説明

携帯端末

【課題】楕円状の入力キーにおける操作性の悪化を抑制し得る携帯端末を提供する。
【解決手段】カーソルキー20は、その露出面が外装ケースの長手方向に長い楕円状に形成されている。スイッチ手段30の4つの接点31a〜31dは、2つの長軸側接点31a,31cが中心軸Loから露出面21の長軸方向にて互いに所定距離だけ離間するように配置されるとともに、他の2つの短軸側接点31b,31dが中心軸Loから長軸方向に直交する短軸方向にて互いに上記所定距離よりも短い距離だけ離間するように配置されている。また、4つの接点パターン32a〜32dは、両短軸側接点パターン32b,32dの接触面が、両長軸側接点パターン32a,32cの接触面に対して、中心軸Loから離間する側を除いて形成されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーソルキー等の入力キーを備える携帯端末に関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯端末の入力キーとして採用されるカーソルキーは、当該入力キーの中心位置から上下左右の接点までの各距離を等しく設定することにより、上下左右の入力操作感を等しくしている。
【0003】
ところで、携帯端末の小型化を図りつつ握りやすさを優先する場合には、外装ケースはその幅が狭くなるように形成される。この場合、外装ケースの幅を狭くすることに応じて単純に入力キーを小さくすると、隣同士のキーが同時に押されやすくなり、入力キーの操作性が悪化してしまうという問題がある。
【0004】
上述のように外装ケースの幅が狭くなる場合であっても隣同士のキーを同時に押されにくくするためには、入力キーを外装ケースの長手方向に長い楕円状に形成して上下方向のキー同士の離間距離を左右方向のキー同士の離間距離よりも大きくして、隣同士のキーを離間させる必要がある。このように、楕円状に形成される入力キーとしては、たとえば、下記特許文献1に示す小型電子機器におけるシーソ型押釦スイッチの操作子が知られている。
【特許文献1】特開平10−116540号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
図5は、従来技術に係る楕円状入力キー100の非反応領域Sを説明するための説明図である。
しかしながら、図5に示すように、単純に入力キー100の操作面101を楕円状に形成して、外装ケースの長手方向の長軸側キーを構成する長軸側接続部Pa,Pc同士を長手方向に直交する方向の短軸側キーを構成する短軸側接続部Pb,Pd同士よりも離間させるだけでは、隣同士のキーの中間押圧位置Pm近傍を押圧した場合に、この中間押圧位置Pmに近い短軸側キーに対応する接続部と端子とが先に接触して反応することから、短軸側キーの入力操作とみなされてしまう。なお、各接続部Pa〜Pdおよび対応する端子は、入力キー100の操作面101とは反対側に取り付けられている。
【0006】
すなわち、図5に示すように、短軸側キーPb,Pdの反応タイミングと長軸側キーPa,Pcの反応タイミングとの差が小さいためにキー入力が反映されない領域である非反応領域Sが、長軸側キーPa,Pcに近づくようにずれてしまう。このため、上下左右キーの入力操作感が等しくならず、操作性の悪化を十分に抑制することができないという問題がある。
【0007】
本発明は、上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、楕円状の入力キーにおける操作性の悪化を抑制し得る携帯端末を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するため、特許請求の範囲に記載の請求項1の携帯端末では、外装ケース(11)と、前記外装ケースから露出する形態で変位可能に支持されて、その露出面(21)が前記外装ケースの長手方向に長い楕円状に形成される入力キー(20)と、前記入力キーの前記露出面とは反対側に取り付けられて円環状の接触面を有する4つの接触部(31a〜31d)とこれら各接触部にそれぞれ対向するように配置される4つの端子(32a〜32d)とを有するスイッチ手段(30)と、を備え、前記入力キーの前記露出面に対する押圧操作に応じて当該露出面の中心軸(Lo)が傾斜するように前記入力キーが変位することにより前記スイッチ手段のいずれかの前記接触部が対向する前記端子に接触するように構成される携帯端末であって、前記4つの接触部は、2つの長軸側接触部(31a,31c)が前記中心軸から当該露出面の長軸方向にて互いに所定距離だけ離間するように配置されるとともに、他の2つの短軸側接触部(31b,31d)が前記中心軸から前記長軸方向に直交する短軸方向にて互いに前記所定距離よりも短い距離だけ離間するように配置され、前記4つの端子は、前記両短軸側接触部の前記接触面にそれぞれ対向する2つの短軸側端子(32b,32d)の接触面(35,36)が、前記両長軸側接触部の前記接触面にそれぞれ対向する他の2つの長軸側端子(32a,32c)の接触面(33,34)に対して、前記中心軸から離間する側を除いて形成されることを技術的特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
