説明

携帯端末

【課題】ユーザの利き手を精度良く判断でき、操作性の向上を図ることが可能な携帯端末を提供する。
【解決手段】携帯端末1は、円弧状に配列された第1の接触検知ラインL1及び第2の接触検知ラインL2からなるパネル接触検知部101と、本体部20の側部に配列された第3の接触検知ラインL3及び第4の接触検知ラインL4からなる本体部接触検知部201とを備えている。これらの検知部101,201は、ユーザが片手で携帯端末1の本体部20を持ち、親指を使ってアイコンをタッチするという操作形態を考慮したものであり、操作している親指の動きをパネル接触検知部101で検知し、親指で操作しているときの手のひらと本体部20との接触状態を本体部接触検知部201で検知している。これにより、ユーザの利き手を精度良く判断でき、利き手に応じた画像表示の制御を行うことで操作性の向上が図られる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、タッチパネルを備えることにより、操作性の向上を図った携帯端末が登場している。このような携帯端末は、ユーザが片手で本体を持ち、親指を使ってアイコンをタッチしていることが多い。そのため、更なる操作性の向上のためには、ユーザの利き手を考慮したインターフェイスが必要と考えられる。
【0003】
ユーザの利き手を考慮した技術としては、例えば特許文献1に記載の装置がある。この従来の装置では、初期画面におけるユーザのタッチ分布などに基づいてユーザの利き手を判断し、利き手に合った操作画面を表示するようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2006−331092号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述した従来技術のように、単純に操作画面上でのタッチ分布に基づいて利き手を判断する手法では、利き手を精度良く判断することは難しい。特に、ユーザが片手で扱うことが可能な携帯端末では、据え置き型の端末の場合とは異なり、端末の持ち方を考慮して利き手を判断する必要がある。
【0006】
本発明は、上記課題の解決のためになされたものであり、ユーザの利き手を精度良く判断でき、操作性の向上を図ることが可能な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題の解決のため、本発明に係る携帯端末は、タッチパネルディスプレイを備えた本体部を有する携帯端末であって、タッチパネルディスプレイにおける一の隅部側が凹となるように円弧状に配列された第1の接触検知ライン、及び一の隅部に隣接する他の隅部側が凹となるように円弧状に配列された第2の接触検知ラインを有するパネル接触検知手段と、本体部における一の隅部側の側部に配列された第3の接触検知ライン、及び他の隅部側の側部に配列され第4の接触検知ラインを有する本体部接触検知手段と、第1の接触検知ライン及び第2の接触検知ラインのいずれか一方のラインで接触が検知されたときの第3の接触検知ラインにおける接触検知領域と第4の接触検知ラインにおける接触検知領域の大小関係に基づいて端末を操作するユーザの利き手を判断する利き手判断手段と、利き手判断手段による判断結果に基づいてタッチパネルディスプレイにおける画像表示を制御する画像表示制御手段と、を備えたことを特徴としている。
【0008】
この携帯端末は、タッチパネルディスプレイ円弧状に配列された第1の接触検知ライン及び第2の接触検知ラインからなるパネル接触検知手段と、本体部の側部に配列された第3の接触検知ライン及び第4の接触検知ラインからなる本体部接触検知手段とを備えている。これらの検知手段は、タッチパネルディスプレイを備えた携帯端末において、ユーザが片手で本体部を持ち、親指を使ってアイコンをタッチするという操作形態を考慮したものであり、操作している親指の動きをパネル接触検知手段で検知し、親指で操作しているときの手のひらと本体部との接触状態を本体部接触検知手段で検知している。これにより、ユーザの利き手を精度良く判断でき、利き手に応じた画像表示の制御を行うことで操作性の向上が図られる。
【0009】
