説明

携帯電子機器

【課題】表示位置がずれた画像を表示することなく、使用者に対して違和感のない画像を提示できる携帯電子機器を提供すること。
【解決手段】LCD表示部21と、所定の時間間隔毎に画像データを生成すると共に、画像データの生成毎に所定のタイミングで画像データに所定のデータを挿入する撮像部31と、所定のデータが挿入された画像データを表示データに変換し、変換後の表示データをLCD表示部21に表示する再生処理部32とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像部を有する携帯電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
CCD(charge coupled device)等の撮像部により撮影した画像を、制御部でデジタルデータ(画像データ)に変換し、その後、内部のメモリに記憶し、随時、表示部(LCD)に表示したり、記憶した画像データを外部の他の機器に転送する電子機器が知られている(例えば、特許文献1を参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−7611号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、撮像部と制御部との間に、例えば、静電気等のノイズが侵入した場合、制御部は、画像データから表示データへの変換に遅延を生じる。そうすると、表示部に表示データが適切に表示されないおそれがあり、使用者が違和感を覚える場合があった。
【0005】
本発明は、撮像部と制御部との間に、例えば、静電気等のノイズが侵入した場合でも、表示部に表示データが適切に表示されないことに伴う、使用者の違和感を低減することができる携帯電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る携帯電子機器は、上記課題を解決するために、筐体と、前記筐体に配置された表示デバイスと、前記筐体に配置され、所定の時間間隔毎に画像データを生成すると共に、前記画像データの生成毎に所定のタイミングで前記画像データに所定のデータを挿入する撮像部と、前記所定のデータが挿入された前記画像データを表示データに変換し、前記変換後の表示データを前記表示デバイスに表示する処理部を有する構成である。
【0007】
また、携帯電子機器では、前記撮像部は、前記所定のデータが挿入された前記画像データが前記表示データに変換されて前記表示デバイスに表示される場合に、前記表示データにおける前記所定のデータに対応するデータが、前記表示デバイスにおける所定の座標に表示されるように、前記所定の時間間隔毎に画像データを生成すると共に、前記画像データの生成毎に所定のタイミングで前記画像データに所定のデータを挿入する構成が好ましい。
【0008】
また、携帯電子機器では、前記所定の座標は、前記表示デバイスにおける端部に対応する座標である構成が好ましい。
【0009】
また、携帯電子機器では、前記処理部は、前記表示データにおける前記所定の座標に対応するデータを解析し、当該解析の結果に基づいて、前記所定のデータが挿入された前記画像データから前記表示データへの変換を抑制する構成が好ましい。
【0010】
また、携帯電子機器では、前記撮像部は、前記所定の時間間隔毎に同期信号を生成し、前記処理部は、前記所定のデータが挿入された前記画像データから前記表示データへの変換を抑制した後、前記同期信号に基づいて前記所定のデータが挿入された前記画像データと同期をとってから表示データに変換し、前記変換後の表示データを前記表示デバイスに表示する構成が好ましい。
【0011】
また、携帯電子機器では、前記撮像部は、生成された画像データを分析し、当該分析の結果に基づいて、前記画像データに挿入する前記所定のデータを異ならせることが好ましい。
【0012】
また、携帯電話機器では、記憶部を備え、前記処理部は、前記所定のデータが挿入された前記画像データを表示データに変換し、前記変換後の表示データを、前記表示デバイスに表示すると共に、前記表示データにおける前記所定のデータに対応するデータを、当該データの座標に隣接する座標に対応するデータに置換して、前記置換後の表示データを前記記憶部に記憶することが好ましい。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、一定条件下に表示部に表示データが適切に表示されないことに伴う、使用者の違和感を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】携帯電話装置の外観斜視図である。
