説明

携帯端末機器に装着される電子装置及び電子装置の制御方法

【課題】非接触通信の設定を最優先の通信プロトコルを優先した設定として最優先の通信プロトコルによる非接触通信を高速化することができ、種々の通信プロトコルを有する非接触機能チップによる非接触通信を効率化、最適化することができる。
【解決手段】非接触機能チップは、携帯電話機への装着時に、携帯電話機から機器情報31を取得し、携帯電話機から取得した機器情報31に基づいて優先的に実行すべき非接触通信の通信プロトコルを判断し、非接触通信用の通信制御回路35を最優先の通信プロトコルの設定データにより設定するようにしたものである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、携帯端末機器に装着された状態において外部装置との非接触通信を行う機能を有する携帯端末機器に装着される電子装置および電子装置の制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、クレジットカードを持ち歩く習慣が定着してきており、一般の多くの利用者がクレジットカード形状のカードにより入退室管理や金融決済等を行っている。また、一方では、携帯電話機等の携帯端末機器の普及率が上がり、ひとり1台の時代に入ってきている。このような状況によって、携帯電話機などの携帯端末機器で入退室管理や金融決済等を非接触通信で行いたいとのニーズが出てきている。言い換えると、携帯端末機器においてローカル無線インターフェースとして非接触ICカードのインターフェースを実装する要求が出てきている。このような要求に対しては、既存の非接触ICカードを携帯端末機器に直に実装する方法も考えれれるが、携帯端末機器の機種交換や他の携帯端末機器への展開を考えると、リムーバブルの構成が適していると考えられる。そこで、近年では、携帯端末機器に非接触通信用のアンテナを実装し、非接触通信機能を持った電子装置、たとえば、非接触ICカードやコンビカードのチップ部分、PCカード、あるいは、各種メモリデバイス、を携帯端末機器に挿入(装着)することにより、携帯端末機器に装着された状態で電子装置が非接触通信による種々の機能を実現する技術が提案されている。
【0003】
例えば、現在、非接触通信用のインターフェース技術として考えられているのは、ISO/IEC14443で規定されている通信プロトコルや一部の日本独自仕様で運用されているシステムに応じた通信プロトコルなどが考えられる。さらに、海外の携帯端末機器での使用(海外展開)を考えた場合、さらに、サポートしなければいけない通信プロトコルが増える。このような状況においては、携帯端末機器に非接触通信用のアンテナのみを実装して非接触通信機能をチップ等の他のデバイスに分割することにより、種々の携帯端末機器に実装されたアンテナ特性が異なること、各チップ側の特性が異なることによる通信特性のばらつきが発生する可能性がある。このような場合、一般には、携帯端末機器と電子装置(チップデバイス)とのクロステストを行い、どの組み合わせでもサービスに必要なパフォーマンスを確保する必要がある。
【0004】
しかしながら、非接触機能チップが複数の非接触通信用の通信プロトコルをサポートする場合、従来は、リーダライタ側とのコマンドの送受信によって使用する通信プロトコルと判断し、その判断した通信プロトコルに応じた通信設定を行うようになっている。この為、通信プロトコルの判断とその判断に基づく通信設定に時間がかかってしまう。この結果、高速な応答が必要な用途で非接触通信を行う場合であっても、所望の通信プロトコルによる通信開始までに時間がかかってしまうという問題点がある。また、通信を開始するごとに、通信プロトコルの判断とその判断に基づく通信設定を行う必要となるため、複数の通信プロトコルに対する処理効率が悪いという問題点もある。
【0005】
さらに、携帯端末機器に実装されている非接触通信用のアンテナを用いて非接触機能チップの制御にて非接触通信を行う場合、非接触通信のアンテナと非接触機能チップとのお互いの特性がマッチングせずに、通信特性が悪くなるという問題点がある。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】ISO/IEC 14443(国際標準規格)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
この発明は、上記のような問題点を解決するものであり、携帯端末機器の仕様や用途に応じて非接触通信の通信設定を最適な設定にすることにより、高速な通信処理、通信効率の向上、及び、通信特性の最適化などを実現することができる携帯端末機器に装着される電子装置および電子装置の制御方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
この発明の一形態としての携帯端末機器に装着される電子装置は、前記携帯端末機器に接続するためのコンタクト部と、前記コンタクト部を介して前記携帯端末機器との接触通信を行う接触通信部と、前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナを用いて非接触通信を行う非接触通信部と、種々の携帯端末機器に実装されるアンテナにおけるアンテナ特性を示すデータを記憶している記憶手段と、前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナ特性を示すデータを測定する測定手段と、前記測定手段により測定したデータに対応するアンテナ特性を前記記憶手段に記憶している情報から判断する判断手段と、前記判断手段により判断したアンテナ特性を前記非接触通信部に対して設定する設定手段とを有する。
【0009】
この発明の一形態としての携帯端末機器に装着される電子装置は、携帯端末機器に接続するためのコンタクト部と、前記コンタクト部を介して前記携帯端末機器との接触通信を行う接触通信部と、前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナを用いて非接触通信を行う非接触通信部と、種々の携帯端末機器の機器情報に対応するアンテナ特性を記憶している記憶手段と、前記コンタクト部を介して前記接触通信部が前記携帯端末機器から機器情報を受信した場合、前記携帯端末機器から受信した機器情報に対応するアンテナ特性を前記記憶手段に記憶している情報から判断する判断手段と、前記判断手段により判断したアンテナ特性を前記非接触通信部に対して設定する設定手段とを有する。
【0010】
この発明の一形態としての電子装置の制御方法は、携帯端末機器に装着された状態において当該携帯端末機器に接続するコンタクト部と、前記コンタクト部を介して前記携帯端末機器との接触通信を行う接触通信部と、前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナを用いて非接触通信を行う非接触通信部とを有する電子装置の制御方法であって、種々の携帯端末機器に実装されるアンテナにおけるアンテナ特性を示すデータを記憶手段に記憶しておき、前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナ特性を示すデータを測定し、この測定したデータに対応するアンテナ特性を前記記憶手段に記憶している情報から判断し、この判断したアンテナ特性を前記非接触通信部に対して設定する。
【0011】
この発明の一形態としての電子装置の制御方法は、携帯端末機器に装着された状態において当該携帯端末機器に接続するコンタクト部と、前記コンタクト部を介して前記携帯端末機器との接触通信を行う接触通信部と、前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナを用いて非接触通信を行う非接触通信部とを有する電子装置の制御方法であって、種々の携帯端末機器の機器情報に対応するアンテナ特性を記憶手段に記憶しておき、前記コンタクト部を介して前記接触通信部が前記携帯端末機器から機器情報を受信した場合、前記携帯端末機器から受信した機器情報に対応するアンテナ特性を前記記憶手段に記憶している情報から判断し、この判断したアンテナ特性を前記非接触通信部に対して設定する。
【発明の効果】
【0012】
この発明は、携帯端末機器の仕様や用途に応じて非接触通信の通信設定を最適な設定にすることにより、高速な通信処理、通信効率の向上、及び、通信特性の最適化などを実現する携帯端末機器に装着される電子装置および電子装置の制御方法を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施の形態に係る非接触機能チップが装着される携帯電話機と非接触機能チップを用いた通信システムを概略的に説明するための図。
