説明

携帯端末

【課題】携帯端末の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまうことを防止することができる携帯端末を提供する。
【解決手段】イベント発生前において静止状態検出部301が携帯端末1の一定時間静止状態を検出し、状態遷移履歴記憶部303が静止状態と判定した場合、姿勢検出部302が検出動作を行い、静止状態検出部301が携帯端末1の一定時間静止状態を検出し、状態遷移履歴記憶部303が静止状態でないと判定した場合、姿勢検出部302は検出動作を行わない。即ち、イベント発生前において、端末が静止状態であれば、端末の姿勢検出を行い、また、端末が静止状態でなければ、端末の姿勢検出を行わない。このように、携帯端末1の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまうことを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話、PDA(Personal Digital Assistant)等の携帯端末に関し、特に、イベントに基づく動作を補足する補足情報を表示する表示部を備える携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話は、いつでも、どこでも利用可能で便利な反面、使用を控えるべき場所、場面で着信音を鳴動させてしまい、周囲に迷惑をかけてしまうことがある。例えば、携帯電話を机の上において会議を行っている際に着信があった場合、なるべく早く着信音を停止することが好ましい。この場合、簡易的に発信者を氏名等の情報をサブ液晶等の表示部に表示させることで、ユーザはサブ液晶を確認し、緊急性がない着信であることを確認した上で自動応答や不応答など、適切な対処を行うことができる。
【0003】
従来の携帯端末の一例として、通信ネットワークを介して通信可能な情報通信端末であって、当該情報通信端末の姿勢を検知し、検知した姿勢の変化に基づいて、実行中の動作を停止させるように制御する携帯通信端末が知られている(例えば、特許文献1参照)。このような携帯端末によれば、着信時には、端末が検知する重力方向が逆転することを検知して、自動応答を開始することが可能である。例えば、端末が備える表示部(ここでは表示部が上向き)に表示される発信情報を確認し、そのときに応答する必要がない場合には、端末の向きを反転(ここでは表示部が下向き)にすることで、自動応答(自動応答や鳴動停止して着信継続など)を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−166474号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の技術では、携帯端末の姿勢に基づいて実行中の動作を停止させるため、端末の表示部が下向きの状態で着信があった場合、電話をかけてきた相手の発信者情報を確認しようとして表示部が上向きとなるように端末の向きを反転させると、その時点で自動応答が開始されてしまい、すぐに着信に応答することができないことがある。
【0006】
また、例えば、端末をバッグ等に入れて歩行中に着信があった場合、あるいはバッグ等に入れた端末に着信があって、手探りで端末を取ろうとして端末がバッグの中に滑り落ちた場合に、端末の向きによっては意図しない鳴動停止が発生することがあり、着呼の停止による鳴動停止なのか、端末自体による鳴動停止なのか判断がつかず、ユーザが混乱する。
【0007】
本発明は、係る事情に鑑みてなされたものであり、携帯端末の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまう、動作を変更してしまうことを防止することができる携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の携帯端末は、イベントに基づく動作を補足する補足情報を表示する表示部を備える携帯端末であって、前記携帯端末の静止状態を検出する静止状態検出部と、前記携帯端末の姿勢を検出する姿勢検出部と、前記静止状態検出部による検出結果及び前記姿勢検出部による検出結果の少なくとも一方から前記携帯端末の状態遷移を判定する状態遷移判定部と、を備え、イベント発生前において、前記静止状態検出部が前記携帯端末の一定時間静止状態を検出し、前記状態遷移判定部が静止状態と判定した場合、前記姿勢検出部が検出動作を行い、また、前記静止状態検出部が前記携帯端末の一定時間静止状態を検出し、前記状態遷移判定部が静止状態でないと判定した場合、前記姿勢検出部は検出動作を行わない。
