説明

携帯端末装置及びその表示方法

【課題】携帯端末装置を使用する環境やユーザが保持する体勢に依らずに、安定してユーザの保持する方向を判定し、携帯端末の画面に表示する向きを回転させることが可能な携帯端末装置を提供する。
【解決手段】携帯端末装置の筐体の背面に、ユーザが保持した際の接触位置を検出するタッチパッドセンサを設ける。携帯端末装置は、タッチパッドセンサ検出データが、複数の所定の保持パターンの内で最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定手段を備え、保持パターン判定手段が判定した保持パターンに基づいて、表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置及びその表示方法に関する。特に、本発明は、携帯端末装置の表示画面に表示する情報の向きを自動で切り替える技術に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末装置をユーザが使用する際に、携帯端末装置を保持する向きがいつも同じであるとは限らないため、ユーザが保持する向きに合わせて、表示画面の向きを回転することが望まれている。
【0003】
そこで、ユーザが保持する向きを検出する方法として、携帯端末装置の4つの側面に夫々赤外線を利用した非接触センサを設けることにより、ユーザが携帯端末装置のいずれの面と対向する位置に存在するか、即ち、ユーザが見ている表示画面の向きがどの向きであるかを検出することが提案されている。
【0004】
しかしながら、このように赤外線センサを利用してユーザの位置を検出する場合には、誤検出が生じる可能性が高い。例えば、携帯端末装置の近傍にユーザ以外の物体が存在する場合にはこの物体をユーザと間違えて検出する可能性がある。
【0005】
上記の問題を解消する方法として、特許文献1には、携帯端末が備えたデジタルカメラ機能を使用して、撮像画像からユーザの顔の情報を取得し、顔の向きと携帯端末装置の向きとの相対的な位置関係を把握することで、ユーザにとって望ましい向きで表示画面に情報を表示する方法が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2007−17596号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以下の分析は、本発明により与えられる。
【0008】
しかしながら、特許文献1に記載された方法の場合、撮影画像から顔の向きを認識する必要があるが、照度が暗い環境下では、顔の向きの検出精度が低くなり、正常に動作しないという問題がある。また、ユーザが携帯端末を保持する体勢によっては、撮像視野の中にユーザの顔が入らないという場合もあり、そのような場合には特許文献1に記載された方法を適用することができない。
【0009】
そこで、本発明の目的は、携帯端末装置を使用する環境やユーザが保持する体勢に依らずに、安定してユーザの保持する方向を判定し、携帯端末の画面に表示する向きを回転させることが可能な携帯端末装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の第1の視点による携帯端末装置は、筐体の背面に設けられ、ユーザが保持した際の接触位置を検出するタッチパッドセンサと、前記タッチパッドセンサが検出したタッチパッドセンサ検出データが、複数の所定の保持パターンの内で最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定手段とを備え、前記保持パターン判定手段が出力した保持パターンに基づいて、表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御する。
【0011】
本発明の第2の視点による携帯端末装置の表示方法は、携帯端末装置の表示画面に表示する情報の向きを制御する表示方法において、前記携帯端末装置に設けられたタッチパッドセンサにより、ユーザが前記携帯端末装置を保持した際のタッチパッドサンサ検出データを取得するステップと、前記タッチパッドセンサ検出データが、複数の所定の保持パターンの内で最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定ステップと、前記保持パターン判定ステップで出力された保持パターンに基づいて、前記携帯端末装置の表示画面に表示する情報の向きを切り替えるステップと、を含む。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯端末装置によれば、携帯端末装置を使用する環境やユーザが保持する体勢に依らずに、安定してユーザの保持する方向を判定し、その保持方向に対応して携帯端末の表示画面に表示する情報の向きを回転させることが可能な携帯端末装置を提供することができる。