請求項1の発明では、携帯端末は、外装ケースと、この外装ケースから露出する形態で変位可能に支持される入力キーと、スイッチ手段とを備えている。入力キーは、その露出面が外装ケースの長手方向に長い楕円状に形成されており、スイッチ手段は、入力キーの露出面とは反対側に取り付けられて円環状の接触面を有する4つの接触部とこれら各接触部にそれぞれ対向するように配置される4つの端子とを有している。そして、4つの接触部は、2つの長軸側接触部が露出面の中心軸から当該露出面の長軸方向にて互いに所定距離だけ離間するように配置されるとともに、他の2つの短軸側接触部が露出面の中心軸から長軸方向に直交する短軸方向にて互いに上記所定距離よりも短い距離だけ離間するように配置されている。また、4つの端子は、両短軸側接触部の接触面にそれぞれ対向する2つの短軸側端子の接触面が、両長軸側接触部の接触面にそれぞれ対向する他の2つの長軸側端子の接触面に対して、露出面の中心軸から離間する側を除いて形成されている。
【0010】
これにより、短軸側接触部および長軸側接触部の中間位置に相当する中間押圧位置の押圧操作により露出面の中心軸が傾斜するように入力キーが変位する場合には、露出面の中心軸に近い短軸側接触部が長軸側接触部よりも先に対応する端子に近接する。このとき、短軸側端子の接触面は露出面の中心軸から離間する側を除いて形成されているので、まず、短軸側接触部の接触面は、露出面の中心軸から離間する側の一部にて短軸側端子が設けられる基板面等に接触するものの、短軸側端子の接触面には接触していない。一方、長軸側接触部の接触面と長軸側端子の接触面との間には隙間があり、この段階では両接触面は接触していない。
【0011】
そして、上記押圧操作に応じてさらに露出面の中心軸が傾斜するように入力キーが変位すると、短軸側接触部の接触面の一部と上記基板面等との接触領域が増加し、所定の傾斜角度まで露出面の中心軸が傾斜することで、短軸側接触部の接触面が短軸側端子の接触面に接触し始める。
【0012】
このように、短軸側の反応タイミングを遅らせることにより、上記中間押圧位置を押圧操作する場合でも、短軸側の反応タイミングと長軸側の反応タイミングとの差が小さくなるので、短軸側の入力操作感と長軸側の入力操作感との違いを少なくすることができる。
したがって、楕円状の入力キーにおける操作性の悪化を抑制することができる。
【0013】
請求項2の発明では、両短軸側端子の接触面は、両短軸側接触部の接触面のうち露出面の中心軸側の半円環部分(以下、中心軸側半円環部分ともいう)のみにそれぞれ接触するように形成されている。
【0014】
これにより、中間押圧位置の押圧操作に応じて露出面の中心軸が傾斜するように入力キーが変位すると、まず、短軸側接触部の接触面のうち露出面の中心軸から離間する側の半円環部分の一部のみが短軸側端子が設けられる基板面等に接触する。そして、上記押圧操作に応じてさらに露出面の中心軸が傾斜するように入力キーが変位すると、短軸側端子の接触面が短軸側接触部の中心軸側半円環部分のみに接触するように形成されているので、短軸側接触部の中心軸側半円環部分が短軸側端子の接触面に接触し始めるとき、長軸側接触部の接触面が長軸側端子の接触面に接触し始める。
【0015】
これにより、短軸側の反応タイミングと長軸側の反応タイミングとを等しくすることができる。また、このように反応タイミングが等しくなるため、短軸側の反応タイミングと長軸側の反応タイミングとの差が小さいためにキー入力が反映されない領域である非反応領域を小さく設定することができる。
したがって、入力操作感が等しくなることに加えて反応領域が増えることにより、楕円状の入力キーにおける操作性をさらに向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の携帯端末をバーコードリーダに適用した一実施形態について図を参照して説明する。図1は、本実施形態に係る携帯端末10の要部を概念的に説明する平面図である。図2は、図1のカーソルキー20を拡大して示す拡大図である。図3は、図2の3−3断面を示す断面図である。図4は、スイッチ手段30の接点31a〜31dと接点パターン32a〜32dとの関係を示す説明図である。なお、図3では、便宜上、カーソルキー20は側面から見た状態で図示している。図4では、基板40上に実装されるスイッチ手段の各接点パターン32a〜32dを除き、各接点31a〜31dやカーソルキー20等は波線にて示している。
【0017】
図1に示すように、携帯端末10は、外装ケース11内に情報コードリーダを構成するための各種電気部品(光源、レンズ、受光センサ、記憶手段、制御回路等)が収容されるように構成されている。この外装ケース11内の電気的構成は、公知の情報コードリーダ(バーコードリーダ、二次元コードリーダ等)と同様の構成とすることができる。
