説明

携帯端末機器及びクリーニングシート

【課題】クラムシェル型の携帯端末機器において、簡易な構成で表示パネルの表示面の指紋や皮脂等の汚れを自動的に除去できるようにする。
【解決手段】携帯端末機器1は、キー操作入力部と表示パネルを備える。このキー操作入力部は、最上層にクリーナ素材が施され且つ平らな操作面22aを有する。さらに、携帯端末機器1は、携帯端末機器1を振動させる振動部を備える。そして、携帯端末機器1は、折り畳まれて表示パネルの表示面21aが操作面22aに全面に亘って接触した状態で、振動部により振動させることで、表示面21aのクリーニングを実行する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、キー操作入力部と表示パネルが向かい合うように折り畳み可能なクラムシェル型の携帯端末機器、及び携帯端末機器で使用するクリーニングシートに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、携帯電話機をはじめ、携帯型の電子辞書、電子ブックリーダなど様々な携帯端末機器が流通している。そして、携帯端末機器の形状についても、クラムシェル型をはじめ、ストレート型、スライド型など様々なものが採用されている。
【0003】
ところで、携帯端末機器は通常、その携帯性のために指紋や皮脂等の汚れが目立つ。特に表示パネルは、情報を視認するために設けられており、ユーザが注視する部位であるため、顕著である。さらに、近年のスマートフォン市場の拡大に伴って表示パネルにタッチパネル機能が搭載されることが増えてきているが、タッチパネル機能の搭載によりユーザが表示パネルに触れる機会が格段に増えるため、指紋や皮脂の汚れが多く表示面に付着して視認性を悪くしてしまう。
【0004】
従来、このような指紋や皮脂の汚れは、ユーザがストラップなどに付属のクリーナで拭いたり、メガネ用のクリーナやハンカチで拭いたりして落としている。その他、指紋や皮脂の汚れを未然に防ぐために、携帯端末機器によっては、表示パネルに保護フィルムを貼り付ける技術や、表示パネルに耐指紋性撥油コーティングを施す技術も採用されている。
【0005】
また、特許文献1には、自動的に画面を清掃する技術として、設置型のタッチパネル式入出力装置における画面の表面に、巻き取り可能な状態で保護シートを張り、巻き取りの際に清掃用布で自動的に清掃することが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平3−266019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の技術は大がかりな清掃機構が必要となるため、携帯端末機器自体のサイズや重量を鑑みると、そのような大がかりな清掃機構を適用することは現実的ではない。このように、従来の技術では、表示パネルの表示面の汚れを簡易な方法で自動的に除去することはできない。
【0008】
なお、汚れを未然に防ぐために表示パネル側に耐指紋性撥油コーティングを施す技術では、コーティングの剥がれにより効果が長期間持続せず、剥がれた後は見栄えだけでなく視認性も悪くなる。また、汚れを未然に防ぐために表示パネル側に保護フィルムを貼り付ける技術では、視野角や透明性などが損なわれ、視認性が悪くなってしまう。また、ユーザがクリーナで表示面を拭く手間を許容したとしても、表示パネルの各画素に光センサを内蔵する光センサ内蔵方式によりタッチパネル機能を搭載した携帯端末機器に至っては、電源がオフでない限り誤入力が発生ししてしまうこともある。
【0009】
本発明は、上述のような実状に鑑みてなされたものであり、その目的は、クラムシェル型の携帯端末機器において、簡易な構成で表示パネルの表示面の指紋や皮脂等の汚れを自動的に除去できるようにすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の第1の技術手段は、キー操作入力部と表示パネルが向かい合うように折り畳み可能な携帯端末機器において、前記キー操作入力部は、最上層にクリーナ素材が施され且つ平らな操作面を有し、前記携帯端末機器は、前記携帯端末機器を振動させる振動部を備え、折り畳まれて前記表示パネルの表示面が前記操作面に全面に亘って接触した状態で、前記振動部により振動させることで、前記表示面のクリーニングを実行することを特徴としたものである。
