説明

携帯端末および情報報知方法

【課題】 送信者の状態を容易に把握することができる携帯端末および情報報知方法を提供すること。
【解決手段】 本発明に係る受信側携帯端末20は、電子メールの送信時における送信者の脈拍および体温を示す身体状態情報を受信部21により受信し、この身体状態情報に基づいて判定部23により報知パターンを判定し、判定した報知パターンにて、報知部25により、受信者に対し送信者の脈拍および体温を視覚的に報知し、送信者の状態を容易に把握可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末および情報報知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、通話者の身体状態を相手側に伝える装置が提案されている。例えば、特許文献1に記載された装置では、通話者の脈拍を検出して脈拍音を生成し、その脈拍音を受信側の端末に送付して通話音声に重畳させることにより、通話者の精神状態や身体状態の変化を受信者に知らせるようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−305330号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載された装置では、脈拍音が通話音声に重畳されるのみであったため、受信者にとっては通話者すなわち送信者の精神状態や身体状態の変化を把握し難い場合があり、送信者の状態を容易に把握できないという問題があった。
【0005】
そこで、本発明は、送信者の状態を容易に把握することができる携帯端末および情報報知方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明の携帯端末は、通信時における送信者の身体状態を示す身体状態情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記身体状態情報に基づいて報知態様を判定する判定手段と、前記判定手段によって判定された報知態様にて、受信者に対し前記身体状態を視覚的に報知する報知手段と、を備えている。
【0007】
また、本発明の情報報知方法は、通信時における送信者の身体状態を示す身体状態情報を受信する受信ステップと、前記受信ステップにおいて受信された前記身体状態情報に基づいて報知態様を判定する判定ステップと、前記判定ステップにおいて判定された報知態様にて、受信者に対し前記身体状態を視覚的に報知する報知ステップと、を備えている。
【0008】
この発明によれば、通信時における送信者の身体状態を示す身体状態情報が受信され、この身体状態情報に基づいて報知態様が判定される。そして、判定された報知態様にて、受信者に対し送信者の身体状態が視覚的に報知される。このように、送信者の身体状態に基づいて判定された報知態様にて、その身体状態が視覚的に報知されるため、送信者の状態を容易に把握することができる。
【0009】
また、本発明の携帯端末において、前記受信手段は、通信時における前記送信者の周辺環境を示す周辺環境情報を受信し、前記判定手段は、前記受信手段によって受信された前記周辺環境情報に基づいて報知態様を判定し、前記報知手段は、前記判定手段によって判定された報知態様にて、受信者に対し前記周辺環境を視覚的に報知することが好ましい。
【0010】
この発明によれば、通信時における送信者の周辺環境を示す周辺環境情報が受信され、この周辺環境情報に基づいて報知態様が判定される。そして、判定された報知態様にて、受信者に対し送信者の周辺環境が視覚的に報知される。このように、送信者の周辺環境に基づいて判定された報知態様にて、その周辺環境が視覚的に報知されるため、送信者の状態をより的確に把握することができる。
【0011】
また、本発明の携帯端末において、前記判定手段は、前記身体状態情報に示される身体状態に応じた複数の報知パターンを記憶する身体状態判定用データベースを備えることが好ましい。
【0012】
この発明によれば、身体状態判定用データベースに記憶された複数の報知パターンの中から、送信者の身体状態に応じた報知パターンが判定手段によって判定され、その報知パターンにて送信者の身体状態が報知される。これにより、送信者の身体状態を具体的に把握することができる。
【0013】
また、本発明の携帯端末において、前記判定手段は、前記周辺環境情報に示される周辺環境に応じた複数の報知パターンを記憶する周辺環境判定用データベースを備えることが好ましい。
【0014】
この発明によれば、周辺環境判定用データベースに記憶された複数の報知パターンの中から、送信者の周辺環境に応じた報知パターンが判定手段によって判定され、その報知パターンにて送信者の周辺環境が報知される。これにより、送信者の周辺環境を具体的に把握することができる。