【0009】
上記構成によれば、イベント発生前において、端末が静止状態であれば、端末の姿勢検出を行い、また、端末が静止状態でなければ、端末の姿勢検出を行わないので、端末の表示部が下向きの状態で着信があった場合、電話をかけてきた相手の発信者情報を確認しようとして表示部が上向きとなるように端末の向きを反転させても、そのときは端末が静止状態とならないので、姿勢検出が行われず、自動応答による着信時の鳴動停止を防止できる。このことは、端末をバッグ等に入れて歩行中に着信があった場合や、バッグ等に入れた端末に着信があって、手探りで端末を取ろうとして端末がバッグの中に滑り落ちた場合でも同様に自動応答による着信時の鳴動停止を防止でき、着呼の停止による鳴動停止なのか、端末自体による鳴動停止なのか判断がつかないといったことがなくなる。このように、携帯端末の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまうことを防止することができる。
【0010】
上記構成において、イベント発生前の前記状態遷移判定部による判定結果を記憶しておき、イベント発生後に前記判定結果が静止状態であった場合、前記姿勢検出部が検出動作を行い、更に前記状態遷移判定部が判定動作を行い、これらの検出結果及び判定結果に基づきイベントに基づく動作を制御する。
【0011】
上記構成によれば、端末の姿勢の検出結果と状態の遷移判定結果に基づいてイベントに基づく動作を制御するので、上記同様に携帯端末の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまう、動作を変更してしまうことを防止することができる。
【0012】
上記構成において、イベントに基づく動作の制御として、電話の着信を知らせる鳴動を停止させる。または、メールの着信を知らせる鳴動を停止させる。または、アラームの報知を停止させる。また、上記いずれかの鳴動の音量を下げる。または、電話の着信を知らせる鳴動に応じて自動応答に切り替える。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、イベント発生前において、端末が一定時間静止状態であれば端末の姿勢検出を行い、また、端末が一定時間静止状態でなければ端末の姿勢検出を行わないので、携帯端末の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまう、動作を変更してしまうことを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明を実施するための好適な実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0015】
図1は、本発明の一実施の形態に係る携帯端末の概略構成を示すブロック図である。なお、本実施の形態の携帯端末1は、2つの筐体からなる折り畳み構造のものとするが、その他、一方の筐体を他方の筐体に対してスライドさせることで開閉できるようにしたスライド構造のものでも、筐体が1つのストレート構造のものでも構わない。
【0016】
図1において、本実施の形態の携帯端末1は、入力部10と、スピーカ20と、LED(発光ダイオード)30と、状態検知部40と、補足情報表示部50(以下、単に表示部50と呼ぶ)と、アプリケーション処理部100と、通信制御部110と、自動応答部120と、報知制御部200と、状態解析部300と、コマンド変換部400とを有して構成される。
【0017】
入力部10は、各種キー、タッチパネル、マイクであり、携帯端末1のユーザの指示による指示情報をアプリケーション処理部100に与える。スピーカ20は、受話音、着信音、アラーム音、音楽などの音声を出力する。LED30は、各種の光の点灯を行う。状態検知部40は、携帯端末1の状態を検知するものであり、加速度センサを備える。状態検知部40は、加速度センサにより携帯端末1に加わった単位時間当たりの速度の変化を検出することで、携帯端末1の傾き(姿勢)の変化、静止状態を検知する。補足情報表示部50は、イベントに基づく動作を補足する補足情報を表示する。なお、本実施の形態では加速度センサによる姿勢検出について記載するが、加速度センサに限定されるものではなく、携帯電話本体の姿勢を検出できるものであればよい。例えば、ジャイロセンサなどでもよい。
