説明

携帯端末

【課題】携帯端末において、アプリケーションを起動して外部機器を制御する際に、アプリケーションを起動してから外部機器を制御できるまでの待ち時間を短縮できる。
【解決手段】携帯デバイスは、TV受像機を制御可能なリモコンとして機能するためのテレビアプリケーションを記憶している。携帯デバイスは、テレビアプリケーションの起動を開始し(t1)、テレビアプリケーションの起動が完了する前に、TV受像機の電源オンを指示するための制御信号をTV受像機に送信する(t2)。すなわち、携帯デバイスは、テレビアプリケーションの起動処理を行いながら、TV受像機に電源オンを指示するための制御信号を送信する。そして、携帯デバイスがテレビアプリケーションの起動を完了し(t3)、TV受像機が通常動作モードで電源オンになると(t4)、ユーザは、携帯デバイスを用いてTV受像機を制御できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アプリケーションを起動して外部機器を制御可能な携帯端末に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、アプリケーションを起動することによって自装置の機能を拡張可能な携帯デバイスが知られている。この携帯デバイスでは、例えば、テレビジョン(以下、TVという)受像機を制御可能なアプリケーション(以下、テレビアプリケーションという)を起動することにより、TV受像機を制御可能なリモコンとして動作することができる。
【0003】
図7は、上記携帯デバイスがリモコンとして動作可能となるまでの経過時間を示す。図中のt軸は時間軸を示す。携帯デバイスは、ユーザの指示によりテレビアプリケーションの起動を開始し(t101)、テレビアプリケーションの起動を完了する(t102)。そして、この後、ユーザによってテレビアプリケーションが操作されてTV受像機の電源オンが指示されると(t103)、TV受像機が電源オンになり(t104)、携帯デバイスでTV受像機を制御可能となる。
【0004】
上記のように、携帯デバイスがリモコンとして機能し、TV受像機を制御可能になるまでの最短時間は、テレビアプリケーションの起動を開始してから完了するまでの時間(t101〜t102)と、TV受像機が電源オンを指示されてから電源オンになるまでの時間(t103〜t104)の合計時間である。すなわち、ユーザは、少なくとも上記の合計時間は待たなければならず、迅速にTV受像機を制御できないという問題がある。
【0005】
これに対して、特許文献1には、電源が投入されたときに、優先機能情報として格納された機能のアプリケーションプログラムを優先して起動し、その起動処理が完了した時点で、当該起動された機能の初期画面をディスプレイに表示してユーザ操作の受付を可能な状態とする情報処理装置及びアプリケーション起動方法が開示されている。しかしながら、この装置及びアプリケーション起動方法であっても、上記問題を解決できない。
【0006】
また、特許文献2には、ユーザがセンサ検知エリア内に存在するときに、OSの起動、アプリケーションの初期化、デコード処理を開始し、ユーザが検知エリア内に存在しないときは、これらの処理を停止する放送受信システムが開示されている。しかしながら、このシステムでは、ユーザが検知エリア内に存在する必要があり、上記問題を解決できない。
【0007】
また、特許文献3には、複数のプログラムを記憶する第1記憶手段と、プログラムの実行に使用される第2記憶手段と、電源投入及び所定のアプリケーションの起動を指示する操作手段とを備え、操作手段から起動が指示されると、所定のアプリケーションの起動に必要なプログラムを第2記憶手段にロードして実行することによりアプリケーションを起動する無線通信装置が開示されている。しかしながら、この無線通信装置であっても、上記問題を解決できない。
【0008】
また、特許文献4には、メモリカードスロットにメモリカードが装着されたことを検出すると、主電源をオンにし、さらにアプリケーションによって再生できるデータコンテンツがメモリカードに記憶されているか否か判定を行い、再生可能ならアプリケーションを起動するTV受像機が開示されている。しかしながら、このTV受像機であっても、上記問題を解決できない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2010−79566号公報
【特許文献2】特開2009−124413号公報
【特許文献3】特開2007−36796号公報
