説明

携帯端末

【課題】ディスプレイを備えた筐体の薄型化を実現することができるディスプレイの保持構造を備えた携帯端末を提供する。
【解決手段】所定のスペースを形成する筐体11、17、19と、表示面と表示面の逆面である背面とからなり、スペースに収容されるディスプレイ4と、ディスプレイ4背面側のスペースに収容される電子部品16と、電子部品16の外形にほぼ相当する形状が切り欠かれ、かつ電子部品16の厚さにほぼ相当する厚さを有する切欠き部材を有するディスプレイ保持部材15を備えた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に係り、特に薄型化に好適なディスプレイの保持構造を備えた携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯端末は、それぞれ筐体の内部に必要な電子部品や、必要に応じてこの電子部品を保持する保持部材を収容している。例えば、テキストや画像を表示するディスプレイは、表示面を筐体正面側に向けて配置され、表示面の逆面を筐体内部で保持部材によって保持されることで筐体内に収容されている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−297690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
今日、携帯端末の小型化・薄型化・軽量化は必須となっている。このため、筐体内に収容される電子部品などは小型・薄型であることが好ましく、また部品点数は可能な限り少ないほうが好ましい。
【0005】
上述したディスプレイの保持部材は、ディスプレイを衝撃などの外的要因から保護するために用いられるものであり、ある程度の強度・剛性が求められる。また、筐体内部にはディスプレイと主基板とを接続するためのフレキシブルプリント基板などの電子部品が配置されているため、外的要因を受けてこれらの電子部品との接触により局所的な応力が発生する場合がある。このため、ディスプレイの保持部材は外的要因により局所的な応力を受けない均一面に保持される必要がある。
【0006】
また、携帯端末の小型化・薄型化・軽量化が求められる反面、視認性を高めるためにディスプレイの大型化も求められる。ディスプレイが大型化された結果、このディスプレイを保持する保持部材についても大型化してしまうのが現状である。
【0007】
本発明はこのような事情を考慮してなされたもので、ディスプレイを備えた筐体の薄型化を実現することができるディスプレイの保持構造を備えた携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る携帯端末は、上述した課題を解決するために、所定のスペースを形成する筐体と、表示面と前記表示面の逆面である背面とからなり、前記スペースに収容されるディスプレイと、前記ディスプレイ背面側の前記スペースに収容される電子部品と、前記電子部品の外形にほぼ相当する形状が切り欠かれ、かつ前記電子部品の厚さにほぼ相当する厚さを有する切欠き部材を有するディスプレイ保持部材を備えたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明に係る携帯端末は、ディスプレイを備えた筐体の薄型化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】スライド式の携帯端末を閉じた状態(閉状態)としたときの外観構成を示す斜視図。
【図2】スライド式の携帯端末を開いた状態(開状態)としたときの正面側から見た外観構成を示す斜視図。
【図3】スライド式の携帯端末を開いた状態(開状態)としたときの背面側から見た外観構成を示す斜視図。
【図4】本実施形態における携帯端末の上筐体の分解斜視図。
【図5】図4に示すディスプレイクッションを特に示す外観斜視図。
【図6】図4のディスプレイクッションの分解斜視図。
【図7】図5に示すディスプレイクッションのVII−VII間の断面図。
【図8】図5に示すディスプレイクッションのVIII−VIII間の断面図。
【図9】図5に示すディスプレイクッションのIX−IX間の断面図。
【図10】ディスプレイクッションの第四の部材の変形例を示す分解斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明に係る携帯端末の実施形態を添付図面に基づいて説明する。
【0012】
図1〜図3は、本発明に係る携帯端末の一例であるスライド式の携帯端末1の外観構成を示す斜視図である。
【0013】
図1は、スライド式の携帯端末1を閉じた状態(閉状態)としたときの外観構成を示す斜視図である。
図2は、スライド式の携帯端末1を開いた状態(開状態)としたときの正面側から見た外観構成を示す斜視図である。
図3は、スライド式の携帯端末1を開いた状態(開状態)としたときの背面側から見た外観構成を示す斜視図である。
