説明

携帯端末装置

【課題】表示情報から選択された一部の領域の選択情報を拡大表示すること。
【解決手段】第1表示画面21Aを有する第1表示部と、第2表示画面21Bを有する少なくとも1つの第2表示部と、第1表示画面21Aに表示された表示情報から拡大表示すべき一部の領域の選択入力を受け付けるキー入力部31と、キー入力部31が選択入力を受け付けた一部の領域の選択情報を拡大して第2表示画面21Bに表示させるよう制御する制御部40とを備え、制御部40は、ある一部の領域の選択情報が第2表示画面21Bに既に表示されている状態において、キー入力部31が新たな領域の選択入力を受け付けた場合、既に表示されている領域の一部、あるいは全部の選択情報と、新たに選択された新たな領域の選択情報とを含む領域の選択情報を拡大して第2表示画面21Bに表示させるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末装置に関する。特に、本発明は、表示情報から選択された一部の領域の選択情報を拡大表示する携帯端末装置に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末は、携帯性の良さが重視されるために、必然的に表示画面も小型化を意図して設計されることが多い。この小さい画面は表示情報によっては、低視力の方や年配の方にとって非常に見づらいものであり、閲覧するためには眼鏡や場合によって虫眼鏡までもが必要とされる。これを改善するため、携帯端末における表示情報拡大方法が各種、以下のとおり開示されている。特許文献1によれば、メニューや画像を表示している場合、カーソルを当ててフォーカスしている箇所が拡大され、尚且つフォーカス前の情報に比べて詳細な情報が表示される。特許文献2では、データの濃淡などから表示情報のある特徴的な座標を数点捉え、これを基準として拡大対象範囲を自動で抽出し、同表示画面の分割表示領域へこれを拡大して表示させる。また、特許文献3は、表示画面にタッチパネルを採用し、ユーザがタッチした座標近傍の拡大対象枠内の表示情報を同画面の他の領域へ拡大して表示させる。この際、ユーザの利き手を設定することで操作性を向上している。また、タッチ部の移動による拡大対象枠や拡大表示領域の重畳が回避されるよう制御されている。更に、拡大表示領域については、表示優先順位を与えることで、なるべく情報量の少ない(拡大表示領域を設けても問題ない)エリアにこれを配置するようにしている。
【0003】
また、携帯端末以外の情報処理装置においても表示画面を素早く、且つ容易に拡大可能とする、また、これによって操作性を向上させることを目的とした発明が開示されている。特許文献4では、異なる精細度(解像度)の表示装置に対して、アイコン画像の表示サイズが変更されてしまう不具合を改善するために、変更前後のディスプレイの精細度の比率と、アイコンの各種情報が記録されたアイコンテーブルにあるアイコンの表示座標、横幅、高さを用いて、自動的にアイコンを拡大・縮小してディスプレイへ表示することで、ディスプレイの精細度に依存せずに常に同じ大きさのアイコンを表示させることができる。
【0004】
更に、携帯端末を含めた情報処理端末において表示画面の拡大表示を実行する手段として、表示画面をテンキーの配列に対応させて分割し、テンキーを押下するだけで表示画面上のこのテンキーの配置に対応する分割領域を拡大させる発明が複数開示されている。但し、特許文献5では、拡大率を自由に変更できない、特許文献6では、テンキーが対応する領域でしか拡大対象とする領域を指定できないうえに操作性がやや難解である。また、特許文献7は、対応エリアスケールの設定による拡大率の決定を行うが、扱いがやや難しく希望の拡大倍率へ設定することには慣れが必要と思われる。特許文献8は、表示画面をテンキー配列と対応させているわけではないので直感的な操作が困難である。特許文献9は、テンキーによる対応エリアの拡大表示を可能とするが、その他各種設定が必要であり操作が非常に難解である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−110015号公報
【特許文献2】特開2007−180914号公報
【特許文献3】特開2009−169452号公報
【特許文献4】特開平08−137658号公報
【特許文献5】特開2005−316558号公報
【特許文献6】特開平04−199371号公報
【特許文献7】特開昭61−103190号公報