【図2】携帯電話装置を折畳んだ状態の斜視図である。
【図3】携帯電話装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図4】撮像部と再生部の詳細な構成を示す機能ブロック図である。
【図5】撮像部を中心にした携帯電話装置の構成を示す機能ブロック図である。
【図6】表示データの一例を示す図である。
【図7】使用者に対して違和感のないプレビュー画像を提示するための処理の流れについての説明に供するフローチャートである。
【図8】同期ずれを生じている場合の一例についての説明に供する図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施の形態について説明する。図1は、本発明に係る携帯電子機器の一例である携帯電話装置1の外観斜視図を示す。なお、図1は、いわゆる折り畳み型の携帯電話装置の形態を示しているが、本発明に係る携帯電話装置の形態としては特にこれに限られない。例えば、両筐体を重ね合わせた状態から一方の筐体を一方向にスライドさせるようにしたスライド式や、重ね合せ方向に沿う軸線を中心に一方の筐体を回転させるようにした回転式(ターンタイプ)や、操作部と表示部とが一つの筐体に配置され、連結部を有さない形式(ストレートタイプ、フリップタイプ)でも良い。
【0016】
携帯電話装置1は、操作部側筐体部2と、表示部側筐体部3と、を備えて構成される。操作部側筐体部2は、表面部10に、操作部11と、携帯電話装置1の使用者が通話時に発した音声が入力されるマイク12と、を備えて構成される。操作部11は、各種設定や電話帳機能やメール機能等の各種機能を作動させるための機能設定操作キー13と、電話番号の数字やメール等の文字等を入力するための入力操作キー14と、各種操作における決定やスクロール等を行う決定操作キー15と、から構成されている。
また、表示部側筐体部3は、表面部20に、各種情報を表示するためのLCD(Liquid Crystal Display)表示部21(表示デバイス)と、通話の相手側の音声を出力するスピーカ22と、を備えて構成されている。
【0017】
また、操作部側筐体部2の上端部と表示部側筐体部3の下端部とは、ヒンジ機構4を介して連結されている。また、携帯電話装置1は、ヒンジ機構4を介して連結された操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを相対的に回転することにより、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを互いに開いた状態(開放状態)にしたり、操作部側筐体部2と表示部側筐体部3とを折り畳んだ状態(折畳み状態)にしたりできる。
【0018】
また、図2は、携帯電話装置1を折畳んだ状態の斜視図を示している。操作部側筐体部2は、外平面部に、時計やメールの着信等が表示されるサブLCD表示部30と、被写体を撮像する撮像部31が備えられている。
【0019】
また、図3は、携帯電話装置1の機能を示す機能ブロック図である。携帯電話装置1は、図3に示すように、操作部11と、マイク12と、メインアンテナ40と、RF回路部41と、LCD制御部42と、音声処理部43と、メモリ44と、制御部45が操作部側筐体部2に備えられ、LCD表示部21と、スピーカ22と、ドライバIC23と、サブLCD表示部30と、撮像部31が表示部側筐体部3に備えられている。
【0020】
メインアンテナ40は、第1の使用周波数帯(例えば、800MHz)で基地局等と通信を行い、GPS通信のための第2の使用周波数帯(例えば、1.5GHz)に対応できるデュアルバンド対応構成である。なお、本実施の形態では、第1の使用周波数帯として、800MHzとしたが、これ以外の周波数帯であっても良い。また、メインアンテナ40は、第1の使用周波数帯で外部装置と通信を行い、GPS通信のための第2の使用周波数帯に対応できるアンテナを別途設けても良い。
【0021】
RF回路部41は、メインアンテナ40によって受信した信号を復調処理し、処理後の信号を制御部45に供給する。そして、制御部45から供給された信号を変調処理し、メインアンテナ40を介して外部装置(基地局)に送信する。また、その一方で、メインアンテナ40によって受信している信号の強度を制御部45に通知する。