【特許文献4】特開2006−211604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、上述した問題点を解決するためになされたものであり、制御アプリケーションを起動して外部機器を制御する際に、制御アプリケーションを起動してから外部機器を制御できるまでの待ち時間を短縮可能な携帯端末を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記目的を達成するために請求項1の発明は、外部機器に対して制御信号を送信する信号送信手段と、ユ−ザによって操作され、各種操作を行うための操作手段と、前記外部機器の制御用の制御アプリケーションを起動して、この制御アプリケーションに基き、ユーザによる前記操作手段の操作に応じた制御信号を、前記信号送信手段を用いて、前記外部機器に送信する制御手段とを備える携帯端末において、前記制御手段は、前記制御アプリケーションを起動したときに、該制御アプリケーションの起動が完了する前に、前記信号送信手段を用いて、前記外部機器の電源オンを指示するための制御信号を前記外部機器に送信するものである。
【0012】
また、請求項2の発明は、請求項1に記載の携帯端末において、前記外部機器は、テレビジョン受像機であるものである。
【0013】
また、請求項3の発明は、請求項1又は2に記載の携帯端末において、前記信号送信手段から送信される制御信号は、無指向性の無線信号であるものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、制御アプリケーションの起動が完了する前に、外部機器に電源オンを指示するための制御信号を送信するため、従来のように制御アプリケーションの起動が完了してから外部機器に電源オンを指示する場合よりも、外部機器が早く電源オンする。従って、制御アプリケーションの起動を開始してから、この制御アプリケーションを用いて外部機器を制御できるまでの待ち時間を短縮できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係る携帯デバイスとTV受像機との斜視図。
【図2】上記TV受像機の内部構成を示すブロック図。
【図3】上記携帯デバイスの内部構成を示すブロック図。
【図4】(a)〜(c)は、上記携帯デバイスのテレビアプリケーションを起動する際における表示部の表示を示す説明図。
【図5】上記携帯デバイスにおけるテレビアプリケーションの起動処理の手順を示すフローチャート。
【図6】上記携帯デバイスのテレビアプリケーションを起動する際の動作を示すタイミングチャート。
【図7】従来の携帯デバイスのテレビアプリケーションを起動する際の動作を示すタイミングチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態に係る携帯デバイスについて、図1乃至図3を参照して説明する。図1は、テレビジョン(以下、TV)受像機(外部機器)1と、携帯デバイス(携帯端末)2の外観を示し、図2は、TV受像機1の電気的ブロック構成を示し、図3は、携帯デバイス2の電気的ブロック構成を示す。
【0017】
携帯デバイス2は、図3に示されるように、自機を、TV受像機1の制御可能なリモコンとして機能させるためのテレビアプリケーション24aを含む複数のアプリケーション24を記憶している。携帯デバイス2は、アプリケーション24の起動が完了した後、そのアプリケーション24の機能を実行可能となる。具体的には例えば、携帯デバイス2は、テレビアプリケーション24aの起動を完了した後、ユーザによる操作に応じた制御信号をTV受像機1に送信することにより、TV受像機1を操作できる。
【0018】
TV受像機1は、図2に示すように、アンテナ11に接続され、デジタル放送信号を受信するチューナ部12と、デコーダ部13と、映像を表示するディスプレイ14と、音声を出力するスピーカ15と、メモリ16とを備える。また、TV受像機1は、携帯デバイス2から送信された無線信号を受信するための無線通信部17と、ユーザによって操作される複数のボタンを有するキーパッド18と、メインマイコン10とをさらに備える。
【0019】
チューナ部12は、アンテナ11を介して、放送局から配信される各チャンネルのデジタル放送信号を受信する。デコーダ部13は、チューナ部12によって受信されたデジタル放送信号に対して復調処理や誤り訂正処理等を行い、多重化された信号から必要なTS(トランスポートストリーム)パケットを分離するTS変換回路(図示せず)、分離した各TSパケットに対して復号化処理を行う映像デコード回路(図示せず)、音声デコード回路(図示せず)、及びデータデコード回路(図示せず)等から構成される。
【0020】
映像デコード回路は、映像信号を含むTSパケットに対して復号化処理を行い、映像信号を抽出し、抽出した映像信号をメインマイコン10に出力する。音声デコード回路は、音声信号を含むTSパケットに対して復号化処理を行い、音声信号を抽出し、抽出した音声信号をメインマイコン10に出力する。
【0021】