【特許文献8】特開2002−122442号公報
【特許文献9】特開2007−299220号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1から9に記載の技術は、通常画面を拡大表示させるにあたり、通常画面が表示されている画面と同じ画面上に新たに拡大表示領域を設けるものである。このため、拡大表示領域を確保する際に通常画面が狭められ、どの範囲を拡大しているのかが非常にわかりにくくなる。また、拡大率の変更がわかりにくく単純な操作で直感的に操作可能な発明および操作方法は、これまで開示されていない。
【0007】
携帯端末においては、表示情報の一部及び拡大率をユーザに指定させて、それを別の表示領域へ拡大表示させることは可能であった。しかし、通常、携帯端末には、表示画面が1つしか備えられていないため、拡大表示領域は、この画面内の一部に確保されることになる。ただでさえ小型化規制のかかる携帯端末においてその画面を分割し、そこへ拡大表示をした場合、拡大した分だけその小さな画面に表示可能な情報量は削減されてしまうので、拡大表示領域に収まりきらなかった情報については、再度カーソル等を用いて通常画面内で拡大表示させる領域を指定し直さなければならず、手間がかかるうえ視認性が非常に悪い。また、通常表示されている画面の一部を利用して拡大表示を行うことから、たとえ拡大対象枠等で拡大対象領域を常時視覚化していたとしても、画面全体のどこを見ているのかが大変わかりにくくなってしまう。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明の第1の形態によると、表示情報から選択された一部の領域の選択情報を拡大表示する携帯端末装置であって、表示情報を表示する第1表示画面を有する第1表示部と、第1表示画面に表示された表示情報から選択された一部の領域の選択情報を拡大表示する第2表示画面を有する少なくとも1つの第2表示部と、第1表示画面に表示された表示情報から拡大表示すべき一部の領域の選択入力を受け付けるキー入力部と、キー入力部が選択入力を受け付けた一部の領域の選択情報を拡大して第2表示画面に表示させるよう制御する制御部とを備え、制御部は、ある一部の領域の選択情報が第2表示画面に既に表示されている状態において、キー入力部が新たな領域の選択入力を受け付けた場合、既に表示されている領域の一部、あるいは全部の選択情報と、新たに選択された新たな領域の選択情報とを含む領域の選択情報を拡大して第2表示画面に表示させるよう制御する。
【0009】
なおまた、上記のように発明の概要は、本発明の必要な特徴の全てを列挙したものではなく、これらの特徴群のサブコンビネーションもまた、発明となり得る。
【発明の効果】
【0010】
以上の説明から明らかなように、この発明においては、ある一部の領域の選択情報が第2表示画面に既に表示されている状態において、キー入力部が新たな領域の選択入力を受け付けた場合、既に表示されている領域の一部、あるいは全部の選択情報と、新たに選択された新たな領域の選択情報とを含む領域の選択情報を拡大して第2表示画面に表示させるようにした。このようにして、この発明によっては、適当なサイズによる拡大対象領域の拡大情報を、ユーザに閲覧させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】一実施形態に係る携帯端末装置10の一例を示す図である。
【図2】テンキーの配置に合わせて第1表示画面21Aを縦5×横3に15等分し、それぞれのテンキーT1〜T15を第1表示画面21A上の分割領域に1対1対応させた様子を表す説明図である。
【図3】携帯端末装置10の内部構成を示すブロック図である。
【図4】表示情報拡大処理の動作を表す。
【図5】表示情報拡大処理の動作を表す。
【図6】表示情報拡大処理の動作を表す。