【0015】
また、本発明の携帯端末において、前記報知手段は表示手段を備え、前記表示手段が、前記受信手段により受信された電子メールを表示する場合において、前記報知手段は、前記表示手段に表示される文字の色、文字の外周部の色、背景の色、および文字の振動から選ばれる少なくとも1種の報知態様にて報知を行うことが好ましい。
【0016】
この発明によれば、受信手段により受信された電子メールを表示手段が表示する場合において、表示手段に表示される文字の色、文字の外周部の色、背景の色、および文字の振動から選ばれる少なくとも1種の報知態様にて送信者の身体状態、周辺環境が報知される。このため、送信者の状態を感覚的に把握することができ、電子メールのやり取りにおけるコミュニケーションの質を向上させることができる。
【0017】
また、本発明の携帯端末において、前記報知手段は、表示手段と、前記表示手段を裏側から支持するように配置された、厚み方向に伸縮可能な伸縮部材と、を備えることが好ましい。
【0018】
この発明によれば、表示手段を裏側から支持するように配置された伸縮部材が厚み方向に伸縮することにより、表示手段が脈動しているかのような報知態様とすることができる。よって、送信者の状態を視覚的かつ直感的に把握することができる。
【0019】
また、本発明の携帯端末において、前記身体状態は、脈拍および体温の少なくとも一つを含むことが好ましい。
【0020】
この発明によれば、送信者の脈拍や体温の値に基づいた報知態様にて脈拍や体温が報知されるため、送信者の身体状態をより具体的に把握することができる。
【0021】
また、本発明の携帯端末において、前記周辺環境は、気温であることが好ましい。
【0022】
この発明によれば、送信者の周辺の気温に基づいた報知態様にて気温が報知されるため、送信者の周辺環境をより具体的に把握することができる。
【0023】
また、本発明の携帯端末は、通信時における送信者の身体状態を示す身体状態情報を受信する受信手段と、前記受信手段によって受信された前記身体状態情報に基づいて報知態様を判定する判定手段と、前記判定手段によって判定された報知態様にて、受信者に対し前記身体状態を触覚を通じて報知する報知手段と、を備えている。
【0024】
この発明によれば、通信時における送信者の身体状態を示す身体状態情報が受信され、この身体状態情報に基づいて報知態様が判定される。そして、判定された報知態様にて、受信者に対し送信者の身体状態が触覚を通じて報知される。このように、送信者の身体状態に基づいて判定された報知態様にて、その身体状態が触覚を通じて報知されるため、送信者の状態を容易に把握することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の携帯端末および情報報知方法によれば、送信者の状態を容易に把握することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】本発明の実施形態に係る携帯端末の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明の実施形態に係る携帯端末の概略正面図である。
【図3】身体状態情報判定用データベースに記憶される報知パターンの第1の具体例を示す図である。
【図4】身体状態判定用データベースに記憶される報知パターンの第2の具体例を示す図である。
【図5】周辺環境判定用データベースに記憶される報知パターンの具体例を示す図である。
【図6】携帯端末のディスプレイにおける電子メールの表示例を示す図である。
【図7】携帯端末のディスプレイにおける文字及び背景の表示例を示す図である。
【図8】携帯端末の報知部に備えられた伸縮部材を示す図である。
【図9】図8に示す伸縮部材の厚みの時間変化を示す図である。
【図10】携帯端末による処理を示すシーケンス図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、図面を参照しながら本発明の実施形態を説明する。可能な場合には、同一の部分に同一の符号を付して、重複する説明を省略する。なお、以下の説明においては、送信者側携帯端末と受信者側携帯端末との間において電子メールのやり取りが行われる場合について説明する。
【0028】
図1は本発明の実施形態に係る携帯端末の構成を示すブロック図、図2はこの携帯端末の概略正面図である。図1では、送信者側の携帯端末である送信側携帯端末10と、受信者側の携帯端末である受信側携帯端末20とがネットワークNWを介して通信可能な状態を示している。
【0029】
