電力消費を抑制する制御部とを有する。
【発明の効果】
【0009】
本願の開示する携帯端末の一つの態様によれば、リモート制御の使用可能期間を長くすることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、実施例1に係るリモート制御システムのシステム構成を示す図である。
【図2】図2は、実施例1に係る携帯端末の機能的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、動作モードの遷移例を示す図である。
【図4】図4は、実施例1に係る第2の省電力モードの電力制御処理の手順を示すフローチャートである。
【図5】図5は、応用例を説明するための図である。
【図6】図6は、実施例1及び実施例2に係る電力制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本願の開示する携帯端末、電力制御方法及び電力制御プログラムの実施例を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施例は開示の技術を限定するものではない。そして、各実施例は、処理内容を矛盾させない範囲で適宜組み合わせることが可能である。
【実施例1】
【0012】
[システム構成]
まず、本実施例に係る携帯端末を含むリモート制御システムのシステム構成について説明する。図1は、実施例1に係るリモート制御システムのシステム構成を示す図である。図1に示すリモート制御システム1は、キャリアサーバ30がリモートロックを始めとする各種のリモート制御を携帯端末50に実行するものである。
【0013】
図1に示すように、リモート制御システム1には、関係者端末10と、キャリアサーバ30と、携帯端末50とが収容される。なお、図1の例では、関係者端末10、キャリアサーバ30及び携帯端末50を1つずつ収容する場合を例示したが、任意の数の関係者端末及び携帯端末が収容される場合に適用できる。
【0014】
これら関係者端末10及びキャリアサーバ30の間は、ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続される。かかるネットワーク3には、インターネット、LAN(Local Area Network)やVPN(Virtual Private Network)などの各種の通信網を採用できる。また、キャリアサーバ30及び携帯端末の間は、キャリア網5を介して相互に通信可能に接続される。
【0015】
このうち、関係者端末10は、携帯端末50の保有者や所有者などの関係者によって使用される端末装置である。かかる関係者端末10の一態様としては、パーソナルコンピュータ(PC:Personal Computer)を始めとする固定端末の他、携帯電話機、PHS(Personal Handyphone System)やPDA(Personal Digital Assistant)などの移動体端末も採用できる。なお、ここでは、携帯端末50の紛失または盗難の発生時にキャリアが提供するリモート制御に関するサービスをネットワーク3を介して利用するために、関係者によって関係者端末10が使用される場合を想定して以下の説明を行う。
【0016】
キャリアサーバ30は、リモート制御に関するサービスを提供するキャリアによって運営されるサーバ装置である。一態様としては、キャリアサーバ30は、関係者端末10のブラウザを通じてリモート制御を実行する携帯端末50の電話番号などのリモート制御の必要事項を入力させる。そして、キャリアサーバ30は、関係者端末10のブラウザからリモート制御の必要事項の入力を受け付けると、必要事項として入力された電話番号に対応する携帯端末50にリモート制御の指示を通知する。
【0017】
なお、ここでは、関係者からのリモート制御の要求を関係者端末10のブラウザを介して受け付ける場合を例示したが、開示のシステムはこれに限定されない。例えば、キャリアのコールセンタ等においてオペレータが関係者に上記の必要事項の聞き取りを行った上で指定の電話番号に対応する携帯端末50のリモート制御の実行要求をオペレータ端末を介してキャリアサーバ30へ通知することとしてもよい。
【0018】
携帯端末50は、利用者によって携帯される移動体端末である。一態様としては、携帯端末50は、キャリアサーバ30からリモート制御の指示を受け付けた場合に、当該指示に対応する処理を実行する。例えば、携帯端末50は、携帯端末50に対する操作をロックする「リモートロック」を始め、携帯端末50を初期化する「リモートワイプ」や携帯端末50の特定の領域に記憶されたデータを削除する「リモートデータ削除」などのリモート制御の指示を受け付ける。なお、携帯端末50の一態様としては、スマートフォンに代表される携帯電話機、PHSやPDAなどの移動体端末を採用できる。
【0019】