【0022】
LCD制御部42は、制御部45の制御にしたがって、所定の画像処理を行い、処理後の画像データをドライバIC23に出力する。ドライバIC23は、LCD制御部42から供給された画像データをフレームメモリに蓄え、所定のタイミングでLCD表示部21又はサブLCD表示部30に出力する。
【0023】
音声処理部43は、制御部45の制御にしたがって、RF回路部41から供給された信号に対して所定の音声処理を行い、処理後の信号をスピーカ22に出力する。スピーカ22は、音声処理部43から供給された信号を外部に出力する。
【0024】
また、音声処理部43は、制御部45の制御にしたがって、マイク12から入力された信号を処理し、処理後の信号をRF回路部41に出力する。RF回路部41は、音声処理部43から供給された信号に所定の処理を行い、処理後の信号をメインアンテナ40に出力する。
【0025】
メモリ44は、例えば、ワーキングメモリを含み、制御部45による演算処理に利用される。また、メモリ44には、複数のアプリケーションや当該アプリケーションが必要とする各種のテーブル等が記憶されている。また、メモリ44は、着脱可能な外部メモリを兼ねていても良い。
【0026】
制御部45は、携帯電話装置1の全体を制御しており、中央処理装置(CPU)等を用いて構成される。
【0027】
ここで、被写体を撮像する撮像部31の具体的な構成について説明する。撮像部31は、図4に示すように、イメージセンサ部51と、バッファ部52と、A/D変換部53と、タイミング発生部54と、駆動回路部55から構成されている。
【0028】
イメージセンサ部51は、レンズを介して結像した画像を電気信号に変換し、バッファ部52へ供給する。バッファ部52は、イメージセンサ部51から供給された画像データを所定レベルに増幅した後、A/D変換部53へ供給する。A/D変換部53は、画像データをデジタルデータに変換した後、タイミング発生部54に供給する。
【0029】
タイミング発生部54(TG、Timing Generator)は、イメージセンサ部51を駆動する駆動回路部55を制御するためのタイミング信号(同期信号)を生成し、これを駆動回路部55へ供給すると共に、このタイミング信号にしたがって、A/D変換部53から画像データを取り込み、データバスAへ出力する。
【0030】
つぎに、データバスAに出力された画像データは、再生処理部32(処理部)によって再生されて表示データに変換される。再生処理部32により変換された表示データは、LCD表示部21に供給される。LCD表示部21は、表示データを表示する。この表示されている画像(以下、プレビュー画像という)は、イメージセンサ部51によって撮像されている被写体の映像である。使用者は、プレビュー画像を眺めながら、撮像する被写体とそのタイミングを図ることができる。
【0031】
ここで、再生処理部32は、図4に示すように、メモリ44と、制御部45と、圧縮/伸張部61と、ビデオ信号発生部62と、VRAM63と、D/A変換部64と、バッファ65から構成されている。
【0032】
メモリ44は、例えば、DRAM(ダイナミックメモリ)であり、タイミング発生部54が出力する画像データを一時記憶する。
【0033】
制御部45は、メモリ44に一時記憶された画像データを1画面分の撮影が終了した時点で読み出し、輝度信号と色信号とを分離する色演算処理を行う。なお、色演算処理は、制御部45ではなく、専用の色演算処理部におって行われる構成であっても良い。
【0034】
また、圧縮/伸張部61は、色演算処理により分離された輝度信号と色信号とを、例えばJPEG(Joint Photographic Coding Experts Group)方式等の圧縮方式により圧縮する一方、圧縮された画像データを伸張する処理を行う。メモリ44は、圧縮された画像データ(輝度信号と色信号)を格納する。なお、圧縮された画像データは、他のメモリ(フラッシュメモリ)に格納される構成であっても良い。
【0035】
ビデオ信号発生部62(SG、Signal Generator)は、圧縮/伸張部61により伸張された輝度信号に色信号を重畳し、同期信号等を付加して、デジタルビデオ信号(表示データ)を作成し(画像データを表示データに変換し)、VRAM63及びD/A変換部64へ出力する。