図1に示すように、送信側携帯端末10は、送信部11、メール部12、検出部13、およびディスプレイ14を備えている。また、受信側携帯端末20は、受信部21、メール部22、判定部23、制御部24、および報知部25を備えている。これらは、本実施形態の説明に必要なものとして、携帯端末10,20の主要な構成を示したものである。以下、各構成について説明する。
【0030】
まず、送信側携帯端末10について説明する。送信部11は、送信側携帯端末10において生成される通信データを送信する部分である。この通信データとしては、例えば電子メールにおけるテキストデータや通話における音声データの他、送信者の状態を示す状態情報などが挙げられる。特に本実施形態では、送信部11は、後述するメール部12および検出部13から出力される電子メールおよび送信者の状態情報をネットワークNWへ送信する。ここで送信される送信者の状態情報は、電子メールの添付ファイルに含まれてもよいし、通信手順における制御信号に含まれてもよい。
【0031】
メール部12は、電子メールを生成する部分である。メール部12は、送信者の操作に応じてテキストデータや画像データからなる電子メールを生成し、生成した電子メールを送信部11およびディスプレイ14へ出力する。
【0032】
検出部13は、通信時における送信者の身体状態および周辺環境を検出する部分である。検出部13は、脈拍センサ15、体温センサ16、および外気温センサ17を備えている。脈拍センサ15および体温センサ16のそれぞれは、通信時における送信者の脈拍および体温を検出し、検出した脈拍および体温を示す身体状態情報を生成し送信部11へ出力する。外気温センサ17は、通信時における送信者の周辺における外気温を検出し、検出した外気温を示す周辺環境情報を生成し送信部11へ出力する。脈拍センサ15、体温センサ16、および外気温センサ17による検出は、所定時間ごとに行われる。
【0033】
図2に示すように、検出部13が備える脈拍センサ15、体温センサ16、および外気温センサ17は、送信側携帯端末10の側部に設けられている。脈拍センサ15および体温センサ16は、送信側携帯端末10の操作ボタンの左右側方に設けられており、送信者の手が触れ易い位置に配置されている。外気温センサ17は、ディスプレイ14上部の左右側方に設けられており、送信者の手が触れ難い位置に配置されている。このような構成により、送信者によって電子メール送信の操作が行われる際、送信者の脈拍、体温および周辺における外気温が検出可能とされている。
【0034】
ディスプレイ14は、送信側携帯端末10において生成されるデータを表示する部分である。ディスプレイ14は、メール部12で生成された電子メールを取得し、取得した電子メールを送信者に対して表示する。
【0035】
次に、受信側携帯端末20について説明する。受信部21は、ネットワークNWを介して送信された通信データを受信する部分である。特に本実施形態では、受信部21は、送信側携帯端末10の送信部11から送信された電子メールおよび送信者の状態を示す身体状態情報および周辺環境情報を受信し、受信した電子メールをメール部22へ出力すると共に、送信者の状態を示す身体状態情報および周辺環境情報を判定部23へ出力する。この受信部21は、受信手段に相当する。
【0036】
メール部22は、電子メールを取得し保存する部分である。メール部22は、受信部21から出力された電子メールを取得し、取得した電子メールを保存すると共に報知部25のディスプレイ38へ出力する。
【0037】
判定部23は、受信部21によって受信された送信者の身体状態情報および周辺環境情報に基づいて報知態様を判定する部分である。判定部23は、受信部21から出力された身体状態情報および周辺環境情報を取得し、取得したこれらの情報に基づいて所定の処理を行うことにより受信側携帯端末20における報知態様を判定する。この判定部23は、判定手段に相当する。判定部23における判定処理に係わる各部について、以下説明する。
【0038】
判定部23は、拍動情報判定部31、文字情報判定部32、および背景情報判定部33を備えている。さらに、判定部23は、拍動情報判定部31および文字情報判定部32に対応する身体状態判定用データベース34および、背景情報判定部33に対応する周辺環境判定用データベース35を備えている。
【0039】
身体状態判定用データベース34は、身体状態情報に示される身体状態に応じた複数の報知パターンを記憶している。また、周辺環境判定用データベース35は、周辺環境情報に示される周辺環境に応じた複数の報知パターンを記憶している。身体状態判定用データベース34および周辺環境判定用データベース35に記憶される報知パターンについて、図3〜図5を参照しながら、以下説明する。
【0040】
身体状態判定用データベース34には、図3に示すように、送信者の脈拍の値に対して4段階の報知パターンを対応させたテーブルが格納されている。このテーブルでは、例えば、送信者の脈拍が70回/minである場合、文字の振動および画面の脈動について、いずれも「弱」が対応している。
