説明

携帯端末装置

【課題】電源端子の位置が異なる携帯機器間で、電池パックを共用することができる携帯端末装置を提供する。
【解決手段】電池パック2の一の面に、爪部3を設ける。また、当該一の面に、直方体形状の電池パック2における最も広い2つの面のうち、一方の面が第1の携帯機器に向かい合うように装着された場合と、他方の面が第1の携帯機器に向かい合うように装着された場合とで、第1の携帯機器に対する位置が異なるように電力供給端子4を設ける。第1の携帯機器の電池挿入部の壁に、電源端子を設ける。また、当該壁に、直方体形状の電池パック2における最も広い2つの面のうち、一方の面が第1の携帯機器に向かい合うように装着された場合に、電池パック2の爪部3に対向する位置に、溝部を設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、他の携帯端末装置と電池パックを共用することができる携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機等の携帯端末装置は電池パックを内蔵している。一般に、電池パックの形状は、扁平な直方体である。そして、直方体における最も広い2つの平面のうちの一面が、携帯端末装置において凹状に形成されている電池挿入部の底面に接するように、電池パックが電池挿入部に装着される。
【0003】
電池パックには、携帯端末装置に電力を供給する電力供給端子が設けられている。また、携帯端末装置の電池挿入部には、電池パックから電力を供給されるための電源端子が設けられている。そして、携帯端末装置の電源端子と電池パックの電力供給端子とは、携帯端末装置が電池パックを装着した状態で互いに接触する位置にそれぞれ設けられている。
【0004】
特許文献1には、電池パックが正規の挿入方法に対して表裏逆に電池挿入部に挿入された場合に、当該電池パックが充電端子に接触することを防止する充電装置が記載されている。
【0005】
特許文献2には、電池パックが、正規の挿入方法に対して表裏逆に電池挿入部に挿入されて装着されることを防止する携帯電話機が記載されている。
【0006】
なお、表裏逆に挿入されるとは、電池パックが、直方体における最も広い2つの平面のうちの一方の面(表面)が正規の挿入方法で挿入された場合に接するべき電池挿入部における面に、他方の面(裏面)が接するように挿入されることをいう。
【0007】
【特許文献1】特開平9−98541号公報(段落0008〜0010、図1)
【特許文献2】特開2005−11555号公報(段落0013〜0019、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
携帯端末装置の電源端子の位置は、携帯端末装置の形状や、基板等の部品実装上の制限にもとづいて決定される。そして、携帯端末装置に装着される電池パックは、形状や、大きさ、装着された状態で電力供給端子が接触する携帯端末装置の電源端子の位置等が、携帯端末装置に対応していなければならない。
【0009】
つまり、ある携帯端末装置に装着されている電池パックを他の携帯端末装置に装着させるためには、それら携帯端末装置において、電池パックを装着した状態で電力供給端子に接触する電源端子の位置が同一でなければならない。また、電力供給端子の位置が同一の電池パックを電源端子の位置が異なる携帯端末装置に装着して使用することはできない。
【0010】
従って、同一の電池パックを電源端子の位置が異なる携帯端末装置に使用することはできないという問題がある。
【0011】
そして、電源端子の位置が異なる携帯端末装置には、各携帯端末装置の電源端子の位置に対応する位置に電力供給端子が設けられた電池パックをそれぞれ新規に設計して生産する必要がある。しかし、電池パックの新規設計および生産には、費用や、人手、工数、時間等がかかるという問題がある。
【0012】