【0018】
携帯端末10は、入力キーとして機能する楕円状のカーソルキー20を備えており、このカーソルキー20は、外装ケース11の表面側中央部に形成される当該外装ケース11の長手方向に長い楕円状の開口部11aから外部に露出する形態で変位可能に支持されている。
【0019】
図1および図2に示すように、カーソルキー20は、外装ケース11の長手方向に長い楕円状に形成されており、楕円状の露出面21には、使用者が上下左右いずれかの入力作業を行なう際に押圧する目処となる第1押圧部22a、第2押圧部22b、第3押圧部22c、第4押圧部22dの4つの押圧部が設けられている。
【0020】
これら4つの押圧部のうち、第1押圧部22aおよび第3押圧部22cは、露出面21の中心にてこの露出面21に直交する中心軸Loから当該露出面21の長軸方向にて互いに所定距離だけ離間するように配置されている。また、第2押圧部22bおよび第4押圧部22dは、中心軸Loから当該露出面21の長軸方向に直交する短軸方向にて互いに上記所定距離よりも短い距離だけ離間するように配置されている。
【0021】
また、図3および図4に示すように、携帯端末10は、カーソルキー20の露出面21とは反対側に取り付けられるスイッチ手段30を備えており、このスイッチ手段30は、円環状の接触面を有する4つの接点31a〜31dと、これら各接点31a〜31dにそれぞれ対向するように基板40に実装される4つの接点パターン32a〜32dとを備えている。
【0022】
4つの接点31a〜31dのうち、第1接点31aおよび第3接点31cの長軸側接点は、中心軸Loから露出面21の長軸方向にて互いに所定距離だけ離間するように配置されている。また、第2接点31bおよび第4接点31dの短軸側接点は、中心軸Loから当該露出面21の長軸方向に直交する短軸方向にて互いに上記所定距離よりも短い距離だけ離間するように配置されている。なお、第1接点31aおよび第3接点31cは、特許請求の範囲における「長軸側接触部」の一例に相当し、第2接点31bおよび第4接点31dは、特許請求の範囲における「短軸側接触部」の一例に相当する。
【0023】
4つの接点パターン32a〜32dは、第2接点パターン32bおよび第4接点パターン32dの短軸側接点パターンにおける接触面が、第1接点パターン32aおよび第3接点パターン32cの長軸側接点パターンにおける接触面に対して、中心軸Loから離間する側を除くように形成されている。なお、第1接点パターン32aおよび第3接点パターン32cは、特許請求の範囲における「長軸側端子」の一例に相当し、第2接点パターン32bおよび第4接点パターン32dは、特許請求の範囲における「短軸側端子」の一例に相当する。
【0024】
具体的には、例えば、図4に示すように、第1接点パターン32aは、櫛歯状の正側接点パターン33と負側接点パターン34とを備えており、正側接点パターン33および負側接点パターン34は、第1接点31aの円環状接触面が当該第1接点パターン32aの一部または全部に接触するとき導通する接触面として機能するように形成されている。また、第3接点パターン32cも第1接点パターン32aと同様に形成されている。
【0025】
また、第2接点パターン32bは、櫛歯状の正側接点パターン35と負側接点パターン36とを備えており、正側接点パターン35および負側接点パターン36は、第2接点31bの円環状接触面のうち中心軸Lo側の中心軸側半円環部分37のみに接触して導通する接触面として機能するように形成されている(図4参照)。また、第4接点パターン32dも第2接点パターン32bと同様に形成されている。
【0026】
次に、上述のように構成される携帯端末10に対する入力操作について説明する。
カーソルキー20の露出面21に対して所定の方向を入力するために、いずれかの押圧部22a〜22dに対する押圧操作がなされると、この押圧操作に応じて中心軸Loが傾斜するようにカーソルキー20が変位する。このようなカーソルキー20の変位により、スイッチ手段30の4つの接点31a〜31dのうち1つが対向する接点パターンに接触すると、その接点パターンの正側接点パターンと負側接点パターンとが導通して反応することにより、上記所定の方向の入力が認識される。
【0027】
また、隣同士の押圧部、例えば、押圧部22aと押圧部22bの中間である中間押圧位置Pab(図4参照)近傍の押圧操作に応じて中心軸Loが傾斜するようにカーソルキー20が変位すると、中心軸Loに近い第2接点31bが第1接点31aよりも先に、対応する端子である第2接点パターン32bに近接する。
【0028】
