携帯電源装置
【課題】展示をする上で有利であるとともに、開かれた状態で損傷に至る恐れがなく、しかも、携帯中に発電できる携帯電源装置を提供することにある。
【解決手段】第1の太陽電池パネルを支持する第1のケース(本体ケース)2と第2の太陽電池パネルを支持する第2のケース(蓋体)5と回転自在に連結する接続機構20を備え、第1、第2のケース2,5の内のいずれか一方に、太陽電池パネルが発電した電力を蓄える電源電池を内蔵するとともに、この電源電池の電力を外部に供給する充電コネクタを設ける。接続機構が、第1、第2の太陽電池パネルが向かい合うように第1、第2のケース2,5が閉じられた折畳み位置と、第1、第2の太陽電池パネルが露出しかつ第1、第2のケース2,5が背合わせ状態となるように第1、第2のケース2,5が最大に開かれた最大開き位置とにわたって、第1、第2のケース2,5の回転を許す構成であることを特徴としている。
【解決手段】第1の太陽電池パネルを支持する第1のケース(本体ケース)2と第2の太陽電池パネルを支持する第2のケース(蓋体)5と回転自在に連結する接続機構20を備え、第1、第2のケース2,5の内のいずれか一方に、太陽電池パネルが発電した電力を蓄える電源電池を内蔵するとともに、この電源電池の電力を外部に供給する充電コネクタを設ける。接続機構が、第1、第2の太陽電池パネルが向かい合うように第1、第2のケース2,5が閉じられた折畳み位置と、第1、第2の太陽電池パネルが露出しかつ第1、第2のケース2,5が背合わせ状態となるように第1、第2のケース2,5が最大に開かれた最大開き位置とにわたって、第1、第2のケース2,5の回転を許す構成であることを特徴としている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池パネルを備え、携帯電話等の携帯機器内の二次電池に充電するために携帯される携帯電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池が内蔵される外装部材をなす筐体及び蓋体を折畳み可能にヒンジ連結するとともに、筐体と蓋体の内側に夫々太陽電池パネルを装備し、これらのパネルが合わさる形態に外装部材を閉じて携帯することができ、外装部材を開くことで太陽電池パネルが露光されるようにして太陽電池パネルに発電を行わせる携帯電源装置が、従来知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3105755号公報(段落0004−0007、図1、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の携帯電源装置でのヒンジ連結は、筐体の上部に設けられたヒンジ凸部と蓋体の下部に設けられたヒンジ凸部とを交互に並ぶように組み合わせるとともに、これらヒンジ凸部を外装部材の幅方向に貫通する1本の軸で連結した構成である。
【0005】
この携帯電源装置は、それを販売店等で展示する場合、必ず外装部材を開いた状態にする必要がある。外装部材が閉じた状態であると、太陽電池パネルが視認できないので、外装部材の外観のみに依存してどのような商品であるのかを知らせることが困難であり、販売をする上での訴求力が低い。
【0006】
更に、特許文献1の携帯電源装置の構成では、外装部材を開閉する際の回転中心となる単一の軸が、外装部材の厚み方向中間位置に配置されているので、外装部材の開き角度は最大で略270°が限界であり、外装部材をなした筐体と蓋体を背合わせ状態に開くことはできない。更に、以上のように外装部材の開き角度に限界があるため、それ以上開く外力が誤って加わることがあると、ヒンジ連結の部分に過負荷が掛かり、損傷する恐れが考えられる。
【0007】
又、特許文献1の携帯電源装置は、外装部材を閉じた状態で携帯するものであるため、この携帯中に太陽電池パネルで受光し、それにより発電した電力を蓄電することはできない。
【0008】
以上のように従来技術の携帯電源装置は、展示をする上で不利であるとともに、過度の開力を受けて損傷に至る恐れがあり、しかも、携帯中に発電できない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、第1のケースと、この第1のケースに支持された第1の太陽電池パネルと、第2のケースと、この第2のケースに支持された第2の太陽電池パネルと、前記第1、第2のケースを回転可能に接続し、かつ、前記第1、第2の太陽電池パネルが向かい合うように前記第1、第2のケースが閉じられた折畳み位置と前記第1、第2の太陽電池パネルが露出しかつ前記第1、第2のケースが背合わせ状態となるように前記第1、第2のケースが最大に開かれた最大開き位置とにわたって前記第1、第2のケースの回転を許す接続機構と、前記第1、第2のケースの内のいずれか一方に内蔵され前記太陽電池パネルが発電した電力を蓄える電源電池と、前記一方のケースに設けられて前記電源電池の電力を外部に供給する充電コネクタと、を具備することを特徴としている。