そこで、本発明は、電源端子の位置が異なる携帯端末装置との間で電池パックを共用することができる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による携帯端末装置は、直方体形状の一の面に電力供給端子が設けられ、一の面に突出部が設けられ、直方体形状における最も広い2つの面のうち、一方の面が本体部に向かい合うように装着された場合と、他方の面が本体部に向かい合うように装着された場合とで、本体部に対する位置が異なるように電力供給端子が設けられた電池パックと、電池パックが装着される凹状の電池挿入部の壁に、電池パックからの電力を受ける電源端子が設けられた本体部とを備え、電源端子は、直方体形状の電池パックにおける最も広い2つの面のうち、一方の面が本体部に向かい合うように装着された場合に、電力供給端子に接触する位置に設けられ、本体部には、直方体形状の電池パックにおける最も広い2つの面のうち、一方の面が本体部に向かい合うように装着された場合に、電池パックの突出部に対向する位置に、溝部が設けられていることを特徴とする。
【0014】
電池パックにおける突出部の内部に、切欠部が形成され、本体部において、直方体形状の電池パックにおける最も広い2つの面のうち、一方の面が電池挿入部に向かい合うように装着された場合に電池パックの突出部における切欠部に対向する位置に、リブが設けられていてもよい。
【0015】
電池パックにおける一の面に複数の突出部が設けられ、複数の突出部は、一の面の中心点に対して、非対称な位置に設けられていてもよい。
【0016】
本体部における電池挿入部の長手方向の壁に、電源端子が設けられていてもよい。
【0017】
本体部における電池挿入部の長手方向の壁に直交する壁に、電源端子が設けられていてもよい。
【0018】
電池パックにおいて、直方体形状における最も広い2つの面の電力供給端子の近傍に、電力供給端子の位置を示す表示が設けられ、本体部における電池挿入部を構成する筐体の電源端子の近傍に、電源端子の位置を示す表示が設けられていてもよい。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、設けられている電源端子の位置が異なる携帯端末装置間で、電池パックを共用することができる。
【0020】
また、電池パックにおいて突出部の内部に切欠部が形成され、本体部において、直方体形状の電池パックにおける最も広い2つの面のうち、一方の面が電池挿入部に向かい合うように装着された場合に電池パックの突出部における切欠部に対向する位置に、リブが設けられている場合には、電池パックが誤った向きで装着されることを防ぐことができる。
【0021】
また、電池パックにおいて、複数の突出部が、一の面の中心点に対して非対称な位置に設けられている場合には、電池パックが誤った向きで装着されることを防ぐことができる。
【0022】
なお、本体部において、電池挿入部における長手方向の壁に、電源端子が設けられていてもよいし、電池挿入部における長手方向の壁に直交する壁に、電源端子が設けられていてもよいので、異なる壁に電源端子が設けられている携帯端末装置間で、電池パックを共用することができる。
【0023】
電池パックにおいて、直方体形状における最も広い2つの面の電力供給端子の近傍に、電力供給端子の位置を示す表示が設けられ、本体部において、電池挿入部を構成する筐体の電源端子の近傍に、電源端子の位置を示す表示が設けられている場合には、ユーザ等に、電源端子が設けられている位置を示し、電池パックを装着する向きを示すことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
本発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。図1は、本発明による携帯端末装置の一例である携帯電話機の実施の形態における電池パック2を示す説明図である。
【0025】
図1(a)は、電池パック2における最も広い2つの平面のうちの一面(A面)を示す正面図である。図1(b)は、電池パック2におけるA面に垂直な面であって、携帯端末装置に電力を供給する電力供給端子4が設けられている面(第1の側面)を示す側面図である。図1(c)は、電池パック2におけるA面および第1の側面に垂直な面(第2の側面)を示す側面図である。図1(d)は、電池パック2における最も広い2つの平面のうちの一面であって、A面の裏面(B面)を示す背面図である。
【0026】
図1(a)に示すように、電池パック2におけるA面には、A面であることを示す表示欄9が設けられている。図1(d)に示すように、電池パック2におけるB面には、B面であることを示す表示欄10が設けられている。
【0027】