【図7】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図8】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図9】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図10】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図11】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図12】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図13】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図14】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図15】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図16】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図17】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図18】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図19】拡大表示の一例を説明するための図である。
【図20】拡大表示の一例を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、発明の実施の形態を通じて本発明を説明するが、以下の実施形態は、特許請求の範囲にかかる発明を限定するものではなく、また、実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0013】
図1は、一実施形態に係る携帯端末装置10の一例を示す。携帯端末装置10は、表示情報から選択された一部の領域の選択情報を拡大表示する機能を有する。
【0014】
携帯端末装置10は、第1表示部20A、及び第2表示部20Bの2つの表示部を備えている。第1表示部20Aは、第1表示画面21Aを表示画面として備えている。同様に、第2表示部20Bは、第1表示画面21Aと同等サイズの第2表示画面21Bを表示画面として備えている。ユーザは、2つの表示画面を使用することで、複数のアプリケーションを並行して操作することができる。
【0015】
また、携帯端末装置10は、操作部30を備えている。携帯端末装置10の操作は、操作部30にアサインされているキー入力部31の各種キーから入力することで実行される。すなわち、画面を選択・決定する、あるいは、機能メニューなどのサブメニュー等を利用するためのいわゆるソフトキー部32(S0〜S4;特にS0キーを選択キーとする)、数字や文字などの入力に利用されるテンキー部33(T1〜T15)、及び、補助的なサイドキー34を有する構成をとる。尚、本実施例の構成では、メイン表示部を2部としているが、これは実施例の構成の一例を示すものであり、メイン表示部の数を制限するものではない。
【0016】
図2は、テンキーの配置に合わせて第1表示画面21Aを縦5×横3に15等分し、それぞれのテンキーT1〜T15を第1表示画面21A上の分割領域に1対1対応させた様子を表す説明図である。本実施例では、第1表示画面21AをA〜Oの15領域に分割し、T1:A、T2:B、・・・・・・、T15:Oと対応付ける(画面の分割を示す点線は、便宜的なもので、実際は表示されない)。また、図示のとおり、これら15等分された分割領域のうちの1領域の(横,縦)の幅を(w,l)とする。
【0017】
図3は、携帯端末装置10の内部構成を示すブロック図である。携帯端末装置10は、大きく分けると第1表示画面21A及び第2表示画面21B、キー入力部31、制御部40から構成されている。第1表示画面21A、第2表示画面21Bには、キー入力部31からの入力情報を制御部40で処理した結果が表示される。制御部40は、入力情報判断部41、拡大対象枠表示制御部42、拡大対象情報表示制御部43、及び、記憶部50とで構成されている。入力情報判断部41は、キー入力部31から入力されたインプットが何の命令を意図するものであるかを判断し、必要に応じて記憶部50に保存されている後述の(X,Y)(拡大対象領域基準座標52)や(W,L)(拡大対象枠設定値53)を更新し、拡大対象枠表示制御部42及び拡大対象情報表示制御部43へ、拡大対象枠及び拡大対象情報の表示に必要となる(X,Y)を渡す。
【0018】
拡大対象枠表示制御部42は、入力情報判断部41からインプットされた(X,Y)と、記憶部50から取得した(W,L)をもとに、実際に拡大対象枠を第1表示画面21Aへ表示させる。もし、拡大対象枠非表示キーが入力されれば、表示されている拡大対象枠を非表示にする。拡大対象情報表示制御部43も同様に、入力情報判断部41から(X,Y)を受け取り、これと記憶部50から読み込んだ(W,L)を用いて、記憶部50に別に保存されている表示情報51(後述)の拡大対象領域(拡大対象枠内に表示される情報)を拡大し、その拡大情報を第2表示画面21Bに表示させる。
