携帯端末装置
【課題】他チャネルとの干渉がいかなるタイミングで発生しても通信断を回避できる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【解決手段】携帯端末装置20は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局10内のSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて基地局10の送信電力を調整するクローズドループ手段21と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、クローズドループ手段21に対して基地局10の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段22と、を備える。
【解決手段】携帯端末装置20は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局10内のSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて基地局10の送信電力を調整するクローズドループ手段21と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、クローズドループ手段21に対して基地局10の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段22と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、個別物理チャネル(DPCH:Dedicated Physical Channel)の送信電力制御を行う携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局と携帯端末装置間で必要な通信品質を確保できる最小限の電力が過不足なく届くようにDPCH送信電力の制御が行われる。この送信電力制御は、受信信号の信号電力対干渉電力比(SIR:Signal to Interference power Ratio)を測定し、SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、SIRがSIR目標値に近づくように送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)ビットを用いて送信側に所定ステップだけ電力を増加するあるいは低減することを要求する。このような送信電力制御はインナーループまたはクローズドループと呼ばれている。
【0003】
図2は、DPCHの送信電力制御を説明する図である。図3は、アップリンクDPCHのデータフォーマットを説明する図である。図4は、TPCのビットパターンを説明する図である。図2、3、4を用いて第3世代移動体通信システムの標準化プロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)端末のクローズドループ電力制御(Closed Loop POWER制御)に関して説明する。
【0004】
図2のように3GPPでは、基地局(BTS:Base Transceiver Station)は、TPCを用いて携帯端末装置(UE:User Equipment)毎のDPCHの送信電力制御を行っている。TPCビットはアップリンク(UL:Up Link)及びダウンリンク(DL:Down Link)の個別制御チャネル(DCCH:Dedicated Control Channel)に定義されており、BTS及びUE各々で送受信する。図2は、ダウンリンクDPCHの品質(SIR)を観測し、アップリンクTPCビットにてBTSのダウンリンクDPCHの送信電力を制御する図である。Aはダウンリンク、Bはアップリンクである。UEは、ダウンリンクDPCHのSIRを測定する。例えば、UEはBTSから通知されたSIR目標値と測定したSIRを比較して、ダウンリンクDPCHの送信電力の増加又は低減を判断する。そしてUEは、送信電力の増加又は低減を指示するTPCビットをアップリンクを用いてBTSへ送信する。BTSはTPCビットを受信し、それに従ってダウンリンクDPCHの送信電力を変更する。
【0005】
図2はUEがBTSからのダウンリンクDPCH送信電力を制御する例を説明しているが、BTSがUEからのアップリンクDPCH送信電力を制御する場合も同様である。すなわち、BTSはアップリンクDPCHのSIRを測定する。BTSはSIR目標値と測定したSIRを比較して、アップリンクDPCHの送信電力の増加又は低減を判断する。そしてBTSは、送信電力の増加又は低減を指示するTPCビットをダウンリンクを用いてUEへ送信する。UEはTPCビットを受信し、それに従ってアップリンクDPCHの送信電力を変更する。
【0006】
図3のように、DPCHは10mSの無線フレームを15Slotに分割した各々であり、個別物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)と個別物理データチャネル(DPDCH:Dedicated Physical Data Channel)からなり、DPDCHはリンクレイヤ(Link Layer)以上のデータを伝達するチャネルである。
【0007】
DPCCHはDPCHの制御情報を伝達するためのチャネルであり、データユニットの組み合わせを通知する伝送フォーマット情報(TFCI:Transport Format Combination Indicator)ビット、タイミングの同期を取るための情報であるパイロット信号(Pilot Bit)、フィードバック情報(FBI:Feedback Information)、TPCビットを含む。
【0008】
例えば、TPCビットは、図4のように、送信電力の増加を要求する11送信(=1dBUp要求)、送信電力の低減を要求する00送信(=1dBDown要求)と定義されている。
【0009】
このように3GPPの携帯端末装置におけるクローズドループ電力制御は、DPCCHを用いてBTS及びUE双方の所望する送信電力になるように各々が相手のDPCH送信電力を制御している。
【0010】
続いて、送信電力制御の基準となるSIRに関して説明する。SIRは次式のように定義されている。
(数式1)
SIR=(RSCP/ISCP)*SF
ここで、RSCP(Received Signal Code Power)は逆拡散にて取り出せるDPCHの電力であり、ISCP(Interference Signal Code Power)は、DPCHに対する干渉電力である。また、SF(Spreading Factor)は、DPCCHで使用される拡散チップ数である。
【0011】
SIRの計算は、期待するデータパターンがあらかじめ分かっているDPCHのパイロット部分で行われる。つまり、SIRの変動要素はDPCHの受信電力量(RSCP)と、そのDPCHの干渉成分量(ISCP)であり、この比を元に、クローズドループを用いて所望する通信品質へ収束させる。具体的には、クローズドループは、SIRが目標値に対して悪ければ(低ければ)、TPCビットにてDPCH送信電力の増加を要求しRSCPを高くなるように制御し、SIRが目標値に対して良ければ(高ければ)、TPCビットにてDPCH送信電力の低減を要求しRSCPを低くなるように制御して。SIRを目標値に収束させる。
【0012】
また、送信電力制御の他の例が特許文献1から3に記載されている。特許文献1の送信電力制御の方法は、共通パイロットチャネル(CPICH:Common Pilot Channel)の受信パワーを考慮する。具体的には、移動局は基地局が所定の送信電力で送信しているCPICHの受信品質の測定結果から基地局との伝搬損の差を推定し、その差に応じて決定されるオフセット電力だけアップリンクDPCHの送信電力に加算することとしている。
【0013】
特許文献2の送信電力制御の方法は、共通チャネルの送信電力を制御している。
【0014】
特許文献3の送信電力制御の方法は、DPCH送信電力制御の基準となるSIR目標値を変更している。特許文献3の送信電力制御の方法は、CPICHの受信品質を判定し、SIR目標値を変更し、変更後のSIR目標値となるように送信側のDPCHの送信電力を制御することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−080235号公報
【特許文献2】特開2004−215305号公報