【0011】
第2の技術手段は、第1の技術手段において、前記クリーニングは、折り畳まれる度に実行されることを特徴としたものである。
【0012】
第3の技術手段は、第1の技術手段において、前記表示パネルは、タッチパネル機能が搭載されており、前記クリーニングは、折り畳み部分が開かれてから前記タッチパネル機能により操作入力が所定のタッチ数以上なされた後に折り畳まれた場合に、実行されることを特徴としたものである。
【0013】
第4の技術手段は、第1の技術手段において、前記表示パネルは、タッチパネル機能が搭載されており、前記クリーニングは、折り畳み部分が開かれてから前記タッチパネル機能により操作入力がなされた後に折り畳まれる事象が、所定回数以上なされた場合に、実行されることを特徴としたものである。
【0014】
第5の技術手段は、第1〜第4のいずれか1項の技術手段において、前記表示パネルは、タッチパネル機能が搭載されており、前記クリーニングは、折り畳み部分が開かれてから折り畳まれるまでに、前記タッチパネル機能によりなされた操作入力のタッチ回数に応じた時間分、実行されることを特徴としたものである。
【0015】
第6の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、前記振動部は、着信時及び/又はアラーム時に振動させるために設けた振動部であり、前記クリーニングの実行時は、前記着信時及び/又はアラーム時とは、振動の振幅及び/又は周波数を異ならせることを特徴としたものである。
【0016】
第7の技術手段は、第1〜第5のいずれか1の技術手段において、前記振動部とは異なる位置に、着信時及び/又はアラーム時に振動させる他の振動部を備え、前記クリーニングの実行時は、前記着信時及び/又はアラーム時とは、振動の振幅及び/又は周波数を異ならせることを特徴としたものである。
【0017】
第8の技術手段は、第1〜第7のいずれか1の技術手段において、前記クリーナ素材は、前記操作面側に再剥離性を持った粘着層が施されていることを特徴としたものである。
【0018】
第9の技術手段は、平らな操作面を有するキー操作入力部と表示パネルが向かい合うように折り畳み可能で、且つ振動部を備えた携帯端末機器で使用するためのクリーニングシートであって、クリーナ素材に、該クリーナ素材を前記操作面に貼り付けるための再剥離性を持った粘着層が施されて構成されており、前記操作面に貼り付けた状態で、前記携帯端末機器が折り畳まれたときに、前記表示パネルの表示面が前記クリーナ素材に全面に亘って接触する厚み及び広さを有することを特徴としたものである。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、クラムシェル型の携帯端末機器において、簡易な構成で表示パネルの表示面の指紋や皮脂等の汚れを自動的に除去できるようになる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る携帯端末機器の一構成例を示すブロック図である。
【図2】図1の携帯端末機器におけるクリーニング動作の概要を説明するための外観図である。
【図3】図1の携帯端末機器におけるクリーニング動作の一例を説明するためのフロー図である。
【図4】図1の携帯端末機器におけるクリーニング動作の他の例を説明するためのフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
本発明に係る携帯端末機器は、キー操作入力部と表示パネルが向かい合うように折り畳み可能なクラムシェル型(折り畳み式)の機器であり、携帯電話機の他、携帯型の電子辞書、電子ブックリーダなど様々な機器が挙げられる。なお、本発明に係る携帯端末機器で採用するこのような折り畳みの機構には、表示パネルを反転させ、表示パネルの反対側の面がキー操作入力部と向かい合うような状態で、折り畳める機構も併せて備えてもよい。
【0022】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る携帯端末機器について説明する。
図1は、本発明に係る携帯端末機器の一構成例を示すブロック図で、図2は、図1の携帯端末機器におけるクリーニング動作の概要を説明するための外観図である。
【0023】