データデコード回路は、SI(Service Information)データを含むTSパケットに対して復号化処理を行い、SIデータを抽出し、抽出したSIデータをメインマイコン10に出力する。SIデータは、TV番組の番組情報が格納されたEIT(Event Information Table)等を有している。
【0022】
ディスプレイ14は、チューナ部12によって受信されたTV番組の映像を表示する。スピーカ15は、チューナ部12によって受信されたTV番組の音声を出力する。メモリ16は、メインマイコン10を動作させるためのプログラム等を格納している。
【0023】
無線通信部17は、アンテナ17aを介して、携帯デバイス2と無線信号の送受信を行うための通信デバイスである。無線通信部17は、TV受像機1と携帯デバイス2とを含む無線LANネットワークを制御するLANコントローラとして機能し、無線LANのWi−Fi規格に基づいて無線信号を送受信する。無線通信部17は、携帯デバイス2から送信された無線信号を受信して、無線信号のパケットに含まれるデータ(制御信号)をメインマイコン10に出力する。
【0024】
メインマイコン10は、通常動作を行う通常動作モードや、ユーザからの操作指示を待つ待機モード等の複数の動作モードを有する。メインマイコン10は、待機モードで動作しているとき、主電源(図示せず)をオフにして、無線通信部17と、キーパッド18と、無線通信部17及びキーパッド18から送信される信号を受信するメインマイコン10の機能の部分とをオンにして自装置を動作させる。待機モードのときに、「電源オン」を指示する信号を受信すると、メインマイコン10は、動作モードを通常動作モードに変更する。
【0025】
携帯デバイス2は、図3に示すように、映像を表示する表示部21と、無線通信部(信号送信手段)22と、メモリ23と、メインマイコン20とを備える。表示部21は、操作ボタンとして機能するタッチパネル(操作手段)21aを有する。ユーザはタッチパネル21aに触れることにより、各種操作を行うことができる。
【0026】
無線通信部22は、無指向性のアンテナ22aを介して、TV受像機1と無線信号の送受信を行う通信デバイスであり、無線LANネットワークを制御するLANコントローラとして機能する。無線通信部22は、無線LANのWi−Fi規格に基づいて無線信号を送受信する。
【0027】
メモリ23は、メインマイコン20を動作させるための制御プログラム23aや、複数のアプリケーション24を格納している。複数のアプリケーション24には、TV受像機1を制御するためのテレビアプリケーション(制御アプリケーション)24aや、インターネットに接続して通信を行うためのWebアプリケーション24bや、ゲームを行うためのゲームアプリケーション24c等が含まれている。
【0028】
メインマイコン20は、ユーザによるタッチパネル21aの操作に基づいて、携帯デバイス2の各部を制御する。また、メインマイコン20は、ユーザによってアプリケーション24の起動が指示されると、起動が指示されたアプリケーション24をメモリ23から読み取り、読み取ったアプリケーション24を起動する。そして、起動が完了したアプリケーション24の機能を提供する。具体的には例えば、テレビアプリケーション24aの起動が指示されると、メインマイコン20は、テレビアプリケーション24aを起動する。そして、このテレビアプリケーション24aの起動が完了すると、メインマイコン20は、テレビアプリケーション24aのリモコン機能に基き、ユーザによるタッチパネル21aの操作に応じた制御信号を、無線通信部22を用いてTV受像機1に送信し、TV受像機1を制御する。
【0029】
次に、携帯デバイス2によるテレビアプリケーション24aの起動処理における表示部21の表示について、図4を参照して説明する。図4(a)〜(c)は、それぞれ表示部21の表示を示す。
【0030】
図4(a)に示すように、起動するアプリケーション24を選択する前には、表示部21には、操作ボタンを模したアイコンA1〜A6が表示される。ここで、ユーザによってテレビアプリケーション24aに対応するテレビアイコンA4が選択されると、メインマイコン20は、テレビアプリケーション24aを起動する。このとき、図4(b)に示すように、表示部21にはテレビアプリケーション24aが起動中である旨を示すメッセージ(「Please Wait」)が表示される。
【0031】
そして、テレビアプリケーション24aの起動が完了すると、図4(c)に示すように、メインマイコン20は、複数の操作ボタン画像を有する操作画面を表示部21に表示する。ユーザは、これらのボタン画像に触れて操作することにより、TV受像機1を制御する。
【0032】
次に、携帯デバイス2によるテレビアプリケーション24aの起動処理の詳細手順について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0033】