【特許文献3】特開2006−319462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
次に、DPCH以外の他チャネルのタイミングによっては、DPCHの送信電力を適切に制御できない場合があることを説明する。図5は、ダウンリンク側のDPCHフォーマットを説明する図である。アップリンク側とは多少異なるフォーマットとなっており、DPDCH/DPCCHは同位相上にあり、時間軸上でマッピングされている。尚、パイロットビットは、フォーマット末尾にある。図6は図5のダウンリンク側のDPCHと干渉(相関あり)のある他チャネルのタイミングの1例である。本例では、干渉のあるチャネルがパイロットビット以外のDPCH通信タイミングに設定されている。
【0017】
図7は、送信電力が下がりDPCHのデータ受信ができなくなることを説明するフローチャートである。SIR計算の元になる、RSCP,ISCPはDPCHのパイロット部分で算出する。図6の例では、パイロット部分には干渉する成分はないので、SIRは良好な計算結果を得ことになる。特に電路伝播が少ないBTSとUEが近傍で良好な通信環境ではSIR高く(RSCP>ISCP)なり、UEはアップリンクTPCビットを用いてDPCH送信電力の低減要求を行う(7−2)。ここで図6のような他チャネルによる干渉が発生していると、SIRを用いた制御でDPCH送信電力を低減していくと、リンクレイヤ以上のデータが収まっているDPDCH部分は干渉のためデータ受信が不能となる(7−3)。結果的に、良好な通信環境にあるにも関わらずデータ通信が成り立たず通信断に至ることになる。
【0018】
また、特許文献3の送信電力制御の方法は、SIRを確認してSIR目標値を変更するため、他チャネルのタイミングによっては上述のようにデータ通信が成り立たず通信断に至ることを回避することはできないという問題点があった。
【0019】
特許文献1の送信電力制御の方法は、他チャネルと干渉したときにDPCHの送信電力を増加することはできるが、図6のような場合でDPCHの送信電力を低減するときに通信断を回避することはできないという問題点があった。
【0020】
そこで、本発明は、上述した課題であるDPCHと他チャネルとの干渉がいかなるタイミングで発生しても通信断を回避できる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る携帯端末装置は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手段と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記クローズドループ手段に対して前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段と、を備える。
【0022】
本発明に係る基地局は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手段と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記クローズドループ手段に対して前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段と、を備える。
【0023】
本発明に係る無線通信システムは、前記携帯端末装置と、前記基地局と、を有する。
【0024】
本発明に係る基地局の送信電力制御方法は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を備える。
【0025】
本発明に係る携帯端末装置の送信電力制御方法は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を備える。
【0026】
本発明に係る無線通信システムの送信電力制御方法は、前記基地局の送信電力制御方法と、前記携帯端末装置の送信電力制御方法と、を有する。
【0027】
本発明に係る送信電力制御プログラムは、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を携帯端末装置に実現させる。
【0028】
本発明に係る送信電力制御プログラムは、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を前記基地局に実現させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、DPCHと他チャネルとの干渉がいかなるタイミングで発生しても通信断を回避できる携帯端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る携帯端末装置を説明する図である。
【図2】DPCHの送信電力制御を説明する図である。
【図3】アップリンクDPCHのデータフォーマットを説明する図である。
【図4】TPCのビットパターンを説明する図である。
【図5】ダウンリンク側のDPCHフォーマットを説明する図である。
【図6】ダウンリンクDPCHと他チャネルとの位置を説明する図である。
【図7】送信電力が下がりDPCHのデータ受信ができなくなることを説明するフローチャートである。
【図8】3GPPにおける各チャネルの通信タイミングを説明する図である。
【図9】本発明に係る送信電力制御方法を説明するフローチャートである。
【図10】DPCH受信不可能領域を推定することを説明する図である。
【図11】本発明に係る無線通信システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0032】
図11は、本実施形態の無線通信システムを説明する図である。本無線通信システムは、基地局10及び携帯端末装置20を有する。例えば、本無線システムは、3GPPに対応したシステムである。また、携帯端末装置20は、3GPPに対応した装置である。例えば、携帯端末装置20は、携帯電話機、携帯情報端末、家庭用電化製品、又は産業用電化製品である。
【0033】
図1は、携帯端末装置20が携帯電話機である場合の構成例を説明する構成図である。図1の携帯電話機は、表示部1−1、キー操作部1−2、CPU(Central Processing Unit)1−3、記憶部1−4、無線部1−5、及びアンテナ部1−6を有する。表示部1−1は、ユーザに携帯電話機の動作、通信状態等を通知する。キー操作部1−2は、ユーザに携帯電話機の発信及び着信等の操作を可能とする。CPU部1−3は、キー操作部1−2からの入力を認識し、表示部1−1の制御を行い、無線部1−5の状態制御やネットワークとのデータを送受信する。記憶部1−4は、CPU1−3が動作する場合に一時的にデータを保持したり、携帯電話機のユーザ設定を記憶する。無線部1−5及びアンテナ部1−6は、通信のために電波の送受信を行う。
【0034】
携帯端末装置20は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局10内のSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて基地局10の送信電力を調整するクローズドループ手段21と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、クローズドループ手段21に対して基地局10の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段22と、を備える。
【0035】
携帯端末装置20は、次の送信電力制御方法で基地局10からのDPCHの送信電力を制御する。この送信電力制御方法は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局10内のSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて基地局10の送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、基地局10の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を備える。
【0036】