【図2】非接触機能チップの内部構成例を概略的に示すブロック図。
【図3】通信プロトコル設定を実現するための非接触機能チップの構成例を説明するための図。
【図4】非接触機能チップにおける通信プロトコル設定の手順を説明するためのフローチャート。
【図5】アンテナ特性の測定に基づくアンテナ特性設定を実現するための非接触機能チップの構成例を説明するための図。
【図6】非接触機能チップにおけるアンテナ特性の測定に基づくアンテナ特性設定の手順を説明するためのフローチャート。
【図7】携帯電話機の機器情報に基づくアンテナ特性設定を実現するための非接触機能チップの構成例を説明するための図。
【図8】非接触機能チップにおける携帯電話機の機器情報に基づくアンテナ特性設定の手順を説明するためのフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0014】
この発明を実施するための最良の形態について図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の実施の形態に係る電子装置としての非接触機能チップCが装着される携帯端末機器としての携帯電話機Pの構成を説明するための図である。
【0015】
図1に示す携帯電話機Pは、通常の携帯電話機の機能としての携帯電話機能および電子データの送受信機能の他に、後述する非接触機能チップ(電子装置)Cによる外部装置としてのリーダライタRWとの非接触通信(無線通信)を実現する機能を有している。上記携帯電話機Pは、非接触機能チップCによる非接触通信を実現する手段として、図1に示すように、制御回路11、非接触通信用アンテナ12、非接触機能チップ用ソケット(単にソケットとも称する)13などを有している。
【0016】
上記制御回路11は、上記携帯電話機P全体の制御を司るものである。上記制御回路11は、CPU、メモリ、各種の内部インターフェースなどにより構成される。上記制御回路11は、携帯電話機としての基本的な動作機能の他に、主な機能として、当該携帯電話機Pの機器情報を保持する機能や上記非接触機能チップ用ソケット13に装着された非接触機能チップCとの通信機能を有している。また、上記制御回路11は、上記非接触機能チップCとの通信機能によって、上記非接触機能チップCとの機器認証、上記非接触機能チップCへの当該携帯電話機Pの機器情報の供給などを行うようになっている。
【0017】
上記非接触機能チップ用ソケット13は、上記制御回路11と上記アンテナ12とに接続され、上記非接触機能チップCが装着される構造を有している。上記非接触機能チップ用ソケット13は、上記非接触機能チップCと上記制御回路11とを接続するとともに、上記非接触機能チップCと上記アンテナ12とを接続する機能を有している。
【0018】
上記アンテナ12は、上記非接触機能チップCによるリーダライタRWとの非接触通信用の電波を送受信するものである。すなわち、上記非接触機能チップCは、上記非接触機能チップ用ソケット13を介して上記アンテナ12と接続されることにより上記リーダライタRWとの非接触通信(無線通信)を実現するようになっている。なお、上記リーダライタRWは、非接触機能チップCとの無線通信を行う外部装置である。
【0019】
次に、上記のような携帯端末機器としての携帯電話機Pに装着される電子装置としての非接触機能チップCの構成について説明する。
上記非接触機能チップCは、上記のような携帯端末機器としての携帯電話機Pに着脱可能な構成を有している。例えば、上記非接触機能チップCは、非接触式ICカードあるいはコンビカードのチップ部分、USIMあるいはSIMなどのICカード、PCカード、もしくは、各種のメモリデバイスとして実現される。また、上記非接触機能チップCは、例えば、基本仕様として、ISO/IEC14443仕様、ISO/IEC7816仕様などを満たすものである。
【0020】
図2は、上記携帯電話機Pに装着される非接触機能チップCの構成例を示すブロック図である。図2に示すように、非接触機能チップCは、CPU21、メモリ22、チップ制御回路23、接触通信部24、非接触通信部25、及びコンタクト部26などを有している。上記CPU21は、上記メモリ22に記録されているプログラムに基づく種々の処理を行うものである。上記メモリ22は、ROM、RAM、書き換え可能な不揮発性メモリ(例えば、EEPOMやフラッシュROM等)により構成される。また、上記メモリ22には、機器情報テーブル22aおよびアンテナ特性テーブル22bが設けられている。上記テーブル22a、22bは、例えば、書き換え可能な不揮発性メモリ内に設けられる。
【0021】
上記チップ制御回路23は、上記CPU21の処理に応じて当該非接触機能チップCの動作を制御する回路である。上記接触通信部24は、上記携帯電話機Pとの接触式の通信を行うユニットである。上記接触通信部24は、上記コンタクト部26及び上記携帯電話機Pのソケット13を介して上記携帯電話機Pの制御回路11に接続されるように構成されている。上記非接触通信部25は、非接触式の通信(無線通信)を行うユニットである。上記非接触通信部25は、上記コンタクト部26及び上記携帯電話機Pのソケット13を介して上記携帯電話機Pのアンテナ12と接続されるように構成されている。
【0022】
次に、上記非接触機能チップCによる非接触通信について概略的に説明する。
まず、上記非接触機能チップCが上記携帯電話機Pのソケット13に装着されると、上記非接触機能チップCの接触通信部24と携帯電話機Pの制御回路11とは、非接触機能チップのコンタクト部26と携帯電話機Pのソケット13を介して物理的に接続される。すると、上記携帯電話機Pの制御回路11は、上記非接触機能チップCに対して当該携帯電話機Pの機器情報を送信する。また、上記非接触機能チップCのCPU21が上記接触通信部24により上記携帯電話機Pに対して機器情報を要求(リクエスト)し、その応答として携帯電話機Pから機器情報を受信するようにしても良い。
【0023】
上記携帯電話機Pから機器情報を受信すると、上記非接触機能チップCでは、上記携帯電話機Pからの機器情報等に基づいて非接触通信に用いる通信プロトコルの設定処理及びアンテナ特性設定処理を行う。上記通信プロトコル設定処理及びアンテナ特性設定処理が完了すると、上記携帯電話機Pに装着された上記非接触機能チップCの非接触通信部25は、上記携帯電話機Pのアンテナ12を用いた上記リーダライタRWなどの外部機器との非接触通信が可能な状態となる。
【0024】
以下、上記非接触機能チップCにおける非接触通信の通信設定として、携帯電話機の機器情報に基づく通信プロトコル設定、アンテナ特性の測定に基づくアンテナ特性設定、および、携帯電話機の機器情報に基づくアンテナ特性設定について説明する。
【0025】
まず、上記非接触機能チップCにおける非接触通信の通信プロトコル設定について説明する。
図3は、上記非接触機能チップCにおける非接触通信の通信プロトコル設定を実現するための構成例を概略的に示す図である。
図3に示すように、上記非接触機能チップCにおける非接触通信の通信プロトコル設定は、機器情報31、機器情報テーブル22a、通信プロトコル判断部(通信プロトコル判断機能)32、通信プロトコル設定部(通信プロトコル設定機能)33、通信プロトコル設定データ部34、および通信制御回路35などにより実現される。
【0026】
上記機器情報31は、携帯電話機Pから得られる情報であり、当該非接触機能チップCを携帯電話機Pに装着した際に当該携帯電話機Pが供給され、上記メモリ22に記録される。上記機器情報としては、例えば、図3に示すように、当該携帯電話機の仕様情報と、ローカルインフォメーション、ユーザサービス情報などがある。携帯電話機の仕様情報としては、例えば、メーカ名、型番、機能、性能などの情報がある。また、ローカルインフォメーションとしては、例えば、国名、地域、サービスリストなどの情報がある。また、ユーザサービス情報としては、例えば、使用可能サービスの証明書(電子証明書)などの情報がある。
【0027】
上記機器情報テーブル22aは、上記メモリ22に予め設けられているものであり、機器情報に応じた設定内容を示す情報が記憶されている。例えば、上記機器情報テーブル22aには、機器情報に応じた非接触通信の通信設定として、必要となる通信プロトコル(当該非接触機能チップの非接触通信機能としてサポートする必要がある通信プロトコル)や優先的に設定すべき非接触通信の通信プロトコルなどを示す情報が記憶されている。また、上記機器情報テーブル22aは、上述したように書き換え可能な不揮発性メモリに設けられている。上記機器情報テーブル22aは、例えば、運用時におけるサービス内容の変更や非接触通信の相手となる外部装置を含むシステムの仕様変更などに応じて書き換えが可能なようになっている。
【0028】