図1(b)に示すように、第1の側面において、他の側面に接する左右の端部に近い位置に、凸状部分である爪部(突出部)3がそれぞれ設けられている。そして、左右の爪部3の間であって、いずれかの爪部3に近い位置に電力供給端子4が設けられている。図1(b)に示す例では、右側の爪部3に近い位置に電力供給端子4が設けられている。よって、A面を上側にした場合には、電力供給端子4は第1の面の右側に位置し、B面を上側にした場合には、電力供給端子4は第1の面の左側に位置する。つまり、電力供給端子4は、A面を上側にした場合と、B面を上側にした場合とで、位置が異なる。なお、電力供給端子4は、例えば、+端子と−端子と電池パック2の温度を検出する温度検出端子とを含む。
【0028】
図2は、電池パック2を示す斜視図である。図2(a)には、第1の側面において、他の側面に接する左右の端部に近い位置に、凸状部分である爪部3がそれぞれ設けられていることが示されている。図2(b)は、第1の側面に設けられた爪部3の形状を示す斜視図である。
【0029】
電池パック2に設けられている爪部3の内部には溝(切欠部)31が形成されている。溝31は、爪部3の内部を切り欠いたように形成されている。図2に示すように、爪部3の側面Cの形状は、中央部が広く、上部および下部に向かって窄まっていくような形状である。
【0030】
図3は、本発明による携帯端末装置の第1の実施の形態の外観を示す外観図である。なお、携帯端末装置6が携帯電話機であるとして説明する。また、携帯端末装置6において、電池パック2を除く部分が本体部である。図3(a)に示すように、携帯端末装置6には、電池パック2を収納するための凹状の電池挿入部14が設けられている。凹状の電池挿入部14の壁(携帯端末装置6の長手方向に直交する面に形成されている壁)の部分において、電池パック2が電池挿入部14に収納されたときに爪部3と対向する位置に、溝部7がそれぞれ設けられている。電池パック2が電池挿入部14に収納されたときには、爪部3は溝部7に嵌り込む構造である。
【0031】
また、凹状の電池挿入部14の壁の部分において、電池パック2が電池挿入部14に収納されたときに電力供給端子4と対向する位置に、電池パック2から電力を供給されるための電源端子5が設けられている。電力供給端子4は、電池パック2が電池挿入部14に収納されたときには、電源端子5に接するように形成されている。
【0032】
なお、溝部7の側面の形状は、爪部3の側面Cの形状とほぼ相似し、溝部7の側面の面積は側面Cの面積よりもやや大きい。
【0033】
図3(b)は、溝部7の形状を示す正面図である。図3(b)に示すように、溝部7の中央下部にはリブ12が設けられている。図3(b)では、リブ12は、斜線で示されている。リブ12は、電池パック2が電池挿入部14に収納されたときに、爪部3の内部に形成されている溝31に嵌り込むように形成されている。なお、リブ12は、爪部3が溝部7に嵌り込み易いように、下部から立ち上がり、中程に斜面(傾斜部)13が設けられ、斜面(傾斜部)13の上部が平坦になっているような形状であってもよい。
【0034】
図4は、電池パック2が携帯端末装置6に装着される様子を示す説明図である。ユーザ等は、電池パック2を携帯端末装置6に装着する場合に、電池パック2のA面を上側にし、電池パック2における爪部3の位置と携帯端末装置6における溝部7の位置とを合わせるようにして、携帯端末装置6の電池挿入部14に対して斜めに電池パック2を挿入し、爪部3を溝部7に係り止めする。さらに、電池パック2が後面から押されると、電池パック2の爪部3を有する面と電池挿入部14の壁とが突き当たり、突き当たっている点を支点として、電池パック2は、電池パック2における最も広い平面と、電池挿入部14における底面とのなす角度が小さくなるように回転運動を行う。
【0035】
なお、リブ12の中程に斜面13が形成されている場合には、リブ12の斜面13がガイドの役割を果たし、爪部3におけるリブ12と接する部分(溝31)が斜面13に沿って滑らかに上っていき、結局、電池パック2の爪部3が滑らかに携帯端末装置6における溝部7に嵌り込む。また、爪部3における溝31の上部は、リブ12の斜面13によって誘導される係合部の役割を果たす。
【0036】