【0041】
なお、上記のテーブルにおける「画面」とは、後述する報知部25のディスプレイ38(表示手段)であり、「文字」とは、ディスプレイ38に表示される電子メールの文字である。また、当該テーブルに示される数値範囲「a〜b」は「a以上b未満」を意味するものとする。以下に説明する他のテーブルにおいても同様とする。
【0042】
また、身体状態判定用データベース34には、図4に示すように、送信者の体温の値に対して5段階の報知パターンを対応させたテーブルが格納されている。このテーブルでは、例えば、送信者の体温が36.5℃である場合、文字の色について「青」が対応している。
【0043】
さらに、周辺環境判定用データベース35には、図5に示すように、送信者の周辺の外気温に対して5段階の報知パターンを対応させたテーブルが格納されている。このテーブルでは、例えば、送信者の周辺の外気温が15℃である場合、文字の外周部の色について「水色」が、ディスプレイ38の背景の色について「緑」が対応している。
【0044】
なお、身体状態判定用データベース34や周辺環境判定用データベース35には、ディスプレイ38に表示する文字の色を変化可能とするフォントや、ディスプレイ38の背景に重畳表示させる模様等も、上記テーブルと共に格納されている。
【0045】
このように、図1に示す身体状態判定用データベース34および周辺環境判定用データベース35は、複数の報知態様、すなわち文字の振動、画面の脈動、文字の色、文字の外周部の色、および背景の色についての報知パターンを記憶している。以下の説明において、文字の振動、文字の色、文字の外周部の色、および背景の色を「表示パターン」ともいい、画面の脈動を「脈動パターン」ともいう。
【0046】
拍動情報判定部31は、取得した身体状態情報に示される脈拍の値に基づいて、身体状態判定用データベース34に記憶された複数の報知パターンの中から、文字の振動についての表示パターンおよびディスプレイ38の脈動パターンを判定する。また、文字情報判定部32は、取得した身体状態情報に示される体温の値に基づいて、身体状態判定用データベース34に記憶された複数の報知パターンの中から、文字の色についての表示パターンを判定する。さらに、背景情報判定部33は、取得した周辺環境情報に示される外気温に基づいて、周辺環境判定用データベース35に記憶された複数の報知パターンの中から、文字の外周部の色および背景の色についての表示パターンを判定する。そして、判定部23は、判定されたこれらの報知パターンを制御部24へ出力する。
【0047】
制御部24は、報知部25を制御する部分である。制御部24は、判定部23から出力された報知パターンを取得すると共に報知パターンを確定し、確定した報知パターンにて報知部25における報知が行われるよう報知部25を制御する。なお、制御部24は、報知部25における表示パターンを制御する表示パターン制御部36および報知部25における脈動パターンを制御する振動パターン制御部37を備えている。
【0048】
そして報知部25は、判定部23によって判定された報知態様にて、受信者に対し送信者の身体状態および周辺環境を視覚的に報知すると共に、触覚を通じて報知するものである。報知部25は、ディスプレイ38および伸縮部材39を備えている。この報知部25は、報知手段に相当する。
【0049】
ディスプレイ38は、制御部24の表示パターン制御部36により制御されて、判定部23によって判定された所定の表示パターンにて、受信者に対し送信者の脈拍、体温、および周辺の外気温を視覚的に報知する。特に本実施形態では、ディスプレイ38は、メール部22から出力された電子メールを取得し、取得した電子メールに示される文字等を所定の表示パターンにて表示することにより、受信者に対する報知を行う。このディスプレイ38における表示について、図6および図7を参照しながら、以下説明する。
【0050】
図6に示すように、ディスプレイ38は、送信者によって作成され送信側携帯端末10から送信された電子メールを表示している。ここでは、「こんにちは。……」という電子メールの文字が表示されると共に、ねずみをかたどったシルエットsが重畳表示されている。ディスプレイ38の背景全体およびこのシルエットsは、図1の表示パターン制御部36により制御されて、送信者の周辺の外気温に応じた背景の色にて表示可能とされている。
【0051】
さらに図7に示すように、ディスプレイ38に表示される電子メールの文字「あ」は、そのフォントの外周部A、フォント周辺の背景B、およびフォント内部Cのそれぞれについて、送信者の周辺の外気温、送信者の体温に応じた色にて表示可能とされている。また、電子メールの文字「あ」の動きDは、送信者の脈拍に応じた振動強度にて振動表示可能とされている。