また、利き手判断手段は、第1の接触検知ラインで接触が検知されたときに、第3の接触検知ラインにおける接触検知領域が第4の接触検知ラインにおける接触検知領域よりも大きい場合にユーザの利き手が右手であると判断し、第2の接触検知ラインで接触が検知されたときに、第4の接触検知ラインにおける接触検知領域が第3の接触検知ラインにおける接触検知領域よりも大きい場合にユーザの利き手が左手であると判断することが好ましい。このような判断手法により、ユーザの利き手を一層精度良く判断できる。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ユーザの利き手を精度良く判断でき、操作性の向上を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明に係る携帯端末の一実施形態を示す正面図である。
【図2】図1に示した携帯端末の機能的な構成要素を示すブロック図である。
【図3】パネル接触検知部の構成の一例を示す図である。
【図4】本体部接触検知部の構成の一例を示す図である。
【図5】画像表示制御部による画像表示制御の一例を示す図である。
【図6】画像表示制御処理の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、図面を参照しながら、本発明に係る携帯端末の好適な実施形態について詳細に説明する。図1に示すように、携帯端末1は、物理的には、例えばCPU(中央処理装置)、メモリ、通信インターフェイス、ハードディスクなどを備えた携帯電話機である。携帯端末1の本体部20は、ユーザが片手で持つことが可能な程度の大きさとなっており、本体部20の正面には、タッチパネルディスプレイ10や操作ボタンなどが設けられている。
【0013】
タッチパネルディスプレイ10の表示部102には、例えば携帯端末1で使用されるアプリケーションを起動させるための複数のアイコンが整列表示される。この携帯端末1では、ユーザが片手で本体を持ち、親指を使ってアイコンをタッチするという操作形態を考慮し、ユーザの利き手に応じてアイコンの表示形態を適宜調整する表示調整機能が搭載されている。以下、この機能の詳細について説明する。
【0014】
図2は、携帯端末1の機能的な構成要素を示すブロック図である。同図に示すように、携帯端末1は、アイコンの表示携帯を変更する機能的な構成要素として、パネル接触検知部101と、本体部接触検知部201と、利き手判断部202と、画像表示制御部203とを備えている。
【0015】
パネル接触検知部101は、タッチパネルディスプレイ10上での親指による操作の軌跡を検知する部分である。パネル接触検知部101は、図1に示すように、タッチパネルディスプレイ10の右下隅部側が凹となるように円弧状に配列された第1の接触検知ラインL1と、及び左下隅部側が凹となるように円弧状に配列された第2の接触検知ラインL2とを有している。第1の接触検知ラインL1及び第2の接触検知ラインL2は、例えばタッチパネルディスプレイ10内に埋設された複数の接触センサ31によって構成され、タッチパネルディスプレイ10の中央部で互いに交差している。なお、接触センサは、タッチパネルディスプレイ10自体の特定の座標領域を用いてもよい。
【0016】
パネル接触検知部101は、第1の接触検知ラインL1のいずれか一方端の接触センサ31で接触が検知されてから所定の時間内に第1の接触検知ラインL1の他の全ての接触センサ31で接触が検知された場合に、ユーザが第1の接触検知ラインL1上を指でなぞったと判断し、判断結果を示す情報を利き手判断部202に出力する。また、パネル接触検知部101は、第2の接触検知ラインL2のいずれか一方端の接触センサ31で接触が検知されてから所定の時間内に第2の接触検知ラインL2の他の全ての接触センサ31で接触が検知された場合に、ユーザが第2の接触検知ラインL2上を指でなぞったと判断し、判断結果を示す情報を利き手判断部202に出力する。
【0017】
図3に示す例では、本体部20を片手で持っているユーザが親指でタッチパネルディスプレイ10を操作した場合を示している。ユーザは、親指使って任意の操作を行うが、タッチパネルディスプレイ10上で円弧を描くような操作をした場合、例えば第2の接触検知ラインL2の左端の接触センサ31から右端の接触センサ31に向かって順に接触が検知される。検出の方向は、左端の接触センサ31が始点となる場合及び右端の接触センサ31が始点になる場合のいずれであってもよい。
【0018】
本体部接触検知部201は、本体部20を片手で持っているユーザが親指でタッチパネルディスプレイ10を操作しているときの手のひらと本体部20との接触状態を検知する部分である。本体部接触検知部201は、図1に示すように、本体部20の右側部に配置された配列された第3の接触検知ラインL3と、本体部20の左側部に配置された第4の接触検知ラインL4とを有している。第3の接触検知ラインL3及び第4の接触検知ラインL4は、本体部20の両側部にそれぞれ埋設された複数の接触センサ41(図4参照)によって構成されている。