【0018】
ここで、イベントとは、着信動作を行うための他電話からの着信をしたことを示す情報、他電話からのメール着信をしたことを示す情報、アラーム動作を行うための時刻となったことを示す情報などイベントが発生したことを通知する情報である。これらのイベントが発生することで、着信に基づく着信動作、メール着信に基づくメール着信動作、時刻に基づくアラーム動作などイベント発生の通知を制御する動作が行われる。
【0019】
また、補足情報とは、着信動作における発信者に関する発信者情報(発信者氏名や発信元の電話番号など)、メール着信動作におけるメールに関するメール情報(タイトルや発信元のメールアドレスなど)、アラーム動作における設定時刻や予定の内容に関する情報などである。
【0020】
アプリケーション処理部100は、イベントに基づく動作を行う動作処理部であり、各種アプリケーションの処理を行う。アプリケーションとしては、例えば、通話(電話)アプリケーション、スケジュール管理を行うためのアプリケーション、外部装置(図示略)からの情報提供取得アプリケーションなどがある。例えば、電話着信の際には、通信制御部110からの受信信号に対して、報知制御部200に指示し、スピーカ20により鳴動音を出力させたり、LED30を点灯させたりする。通信制御部110は、各種通信制御を司るものであり、例えば、電話通信制御では通話時の電話の発着信制御などを行い、メールの通信制御ではメール送受信制御などを行い、インターネットの通信制御ではインターネットへの接続制御などを行う。
【0021】
自動応答部120は、電話通信を行う場合に、電話の着信時に利用者が応答できない場合に自動で応答を行う自動応答動作を行い、留守番電話機能を実現する。例えば、着信イベントが発生した後に所定時間経過した場合に、自動応答動作を行う。また、着信イベントが発生した後に、ユーザの指示により入力部10が自動応答指示を行い、当該自動応答指示に基づいて、自動応答部120が自動応答を行うこともある。このように、自動応答部120はイベントに基づく動作を行う。報知制御部200は、アプリケーション処理部100からの指示に従い、スピーカ20から出力する音声の出力制御やLED30による点灯制御を行う。
【0022】
状態解析部300は、携帯端末1の状態を解析するものであり、静止状態検出部301、姿勢検出部302、状態遷移履歴記憶部303及び状態変更判定部304を有する。静止状態検出部301は、状態検知部40の出力より携帯端末1の静止状態を検出し、検出結果を状態遷移履歴記憶部303及び状態変更判定部304へ通知する。姿勢検出部302は、状態検知部40の出力より携帯端末1の水平又は垂直の状態を検出し、検出結果を状態遷移履歴記憶部303及び状態変更判定部304へ通知する。状態遷移履歴記憶部303は、静止状態検出部301による検出結果及び姿勢検出部302による検出結果の少なくとも一方から携帯端末1の状態遷移を判定し、携帯端末1の姿勢履歴として記憶する。なお、この状態遷移履歴記憶部303は状態遷移判定部に対応する。
【0023】
姿勢検出部302の検出動作は、静止状態検出部301が携帯端末1の一定時間静止状態を検出し、状態遷移履歴記憶部303が静止状態と判定した場合に行われ、静止状態検出部301が携帯端末1の一定時間静止状態を検出し、状態遷移履歴記憶部303が静止状態でないと判定した場合には行われない。状態変更判定部304は、静止状態検出部301の検出結果、姿勢検出部302の検出結果及び状態遷移履歴記憶部303に記憶されている携帯端末1の状態遷移に基づき、携帯端末1で発生した姿勢変化が個別機能の実行(例えば鳴動停止)を意図した変化かどうかを判定し、意図した変化と判定した場合に機能実行のコマンド(例えば鳴動停止)を発行する。
【0024】
図2は、本実施の形態の携帯端末1による姿勢判定の概念を示す図である。同図に示すように、携帯端末1の姿勢がAHU及びAHLの領域内にあるときは水平状態にあることを検出し、Aの領域内にあるときは垂直状態にあることを検出する。また、AHU及びAHLの領域のうち、AHUの領域内にあるときは上向き(表向き)と判定し、AHLの領域内にあるときは下向き(裏向き)と判定する。