携帯端末装置20は、次の送信電力制御プログラムを実行することで上記送信電力制御方法を行う。このプログラムは、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局10内のSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて基地局10の送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、基地局10の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を携帯端末装置20に実現させる送信電力制御プログラムである。例えば、記憶部1−4が送信電力制御プログラムを記憶しており、CPU1−3が記憶部1−4から送信電力制御プログラムを読み出し、実行することで、携帯端末装置20は、上記送信電力制御方法を行うことができる。
【0037】
携帯端末装置20は、基地局10に対してDPCHの送信電力を低減させようとするときに、SIRの判定結果だけでなく、共通チャネルの受信パワーを加味し、TPCビットを決定する。
【0038】
一方、基地局10は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置20の送信電力を調整するクローズドループ手段11と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、クローズドループ手段11に対して携帯端末装置20の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段12と、を備える。
【0039】
基地局10は、次の送信電力制御方法で携帯端末装置20からのDPCHの送信電力を制御する。この送信電力制御方法は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置20の送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、携帯端末装置20の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を備える。
【0040】
基地局10は、次の送信電力制御プログラムを実行することで上記送信電力制御方法を行う。このプログラムは、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置20の送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、携帯端末装置20の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を基地局10に実現させる送信電力制御プログラムである。例えば、基地局10の記憶部が送信電力制御プログラムを記憶しており、基地局10のCPUが前記記憶部から送信電力制御プログラムを読み出し、実行することで、基地局10は、上記送信電力制御方法を行うことができる。
【0041】
基地局10は、携帯端末装置20に対してDPCHの送信電力を低減させようとするときに、SIRの判定結果だけでなく、共通チャネルの受信パワーを加味し、TPCビットを決定する。
【0042】
受信パワーや干渉を確認する共通チャネルは、例えば、CPICHとすることができる。CPICHは在圏している携帯端末装置に報知されている基準チャネルであり、DPCHとは異なり基地局からの送信電力は増減しない。また、3GPPでは一部の個別通信用チャネルの基準タイミングからオフセットして通信可能であるが、大半の通信チャネルはCPICHと同一のタイミングにて通信している。図8にそのタイミング図を示す。図8中でタイミングにτの記載があるチャネルは基準タイミングからのオフセットが可能である。例えば、DPCHは各UE毎に基地局側でタイミング調整可能である。このタイミング次第で、DPCHは、図6で説明したように基準タイミング上のCPICHを含む共通チャネル等から干渉を受けることになる。図6のようにDPCHと共通チャネルとが干渉した場合、DPCHだけでなく共通チャネルの受信パワーも低下する。
【0043】
そこで、基地局10及び携帯端末装置20は、それぞれ共通チャネル確認手段12及び共通チャネル確認手段22で共通チャネルの受信パワー及びDPCHのフォーマット上で共通チャネルとDPCHとの干渉を確認する。例えば、共通チャネル確認手段12及び共通チャネル確認手段22が確認する共通チャネルがCPICHである場合、共通チャネル確認手段12及び共通チャネル確認手段22はCPICHの逆拡散後の受信パワー(CPICH−RSCP:CPICH−Received Signal Code Power)を確認する。
【0044】
図9は、基地局10及び携帯端末装置20が行う送信電力制御方法を説明するフローチャートである。基地局10と携帯端末装置20との通信中(ステップ9−1)にSIRが上昇したとする。クローズドループ手段(11,21)は、測定したSIRが基地局10のSIR目標値13に対して良好と判定する(ステップ9−3)。この場合、共通チャネル確認手段(12、22)は、共通チャネルとDPCHのタイミングオフセット及びフォーマットとからタイミング上の干渉を判定する(ステップ9−4)。ここで、前記干渉が無い場合、共通チャネル確認手段(12、22)は、クローズドループ手段(11,21)にDPCH送信電力の低減を要求するTPCビットを送信側へ送信させる(ステップ9−6)。
【0045】
一方、共通チャネル確認手段(12、22)は、共通チャネルとDPCHとの干渉があると判断したとき、共通チャネルの受信パワー(CPICH−RSCP)を確認(ステップ9−2)し、CPICH−RSCPと予め設定された所定値とを比較する(ステップ9−5)。例えば、所定値は、基地局10や携帯端末装置20の無線感度に基づいて設定される。そして、共通チャネル確認手段(12、22)は、CPICH−RSCPと所定値との比較の結果、DPCH−RSCPが後述する図10のDPCH受信可能領域にあると判断した場合、クローズドループ手段(11,21)にDPCH送信電力の低減を要求するTPCビットを送信側へ送信させる(ステップ9−6)。一方、共通チャネル確認手段(12、22)は、CPICH−RSCPと所定値との比較の結果、DPCH−RSCPがDPCH受信可能領域にないと判断した場合、クローズドループ手段(11,21)がDPCH送信電力の低減を要求するTPCビットを送信側へ送信することを抑制する(ステップ9−7)。
【0046】
基地局10及び携帯端末装置20が図9の送信電力制御方法を行うことで、図11の無線通信システムは、DPCHが共通チャネルと干渉が発生する通信タイミングに設定され、且つ、基地局10と携帯端末装置20が近傍で無線品質劣化が少ない通信環境において、クローズドループ制御がDPCH送信電力を下げすぎ、DPCHの受信不能で通信断に至る事象を回避することができる。従って、本実施形態の基地局10、携帯端末装置20、及びこれらを有する無線通信システムは、DPCHと他チャネルとの干渉がいかなるタイミングで発生しても通信断を回避できる。
【0047】
以上は、本発明に係る携帯端末装置、基地局、無線通信システム、携帯端末装置の送信電力制御方法、基地局の送信電力制御方法、無線通信システムの送信電力制御方法、及び送信電力制御プログラムの最小構成で本発明の目的が達成できることを説明したものである。次に、本発明に係る携帯端末装置、基地局、無線通信システム、携帯端末装置の送信電力制御方法、基地局の送信電力制御方法、無線通信システムの送信電力制御方法、及び送信電力制御プログラムの好ましい形態を説明する。
【0048】
共通チャネル確認手段22は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、携帯端末装置20が前記DPCHを受信可能であるDPCH受信可能領域を推定することができる。また、共通チャネル確認手段12は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、基地局10が前記DPCHを受信可能であるDPCH受信可能領域を推定することができる。
【0049】
図10は、共通チャネルの受信パワーに基づいてDPCHの受信ができなくなる受信パワーのDPCH受信不可能領域を推定することを説明する図である。共通チャネル確認手段(12、22)は、共通チャネルの受信パワーからDPCH受信不可能領域を推定する。例えば、共通チャネル確認手段(12、22)は、無線感度でDPCH受信不可能領域を推定してもよい。また、共通チャネル確認手段(12、22)は、CPICHとDPCHとの電力比(エネルギー比)から求めたDPCHの誤り率をもとにDPCH受信不可能領域を推定してもよい。基地局10及び携帯端末装置20は、DPCH受信不可能領域からDPCH受信可能領域を推定する。