ここで、本実施例に係る携帯端末50は、外部との通信を通じて、リモートロック指示を受け付ける。そして、携帯端末50は、受け付けたリモートロック指示に応じ、外部との通信は可能な状態を保ちつつ、当該携帯端末50の電力消費を抑制する。
【0020】
このため、携帯端末50では、基地局との定期通信や表示部のバックライトの点灯等の標準機能によって電力が無駄に消費されるのを抑制できるので、携帯端末50が稼働できる時間を長くすることができる。したがって、携帯端末50によれば、リモート制御の使用可能期間を長くすることができる。
【0021】
[携帯端末50の構成]
続いて、本実施例に係る携帯端末50の機能的構成について説明する。図2は、実施例1に係る携帯端末50の機能的構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯端末50は、操作部51と、表示部52と、音声出力部53と、キャリア通信部54と、タイマ55と、記憶部56と、制御部57とを有する。なお、携帯端末50は、図2に示す機能部以外にも既知の携帯端末が有する各種の機能部、例えばアンテナ、ICチップ、カメラ、GPS(Global Positioning System)受信機やSDカードのリーダなどの機能を有するものとする。
【0022】
このうち、操作部51は、各種情報の入力操作を受け付ける入力デバイスである。かかる操作部51の一態様としては、各種の操作キーを採用できる。一例としては、数字および文字等を入力するテンキー、さらには、メニューを選択したり、画面表示をスクロールしたりなどに用いられるカーソルキーなどが挙げられる。
【0023】
表示部52は、各種の情報を表示する表示デバイスである。かかる表示部52の一態様としては、モニタやディスプレイなどを採用できる。また、表示部52は、操作部51と一体化することによってタッチパネルとして構成することもできる。
【0024】
音声出力部53は、音声を出力する音声出力デバイスである。かかる音声出力部53の一態様としては、スピーカやイヤホンなどを採用できる。
【0025】
キャリア通信部54は、キャリア網5を介して他の装置との間で無線通信を行う処理部である。例えば、キャリア通信部54は、キャリア網5に含まれる基地局に発信要求を行ったり、あるいは携帯端末50の位置の登録要求を行ったりする。
【0026】
タイマ55は、時間を計測する装置である。例えば、タイマ55は、後述のリモート制御受付部57cによって操作ロックを繰り返し実行させるために、携帯端末50の操作ロックを作動させる周期を計測する。なお、ここでは、タイマ55がハードウェアによって実装される場合を例示したが、ソフトウェアによって実装されることとしてもよい。
【0027】
記憶部56は、制御部57で実行されるOS(Operating System)やアプリケーションなどの各種プログラムを記憶する記憶装置である。かかる記憶部56は、制御部57で実行されるプログラムの実行に必要なデータの一例として、設定データ56aと、リモート制御データ56bと、モードデータ56cとを記憶する。なお、記憶部56の一態様としては、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)やフラッシュメモリ(flash memory)などの半導体メモリ素子を利用した記憶装置が挙げられる。
【0028】
設定データ56aは、携帯端末50の各種の設定に関するデータである。かかる設定データ56aの一例としては、キャリア通信部54と基地局との間で実行される定期通信の通信間隔の設定が含まれる。他の一例としては、表示部52のバックライトの光量に関する設定が含まれる。更なる一例としては、着信音の音量の設定が含まれる。
【0029】
リモート制御データ56bは、リモート制御に関するデータである。かかるリモート制御データ56bには、リモートロック時に入力された認証データと照合するための参照用の認証データが含まれる。例えば、認証データの一例としては、パターン、PIN(Personal Identification Number)コードやパスワードなどのデータが挙げられる。また、リモート制御データ56bには、所定の周期で操作ロックを繰り返し実行する連続リモートロックに関する設定、すなわち連続リモートロックの機能がONまたはOFFであるか示す設定が含まれる。
【0030】
モードデータ56cは、携帯端末50の動作モードに関するデータである。かかる携帯端末50の動作モードには、「通常モード」、「第1の省電力モード」及び「第2の省電力モード」の3つの動作モードが存在する。ここで言う「通常モード」とは、携帯端末50が有する機能全般に特段に電力消費の抑制を課さないモードを指す。また、「第1の省電力モード」とは、携帯端末50が有する機能全般に通常モードよりも電力消費を抑制するモードを指す。さらに、「第2の省電力モード」は、セキュリティに関連する機能を除いて通常モードよりも電力消費を抑制するモードを指す。なお、上記の動作モードの遷移については、図3を用いて後述する。