【0036】
VRAM63は、表示データを記憶する記憶媒体である。D/A変換部64は、ビデオ信号発生部62が出力する表示データをアナログ信号に変換し、バッファ65とドライバIC23を介してLCD表示部21へ供給する。
【0037】
このように構成される携帯電話装置1では、撮像部31で被写体を撮像する場合、画像データの描画開始位置を初回(例えば、カメラアプリケーションが起動された時)のみ調整し、以降は描画開始位置処理を行わない場合がある。なお、以下では、再生処理部32は、カメラ信号処理部101と、描画信号処理部102とから構成されているものとして説明する(図5を参照)。カメラ信号処理部101の機能は、概念的に、メモリ44と、制御部45と、圧縮/伸張部61と、ビデオ信号発生部62と、VRAM63が協調して動作することにより発揮されるものとする。また、描画信号処理部102の機能は、概念的に、制御部45と、D/A変換部64と、バッファ65が協調して動作することにより発揮されるものとする。また、カメラ信号処理部101は、カウンタ部103から基準信号の供給を受ける構成になっている。ここで、基準信号とは、所定の周期でパルス信号が発生している信号である。
【0038】
このようにして、カメラ信号処理部101に静電気が印加された場合には、撮像部31から供給される同期信号が静電気に起因するノイズの影響を受けてしまう。そうすると、LCD表示部21には、同期ずれを生じたプレビュー画像が表示されることになる。
【0039】
そこで、本実施例に係る携帯電話装置1は、撮像部31と再生処理部32との間に静電気等のノイズが印加された場合に、LCD表示部21に表示データが適切に表示されないことに伴う、使用者の違和感を低減することができる構成を有している。
【0040】
ここで、上述した構成について詳細に説明する。携帯電話装置1は、上述したように、LCD表示部21(表示デバイス)と、撮像部31(撮像部)と、再生処理部32を備える。
撮像部31は、所定の時間間隔毎に画像データを生成すると共に、画像データの生成毎に所定のタイミングで画像データに所定のデータを挿入する。再生処理部32は、所定のデータが挿入された画像データを表示データに変換し、変換後の表示データをLCD表示部21に表示するように制御する。
【0041】
タイミング発生部54は、所定の時間間隔毎に同期信号を生成している。また、撮像部31では、タイミング発生部54により生成される同期信号に基づいて、画像データの取り込みを行っている。
【0042】
撮像部31は、この同期信号を利用して、所定のタイミングで画像データに所定のデータを挿入する。したがって、描画信号処理部102で生成される表示データには、静電気等のノイズの影響が無ければ、同一の場所に所定のデータが挿入されていることになる。
【0043】
よって、再生処理部32は、表示データに挿入されている所定のデータの場所を確認することによって、静電気等の影響によって同期ずれが生じているかどうかを把握することできる。
【0044】
例えば、再生処理部32は、同期ずれが生じていることを把握した場合には、描画信号処理部102からカメラ信号処理部101に対して、リセット信号を送信し、当該リセット信号を受信したカメラ信号処理部101によりリセット処理(ブラックアウト等)を行う。これにより、同期ずれは、解消され、使用者に対して違和感のないプレビュー画像が提示される。
【0045】
また、撮像部31は、所定のデータが挿入された画像データが表示データに変換されてLCD表示部21に表示される場合に、表示データにおける所定のデータに対応するデータが、LCD表示部21における所定の座標に表示されるように、所定の時間間隔毎に画像データを生成すると共に、画像データの生成毎に所定のタイミングで画像データに所定のデータを挿入する構成が好ましい。
【0046】
また、所定の座標は、LCD表示部21における端部(周縁部)に対応する座標であることが好ましい。
【0047】
例えば、表示データが、図6に示すように、横(X軸)240ドット、縦(Y軸)320ドットで構成されるものとする。
撮像部31は、表示データの四隅(左上((X、Y)=(0、0))、左下((X、Y)=(0、320))、右上((X、Y)=(240、0))、右下((X、Y)=(240、320)))に1ドットの所定のデータを挿入する。