【0019】
記憶部50には、本実施例の表示情報拡大処理を実行するに際し、必要な各種情報が保存されている。表示情報51は、拡大処理を施していない通常画面に表示される表示データ(例えば、txt形式の文字データやbmp形式の画像データ)である。拡大対象領域基準座標52は、入力情報判断部41によって拡大対象枠表示制御部42及び拡大対象情報表示制御部43へ受け渡される拡大対象領域の基準座標(X,Y)である。この基準座標は、拡大対象領域の左上の座標を示しており、デフォルトとして、画面中央に位置する分割領域H(図7)の左上の座標(X,Y)が保存されている。拡大対象枠設定値53は、拡大対象領域のサイズ(拡大率)を変更させるパラメータを表す。設定可能なパラメータは、拡大対象領域の(横,縦)の幅(相対座標)で、これを(W,L)として保持する。このパラメータ(W,L)を設定可能とすることで、拡大対象枠表示制御部42及び拡大対象情報表示制御部43は、拡大対象枠、拡大対象情報をそれぞれ表示する際に、(W,L)に基づいてそのサイズ(拡大率)を変更し、これを第1表示画面21A、第2表示画面21Bに表示する。このデフォルト値には、図2や図7のように15等分した分割領域のうちの1領域の(横,縦)の幅(W=w,L=l)がそれぞれ保存されている。
【0020】
次に、図4〜6のフローチャート及び図7〜20の拡大表示説明図を参照して本発明の実施例の動作について詳細に説明する。
【0021】
図4〜6は、表示情報拡大処理の動作を表す。今、第1表示画面21Aには、適当なアプリケーションソフトが表示されている。ここでまず、ユーザは、この表示情報を拡大し、その情報を第2表示画面21Bへ表示して閲覧するために、表示情報拡大処理を開始する。尚、本実施例における基本的な操作は、
・表示情報拡大処理開始/終了:ソフトキーS0長押し
・拡大対象枠、拡大対象情報表示(拡大対象領域の選択):テンキー部33(T1〜T15)/方向キー(上下左右)短押し
・拡大対象枠非表示:サイドキー34短押し
である。つまり、ユーザは表示情報拡大処理を開始するため、最初にS0キーを長押しする。また、表示情報拡大処理の終了にもこのS0キー長押しを充てる。テンキー部33(T1〜T15)押下による拡大対象領域の選択は、図2のとおり、T1:A、T2:B、・・・・・・、T15:Oと対応付けることで実行する。テンキーを押下した際にそれぞれのキー配置に対応した分割領域が拡大対象領域として選択され、拡大対象枠及び拡大対象情報が表示される。また、方向キー(上下左右)押下によるインプットでは、拡大対象領域があらかじめ設定された変更可能なある座標分だけその方向へ平行移動し、移動先の分割領域を新たに拡大対象領域として、この領域に対する拡大対象枠及び拡大対象情報を表示させる。この移動量については、左右方向へ「α」、上下方向へ「β」とし、方向キーが押下される度にその方向へ上記設定値分だけ移動する。更に、拡大対象枠を一時的に非表示にするには、サイドキー34を押下する。
【0022】
キー入力部31からの有効なインプットは、上記に加えて、後述の拡大対象領域を変更する拡大対象領域調整キーがある。このうち、テンキー/方向キー押下によるインプットのみが座標データであり、それ以外のインプットはすべて、それぞれの処理を実行するための命令である。本実施例では、座標原点を表示画面の左上に設定し、これと交差する縦横座標軸を正に取る。テンキー/方向キー押下によってインプットされる入力座標とは、拡大対象領域の左上の座標を示しており、これを(x,y)とする。入力情報判断部41は、受け取ったインプットがこれらのうち、どれに該当するものかを判断し、必要に応じて記憶部50に保存されている(X,Y)(拡大対象領域基準座標52)や(W,L)(拡大対象枠設定値53)を更新し、拡大対象枠表示制御部42及び拡大対象情報表示制御部43へ、拡大対象枠及び拡大対象情報の表示に必要となる基準座標(X,Y)を渡す。S0キー長押しによる表示情報拡大処理開始時において、(X,Y)、(W,L)には、それぞれデフォルト値が保存されている。すなわち、(X,Y)には、画面中央に位置する分割領域Hの左上の座標(X,Y)が、(W,L)には、15等分した分割領域のうちの1領域の(横,縦)の幅(W=w,L=l)がそれぞれ保存されている(各々について図2、7参照)ため、S0キー長押しにより表示情報拡大処理を開始すると、まず、拡大表示制御処理(図6参照)が実行される。すなわち、画面中央に位置する分割領域Hが拡大対象領域として選択され、拡大対象枠が第1表示画面21Aに、拡大対象情報が第2表示画面21Bにそれぞれ表示される(図7)。これは、T8キーを押下したときと同じ動作となる。