【0031】
制御部57は、各種の処理手順を規定したプログラムや制御データを格納するための内部メモリを有し、これらによって種々の処理を実行する。制御部57は、図2に示すように、出力制御部57aと、受付部57bと、リモート制御受付部57cと、モード遷移部57dと、電力制御部57eとを有する。
【0032】
このうち、出力制御部57aは、表示出力制御および音声出力制御を実行する処理部である。一態様としては、出力制御部57aは、記憶部56に設定データ56aとして記憶されたバックライトの光量に関する設定にしたがって表示部52のバックライトの光量を調節する。他の一態様としては、出力制御部57aは、記憶部56に設定データ56aとして記憶された着信音の音量に関する設定にしたがって着信音の音量を増幅制御した上で増幅後の着信音を音声出力部53から出力する。
【0033】
受付部57bは、外部との通信を通じて、リモートロックを始めとするリモート制御に関する指示を受け付ける処理部である。一態様としては、受付部57bは、キャリアサーバ30からリモートロックの指示を受け付けた場合に、当該リモートロックの指示を後述のリモート制御受付部57cへ出力するとともに後述のモード遷移部57dへ出力する。また、受付部57bは、キャリアサーバ30からリモートロックの解除指示を受け付けた場合にも、当該リモートロックの解除指示を後述のリモート制御受付部57cへ出力するとともに後述のモード遷移部57dへ出力する。なお、ここでは、キャリアサーバ30からリモートロック指示を受け付ける場合を例示したが、他の外部装置からリモートロック指示を受け付けることとしてもよい。また、開示の装置では、必ずしもリモートロック指示を外部装置から受け付ける必要はない。例えば、携帯端末50は、特定の宛先、例えば携帯端末50を管理する管理者端末のアドレスから受信したメールの本文の内容を解析することによって携帯端末50が紛失や盗難に遭ったことを自律的に検知するようにしてもかまわない。
【0034】
リモート制御受付部57cは、リモート制御を受け付ける処理部である。一態様としては、リモート制御受付部57cは、受付部57bによってリモートロックの指示が受け付けられた場合に、携帯端末50の操作ロックを実行する。これによって、正当な認証データが入力されない限りは、携帯端末50に対する操作が無効化される。なお、操作ロック中に操作部51を介して認証データが入力された場合には、入力された認証データと、記憶部56にリモート制御データ56bとして記憶された認証データとが照合される。この結果、両者の認証データが一致する場合には、操作ロックが解除される。
【0035】
ここで、リモート制御受付部57cは、記憶部56にリモート制御データ56bとして記憶された連続リモートロックの設定を参照して、連続リモートロックがONまたはOFFのいずれであるかを判定する。このとき、リモート制御受付部57cは、連続リモートロックがONに設定されている場合には、タイマ55を起動し、タイマ55によって所定の時間、例えば3秒が計測される度に、携帯端末50の操作ロックを実行する。その後、リモート制御受付部57cは、キャリアサーバ30からリモートロックの解除指示が受け付けられるまで、携帯端末50の操作ロックを繰り返し実行する。
【0036】
これを具体的に説明すると、リモートワイプやリモートデータ削除を実行した場合には、紛失していた携帯端末が発見された場合に生じるデメリットが大きい。例えば、重要なデータを損失してしまったり、データの復旧に手間がかかったり、あるいは携帯端末の再設定に手間が掛かったりするので、リモートワイプやリモートデータ削除の実行には慎重にならざるを得ない。その一方で、リモートロックは、パスワードによって操作をロックするに過ぎず、総当たり方式でロックが解除されてしまうおそれがあるので、セキュリティが万全であるとは言えない。そこで、本実施例では、リモートワイプやリモートデータ削除を実行せずとも、携帯端末50に保存されたデータを保全するために、携帯端末50の操作ロックを繰り返し実行する。
【0037】
このように、操作ロックを繰り返し実行した場合には、携帯端末50に操作を行う余地をあたえず、仮に正当な認証データが漏洩してしまった場合でも、携帯端末50に対する操作が無効化された状態を保つことができる。
【0038】
モード遷移部57dは、通常モード、第1の省電力モード及び第2の省電力モードの3つのモード間で動作モードを遷移させる処理部である。
【0039】
ここで、上記の動作モードの遷移について説明する。図3は、動作モードの遷移例を示す図である。図3に示すように、通常モードからは、第1の省電力モードおよび第2の省電力モードの両方の動作モードへ遷移する可能性がある。また、第1の省電力モードからは、通常モードおよび第2の省電力モードの両方の動作モードへ遷移する可能性がある。その一方で、第2の省電力モードからは、通常モードへしか遷移しない。