また、例えば、撮像部31は、所定のデータとして、表示データの四隅に黒色のデータ(R:G:B=0:0:0)を挿入する。
【0048】
このように構成されるので、再生処理部32は、表示データの所定の座標位置に所定のデータが挿入されるタイミングで、所定のデータを画像データに挿入するので、表示データに挿入されている所定のデータが所定の座標位置に挿入されているか否かによって、簡易に静電気等の影響によって同期ずれが生じているかどうかを把握することできる。
【0049】
例えば、再生処理部32は、同期ずれが生じていることを把握した場合には、描画信号処理部102からカメラ信号処理部101に対して、リセット信号を送信し、当該リセット信号を受信したカメラ信号処理部101によりリセット処理(ブラックアウト等)を行う。これにより、同期ずれは、解消され、使用者に対して違和感のないプレビュー画像が提示される。
【0050】
また、携帯電話装置1は、操作部11を構成するいずれかのキーにリセット処理を命令するリセットボタンを割り当てておいても良い。このような構成の場合、携帯電話装置1は、プレビュー画像を見て、所定のデータの位置を確認し、同期ずれが生じていることを把握した使用者がリセットボタンを操作することができ、同期ずれかどうかを判断するための処理が不要となり、再生処理部32の処理負担を軽減することができる。
【0051】
また、再生処理部32は、表示データにおける所定の座標に対応するデータを解析し、当該解析の結果に基づいて、所定のデータが挿入された画像データから表示データへの変換を抑制、すなわち破棄する構成が好ましい。
【0052】
このような構成により、携帯電話装置1は、同期ずれを生じていない表示データをプレビュー画像としてLCD表示部21に供給できる。よって、使用者に対して違和感のないプレビュー画像が提示される。
【0053】
また、撮像部31は、上述したように、タイミング発生部54により所定の時間間隔毎に同期信号を生成する。
再生処理部32は、所定のデータが挿入された画像データから表示データへの変換を抑制した後、同期信号に基づいて所定のデータが挿入された画像データと同期をとってから表示データに変換し、変換後の表示データをLCD表示部21に表示する構成が好ましい。
【0054】
このような構成により、携帯電話装置1は、同期ずれが生じた後、その画像データを破棄し、所定のリセット処理を行って、同期をとってから、画像データを表示データに変換するので、同期ずれを生じていない表示データをプレビュー画像としてLCD表示部21に供給できる。よって、使用者に対して違和感のないプレビュー画像が提示される。
【0055】
また、撮像部31は、生成された画像データを分析し、当該分析の結果に基づいて、画像データに挿入する所定のデータを異ならせる構成が好ましい。
上述では、撮像部31は、所定のデータとして、黒色のデータ(R:G:B=0:0:0)を挿入すると説明したが、一律に黒色のデータを挿入するのではなく、元の画像データの輝度に近似したデータを所定のデータとして挿入する。
【0056】
このように構成することによって、携帯電話装置1は、表示データに挿入されている所定のデータがあまり目立たず、使用者に対して違和感のないプレビュー画像を提示することができる。
【0057】
例えば、撮像部31は、明るめ画像データである場合には、白色データ(R:G:B=255:255:255)を所定のデータとして挿入し、暗めの画像データである場合には、黒色データ(R:G:B=0:0:0)を所定のデータとして挿入する。
【0058】
また、携帯電話装置1は、上述では、表示データの四隅に1ドットの所定のデータを挿入すると説明したが、所定のデータの挿入場所は、四隅に限られず、表示データの中心に一つだけ挿入する構成であっても良いし、所定の場所に4ドット以上の所定のデータを挿入しても良い。また、所定のデータは、数ドットを連結させて、星型等の形状であっても良い。
【0059】
また、携帯電話装置1は、上述したようにメモリ44(記憶部)を備えている。再生処理部32は、所定のデータが挿入された画像データを表示データに変換し、変換後の表示データを、LCD表示部21に表示すると共に、表示データにおける所定のデータに対応するデータを、当該データの座標に隣接する座標に対応するデータに置換して、置換後の表示データを記憶部に記憶する構成が好ましい。
【0060】