【0052】
伸縮部材39は、図8に示すように、ディスプレイ38を裏側から支持するように複数配置されており、ディスプレイ38の厚み方向に伸縮可能とされている。この伸縮部材39は、制御部24の振動パターン制御部37により制御されて、判定部23の拍動情報判定部31によって判定された所定の脈動パターンにて、ディスプレイ38の厚み方向における長さL(t)が経時的に変化することにより、ディスプレイ38を脈動可能としている。
【0053】
この伸縮部材39による脈動パターンは、図9に示すように、送信者の心臓の脈拍や鼓動に応じたリズムで変化するようにされている。このような伸縮部材39によってディスプレイ38が押し上げられることにより、ディスプレイ38があたかも送信者の脈拍に応じて脈動しているかのように、受信者に対する視覚的な報知が行われる。また、伸縮部材39によるディスプレイ38の脈動は物理的な動きでもあるため、受信側携帯端末20を手にする受信者に対し触覚を通じた報知も行われる。
【0054】
以上、携帯端末10,20各々の主要な構成について説明したが、実際には、送信側携帯端末10は受信側携帯端末20と同様の受信・報知機能を備え、受信側携帯端末20は送信側携帯端末10と同様の送信機能を備えることが好ましい。
【0055】
次に、送信側携帯端末10および受信側携帯端末20の動作について説明する。図10は、送信側携帯端末10および受信側携帯端末20による処理を示すシーケンス図である。
【0056】
まず、送信側携帯端末10において電子メールが作成される(S1)。ここでは、送信者の操作により、所定の内容を含む電子メールがメール部12により生成され、生成された電子メールは送信部11へ出力される。
【0057】
続いて、脈拍が検出され(S2)、体温が検出され(S3)、外気温が検出される(S4)。ステップS2では、送信側携帯端末10を持つ送信者の手が脈拍センサ15に触れることにより、送信者の脈拍が検出される。また、ステップS3では、ステップS2と同様にして送信者の手が体温センサ16に触れることにより、送信者の体温が検出される。さらに、ステップS4では、ディスプレイ14上部の左右側方に設けられた外気温センサ17により、送信者の周辺の外気温が検出される。また、ステップS2〜S4で検出された脈拍および体温を示す身体状態情報、および外気温を示す周辺環境情報が生成され、送信部11へ出力される。
【0058】
次に、データが送信される(S5)。ここでは、送信者の操作により、ステップS1で作成された電子メールと共に、ステップS2〜S4で検出されて生成された身体状態情報および周辺環境情報が、ネットワークNWを介して送信部11から受信部21へ送受信される。ここで、身体状態情報および周辺環境情報は、電子メールの送信操作が行われる際に送信部11が取得した最新のデータとされる。ステップS5は、受信ステップに相当する。
【0059】
続いて、送信側携帯端末10の受信部21により電子メールおよび、身体状態情報、周辺環境情報が受信されると、拍動情報の判定により表示パターン等が判定される(S6)。ここでは、判定部23の拍動情報判定部31により身体状態情報が取得され、取得された身体状態情報に示される脈拍の値に基づいて、身体状態判定用データベース34に記憶された複数の報知パターンの中から、文字の振動についての表示パターンおよびディスプレイ38の脈動パターンが判定される(図3参照)。
【0060】
次に、文字情報の判定により表示パターンが判定される(S7)。ここでは、文字情報判定部32により身体状態情報が取得され、取得された身体状態情報に示される体温の値に基づいて、身体状態判定用データベース34に記憶された複数の報知パターンの中から、文字の色についての表示パターンが判定される(図4参照)。
【0061】
次に、背景情報の判定により表示パターンが判定される(S8)。ここでは、背景情報判定部33により周辺環境情報が取得され、取得された周辺環境情報に示される外気温に基づいて、周辺環境判定用データベース35に記憶された複数の報知パターンの中から、文字の外周部の色および背景の色についての表示パターンが判定される(図5参照)。また、ステップS6〜S8で判定された表示パターンおよび脈動パターンは、制御部24へ出力される。ステップS6〜S8は、判定ステップに相当する。
【0062】
次に、表示パターンおよび脈動パターンが確定される(S9)。ここでは、制御部24の表示パターン制御部36により表示パターンが取得されると共に確定され、確定された表示パターンにてディスプレイ38における表示が行われるよう、報知部25が制御される。また、制御部24の振動パターン制御部37により脈動パターンが取得されると共に確定され、確定された脈動パターンにて伸縮部材39による振動が行われるよう、報知部25が制御される。