【0040】
次に、通常モードから第1の省電力モードへのモード遷移条件について説明する。一例としては、モード遷移部57dは、操作部51を介して電力節約ボタンの入力操作を受け付けた場合に、記憶部56にモードデータ56cとして記憶された動作モードを「通常モード」から「第1の省電力モード」へ書き換える。これによって、動作モードを「通常モード」から「第1の省電力モード」へ遷移させる。
【0041】
次に、通常モードまたは第1の省電力モードから第2の省電力モードへのモード遷移条件について説明する。一例としては、モード遷移部57dは、受付部57bによってリモートロックの指示が受け付けられた場合に、記憶部56にモードデータ56cとして記憶された動作モードを「第2の省電力モード」へ書き換える。これによって、動作モードを「通常モード」または「第1の省電力モード」から「第2の省電力モード」へ遷移させる。
【0042】
次に、第1の省電力モードから通常モードへのモード遷移条件について説明する。一例としては、モード遷移部57dは、操作部51を介して電力節約停止ボタンの入力操作を受け付けた場合に、記憶部56にモードデータ56cとして記憶された動作モードを「第1の省電力モード」から「通常モード」へ書き換える。これによって、動作モードを「第1の省電力モード」から「通常モード」へ遷移させる。
【0043】
次に、第2の省電力モードから通常モードへのモード遷移条件について説明する。一例としては、モード遷移部57dは、受付部57bによってリモートロックの解除指示が受け付けられた場合に、記憶部56にモードデータ56cとして記憶された動作モードを「第2の省電力モード」から「通常モード」へ書き換える。これによって、動作モードを「第2の省電力モード」から「通常モード」へ遷移させる。
【0044】
電力制御部57eは、受付部57bによって受け付けられたリモートロック指示に応じ、外部との通信は可能な状態を保ちつつ、当該携帯端末50の電力消費を抑制する処理部である。例えば、電力制御部57eは、記憶部56にモードデータ56cとして記憶された動作モードにしたがって携帯端末50の電力消費に関係する設定を変更する。
【0045】
一態様としては、電力制御部57eは、動作モードが「通常モード」から「第1の省電力モード」へ遷移した場合には、携帯端末50の機能全般に通常モードよりも電力消費を抑制する電力制御を実行する。例えば、電力制御部57eは、記憶部56に設定データ56aとして記憶された基地局との間での定期通信の通信間隔をデフォルト値よりも大きい所定の値、例えばデフォルト値の50%増しの値に変更する。さらに、電力制御部57eは、記憶部56に設定データ56aとして記憶されたバックライトの光量をデフォルト値よりも小さい所定の値、例えばデフォルト値の50%減の値に変更する。さらに、電力制御部57eは、記憶部56に設定データ56aとして記憶された着信音の音量をデフォルト値よりも小さい所定の値、例えばデフォルト値の30%減の値に変更する。さらに、電力制御部57eは、記憶部56に設定データ56aとして記憶されたキャリアサーバ30との間でのリモート制御データの同期間隔をデフォルト値よりも大きい所定の値、例えばデフォルト値の50%増しの値に変更する。
【0046】
他の一態様としては、電力制御部57eは、動作モードが「通常モード」または「第1の省電力モード」から「第2の省電力モード」へ遷移した場合には、セキュリティに関連する機能を除いて通常モードよりも電力消費を抑制する電力制御を実行する。例えば、電力制御部57eは、動作モードが「通常モード」から「第1の省電力モード」へ遷移した場合と異なり、キャリアサーバ30との間でのリモート制御データの同期間隔はデフォルト値を維持する。さらに、電力制御部57eは、着信音の音量をデフォルト値から下げず、その逆に、着信音の音量をデフォルト値よりも大きい所定の値、例えばデフォルト値の30%増しの値に変更する。これによって、携帯端末50を捜索する捜索者が携帯端末50に発呼した場合に常よりも大きい着信音が出力されるので、捜索者が携帯端末50を発見しやすくすることができる。なお、上記の他の設定、例えば基地局との間での定期通信の通信間隔やバックライトの光量については動作モードが「通常モード」から「第1の省電力モード」へ遷移した場合と同様に設定を変更する。
【0047】
このように、携帯端末50は、当該携帯端末50のリモート制御に関連する通信および制御が可能な状態を維持しつつ、携帯端末50の電力消費を抑制する。例えば、携帯端末50は、上述のように、セキュリティに関連する機能を除いて通常モードよりも電力消費を抑制する電力制御を実行する。かかる電力制御によって、消費が抑制できた分の電力をセキュリティに関連する機能を動作させるために回すことができる。特に、連続リモートロックによって「認証データの入力により操作ロックを解除した後もすぐさま操作ロックされる」動作を実現するためには、操作ロックの解除操作がなされるか否かにかかわらず、タイマを用いて操作ロックを繰り返す動作が必要となる。このように、連続リモートロックの設定がONである場合には、タイマとの連動により消費電力が多くなるので、上記の電力制御による省電力化がより重要性を増す。