図1で例示する携帯端末機器1は、その全体を制御する主制御部10を備えると共に、タッチパネル部11、キー操作入力部12、開閉検知部13、タイマ部14、バイブレータ部15、及びバイブレータ制御部16を備える。ここで、主制御部10は、各種設定を記憶するメモリ10aを備える。
【0024】
タッチパネル部11は、タッチパネル機能が搭載された表示パネルである。表示パネルにおける表示方式は問わず、液晶や有機EL(Electro - Luminescence)など様々な表示方式が採用できる。タッチパネル機能としては、抵抗膜方式、表面型静電容量方式、投影型静電容量方式、音響パルス認識方式、画像認識方式、光センサ内蔵方式など、様々な方式が採用できる。但し、本発明では、表示パネルにタッチパネル機能を搭載しておくことは必須ではない。しかし、タッチパネル機能が搭載されることでその表示パネルに汚れが付きやすくなるため、本発明のクリーニングの効果がより得られることになる。
【0025】
また、携帯端末機器1は、タッチパネル部11の他の操作入力手段として、キー操作入力部12を備える。このキー操作入力部12は、複数のキーが配置された操作面を有し、各キーを押下した信号は主制御部10に伝えられるようになっている。また、キー操作入力部12は、タッチパネル部11とは反対側の筐体に設けられており、ユーザはタッチパネル部11の表示面を視認しながら、配置されたキーから操作入力を行うことが可能になっている。
【0026】
ここで、携帯端末機器1の外観について、図2を参照しながら具体的に説明する。携帯端末機器1は、図2で携帯電話機を挙げて例示するように、操作面22aを有するキー操作入力部12が搭載された筐体22と、表示面(つまりタッチ面)21aを有するタッチパネル部11が搭載された筐体21は、ヒンジ部23で折り畳み可能に構成されている。そして、図2における中段の図に示すように、折り畳んだ状態で表示面21aが操作面22aに接するようになる。ここで、操作面22aの大きさ(厳密には後述するクリーナ素材が設けられた領域の大きさ)は、表示面21aの大きさと同じかそれより大きいものとする。
【0027】
開閉検知部13は、折り畳まれた状態か開かれた状態かの判定を行い、その判定結果を主制御部10に伝える。開閉検知部13は、タッチパネル部11におけるセンサを利用してもよいし、操作面22a(又は表示面21aと同じ面)に折り畳まれた状態で表示面21aと同じ面(又は操作面22a)により押されるスイッチを設けてもよいし、ヒンジ部23にセンサを別途設けてもよい。なお、主制御部10は、折り畳まれた状態に移行したことを示す判定結果を受信すると、表示をOFFにするなどの制御を行うことになるが、後述するように、この判定結果をトリガとしてクリーニングを実行させる制御を行うこともある。
【0028】
タッチパネル部11における表示の制御やタッチパネル機能を使用した操作入力、並びにキー操作入力部12からの操作入力については、一般的な携帯端末機器と同様である。例えば、表示パネルには、主制御部10からの制御に基づき、ユーザインターフェース画像やユーザデータが表示されることになる。このユーザインターフェース画像は、タッチパネル部11への操作入力やキー操作入力部12への操作入力に従って遷移し、必要に応じてユーザデータがはめ込まれる。
【0029】
そして、本発明の主たる特徴として、キー操作入力部12は、平らな操作面(図2の操作面22a)を有し、その操作面22aの最上層にはクリーナ素材が施されているものとする。ここで、平らな操作面とは、キー領域と非キー領域とが同じ高さで、凹凸がないものとする。つまり、操作面22aはクリーナ素材が施されたシートキーで形成されていると言える。また、クリーナ素材は、その機能のために、厳密にはその表面が平らではなく、また弾力性を持った素材が採用されることが考えられるが、大局的に見て平らになっていればよい。
【0030】
ここで、平らにした理由は、携帯端末機器1を折り畳んだ時に、表示面21aの全面が操作面22aに触れ合う(接する)ようにするためである。クリーナ素材が施されたシートキーを用い、且つ折り畳み時の隙間を無くすように筐体21,22及びヒンジ部23を設計しておくことにより、携帯端末機器1をシートキーの表面とタッチパネル部11の表示面21aの全面が接触する構成にすることが可能になる。なお、従来の多くの携帯端末機器では、隙間を空けるための小突起を操作面の四隅に設けてあるが、本発明では、折り畳み時の隙間を無くす必要があるため、このような小突起を設けない。