【0050】
共通チャネル確認手段22は、前記SIRがSIR目標値13より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで基地局10のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することが好ましい。また、共通チャネル確認手段12は、前記SIRがSIR目標値13より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで携帯端末装置20のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することが好ましい。
【0051】
図9及び図10を用いて共通チャネル確認手段(12、22)がDPCH送信電力の低減量を制限することを説明する。図9のステップ9−1のように無線通信中にSIRが上昇したと仮定する。ここで、クローズドループ手段(11,21)のみの制御であれば、送信側は、DPCH送信電力をCのように低減することになり、受信側でDPCH受信ができなくなる。一方、共通チャネル確認手段(12,22)は、前述のように共通チャネルの受信パワーからDPCH受信可能領域を推定しており、クローズドループ手段(11,21)に対してDPCH受信可能領域の最低値までDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信するように指示する。共通チャネル確認手段(12,22)がこのように指示することでSIR品質が過剰となることを避けるとともにDPCH送信電力の下げすぎを抑止し、通信断事象を回避することができる。
【0052】
本実施形態では、受信パワー及びDPCHのフォーマット上で干渉する共通チャネルがCPICHであるとして説明したが、共通チャネル確認手段(12、22)がDPCHと他の共通チャネルとのタイミング配置をも考慮してDPCH送信電力を低減するか否かを決定することで、より適切な判定が可能となる。ここで、他の共通チャネルとは、図8の“P−SCH”“S−SCH”“P−CCPCH”“S−CCPCH”“AICH”及び“HS−SCCH”である。“P−SCH”は、プライマリ同期チャネル(Primary Synchronization Channel)、“S−SCH”は、セカンダリ同期チャネル(Secondary Synchronization Channel)、“P−CCPCH”は、プライマリ共通制御物理チャネル(Primary Common Control Physical Channel)、“S−CCPCH”は、プライマリ共通制御物理チャネル(Secondary Common Control Physical Channel)、“AICH”は、捕捉表示チャネル(Acquisition Indication Channel)、及び“HS−SCCH”は、高速共有制御チャネル(High Speed − Shared Control Channel)である。
【符号の説明】
【0053】
1−1:表示部
1−2:キー操作部
1−3:CPU
1−4:記憶部
1−5:無線部
1−6:アンテナ部
10:基地局(BTS)
20:携帯端末装置(UE)
11,21:クローズドループ手段
12,22:共通チャネル確認手段
13:SIR目標値
14,24:送受信部
【技術分野】
【0001】
本発明は、個別物理チャネル(DPCH:Dedicated Physical Channel)の送信電力制御を行う携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基地局と携帯端末装置間で必要な通信品質を確保できる最小限の電力が過不足なく届くようにDPCH送信電力の制御が行われる。この送信電力制御は、受信信号の信号電力対干渉電力比(SIR:Signal to Interference power Ratio)を測定し、SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、SIRがSIR目標値に近づくように送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)ビットを用いて送信側に所定ステップだけ電力を増加するあるいは低減することを要求する。このような送信電力制御はインナーループまたはクローズドループと呼ばれている。
【0003】
図2は、DPCHの送信電力制御を説明する図である。図3は、アップリンクDPCHのデータフォーマットを説明する図である。図4は、TPCのビットパターンを説明する図である。図2、3、4を用いて第3世代移動体通信システムの標準化プロジェクト(3GPP:3rd Generation Partnership Project)端末のクローズドループ電力制御(Closed Loop POWER制御)に関して説明する。
【0004】
図2のように3GPPでは、基地局(BTS:Base Transceiver Station)は、TPCを用いて携帯端末装置(UE:User Equipment)毎のDPCHの送信電力制御を行っている。TPCビットはアップリンク(UL:Up Link)及びダウンリンク(DL:Down Link)の個別制御チャネル(DCCH:Dedicated Control Channel)に定義されており、BTS及びUE各々で送受信する。図2は、ダウンリンクDPCHの品質(SIR)を観測し、アップリンクTPCビットにてBTSのダウンリンクDPCHの送信電力を制御する図である。Aはダウンリンク、Bはアップリンクである。UEは、ダウンリンクDPCHのSIRを測定する。例えば、UEはBTSから通知されたSIR目標値と測定したSIRを比較して、ダウンリンクDPCHの送信電力の増加又は低減を判断する。そしてUEは、送信電力の増加又は低減を指示するTPCビットをアップリンクを用いてBTSへ送信する。BTSはTPCビットを受信し、それに従ってダウンリンクDPCHの送信電力を変更する。
【0005】
図2はUEがBTSからのダウンリンクDPCH送信電力を制御する例を説明しているが、BTSがUEからのアップリンクDPCH送信電力を制御する場合も同様である。すなわち、BTSはアップリンクDPCHのSIRを測定する。BTSはSIR目標値と測定したSIRを比較して、アップリンクDPCHの送信電力の増加又は低減を判断する。そしてBTSは、送信電力の増加又は低減を指示するTPCビットをダウンリンクを用いてUEへ送信する。UEはTPCビットを受信し、それに従ってアップリンクDPCHの送信電力を変更する。
【0006】
図3のように、DPCHは10mSの無線フレームを15Slotに分割した各々であり、個別物理制御チャネル(DPCCH:Dedicated Physical Control Channel)と個別物理データチャネル(DPDCH:Dedicated Physical Data Channel)からなり、DPDCHはリンクレイヤ(Link Layer)以上のデータを伝達するチャネルである。
【0007】
DPCCHはDPCHの制御情報を伝達するためのチャネルであり、データユニットの組み合わせを通知する伝送フォーマット情報(TFCI:Transport Format Combination Indicator)ビット、タイミングの同期を取るための情報であるパイロット信号(Pilot Bit)、フィードバック情報(FBI:Feedback Information)、TPCビットを含む。
【0008】
例えば、TPCビットは、図4のように、送信電力の増加を要求する11送信(=1dBUp要求)、送信電力の低減を要求する00送信(=1dBDown要求)と定義されている。
【0009】
このように3GPPの携帯端末装置におけるクローズドループ電力制御は、DPCCHを用いてBTS及びUE双方の所望する送信電力になるように各々が相手のDPCH送信電力を制御している。
【0010】
続いて、送信電力制御の基準となるSIRに関して説明する。SIRは次式のように定義されている。
(数式1)
SIR=(RSCP/ISCP)*SF
ここで、RSCP(Received Signal Code Power)は逆拡散にて取り出せるDPCHの電力であり、ISCP(Interference Signal Code Power)は、DPCHに対する干渉電力である。また、SF(Spreading Factor)は、DPCCHで使用される拡散チップ数である。
【0011】