【0048】
また、動作モードが「第1の省電力モード」または「第2の省電力モード」から「通常モード」に遷移した場合には、変更されていた各種の設定値がデフォルト値に戻される。
【0049】
なお、ここでは、電力制御部57eが設定変更によって電力消費を抑制する場合を例示したが、必ずしも既存の設定からの変更によって電力消費を抑制する必要はない。例えば、電力制御部57eは、設定データが定義されていない場合には、リモートロック指示を受け付ける前までの動作時よりも省電力な動作を実行することによって電力消費を抑制するようにしてもかまわない。
【0050】
[処理の流れ]
続いて、本実施例に係る携帯端末50の処理の流れについて説明する。図4は、実施例1に係る第2の省電力モードの電力制御処理の手順を示すフローチャートである。この設定変更処理は、キャリアサーバ30からリモートロックの指示を受け付けた場合に開始される処理である。
【0051】
図4に示すように、携帯端末50は、キャリアサーバ30からリモートロックの指示を受け付けると、携帯端末50の操作ロックを実行する(ステップS101)。そして、携帯端末50は、バックライトの光量の設定値をデフォルト値よりも小さい所定の値、例えばデフォルト値の50%減の値に変更する(ステップS102)。
【0052】
続いて、携帯端末50は、着信音の音量の設定値をデフォルト値から下げず、その逆に、着信音の音量をデフォルト値よりも大きい所定の値、例えばデフォルト値の30%増しの値に変更する(ステップS103)。その後、携帯端末50は、基地局との間での定期通信の通信間隔の設定値をデフォルト値よりも大きい所定の値、例えばデフォルト値の50%増しの値に変更する(ステップS104)。
【0053】
ここで、連続リモートロックの設定がONである場合(ステップS105肯定)には、携帯端末50は、タイマ55によって計測された時間が所定の時刻に到達したか否かを判定する(ステップS106)。なお、連続リモートロックの設定がOFFである場合(ステップS105否定)には、そのまま処理を終了する。
【0054】
このとき、タイマ55によって計測された時間が所定の時刻に到達した場合(ステップS106肯定)には、携帯端末50は、携帯端末50の操作ロックを実行する(ステップS107)。なお、タイマ55によって計測された時間が所定の時刻に到達していない場合(ステップS106否定)には、ステップS107をとばしてステップS108へ移行する。
【0055】
そして、キャリアサーバ30からのリモートロックの解除指示を受け付けるまで(ステップS108否定)、携帯端末50は、上記のステップS106〜ステップS107の処理を繰り返し実行する。その後、キャリアサーバ30からのリモートロックの解除指示を受け付けた場合(ステップS108肯定)には、そのまま処理を終了する。
【0056】
[実施例1の効果]
上述してきたように、本実施例に係る携帯端末50は、外部との通信を通じて、リモートロック指示を受け付ける。そして、本実施例に係る携帯端末50は、受け付けたリモートロック指示に応じ、外部との通信は可能な状態を保ちつつ、当該携帯端末50の電力消費を抑制する。
【0057】
このため、本実施例に係る携帯端末50では、基地局との定期通信や表示部のバックライトの点灯等の標準機能によって電力が無駄に消費されるのを抑制できるので、携帯端末50が稼働できる時間を長くすることができる。したがって、本実施例に係る携帯端末50によれば、リモート制御の使用可能期間を長くすることができる。
【0058】
また、本実施例に係る携帯端末50は、リモートロックの指示が受け付けられた場合に、所定の周期で当該携帯端末50の操作ロックを繰り返し実行する。このため、本実施例に係る携帯端末50では、携帯端末50に操作を行う余地をあたえず、仮に正当な認証データが漏洩してしまった場合でも、携帯端末50に対する操作が無効化された状態を保つことができる。
【0059】
さらに、本実施例に係る携帯端末50は、電力消費の抑制を、当該携帯端末50をリモート制御に関連する通信および制御が可能な状態を維持しつつ行う。このため、本実施例に係る携帯端末50では、消費が抑制できた分の電力をセキュリティに関連する機能を動作させるために回すことができる。
【0060】
また、本実施例に係る携帯端末50は、電力消費の抑制を、当該携帯端末の着信音の音量を変更前よりも大きい設定に変更しつつ行う。それゆえ、本実施例に係る携帯端末50によれば、携帯端末50を捜索する捜索者が携帯端末50に発呼した場合に常よりも大きい着信音が出力されるので、捜索者が携帯端末50を発見しやすくすることができる。