【0013】
本発明の携帯端末装置の表示方法によれば、携帯端末装置を使用する環境やユーザが保持する体勢に依らずに、安定してユーザの保持する方向を判定し、その保持方向に対応して携帯端末の表示画面に表示する情報の向きを回転させることが可能な携帯端末装置の表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施例1に係る携帯端末装置の斜視図である。
【図2】本発明の実施例1に係る携帯端末装置の概略を示すブロック図である。
【図3】本発明の実施例1に係る携帯端末装置の各機能を示す図である。
【図4】本発明の実施例1に係る携帯端末装置におけるタッチパッドセンサを説明するための図である。
【図5】本発明の実施例1に係る携帯端末装置の保持パターン登録を説明するための図である。
【図6】本発明の実施例1に係る携帯端末装置の保持パターン登録における登録パターンの一例を示す図である。
【図7】本発明の実施例1に係る携帯端末装置のタッチパッドセンサ検出データの一例を示す図である。
【図8】本発明の実施例1に係る携帯端末装置の一致判定データの一例を示す図である。
【図9】本発明の実施例1に係る携帯端末装置の保持パターン登録手段の動作を示すフローチャートである。
【図10】本発明の実施例1に係る携帯端末装置の保持パターン判定手段の動作を示すフローチャートである。
【図11】本発明の実施例1に係る携帯端末装置の表示切替手段の動作を示すフローチャートである。
【図12】本発明の実施例2に係る携帯端末装置の斜視図である。
【図13】本発明の実施例2に係る携帯端末装置におけるタッチパッドセンサを説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の実施形態について、必要に応じて図面を参照して説明する。なお、実施形態の説明において引用する図面及び図面の符号は実施形態の一例として示すものであり、それにより本発明による実施形態のバリエーションを制限するものではない。
【0016】
本発明による第1の実施形態の携帯端末装置は、図1〜3、6〜7のいずれかに示すように、筐体の背面(図1の3)に設けられ、ユーザが保持した際の接触位置を検出するタッチパッドセンサ(図1、図2の105)と、タッチパッドセンサが検出したタッチパッドセンサ検出データ(図7の801)が、複数の所定の保持パターン(図6の601〜604)の内で最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定手段(図3の202)とを備え、保持パターン判定手段が出力した保持パターンに基づいて、表示部(図2の104)の表示画面(図1の2)に表示する情報の向きを制御する。
【0017】
本発明による第2の実施形態の携帯端末装置の表示方法は、図1〜2、6〜7、10〜11のいずれかに示すように、携帯端末装置(図1の1)の表示画面(図1の2)に表示する情報の向きを制御する表示方法において、携帯端末装置1に設けられたタッチパッドセンサ(図1、図2の105)により、ユーザが携帯端末装置1を保持した際のタッチパッドセンサ検出データ(図7の801)を取得するステップ(図11のS900等)と、タッチパッドセンサ検出データ(図7の801)が、複数の所定の保持パターン(図6の601〜604)の内で最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定ステップ(図10のS701、S702)と、保持パターン判定ステップで出力された保持パターンに基づいて、携帯端末装置1の表示画面2に表示する情報の向きを切り替えるステップ(図11のS904)と、を含む。
【0018】
以下、実施例について、図面を参照して詳しく説明する。
【実施例1】
【0019】
[実施例1の構成]
図1は、本発明の実施例1に係る携帯端末装置1を示す斜視図である。図1の(A)は、表示画面2の側から見たときの斜視図であり、図1の(B)は表示画面2の反対面である筐体の背面3から見たときの斜視図である。携帯端末装置1の筐体の背面3には、ほぼ全面にタッチパッドセンサ105が設けられている。ここでタッチパッドセンサは、例えば、ノート型パソコンにおいてポインティングデバイスとして使用されているものと同様の原理に基づく公知のデバイスであり、人間の指が接触しているか否かを判別する機能を有しているものである。また、表示部(図2の104)の表示画面2は、LCD(Liquid Crystal Display)で形成されている。ここで、LCD原点6の位置が、図1に示す位置であると定義する。