【0023】
ここで、拡大表示制御処理について述べる。この拡大表示制御処理では、拡大対象枠表示制御部42及び拡大対象情報表示制御部43がそれぞれ、拡大対象枠及び拡大対象情報を第1表示画面21A及び第2表示画面21Bに表示させる。このプロセスは、図6のフローチャートで示される。拡大表示制御処理が開始されると、入力情報判断部41は、拡大対象枠表示制御部42及び拡大対象情報表示制御部43の両者へ(X,Y)データを渡す。拡大対象枠表示制御部42及び拡大対象情報表示制御部43は、ステップS21にてこの(X,Y)を、ステップS22では(W,L)をそれぞれ取得する。更に、拡大対象情報表示制御部43は、実際に拡大処理を施す表示情報51もステップS23で読み込む必要がある。これら取得した各種データを用いて、拡大対象枠表示制御部42は、第1表示画面21Aに拡大対象枠を、拡大対象情報表示制御部43は、拡大対象領域(拡大対象枠内)の表示情報を抜き出し、これを拡大して第2表示画面21Bに、それぞれを表示させる(ステップS24)。
【0024】
次に、拡大対象領域調整キーを利用した拡大対象領域のサイズ(拡大率)変更処理について説明する。拡大対象領域調整キーとは、テンキー/方向キー押下の間に入力することで、現在拡大表示している拡大情報に対して拡大対象領域を追加、あるいは削減するキーのことである。この拡大対象領域調整キーを利用することで、ユーザは、拡大対象領域のサイズ(拡大率)を自由に且つ素早く変更することが可能となり、自身に適した画面に容易に切り替えて表示情報を閲覧することができる。この拡大対象領域調整キーには、例えばS0キーの短押しをアサインする。
【0025】
今、図7の通り表示情報拡大処理を開始するS0キー長押しにより分割領域Hが拡大表示されているとき、ステップS11にて拡大対象領域調整キーが入力され、続けてステップS12でテンキー/方向キーが押下されたとする。入力情報判断部41は、これらの入力を受けて、次に拡大対象領域作成データ更新処理(ステップS13)を実行する。拡大対象領域作成データ更新処理の詳細なフローについては、図5に示す通りとなる。値の更新について、(X,Y)は前述の通り拡大対象領域の左上の座標であり、原点は表示画面の左上に設定され、座標軸は原点に対して表示画面左方向、下方向をそれぞれ正に取っているため、(x<X)または(y<Y)、もしくは、(x<X 且つ y<Y)の場合にのみ(X,Y)の更新が発生する。一方、(W,L)の値は、現在拡大対象領域として選択されている領域が、サイズが(W=w,L=l)であるテンキー対応領域であり、この状態から同じテンキーが再度押下されるケースを除けば、必ず更新されることとなる。
【0026】
拡大対象領域調整キーを利用した新たな拡大対象領域の生成法としては、変更を意図して押下されたキーがテンキー及び方向キーのどちらであるかで異なる。まず、テンキーが押下された場合、このテンキーがどの位置のキーであっても、必ずもとの(X,Y)が属する分割領域と、新たに押下したテンキーに対応する分割領域の両者を含めた最小の長方形を作るように処理を施すこととする。すなわち、例えば、現在あるテンキーに対応する分割領域の情報が拡大表示されている状態で、このテンキーの位置に対して右隣に位置するテンキーを押下した場合、これら2つの分割領域を合わせた長方形が新たに拡大対象領域として選択される(図10)。また、もし、右斜め下側に隣接するテンキーが押下されれば、上記同様に2つの分割領域を含めた最小の長方形を拡大対象領域として生成するため、この押下したテンキーに対応する分割領域の上側及び左側に位置する分割領域も拡大対象領域として選択される。
【0027】