【実施例2】
【0061】
さて、これまで開示の装置に関する実施例について説明したが、本発明は上述した実施例以外にも、種々の異なる形態にて実施されてよいものである。そこで、以下では、本発明に含まれる他の実施例を説明する。
【0062】
[応用例]
上記の実施例1では、キャリアサーバ30が携帯端末50をリモート制御する場合を例示したが、必ずしもキャリアが運営するサーバ装置を介さずとも、携帯端末50をリモート制御できる。
【0063】
例えば、開示のシステムでは、携帯端末にエージェントプログラムをインストールしておき、エージェントプログラムに定義された上位装置である管理サーバがエージェントプログラムを制御することによってリモート制御を実現することもできる。なお、上記の「エージェントプログラム」とは、インベントリと呼ばれる情報処理装置の事象に関するデータを採取して上位装置へアップロードするプログラムのことを指す。
【0064】
図5は、応用例を説明するための図である。図5に示すリモート制御システム7は、管理者端末60と、管理サーバ70と、携帯端末80とを有する。これら管理者端末60及び管理サーバ70の間は、ネットワーク3を介して相互に通信可能に接続される。また、管理サーバ70及び携帯端末80の間は、キャリア網5を介して相互に通信可能に接続される。
【0065】
このうち、管理者端末60は、管理サーバ70に対する管理者権限を有する管理者によって使用される端末である。この管理者端末60は、ネットワーク3を介してリモートロックの実行要求を管理サーバ70へ行うことができる。
【0066】
管理サーバ70は、エージェントプログラムによって採取された携帯端末80のインベントリを収集した上で管理するサーバ装置である。この管理サーバ70は、携帯端末80にインストールされたエージェントプログラムに対し、携帯端末80を制御する各種のポリシーの一態様として、リモート制御を実行するポリシーを設定することができる。
【0067】
携帯端末80は、エージェントプログラムがインストールされた移動体端末である。例えば、携帯端末80には、エージェントプログラムとして、図2に示した受付部57b、リモート制御受付部57c、モード遷移部57d及び電力制御部57eと同様の機能を有するプログラムがインストールされる。
【0068】
例えば、管理サーバ70は、管理者端末60から携帯端末80のリモートロック要求を受け付けた場合に、ポリシーを取得するように携帯端末80へ指示する。かかるポリシーの取得指示を受けた携帯端末80のエージェントプログラムは、ポリシーの取得要求を管理サーバ70へ行う。すると、管理サーバ70は、ポリシーとしてリモートロックの指示を携帯端末80へ返信する。このリモートロックの指示が返信された携帯端末80のエージェントプログラムによって携帯端末80の操作ロックが実行される。なお、エージェントプログラムを通じて連続リモートロックが実行される場合には、エージェントプログラムが管理サーバ70との間で定期通信を行うタイミングと、操作ロックを実行するタイミングとを同期させることもできる。
【0069】
上述したリモート制御システム7のように、キャリアサーバ30を用いずとも、管理サーバ70が携帯端末80にインストールされたエージェントプログラムを制御することによってリモート制御を実現することもできる。
【0070】
[分散および統合]
また、図示した各装置の各構成要素は、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各装置の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成することができる。例えば、出力制御部57a、受付部57b、リモート制御受付部57c、モード遷移部57d及び電力制御部57eのうち一部の機能部を携帯端末の外部装置としてネットワーク経由で接続するようにしてもよい。
【0071】
[電力制御プログラム]
また、上記の実施例で説明した各種の処理は、予め用意されたプログラムをパーソナルコンピュータやワークステーションなどのコンピュータで実行することによって実現することができる。そこで、以下では、図6を用いて、上記の実施例と同様の機能を有する電力制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明する。
【0072】
図6は、実施例1及び実施例2に係る電力制御プログラムを実行するコンピュータの一例について説明するための図である。図6に示すように、コンピュータ100は、操作部110aと、スピーカ110bと、カメラ110cと、ディスプレイ120と、通信部130とを有する。さらに、このコンピュータ100は、CPU150と、ROM160と、HDD170と、RAM180と有する。これら110〜180の各部はバス140を介して接続される。