【0031】
シートキーの表面に用いるクリーナ素材(少なくとも折り畳みにより表示面と接する部分)は、不織布であってもよいし織物であってもよい。この不織布としては、クリーナ機能を高めるために超極細繊維(マイクロファイバ)と呼ばれるものが好ましいが、所謂、フェルトを採用してもよい。マイクロファイバは、ディスプレイクリーナ等に用いられるものと同様の素材を採用してもよい。また、織物の場合でも、クリーナ機能を高めるために極細の糸を織ったものであることが好ましい。また、不織布や織物の代わりに、操作面の基材に繊毛を起毛させるように貼り付けてもよい。
【0032】
また、後述のように本発明は振動によりクリーニングを実行するため、クリーナ素材に使用する繊維の種類や固さや空隙の度合などの製法は、振動によるクリーニング効果が上がるように選択しておけばよい。また、クリーニング効果が上がるように、生じさせる振動の振幅や周波数によって採用するクリーナ素材を選択してもよい。
【0033】
さらに、本発明で使用するクリーナ素材は、透明又は半透明であるか、若しくは文字が印刷可能となっているか文字を折り込むことが可能である必要がある。従って、透明性又は半透明性を持たないような色や厚さの素材を採用する場合には、キー位置を示す記号(例えば「5」を入力するキーであれば「5」)を印刷しておく必要がある。その際、キーの範囲(キー領域)を示す枠も印刷しておくことが好ましい。
【0034】
さらに、携帯端末機器1は、携帯端末機器1を振動させる振動部を備える。バイブレータ部15及びバイブレータ制御部16は、この振動部の一例である。バイブレータ部15は、振動モータを有し、この振動モータの振動により携帯端末機器1を震えさせる。振動モータとしては、基本的にDCモータの軸に重心を偏らせた錘を取り付けた構成が一般的である。バイブレータ制御部16は、バイブレータ部15における振動強度(振幅)や振動パターンなどを制御する。また、タイマ部14は、主制御部10からの動作時間の指定に従い、計測開始からその動作時間が経過したときに主制御部10に通知を行う。この動作時間とは、後述するようにクリーニングを実行する時間を指す。
【0035】
そして、携帯端末機器1は、キー操作入力部12の操作面22aとタッチパネル部11の表示面21aが向かい合うように折り畳まれて、表示面21aが操作面22aに全面に亘って接触した状態で、振動部により振動させることで、表示面21aのクリーニングを実行する。
【0036】
より具体的には、図2に示すように折り畳まれた状態になったときに、主制御部10がバイブレータ制御部16に指示してバイブレータ部15を起動させて振動させ、この振動により、図2の下段の図において波線で表現したように表示面21aと操作面22aとの間に振動が生まれ、表示面21aと操作面22aとが擦れ合って、表示面21aに付着した汚れを除去することができる。
【0037】
このように、本発明によれば、クリーナ素材を平らな操作面に施して携帯端末機器1を振動させるといった簡易な構成で、表示パネルの表示面の指紋や皮脂等の汚れをユーザが自らクリーナ等を用いて拭くことなく、自動的に除去でき、視認性が良い状態に保つことができる。
【0038】
次に、図3を参照しながら、携帯端末機器1のクリーニング動作の一例を説明する。
まず、ユーザがクラムシェルを開状態で使用した状態(ステップS1)から閉状態へ移行させる(ステップS2)。ステップS1からステップS2への移行は開閉検知部13により検知し、主制御部10に伝えればよい。
【0039】
そして、この移行をトリガとして、主制御部10がタイマ部14に対して、メモリ10aの設定値として予め設定された時間分だけ計時するように指示し、タイマ部14がその計測を開始する(ステップS3)。上記予め設定された時間は、以下に説明するようにバイブレータ部15を動作させる動作時間となるが、この設定値は任意の値を予め決めてメモリ10aに記憶させておいてもよいし、ユーザが任意に設定できるようにしてもよい。
【0040】