具体的には、再生処理部32は、使用者の操作によって、撮像画像を保存する旨の命令を受けた場合に、所定の撮像処理(開いているシャッター(不図示)を、一度閉じ、所定の時間だけ開いて、その後閉じる処理)を行って表示データを保存対象として取得し、その後、当該表示データにおいて、所定のデータが挿入されている座標部分に、隣接する座標部分の画素をコピーし、コピー後の表示データをメモリ44に保存する。
【0061】
例えば、再生処理部32は、表示データが、図6に示すように、横(X軸)240ドット、縦(Y軸)320ドットで構成されており、所定のデータが表示データの四隅(左上((X、Y)=(0、0))、左下((X、Y)=(0、320))、右上((X、Y)=(240、0))、右下((X、Y)=(240、320)))に挿入されている場合には、左上(0、0)に隣接する点(1、0)の画素を左上(0、0)にコピーし、左下(0、320)に隣接する点(1、320)の画素を左下(0、320)にコピーし、右上(240、0)に隣接する点(239、0)の画素を右上(240、0)にコピーし、右下(240、320)に隣接する点(239、320)の画素を右下(240、320)にコピーする。
【0062】
したがって、携帯電話装置1は、所定のデータが挿入されていた部分が目立たないような表示データをメモリ44に保存することができる。
【0063】
また、再生処理部32は、所定のデータが挿入されている、座標部分に隣接する複数の部分の画素を選択し、選択した画素の明度を合算した後、選択した画素数で除算することによって平均画素を生成し、当該平均画素を所定のデータに置換し、置換後の表示データをメモリ44に保存する構成であっても良い。このような構成によれば、携帯電話装置1は、所定のデータが挿入されていた部分が一層目立たないような表示データをメモリ44に保存することができる。
【0064】
つぎに、使用者に対して違和感のないプレビュー画像を提示するための処理の流れについて、図7に示すフローチャートを参照して説明する。なお、以下では、使用者によって操作部11に所定の操作が行われ、再生処理部32によってカメラアプリケーションが起動されている状態を想定して説明する。また、表示データの四隅には、1ドットの黒色のデータが所定のデータとして挿入されるものとする。
【0065】
ステップST1において、再生処理部32は、同期信号にエラーがないかどうかを判断する。具体的には、カメラ信号処理部101は、カウンタ部103から供給される基準信号に基づいて、撮像部31から供給されてくる同期信号にエラーが発生しているか、すなわち同期信号が所定のタイミングで供給されているかどうかを判断する。同期信号にエラーがないと判断した場合(Yes)には、ステップST3に進み、同期信号にエラーがあると判断した場合(No)には、ステップST2に進む。
【0066】
ステップST2において、再生処理部32は、カメラモードのリセット処理を行う。具体的には、カメラ信号処理部101は、撮像部31から供給される同期信号がエラーを生じていた場合には、リセット処理(例えば、ブラックアウト)を行う。このリセット処理によって、同期ずれが解消する。
【0067】
ステップST3において、再生処理部32は、所定のデータの判定を行う。具体的には、描画信号処理部102は、内部バスを介してカメラ信号処理部101から供給された画像データを解析し、所定のタイミングで所定のデータが挿入されているかどうかを判定する。
【0068】
ステップST4において、再生処理部32は、四隅に相当する位置に所定のデータが挿入されているかどうかを判定する。具体的には、描画信号処理部102は、四隅に相当する位置の1ドットが黒色を示す明度(R:G:B=0:0:0)になっているかどうかを判断する。所定のデータが所定の位置に挿入されていると判断した場合(Yes)には、ステップST5に進み、所定のデータが所定の位置に挿入されていない判断した場合(No)には、ステップST2に進む。例えば、同期ずれを生じている場合には、プレビュー画像は、図8に示すように、四隅ではない部分に所定のデータが挿入されたものになる。このような場合には、描画信号処理部102は、カメラ信号処理部101に対して、リセット信号を送信し、リセット処理を実行させる。
【0069】
ステップST5において、再生処理部32は、使用者の操作によって所定の撮像処理を行って、表示データをメモリ44に保存する処理を行う。
【0070】