【0063】
そして、画面表示が行われる(S10)。ここでは、ディスプレイ38により電子メールが取得され、取得された電子メールに示される文字等がステップS9で確定された表示パターンにて表示されることにより、受信者に対する報知が行われる。
【0064】
より具体的には、図6に示されるように、シルエットsが電子メールの文字に重畳表示され、送信者の周辺の外気温に応じた背景の色にて表示される。また、図7に示されるように、電子メールの文字が、そのフォントの外周部A、フォント周辺の背景B、およびフォント内部Cのそれぞれにおいて、送信者の周辺の外気温、送信者の体温に応じた色にて表示され、また文字の動きDが、送信者の脈拍に応じた振動強度にて振動表示される。
【0065】
さらには、図9に示されるような脈動パターンにて伸縮部材39の長さL(t)が経時的に変化することにより、送信者の心臓の脈拍や鼓動に応じたリズムでディスプレイ38が脈動される。ステップS10は、報知ステップに相当する。
【0066】
以上一連の処理により、送信側携帯端末10および受信側携帯端末20による電子メールのやり取りが行われ、受信側携帯端末20において、送信者の状態が受信者に報知される。
【0067】
次に、本実施形態の受信側携帯端末20の作用効果について説明する。本実施形態の受信側携帯端末20によれば、電子メールの送信時における送信者の脈拍および体温を示す身体状態情報が受信部21により受信され、この身体状態情報に基づいて判定部23により報知パターンが判定され、判定された報知パターンにて、受信者に対し送信者の脈拍および体温が報知部25により視覚的に報知される。このように、送信者の脈拍および体温に基づいて判定された報知パターンにて、その脈拍および体温が視覚的に報知されるため、送信者の状態を容易に把握することができる。
【0068】
また、本実施形態の受信側携帯端末20によれば、電子メールの送信時における送信者の周辺の外気温を示す周辺環境情報が受信部21により受信され、この周辺環境情報に基づいて判定部23により報知パターンが判定され、判定された報知パターンにて、受信者に対し送信者の周辺の外気温が視覚的に報知される。このように、送信者の周辺の外気温に基づいて判定された報知パターンにて、その周辺の外気温が報知部25により視覚的に報知されるため、送信者の状態をより的確に把握することができる。
【0069】
また、本実施形態の受信側携帯端末20によれば、身体状態判定用データベース34に記憶された複数の報知パターンの中から、送信者の脈拍や体温の値に応じた報知パターンが拍動情報判定部31および文字情報判定部32によって判定され、その報知パターンにて送信者の脈拍や体温が報知される(図3,図4参照)。これにより、送信者の脈拍や体温を具体的に把握することができる。
【0070】
また、本実施形態の受信側携帯端末20によれば、周辺環境判定用データベース35に記憶された複数の表示パターンの中から、送信者の周辺の外気温に応じた表示パターンが背景情報判定部33によって判定され、その表示パターンにて送信者の周辺の外気温が報知される(図5参照)。これにより、送信者の周辺の外気温を具体的に把握することができる。
【0071】
また、本実施形態の受信側携帯端末20によれば、受信部21により受信された電子メールをディスプレイ38が表示する場合において、ディスプレイ38に表示される文字の色C、文字の外周部の色A、背景の色B、および文字の振動Dから選ばれる少なくとも1種の表示パターンにて送信者の脈拍および体温、周辺の外気温が報知される(図6,図7参照)。このため、送信者の状態を感覚的に把握することができ、電子メールのやり取りにおけるコミュニケーションの質を向上させることができる。
【0072】
また、本実施形態の受信側携帯端末20によれば、ディスプレイ38を裏側から支持するように配置された伸縮部材39を厚み方向に伸縮させるため、ディスプレイ38が脈動しているかのような報知態様とすることができる(図8,図9参照)。よって、送信者の状態を視覚的かつ直感的に把握することができる。
【0073】
また、本実施形態の受信側携帯端末20によれば、電子メールの送信時における送信者の脈拍を示す身体状態情報が受信部21により受信され、この身体状態情報に基づいて判定部23により脈動パターンが判定され、判定された脈動パターンにて、受信者に対し送信者の脈拍が伸縮部材39により触覚を通じて報知される。このように、送信者の脈拍に基づいて判定された脈動パターンにて、その脈拍が触覚を通じて報知されるため、送信者の状態を容易に把握することができる。
【0074】