図5は、電池パック2が携帯端末装置6に装着された状態を示す説明図である。図5(a)に示すように、電池パック2は携帯端末装置6に装着される。図5(b)には、溝31を切るように切断された断面(図5(a)に示す例では、切断線S1で切断された断面)が示されている。図5(c)は、溝31を切るように切断された断面であって、爪部3の近傍(図5(b)において、円で囲んで示す部分)を示す断面図である。
【0037】
図5(c)に示すように、爪部3は溝部7に嵌り込み、爪部3における溝31にリブ12が嵌り込んでいる。
【0038】
また、ユーザ等が、表裏逆に電池パック2を携帯端末装置6に装着しようとすると(すなわち、A面を下側にして(B面を上側にして)電池パック2を携帯端末装置6に装着しようとすると)、爪部3における切り欠かれていない部分がリブ12に当たる。爪部3の幅(電池パック2を形成する直方体から突出した部分の高さ)は、表裏逆に電池パック2を携帯端末装置6の電池挿入部14に挿入しようとしたときに、電池パック2が電池挿入部14の壁(溝部7が設けられている壁とは反対側の壁)から電池挿入部14に落ち込むことを阻止できるような長さである。すなわち、電池パック2の爪部3の高さは、表裏逆に電池パック2を電池挿入部14に挿入する場合に、爪部3における係合部が電池挿入部14におけるリブ12に当接したときに電池パック2が電池挿入部14に嵌り込まないような高さに設定されている。
【0039】
よって、爪部3がリブ12に当たることによって、電池パック2の長手方向の長さが電池挿入部14の長手方向の長さよりも相対的に長くなるので、電池パック2と電池挿入部14とが干渉し、電池パック2は、電池挿入部14に嵌り込まず、浮いた状態になる。なお、相対的に長くなるというのは、電池パック2の直方体部分の長手方向の長さと爪部3の幅との和を、電池挿入部14の長手方向の長さと比較した場合のことである。
【0040】
従って、正規の向きで電池パック2を携帯端末装置6に装着する場合には、電池パック2は、円滑に電池挿入部14に装着される。また、表裏逆にして電池パック2を携帯端末装置6に装着しようとしても、爪部3がリブ12に当たって、電池パック2は電池挿入部14に嵌り込まない。
【0041】
図6は、本発明による携帯端末装置の第2の実施の形態の外観を示す外観図である。なお、携帯端末装置16が携帯電話機であるとして説明する。図6(a)に示すように、携帯端末装置16には、電池パック2を収納するための凹状の電池挿入部14が設けられている。凹状の電池挿入部14の壁(携帯端末装置16の長手方向の面に形成されている壁)の部分において、電池パック2が電池挿入部14に収納されたときに爪部3と対向する位置に、溝部17がそれぞれ設けられている。電池パック2が電池挿入部14に収納されたときには、爪部3は溝部17に嵌り込む構造である。
【0042】
また、凹状の電池挿入部14の壁の部分において、電池パック2が電池挿入部14に収納されたときに電力供給端子4と対向する位置に、電池パック2から電力を供給されるための電源端子15が設けられている。電力供給端子4は、電池パック2が電池挿入部14に収納されたときには、電源端子15に接するように形成されている。
【0043】
図3に示すように、携帯端末装置6において、溝部7および電源端子5は電池挿入部14における携帯端末装置6の長手方向に直交する面に形成されている壁に設けられている。それに対して、携帯端末装置16は、図6に示すように、溝部17および電源端子15は電池挿入部14における携帯端末装置16の長手方向の面に形成されている壁に設けられている。
【0044】
図6(b)は、溝部17の形状を示す正面図である。図6(b)に示すように、溝部17の中央上部にはリブ22が設けられている。図6(b)では、リブ22は斜線で示されている。リブ22は、電池パック2が電池挿入部14に収納されたときに、爪部3の内部に形成されている溝31に嵌り込むように形成されている。なお、リブ22は、爪部3が溝部17に嵌り込み易いように、上部から立ち下がり、中程に斜面(傾斜部)が設けられ、斜面(傾斜部)の下部が平坦になっているような形状であってもよい。なお、溝部17の側面の形状は、爪部3の側面Cの形状とほぼ相似し、溝部17の側面の面積は側面Cの面積よりもやや大きい。
【0045】