【0025】
また、図3は本実施の形態の携帯端末1を回転させたときの姿勢の遷移と姿勢判定の概念を示す図である。同図において、(a)は、初期状態として携帯端末1を水平表向きに置いた場合であり、初期位置P1から回転させて領域AHL内の位置P4では裏向きと判定する。更に回転させて位置P5で停止させると、裏向きで静止状態であると判定する。このように(a)は、携帯端末1の表示部50が見える水平表向きに置かれた状態から表示部50が見えなくなる水平裏向きに回転させた場合を示したものである。
【0026】
一方、(b)は、初期状態として携帯端末1を水平裏向きに置いた場合であり、初期位置P1から回転させて領域AHU内の位置P4では表向きと判定する。その後、初期位置P1側に回転させて初期位置P1で停止させると、裏向きで静止状態であると判定する。このように(b)は、携帯端末1の表示部50が見えない水平裏向きに置かれた状態から表示部50が見えるまで表向きに回転させ、その後、元の初期位置P1まで戻して停止させた場合を示したものである。
【0027】
図1に戻り、コマンド変換部400は、状態解析部300からの通知に基づいて、携帯端末1の姿勢変化やモーションを、アプリケーションに応じた個別のコマンドに変換すると、アプリケーション処理部100に対して、入力部10による特定の入力指示と同等の信号として通知する。例えば、状態解析部300からの通知に、報知制御部200に対して報知処理を停止させる情報が含まれる場合、コマンド変換部400が、この情報をコマンド変換してアプリケーション処理部100へ通知し、アプリケーション処理部100が報知制御部200へ通知する。これにより、報知処理が停止される。また、状態解析部300からの通知に、アプリケーション処理部100に対して現在行っている動作を停止させる情報が含まれる場合や新たな動作を開始させる情報が含まれる場合には、この情報をコマンド変換してアプリケーション処理部100へ通知する。これにより、現在行っている動作を停止したり、新たな動作を開始させたりする。
【0028】
次に、携帯端末1の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまうことを防止する基本的な処理について、図4に示すフローチャートを参照して説明する。同図において、まず携帯端末1が、水平かつ静止状態かどうかを判定し、その判定結果を一時記憶する(ステップS10)。次いで、着信があったかどうか判定し、着信が無い場合はステップS10に戻り、着信が有った場合はステップS12に進む(ステップS11)。ステップS12では、ステップS10で記憶した判定結果を用いて、携帯端末1が静止状態にあるかどうか判定する。この判定において、携帯端末1が静止状態でない場合(即ち携帯端末1を持っているか、あるいはバックの中に入っている場合)は、着信を継続すると共に鳴動を継続する(ステップS13)。
【0029】
ステップS12の判定において、携帯端末1が静止状態である場合は、携帯端末1の初期の向きを判定する(ステップS14)。即ち、携帯端末1が垂直方向に向いているか、垂直方向以外の方向に向いているかを判定する。携帯端末1の初期の向きが垂直である場合はステップS13に進み、着信を継続すると共に鳴動を継続する。これに対して、携帯端末1の初期の向きが垂直以外である場合は携帯端末1の姿勢を検出する処理を行う(ステップS15)。
【0030】
姿勢検出処理を行った後、携帯端末1が静止状態であるか否かを判定し(ステップS16)、静止状態でない場合はこのステップS16を繰り返し、静止状態である場合は状態遷移中に表向きと裏向きの両方に遷移したかどうか判定する(ステップS17)。携帯端末1が状態遷移中に表向きと裏向きの両方に遷移しなかった場合はステップS13に進み、着信を継続すると共に鳴動を継続する。これに対して、携帯端末1が状態遷移中に表向きと裏向きの両方に遷移した場合は、静止後の状態が裏面かどうか判定する(ステップS18)。静止後の状態が裏面でない場合はステップS13に進み、着信を継続すると共に鳴動を継続する。これに対して、静止後の状態が裏面である場合は、着信を継続するが、鳴動を停止する(ステップS19)。
【0031】