【0020】
タッチパッドセンサ105は、図4に示すように、二次元的に配置されたn×m個のセル(要素)を有する。図4は、表示画面2からのタッチパッドセンサの透視図であり、図4に示すように、セル番号(1、1)〜(n、m)を付しておく。ここで、図4のセル番号(1、1)の位置が、図1のLCD原点6の位置に対応している。
【0021】
また、タッチパッドセンサ105は、ユーザが携帯端末1を保持した際に、接触した位置のセルを「1」、非接触の位置のセルを「0」として出力する。図7は、タッチパッドセンサ105が出力するタッチパッド検出データ801の一例であり、「1」のセルがユーザの指が接触していることを示し、「0」のセルが非接触であることを示している。
【0022】
次に、図2は、携帯端末装置1の概略を示すブロック図である。携帯端末装置1は、ユーザからの種々の入力を処理する操作部103、表示画面2に画像や文字の情報を表示する表示部104、種々のデータやプログラムを記憶している記憶部102、前述したタッチパッドセンサ105、および全体を制御する制御部101を備えている。
【0023】
次に、図3は、実施例1における携帯端末装置1の各機能を示す図である。図3に示すように、携帯端末装置1は、保持パターン登録機能を有する保持パターン登録手段201、保持パターン判定機能を有する保持パターン判定手段202、および表示切替機能を有する表示切替手段203を、記憶部102のプログラム領域107に備える。これらは、それぞれプログラムで構成され、制御部101が有するCPU(不図示)から呼び出されて処理される。ここで、図3では、各機能がプログラムで構成される場合について例示しているが、それに限定されない。例えば、各機能の全部又は一部を専用のLSI等のハードウェアに組み込んで構成してもよい。尚、各機能の詳細については後述する。
【0024】
また、図3において、データ領域108は各機能で必要とされるデータを格納している。具体的には、タッチパッドセンサ105により取得したタッチパッドセンサ検出データ801、保持パターン登録手段201により登録される登録パターンA〜D(601〜604)がデータ領域108に格納される。また、その他の保持パターン判定手段202、表示切替手段203で使用するデータがワーク領域に格納される。例えば、一致判定データA〜D(902〜905)などである。
【0025】
また、図3の表示切替手段203は、表示切替制御信号S1を表示部104に出力し、表示部104は入力した表示切替制御信号S1に応じて、表示画面2に表示する情報の向きを回転する。
【0026】
[実施例1の動作]
次に、実施例1に係る携帯端末装置1の動作について説明する。まず、はじめにユーザによって行われる保持パターン登録手段201の動作について、図5、図9を参照しながら説明する。携帯端末1では、図5に示すように、4通りの所定の保持状態A〜Dを想定している。保持状態Aは、図5(A)のように、LCD原点6がユーザから見て左上に位置する保持状態である。最も使用頻度の高い保持状態で基本保持状態ともいう。保持状態Bは、図5(B)のように、LCD原点6がユーザから見て左下に位置する保持状態である。保持状態Cは、図5(C)のように、LCD原点6がユーザから見て右下に位置する保持状態である。保持状態Dは、図5(D)のように、LCD原点6がユーザから見て右上に位置する保持状態である。
【0027】
保持パターン登録手段201は、ユーザに対し、4つの所定の保持状態で携帯端末装置1を保持させて、各々のタッチパッドセンサの出力を、所定の保持パターンA〜Dとして予め登録しておく機能を有している。ここで、登録された4つの所定の保持パターンA〜Dは、登録パターンA〜Dともいう。
【0028】
ユーザが操作部103により、操作メニューより「保持パターン登録」を選択すると、携帯端末装置1は、保持パターン登録モードに遷移し、以下、保持パターン登録手段201による保持パターン登録の動作が開始される。
【0029】