上記通信プロトコル判断部32は、上記機器情報31と機器情報テーブル22aに記憶されている情報とに基づいて、当該非接触機能チップCが非接触通信として優先して実施すべき通信プロトコルを判断するものである。上記通信プロトコル判断部32は、上記CPU21あるいは上記チップ制御回路23により実現される機能である。
【0029】
上記通信プロトコル設定部33は、上記通信プロトコル判断部32による判断に基づいて非接触通信の通信プロトコルを設定するものである。上記通信プロトコル設定部33では、最優先に実施すべき通信プロトコルの設定、各通信プロトコルの優先順位の設定、あるいは必要な通信プロトコルの設定(必要となりうる通信プロトコルのみを活性化させる設定)などを行う。上記通信プロトコル設定部33は、上記非接触通信部25あるいは上記チップ制御回路23により実現される機能である。
【0030】
上記通信プロトコル設定データ部34は、上記通信プロトコル設定部33によって設定される種々の通信プロトコルの設定データが記憶されるものである。上記通信プロトコル設定データ部34は、複数の通信プロトコル設定データ34a、34b、34c、34d、…を有している。各通信プロトコル設定データ34a、34b、34c、34d、…は、それぞれ当該非接触機能チップCが実現(サポート)する非接触通信の種々の通信プロトコルに対応してインストールされる。各通信プロトコル設定データ部34は、上記メモリ22、上記非接触通信部25の内部メモリ(図示しない)あるいは上記チップ制御回路23の内部メモリ(図示しない)などにより実現される。
【0031】
また、各通信プロトコル設定データ部34には、既存の通信プロトコルの設定データが予めインストールされる領域と、新たにダウンロードされる通信プロトコルの設定データがインストールされる領域とがある。
【0032】
図3に示す例では、上記通信プロトコル設定データ34a、34b、34cがそれぞれ予めインストールされている既存の通信プロトコルの設定データである。例えば、図4では、通信プロトコル設定データ34aがISO/IEC14443タイプA(以下、単にタイプAと記す)の設定データであり、通信プロトコル設定データ34bがISO/IEC14443タイプB(以下単にタイプBと記す)の設定データであり、通信プロトコル設定データ34cが日本独自仕様1の設定データとなっている。
【0033】
また、図3では、通信プロトコル設定データ34dに新たに追加される通信プロトコルの設定データを保存するようになっている。この場合、新たな通信プロトコルの設定データがダウンロードされると、その通信プロトコルの設定データは上記通信プロトコル設定データ34dとして記憶される。また、新たな通信プロトコルの設定データは、携帯電話機Pが外部から取得し、そのデータを非接触機能チップCにダウンロードするようにすればよい。
【0034】
上記通信制御回路35は、RF回路41、および通信プロトコル制御回路42などを有している。上記通信制御回路35では、非接触通信を制御する回路であり、上記コネクタ部を介して接続される携帯電話機P内のアンテナ12を介して電波の送受信を行うものである。また、上記通信制御回路35では、上記通信プロトコル設定部33が設定する通信プロトコルの設定データに応じて種々の回路設定を行う。
【0035】
すなわち、上記通信プロトコル設定部33により通信プロトコルの設定データが供給されると、上記通信制御回路35では、その通信プロトコルの設定データに応じて、フィルタの定数、ロジック回路のクロック、分周比などの設定を行う。例えば、上記RF回路41では、主に、通信プロトコルに応じたトランジスタのゲートへの設定などを行うようになっている。また、上記通信プロトコル制御回路42では、主に、通信プロトコルに応じたロジック回路の設定などを行うようになっている。
【0036】
次に、上記非接触機能チップCにおける非接触通信に用いる最優先の通信プロトコルの判断について説明する。
上述したように、上記通信制御回路35への非接触通信の通信プロトコル設定は、上記通信プロトコル判断部32による判断に基づいて上記通信プロトコル設定部33によって行われる。ここでは、上記通信プロトコル設定部33が最優先の通信プロトコル(最優先プロトコル)を判断し、その最優先プロトコルを上記通信プロトコル設定部33が通信制御回路35に設定する場合について説明する。
【0037】
上記通信プロトコル判断部32は、携帯電話機Pから得られる機器情報と機器情報テーブル22aに記録されている情報とに基づいて最優先プロトコルを判断するようになっている。従って、上記機器情報テーブル22aには、機器情報に対する種々の条件に基づいて最優先プロトコルが判断できるような情報が記録される。例えば、複数の国での使用が想定される場合、上記機器情報テーブル22aには、国ごとの最優先プロトコルが記録される。また、携帯電話機Pの機能やサービス内容に応じて異なる通信プロトコルが用いられる場合、上記機器情報テーブル22aには、携帯電話機Pの機能やサービス内容に対応して最優先プロトコルが記録される。
【0038】
ここで、図3に示すように、タイプA、タイプB、日本独自仕様1が設定データとして保持している場合、つまり、非接触機能チップCが非接触通信の通信プロトコルとしてタイプA、タイプB、日本独自仕様1をサポートしている場合を想定し、最優先プロトコルの判断例について説明する。
【0039】
例えば、上記非接触機能チップCあるいは携帯電話機Pが複数の国で使用可能な場合、最優先プロトコルは、携帯電話機から得られる機器情報における国名に基づいて判断するようにしても良い。例えば、ヨーロッパではタイプAが標準で、日本では日本独自仕様1が標準である場合、上記機器情報テーブル22aには、ヨーロッパの最優先プロトコルをタイプAとし、日本の最優先プロトコルを日本独自仕様1として記録される。この場合、上記通信プロトコル判断部32は、携帯電話機の機器情報において国名が日本であれば日本独自仕様1を最優先プロトコルと判断し、ヨーロッパであればタイプAを最優先プロトコルと判断する。
【0040】
この結果、非接触機能チップCは、機器情報の国名が日本の携帯電話機に装着された場合には非接触通信の通信プロトコルを日本独自仕様1に優先的に設定でき、機器情報の国名がヨーロッパの携帯電話機に装着された場合には非接触通信の通信プロトコルをタイプAに優先的に設定できる。
【0041】
また、異なる通信プロトコルによる非接触通信にて種々のサービスが提供されている場合、サービス内容によって最優先プロトコルを判断するようにしても良い。例えば、タイプAの通信プロトコルによる非接触通信にて第1のサービスが提供され、日本独自仕様1の通信プロトコルによる非接触通信にて第2のサービスが提供される場合、上記機器情報テーブル22aには、第1のサービス内容と第2のサービス内容とを比較した場合に高速な応答(通信)が必要な方の通信プロトコルを最優先プロトコルして記録される。この場合、上記通信プロトコル判断部32は、携帯電話機の機器情報におけるサービス内容に応じて最優先プロトコルと判断する。
【0042】
この結果、非接触機能チップCは、複数のサービスが提供されている場合には各サービス内容に応じて優先的に実行すべき非接触通信の通信プロトコルを設定でき、異なる通信プロトコルによる複数のサービスが提供されている場合であっても、効率的な通信プロトコルの設定を行うことができ、サービスの効率的な運用が可能となる。
【0043】
具体例として、携帯電話機に装着された非接触機能チップが、入退出管理装置や自動改札機などの通行制御装置による通行制御処理のサービス(通行制御機能)と、物品代金やサービス代金の決済など料金決済処理のサービス(クレジットカード機能)とが提供されているものとする。一般に、上記通行制御機能としての自動改札機等での通行制御は高速(瞬時)に通行判定などの処理を行う必要がある。これに対して、クレジットカード機能としての料金決済は通行制御に比べて処理に時間をとることが可能である。このような場合、クレジットカード機能として用いる通信プロトコルよりも通行制御機能に用いる通信プロトコルを優先的に実行することにより、効率的な非接触通信が実現可能となる。
【0044】
このような場合、例えば、上記機器情報テーブル22aには、通行制御機能に用いられる非接触通信の通信プロトコルを最優先プロトコルとして記録しておく。この機器情報テーブル22aにより、上記通信プロトコル判断部32が通行制御機能に用いる通信プロトコルを最優先プロトコルと判断し、さらに、上記通信プロトコル判断部32の判断に基づいて上記通信プロトコル設定部33が通行制御機能に用いる通信プロトコルの設定データにて通信制御回路35を設定する。これにより、当該非接触機能チップCは通行制御機能に用いる通信プロトコルが最も早く処理されるように通信制御回路35を設定することができ、非接触通信を効率良く実行することができる。