このように、携帯端末1が水平表向きで静止状態にあるときに、裏向きにされると、そのときの状態遷移が表向きから裏向きになる、即ち表向きと裏向きの両方に遷移することになる。そして、静止後の状態が裏面であれば、着信はそのまま継続するが、鳴動は停止する。つまり、携帯端末1を表向きに水平に置いた状態で着信があった場合、表示部50で発信者情報を確認して今すぐ応答する必要がないと判断して携帯端末1を裏向きに水平に置くと、鳴動が止まる。
【0032】
また、携帯端末1が水平裏向きで静止状態にあるときに、表向きにされた後、裏向きにされると、そのときの状態遷移が裏向き→表向き→裏向きになる、即ちこの場合も表向きと裏向きの両方に遷移することになる。そして、静止後の状態が裏面であれば、着信はそのまま継続するが、鳴動は停止する。つまり、携帯端末1を水平裏向きに置いた状態で着信があった場合、表示部50が見えるまで表向きにして発信者情報を確認し、現時点で応答する必要がないと判断して、携帯端末1を再び水平裏向きに置くと鳴動が止まる。
【0033】
以上が基本的な動作であるが、次に、携帯端末1を4回動かした場合の具体的な動作を、図5及び図6に示すフローチャートを参照して説明する。図5において、まず状態遷移履歴即ち状態遷移履歴記憶部303の内容を初期化する(ステップS30)。状態遷移履歴の初期化後、携帯端末1が静止状態かどうか判定し(ステップS31)、その判定結果を一時記憶する(ステップS32)。次に、軸判定を行う(ステップS33)。この場合、携帯端末1の軸は、図7に示すように、携帯端末1を閉じた状態で携帯端末1の表示部50が配置された表側に対して垂直方向をZ軸、携帯端末1の長手方向をX軸、携帯端末1の短手方向をY軸とし、これらの軸のうち、どの軸が天井方向に向いているかを判定する。例えば、Z軸が天井方向に向いている場合、携帯端末1は水平表向きの状態にある。この状態が初期状態である。
【0034】
なお、携帯端末1の回転・向きを判定する軸は、状態検知部40に使用される加速度センサの実装向きにより異なる。また、携帯端末1の筐体の向きによっても異なる。例えば、上筐体に加速度センサを実装した場合、上下筐体を開いた状態と閉じた状態とでは異なる。本実施の形態では、上述したように、携帯端末1を閉じた状態で携帯端末1の表示部50が配置された表側に対して垂直方向をZ軸、携帯端末1の長手方向をX軸、携帯端末1の短手方向をY軸としたが、必ずしもこれに限定されるものではない。
【0035】
ステップS33での軸判定を終えた後、その判定結果(軸方向)を記憶する(ステップS34)。次いで、着信があったかどうか判定し(ステップS35)、着信が無い場合はステップS31に戻り、着信が有った場合はステップS36に進む。ステップS36では、着信時に携帯端末1が静止状態にあるかどうか判定し(ステップS36)、着信時に携帯端末1が静止状態になければ本処理を終了し、着信時に携帯端末1が静止状態にあれば、状態が遷移しているかどうか、即ち携帯端末1が動いているかどうか判定する(ステップS37)。携帯端末1の状態が遷移していない場合(即ち動いていない場合)は本処理を終了する。
【0036】
携帯端末1の状態が遷移している場合(即ち動いている場合)は、携帯端末1が静止状態かどうか否か判定する(ステップS38)。この判定において、携帯端末1が静止状態である場合は、ある状態(1)に状態が遷移したので、応答制御するか否かを判定する(ステップS39)。この場合、ある状態(1)とは、携帯端末1を1回動かしたときの状態(初期状態に対して垂直方向)である。ステップS39の判定において、応答制御する場合は処理(1)を行い(ステップS40)、応答制御しない場合は本処理を終了する。処理(1)としては、例えば(1)着信時の鳴動を止める、(2)メールが入ってきたときのメール着信時の鳴動を止める、(3)アラームを止める、(4)自動応答に切り替える(留守録のためのメッセージを流す)等である。処理(1)を行った後、本処理を終了する。
【0037】
ステップS38の判定において、携帯端末1が静止状態でない場合は、携帯端末1の状態が遷移しているかどうか判定する(ステップS41)。この判定において、携帯端末1の状態が遷移していない場合はステップS39に進み、上記した処理を行う。これに対して、携帯端末1の状態が遷移している場合は、応答制御するか否かを判定する(ステップS42)。応答制御する場合は処理(1A)を行う(ステップS43)。応答制御しない場合とステップS43の処理(1A)を行った後は、携帯端末1が静止状態かどうか判定する(ステップS44)。この判定において、携帯端末1が静止状態である場合は、ある状態(2)に状態が遷移したので、応答制御するか否かを判定する(ステップS45)。この場合、ある状態(2)とは、携帯端末1を2回動かしたときの状態(初期状態に対して水平方向)である。ステップS45の判定において、応答制御する場合は処理(2)を行い(ステップS46)、応答制御しない場合は本処理を終了する。処理(2)は、上記した処理(1)と同じ処理である。処理(2)を行った後、本処理を終了する。