図9は、保持パターン登録の動作を示すフローチャートである。図9において、まず、ユーザに対し登録パターンAの登録を要求する(ステップS501)。具体的には、図5(A)に示すように表示画面2に表示パターンA(401)の表示を行う。そして、ユーザに対して、表示された「あいう」の文字が正しい向きになるように持つように指示する。ユーザは指示されたように、「あいう」の文字が正しい向きになるように携帯端末1を保持する。このとき、ユーザは保持状態Aで携帯端末1を保持することになる。次にユーザは表示画面2上の「OK」を押下する(ステップS502)。すると、タッチパッドセンサ105のセル番号(1、1)〜(n、m)それぞれに対して、接触位置を1、非接触位置を0としたデータが、登録パターンA(601)として登録される。
【0030】
同様にして、図5の(B)〜(D)の表示パターンB〜D(402〜404)に対して、それぞれステップS501〜S503を繰り返すことにより、登録パターン(B)〜(D)(602〜604)が登録される。以上により、図3の記憶部102のデータ領域108に、登録パターンA〜Dが格納される。このようにして得られた登録パターンA〜Dを、それぞれ図6(A)〜(D)に示す。図6は、対応するLCD原点6の位置が左上、すなわちタッチパッドセンサのセル(1、1)が左上になる状態で表示している。図6の登録パターンA〜Dには、ユーザの各保持状態A〜Dの持ち方の癖が反映される。
【0031】
尚、実施例1では、保持パターン登録により登録パターンA〜Dを生成しているが、保持パターン登録を行わずに、所定の保持パターンA〜Dとして固定値を用いるように構成することもできる。その場合、多くのユーザの保持パターンの平均的なパターンを使用することになる。但し、実施例1のように、ユーザに実際に保持させて保持パターンを登録した登録パターンA〜Dを用いたほうが、ユーザの保持の癖を反映したデータを取得することができるため、後述する保持パターン判定の精度が向上するという効果が得られる。また、携帯端末装置1を複数のユーザで使用する場合には、ユーザ毎に保持パターン登録を行うように構成すればよい。その場合、ユーザ認証技術を用いて、使用中のユーザに対応した登録パターンA〜Dが自動的に選択されるようにすることもできる。
【0032】
次に、保持パターン登録後の実動作における保持パターン判定機能および表示切替機能について、図10、11を参照しながら説明する。図11は、表示切替手段203(図3)による表示切替の動作を示すフローチャートである。また、図11におけるステップS902は、保持パターン判定手段202(図3)による保持パターン判定であり、その詳細を、図10のフローチャートに示している。すなわち、表示切替手段203のプログラムの中で、保持パターン判定手段202のプログラムを関数として呼び出す構成になっている。
【0033】
まず、図11において、タッチパッドセンサ105が、タッチパッドセンサ検出データ801を取得する(ステップS900)。ここで、図7に、タッチパッドセンサ検出データ801の一例を示す。接触位置が1、非接触位置が0で示されている。タッチパッドセンサ検出データ801は、図3に示すように記憶部102のデータ領域108に格納される。
【0034】
次に、図11において、タッチパッドセンサ検出データ801において、接触しているセル(要素)の合計を算出し、その合計が保持判定閾値以上であるか否かを判別する(ステップS901)。ここで、保持判定閾値は、ユーザが携帯端末1を保持しているか否かを判別するための閾値である。ステップS901でNOと判定された場合、すなわち、携帯端末1を保持していないと判定された場合には、ステップS900に戻り処理を繰り返す。一方、図7に示すタッチパッドセンサ検出データ801の場合には、ステップS901において保持判定閾値以上になるためYESと判定されて、次にステップS902に進む。このように、ユーザが携帯端末1を保持しているときのみ、演算負荷の重い保持パターン判定を実施するようにすることが可能になる。それにより、ユーザが携帯端末1に触れていない期間において消費電力を低減する効果が得られる。
【0035】
次に、ステップS902では、前述したように図10に示す保持判定パターンの関数が呼び出される。図10において、タッチパッドセンサ検出データ801と登録パターンA〜Dとの間で一致しているセル(要素)の数をそれぞれ計算する(図10のステップS701)。そして、一致しているセルの数が最大となる登録パターンを、タッチパッドセンサ検出データ801と最も類似している登録パターンであるとみなし、判定し出力する(ステップS702)。具体的には、図7のタッチパッドセンサ検出データ801と、図6の登録パターンA〜Dとの間での一致/不一致を判定した一致判定データA〜D(902〜905)を生成する(図8の(A)〜(D))。ここで、「○」は一致、「×」は不一致であることを示す。一致しているセルの数は、保持パターンAに対しては58、保持パターンBに対しては112、保持パターンCに対しては72、保持パターンDに対しては96となる。それらのうちで最大となるのは、保持パターンBであり、保持判定パターン手段202は、保持パターンBを判定し出力する。すなわち、ユーザが携帯端末1を保持状態B(図5(B)の状態)で保持していると判定したことを意味する。