このとき、第2接点パターン32bは、正側接点パターン35および負側接点パターン36が第2接点31bの中心軸側半円環部分37のみに接触するように形成されているので、まず、第2接点31bの円環状接触面は、中心軸側半円環部分37と異なり中心軸Loから離間する部位にて基板40の基板面等に接触するものの、第2接点パターン32bの接触面(正側接点パターン35と負側接点パターン36)には接触していない。一方、第1接点31aの円環状接触面と第1接点パターン32aの接触面(正側接点パターン33と負側接点パターン34)と間には隙間があり、この段階では両接触面は接触していない。
【0029】
そして、上記押圧操作に応じてさらに中心軸Loが傾斜するようにカーソルキー20が変位すると、第2接点31bの円環状接触面の一部と上記基板面等との接触領域が増加し、所定の傾斜角度まで中心軸Loが傾斜することで、第2接点31bの円環状接触面が第2接点パターン32bの正側接点パターン35および負側接点パターン36を導通して反応し始める。
【0030】
このように、第2接点31bおよび第2接点パターン32bの反応タイミングが遅れるので、上記押圧位置Pab近傍を押圧操作する場合でも、第2接点31bおよび第2接点パターン32bの短軸側の反応タイミングと、第1接点31aおよび第1接点パターン32aの長軸側の反応タイミングとの差を小さくすることができる。これは、押圧部22bと押圧部22cの中間押圧位置Pbcや押圧部22cと押圧部22dの中間押圧位置Pcd、押圧部22dと押圧部22aの中間押圧位置Pda近傍における押圧操作する場合でも同様の効果を奏する。
【0031】
特に、第2接点パターン32bの正側接点パターン35および負側接点パターン36は、第2接点31bの円環状接触面のうち中心軸側半円環部分37のみに接触するように形成されているので、第2接点31bの中心軸側半円環部分37が第2接点パターン32bの正側接点パターン35および負側接点パターン36に接触して導通し始めるとき、第1接点31aの円環状接触面が第1接点パターン32aの正側接点パターン33および負側接点パターン34に接触して導通し始める。
【0032】
これにより、中間押圧位置Pabの押圧操作に応じて、第2接点31bおよび第2接点パターン32bの短軸側の反応タイミングと、第1接点31aおよび第1接点パターン32aの長軸側の反応タイミングとを等しくすることができる。これは、押圧部22bと押圧部22cの中間押圧位置Pbcや押圧部22cと押圧部22dの中間押圧位置Pcd、押圧部22dと押圧部22aの中間押圧位置Pdaにおける押圧操作する場合でも同様の効果を奏する。また、このように反応タイミングが等しくなるため、短軸側の反応タイミングと長軸側の反応タイミングとの差が小さいためにキー入力が反映されない領域である非反応領域Sを小さく設定することができる(図4参照)。
【0033】
以上説明したように、本実施形態に係る携帯端末10では、カーソルキー20は、その露出面21が外装ケース11の長手方向に長い楕円状に形成されている。スイッチ手段30の4つの接点31a〜31dは、2つの長軸側接点31a,31cが中心軸Loから露出面21の長軸方向にて互いに所定距離だけ離間するように配置されるとともに、他の2つの短軸側接点31b,31dが中心軸Loから長軸方向に直交する短軸方向にて互いに上記所定距離よりも短い距離だけ離間するように配置されている。また、4つの接点パターン32a〜32dは、両短軸側接点31b,31dの円環状接触面にそれぞれ対向する2つの短軸側接点パターン32b,32dの接触面(正側接点パターン35および負側接点パターン36)が、両長軸側接点31a,31cの円環状接触面にそれぞれ対向する他の2つの長軸側接点パターン32a,32cの接触面(正側接点パターン33および負側接点パターン34)に対して、中心軸Loから離間する側を除くように形成されている。
【0034】
これにより、中間押圧位置Pab,Pbc,Pcd,Pda近傍の押圧操作により中心軸Loが傾斜するようにカーソルキー20が変位する場合には、短軸側の反応タイミングが遅れるので、中間押圧位置Pab,Pbc,Pcd,Pda近傍を押圧操作する場合でも、短軸側の反応タイミングと長軸側の反応タイミングとの差が小さくなり、短軸側の入力操作感と長軸側の入力操作感との違いを少なくすることができる。
したがって、楕円状のカーソルキー20における操作性の悪化を抑制することができる。
【0035】
また、本実施形態に係る携帯端末10では、短軸側接点パターン32b,32dの正側接点パターン35および負側接点パターン36は、両短軸側接点31b,31cの円環状接触面のうち中心軸側の半円環部分である中心軸側半円環部分37のみにそれぞれ接触するように形成されている。
【0036】
これにより、中間押圧位置Pab,Pbc,Pcd,Pdaの押圧操作に応じて、軸側接点31b,31dの中心軸側半円環部分37が対応する短軸側接点パターンの正側接点パターン35および負側接点パターン36に接触して導通し始めるとき、長軸側接点31a,31cの円環状接触面が長軸側接点パターンの正側接点パターン33および負側接点パターン34に接触して導通し始めるので、短軸側の反応タイミングと、長軸側の反応タイミングとを等しくすることができる。また、このように反応タイミングが等しくなるため、非反応領域Sを小さく設定することができる。したがって、入力操作感が等しくなることに加えて反応領域が増えることにより、楕円状のカーソルキー20における操作性をさらに向上させることができる。