ステップS3の処理と共に、主制御部10は、バイブレータ制御部16にバイブレータ部15の駆動を指示し、これによりバイブレータ部15がONとなり(ステップS4)、振動が始まる(ステップS5)。続いて、主制御部10は、タイマ部14から上記予め設定された時間分のタイマが満了したことを示す通知を受け取っていない段階では(ステップS6でNOの場合)、振動動作を継続しておく(ステップS5)。一方で、主制御部10は、タイマ部14からタイマ満了の通知を受け取った段階で(ステップS6でYESとなったときに)、バイブレータ制御部16に駆動OFFの指示を出し、これによりバイブレータ部15がOFFとなる(ステップS7)。携帯端末機器1は、このようにして、予め設定された時間分だけ、振動をONにして汚れを除去する。
【0041】
図3で説明したように、携帯端末機器1では、クリーニングを折り畳まれる度に実行するようにしてもよい。このような制御により、ユーザが自らクリーナ等で汚れを除去しなくても、使用する際には既に表示面を視認性が良い状態にしておくことが可能になる。なお、連続して複数回、開閉がなされた場合に毎回クリーニングを実行しないように、最後にクリーニングを実行した日時をメモリ10a等に記憶しておき、折り畳まれたときであっても、前回の折り畳みから所定時間経過した場合のみクリーニングを実行するようにしてもよい。
【0042】
次に、図4を併せて参照しながら、携帯端末機器1のクリーニング動作の他の例を説明する。
まず、ユーザが開状態にする動作を行い、開状態(クラムシェルを開状態)にしてしまう手前で、メモリ10aに格納されたディスプレイタッチ回数をクリアし(ステップS11)、その後、クラムシェルを開状態へ完全に移行させる(ステップS12)。続いて、主制御部10は、クラムシェルが閉状態へ移行したか否かを開閉検知部13からの通知により判定する(ステップS13)。なお、ユーザが開状態にする動作や開状態から閉状態へ移行する動作は開閉検知部13により検知し、主制御部10に伝えればよい。
【0043】
ステップS13でNOの場合(開状態のままである場合)、主制御部10は、タッチパネル部11でタッチ操作が実行されたか否かを、タッチパネル部11からの入力に基づき判定する(ステップS14)。ステップS14でNOの場合、ステップS13へ戻る。一方、ステップS14でYESの場合にはディスプレイタッチ回数を1つインクリメントし(ステップS15)、その後、ステップS13へ戻る。
【0044】
一方、ステップS13でYESの場合(閉状態に移行した場合)、主制御部10は、ディスプレイタッチ回数を元に、動作時間を示す設定値であるタイマの長さを決定する(ステップS16)。ディスプレイタッチ回数とタイマの長さとの関係を示す対応テーブルをメモリ10aに格納しておき、それを参照し、動作時間を示す設定値を書き直すなどすればよい。そして、ステップS16の後は、図3のフロー図で説明した処理が実行される。
【0045】
このように、ユーザがタッチ操作を行った回数をカウントして、その回数に応じてクリーニングの時間(クリーニング時に常に振動を継続させる場合には、バイブレータ部15をONにする時間)を決定するようにしてもよい。つまり、携帯端末機器1でのクリーニングは、折り畳み部分が開かれてから折り畳まれるまでに、タッチパネル機能によりなされた操作入力のタッチ回数に応じた時間分、実行されるようにしてもよい。なお、振動パターンによっては実際にはバイブレータ部15が駆動していない時間も生じるため、そのような時間も含めて「クリーニングの時間」としておけばよいが、代わりに、振動させている正味の時間を「クリーニングの時間」としてもよい。
【0046】
このように、動作時間を示す設定値をタッチパネル機能の使用頻度によって自動的に長短させるようにすることで、汚れに応じた時間のクリーニングが可能となる。
【0047】
また、他の形態として、クリーニングは、折り畳み部分が開かれてからタッチパネル機能により操作入力が所定のタッチ数以上なされた後に折り畳まれた場合に、実行されるようにしてもよい。これにより、あまり汚れていないと想定されるときにはクリーニングを実行しないことになるため、省電力となる。
【0048】
また、上記所定のタッチ数を1とすることで、タッチ数に依らずタッチの有無に依る制御を行うことができる。つまり、クリーニングは、折り畳み部分が開かれてからタッチパネル機能により操作入力がなされた後に折り畳まれた場合(閉じられた場合)に、実行されるようにしてもよい。これにより、少なくとも1回タッチ操作した後に閉じることで、自動的に表示面21a上の汚れを除去することができ、次回操作する時にはタッチパネル部11の汚れが気になることもない。
【0049】
