説明

携帯端末、電子レシートシステム及びプログラム

【課題】客が携帯端末で会計情報を容易に見ることができるようにする。
【解決手段】携帯端末2は、通信部と表示部12と備え、一取引に係る会計情報を送信する決済装置から会計情報を受信すると、その会計情報を示すレシート画面50を表示部12に規定時間の間表示し、規定時間が経過した場合にはレシート画面50を削除する。これにより、レシート画面50が自動で表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末、電子レシートシステム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、小売店等での取引の決済として、客の携帯電話端末に搭載されたICカードと店舗に設けられた決済装置との間で近距離無線通信を行うことで電子マネーによる電子決済が行われている。
【0003】
このような電子決済において、これまで紙媒体で提供されていたレシートを電子情報化して客に提供することが提案されている。例えば、特許文献1には、電子レシートサーバに会計情報を格納しておき、この会計情報を携帯電話端末によって閲覧可能とする技術が開示されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1の技術では、客は、会計情報を閲覧するために携帯電話端末を操作してサーバにアクセスしなければならず、会計情報を閲覧するために手間がかかるという問題がある。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、客が携帯端末で会計情報を容易に見ることができるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の携帯端末は、一取引に係る会計情報を送信する決済装置から前記会計情報を受信する通信部と、表示部と、前記会計情報を示すレシート画面を前記表示部に規定時間の間表示し、前記規定時間が経過した場合には前記レシート画面を削除するレシート表示手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
また、本発明の電子レシートシステムは、一取引に係る会計情報を送信する決済装置と、前記会計情報を受信する携帯端末と、を備える電子レシートシステムであって、前記携帯端末は、表示部と、前記会計情報を示すレシート画面を前記表示部に規定時間の間表示し、前記規定時間が経過した場合には前記レシート画面を削除するレシート表示手段と、を有する、ことを特徴とする。
【0008】
また、本発明のプログラムは、一取引に係る会計情報を送信する決済装置から前記会計情報を受信する通信部と、表示部と、コンピュータと、を備える携帯端末の前記コンピュータを、前記会計情報を示すレシート画面を前記表示部に規定時間の間表示し、前記規定時間が経過した場合には前記レシート画面を削除するレシート表示手段として機能させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明にかかる携帯端末、電子レシートシステム及びプログラムによれば、客が携帯端末で会計情報を容易に見ることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は、本発明の一実施の形態にかかる電子レシートシステムを示す構成図である。
【図2】図2は、携帯電話端末の構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、POS端末の構成を示すブロック図である。
【図4】図4は、会計処理を示すシーケンス図である。
【図5】図5は、携帯電話端末の表示画面の一例を示す図である。
【図6】図6は、携帯電話端末のレシート画面の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に添付図面を参照して、本発明にかかる携帯端末、電子レシートシステム及びプログラムの一実施の形態を詳細に説明する。
【0012】
図1は、本実施の形態にかかる電子レシートシステムを示す構成図である。図1に示すように、電子レシートシステム1は、客が所有する携帯端末である携帯電話端末2と、店舗に設置される決済装置としてのPOS(Point of Sales:販売時点管理)端末3と、を備えている。この電子レシートシステム1では、携帯電話端末2とPOS端末3とにより、一取引に係る決済として電子決済が近距離無線通信を用いて行われる。
【0013】
図2は、携帯端末の構成を示すブロック図である。図2に示すように、携帯電話端末2は、制御部10と、情報を記憶する不揮発性の記憶部11と、表示部12と、操作部13と、電話通信部14と、支払手段であるIC(Integrated Circuit)カード部15とを備えている。制御部10には、記憶部11、表示部12、操作部13、電話通信部14及びICカード部15が、バス16によって接続されている。
【0014】