図7は、電池パック2が携帯端末装置16に装着される様子を示す説明図である。ここで、図3および図6に示すように、携帯端末装置6における溝部7および電源端子5が設けられている面と、携帯端末装置16における溝部17および電源端子15が設けられている面とは異なる。また、携帯端末装置6の電源端子5が設けられている面において電源端子5は左側の溝部7に近い位置に設けられているのに対して、携帯端末装置16の電源端子15が設けられている面において電源端子15は右側の溝部17に近い位置に設けられている。また、携帯端末装置6のリブ12は、溝部7の中央下部に設けられているのに対して、携帯端末装置16のリブ22は、溝部17の中央上部に設けられている。
【0046】
そのため、ユーザ等は、電池パック2を携帯端末装置16に装着する場合に、電池パック2を携帯端末装置6に装着する場合に対して、電池パック2を表裏逆にし(B面を上側にし)、さらに携帯端末装置16の電池挿入部14における底面に平行な平面上で時計回りと反対の方向に90度回転させる。
【0047】
そして、ユーザ等は、電池パック2における爪部3の位置と携帯端末装置16における溝部17の位置とを合わせるようにして、携帯端末装置16の電池挿入部14に対して斜めに電池パック2を挿入し、爪部3を溝部17に係り止めする。
【0048】
さらに、電池パック2が後面から押されると、電池パック2の爪部3を有する面と電池挿入部14の壁とが突き当たり、突き当たっている点を支点として、電池パック2は、電池パック2における最も広い2つの平面と、電池挿入部14における底面とのなす角度が小さくなるように回転運動を行う。
【0049】
なお、リブ22の中程に斜面が形成されている場合には、リブ22の斜面がガイドの役割を果たし、爪部3におけるリブ22と接する部分が斜面に沿って滑らかに下がっていき、結局、電池パック2の爪部3が滑らかに携帯端末装置16における溝部17に嵌り込む。また、爪部3における溝31の下部は、リブ22の斜面によって誘導される係合部の役割を果たす。
【0050】
図8は、電池パック2が携帯端末装置16に装着された状態を示す説明図である。図8(a)に示すように、電池パック2は携帯端末装置16に装着される。図8(b)には、溝31を切るように切断された断面(図8(a)に示す例では、切断線S2で切断された断面)が示されている。なお、図8(b)に示す例において、左側が電池パック2のA面側であり、右側がB面側である。図8(c)は、溝31を切るように切断された断面であって、爪部3の近傍(図8(b)において、円で囲んで示す部分)を示す断面図である。なお、図8(c)に示す例において、左側が電池パック2のA面側であり、右側がB面側である。
【0051】
図8(c)に示すように、爪部3は溝部17に嵌り込み、爪部3における溝31にリブ22が嵌り込んでいる。
【0052】
また、ユーザ等が、表裏逆に電池パック2を携帯端末装置16に装着しようとすると(すなわち、B面を下側にして(A面を上側にして)電池パック2を携帯端末装置16に装着しようとすると)、爪部3における切り欠かれていない部分がリブ22に当たる。爪部3の幅(電池パック2を形成する直方体から突出した部分の高さ)は、表裏逆に電池パック2を携帯端末装置16の電池挿入部14に挿入しようとしたときに、電池パック2が電池挿入部14の壁(溝部17が設けられている壁とは反対側の壁)から電池挿入部14に落ち込むことを阻止できるような長さである。すなわち、電池パック2の爪部3の高さは、表裏逆に電池パック2を電池挿入部14に挿入する場合に、爪部3における係合部が電池挿入部14におけるリブ22に当接したときに電池パック2が電池挿入部14に嵌り込まないような高さに設定されている。
【0053】
よって、爪部3がリブ22に当たることによって、電池パック2の長手方向の長さが電池挿入部14の長手方向の長さよりも相対的に長くなるので、電池パック2と電池挿入部14とが干渉し、電池パック2は、電池挿入部14に嵌り込まず、浮いた状態になる。なお、相対的に長くなるというのは、電池パック2の直方体部分の長手方向の長さと爪部3の幅との和を、電池挿入部14の長手方向の長さと比較した場合のことである。
【0054】
従って、正規の向きで電池パック2を携帯端末装置16に装着する場合には、電池パック2は、円滑に電池挿入部14に装着される。また、表裏逆にして電池パック2を携帯端末装置16に装着しようとしても、爪部3がリブ22に当たって、電池パック2は電池挿入部14に嵌り込まない。
【0055】