【0014】
携帯端末1は、第一の筐体としての下筐体2と、下筐体2に対して積層された第二の筐体としての上筐体3とを有する。
【0015】
上筐体3には、その正面側表面の大部分を占めるディスプレイ4が設けられる。なお、上筐体3におけるディスプレイ4が設けられた面を携帯端末1の正面といい、これとは逆の面を携帯端末1の背面という。ディスプレイ4は、例えばLCD(Liquid Crystal Display)、有機EL(ElectroLuminescence Display)ディスプレイ、無機ELディスプレイにより構成されるディスプレイである。
【0016】
下筐体2には、携帯端末1が開状態であるときに露出して使用可能となる操作キー5が配置される。
【0017】
上筐体3と下筐体2とはスライド機構6により矢印X1、X2方向(図1および図2参照)にスライドされるようになっている。具体的には、携帯端末1は図1の閉状態である場合に矢印X1方向に上筐体3がスライドされると、図2の開状態に遷移する。また、携帯端末1は、図2の開状態である場合に矢印X2方向に上筐体がスライドされると、図1の閉状態に移行する。
【0018】
図4は、本実施形態における携帯端末1の上筐体3の分解斜視図である。
【0019】
上筐体3は、主にパネル11、ケース17、板金19により外観が形成される。このパネル11、ケース17、板金19によって、ディスプレイ4などを収容するスペースが形成される。このスペースには、主にディスプレイ4、ディスプレイクッション15、フレキシブルプリント基板16が収容される。
【0020】
パネル11は、上筐体3に収容されたディスプレイ4の表示面側と対向する透明な部材である。パネル11の外周縁部は、パネル両面テープ13によりケース17の受け部17aに接着される。
【0021】
ケース17は、上筐体3の外側面を形成する部材である。ケース17の外周縁部は、熱圧着テープ18により板金19の受け部19aに接着される。また、板金19は、携帯端末1が開状態である時に上筐体3の背面側に露出する(図3参照)。
【0022】
ディスプレイ4は、ディスプレイ保持部材としてのディスプレイクッション15と接着して背面(表示面と逆面)側から保持され、板金19を座面として上筐体3内部に収容される。また、ディスプレイ4は、衝撃緩衝材としてのディスプレイスポンジ12を介してパネル11と接する。
【0023】
フレキシブルプリント基板16は、上筐体3に収容されたディスプレイ4と、下筐体2に収容された主基板(図示せず)などの電子部品とを接続して電気信号を伝達する。フレキシブルプリント基板16は、板金19とディスプレイ4との間(ディスプレイ4背面側のスペース)に配置され、その厚みはディスプレイクッション15により吸収されるようになっている。フレキシブルプリント基板16には、種々の目的(電気的接続、電波シールドなど)で導電性の銅箔テープ20が貼り付けられたテープ貼付部位16b、16c、16eが設けられる。また、フレキシブルプリント基板16には、二枚の複数のフレキシブルプリント基板16が積層されている積層部位16a、16dが設けられる。
【0024】
フレキシブルプリント基板16は、テープ貼付部位16b、16c、16eおよび積層部位16a、16dが形成されることで、フレキシブルプリント基板16自体の厚みよりも大きい厚みを有する部位が形成される。なお、フレキシブルプリント基板16の積層部位16a、16dの厚みは、テープ貼付部位16b、16c、16eの厚みよりも大きいものとする。
【0025】
ディスプレイクッション15は、一定のクッション性(弾性、衝撃緩衝性)を有しディスプレイを保持する機能を有する。ディスプレイクッション15は、フレキシブルプリント基板16の厚みに相当する厚みを有するように、複数の部材が積層されて一体化された部材である。
【0026】
図5は、図4に示すディスプレイクッション15を特に示す外観斜視図である。
【0027】
図6は、図4のディスプレイクッション15の分解斜視図である。
【0028】
ディスプレイクッション15は、第一〜第四の部材15a〜15dから構成される。第一の部材15a、第二の部材15b、第四の部材15dは、フレキシブルプリント基板16の外形に相当する形状が切り欠かれ、かつフレキシブルプリント基板16の厚さが異なる部位毎の外形に相当する形状が切り欠かれた複数の切り欠き部材である。また、第三の部材15cは、ディスプレイ4を背面側から緩衝性を持って保持するクッション部材である。なお、第一〜第四の部材15a〜15dは、それぞれディスプレイ4の外形とほぼ同一の外形を有するのが好ましい。ディスプレイ4に加えられる応力を均一化させることができるためである。
【0029】
第一の部材15aは、上筐体3の収納時においてディスプレイ4と重なり合うフレキシブルプリント基板16の外形に相当する形状が切り欠かれた、両面に粘着性を有する接着部材である。この切り欠き部の形状は、フレキシブルプリント基板16の外形のみならず、銅箔テープ20の外形も考慮した形状である。本実施形態においては、第一の部材15aは、フレキシブルプリント基板16自体の厚みを吸収する。