また、他の形態として、クリーニングは、折り畳み部分が開かれてからタッチパネル機能により操作入力がなされた後に折り畳まれる事象が、所定回数以上なされた場合に実行されるようにしてもよい。これにより、ある程度汚れていると想定される段階ではじめてクリーニングを実行することになるため、省電力となる。また、タッチパネル機能により操作入力が所定のタッチ数以上なされた後に折り畳まれる事象が、所定回数以上なされた場合に、クリーニングを実行するようにしてもよい。
【0050】
以上、本発明におけるクリーニングが折り畳まれたときに実行されることを前提として説明したが、他の形態として、折り畳まれてから開かれることなく所定時間経過した段階で、クリーニングを実行するようにしてもよい。その場合には、折り畳まれてから着信等により振動すればそれもクリーニングとみなし、その分、クリーニングの実行を遅らせるか、クリーニングの動作時間を減らすようにすることもできる。
【0051】
次に、クリーニングに用いる振動部の配置等について説明する。
クリーニングに用いる振動部は、電話やメールの着信時(つまり無線呼出時)及び/又はアラーム時に振動させるために設けた振動部と兼用にしてもよい。つまり、携帯端末機器1は、着信時やアラーム時に用いる振動部を利用してクリーニングするように構成してもよい。無論、この形態は、タッチパネル機能の搭載/非搭載に依らず適用できる。
【0052】
この構成の場合、上記クリーニングの実行時は、着信時及び/又はアラーム時とは、振動の振幅及び/又は周波数を異ならせること、つまり振動パターンを異ならせることが好ましい。これは、例えば楽曲に合わせるなどして振動させるなど、着信やアラーム時と同じように振動させるよりは、クリーニングに適した振幅や周波数でクリーニングを実行した方が効果が上がるためである。クリーナ素材と表示パネルの表面の素材によって、よりきれいになる振幅、周波数を実験により見い出しておけばよい。
【0053】
なお、振動部として振動モータを採用した場合には、基本的にDCモータの軸に重心を偏らせた錘を取り付けただけの構成であるため、振幅は変わらず制御ができない。よって、その場合には、クリーニングの実行時と着信時及び/又はアラーム時とで振動の周波数を異ならせる。振動の振幅と周波数、さらには位相も独立して異ならせるためには、振動モータを2個以上設けてそれぞれの振動を独立に制御すればよい。また、振動部としては、振動モータの他に例えばVCM(Voice Coil Motor)を採用することもでき、VCMでは振幅、周波数、位相を独立して制御可能である。
【0054】
一方で、このような振動部を兼用する構成であっても、クリーニング時の振動の振幅や周波数を着信時やアラーム時と変えないようにすることもできる。特に、本発明では、クリーニングの実行を着信時の振動やアラーム時の振動だけに委ねるようにしてもよい。すなわち、本発明では、表示面21aと操作面22aが向かい合うように折り畳まれた状態で着信やアラームの事象が発生し、それを受けて振動を実行するだけで、特にクリーニングのためにわざわざ振動させることなく、クリーナ素材により表示面21aをクリーニングさせるようにしてもよい。この場合にも、着信時に振動も行うように設定しておくだけで、充分なクリーニング効果は得られると言える。その理由は、着信の頻度は使用の頻度と相関があると言えるためである。
【0055】
また、表示面(画面)保護用のシートを別途貼り付けるユーザもいる。これに対応させるために、画面保護用のシートに合った振幅、周波数の設定値を、選択可能なようにメモリ10aに用意しておくかそのシートの包装などに記載しておくようにしてもよい。これにより、ユーザが複数の中から選択するかユーザがその設定値を入力することで、設定値の変更が可能になる。この設定値も、メモリ10aに格納しておき、クリーニング実行時に読み出せばよい。なお、この形態は、クリーニング時の振動の振幅や周波数を着信時やアラーム時と変えるか、変えないかに拘わらず、適用できる。
【0056】
また、着信時やアラーム時に用いる振動部を利用してクリーニングする構成の代わりに、携帯端末機器1は、クリーニングに用いる振動部とは異なる位置に、着信時及び/又はアラーム時に振動させる他の振動部を備えるようにしてもよい。この構成の場合にも同様に、クリーニングの実行時は、着信時及び/又はアラーム時とは、振動の振幅及び/又は周波数を異ならせることが好ましい。無論、この形態も、タッチパネル機能の搭載/非搭載に依らず適用でき、また表示面(画面)保護用のシートへの対応も可能である。