この実施の形態では、電池パック2を、それぞれ電源端子の位置が異なる携帯端末装置6と携帯端末装置16とに装着することができる。つまり、電池パック2をそれぞれ電源端子の位置が異なる携帯端末装置に共用して使用することができる。
【0056】
具体的には、例えば、電源端子が長手方向に向かって左側に設けられている携帯端末装置には、A面を上側にして電池パック2を装着し、電源端子が長手方向に向かって右側に設けられている携帯端末装置には、B面を上側にして電池パック2を装着することができる。つまり、電池パック2を、電源端子が長手方向に向かって左側に設けられている携帯端末装置と、電源端子が長手方向に向かって右側に設けられている携帯端末装置とで共用することができる。
【0057】
従って、例えば、電源端子が長手方向に向かって左側に設けられている携帯端末装置に装着するための既存の電池パックを、電源端子が長手方向に向かって右側に設けられている携帯端末装置に流用することができるので、電源端子が長手方向に向かって右側に設けられている携帯端末装置に装着するための電池パックを新規に設計して生産する必要がなくなる。そのため、電池パックの新規設計に必要とされる費用や、人手、工数、時間等を削減することができる。
【0058】
なお、図9(a)および図9(b)に丸印で示すように、電池パック2のA面およびB面における電力供給端子4の位置に対応する位置に、電力供給端子4が設けられている位置を示す表示を設け、各携帯端末装置における電源端子の位置に対応する位置に、電源端子が設けられている位置を示す表示を設けてもよい。そのように表示されている場合には、ユーザ等に、電源端子が設けられている位置を示し、電池パック2を装着する向きを示すことができる。
【0059】
また、電池パック2に設けられている爪部に、切り欠き(溝31)が形成されていなくてもよい。図10は、切り欠きが形成されていない爪部23が設けられた電池パックを示す説明図である。図10に示す例では、爪部23は、電池パック2の電力供給端子4が設けられている面(第1の側面)における他の側面に接する左右の端部に近い位置にそれぞれ設けられている。そして、右側の爪部23は、第1の側面におけるA面に接する端部に近い位置に設けられ、左側の爪部23は、第1の側面におけるA面に接する端部とB面に接する端部との中央付近に設けられている。
【0060】
そして、携帯端末装置には、設けられている電源端子の位置にもとづいて、電池パックをA面を上側にして装着するのか、またはB面を上側にして装着するのかに応じて定められる位置であって、電池パックを装着する場合に各爪部23に対向する位置に、爪部23を収容する溝が設けられている。
【0061】
なお、右側の爪部23と左側の爪部23とが設けられる位置は、図10に示す位置に限定されるものではなく、第1の側面の中心点に対して互いに非対称になる位置であればよい。
【0062】
電池パックにそのような爪部23が設けられ、携帯端末装置において爪部23に対応する位置に溝が設けられるように構成された場合には、電池パックを、それぞれ電源端子の位置が異なる携帯端末装置に装着することができる。従って、電池パックをそれぞれ電源端子の位置が異なる携帯端末装置に共用して使用することができる。
【0063】
また、右側の爪部23と左側の爪部23とが、第1の側面の中心点に対して互いに非対称になる位置に設けられているので、電池パックを表裏逆にして携帯端末装置に装着しようとしても、爪部23が携帯端末装置に設けられた電池挿入部14の壁に当たるので、電池パックが携帯端末装置に嵌り込むことを防ぐことができる。
【0064】
なお、図10に示すように、電池パックに、水で濡れたことを検出する水濡れ検出シール20が貼付されていてもよい。また、図10に示すように、爪部23の内部に穴が形成されていてもよい。
【0065】
なお、携帯端末装置6および携帯端末装置16として携帯電話機を例示したが、携帯端末装置は、PHS(Personal Handy−phone System)端末や、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯型オーディオ機器等の電池パックを用いる他の携帯端末装置であってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明を、PHS端末や、PDA、携帯型オーディオ機器等の電池パックを用いる携帯端末装置に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】本発明による携帯端末装置における電池パックを示す説明図である。