【0036】
また、保持パターン判定手段202のアルゴリズムとして、図10で示した方法以外に、公知のパターン認識のアルゴリズムを適用してもよい。
【0037】
次に、表示切替手段203のプログラムに戻り、図11において、タッチパッドセンサ検出データ801を、タッチパッドセンサ検出データ更新値として記憶する(ステップS903)。ここで、タッチパッドセンサ検出データ更新値は、記憶部102のワーク領域の中に格納される(不図示)。
【0038】
次に、保持パターン判定(ステップS902)において判定された保持パターンに対応する表示の向きに表示部104の表示画面2に表示する向きを切り替える(ステップS904)。具体的には、表示切替手段203より、保持パターンA〜Dに対応した表示切替制御信号S1を出力する。例えば、判定結果が保持パターンAの場合、S1を「00」、判定結果が保持パターンBの場合、S1を「01」、判定結果が保持パターンCの場合、S1を「10」、判定結果が保持パターンDの場合、S1を「11」とすれば、表示切替制御信号S1は2ビットで構成することができる。表示部104は、表示切替制御信号S1に基づいて、表示を切り替えが必要な場合には、表示データを適宜、回転して表示する。
【0039】
次に、タッチパッドセンサ105がタッチパッドセンサ検出データ801を取得する(S905)。このステップS905は、ステップS900と同じである。次に、タッチパッドセンサ検出データ801と、タッチパッドセンサ検出データ更新値(S903で格納したもの)とを比較し、接触位置が変化したか否かを判定する(ステップS906)。ここでは、ユーザの持ち方が変化しか否かを判定しており、1セルでも変化している場合には、ステップS906はYESと判定する。ステップS906でNOと判定された場合は、ステップS905に戻り、ユーザの持ち方に変化が生ずるまで判定を繰り返す。次に、ステップS906でYSEと判定された場合はステップS905で取得したタッチパッドセンサ検出データ801において、接触している要素(セル)の合計が、保持判定閾値以下になったか否かを判定する(ステップS907)。ステップS907でNOの場合には、ユーザは未だ携帯端末を保持しており、保持の状態が変わった場合であると見做し、ステップS902に戻り、保持パターン判定S902を実施する。このようにして、携帯端末を保持しており、且つ保持状態が変わった場合に対してのみ、演算負荷の重い保持パターン判定(ステップS902)を実施するようにすることが可能になる。それにより、ユーザの保持状態に変化がない期間において消費電力を低減する効果が得られる。
【0040】
一方、ステップS907でYESと判定された場合は、ユーザが携帯端末1の保持をやめた場合であると見做し、現状の表示の向きを継続する(ステップS908)。そして、最初のステップS900に戻る。
【0041】
以上が、図10、11のフローチャートで示した保持パターン判定手段202、表示切替手段203の動作である。例えば、タッチパッドセンサ検出データ801が図7の場合には、前述したように保持パターン判定手段202で保持パターンBに判定される。そして、表示切替手段203により保持パターンBに対応した向きに、表示画面2に表示する情報の向きが回転して表示される。具体的には、図5の(B)に示す向きに情報が表示されることになり、ユーザの保持状態に応じた表示画面の向きの制御が実現できる。
【0042】
以上説明したように、本発明の実施例1に係る携帯端末装置によれば、筐体の背面にタッチパッドセンサを設け、タッチパッドセンサ検出データが、4つの所定の保持状態の内で最も類似している保持パターンを判定して出力し、その保持パターンに基づいて表示部の表示画面に表示する向きを制御するようにしたから、携帯端末装置を使用する環境やユーザが保持する体勢に依らずに、安定してユーザの保持する方向を判定することができる。例えば、特許文献1に示す方法のように、携帯端末装置が備えたデジタルカメラを使用して顔の方向を認識する場合に問題となっている暗い環境下での検出精度の低下や、カメラ視野に顔が入らないような保持状態においても、本発明の実施例1に係る携帯端末装置は安定した保持状態の判定が可能である。従って、どのような状況においてもユーザの保持状態に対応して表示画面の向きを回転することができるという効果が得られる。