【0045】
次に、上記非接触機能チップCにおける非接触通信の通信プロトコル設定処理の手順について説明する。
図4は、上記非接触機能チップCにおける非接触通信の通信プロトコル設定処理を説明するためのフローチャートである。
まず、上記非接触機能チップCが上記携帯電話機Pのソケット13に装着されると、上記非接触機能チップCと携帯電話機Pとは、非接触機能チップCのコンタクト部26と携帯電話機Pのソケット13とを介して物理的に接続され、接触通信が可能な状態となる。この状態において、上記非接触機能チップCのCPU21と上記携帯電話機Pの制御回路11とは、相互に認証処理(機器認証処理)を行う(ステップS11)。
【0046】
この機器認証処理は、非接触機能チップCと携帯電話機Pとがお互いに信頼関係を結ぶための処理である。すなわち、機器認証処理において、非接触機能チップC側では携帯電話機Pが信頼できる機器(当該非接触機能チップが対応している仕様の携帯電話機)であるかを確認し、携帯電話機P側ではソケット13に装着された非接触機能チップCが信頼できる機器(当該携帯電話機が対応している仕様の非接触機能チップ)であるかを確認する処理である。
【0047】
上記機器認証処理により互いの機器認証が完了すると、上記携帯電話機Pの制御回路11は、図示しないメモリに記憶している当該携帯電話機Pの機器情報31を読み出し、上記ソケット13に装着された非接触機能チップCへ接触通信にて送信する。これに対して、上記非接触機能チップCでは、上記接触通信部24により上記携帯電話機Pからの機器情報31を受信する(ステップS12)。
【0048】
なお、上記携帯電話機Pの機器情報31は、上記非接触機能チップCから携帯電話機Pへ要求するようにしても良い。この場合、上記非接触機能チップCのCPU21が上記接触通信部24により携帯電話機Pの制御回路11に要求し、その要求に応じて上記携帯電話機Pの制御回路11が機器情報31を転送する。
【0049】
上記接触通信部24により上記携帯電話機Pから機器情報31を受信すると、上記非接触機能チップCのCPU21は、受信した機器情報31をメモリ22に記憶する(ステップS13)。上記メモリ22に携帯電話機Pの機器情報31を記憶すると、上記非接触機能チップCの通信プロトコル判断部32としてのCPU21は、上記機器情報テーブル22aに記憶されている情報と上記機器情報31とを比較し(ステップS14)、必要となるサポートすべき非接触通信の通信プロトコルを判断する(ステップS15)。
【0050】
さらに、上記非接触機能チップCの通信プロトコル判断部32としてのCPU21は、上記機器情報テーブル22aに記憶されている情報と上記機器情報31とを比較することにより(ステップS14)、上記優先して実行すべき非接触通信の通信プロトコル(最優先通信プロトコル)を判断する(ステップS16)。
【0051】
これらの判断結果は、上記通信プロトコル判断部32から通信プロトコル設定部33に通知される。上記通信プロトコル判断部32による判断結果を受けると、上記通信プロトコル設定部33は、上記通信プロトコル設定データ部34の各通信プロトコル設定データを用いて上記通信プロトコル判断部32による判断結果に基づいて非接触通信の通信設定を行う。この通信設定において、上記通信プロトコル設定部33は、サポートすべき通信プロトコルを有効とするとともに(不要な通信プロトコルを活性化させない)、最優先通信プロトコルを優先的に実行するように通信制御回路35の回路設定を行う。
【0052】
上記最優先通信プロトコルの設定において、上記通信プロトコル設定部33は、上記通信プロトコル判断部32の判断に基づき、上記通信プロトコル設定データ部34から最優先通信プロトコルの設定データを選択する。最優先通信プロトコルの設定データを選択すると、上記通信プロトコル設定部33は、選択した最優先通信プロトコルの設定データを上記通信制御回路35へ供給する。これにより、上記通信制御回路35は、最優先通信プロトコルの設定データに基づいて種々の回路設定を行う(ステップS17)。
【0053】
なお、上記処理例では、携帯電話機の機器情報に基づいて最優先通信プロトコルを判断し、最優先通信プロトコルの設定データにより非接触通信用の通信制御回路を設定する場合について説明したが、携帯電話機の機器情報に基づいて各通信プロトコルの優先順位を判断し、その優先順位に基づいて非接触通信用の通信プロトコルを設定するようにしても良い。この場合、複数の通信プロトコルをサボートしている場合であっても種々の通信プロトコルを効率的に適用することができ、種々の通信プロトコルによる非接触通信を効率的に行うことができる。
【0054】
上記のように、上記非接触機能チップは、携帯電話機への装着時に、携帯電話機から機器情報を取得し、携帯電話機から取得した機器情報に基づいて優先的に実行すべき非接触通信の通信プロトコルを判断し、非接触通信用の通信制御回路を最優先通信プロトコルの設定データにより設定するようにしたものである。
【0055】
これにより、上記非接触機能チップCは、上記携帯電話機Pのアンテナ12を用いて外部機器との非接触通信を行う場合、最優先通信プロトコルによる非接触通信を優先に行うことができ、最優先通信プロトコルによる非接触通信を高速化することができ、この結果、種々の通信プロトコルを有する非接触機能チップCによる非接触通信を効率化することができる。
【0056】
また、上記非接触機能チップが携帯電話機の機器情報(携帯電話機のメーカ、型番、機能、性能等の仕様情報、国、地域等のローカルインフォメーション、ユーザの受けられるサービス情報など)に基づいてサポートする必要のある通信プロトコルと使用しない通信プロトコルとを判断し、使用可能な通信プロトコルを優先順位に基づいて設定するようにしたものである。
【0057】
これにより、非接触機能チップが装着された携帯電話機の仕様や提供されるサービスの内容など応じて使用可能な通信プロトコルを制限することができ、非接触機能チップや非接触機能チップを含むシステムの効率的な運用が可能となる。また、特定のサービスのアクセス権(サービスを利用する権利)が無い場合には不要な通信プロトコルをサポートしないようにすることができる。また、海外での使用を可能とするためサポートしなければいけない通信プロトコルが多い場合であっても、効率的に非接触通信の通信プロトコルを設定できる。
【0058】
さらに、上記非接触機能チップに非接触通信用の新たな通信プロトコルを追加する場合、上記非接触チップは携帯電話機から新たな通信プロトコルの設定データをダウンロードして、その新たな通信プロトコルの設定データを追加するようにしたものである。これにより、将来的に、新たな通信プロトコルをサポートすることができ、新たな通信プロトコルを用いた新たなサービスも提供することが可能である。また、海外での使用等によりサポートしなければいけない通信プロトコルが追加された場合にも容易に対応できる。
【0059】
さらに、非接触機能チップCにおいて非接触通信の通信プロトコルを判断する際に携帯電話機の機器情報と比較される機器情報テーブルは書き換え可能な不揮発性メモリに設けられるようにしたものである。これにより、携帯電話機の仕様の変更や提供されるサービス内容の変更などに応じてサポートする必要がある通信プロトコルや各通信プロトコルの優先順位の判断基準を容易に変更することが可能である。
【0060】
次に、上記非接触機能チップCにおける非接触通信のアンテナ特性設定について説明する。
図1に示すな非接触機能チップCによる非接触通信用のアンテナ12を具備する携帯電話機Pには様々な仕様のものが想定される。このため、上記非接触機能チップCが装着される携帯電話機Pに実装されている非接触通信用のアンテナは特性が異なる場合がある。また、非接触機能チップCについても、通信制御回路の特性が異なることが有りうる。
【0061】
このため、携帯電話機P内のアンテナと非接触機能チップCの制御による非接触通信には、その通信特性にばらつきが発生する可能性がある。従って、どのような組み合わせでもサービスに必要な良好なパフォーマンス(非接触通信の性能)を確保するには、種々の携帯電話機Pと非接触機能チップCとのクロステストを行い、そのクロステストの結果に応じて設定を行わなければならない。
【0062】
以下の実施の形態では、携帯電話機Pに実装されている非接触通信用のアンテナ12の特性を判定し、その判定結果に基づいて携帯電話機Pに実装されている非接触通信用のアンテナ12の特性に応じた通信設定(アンテナ特性設定)を行うものについて説明する。また、以下の説明においては、アンテナ特性設定の例として、アンテナの特性を実際に測定して設定を行う場合と、携帯電話機の機器情報に基づいてアンテナ特性を設定する場合とについて説明する。
【0063】