したがって、携帯電話装置1は、所定の位置に所定のデータが挿入されていない場合には、同期ずれが生じていると判断し、描画信号処理部102からカメラ信号処理部101に対して、リセット信号を送信し、当該リセット信号を受信したカメラ信号処理部101によりリセット処理(ブラックアウト等)が行われる。このようにして、携帯電話装置1は、同期ずれを解消することができ、使用者に対して違和感のないプレビュー画像を提示し、同期ずれが解消された表示データの保存を可能にしている。
【0071】
すなわち、携帯電話装置1は、撮像部31と再生処理部32との間に、例えば、静電気等のノイズが侵入した場合でも、LCD表示部21表示データが適切に表示されないことに伴う、使用者の違和感を低減することができる。
【0072】
なお、本発明は、上述において説明した実施形態に限定されることなく、種々の態様で実施することができる。例えば、LCD表示部21は、表示デバイスの一例であって、様々な表示デバイスに適用できることはもちろんである。その他、本発明の趣旨の範囲内で、細部の構成を適宜、変更することが可能である。
【符号の説明】
【0073】
1 携帯電話装置
31 撮像部
32 再生処理部
44 メモリ
45 制御部
51 イメージセンサ部
52 バッファ部
53 A/D変換部
54 タイミング発生部
55 駆動回路部
101 カメラ信号処理部
102 描画信号処理部
103 カウンタ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体に配置された表示デバイスと、
前記筐体に配置され、所定の時間間隔毎に画像データを生成すると共に、前記画像データの生成毎に所定のタイミングで前記画像データに所定のデータを挿入する撮像部と、
前記所定のデータが挿入された前記画像データを表示データに変換し、前記変換後の表示データを前記表示デバイスに表示する処理部と、を有する携帯電子機器。
【請求項2】
前記撮像部は、前記所定のデータが挿入された前記画像データが前記表示データに変換されて前記表示デバイスに表示される場合に、前記表示データにおける前記所定のデータに対応するデータが、前記表示デバイスにおける所定の座標に表示されるように、前記所定の時間間隔毎に画像データを生成すると共に、前記画像データの生成毎に所定のタイミングで前記画像データに所定のデータを挿入する請求項1記載の携帯電子機器。
【請求項3】
前記所定の座標は、前記表示デバイスにおける端部に対応する座標である、ことを特徴とする請求項2記載の携帯電子機器。
【請求項4】
前記処理部は、前記表示データにおける前記所定の座標に対応するデータを解析し、当該解析の結果に基づいて、前記所定のデータが挿入された前記画像データから前記表示データへの変換を抑制する請求項2又は請求項3記載の携帯電子機器。
【請求項5】
前記撮像部は、前記所定の時間間隔毎に同期信号を生成し、
前記処理部は、前記所定のデータが挿入された前記画像データから前記表示データへの変換を抑制した後、前記同期信号に基づいて前記所定のデータが挿入された前記画像データと同期をとってから表示データに変換し、前記変換後の表示データを前記表示デバイスに表示する請求項4記載の携帯電子機器。
【請求項6】
前記撮像部は、生成された画像データを分析し、当該分析の結果に基づいて、前記画像データに挿入する前記所定のデータを異ならせる請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の携帯電子機器。
【請求項7】
記憶部を備え、
前記処理部は、前記所定のデータが挿入された前記画像データを表示データに変換し、前記変換後の表示データを、前記表示デバイスに表示すると共に、前記表示データにおける前記所定のデータに対応するデータを、当該データの座標に隣接する座標に対応するデータに置換して、前記置換後の表示データを前記記憶部に記憶する請求項1乃至請求項6のいずれか一項に記載の携帯電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−211355(P2011−211355A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−75200(P2010−75200)
【出願日】平成22年3月29日(2010.3.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】