続いて、方向キーの押下による拡大対象領域の生成法を述べる。そもそも本発明における方向キーの役割は、拡大対象領域を移動量(α,β)の分だけ上下左右に移動し、移動先の分割領域を新しく拡大対象領域に変換することである。このため、拡大対象領域調整キーの押下後に方向キーが押下された場合は、それまで選択されていた拡大対象領域に加えて、上下左右方向に(α,β)だけ移動した移動先の分割領域を重ね合わせた領域が新たな拡大対象領域となる。換言すれば、これは、もとの拡大対象領域に対し、左右キーが押下された場合は、縦幅Lを変えずに左右方向へαの分だけ(図11)、上下キーが押下されれば、横幅Wはそのままで上下方向へβの分だけ拡大対象領域を広げることを意味する。すなわち、例えば、サイズが(W,L)の拡大対象領域に対して右キーが押下されると、拡大対象領域はαだけ右側へ広がり、そのサイズは(W+α,L)となる。上キーが押下されれば、拡大対象領域がβだけ上側に追加され、(W,L+β)のサイズを持つ拡大対象領域が新たに生成される。尚、テンキー/方向キーのいずれが押下された場合でも、(X,Y)には、変更された拡大対象領域の左上の座標データが採用される。
【0028】
以上を踏まえ、入力情報判断部41は、まず、ステップS31にて拡大対象領域調整キーの押下(ステップS11)後の入力(ステップS12)がテンキーによるものか方向キーによるものかを判断する。これがテンキーによる入力であった場合、まず入力情報判断部41は(W,L)を一旦デフォルト値(W=w,L=l)にリセットする(ステップS32)。続いて、(W,L)に更新が生じるかどうかを判断し、必要があれば更新をかける。ステップS33のように(x≠X 且つ y=Y)ならば、(W,L)は、(W=|X−x|+w,L)へ更新する必要がある(ステップS34)。ここで、|X−x|は、追加として押下されたテンキーに対応する分割領域の座標データxとXの絶対値(座標データの差の値>0)を表す。同様に、(x=X 且つ y≠Y)(ステップS35)であれば、(W,L)は、(W,L=|Y−y|+l)(ステップS36)へ、(x≠X 且つ y≠Y)(ステップS37)であれば、(W=|X−x|+w,L=|Y−y|+l)(ステップS38)へとそれぞれ更新がかけられる。
【0029】
続いて、入力情報判断部41は、(X,Y)の更新要否を判断し、必要であれば更新をかける。ステップS39のように((x<X 且つ y=Y)または(x<X 且つ y>Y))ならば、(X,Y)は、(X=x,Y)(ステップS40)へ更新する必要がある。同様に、((x=X 且つ y<Y)または(x>X 且つ y<Y))(ステップS41)であれば、(X,Y)は、(X,Y=y)(ステップS42)へ、(x<X 且つ y<Y)(ステップS43)であれば、(X=x,Y=y)(ステップS44)へそれぞれ更新される。ステップS39、S41、S43以外の(X,Y)が入力された場合、(X,Y)の更新は不要のため、実行されない。
【0030】
次に、ステップS12で方向キーが押下されたときの入力情報判断部41の処理について説明する。この場合、入力座標データは、(x≠X 且つ y=Y)、あるいは、(x=X 且つ y≠Y)の二通りしかないので、(W,L)は必ず更新される。つまり、ステップS45のように(x≠X 且つ y=Y)であれば、(W,L)は、(W=W+α,L)(ステップS47)へ、(x=X 且つ y≠Y)であれば、(W,L=L+β)(ステップS46)へとそれぞれ更新される。
【0031】
(X,Y)の更新処理についてもテンキーの場合と同様、(x<X 且つ y=Y)(ステップS48)なら、(X,Y)は、(X=x,Y)(ステップS49)へ、(x=X 且つ y<Y)(ステップS50)ならば、(X,Y=y)(ステップS51)へとそれぞれ更新されることになる。ステップS48、S50以外の(X,Y)が入力された場合、(X,Y)の更新は不要のため、実行されない。
【0032】
ステップS13における拡大対象領域作成データ更新処理が実行されると、拡大表示制御処理(ステップS14)により第1表示画面21A、第2表示画面21Bへ拡大対象枠および拡大対象情報がそれぞれ表示される。このとき、拡大対象枠表示制御部42および拡大対象情報表示制御部43が取得する(X,Y)および(W,L)は、それぞれ更新済みのデータとなる。ステップS14の処理の詳細なフローについては、図6に示す通りだが、本件は既に述べたのでその他詳細事項について、ここでは割愛する。
【0033】
また、拡大対象領域を示す拡大対象枠が表示された状態において、サイドキー34が押下されれば、この拡大対象枠を一時的に非表示にすることができる。ユーザは拡大対象枠を非表示とすることで、拡大対象枠の表示によって隠されてしまった情報を、表示情報拡大処理を終了することなく見返すことが可能となる。その後、再度このサイドキー34を押下することで、拡大対象枠は再び表示される。