まず、携帯電話機Pのアンテナ12の特性を実際に測定してアンテナ特性に応じた通信設定を行う場合について概略的に説明する。
【0064】
図5は、携帯電話機Pのアンテナ12の特性を実際に測定してアンテナ特性設定を実現する場合の上記非接触機能チップCにおける構成例を概略的に示す図である。図5に示すように、上記非接触機能チップCにおける非接触通信のアンテナ特性設定は、アンテナ特性テーブル22b、アンテナ特性判断部(アンテナ特性判断機能)52、アンテナ特性設定部(アンテナ特性設定機能)53、アンテナ特性設定データ部54、および通信制御回路55などにより実現される。
【0065】
上記アンテナ特性テーブル22bは、上記メモリ22に予め設けられているものであり、後述するアンテナ測定回路62により測定したアンテナ特性(アンテナ等価回路)の測定データに対応するアンテナ特性の設定内容を示す情報(設定すべきアンテナ特性を判断するためのデータ)が記憶されている。また、上記アンテナ特性テーブル22bは、上述したように書き換え可能な不揮発性メモリに設けられている。従って、上記アンテナ特性テーブル22bは、例えば、運用時におけるサービス内容の変更や非接触通信の相手となる外部装置を含むシステムの仕様変更などに応じて書き換えが可能なようになっている。
【0066】
上記アンテナ特性判断部52は、上記アンテナ測定回路62により測定したアンテナ特性のデータとアンテナ特性テーブル22bに記憶されている情報とに基づいて、当該非接触機能チップCがアンテナ特性に応じて設定すべき内容(携帯電話機の非接触通信用のアンテナ特性)を判断するものである。上記アンテナ特性判断部52は、例えば、上記CPU21あるいは上記チップ制御回路23により実現される機能である。
【0067】
上記アンテナ特性設定部53は、携帯電話機に実装されている非接触通信用のアンテナ特性に応じた設定を行うものである。上記アンテナ特性設定部53では、上記アンテナ特性判断部52による判断に基づいて上記通信制御回路55に対して携帯電話機Pに実装されている非接触通信用のアンテナ12の特性に応じた設定データによる設定を行う。上記アンテナ特性設定部53は、例えば、上記非接触通信部25あるいは上記チップ制御回路23により実現される機能である。
【0068】
上記アンテナ特性設定データ部54は、上記アンテナ特性設定部53によって設定されるアンテナ特性に応じた種々の設定データが記憶されるものである。上記アンテナ特性設定データ部54は、種々のアンテナ特性に応じた種々の設定データ54a、54b、54c、54d、…を有している。各設定データ54a、54b、54c、54d、…は、当該非接触機能チップCが装着される可能性がある携帯電話機に実装されるアンテナ特性に種類に応じてインストールされる。上記アンテナ特性設定データ部54は、例えば、上記メモリ22、上記非接触通信部25の内部メモリ(図示しない)あるいは上記チップ制御回路23の内部メモリ(図示しない)などにより実現される。
【0069】
また、上記アンテナ特性設定データ部54には、既存の携帯電話機(現時点で当該非接触機能チップCが装着される可能性がある携帯電話機)に実装されている非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データが予めインストールされる領域のほかに、新たな携帯電話機(既存のアンテナ特性とは異なるアンテナ特性を有する非接触機能チップCが装着される可能性がある携帯電話機)に実装される非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データがインストールされる領域が設けられているものとする。
【0070】
図5に示す例では、上記アンテナ特性設定データ54a、54b、54cがそれぞれ予めインストールされている既存の携帯電話機Pに実装されている非接触通信用のアンテナ12に対応するアンテナ特性の設定データである。例えば、図5では、設定データ54aはメーカAの携帯電話機に実装されている非接触通信用のアンテナ(あるいはメーカAのアンテナ)に対応するアンテナ特性の設定データ(以下単にメーカAと称する)であり、設定データ54bはメーカBの携帯電話機に実装されている非接触通信用のアンテナ(あるいはメーカBのアンテナ)に対応するアンテナ特性の設定データ(以下単にメーカBと称する)の設定データであり、設定データ54cが標準仕様の非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データとなっている。
【0071】
また、図5では、アンテナ特性設定データ54dに新たな携帯電話機に実装される非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データを保存するようになっている。この場合、新たなアンテナ特性の設定データがダウンロードされると、そのアンテナ特性の設定データは上記アンテナ特性設定データ54dとして記憶される。また、新たな携帯電話機に実装される非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データは、携帯電話機Pが外部から取得し、そのデータを非接触機能チップCにダウンロードするようにすればよい。
【0072】
上記通信制御回路55は、RF回路61およびアンテナ測定回路62などを有している。上記通信制御回路55では、上記通信制御回路35と同様に、非接触通信を制御する回路であり、上記コネクタ部を介して接続される携帯電話機P内のアンテナ12を介して電波の送受信を行う。また、上記通信制御回路55では、上記アンテナ特性設定部53が設定するアンテナ特性の設定データに応じて種々の回路設定を行うようになっている。
【0073】
すなわち、上記アンテナ特性設定部53によりアンテナ特性の設定データが供給されると、上記通信制御回路55では、そのアンテナ特性の設定データに応じて、フィルタの定数、ロジック回路のクロック、分周比などの設定を行う。例えば、上記RF回路61では、主に、アンテナ特性に応じたトランジスタのゲートへの設定などを行う。
【0074】
また、上記アンテナ測定回路62は、携帯電話機に実装されている非接触通信のアンテナの特性を測定するものである。上記アンテナ測定回路62では、例えば、上記アンテナ12に対してテスト信号を出力することにより、上記アンテナ12の等価回路をアンテナ特性を示すデータとして測定するようになっている。さらに、上記アンテナ測定回路62は、測定したアンテナ特性を示すデータを上記アンテナ特性判断部52に供給するようになっている。
【0075】
次に、上記アンテナ測定回路62によるアンテナ特性の測定について説明する。
上述したように、携帯電話機P内に実装されている非接触通信用のアンテナ12と接続されている。上記非接触機能チップCが携帯電話機Pに装着された状態において、上記非接触機能チップC内の通信制御回路55は、図5に示すように、物理的に上記アンテナ12に接続されている。
【0076】
上記通信制御回路55が上記アンテナ12に接続された状態において、上記アンテナ測定回路62は、上記アンテナ12のアンテナ特性を測定するようになっている。例えば、上記アンテナ測定回路62は、アンテナ12のアンテナ特性として、上記アンテナ12の等価回路71を測定する。一般に、アンテナの等価回路は、Z=R+jXで表される。このため、上記アンテナ測定回路62は、上記アンテナ12にテスト信号を供給することにより、上記アンテナ12のアンテナ特性として、上述のような等価回路71を表す式を満たす値を測定する。
【0077】
具体的には、上記アンテナ測定回路62は、周波数および電流値の異なる電流をテスト信号として上記アンテナ12に供給することにより上記のような式で表される等価回路71の値を測定データとして検出する。また、上記のような測定データは、アンテナ12のアンテナ特性を示すデータとして上記アンテナ特性判断部52に供給されるようになっている。
【0078】
次に、上記アンテナ測定回路62によるアンテナ特性の測定データに基づくアンテナ特性の判断について説明する。
上記アンテナ特性判断部52は、上記アンテナ測定回路62によるアンテナ特性の測定データとアンテナ特性テーブル22bに記録されている情報とに基づいて設定すべき設定データを判断するようになっている。従って、上記アンテナ特性テーブル22bには、上記アンテナ測定回路62によるアンテナ12の等価回路71の測定データ(測定したアンテナ特性)に基づいて上記通信制御回路55に設定すべき設定データが判断できるような情報が記録される。
【0079】