制御部10は、各種演算や携帯電話端末2の各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、各種プログラムを一時的に記憶したり各種データを書き換え自在に記憶するRAM(Random Access Memory)、現在の日時を計時する時計部等から構成されるコンピュータである。
【0015】
表示部12は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)である。操作部13は、例えば各種の操作キーを有するキーボードである。電話通信部14は、通話機能及びインターネットメール機能等を発揮するものである。
【0016】
ICカード部15は、非接触式ICカードによって構成されている。ICカード部15は、カード制御部15aと、情報を記憶する不揮発性のカード記憶部15bと、通信部であるカード通信部15cとを有している。このICカード部15は、カード通信部15cによってPOS端末3とデータ通信を行って、POS端末3との間で一取引に係る電子決済を行う。
【0017】
カード制御部15aは、各種演算や携帯電話端末2の各部を集中的に制御するCPU(Central Processing Unit)、各種プログラムや各種データを記憶するROM(Read Only Memory)、各種プログラムを一時的に記憶したり各種データを書き換え自在に記憶するRAM(Random Access Memory)、現在の日時を計時する時計部等から構成されるコンピュータである。カード制御部15aには、カード記憶部15b及びカード通信部15cがバスによって接続されている。
【0018】
カード記憶部15bは、電子決済に係る電子決済用情報を格納している。電子決済用情報としては、本実施形態ではプリペイド方式の電子マネーの残高、顧客識別情報等が含まれている。
【0019】
カード通信部15cは、アンテナを有しており、POS端末3の後述する無線通信部34との間で近距離の無線通信を実行する。この無線通信は、例えばRFID(Radio Frequency Identification:無線周波数識別)で用いられる近距離無線通信用の電波を用いて行われる。
【0020】
以上の構成の携帯電話端末2の制御部10で実行されるプログラムは、レシート表示手段17を含む構成となっており、実際のハードウェアとしては、制御部10のCPUが記憶部33からプログラムを読み出して実行することにより、レシート表示手段17を制御部10のRAM上に機能部として生成するようになっている。
【0021】
POS端末3は、図1に示すように、キーボード21、プリンタ22及び表示部23が設けられた本体24を備えている。この本体24には、商品に付された商品コードを光学的に読み取るコードスキャナ25が接続されている。
【0022】
キーボード21は、キャッシャが操作入力を行うための各種の操作キーを有している。操作キーとしては、例えば、数値を入力するための置数キー、取引における売上登録が行われる商品の合計出力を指示する小計キー、一取引の代金の支払いを電子マネーによって行う電子決済キー等が設けられている。電子決済キーは、取引の締めを宣言するための締めキーとして機能する。
【0023】
図3は、POS端末の構成を示すブロック図である。図3に示すように、POS端末3は、各種演算やPOS端末3の各部を集中的に制御する制御部30を備えている。制御部30は、CPU、各種プログラムや各種データを記憶するROM、各種プログラムを一時的に記憶したり各種データを書き換え自在に記憶するRAM、現在の日時を計時する時計部等によって構成されるコンピュータである。制御部30には、バス31を介して通信インターフェース(図面では、通信I/F)32が接続されており、制御部30は通信インターフェース32を介して外部装置(図示せず)との通信が可能となっている。また、制御部30には、バス31を介して、前述したキーボード21、プリンタ22、表示部23、コードスキャナ25の他に、情報を記憶する記憶部33及び無線通信部34が接続されている。これにより、制御部30による各部の制御が可能となっているとともに、キーボード21やコードスキャナ25、無線通信部34からの信号が制御部30に入力可能となっている。
【0024】
無線通信部34は、図示しないアンテナを有し、携帯電話端末2のカード通信部15cとの間で近距離の無線通信を実行する。この無線通信は、上述したように、例えばRFIDで用いられる近距離無線通信用の電波を用いて行われる。また、この無線通信部34は、報知器としてのスピーカ(図示せず)を有している。
【0025】
記憶部33は、例えばハードディスクドライブ装置等から構成されており、制御部30のCPUを動作させるプログラムの他、商品情報を記憶する商品マスタファイル、売上データを記憶する売上ファイル等を格納している。商品マスタファイルは、商品コードに対応付けて商品名や単価、証明書発行要否情報を記憶するものである。
【0026】