【0038】
ステップS44の判定において、携帯端末1が静止状態でない場合は、携帯端末1の状態が遷移しているかどうか判定する(ステップS47)。この判定において、携帯端末1の状態が遷移していない場合はステップS45に進み、上記した処理を行う。これに対して、携帯端末1の状態が遷移している場合は、応答制御するか否かを判定する(ステップS48)。応答制御する場合は処理(2A)を行う(ステップS49)。応答制御しない場合とステップS49の処理(2A)を行った後は、携帯端末1が静止状態かどうか判定する(ステップS50)。この判定において、携帯端末1が静止状態である場合は、ある状態(3)に状態が遷移したので、応答制御するか否かを判定する(ステップS51)。この場合、ある状態(3)とは、携帯端末1を3回動かしたときの状態(初期状態に対して垂直方向)である。ステップS51の判定において、応答制御する場合は処理(3)を行い(ステップS52)、応答制御しない場合は本処理を終了する。処理(3)は、上記した処理(1)と同じ処理である。処理(3)を行った後、本処理を終了する。
【0039】
ステップS50の判定において、携帯端末1が静止状態でない場合は、携帯端末1の状態が遷移しているかどうか判定する(ステップS53)。この判定において、携帯端末1の状態が遷移していない場合はステップS51に進み、上記した処理を行う。これに対して、携帯端末1の状態が遷移している場合は、応答制御するか否かを判定する(ステップS54)。応答制御する場合は処理(3A)を行う(ステップS55)。応答制御しない場合とステップS55の処理(3A)を行った後は、携帯端末1が静止状態かどうか判定する(ステップS56)。この判定において、携帯端末1が静止状態でない場合は、この判定を繰り返す。ステップS56の判定において、携帯端末1が静止状態である場合は、ある状態(4)に状態が遷移したので、応答制御するか否かを判定する(ステップS57)。この場合、ある状態(4)とは、携帯端末1を4回動かしたときの状態(初期状態に対して水平方向)である。ステップS57の判定において、応答制御する場合は処理(4)を行い(ステップS58)、応答制御しない場合は本処理を終了する。処理(4)は、上記した処理(1)と同じ処理である。処理(4)を行った後、本処理を終了する。
【0040】
以上のように本実施の形態の携帯端末1によれば、着信のイベント発生前において静止状態検出部301が携帯端末1の一定時間静止状態を検出し、状態遷移履歴記憶部303が静止状態と判定した場合、姿勢検出部302が検出動作を行い、静止状態検出部301が携帯端末1の一定時間静止状態を検出し、状態遷移履歴記憶部303が静止状態でないと判定した場合、姿勢検出部302は検出動作を行わないので、携帯端末1が裏向き(表示部50が下向き)の状態で着信があった場合、電話をかけてきた相手の発信者情報を確認しようとして表示部50が上向きとなるように携帯端末1の向きを反転させても、そのときは携帯端末1が静止状態とならないので、姿勢検出が行われず、自動応答による着信時の鳴動停止を防止できる。このことは、携帯端末1をバッグ等に入れて歩行中に着信があった場合や、バッグ等に入れた携帯端末1に着信があって、手探りで携帯端末1を取ろうとして携帯端末1がバッグの中に滑り落ちた場合でも同様に自動応答による着信時の鳴動停止を防止でき、着呼の停止による鳴動停止なのか、端末自体による鳴動停止なのか判断がつかないといったことがなくなる。このように、携帯端末1の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまうことを防止することができる。
【0041】