例えば、図5に示すように、アンテナ特性に応じた設定データがメーカごとに設定されている場合、上記アンテナ特性テーブル22bには、各メーカの携帯電話機のアンテナ12に対する等価回路のデータが記録される。この場合、上記アンテナ特性判断部52は、測定したアンテナ12の等価回路71のデータ(測定データ)と上記アンテナ特性テーブル22bに記憶されている等価回路のデータとを比較し、測定データに対して同一あるいは最も近い数値のアンテナのメーカを判断する。この判断結果は上記アンテナ特性設定部53に通知される。これにより、上記アンテナ特性設定部53では、上記アンテナ特性判断部52により判断したメーカのアンテナ特性設定データ54a、…を上記通信制御回路55に対して設定することが可能となる。
【0080】
具体例としては、図5に示すように、上記アンテナ特性設定データ部54にメーカA、メーカB、標準設定に対応する設定データとして保持している場合、つまり、非接触機能チップCが非接触通信用のアンテナ設定としてメーカA、メーカB、標準設定をサポートしている場合を想定する。
【0081】
この場合、上記アンテナ特性判断部52は、上記アンテナ測定回路62が測定した測定データが上記アンテナ特性テーブル22bに記憶されているメーカAのデータと最も近ければ当該アンテナ特性をメーカAと判断し、上記アンテナ測定回路62が測定した測定データが上記アンテナ特性テーブル22bに記憶されているメーカBのデータと最も近ければ当該アンテナ特性をメーカBと判断し、上記アンテナ測定回路62が測定した測定データが上記アンテナ特性テーブル22bに記憶されている標準設定のデータと最も近ければ当該アンテナ特性を標準設定と判断する。
【0082】
この結果、非接触機能チップCでは、携帯電話機Pに装着された際に、当該携帯電話機Pに実装されている非接触通信用のアンテナ12のアンテナ特性に応じた通信制御回路55の設定を行うことができる。
【0083】
次に、上記非接触機能チップCにおけるアンテナ特性の測定データに基づくアンテナ特性設定処理の手順について説明する。
図6は、上記非接触機能チップCにおけるアンテナ特性の測定データに基づくアンテナ特性設定処理を説明するためのフローチャートである。
まず、上記非接触機能チップCが上記携帯電話機Pのソケット13に装着されると、上記非接触機能チップCと携帯電話機Pとは、非接触機能チップCのコンタクト部26と携帯電話機Pのソケット13とを介して物理的に接触し、接触通信が可能な状態となる。この際、上記非接触機能チップCの通信制御回路55と上記携帯電話機Pのアンテナ12とは物理的に接続される。この状態において、上記非接触機能チップCのCPU21と上記携帯電話機Pの制御回路11とは、相互に認証処理(機器認証処理)を行う(ステップS21)。なお、上記機器認証が他の処理(例えば、通信プロトコル設定処理)により完了している場合には上記ステップS21は省略される。
【0084】
上記機器認証処理により互いの機器認証が完了すると、上記非接触機能チップCの非接触通信部25は、当該携帯電話機Pのアンテナ12に対応するアンテナ特性設定を行う。ここでは、まず、上記通信制御回路55のアンテナ測定回路62が携帯電話機P内のアンテナ12のアンテナ特性を測定(アンテナの等価回路の測定)を行う。このアンテナ特性の測定において、上記アンテナ測定回路62は、上記アンテナ12に対して種々のテスト信号を送信する(ステップS22)。これらのテスト信号に対するアンテナ12からの出力に基づいて、上記アンテナ測定回路62は、上記アンテナ12のアンテナ特性としての等価回路の値を求める(ステップS23)。上記テスト信号により求められたアンテナ12のアンテナ特性としての等価回路の値は、測定データとして上記アンテナ測定回路62から上記アンテナ特性判断部52としてのCPU21へ供給される。
【0085】
上記アンテナ特性判断部52では、上記アンテナ測定回路62からの測定データとアンテナ特性テーブルに記憶されているデータとを比較し(ステップS24)、上記アンテナ12のアンテナ特性を判断する(ステップS25)。
【0086】
これらの判断結果は、上記アンテナ特性判断部52からアンテナ特性設定部53に通知される。上記アンテナ特性設定部53では、上記アンテナ特性判断部52によるアンテナ特性の判断結果に基づき、当ギアアンテナ特性に応じた上記アンテナ特性設定データ部54の設定データ54a、…を用いて上記通信制御回路55の回路設定を行う(ステップS26)。これにより、上記通信制御回路55では、最優先通信プロトコルの設定データに基づいて種々の回路設定が行われる。
【0087】
上記のように、アンテナ特性の測定に基づくアンテナ特性設定処理によれば、携帯電話機内の非接触通信用のアンテナの特性を測定し、その測定データとアンテナ特性テーブルデータに記憶されているデータと比較し、アンテナのアンテナ特性を判断し、その判断に基づいてアンテナ特性に応じた設定データを決定し、そのアンテナ特性に応じた設定データに基づいて非接触通信機能の通信設定を行うようにしたものである。
【0088】
これにより、上記非接触機能チップCでは、携帯電話機に実装されているアンテナ特性に応じた設定を行うことができ、携帯電話機の機種によってアンテナの特性が異なる場合であっても安定した非接触通信を実現できる。
【0089】
さらに、携帯電話機内の非接触通信用のアンテナに対して複数種類のテスト信号を供給することにより当該アンテナの等価回路のデータを測定するようにしたため、さまざまな特性のアンテナに対して最適な通信設定を行うことができる。
【0090】
さらに、既存のアンテナ特性とは異なる新たなアンテナが出現した場合、携帯電話機から新たなアンテナ特性に対応する設定データをダウンロードして、その設定データに基づく通信設定を追加するようにしたものである。これにより、将来的に、既存のアンテナの特性とは異なる特性を有するアンテナが出現した場合であっても、新たなアンテナの特性に対応する通信設定を容易に実現することが可能である。
【0091】
さらに、非接触機能チップCにおいてアンテナ特性を判断するための情報が記憶されるアンテナ特性テーブルは書き換え可能な不揮発性メモリに設けられるようにしたものである。これにより、既存のアンテナの特性とは異なる特性を有するアンテナが出現した場合やアンテナ特性に対応する設定を変更したい場合であっても、アンテナ特性の判断基準を容易に変更することが可能である。
【0092】
次に、携帯電話機の機器情報に基づいてアンテナ特性設定を行う場合について概略的に説明する。
図7は、携帯電話機Pの機器情報に基づいてアンテナ特性設定を実現する場合の上記非接触機能チップCにおける構成例を概略的に示す図である。図7に示す例では、上記非接触機能チップCにおける非接触通信のアンテナ特性設定は、携帯電話機からの機器情報81、アンテナ特性テーブル22b、アンテナ特性判断部(アンテナ特性判断機能)82、アンテナ特性設定部(アンテナ特性設定機能)83、アンテナ特性設定データ部84、および通信制御回路85などにより実現される。
【0093】
上記機器情報81は、上記機器情報31と同様に、携帯電話機Pから得られる情報であり、当該非接触機能チップCを携帯電話機Pに装着した際に当該携帯電話機Pが供給され、上記メモリ22に記録される。上記機器情報81としては、例えば、図7に示すように、当該携帯電話機の仕様情報と、ローカルインフォメーション、ユーザサービス情報などがある。携帯電話機の仕様情報としては、例えば、メーカ名、型番、機能、性能などの情報がある。また、ローカルインフォメーションとしては、例えば、国名、地域、サービスリストなどの情報がある。また、ユーザサービス情報としては、例えば、使用可能サービスの証明書(電子証明書)などの情報がある。なお、アンテナ特性設定のみを行う場合、上記機器情報81は、アンテナ特性を判断するためのデータのみであっても良い。
【0094】
上記アンテナ特性テーブル22bは、上記メモリ22に予め設けられているものであり、携帯電話機Pから取得する機器情報81に対応するアンテナ特性の設定内容を示す情報(設定すべきアンテナ特性を判断するためのデータ)が記憶されている。また、上記アンテナ特性テーブル22bは、上述したように書き換え可能な不揮発性メモリに設けられている。従って、上記アンテナ特性テーブル22bは、例えば、運用時におけるサービス内容の変更や非接触通信の相手となる外部装置を含むシステムの仕様変更などに応じて書き換えが可能なようになっている。
【0095】
上記アンテナ特性判断部82は、携帯電話機Pから取得する機器情報81とアンテナ特性テーブル22bに記憶されている情報とに基づいて、当該非接触機能チップCがアンテナ特性に応じて設定すべき内容(携帯電話機の非接触通信用のアンテナ特性)を判断するものである。上記アンテナ特性判断部82は、例えば、上記CPU21あるいは上記チップ制御回路23により実現される機能である。
【0096】