【0019】
本体部接触検知部201は、携帯端末1の電源がオンとなっている間、第3の接触検知ラインL3及び第4の接触検知ラインL4のいずれの接触センサ41が接触を検知しているかを判断し、判断結果を示す情報を利き手判断部202に常時出力する。
【0020】
図4に示す例では、本体部20を左手で持っているユーザの手のひらと第3の接触検知ラインL3及び第4の接触検知ラインL4との接触状態を示している。図4に示すように、本体部20を左手で持っている場合、第3の接触検知ラインL3には、親指を除く複数の指の指先が接触する。したがって、第3の接触検知ラインL3では、指先に対応する部分の接触センサが離散的に接触を検知する。一方、第4の接触検知ラインL4には、ユーザの手のひらが接触する。このとき、第4の接触検知ラインL4における接触検知領域(ここでは、接触を検知する接触センサ41の数)が第3の接触検知ラインL3における接触検知領域よりも大きくなる。
【0021】
利き手判断部202は、パネル接触検知部101及び本体部接触検知部201からの情報に基づいて、携帯端末1を操作するユーザの利き手を判断する部分である。より具体的には、利き手判断部202は、第1の接触検知ラインL1で接触が検知されたときに、第3の接触検知ラインL3における接触検知領域が第4の接触検知ラインL4における接触検知領域よりも大きい場合にユーザの利き手が右手であると判断する。
【0022】
また、利き手判断部202は、第2の接触検知ラインL2で接触が検知されたときに、第4の接触検知ラインL4における接触検知領域が第3の接触検知ラインにおける接触検知領域よりも大きい場合にユーザの利き手が左手であると判断する。利き手判断部202は、判断結果を示す情報を画像表示制御部203に出力する。
【0023】
画像表示制御部203は、タッチパネルディスプレイ10における画像表示を制御する部分である。画像表示制御部203は、ユーザの利き手が右手であると判断した旨の情報を利き手判断部202から受け取った場合には、例えば図5(a)に示すように、タッチパネルディスプレイ10の右下隅部側から見て遠い位置にあるアイコンほど高さ・幅が大きくなるように、アイコンの表示形態を変更する。また、画像表示制御部203は、ユーザの利き手が左手であると判断した旨の情報を利き手判断部202から受け取った場合には、例えば図5(b)に示すように、タッチパネルディスプレイ10の左下隅部側から見て遠い位置にあるアイコンほど高さ・幅が大きくなるように、アイコンの表示形態を変更する。
【0024】
続いて、上述した画像表示制御処理の手順について説明する。図6は、画像表示制御処理の一例を示すフローチャートである。この画像表示処理は、携帯端末1の電源がオンとなっているときに自動的に常時実行される。
【0025】
図6に示すように、まず、パネル接触検知がなされたか否かの判断がなされる(ステップS01)。第1の接触検知ラインL1及び第2の接触検知ラインL2のいずれかでパネル接触検知がなされるまではステップS01の判断が常時実行される。ステップS01においてパネル接触検知がなされた場合、次に、本体部接触検知がなされ(ステップS02)、第3の接触検知ラインL3における接触検知領域と第4の接触検知ラインL4における接触検知領域の大小関係が判断される(ステップS03)。
【0026】
ステップS03において、第3の接触検知ラインL3における接触検知領域が第4の接触検知ラインL4における接触検知領域よりも大きいと判断された場合、次いでステップ01でパネル接触検知がなされたのが第1の接触検知ラインL1であるか否かが判断される(ステップS04)。ステップS04において、パネル接触検知がなされたのが第1の接触検知ラインL1でないと判断された場合には、ステップS01に戻り、再度のパネル接触検知があるまで待機となる。
【0027】
ステップS04において、パネル接触検知がなされたのが第1の接触検知ラインL1であると判断された場合、ユーザは右利きであると判断される(ステップS05)。この場合、例えば図5(a)に示したように、アイコンの表示形態が変更され、処理が終了する。
【0028】
一方、ステップS03において、第4の接触検知ラインL4における接触検知領域が第3の接触検知ラインL3における接触検知領域よりも大きいと判断された場合、次いでステップ01でパネル接触検知がなされたのが第2の接触検知ラインL2であるか否かが判断される(ステップS06)。ステップS06において、パネル接触検知がなされたのが第2の接触検知ラインL2でないと判断された場合には、ステップS01に戻り、再度のパネル接触検知があるまで待機となる。