以上、本発明の実施携帯について説明したが、本発明は上記実施携帯に限られるものではない。例えば、上記実施形態では電子メールのやり取りを例に挙げて説明したが、通話の際に、受信側の着信画面において送信者すなわち通話者の状態を報知させるようにしてもよい。また、上記実施形態では触覚を通じた報知態様として伸縮部材39によるディスプレイ38の脈動について説明したが、たとえばマナーモードに用いられるバイブレーションを利用して送信者の脈拍などを報知するようにしてもよい。
【0075】
また、上記実施形態では、図3〜図5に示したテーブルにより報知パターンを判定することとしたが、例えば送信者の脈拍に応じてディスプレイ38の背景やシルエットsの輝度の強弱が繰り返されるような報知パターンとしてもよく、またシルエットsの表示領域などは、送信者が選択可能としてもよい。
【符号の説明】
【0076】
20…受信側携帯端末(携帯端末)、21…受信部(受信手段)、23…判定部(判定手段)、25…報知部(報知手段)、34…身体状態判定用データベース、35…周辺環境判定用データベース、38…ディスプレイ(表示手段)、39…伸縮部材、A…文字の外周部の色、B…背景の色、C…文字の色、D…文字の振動。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信時における送信者の身体状態を示す身体状態情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記身体状態情報に基づいて報知態様を判定する判定手段と、
前記判定手段によって判定された報知態様にて、受信者に対し前記身体状態を視覚的に報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記受信手段は、通信時における前記送信者の周辺環境を示す周辺環境情報を受信し、
前記判定手段は、前記受信手段によって受信された前記周辺環境情報に基づいて報知態様を判定し、
前記報知手段は、前記判定手段によって判定された報知態様にて、受信者に対し前記周辺環境を視覚的に報知することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記判定手段は、前記身体状態情報に示される身体状態に応じた複数の報知パターンを記憶する身体状態判定用データベースを備えることを特徴とする請求項1又は2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記判定手段は、前記周辺環境情報に示される周辺環境に応じた複数の報知パターンを記憶する周辺環境判定用データベースを備えることを特徴とする請求項2又は3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記報知手段は表示手段を備え、
前記表示手段が、前記受信手段により受信された電子メールを表示する場合において、
前記報知手段は、前記表示手段に表示される文字の色、文字の外周部の色、背景の色、および文字の振動から選ばれる少なくとも1種の報知態様にて報知を行うことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項記載の携帯端末。
【請求項6】
前記報知手段は、表示手段と、
前記表示手段を裏側から支持するように配置された、厚み方向に伸縮可能な伸縮部材と、を備えることを特徴とする請求項1〜5のいずれか一項記載の携帯端末。
【請求項7】
前記身体状態は、脈拍および体温の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれか一項記載の携帯端末。
【請求項8】
前記周辺環境は、気温であることを特徴とする請求項2〜7のいずれか一項記載の携帯端末。
【請求項9】
通信時における送信者の身体状態を示す身体状態情報を受信する受信手段と、
前記受信手段によって受信された前記身体状態情報に基づいて報知態様を判定する判定手段と、
前記判定手段によって判定された報知態様にて、受信者に対し前記身体状態を触覚を通じて報知する報知手段と、
を備えることを特徴とする携帯端末。
【請求項10】
通信時における送信者の身体状態を示す身体状態情報を受信する受信ステップと、
前記受信ステップにおいて受信された前記身体状態情報に基づいて報知態様を判定する判定ステップと、
前記判定ステップにおいて判定された報知態様にて、受信者に対し前記身体状態を視覚的に報知する報知ステップと、
を備えることを特徴とする情報報知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−253030(P2010−253030A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106470(P2009−106470)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】