【0034】
最後に、上記で説明してきた本表示情報拡大処理を実行した際の携帯端末装置10の動作について、図を用いて説明する。
【0035】
図7で示されるように、今、携帯端末装置10の第1表示画面21Aには表示情報51が、その上に分割領域Hの周囲を囲む拡大対象枠が表示されている。また、同図第2表示画面21Bには、分割領域Hの拡大情報が表示されている。この状態からユーザがT1キーを押下すると、表示画面は、図8のように分割領域Aに対する拡大対象枠および拡大対象情報の表示へと変わる。また、図7の状態から右キーを押下すれば、拡大対象領域は、図9のように分割領域Hを右方向へαだけ移動したものとなる。図8、図9の動作は、いずれも拡大対象領域調整キーを使用していないため、拡大対象領域のサイズ(拡大率)を示す(W,L)は変更されておらず、そのため、表示される拡大情報は拡大率が一定のままである。
【0036】
次に、図7の状態から拡大対象領域調整キーであるS0キー短押し、続けてT9キーが押下されたとする。この場合、図10のように分割領域Hに分割領域Iが追加された領域が拡大対象領域として選択される。このため、拡大対象領域のサイズは、(W=2w,L=l)となり、図示されている通りに、拡大対象領域および拡大対象情報がそれぞれ表示されることとなる。
【0037】
また、図7の状態から拡大対象領域調整キーであるS0キー短押し、続けて右キーが押下されたとする。この場合、図11のように分割領域Hにαだけ右側へ領域が追加された(W=w+α,L=l)のサイズを持つ拡大対象領域が新たに生成される。
【0038】
同様に、図12は、図10の状態からS0キー短押し、T11キーを続けて押下した場合の動作を表し、図13は、図7の状態からS0キー短押し、T4キーを続けて押下した場合の動作を表し、図14は、図13の状態から上キーを押下した場合の動作を表し、図15は、図14の状態からS0キー短押し、T9キーを続けて押下した場合の動作を表す。
【0039】
更に、図16にて分割領域D、E、Fを合わせた領域が拡大対象領域として選択されている場合、図17は、図16の状態からS0キー短押し、T12キーを続けて押下した場合の動作を表し、図18は、図17の状態からS0キー短押し、T11キーを続けて押下した場合の動作を表し、図19は、図18の状態からS0キー短押し、T7キーを続けて押下した場合の動作を表す。
【0040】
また、図7にてサイドキー34が押下された場合、図20に示すとおり、分割領域Hの周囲を囲んでいた拡大対象枠が非表示となる。
【0041】
本発明の効果は、携帯端末装置において、拡大対象領域のサイズを容易に変更し、変更後の領域の拡大情報を素早く表示させることにある。
【0042】
その理由は、拡大対象領域調整キーを設け、これを間に挿み、テンキー/方向キーを続けて押下するだけで拡大対象領域を増減することが可能となるからである。本制御方法により、ユーザは適当な拡大対象領域のサイズ(拡大率)で拡大情報を閲覧することができる。
【0043】
以上、本発明を実施の形態を用いて説明したが、本発明の技術的範囲は、上記実施の形態に記載の範囲には限定されない。上記実施の形態に、多様な変更又は改良を加えることが可能であることが当業者に明らかである。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0044】
10:携帯端末装置
20A:第1表示部
20B:第2表示部
21A:第1表示画面
21B:第2表示画面
30:操作部
31:キー入力部
32:ソフトキー部
33:テンキー部
34:サイドキー
40:制御部
41:入力情報判断部
42:拡大対象枠表示制御部
43:拡大対象情報表示制御部
50:記憶部
51:表示情報
52:拡大対象領域基準座標
53:拡大対象枠設定値

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示情報から選択された一部の領域の選択情報を拡大表示する携帯端末装置であって、
表示情報を表示する第1表示画面を有する第1表示部と、
前記第1表示画面に表示された表示情報から選択された一部の領域の選択情報を拡大表示する第2表示画面を有する少なくとも1つの第2表示部と、
前記第1表示画面に表示された表示情報から拡大表示すべき一部の領域の選択入力を受け付けるキー入力部と、