【0030】
第二の部材15bは、フレキシブルプリント基板16に貼り付けられた銅箔テープ20の外形に相当する形状が切り欠かれた、両面に粘着性を有する接着部材である。本実施形態においては、第二の部材15bは、フレキシブルプリント基板16に銅箔テープ20が貼り付けられたテープ貼付部位16b、16c、16eの厚みを吸収する。
【0031】
第三の部材15cは、切り欠き部が形成されない部材であり、主に衝撃緩衝性を強化させることを意図したクッション部材である。
【0032】
第四の部材15dは、二枚のフレキシブルプリント基板16の重なり部分の外形に相当する形状が切り欠かれた、両面に粘着性を有する接着部材である。第四の部材15dは、フレキシブルプリント基板16のうち最も大きい厚みを有する部分の外形に相当する形状の切欠き部が形成される。本実施形態においては、第四の部材15dは、フレキシブルプリント基板16が積層された積層部位16a、16dの厚みを吸収する。
【0033】
順次積層された第一〜第四の部材15a〜15dは、第一の部材15aと、第二の部材15bと、第四の部材15dとの粘着面によって互いに接着されることにより一体に構成されて、ディスプレイクッション15を構成する。また、図6の最下層に配置される第一の部材15aの一方の粘着面は、板金19と接着する。さらに、図6の最上層に配置される第四の部材15dの一方の粘着面は、ディスプレイ4の背面側と接着する。
【0034】
なお、第一の部材15a、第二の部材15bおよび第四の部材15dは、基材、粘着材共に一般的な携帯端末で部品間を接着させる際に用いられる材料を用いることができる。また、第一の部材15a、第二の部材15bおよび第四の部材15dは、それぞれ両面に粘着性を有する接着部材としたが、第一〜第四の部材15a〜15dを一体に構成し、かつ板金19とディスプレイクッション15とディスプレイ4とで安定した接着状態を維持できれば、上述した構成に限られない。
【0035】
図7は、図5に示すディスプレイクッション15のVII−VII間の断面図である。
図8は、図5に示すディスプレイクッション15のVIII−VIII間の断面図である。
図9は、図5に示すディスプレイクッション15のIX−IX間の断面図である。
【0036】
なお、図5の各切断面とフレキシブルプリント基板16との位置関係の理解を容易にするため、図6の第一の部材15aにもそれぞれ対応する切断面を示した。
【0037】
図7においては、主にディスプレイクッション15がフレキシブルプリント基板16の積層部位16aおよびテープ貼付部位16b(共に図4参照)の厚みを吸収する構造が示されている。
【0038】
ディスプレイクッション15は、第一の部材15aの切欠き部においてフレキシブルプリント基板16自体の厚みを吸収する。また、ディスプレイクッション15は、第二の部材15bの切欠き部において、銅箔テープ20が貼り付けられたテープ貼付部位16bの厚みを吸収する。さらに、ディスプレイクッション15は、第三の部材15cによりフレキシブルプリント基板16に対する緩衝性を持つ面を形成する。また、第四の部材15dの切欠き部において、ディスプレイクッション15を介して生じる第二のフレキシブルプリント基板21の厚みを吸収する。
【0039】
また、図8においては、主にディスプレイクッション15がフレキシブルプリント基板16の積層部位16d(図4参照)の厚みを吸収する構造が示されている。
【0040】
さらに、図9においては、主にディスプレイクッション15がフレキシブルプリント基板16のテープ貼付部位16c(図4参照)の厚みを吸収する構造が示されている。
【0041】
この携帯端末1によれば、フレキシブルプリント基板16の厚みをディスプレイクッション15を形成する複数の部材によって吸収するため、均一化されたディスプレイ4の保持面(接触面)形成することができる。このため、携帯端末1が落下などで衝撃を受けた際に局所的な応力の発生を抑制することができる。
【0042】
また、携帯端末1は、簡易な構成のディスプレイクッション15によりディスプレイ4に加えられる応力を分散させることができるため、ステンレスやマグネシウム合金などの金属からなるディスプレイホルダを設ける必要がない。このため、携帯端末1の上筐体3の薄型化、軽量化を実現することができる。
【0043】
なお、本実施形態においては、フレキシブルプリント基板16の厚みを好適に吸収してディスプレイ4の保持面を均一化する例を説明したが、上筐体3に収容される他の電子部品の影響を考慮してディスプレイクッション15の積層枚数および切り欠き部の形状を決定することもできる。
【0044】