【0037】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように具体化してもよく、その場合でも、上記実施形態と同等の作用・効果が得られる。
(1)短軸側の接点パターン32b,32dの正側接点パターン35と負側接点パターン36は、対応する接点における円環状接触面のうち中心軸Lo側の中心軸側半円環部分37のみに接触して導通するように形成されることに限らず、短軸側接点31b,31d同士の離間距離および長軸側接点31a,31c同士の離間距離に応じて、短軸側の反応タイミングと長軸側の反応タイミングとの差を小さくするように、中心軸Loから離間する側の一部を除いて形成されてもよい。
【0038】
(2)各接点パターン32a〜32dは、櫛歯状の正側接点パターンと負側接点パターンとを有するように基板40に実装されることに限らず、対応する接点との接触により導通可能な形状であればよい。
【0039】
(3)上述した実施形態では、携帯端末として、バーコードリーダを例示して説明したが、これに限られることはなく、例えば、ICカード等を読み取る決済端末など十字状の入力キーを有する装置であれば、上述と同様に作用および効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】本実施形態に係る携帯端末の要部を概念的に説明する平面図である。
【図2】図1のカーソルキーを拡大して示す拡大図である。
【図3】図2の3−3断面を示す断面図である。
【図4】図4は、スイッチ手段の接点と接点パターンとの関係を示す説明図である。
【図5】従来技術に係る楕円状入力キーの非反応領域を説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0041】
10…携帯端末
11…外装ケース
20…カーソルキー(入力キー)
21…露出面
30…スイッチ手段
31a…第1接点(長軸側接触部)
31b…第2接点(短軸側接触部)
31c…第3接点(長軸側接触部)
31d…第4接点(短軸側接触部)
32a…第1接点パターン(長軸側端子)
32b…第2接点パターン(短軸側端子)
32c…第3接点パターン(長軸側端子)
32d…第4接点パターン(短軸側端子)
33…正側接点パターン(接触面)
34…負側接点パターン(接触面)
35…正側接点パターン(接触面)
36…負側接点パターン(接触面)
37…中心軸側半円環部分
Lo…中心軸
Pab,Pbc,Pcd,Pda…中間押圧位置
S…非反応領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外装ケースと、
前記外装ケースから露出する形態で変位可能に支持されて、その露出面が前記外装ケースの長手方向に長い楕円状に形成される入力キーと、
前記入力キーの前記露出面とは反対側に取り付けられて円環状の接触面を有する4つの接触部とこれら各接触部にそれぞれ対向するように配置される4つの端子とを有するスイッチ手段と、
を備え、
前記入力キーの前記露出面に対する押圧操作に応じて当該露出面の中心軸が傾斜するように前記入力キーが変位することにより前記スイッチ手段のいずれかの前記接触部が対向する前記端子に接触するように構成される携帯端末であって、
前記4つの接触部は、2つの長軸側接触部が前記中心軸から当該露出面の長軸方向にて互いに所定距離だけ離間するように配置されるとともに、他の2つの短軸側接触部が前記中心軸から前記長軸方向に直交する短軸方向にて互いに前記所定距離よりも短い距離だけ離間するように配置され、
前記4つの端子は、前記両短軸側接触部の前記接触面にそれぞれ対向する2つの短軸側端子の接触面が、前記両長軸側接触部の前記接触面にそれぞれ対向する他の2つの長軸側端子の接触面に対して、前記中心軸から離間する側を除いて形成されることを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記両短軸側端子の接触面は、前記両短軸側接触部の前記接触面のうち前記中心軸側の半円環部分のみにそれぞれ接触するように形成されることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−118227(P2010−118227A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−290064(P2008−290064)
【出願日】平成20年11月12日(2008.11.12)
【出願人】(501428545)株式会社デンソーウェーブ (1,155)
【Fターム(参考)】