SIRの計算は、期待するデータパターンがあらかじめ分かっているDPCHのパイロット部分で行われる。つまり、SIRの変動要素はDPCHの受信電力量(RSCP)と、そのDPCHの干渉成分量(ISCP)であり、この比を元に、クローズドループを用いて所望する通信品質へ収束させる。具体的には、クローズドループは、SIRが目標値に対して悪ければ(低ければ)、TPCビットにてDPCH送信電力の増加を要求しRSCPを高くなるように制御し、SIRが目標値に対して良ければ(高ければ)、TPCビットにてDPCH送信電力の低減を要求しRSCPを低くなるように制御して。SIRを目標値に収束させる。
【0012】
また、送信電力制御の他の例が特許文献1から3に記載されている。特許文献1の送信電力制御の方法は、共通パイロットチャネル(CPICH:Common Pilot Channel)の受信パワーを考慮する。具体的には、移動局は基地局が所定の送信電力で送信しているCPICHの受信品質の測定結果から基地局との伝搬損の差を推定し、その差に応じて決定されるオフセット電力だけアップリンクDPCHの送信電力に加算することとしている。
【0013】
特許文献2の送信電力制御の方法は、共通チャネルの送信電力を制御している。
【0014】
特許文献3の送信電力制御の方法は、DPCH送信電力制御の基準となるSIR目標値を変更している。特許文献3の送信電力制御の方法は、CPICHの受信品質を判定し、SIR目標値を変更し、変更後のSIR目標値となるように送信側のDPCHの送信電力を制御することとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2004−080235号公報
【特許文献2】特開2004−215305号公報
【特許文献3】特開2006−319462号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
次に、DPCH以外の他チャネルのタイミングによっては、DPCHの送信電力を適切に制御できない場合があることを説明する。図5は、ダウンリンク側のDPCHフォーマットを説明する図である。アップリンク側とは多少異なるフォーマットとなっており、DPDCH/DPCCHは同位相上にあり、時間軸上でマッピングされている。尚、パイロットビットは、フォーマット末尾にある。図6は図5のダウンリンク側のDPCHと干渉(相関あり)のある他チャネルのタイミングの1例である。本例では、干渉のあるチャネルがパイロットビット以外のDPCH通信タイミングに設定されている。
【0017】
図7は、送信電力が下がりDPCHのデータ受信ができなくなることを説明するフローチャートである。SIR計算の元になる、RSCP,ISCPはDPCHのパイロット部分で算出する。図6の例では、パイロット部分には干渉する成分はないので、SIRは良好な計算結果を得ことになる。特に電路伝播が少ないBTSとUEが近傍で良好な通信環境ではSIR高く(RSCP>ISCP)なり、UEはアップリンクTPCビットを用いてDPCH送信電力の低減要求を行う(7−2)。ここで図6のような他チャネルによる干渉が発生していると、SIRを用いた制御でDPCH送信電力を低減していくと、リンクレイヤ以上のデータが収まっているDPDCH部分は干渉のためデータ受信が不能となる(7−3)。結果的に、良好な通信環境にあるにも関わらずデータ通信が成り立たず通信断に至ることになる。
【0018】
また、特許文献3の送信電力制御の方法は、SIRを確認してSIR目標値を変更するため、他チャネルのタイミングによっては上述のようにデータ通信が成り立たず通信断に至ることを回避することはできないという問題点があった。
【0019】
特許文献1の送信電力制御の方法は、他チャネルと干渉したときにDPCHの送信電力を増加することはできるが、図6のような場合でDPCHの送信電力を低減するときに通信断を回避することはできないという問題点があった。
【0020】
そこで、本発明は、上述した課題であるDPCHと他チャネルとの干渉がいかなるタイミングで発生しても通信断を回避できる携帯端末装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0021】
本発明に係る携帯端末装置は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手段と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記クローズドループ手段に対して前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段と、を備える。
【0022】
本発明に係る基地局は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手段と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記クローズドループ手段に対して前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段と、を備える。
【0023】
本発明に係る無線通信システムは、前記携帯端末装置と、前記基地局と、を有する。
【0024】
本発明に係る基地局の送信電力制御方法は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を備える。
【0025】
本発明に係る携帯端末装置の送信電力制御方法は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を備える。
【0026】
本発明に係る無線通信システムの送信電力制御方法は、前記基地局の送信電力制御方法と、前記携帯端末装置の送信電力制御方法と、を有する。
【0027】
本発明に係る送信電力制御プログラムは、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を携帯端末装置に実現させる。
【0028】
本発明に係る送信電力制御プログラムは、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を前記基地局に実現させる。
【発明の効果】
【0029】
本発明は、DPCHと他チャネルとの干渉がいかなるタイミングで発生しても通信断を回避できる携帯端末装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る携帯端末装置を説明する図である。
【図2】DPCHの送信電力制御を説明する図である。
【図3】アップリンクDPCHのデータフォーマットを説明する図である。
【図4】TPCのビットパターンを説明する図である。
【図5】ダウンリンク側のDPCHフォーマットを説明する図である。
【図6】ダウンリンクDPCHと他チャネルとの位置を説明する図である。
【図7】送信電力が下がりDPCHのデータ受信ができなくなることを説明するフローチャートである。
【図8】3GPPにおける各チャネルの通信タイミングを説明する図である。
【図9】本発明に係る送信電力制御方法を説明するフローチャートである。
【図10】DPCH受信不可能領域を推定することを説明する図である。
【図11】本発明に係る無線通信システムを説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
添付の図面を参照して本発明の実施形態を説明する。以下に説明する実施形態は本発明の実施例であり、本発明は、以下の実施形態に制限されるものではない。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0032】
図11は、本実施形態の無線通信システムを説明する図である。本無線通信システムは、基地局10及び携帯端末装置20を有する。例えば、本無線システムは、3GPPに対応したシステムである。また、携帯端末装置20は、3GPPに対応した装置である。例えば、携帯端末装置20は、携帯電話機、携帯情報端末、家庭用電化製品、又は産業用電化製品である。
【0033】
図1は、携帯端末装置20が携帯電話機である場合の構成例を説明する構成図である。図1の携帯電話機は、表示部1−1、キー操作部1−2、CPU(Central Processing Unit)1−3、記憶部1−4、無線部1−5、及びアンテナ部1−6を有する。表示部1−1は、ユーザに携帯電話機の動作、通信状態等を通知する。キー操作部1−2は、ユーザに携帯電話機の発信及び着信等の操作を可能とする。CPU部1−3は、キー操作部1−2からの入力を認識し、表示部1−1の制御を行い、無線部1−5の状態制御やネットワークとのデータを送受信する。記憶部1−4は、CPU1−3が動作する場合に一時的にデータを保持したり、携帯電話機のユーザ設定を記憶する。無線部1−5及びアンテナ部1−6は、通信のために電波の送受信を行う。