【0057】
例えば、着信時やアラーム時用の振動部を操作面22a側の筺体22に内蔵し、クリーニング用の振動部を表示面21a側の筺体21又は筐体22の別の位置に内蔵し、それぞれの振動部での振動の振幅、周波数を異ならせる。このように、第1の振動部のみで着信やアラームに対応させ、第2の振動部のみでクリーニングに対応させてもよい。若しくは、第1の振動部のみで着信やアラームに対応させ、第1の振動部及び第2の振動部でクリーニングに対応させてもよいし、逆に、第1の振動部及び第2の振動部で着信やアラームに対応させ、第2の振動部でクリーニングに対応させてもよい。着信時やアラーム時、クリーニング時のいずれに使用するかは別として、第1の振動部及び第2の振動部の2つの振動部を用いることで、位相を異ならせることでも振動パターンを変えることができる。
【0058】
以上、クリーナ素材が操作面に半永久的に取り付けられていることを前提に説明したが、クリーニングの繰り返しやユーザによるキー操作入力により、クリーナ素材自体が汚れることも考えられる。そのため、クリーナ素材は、キー本体から取り外しができるように、つまり再剥離可能なシールのように、再剥離性を持たせることが好ましい。すなわち、クリーナ素材には、操作面側に再剥離性を持った粘着層が施されていることが好ましい。
【0059】
例えば、不織布又は織物が上面に取り付けられるか若しくは繊毛が埋め込まれたPET(PolyEthylene Terephthalate)フィルムやポリイミドフィルム等の基材に、若しくは不織布又は織物に直接、シリコーン系やアクリル系の粘着剤をコーティングしておくなどすればよい。このようにクリーナ素材を、再剥離性を持たせた粘着層により操作面上に着脱可能に施すことで、クリーニングやキー操作入力により操作面が汚れたとしても取り替えが可能となる。
【0060】
なお、このような形態では基本的に、キー操作入力部12は、粘着層付きクリーナ素材を取り外した状態でも取り付けた状態でも平らになっている。但し、粘着層付きクリーナ素材を取り外した状態で、各キーが凸部で形成されるなどにより操作面に凹凸があったとしても、粘着層付きクリーナ素材の粘着層側がその凹凸に嵌合する凹凸を持っていれば、粘着層付きクリーナ素材を取り付けた状態で、クリーナ素材の表面(折り畳み時に表示面に接する側の表面)を平らにすることができる。
【0061】
以上、本発明に係る携帯端末機器について説明したが、本発明はクリーニングシートとしての形態も採用することができる。本発明に係るクリーニングシートは、平らな操作面を有するキー操作入力部と表示パネルが向かい合うように折り畳み可能なクラムシェル型の携帯端末機器であって、自身を振動させる振動部を備えた携帯端末機器で使用するためのシートである。このクリーニングシートは、粘着層付きクリーナ素材として上述したように、クリーナ素材に、そのクリーナ素材を操作面に貼り付けるための粘着層が施されて構成されている。ここで、この粘着層は再剥離性を持つものとする。クリーナ素材や粘着層については上述した通りである。また、実際には、粘着層に台紙となる取り外し可能なシートを取り付けて流通させればよい。
【0062】
そして、本発明に係るクリーニングシートは、操作面に貼り付けた状態で、携帯端末機器が折り畳まれたときに、表示面がクリーナ素材に全面に亘って接触する厚み及び広さを有するものとする。表示面のクリーニングは、上述したように、携帯端末機器が折り畳まれ表示面が操作面のクリーナ素材に全面に亘って接触した状態で、振動部により振動させることで、クリーナ素材によって実行される。換言すれば、本発明に係るクリーニングシートは、このようなクリーニングをクラムシェル型の携帯端末機器で実行させるためにキー操作入力部に貼り付けられる。
【0063】
以上、本発明に係る携帯端末機器及びクリーニングシートに関し、表示パネルの表示面のクリーニングについてのみ説明した。しかし、折り畳み機構として表示面の反対側の面がキー操作入力部と向かい合うように折り畳む機構も併せて備えた携帯端末機器においては、反対側に折り畳んだ場合にも同様にクリーニングを実行するようにしてもよい。反対面もクリーニングできることで通常の閉じた状態での見た目も綺麗に保つことができる。特に、反対面にも簡易の表示面を有する携帯端末機器には、その簡易の表示面のクリーニングもできるため有益である。