ここで、POS端末3で実行されるプログラムは、レシート手段35を含む構成となっており、実際のハードウェアとしては、制御部30のCPUが記憶部33からプログラムを読み出して実行することにより、レシート手段35を機能部として制御部30のRAM上に生成するようになっている。レシート手段35は、一取引に係る会計情報を生成して、その会計情報を携帯電話端末2へ送信するものである。
【0027】
次に、携帯電話端末2及びPOS端末3が実行する会計処理について説明する。ここで、図4は、会計処理を示すシーケンス図、図5は、携帯端末の表示画面の一例を示す図、図6は、携帯端末のレシート画面の一例を示す図である。
【0028】
会計処理では、まず、POS端末3の制御部30が商品の売上登録処理をする(ステップS1)。詳しくは、POS端末3の制御部30のCPUは、コードスキャナ25で読み取られたバーコードのデータに含まれる商品コードで特定される商品について、単価等の商品データを商品マスタファイルから読み出し、読み出した商品データ(商品名や単価)に基づいて売上データを生成して、この売上データを売上ファイルに格納することにより、当該商品の販売登録を行うとともに、売上データに基づく売上合計金額を算出して売上ファイルに格納する。
【0029】
そして、POS端末3において電子決算キーによる電子決算宣言がなされると、POS端末3の制御部30は、売上登録した商品の代金請求額(商品の合計金額)を含む代金請求情報を無線通信部34によって携帯電話端末2に送信する(ステップS2)。この際、携帯電話端末2は、例えば客によってPOS端末3の無線通信部34にかざされて近接している。この際、本実施の形態では、携帯電話端末2の表示部12には、例えば、図5に示すようにメール作成画面等の通常画面が表示されているものとする。
【0030】
携帯電話端末2のICカード部15では、カード通信部15cによってPOS端末3から代金請求情報を受信すると(ステップS11)、カード制御部15aが、カード記憶部15bに記憶されている電子マネーの残高から、代金請求情報に含まれている代金請求額を減算する減算処理を行う(ステップS12)。この減算処理を実行した後、カード制御部15aは、顧客識別情報と減算処理が完了した旨の情報とを含む支払情報をカード通信部15cによってPOS端末3に送信する(ステップS13)。
【0031】
そして、POS端末3の制御部30は、携帯電話端末2から支払情報を受信すると(ステップS3)、会計情報を生成し(ステップS4)、その会計情報を無線通信部34を制御して携帯電話端末2へ送信する(ステップS5)。ここに、レシート手段の機能が実行される。会計情報は、店舗名、売上データ、合計額、取引日時、電子決済(電子マネー)での支払額である預かり金額等を含んでいる。なお、店舗名は、予め記憶部33に記憶されている。
【0032】
携帯電話端末2のICカード部15は、POS端末3から送信された会計情報を受信すると(ステップS14)、会計情報を受信した旨を示す受信完了情報をPOS端末3に送信する(ステップS15)。一方、携帯電話端末2から受信完了情報を受信したPOS端末では、無線通信部34がスピーカによって決済完了を示す音を出力する(ステップS6)。
【0033】
そして、携帯電話端末2では、ステップS15で受信完了情報をPOS端末に送信した後、図6に示すように、その会計情報を示すレシート画面50を表示部12に規定時間の間、ポップアップ表示する(ステップS16)。レシート画面50には、店舗名、取引日時、売上データである商品の名称および単価、合計額、預かり金額等が表示されている。規定時間は、例えば10秒以内、30秒以内、60秒以内など比較的短い時間が好適であるが、60秒を超えた時間であっても良い。また、このとき、制御部10は、会計情報を記憶部11に記憶させる。そして、規定時間が経過した場合には、制御部10は、レシート画面50を削除する(ステップS17)。これにより、携帯電話端末2の表示部12の画面は、図5に示すように通常画面に戻る。これらステップS16,S17によって、レシート表示手段17の機能が実行される。レシート画面50が削除されても、記憶部11に記憶されている会計情報はそのまま保持される。
【0034】
以上説明したように、本実施の形態では、携帯電話端末2において、レシート表示手段17が、会計情報を示すレシート画面(電子レシート)50を表示部12に規定時間の間表示し、規定時間が経過した場合にはレシート画面50を削除する。したがって、レシート画面50が自動で表示されるので、客は従来のようにサーバに情報を問い合わせる必要が無く、客は携帯電話端末2で会計情報を容易に見ることができる。また、このように本実施の形態では、規定時間が経過するとレシート画面50が自動で削除されるので、客はレシート画面50を削除するための操作をする必要がなく、楽である。
【0035】
また、本実施の形態では、支払手段であるICカード部15は、通信部であるカード通信部15cによって決済装置であるPOS端末3とデータ通信を行って、POS端末3との間で一取引に係る電子決済を行い、カード通信部15cは、電子決済に伴って会計情報をPOS端末3から受信する。したがって、一取引の電子決済が行われると、カード通信部15cが会計情報を受信して、その会計情報がレシート表示手段17によって自動で表示されるので、客は、特段の操作を行うことなく会計情報を容易に見ることができる。