【0034】
携帯端末装置20は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局10内のSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて基地局10の送信電力を調整するクローズドループ手段21と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、クローズドループ手段21に対して基地局10の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段22と、を備える。
【0035】
携帯端末装置20は、次の送信電力制御方法で基地局10からのDPCHの送信電力を制御する。この送信電力制御方法は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局10内のSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて基地局10の送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、基地局10の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を備える。
【0036】
携帯端末装置20は、次の送信電力制御プログラムを実行することで上記送信電力制御方法を行う。このプログラムは、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局10内のSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて基地局10の送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、基地局10の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を携帯端末装置20に実現させる送信電力制御プログラムである。例えば、記憶部1−4が送信電力制御プログラムを記憶しており、CPU1−3が記憶部1−4から送信電力制御プログラムを読み出し、実行することで、携帯端末装置20は、上記送信電力制御方法を行うことができる。
【0037】
携帯端末装置20は、基地局10に対してDPCHの送信電力を低減させようとするときに、SIRの判定結果だけでなく、共通チャネルの受信パワーを加味し、TPCビットを決定する。
【0038】
一方、基地局10は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置20の送信電力を調整するクローズドループ手段11と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、クローズドループ手段11に対して携帯端末装置20の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段12と、を備える。
【0039】
基地局10は、次の送信電力制御方法で携帯端末装置20からのDPCHの送信電力を制御する。この送信電力制御方法は、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置20の送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、携帯端末装置20の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を備える。
【0040】
基地局10は、次の送信電力制御プログラムを実行することで上記送信電力制御方法を行う。このプログラムは、DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値13とを比較し、前記SIRがSIR目標値13に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置20の送信電力を調整するクローズドループ手順と、前記SIRがSIR目標値13より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、携帯端末装置20の送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、を基地局10に実現させる送信電力制御プログラムである。例えば、基地局10の記憶部が送信電力制御プログラムを記憶しており、基地局10のCPUが前記記憶部から送信電力制御プログラムを読み出し、実行することで、基地局10は、上記送信電力制御方法を行うことができる。
【0041】
基地局10は、携帯端末装置20に対してDPCHの送信電力を低減させようとするときに、SIRの判定結果だけでなく、共通チャネルの受信パワーを加味し、TPCビットを決定する。
【0042】
受信パワーや干渉を確認する共通チャネルは、例えば、CPICHとすることができる。CPICHは在圏している携帯端末装置に報知されている基準チャネルであり、DPCHとは異なり基地局からの送信電力は増減しない。また、3GPPでは一部の個別通信用チャネルの基準タイミングからオフセットして通信可能であるが、大半の通信チャネルはCPICHと同一のタイミングにて通信している。図8にそのタイミング図を示す。図8中でタイミングにτの記載があるチャネルは基準タイミングからのオフセットが可能である。例えば、DPCHは各UE毎に基地局側でタイミング調整可能である。このタイミング次第で、DPCHは、図6で説明したように基準タイミング上のCPICHを含む共通チャネル等から干渉を受けることになる。図6のようにDPCHと共通チャネルとが干渉した場合、DPCHだけでなく共通チャネルの受信パワーも低下する。
【0043】
そこで、基地局10及び携帯端末装置20は、それぞれ共通チャネル確認手段12及び共通チャネル確認手段22で共通チャネルの受信パワー及びDPCHのフォーマット上で共通チャネルとDPCHとの干渉を確認する。例えば、共通チャネル確認手段12及び共通チャネル確認手段22が確認する共通チャネルがCPICHである場合、共通チャネル確認手段12及び共通チャネル確認手段22はCPICHの逆拡散後の受信パワー(CPICH−RSCP:CPICH−Received Signal Code Power)を確認する。
【0044】
図9は、基地局10及び携帯端末装置20が行う送信電力制御方法を説明するフローチャートである。基地局10と携帯端末装置20との通信中(ステップ9−1)にSIRが上昇したとする。クローズドループ手段(11,21)は、測定したSIRが基地局10のSIR目標値13に対して良好と判定する(ステップ9−3)。この場合、共通チャネル確認手段(12、22)は、共通チャネルとDPCHのタイミングオフセット及びフォーマットとからタイミング上の干渉を判定する(ステップ9−4)。ここで、前記干渉が無い場合、共通チャネル確認手段(12、22)は、クローズドループ手段(11,21)にDPCH送信電力の低減を要求するTPCビットを送信側へ送信させる(ステップ9−6)。
【0045】
一方、共通チャネル確認手段(12、22)は、共通チャネルとDPCHとの干渉があると判断したとき、共通チャネルの受信パワー(CPICH−RSCP)を確認(ステップ9−2)し、CPICH−RSCPと予め設定された所定値とを比較する(ステップ9−5)。例えば、所定値は、基地局10や携帯端末装置20の無線感度に基づいて設定される。そして、共通チャネル確認手段(12、22)は、CPICH−RSCPと所定値との比較の結果、DPCH−RSCPが後述する図10のDPCH受信可能領域にあると判断した場合、クローズドループ手段(11,21)にDPCH送信電力の低減を要求するTPCビットを送信側へ送信させる(ステップ9−6)。一方、共通チャネル確認手段(12、22)は、CPICH−RSCPと所定値との比較の結果、DPCH−RSCPがDPCH受信可能領域にないと判断した場合、クローズドループ手段(11,21)がDPCH送信電力の低減を要求するTPCビットを送信側へ送信することを抑制する(ステップ9−7)。
【0046】