【符号の説明】
【0064】
1…携帯端末機器、10…主制御部、10a…メモリ、11…タッチパネル部、12…キー操作入力部、13…開閉検知部、14…タイマ部、15…バイブレータ部、16…バイブレータ制御部、21…表示面側の筺体、21a…表示面、22…操作面側の筐体、22a…操作面、23…ヒンジ部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
キー操作入力部と表示パネルが向かい合うように折り畳み可能な携帯端末機器において、
前記キー操作入力部は、最上層にクリーナ素材が施され且つ平らな操作面を有し、
前記携帯端末機器は、前記携帯端末機器を振動させる振動部を備え、折り畳まれて前記表示パネルの表示面が前記操作面に全面に亘って接触した状態で、前記振動部により振動させることで、前記表示面のクリーニングを実行することを特徴とする携帯端末機器。
【請求項2】
前記クリーニングは、折り畳まれる度に実行されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末機器。
【請求項3】
前記表示パネルは、タッチパネル機能が搭載されており、
前記クリーニングは、折り畳み部分が開かれてから前記タッチパネル機能により操作入力が所定のタッチ数以上なされた後に折り畳まれた場合に、実行されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末機器。
【請求項4】
前記表示パネルは、タッチパネル機能が搭載されており、
前記クリーニングは、折り畳み部分が開かれてから前記タッチパネル機能により操作入力がなされた後に折り畳まれる事象が、所定回数以上なされた場合に、実行されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末機器。
【請求項5】
前記表示パネルは、タッチパネル機能が搭載されており、
前記クリーニングは、折り畳み部分が開かれてから折り畳まれるまでに、前記タッチパネル機能によりなされた操作入力のタッチ回数に応じた時間分、実行されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の携帯端末機器。
【請求項6】
前記振動部は、着信時及び/又はアラーム時に振動させるために設けた振動部であり、
前記クリーニングの実行時は、前記着信時及び/又はアラーム時とは、振動の振幅及び/又は周波数を異ならせることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯端末機器。
【請求項7】
前記振動部とは異なる位置に、着信時及び/又はアラーム時に振動させる他の振動部を備え、
前記クリーニングの実行時は、前記着信時及び/又はアラーム時とは、振動の振幅及び/又は周波数を異ならせることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の携帯端末機器。
【請求項8】
前記クリーナ素材は、前記操作面側に再剥離性を持った粘着層が施されていることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載の携帯端末機器。
【請求項9】
平らな操作面を有するキー操作入力部と表示パネルが向かい合うように折り畳み可能で、且つ振動部を備えた携帯端末機器で使用するためのクリーニングシートであって、
クリーナ素材に、該クリーナ素材を前記操作面に貼り付けるための再剥離性を持った粘着層が施されて構成されており、
前記操作面に貼り付けた状態で、前記携帯端末機器が折り畳まれたときに、前記表示パネルの表示面が前記クリーナ素材に全面に亘って接触する厚み及び広さを有することを特徴とするクリーニングシート。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−175423(P2012−175423A)
【公開日】平成24年9月10日(2012.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−35845(P2011−35845)
【出願日】平成23年2月22日(2011.2.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】