上記アンテナ特性設定部83は、携帯電話機に実装されている非接触通信用のアンテナ特性に応じた設定を行うものである。上記アンテナ特性設定部83では、上記アンテナ特性判断部82による判断に基づいて上記通信制御回路85に対して携帯電話機Pに実装されている非接触通信用のアンテナ12の特性に応じた設定データによる設定を行う。上記アンテナ特性設定部83は、例えば、上記非接触通信部25あるいは上記チップ制御回路23により実現される機能である。
【0097】
上記アンテナ特性設定データ部84は、上記アンテナ特性設定部83によって設定されるアンテナ特性に応じた種々の設定データが記憶されるものである。上記アンテナ特性設定データ部84は、種々のアンテナ特性に応じた種々の設定データ84a、84b、84c、84d、…を有している。各設定データ84a、84b、84c、84d、…は、当該非接触機能チップCが装着される可能性がある携帯電話機に実装されるアンテナ特性に種類に応じてインストールされる。上記アンテナ特性設定データ部84は、例えば、上記メモリ22、上記非接触通信部25の内部メモリ(図示しない)あるいは上記チップ制御回路23の内部メモリ(図示しない)などにより実現される。
【0098】
また、上記アンテナ特性設定データ部84には、既存の携帯電話機(現時点で当該非接触機能チップCが装着される可能性がある携帯電話機)に実装されている非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データが予めインストールされる領域のほかに、新たな携帯電話機(既存のアンテナ特性とは異なるアンテナ特性を有する非接触機能チップCが装着される可能性がある携帯電話機)に実装される非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データがインストールされる領域が設けられているものとする。
【0099】
図7に示す例では、図5に示す例と同様に、上記アンテナ特性設定データ84a、84b、84cがそれぞれ予めインストールされている既存の携帯電話機Pに実装されている非接触通信用のアンテナ12に対応するアンテナ特性の設定データである。図7では、設定データ84aはメーカAの携帯電話機に実装されている非接触通信用のアンテナ(あるいはメーカAのアンテナ)に対応するアンテナ特性の設定データ(以下単にメーカAと称する)であり、設定データ84bはメーカBの携帯電話機に実装されている非接触通信用のアンテナ(あるいはメーカBのアンテナ)に対応するアンテナ特性の設定データ(以下単にメーカBと称する)の設定データであり、設定データ54cが標準仕様の非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データとなっている。
【0100】
また、図7では、図5と同様に、アンテナ特性設定データ84dに新たな携帯電話機に実装される非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データを保存するようになっている。この場合、新たなアンテナ特性の設定データがダウンロードされると、そのアンテナ特性の設定データは設定データ84dとして記憶される。また、新たな携帯電話機に実装される非接触通信用のアンテナに対応するアンテナ特性の設定データは、携帯電話機Pが外部から取得し、そのデータを非接触機能チップCにダウンロードするようにすればよい。
【0101】
上記通信制御回路85は、上記通信制御回路35及び55と同様に、非接触通信を制御する回路であり、上記コネクタ部を介して接続される携帯電話機P内のアンテナ12を介して電波の送受信を行う。また、上記通信制御回路85では、上記通信制御回路55と同様に、上記アンテナ特性設定部83が設定するアンテナ特性の設定データに応じて種々の回路設定を行うようになっている。
【0102】
次に、携帯電話機Pの機器情報に基づくアンテナ特性の判断について説明する。
上記アンテナ特性判断部82は、携帯電話機Pから取得する機器情報81とアンテナ特性テーブル22bに記録されている情報とに基づいて設定すべき設定データを判断するようになっている。従って、上記アンテナ特性テーブル22bには、携帯電話機Pから取得する機器情報81に基づいて上記通信制御回路85に設定すべき設定データが判断できるような情報が記憶されている。
【0103】
例えば、図7に示すように、アンテナ特性に応じた設定データがメーカごとに設定されている場合、上記アンテナ特性テーブル22bには、各メーカの携帯電話機や携帯電話機のアンテナ12に関するデータが記憶される。この場合、上記アンテナ特性判断部82は、携帯電話機から取得する機器情報と上記アンテナ特性テーブル22bに記憶されているデータとを比較し、機器情報に合致する携帯電話機のメーカ(あるいは携帯電話機に実装されているアンテナのメーカ)を判断する。この判断結果は上記アンテナ特性設定部83に通知される。これにより、上記アンテナ特性設定部83では、上記アンテナ特性判断部82により判断したメーカの設定データ54a、…を上記通信制御回路85に対して設定することが可能となる。
【0104】
具体例としては、図7に示すように、上記アンテナ特性設定データ部84にメーカA、メーカB、標準設定に対応する設定データが保持されている場合、つまり、非接触機能チップCが非接触通信用のアンテナ12の設定としてメーカA、メーカB、標準設定をサポートしている場合を想定する。
【0105】
この場合、上記アンテナ特性判断部82は、携帯電話機の機器情報が上記アンテナ特性テーブル22bに記憶されているメーカAのデータと合致すれば当該アンテナ特性をメーカAと判断し、携帯電話機の機器情報が上記アンテナ特性テーブル22bに記憶されているメーカBのデータと合致すれば当該アンテナ特性をメーカBと判断し、携帯電話機の機器情報が上記アンテナ特性テーブル22bに記憶されている標準設定のデータと合致すれば当該アンテナ特性を標準設定と判断する。
【0106】
この結果、非接触機能チップCでは、携帯電話機に装着された際に、当該携帯電話機Pに実装されている非接触通信用のアンテナ12のアンテナ特性に応じた通信制御回路35の設定を行うことができる。
【0107】
次に、上記非接触機能チップCにおける携帯電話機の機器情報に基づくアンテナ特性設定処理の手順について説明する。
図8は、上記非接触機能チップCにおける携帯電話機の機器情報に基づくアンテナ特性設定処理を説明するためのフローチャートである。
まず、上記非接触機能チップCが上記携帯電話機Pのソケット13に装着されると、上記非接触機能チップCと携帯電話機Pとは、非接触機能チップCのコンタクト部26と携帯電話機Pのソケット13とを介して物理的に接触し、接触通信が可能な状態となる。この際、上記非接触機能チップCの通信制御回路35と上記携帯電話機Pのアンテナ12とは物理的に接続される。この状態において、上記非接触機能チップCのCPU21と上記携帯電話機Pの制御回路11とは、相互に認証処理(機器認証処理)を行う(ステップS31)。なお、上記機器認証が他の処理(例えば、通信プロトコル設定処理)により完了している場合には上記ステップS31は省略される。
【0108】
上記機器認証処理により互いの機器認証が完了すると、上記非接触機能チップCの非接触通信部25は、当該携帯電話機Pのアンテナ12に対応するアンテナ特性設定を行う。ここでは、上記携帯電話機Pの制御回路11が図示しないメモリに記憶している当該携帯電話機Pの機器情報81を読み出し、上記ソケット13に装着された非接触機能チップCへ接触通信にて送信するものとする。これに対して、上記非接触機能チップCでは、上記接触通信部24により上記携帯電話機Pからの機器情報81を受信する(ステップS32)。なお、上記携帯電話機Pの機器情報81は、上記非接触機能チップCから携帯電話機Pへ要求するようにしても良い。この場合、上記非接触機能チップCのCPU21が上記接触通信部24により携帯電話機Pの制御回路11に要求し、その要求に応じて上記携帯電話機Pの制御回路11が機器情報81を転送する。
【0109】
上記接触通信部24により上記携帯電話機Pから機器情報31を受信すると、上記非接触機能チップCのCPU21は、受信した機器情報81をメモリ22に記憶する(ステップS33)。上記メモリ22に携帯電話機Pの機器情報81を記憶すると、上記非接触機能チップCのアンテナ特性判断部82としてのCPU21は、携帯電話機Pから取得した機器情報81と上記アンテナ特性テーブル22bに記憶されている情報とを比較し(ステップS34)、上記アンテナ12のアンテナ特性(図7の例では、携帯電話機あるいは携帯電話機内のアンテナ12のメーカ)を判断する(ステップS35)。
【0110】
これらの判断結果は、上記アンテナ特性判断部82からアンテナ特性設定部83に通知される。上記アンテナ特性設定部83では、上記アンテナ特性判断部82によるアンテナ特性の判断結果に基づき、当該アンテナ特性に応じた上記アンテナ特性設定データ部84の設定データ54a、…を用いて上記通信制御回路85の回路設定を行う(ステップS36)。