【0036】
また、本実施の形態では、レシート表示手段17が、レシート画面50をポップアップ表示するので、客がレシート画面50を認識しやすいという利点がある。
【0037】
また、本実施の形態では、記憶部11が会計情報を記憶するので、レシート表示手段17によってレシート画面50が削除されても、記憶部11にそのレシート画面に対応する会計情報が残っているので、必要に応じて会計情報を確認することができる。
【0038】
なお、本発明は、上記実施の形態に限ることなく本発明の要旨を逸脱しない範囲で他の実施の形態を各種採用することができる。例えば、上記実施の形態では、各種プログラムを記憶部11,33に格納するようにしたが、これに限るものではなく上記実施の形態で実行されるプログラムは、インストール可能な形式又は実行可能な形式のファイルでCD−ROM、フレキシブルディスク(FD)、CD−R、DVD等のコンピュータで読み取り可能な記録媒体に記録されて提供されて良い。また、上記実施の形態で実行されるプログラムを、インターネット等のネットワークに接続されたコンピュータ上に格納し、ネットワーク経由でダウンロードさせることにより提供するように構成しても良い。また、上記実施の形態で実行されるプログラムをインターネット等のネットワーク経由で提供または配布するように構成しても良い。
【0039】
また、上記実施の形態では、携帯端末として、電話通信部を有する携帯電話を例に説明したが、これに限るものではなく、携帯端末としては電話通信部が設けられていないものであっても良い。
【0040】
また、上記実施の形態では、商品販売データ処理装置を、POS端末3に適用した例を説明したが、これに限るものではなく商品販売データ処理装置をECR(Electric Cash Register)や、客が操作を行うセルフチェックアウト装置に適用しても良い。
【0041】
また、上記実施の形態では、電子マネーとして、プリペイド方式のものを例に説明したが、電子マネーとしてはポストペイド方式のものであっても良く、この場合、電子決済用情報には少なくとも顧客識別情報が含まれる。この場合、図4のステップS12の処理は省略され、ステップS3において顧客識別情報を含む支払情報を受信したPOS端末3は、そのポストペイド方式の電子マネーサービスを提供している企業のサーバ(図示せず)に、所定のタイミングで、顧客識別情報と代金請求額とを関連付けした請求情報を送信する。
【符号の説明】
【0042】
1…電子レシートシステム
2…携帯電話端末
3…POS端末
11…記憶部
12…表示部
15…ICカード部
15c…カード通信部
17…レシート表示手段
30…制御部
50…レシート画面
【先行技術文献】
【特許文献】
【0043】
【特許文献1】特開2007−148792公報

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一取引に係る会計情報を送信する決済装置から前記会計情報を受信する通信部と、
表示部と、
前記会計情報を示すレシート画面を前記表示部に規定時間の間表示し、前記規定時間が経過した場合には前記レシート画面を削除するレシート表示手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記通信部によって前記決済装置とデータ通信を行って、前記決済装置との間で前記一取引に係る電子決済を行う支払手段を備え、
前記通信部は、前記電子決済に伴って前記会計情報を前記決済装置から受信することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記レシート表示手段は、前記レシート画面をポップアップ表示することを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記会計情報を記憶する記憶部を備えることを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一項に記載の携帯端末。
【請求項5】
一取引に係る会計情報を送信する決済装置と、前記会計情報を受信する携帯端末と、を備える電子レシートシステムであって、
前記携帯端末は、表示部と、前記会計情報を示すレシート画面を前記表示部に規定時間の間表示し、前記規定時間が経過した場合には前記レシート画面を削除するレシート表示手段と、を有する、ことを特徴とする電子レシートシステム。
【請求項6】
一取引に係る会計情報を送信する決済装置から前記会計情報を受信する通信部と、表示部と、コンピュータと、を備える携帯端末の前記コンピュータを、
前記会計情報を示すレシート画面を前記表示部に規定時間の間表示し、前記規定時間が経過した場合には前記レシート画面を削除するレシート表示手段として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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