基地局10及び携帯端末装置20が図9の送信電力制御方法を行うことで、図11の無線通信システムは、DPCHが共通チャネルと干渉が発生する通信タイミングに設定され、且つ、基地局10と携帯端末装置20が近傍で無線品質劣化が少ない通信環境において、クローズドループ制御がDPCH送信電力を下げすぎ、DPCHの受信不能で通信断に至る事象を回避することができる。従って、本実施形態の基地局10、携帯端末装置20、及びこれらを有する無線通信システムは、DPCHと他チャネルとの干渉がいかなるタイミングで発生しても通信断を回避できる。
【0047】
以上は、本発明に係る携帯端末装置、基地局、無線通信システム、携帯端末装置の送信電力制御方法、基地局の送信電力制御方法、無線通信システムの送信電力制御方法、及び送信電力制御プログラムの最小構成で本発明の目的が達成できることを説明したものである。次に、本発明に係る携帯端末装置、基地局、無線通信システム、携帯端末装置の送信電力制御方法、基地局の送信電力制御方法、無線通信システムの送信電力制御方法、及び送信電力制御プログラムの好ましい形態を説明する。
【0048】
共通チャネル確認手段22は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、携帯端末装置20が前記DPCHを受信可能であるDPCH受信可能領域を推定することができる。また、共通チャネル確認手段12は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、基地局10が前記DPCHを受信可能であるDPCH受信可能領域を推定することができる。
【0049】
図10は、共通チャネルの受信パワーに基づいてDPCHの受信ができなくなる受信パワーのDPCH受信不可能領域を推定することを説明する図である。共通チャネル確認手段(12、22)は、共通チャネルの受信パワーからDPCH受信不可能領域を推定する。例えば、共通チャネル確認手段(12、22)は、無線感度でDPCH受信不可能領域を推定してもよい。また、共通チャネル確認手段(12、22)は、CPICHとDPCHとの電力比(エネルギー比)から求めたDPCHの誤り率をもとにDPCH受信不可能領域を推定してもよい。基地局10及び携帯端末装置20は、DPCH受信不可能領域からDPCH受信可能領域を推定する。
【0050】
共通チャネル確認手段22は、前記SIRがSIR目標値13より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで基地局10のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することが好ましい。また、共通チャネル確認手段12は、前記SIRがSIR目標値13より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで携帯端末装置20のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することが好ましい。
【0051】
図9及び図10を用いて共通チャネル確認手段(12、22)がDPCH送信電力の低減量を制限することを説明する。図9のステップ9−1のように無線通信中にSIRが上昇したと仮定する。ここで、クローズドループ手段(11,21)のみの制御であれば、送信側は、DPCH送信電力をCのように低減することになり、受信側でDPCH受信ができなくなる。一方、共通チャネル確認手段(12,22)は、前述のように共通チャネルの受信パワーからDPCH受信可能領域を推定しており、クローズドループ手段(11,21)に対してDPCH受信可能領域の最低値までDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信するように指示する。共通チャネル確認手段(12,22)がこのように指示することでSIR品質が過剰となることを避けるとともにDPCH送信電力の下げすぎを抑止し、通信断事象を回避することができる。
【0052】
本実施形態では、受信パワー及びDPCHのフォーマット上で干渉する共通チャネルがCPICHであるとして説明したが、共通チャネル確認手段(12、22)がDPCHと他の共通チャネルとのタイミング配置をも考慮してDPCH送信電力を低減するか否かを決定することで、より適切な判定が可能となる。ここで、他の共通チャネルとは、図8の“P−SCH”“S−SCH”“P−CCPCH”“S−CCPCH”“AICH”及び“HS−SCCH”である。“P−SCH”は、プライマリ同期チャネル(Primary Synchronization Channel)、“S−SCH”は、セカンダリ同期チャネル(Secondary Synchronization Channel)、“P−CCPCH”は、プライマリ共通制御物理チャネル(Primary Common Control Physical Channel)、“S−CCPCH”は、プライマリ共通制御物理チャネル(Secondary Common Control Physical Channel)、“AICH”は、捕捉表示チャネル(Acquisition Indication Channel)、及び“HS−SCCH”は、高速共有制御チャネル(High Speed − Shared Control Channel)である。
【符号の説明】
【0053】
1−1:表示部
1−2:キー操作部
1−3:CPU
1−4:記憶部
1−5:無線部
1−6:アンテナ部
10:基地局(BTS)
20:携帯端末装置(UE)
11,21:クローズドループ手段
12,22:共通チャネル確認手段
13:SIR目標値
14,24:送受信部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
個別物理チャネル(DPCH:Dedicated Physical Channel)の受信信号の信号電力対干渉電力比(SIR:Signal to Interference power Ratio)を測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくように送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)ビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手段と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記クローズドループ手段に対して前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段と、
を備える携帯端末装置。
【請求項2】
前記共通チャネル確認手段は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記共通チャネル確認手段は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手段と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記クローズドループ手段に対して前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段と、
を備える基地局。
【請求項5】
前記共通チャネル確認手段は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項4に記載の基地局。
【請求項6】
前記共通チャネル確認手段は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項5に記載の基地局。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかの携帯端末装置と、
請求項4から6のいずれかの基地局と、
を有する無線通信システム。
【請求項8】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、
を備える基地局の送信電力制御方法。
【請求項9】
前記共通チャネル確認手順は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項8に記載の基地局の送信電力制御方法。
【請求項10】
前記共通チャネル確認手順は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項9に記載の基地局の送信電力制御方法。
【請求項11】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、