【0111】
上記のように、携帯電話機の機器情報に基づくアンテナ特性設定処理によれば、携帯電話機内の非接触通信用のアンテナに対して複数種類のテスト信号を供給することにより当該アンテナの等価回路のデータを測定し、その測定データとアンテナ特性テーブルデータに記憶されているデータと比較し、アンテナのアンテナ特性を判断し、その判断に基づいてアンテナ特性設定データを決定し、そのアンテナ特性設定データに基づいて非接触通信機能の通信設定を行うようにしたものである。
【0112】
これにより、上記非接触機能チップCでは、携帯電話機に実装されているアンテナ特性に応じた設定を行うことができ、携帯電話機の機種によってアンテナの特性が異なる場合であっても安定した非接触通信を実現できる。
【0113】
さらに、携帯電話機の機器情報に基づいてアンテナの特性を判断して設定を行うようにしたため、携帯電話機やアンテナのメーカに応じて予め用意されている設定データに基づいて、簡単に、最適な設定データに基づく通信設定を行うことができる。
【0114】
さらに、既存のアンテナ特性とは異なる新たなアンテナが出現した場合、携帯電話機から新たなアンテナ特性に対応する設定データをダウンロードして、その設定データに基づく通信設定を追加するようにしたものである。これにより、将来的に、既存のアンテナの特性とは異なる特性を有するアンテナが出現した場合であっても、新たなアンテナの特性に対応する通信設定を容易に実現することが可能である。
【0115】
さらに、非接触機能チップCにおいてアンテナ特性を判断するための情報が記憶されるアンテナ特性テーブルは書き換え可能な不揮発性メモリに設けられるようにしたものである。これにより、既存のアンテナの特性とは異なる特性を有するアンテナが出現した場合やアンテナ特性に対応する設定を変更したい場合であっても、アンテナ特性の判断基準を容易に変更することが可能である。
【0116】
なお、上述した実施の形態では、携帯電話機の機器情報を取得し、その機器情報に基づいて通信プロトコルやアンテナ特性などの通信設定を行うものについて説明したが、これに限らず、上記のような携帯電話機との通信機能を有する電子装置としてのチップが、携帯電話機に装着された際に当該携帯電話機の機器情報を取得し、その携帯電話機の機器情報に基づく当該携帯電話機の仕様やサービス用途に応じた通信設定以外の種々の設定を判断し、その判断に基づいて種々の設定を行うようにすることも可能である。
【符号の説明】
【0117】
P…携帯電話機(携帯端末機器)、C…非接触機能チップ(電子装置)、RW…リーダライタ(外部装置)、12…アンテナ、21…CPU、22…メモリ、22a…機器情報テーブル、22b…アンテナ特性テーブル(記憶手段)、24…接触通信部、25…非接触通信部、31…機器情報、32…通信プロトコル判断部、33…通信プロトコル設定部、34…通信プロトコル設定データ部、35…通信制御回路、42…通信プロトコル制御回路、52…アンテナ特性判断部(判断手段)、53…アンテナ特性設定部(設定手段)、54…アンテナ特性設定データ部、55…通信制御回路、62…アンテナ測定回路(測定手段)、71…等価回路、81…機器情報、82…アンテナ特性判断部(判断手段)、83…アンテナ特性設定部(設定手段)、84…アンテナ特性設定データ部、85…通信制御回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯端末機器に装着される電子装置において、
前記携帯端末機器に接続するためのコンタクト部と、
前記コンタクト部を介して前記携帯端末機器との接触通信を行う接触通信部と、
前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナを用いて非接触通信を行う非接触通信部と、
種々の携帯端末機器に実装されるアンテナにおけるアンテナ特性を示すデータを記憶している記憶手段と、
前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナ特性を示すデータを測定する測定手段と、
前記測定手段により測定したデータに対応するアンテナ特性を前記記憶手段に記憶している情報から判断する判断手段と、
前記判断手段により判断したアンテナ特性を前記非接触通信部に対して設定する設定手段と、
を有することを特徴とする携帯端末機器に装着される電子装置。
【請求項2】
前記測定手段は、前記アンテナに対してテスト信号を供給することにより当該アンテナ特性を示すデータを測定する、
ことを特徴とする前記請求項1に記載の携帯端末機器に装着される電子装置。
【請求項3】
前記測定手段は、前記アンテナの等価回路の値を測定し、
前記記憶手段には、種々の携帯端末機器に実装されるアンテナ特性に対応するアンテナの等価回路の値を記憶し、
前記判断手段は、前記測定手段により測定した前記アンテナの等価回路の値と前記記憶手段に記憶しているアンテナの等価回路の値とを比較することによりアンテナ特性を判断する、
ことを特徴とする前記請求項2に記載の携帯端末機器に装着される電子装置。
【請求項4】
携帯端末機器に装着される電子装置において、
携帯端末機器に接続するためのコンタクト部と、
前記コンタクト部を介して前記携帯端末機器との接触通信を行う接触通信部と、
前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナを用いて非接触通信を行う非接触通信部と、
種々の携帯端末機器の機器情報に対応するアンテナ特性を記憶している記憶手段と、
前記コンタクト部を介して前記接触通信部が前記携帯端末機器から機器情報を受信した場合、前記携帯端末機器から受信した機器情報に対応するアンテナ特性を前記記憶手段に記憶している情報から判断する判断手段と、
前記判断手段により判断したアンテナ特性を前記非接触通信部に対して設定する設定手段と、
を有することを特徴とする携帯端末機器に装着される電子装置。
【請求項5】
さらに、新たな携帯端末機器の機器情報に対応するアンテナ特性を示すデータを前記接触通信部により携帯端末機器から受信して前記記憶手段に記憶するダウンロード手段と、を有する、
ことを特徴とする前記請求項4に記載の携帯端末機器に装着される電子装置。
【請求項6】
携帯端末機器に装着された状態において当該携帯端末機器に接続するコンタクト部と、前記コンタクト部を介して前記携帯端末機器との接触通信を行う接触通信部と、前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナを用いて非接触通信を行う非接触通信部とを有する電子装置の制御方法であって、
種々の携帯端末機器に実装されるアンテナにおけるアンテナ特性を示すデータを記憶手段に記憶しておき、
前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナ特性を示すデータを測定し、
この測定したデータに対応するアンテナ特性を前記記憶手段に記憶している情報から判断し、
この判断したアンテナ特性を前記非接触通信部に対して設定する、
ことを特徴とする携帯端末機器に装着される電子装置の制御方法。
【請求項7】
携帯端末機器に装着された状態において当該携帯端末機器に接続するコンタクト部と、前記コンタクト部を介して前記携帯端末機器との接触通信を行う接触通信部と、前記コンタクト部を介して接続される前記携帯端末機器に実装されているアンテナを用いて非接触通信を行う非接触通信部とを有する電子装置の制御方法であって、
種々の携帯端末機器の機器情報に対応するアンテナ特性を記憶手段に記憶しておき、
前記コンタクト部を介して前記接触通信部が前記携帯端末機器から機器情報を受信した場合、前記携帯端末機器から受信した機器情報に対応するアンテナ特性を前記記憶手段に記憶している情報から判断し、
この判断したアンテナ特性を前記非接触通信部に対して設定する、
ことを特徴とする携帯端末機器に装着される電子装置の制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−189053(P2009−189053A)
【公開日】平成21年8月20日(2009.8.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−120188(P2009−120188)
【出願日】平成21年5月18日(2009.5.18)
【分割の表示】特願2004−207757(P2004−207757)の分割
【原出願日】平成16年7月14日(2004.7.14)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】