前記キー入力部が選択入力を受け付けた一部の領域の選択情報を拡大して前記第2表示画面に表示させるよう制御する制御部と
を備え、
前記制御部は、ある一部の領域の選択情報が前記第2表示画面に既に表示されている状態において、前記キー入力部が新たな領域の選択入力を受け付けた場合、既に表示されている領域の一部、あるいは全部の選択情報と、新たに選択された新たな領域の選択情報とを含む領域の選択情報を拡大して前記第2表示画面に表示させるよう制御する
ことを特徴とする携帯端末装置。
【請求項2】
前記キー入力部は、複数のキーから成るテンキーを含み、
前記第1表示画面に表示されている表示情報は、前記テンキーの各キーに対応するように、複数の領域に分割されており、
前記制御部は、前記テンキーの一つ以上のあるキーに対応する領域の選択情報が前記第2表示画面に既に表示されている状態において、前記キー入力部が前記テンキーの新たなキーに対応する領域の選択入力を受け付けた場合、既に表示されている前記テンキーの一つ以上のあるキーに対応する領域の一部、あるいは全部の選択情報と、新たに選択された前記テンキーの新たなキーに対応する新たな領域の選択情報とを含む領域の選択情報を拡大して前記第2表示画面に表示させるよう制御する
ことを特徴とする請求項1に記載の携帯端末装置。
【請求項3】
前記キー入力部は、それぞれ異なる方向に対応する複数の方向キーを含み、
前記制御部は、ある一部の領域の選択情報が前記第2表示画面に既に表示されている状態において、前記キー入力部が前記方向キーに対応する方向の新たな領域の選択入力を受け付けた場合、既に表示されている領域の選択情報と、新たに選択された前記方向キーに対応する方向の新たな領域の選択情報とを含む領域の選択情報を拡大して前記第2表示画面に表示させるよう制御する
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末装置。
【請求項4】
前記制御部は、
前記第1表示画面に表示された表示情報の一部の領域の選択情報を前記第2表示画面に拡大表示させる際に必要な各種データを格納するデータ格納部
を有する請求項1から3のいずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項5】
前記データ格納部は、前記第1表示画面に表示された表示情報の一部の領域の選択情報を前記第2表示画面に拡大表示させる際に必要なデータとして、前記第1表示画面に表示される拡大処理を施していない表示データを格納する
請求項4に記載の携帯端末装置。
【請求項6】
前記データ格納部は、前記第1表示画面に表示された表示情報の一部の領域の選択情報を前記第2表示画面に拡大表示させる際に必要なデータとして、表示情報から選択された一部の領域の基準座標を示すデータを格納する
請求項4又は5に記載の携帯端末装置。
【請求項7】
前記データ格納部は、前記第1表示画面に表示された表示情報の一部の領域の選択情報を前記第2表示画面に拡大表示させる際に必要なデータとして、表示情報から選択された一部の領域の拡大率を変更させるパラメータを示すデータを格納する
請求項4から6のいずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項8】
前記データ格納部は、パラメータを示すデータとして、表示情報から選択された一部の領域の縦、横の幅を示すデータを格納する
請求項7に記載の携帯端末装置。
【請求項9】
前記制御部は、
前記キー入力部が受け付けた入力操作の内容が何の命令を意図するものであるかを判断する入力情報判断部
を更に有する請求項1から8のいずれか一項に記載の携帯端末装置。
【請求項10】
前記入力情報判断部は、表示情報から選択された一部の領域の基準座標を示すデータを出力する
請求項9に記載の携帯端末装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate


【公開番号】特開2012−142882(P2012−142882A)
【公開日】平成24年7月26日(2012.7.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−1053(P2011−1053)
【出願日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【出願人】(310006855)NECカシオモバイルコミュニケーションズ株式会社 (1,081)
【Fターム(参考)】