を備える携帯端末装置の送信電力制御方法。
【請求項12】
前記共通チャネル確認手順は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項11に記載の携帯端末装置の送信電力制御方法。
【請求項13】
前記共通チャネル確認手順は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項12に記載の携帯端末装置の送信電力制御方法。
【請求項14】
請求項8から10のいずれかの基地局の送信電力制御方法と、
請求項11から13のいずれかの携帯端末装置の送信電力制御方法と、
を有する無線通信システムの送信電力制御方法。
【請求項15】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、
を携帯端末装置に実現させる送信電力制御プログラム。
【請求項16】
前記共通チャネル確認手順は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項15に記載の送信電力制御プログラム。
【請求項17】
前記共通チャネル確認手順は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項16に記載の送信電力制御プログラム。
【請求項18】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、
を前記基地局に実現させる送信電力制御プログラム。
【請求項19】
前記共通チャネル確認手順は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項18に記載の送信電力制御プログラム。
【請求項20】
前記共通チャネル確認手順は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項19に記載の送信電力制御プログラム。
【請求項1】
個別物理チャネル(DPCH:Dedicated Physical Channel)の受信信号の信号電力対干渉電力比(SIR:Signal to Interference power Ratio)を測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくように送信電力制御(TPC:Transmit Power Control)ビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手段と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記クローズドループ手段に対して前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段と、
を備える携帯端末装置。
【請求項2】
前記共通チャネル確認手段は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記共通チャネル確認手段は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手段と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記クローズドループ手段に対して前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手段と、
を備える基地局。
【請求項5】
前記共通チャネル確認手段は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項4に記載の基地局。
【請求項6】
前記共通チャネル確認手段は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項5に記載の基地局。
【請求項7】
請求項1から3のいずれかの携帯端末装置と、
請求項4から6のいずれかの基地局と、
を有する無線通信システム。
【請求項8】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、
を備える基地局の送信電力制御方法。
【請求項9】
前記共通チャネル確認手順は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項8に記載の基地局の送信電力制御方法。
【請求項10】
前記共通チャネル確認手順は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項9に記載の基地局の送信電力制御方法。
【請求項11】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、
を備える携帯端末装置の送信電力制御方法。
【請求項12】
前記共通チャネル確認手順は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項11に記載の携帯端末装置の送信電力制御方法。
【請求項13】
前記共通チャネル確認手順は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項12に記載の携帯端末装置の送信電力制御方法。
【請求項14】
請求項8から10のいずれかの基地局の送信電力制御方法と、
請求項11から13のいずれかの携帯端末装置の送信電力制御方法と、
を有する無線通信システムの送信電力制御方法。
【請求項15】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRと基地局内のSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて前記基地局のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、
を携帯端末装置に実現させる送信電力制御プログラム。
【請求項16】
前記共通チャネル確認手順は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項15に記載の送信電力制御プログラム。
【請求項17】
前記共通チャネル確認手順は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記基地局のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項16に記載の送信電力制御プログラム。
【請求項18】
DPCHの受信信号のSIRを測定し、前記SIRとSIR目標値とを比較し、前記SIRが前記SIR目標値に近づくようにTPCビットを用いて携帯端末装置のDPCH送信電力を調整するクローズドループ手順と、
前記SIRが前記SIR目標値より高ければ、共通チャネルの受信パワー及び前記DPCHのフォーマット上で前記共通チャネルと前記DPCHとの干渉を確認し、前記干渉を生じ、且つ前記共通チャネルの受信パワーが所定値より低い場合に、前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットの送信を停止させる共通チャネル確認手順と、
を前記基地局に実現させる送信電力制御プログラム。
【請求項19】
前記共通チャネル確認手順は、前記共通チャネルの受信パワーに基づき、前記DPCHの受信が可能であるDPCH受信可能領域を推定することを特徴とする請求項18に記載の送信電力制御プログラム。
【請求項20】
前記共通チャネル確認手順は、前記SIRが前記SIR目標値より高く、且つ前記共通チャネルの受信パワーが前記所定値より高い場合に前記DPCH受信可能領域の最低値まで前記携帯端末装置のDPCH送信電力を下げるTPCビットを送信することを特徴とする請求項19に記載の送信電力制御プログラム。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2011−109493(P2011−109493A)
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−263561(P2009−263561)
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年6月2日(2011.6.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】
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