【0043】
尚、実施例1では、互いに直交又は平行する保持方向である4つの保持パターン(保持パターンA〜D)の場合について例示したが、それに限定されない。携帯端末装置によっては、互いに直交する2つの保持パターンのみに保持状態が限定されるものもあり、その場合は、保持状態および保持パターンを2つとしてもよい。
【0044】
また、複数の保持方向は互いに直行又は平行の場合に限定されず、互いに任意の角度である場合に対しても本発明は、適用可能である。
【0045】
また、携帯端末1は、図1に示すように操作部と表示部が1つの筐体で構成されている場合について例示したが、複数の筐体に分離されている携帯端末(例えば、折り畳み型)に対しても、ユーザが接触する背面にタッチパッドセンサを設ける構成にすることにより適応可能である。
【0046】
また、保持パターン判定手段202の結果を表示画面の向きの制御以外に、他の機能の動作の契機とすることも可能である。例えば、保持パターン毎に起動するアプリケーションを予め登録しておき、保持パターン判定手段202の判定に応じて登録したアプリケーションを起動するようにしてもよい。具体例として、保持パターンB又はD(ユーザから見て横長になる保持方向)が判定された場合に、ワンセグの受信と画像表示を行うように登録しておくと、ユーザが保持状態をB又はDにすることにより、ワンセグ番組の視聴が可能になる。ここで、表示画像の向きもユーザの保持状態に対応して表示することができる。
【0047】
尚、図3における保持パターン登録手段201、保持パターン判定手段202、及び表示切替手段203のプログラムは、磁気ディスク、半導体メモリその他の記憶媒体に格納するようにしてもよい。その場合、各プログラムは、上記記憶媒体から記憶部102のプログラム領域に読み込まれ、制御部101のCPU(不図示)によって処理される。
【実施例2】
【0048】
次に、本発明の実施例2に係る携帯端末装置5について説明する。図12(A)は、携帯端末装置5の表示画面2の側から見たときの斜視図であり、図12(B)は表示画面2の反対面である筐体の背面3から見たときの斜視図である。実施例2の携帯端末装置5の実施例1の携帯端末装置1との差異は、携帯端末装置5は、図12(B)に示すように筺体の側面(4a〜4d)にもそれぞれタッチパッドセンサ(106a〜106d)を設けている点である。
【0049】
図13は、筺体の側面(4a〜4d)に設けられたタッチパッドセンサ(106a〜106d)の各セルの配置を示している。すなわち、実施例2では、図4の筺体の背面3のタッチパッドセンサ105のセルに加えて、図13の筺体の側面(4a〜4d)のタッチパッドセンサ(106a〜106d)のセルが追加される。そして、これらの全てのセルが検出したタッチパッドセンサ検出データに基づいて、実施例1と同様の処理が実施される。
【0050】
ユーザが携帯端末5を保持する際に、筺体の側面(4a〜4d)にも接触して保持することが多いため、筺体の背面3だけでなく、筺体の側面(4a〜4d)にもタッチパッドセンサを設けることによって保持パターン判定手段202の判定精度は向上する。
【0051】
また、筺体の側面のタッチパッドセンサ(4a〜4d)は、各辺毎に分離したものであってもよいし、外周全体で一体化しているものであってもよい。或いは、全てのタッチパッドセンサのセルが、筺体の背面から側面に向けて延伸して配置され、全体が一体化した構造になっていてもよい。
【0052】
以上説明したように、実施例2に係る携帯端末装置によれば、筺体の側面にもタッチパッドセンサを設けたことにより、実施例1に対して保持パターン判定手段202の判定精度が向上する効果が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0053】
本発明は、携帯電話、携帯ゲーム機、携帯テレビ、電子辞書などの表示機能を有するあらゆる携帯端末装置に適用可能である。
【0054】
なお、本発明の全開示(請求の範囲を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態ないし実施例の変更・調整が可能である。また、本発明の請求の範囲の枠内において種々の開示要素の多様な組み合わせないし選択が可能である。すなわち、本発明は、請求の範囲を含む全開示、技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。