【図2】電池パックを示す斜視図である。
【図3】本発明による携帯端末装置の第1の実施の形態の外観を示す外観図である。
【図4】電池パックが第1の実施の形態の携帯端末装置に装着される様子を示す説明図である。
【図5】電池パックが第1の実施の形態の携帯端末装置に装着された状態を示す説明図である。
【図6】本発明による携帯端末装置の第2の実施の形態の外観を示す外観図である。
【図7】電池パックが第2の実施の形態の携帯端末装置に装着される様子を示す説明図である。
【図8】電池パックが第2の実施の形態の携帯端末装置に装着された状態を示す説明図である。
【図9】電池パックおよび携帯端末装置にそれぞれ端子の位置の表示を設けた場合を示す説明図である。
【図10】切り欠きが形成されていない爪部が設けられた電池パックを示す説明図である。
【符号の説明】
【0068】
2 電池パック
3、13 爪部
4 電力供給端子
5、15 電源端子
7、17 溝部
6、16 携帯端末装置
9、10 表示欄
12、22 リブ
13 斜面
14 電池挿入部
20 水濡れ検出シール
31 溝

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直方体形状の一の面に電力供給端子が設けられ、前記一の面に突出部が設けられ、直方体形状における最も広い2つの面のうち、一方の面が本体部に向かい合うように装着された場合と、他方の面が前記本体部に向かい合うように装着された場合とで、前記本体部に対する位置が異なるように前記電力供給端子が設けられた電池パックと、
前記電池パックが装着される凹状の電池挿入部の壁に、前記電池パックからの電力を受ける電源端子が設けられた本体部とを備え、
前記電源端子は、直方体形状の前記電池パックにおける最も広い2つの面のうち、一方の面が前記本体部に向かい合うように装着された場合に、前記電力供給端子に接触する位置に設けられ、
前記本体部には、直方体形状の前記電池パックにおける最も広い2つの面のうち、前記一方の面が前記本体部に向かい合うように装着された場合に、前記電池パックの前記突出部に対向する位置に、溝部が設けられている
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
電池パックにおける突出部の内部に、切欠部が形成され、
本体部において、直方体形状の前記電池パックにおける最も広い2つの面のうち、一方の面が電池挿入部に向かい合うように装着された場合に前記電池パックの前記突出部における前記切欠部に対向する位置に、リブが設けられている
請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項3】
電池パックにおける一の面に複数の突出部が設けられ、
前記複数の突出部は、前記一の面の中心点に対して、非対称な位置に設けられている
請求項1記載の携帯端末装置。
【請求項4】
本体部における電池挿入部の長手方向の壁に、電源端子が設けられている
請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の携帯端末装置。
【請求項5】
本体部における電池挿入部の長手方向の壁に直交する壁に、電源端子が設けられている
請求項1から請求項3のうちいずれか1項記載の携帯端末装置。
【請求項6】
電池パックにおいて、直方体形状における最も広い2つの面の電力供給端子の近傍に、前記電力供給端子の位置を示す表示が設けられ、
本体部における電池挿入部を構成する筐体の電源端子の近傍に、前記電源端子の位置を示す表示が設けられている
請求項1から請求項5のうちいずれか1項記載の携帯端末装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−108607(P2008−108607A)
【公開日】平成20年5月8日(2008.5.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−291097(P2006−291097)
【出願日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】