【0029】
ステップS06において、パネル接触検知がなされたのが第2の接触検知ラインL2であると判断された場合、ユーザは右利きであると判断される(ステップS07)。この場合、例えば図5(b)に示したように、アイコンの表示形態が変更され、処理が終了する。
【0030】
以上説明したように、携帯端末1は、円弧状に配列された第1の接触検知ラインL1及び第2の接触検知ラインL2からなるパネル接触検知部101と、本体部20の側部に配列された第3の接触検知ラインL3及び第4の接触検知ラインL4からなる本体部接触検知部201とを備えている。これらの検知部101,201は、タッチパネルディスプレイ10を備えた携帯端末1において、ユーザが片手で本体部20を持ち、親指を使ってアイコンをタッチするという操作形態を考慮したものであり、操作している親指の動きをパネル接触検知部101で検知し、親指で操作しているときの手のひらと本体部20との接触状態を本体部接触検知部201で検知している。これにより、ユーザの利き手を精度良く判断でき、利き手に応じた画像表示の制御を行うことで操作性の向上が図られる。
【0031】
また、本実施形態では、利き手の判断手法として、第1の接触検知ラインL1で接触が検知されたときに、第3の接触検知ラインL3における接触検知領域が第4の接触検知ラインL4における接触検知領域よりも大きい場合にユーザの利き手が右手であると判断し、第2の接触検知ラインL2で接触が検知されたときに、第4の接触検知ラインL4における接触検知領域が第3の接触検知ラインL3における接触検知領域よりも大きい場合にユーザの利き手が左手であると判断している。このような判断手法により、ユーザの利き手を一層精度良く判断できる。
【0032】
なお、本実施形態では、上述した画像表示制御処理を携帯端末1の電源がオンとなっているときに常時実行している。したがって、アイコンの表示形態の変更は、ユーザが親指でタッチパネルディスプレイ10を操作している間に自動的に実行されるので、ユーザの操作負担が増加することを回避できる。
【符号の説明】
【0033】
1…携帯端末、10…タッチパネルディスプレイ、20…本体部、101…パネル接触検知部、201…本体部接触検知部、202…利き手判断部、203…画像表示制御部、L1〜L4…第1〜第4の接触検知ライン。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
タッチパネルディスプレイを備えた本体部を有する携帯端末であって、
前記タッチパネルディスプレイにおける一の隅部側が凹となるように円弧状に配列された第1の接触検知ライン、及び前記一の隅部に隣接する他の隅部側が凹となるように円弧状に配列された第2の接触検知ラインを有するパネル接触検知手段と、
前記本体部における前記一の隅部側の側部に配列された第3の接触検知ライン、及び前記他の隅部側の側部に配列され第4の接触検知ラインを有する本体部接触検知手段と、
前記第1の接触検知ライン及び前記第2の接触検知ラインのいずれか一方のラインで接触が検知されたときの前記第3の接触検知ラインにおける接触検知領域と前記第4の接触検知ラインにおける接触検知領域の大小関係に基づいて端末を操作するユーザの利き手を判断する利き手判断手段と、
前記利き手判断手段による判断結果に基づいて前記タッチパネルディスプレイにおける画像表示を制御する画像表示制御手段と、を備えたことを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記利き手判断手段は、前記第1の接触検知ラインで接触が検知されたときに、前記第3の接触検知ラインにおける接触検知領域が前記第4の接触検知ラインにおける接触検知領域よりも大きい場合に前記ユーザの利き手が右手であると判断し、前記第2の接触検知ラインで接触が検知されたときに、前記第4の接触検知ラインにおける接触検知領域が前記第3の接触検知ラインにおける接触検知領域よりも大きい場合に前記ユーザの利き手が左手であると判断することを特徴とする請求項1記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−199888(P2012−199888A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−64166(P2011−64166)
【出願日】平成23年3月23日(2011.3.23)
【出願人】(392026693)株式会社エヌ・ティ・ティ・ドコモ (5,876)
【Fターム(参考)】