【符号の説明】
【0055】
1、5:携帯端末装置
2:表示画面
3:筐体の背面
4a〜4d:筐体の側面
6:LCD原点(表示画面の原点)
101:制御部
102:記憶部
103:操作部
104:表示部
105、106a〜106d:タッチパッドセンサ
107:プログラム領域
108:データ領域
201:保持パターン登録手段
202:保持パターン判定手段
203:表示切替手段
401:表示パターンA
402:表示パターンB
403:表示パターンC
404:表示パターンD
601:登録パターンA(所定の保持パターンA)
602:登録パターンB(所定の保持パターンB)
603:登録パターンC(所定の保持パターンC)
604:登録パターンD(所定の保持パターンD)
801:タッチパッドセンサ検出データ
902:一致判定データA
903:一致判定データB
904:一致判定データC
905:一致判定データD
S1:表示切替制御信号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体の背面に設けられ、ユーザが保持した際の接触位置を検出するタッチパッドセンサと、
前記タッチパッドセンサが検出したタッチパッドセンサ検出データが、複数の所定の保持パターンの内で最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定手段とを備え、
前記保持パターン判定手段が出力した保持パターンに基づいて、表示部の表示画面に表示する情報の向きを制御することを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
複数の所定の保持状態で保持したときの前記タッチパッドセンサの出力を取得し、前記複数の所定の保持パターンとして予め登録する保持パターン登録手段をさらに備えたことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記保持パターン判定手段において、前記タッチパッドセンサ検出データと前記複数の所定の保持パターンとの間で一致している要素の数をそれぞれ算出し、前記要素の数が最大となる所定の保持パターンが最も類似していると判定することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記タッチパッドセンサが、さらに前記筐体の側面に設けられ、
前記保持パターン判定手段は、前記筐体の背面および側面のタッチパッドセンサが検出したタッチパッドセンサ検出データに基づいて、前記複数の所定の保持パターンの内で最も類似した保持パターンを出力することを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記複数の所定の保持パターンは、互いに直交する保持方向である少なくとも2つの保持パターンを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記複数の所定の保持パターンは、互いに直交又は平行する保持方向である少なくとも4つの保持パターンを含むことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
携帯端末装置の表示画面に表示する情報の向きを制御する表示方法において、
前記携帯端末装置に設けられたタッチパッドセンサにより、ユーザが前記携帯端末装置を保持した際のタッチパッドセンサ検出データを取得するステップと、
前記タッチパッドセンサ検出データが、複数の所定の保持パターンの内で最も類似している保持パターンを判定して出力する保持パターン判定ステップと、
前記保持パターン判定ステップで出力された保持パターンに基づいて、前記携帯端末装置の表示画面に表示する情報の向きを切り替えるステップと、
を含む携帯端末装置の表示方法。
【請求項8】
複数の所定の保持状態で保持したときの前記タッチパッドセンサの出力を取得し、前記複数の所定の保持パターンとして予め登録する保持パターン登録ステップをさらに含むことを特徴とする請求項7に記載の携帯端末装置の表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−65085(P2013−65085A)
【公開日】平成25年4月11日(2013.4.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202109(P2011−202109)
【出願日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】