【0073】
HDD170には、図6に示すように、上記の実施例1で示した出力制御部57aと、受付部57bと、リモート制御受付部57cと、モード遷移部57dと、電力制御部57eと同様の機能を発揮する電力制御プログラム170aが予め記憶される。この電力制御プログラム170aについては、図2に示した各々の出力制御部57a、受付部57b、リモート制御受付部57c、モード遷移部57d及び電力制御部57eの各構成要素と同様、適宜統合又は分離しても良い。すなわち、HDD170に格納される各データは、常に全てのデータがHDD170に格納される必要はなく、処理に必要なデータのみがHDD170に格納されれば良い。
【0074】
そして、CPU150が、電力制御プログラム170aをHDD170から読み出してRAM180に展開する。これによって、図6に示すように、電力制御プログラム170aは、設定変更プロセス180aとして機能する。この設定変更プロセス180aは、HDD170から読み出した各種データを適宜RAM180上の自身に割り当てられた領域に展開し、この展開した各種データに基づいて各種処理を実行する。なお、設定変更プロセス180aは、図2に示した出力制御部57a、受付部57b、リモート制御受付部57c、モード遷移部57d及び電力制御部57eにて実行される処理、例えば図4に示す処理を含む。また、CPU150上で仮想的に実現される各処理部は、常に全ての処理部がCPU150上で動作する必要はなく、処理に必要な処理部のみが仮想的に実現されれば良い。
【0075】
なお、上記の電力制御プログラム170aについては、必ずしも最初からHDD170やROM160に記憶させておく必要はない。例えば、コンピュータ100に挿入されるフレキシブルディスク、いわゆるFD、CD−ROM、DVDディスク、光磁気ディスク、ICカードなどの「可搬用の物理媒体」に各プログラムを記憶させる。そして、コンピュータ100がこれらの可搬用の物理媒体から各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。また、公衆回線、インターネット、LAN、WANなどを介してコンピュータ100に接続される他のコンピュータまたはサーバ装置などに各プログラムを記憶させておき、コンピュータ100がこれらから各プログラムを取得して実行するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0076】
1 リモート制御システム
3 ネットワーク
5 キャリア網
10 関係者端末
30 キャリアサーバ
50 携帯端末
51 操作部
52 表示部
53 音声出力部
54 キャリア通信部
55 タイマ
56 記憶部
56a 設定データ
56b リモート制御データ
56c モードデータ
57 制御部
57a 出力制御部
57b 受付部
57c リモート制御受付部
57d モード遷移部
57e 電力制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末であって、
外部との通信を通じて、リモートロック指示を受け付ける受付部と、
受け付けた前記リモートロック指示に応じ、前記外部との通信は可能な状態を保ちつつ、当該携帯端末の電力消費を抑制する制御部と
を有することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記受け付けたリモートロック指示に応じて、所定の周期で当該携帯端末の操作ロックを繰り返し実行するリモート制御受付部をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記制御部は、前記電力消費の抑制を、当該携帯端末をリモート制御に関連する通信および制御が可能な状態を維持しつつ行うことを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記制御部は、前記電力消費の抑制を、当該携帯端末の着信音の音量を変更前よりも大きい設定に変更しつつ行うことを特徴とする請求項1、2または3に記載の携帯端末。
【請求項5】
携帯端末が、
外部との通信を通じて、リモートロック指示を受け付け、
受け付けた前記リモートロック指示に応じ、前記外部との通信は可能な状態を保ちつつ、当該携帯端末の電力消費を抑制する
各処理を実行することを特徴とする携帯端末の電力制御方法。
【請求項6】
携帯端末に、
外部との通信を通じて、リモートロック指示を受け付け、
受け付けた前記リモートロック指示に応じ、前記外部との通信は可能な状態を保ちつつ、当該携帯端末の電力消費を抑制する
各処理を実行させることを特徴とする携帯端末の電力制御プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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