尚、上記実施の形態のように、着信のイベント発生前に静止状態検出部301が静止状態を検出するのではなく、着信のイベント発生後ユーザが携帯端末1に触れるより前に静止状態検出部301が静止状態を検出する動作を行ってもよい。すなわち、着信イベント発生後、ユーザが接触しえない程度の時間、例えば1秒以内に静止状態を検出することによって、上記実施の形態と同様に不用意に鳴動停止することを防止することができる。この場合、着信イベントの発生前に静止状態を検出していないため、上記実施の形態と比較して誤検出の精度は劣ってしまう可能性もあるが、消費電力を削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、携帯端末の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまうことを防止することができるといった効果を有し、携帯電話やPDAなどへの適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の一実施の形態に係る携帯端末の概略構成を示すブロック図
【図2】図1の携帯端末による姿勢判定の概念を示す図
【図3】図1の携帯端末を回転させたときの姿勢の遷移と姿勢判定の概念を示す図
【図4】図1の携帯端末の姿勢変化に応じて不用意に実行中の動作が停止してしまうことを防止する基本的な動作を説明するためのフローチャート
【図5】図1の携帯端末を4回動かした場合の具体的な動作を説明するためのフローチャート
【図6】図1の携帯端末を4回動かした場合の具体的な動作を説明するためのフローチャート
【図7】図1の携帯端末を4回動かした場合の具体的な動作の説明において、携帯端末の方向を示す図
【符号の説明】
【0044】
1 携帯端末
10 入力部
20 スピーカ
30 LED
40 状態検知部
50 補足情報表示部
100 アプリケーション処理部
110 通信制御部
120 自動応答部
200 報知制御部
300 状態解析部
301 静止状態検出部
302 姿勢検出部
303 状態遷移履歴記憶部
304 状態変更判定部
400 コマンド変換部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベントに基づく動作を補足する補足情報を表示する表示部を備える携帯端末であって、
前記携帯端末の静止状態を検出する静止状態検出部と、
前記携帯端末の姿勢を検出する姿勢検出部と、
前記静止状態検出部による検出結果及び前記姿勢検出部による検出結果の少なくとも一方から前記携帯端末の状態遷移を判定する状態遷移判定部と、を備え、
イベント発生前において、
前記静止状態検出部が前記携帯端末の一定時間静止状態を検出し、前記状態遷移判定部が静止状態と判定した場合、前記姿勢検出部が検出動作を行い、
前記静止状態検出部が前記携帯端末の一定時間静止状態を検出し、前記状態遷移判定部が静止状態でないと判定した場合、前記姿勢検出部は検出動作を行わない携帯端末。
【請求項2】
イベント発生前の前記状態遷移判定部による判定結果を記憶しておき、イベント発生後に前記判定結果が静止状態であった場合、前記姿勢検出部が検出動作を行い、更に前記状態遷移判定部が判定動作を行い、これらの検出結果及び判定結果に基づきイベントに基づく動作を制御する請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記検出結果及び判定結果に基づき電話の着信を知らせる鳴動を停止させるまたは鳴動の音量を下げる請求項2に記載の携帯端末。
【請求項4】
前記検出結果及び判定結果に基づきメールの着信を知らせる鳴動を停止させるまたは鳴動の音量を下げる請求項2に記載の携帯端末。
【請求項5】
前記検出結果及び判定結果に基づきアラームの報知を停止させるまたはアラームの音量を下げる請求項2に記載の携帯端末。
【請求項6】
前記検出結果及び判定結果に基づき電話の着信を知らせる鳴動に応じて自動応答に切り替える請求項2に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−192979(P2010−192979A)
【公開日】平成22年9月2日(2010.9.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−32642(P2009−32642)
【出願日】平成21年2月16日(2009.2.16)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】