ユーザによってタッチパネル21aが操作され、テレビアプリケーション24aの起動が指示されると(S1)、メインマイコン20は、メモリ23からテレビアプリケーション24aを読み取り、テレビアプリケーション24aの起動を開始する(S2)。
【0034】
そして、メインマイコン20は、テレビアプリケーション24aの起動が完了する前に、無線通信部22を用いて、TV受像機1の電源オンを指示するための制御信号をTV受像機1に送信する(S3)。
【0035】
そして、メインマイコン20は、テレビアプリケーション24aの起動が完了すると(S4)、テレビアプリケーション24aの起動画面(図4(c)参照)を表示部21に表示する(S5)。このとき、TV受像機1が通常動作モードで電源オンされている場合、ユーザは、タッチパネル21aを操作することによりTV受像機1を制御できる。
【0036】
次に、テレビアプリケーション24aの起動処理におけるTV受像機1と携帯デバイス2の動作について、図6に示すタイミングチャートを参照して説明する。図中のt軸は時間軸である。ここでは、TV受像機1が、待機モードで動作しているものとする。
【0037】
まず、携帯デバイス2のメインマイコン20は、テレビアプリケーション24aの起動を開始し(t1)、テレビアプリケーション24aの起動が完了する前に、TV受像機1の電源オンを指示するための制御信号をTV受像機1に送信する(t2)。すなわち、携帯デバイス2のメインマイコン20は、テレビアプリケーション24aの起動処理を行いながら、TV受像機1に電源オンを指示するための制御信号を送信する。
【0038】
そして、携帯デバイス2がテレビアプリケーション24aの起動を完了し(t3)、TV受像機1が通常動作モードで電源オンになると(t4)、ユーザは、携帯デバイス2を用いてTV受像機1を制御できる。
【0039】
上述したように、本実施形態に係る携帯デバイス2においては、テレビアプリケーション24aの起動が完了する前に、TV受像機1に電源オンを指示するための制御信号を送信するため、従来のように、テレビアプリケーション24aの起動が完了してからTV受像機1に電源オンを指示する場合よりも、TV受像機1が早く通常動作モードで電源オンする。従って、携帯デバイス2がテレビアプリケーション24aの起動を開始してから、この制御アプリケーション24aを用いてTV受像機1を制御できるまでの待ち時間を短縮できる。
【0040】
また、携帯デバイス2は、無指向性のアンテナ22aを介して、TV受像機1に制御信号を含む無線信号を送信するため、ユーザが携帯デバイス2をTV受像機1に向けながら操作する必要がなくなり、操作の手間を軽減できる。
【0041】
なお、本発明は、上記実施形態の構成に限られず、発明の趣旨を変更しない範囲で種々の変形が可能である。例えば、上記実施形態において、請求項に示す外部機器がTV受像機である例を示したが、これに限られず、携帯デバイスのアプリケーションに基づいて制御可能な外部機器であればよい。
【0042】
また、携帯デバイスと、TV受像機とは、無指向性であるBluetoothを用いて無線信号の送受信を行ってもよい。
【符号の説明】
【0043】
1 テレビジョン(以下、TV)受信機(外部機器)
2 携帯デバイス(携帯端末)
22 無線通信部(信号送信手段)
21a タッチパネル(操作手段)
24a テレビアプリケーション(制御アプリケーション)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部機器に対して制御信号を送信する信号送信手段と、
ユ−ザによって操作され、各種操作を行うための操作手段と、
前記外部機器の制御用の制御アプリケーションを起動して、この制御アプリケーションに基き、ユーザによる前記操作手段の操作に応じた制御信号を、前記信号送信手段を用いて、前記外部機器に送信する制御手段とを備える携帯端末において、
前記制御手段は、前記制御アプリケーションを起動したときに、該制御アプリケーションの起動が完了する前に、前記信号送信手段を用いて、前記外部機器の電源オンを指示するための制御信号を前記外部機器に送信することを特徴とする携帯端末。
【請求項2】
前記外部機器は、テレビジョン受像機であることを特徴とする請求項1に記載の携帯端末。
【請求項3】
前記信号送信手段から送信される制御信号は、無指向性の無線信号であることを特徴とする請求項1又は2に記載の携帯端末。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−235346(P2012−235346A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103124(P2011−103124)
【出願日】平成23年5月2日(2011.5.2)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】