ここで、ディスプレイクッション15とディスプレイ4とは、第四の部材15dの粘着面で接着される。このようにディスプレイクッション15とディスプレイ4とを直接接着させてしまうと、再度剥離させようとした場合に容易ではない。例えば、ディスプレイ4とディスプレイクッション15との組立にずれが生じた場合や、組立後にディスプレイ4やディスプレイクッション15に不良が発見された場合などにおいては、剥離して新たに組立直す必要がある。しかし、部品間の剥離が困難な場合にはディスプレイ4、ディスプレイクッション15ともに再利用ができなくなりコストの面からも好ましくない。
【0045】
そこで、第四の部材15dにディスプレイ4とディスプレイクッション15とを容易に剥離させる機能を持たせてもよい。
【0046】
図10は、ディスプレイクッション15の第四の部材15dの変形例を示す分解斜視図である。
【0047】
第四の部材50は、一対の接着部材51と、この接着部材51の間に挟みこまれた不織布52とで構成される。第四の部材50は、この一対の接着部材51がそれぞれ両面に粘着性を有するため、第三の部材15cとディスプレイ4とに対して接着可能となっている。また、ディスプレイ4とディスプレイクッション15を分離する場合には、不織布52が接着部材51と容易に剥離するようになっている。このため、ディスプレイ4とディスプレイクッション15との組立にずれが生じた場合には、ディスプレイ4からディスプレイクッション15を剥離し、再度ディスプレイ4を他のディスプレイクッション15と組み立てることができ、製造面においても有効である。
【0048】
なお、第四の部材50は不織布52が挟み込まれた例を説明したが、不織布52以外の接着部材51と容易に剥離可能な例えば繊維状の部材(繊維状部材)を適用してもよい。また、ディスプレイクッション15の第四の部材50がフレキシブルプリント基板16の厚みを吸収する機能と、ディスプレイ4から剥離を容易にする機能とを兼ねた例を説明したが、ディスプレイクッション15とディスプレイ4の背面との接着面に不織布などの繊維状部材が挟み込まれた剥離用部材を設けるようにしてもよい。
【0049】
本実施形態においては、携帯端末をスライド式の携帯端末1に適用した例を説明した。しかし、スライド式に限らず折り畳み式の携帯端末やストレート式の携帯端末などの種々の形態からなる携帯端末にも適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
1 携帯端末
2 下筐体
3 上筐体
4 ディスプレイ
5 操作キー
11 パネル
12 ディスプレイスポンジ
13 パネル両面テープ
15 ディスプレイクッション
16 フレキシブルプリント基板
16a、16d 積層部位
16b、16c、16e テープ貼付部位
17 ケース
18 熱圧着テープ
19 板金
20 銅箔テープ
21 第二のフレキシブルプリント基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定のスペースを形成する筐体と、
表示面と前記表示面の逆面である背面とからなり、前記スペースに収容されるディスプレイと、
前記ディスプレイ背面側の前記スペースに収容される電子部品と、
前記電子部品の外形にほぼ相当する形状が切り欠かれ、かつ前記電子部品の厚さにほぼ相当する厚さを有する切欠き部材を有するディスプレイ保持部材を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記ディスプレイ保持部材は、前記ディスプレイを前記背面側から緩衝性を持って保持するクッション部材をさらに備えた請求項1記載の携帯端末。
【請求項3】
前記電子部品は、フレキシブルプリント基板である請求項1または2記載の携帯端末。
【請求項4】
前記フレキシブルプリント基板は、厚さが異なる部位を有し、
前記ディスプレイ保持部材は、前記フレキシブルプリント基板の厚さが異なる部位毎の外形にほぼ相当する形状が切り欠かれた複数の前記切欠き部材を有する請求項3記載の携帯端末。
【請求項5】
前記ディスプレイ保持部材と前記ディスプレイの背面との接着面に繊維状部材が挟み込まれた剥離用部材をさらに備えた請求項1〜4のいずれか一項記載の携帯端末。
【請求項6】
前記ディスプレイ保持部材は、前記剥離用部材を兼ねた請求項5記載の携帯端末。
【請求項7】
前記ディスプレイ保持部材は、前記ディスプレイの外形とほぼ同一の外形を有する請求項1〜6のいずれか一項記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−205539(P2011−205539A)
【公開日】平成23年10月13日(2011.10.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−72635(P2010−72635)
【出願日】平成22年3月26日(2010.3.26)
【出願人】(310022372)富士通東芝モバイルコミュニケーションズ株式会社 (219)
【Fターム(参考)】