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記接続機構が、前記第1のケースの連結端部の幅内に設けられた一対の第1の枢支部と、前記第2のケースの連結端部の幅内に設けられた一対の第2の枢支部と、前記連結端部の厚み以上の距離を隔てて配設される第1の接続部及び第2の接続部を夫々両端部に有し、前記第1の接続部を前記第1の枢支部に回転可能に嵌合するとともに前記第2の接続部を前記第2の枢支部に回転可能に嵌合して、前記第1、第2のケースを接続してこれらの間に設けられた継手部材と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
この好ましい形態において、第1の枢支部は、第1のケースと別に形成されていてこの第1のケースに固定されていてもよく、或いは第1のケースに一体に形成されていてもよく、同様に、第2の枢支部は、第2のケースと別に形成されていてこの第2のケースに固定されていてもよく、或いは第2のケースに一体に形成されていてもよい。更に、この好ましい形態で、枢支部と接続部とは相対的に回転可能に嵌合される関係にあればよいとともに、枢支部と接続部とは、所定角度ごとに節度を伴って相対的に回転されるようにしても、或いはこうした節度を伴うことなく相対的に回転されるようにしてもよい。又、この好ましい形態において、並設された第1、第2の接続部間の距離が連結端部の厚み以上であるとは、第1、第2の接続部の中心間距離を指している。これとともに、前記距離を連結端部の厚みと略等しくすることは、第1、第2のケースの背合わせ面が略平行となるので、最大開き状態を厚み方向にコンパクトにできる点で好ましいが、前記距離を長くする程、第1、第2のケースの背合わせ面の平行度が損なわれる反面で、360°を超えて一方のケースを基準として他方のケースを回転させることが可能となる。
【0012】
又、本発明の好ましい形態では、前記第1の枢支部とこれに嵌合される前記第1の接続部の内の一方が軸であるとともに、他方が前記第1の枢支部に嵌合する第1の嵌合部を有しており、前記第2の枢支部とこれに嵌合される前記第2の接続部の内の一方が軸であるとともに、他方が前記第2の軸枢支部に嵌合する第2の嵌合部を有していることを特徴としている。
【0013】
又、本発明の好ましい形態では、前記第1の枢支部が枠状に形成された前記第1の嵌合部を備えているとともに、前記第2の枢支部が枠状に形成された前記第2の嵌合部を備えており、前記第1の接続部が前記継手部材の端面から突出して前記第1の嵌合部内に回転可能に嵌合される第1の軸であるとともに、前記第2の接続部が前記継手部材の端面から突出して前記第2の嵌合部内に回転可能に嵌合される第2の軸であり、前記第1、第2の嵌合部は弾性変形が可能な一対の軸挟持部位を有しており、これらの軸挟持部位の相対向する面に係合溝が形成されているとともに、これら係合溝に係脱される複数の係合突起が前記第1、第2の軸の周部に設けられていることを特徴としている。
【0014】
この好ましい形態において、係合突起の数を多くする程、係合溝への係脱に伴う節度の回数と、係合溝に係合突起が係合した位置に開かれた方のケースを保持する回数を、より多く確保できる点で好ましい。
【0015】
又、本発明の好ましい形態では、前記電源電池及び充電コネクタが設けられた前記一方のケース側の前記第1の嵌合部が有した前記軸挟持部位の弾性力が、他方のケース部材側の前記第2の嵌合部が有した前記軸挟持部位の弾性力より強いことを特徴としている。
【0016】
この好ましい形態において、第1、第2の嵌合部が有した軸挟持部位の弾性力の差は、第1、第2の嵌合部の軸挟持部位の厚み及び幅の内の少なくとも一方を変えることで設定できるとともに、第1、第2の嵌合部を異なる材料で作り、或いは同種の材料でも組成が異なる材料で作ることで設定できる。
【0017】
又、本発明の好ましい形態では、前記第1のケースの連結端部の外面が前記第1の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面を有して形成されているとともに、前記第2のケースの連結端部の外面が前記第2の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面を有して形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の携帯電源装置によれば、太陽電池パネルを露出させるための開き角度の自由度が高く、かつ、太陽電池パネルを露出させて展示可能であるので、展示上の訴求力を向上できるとともに、最大に開かれた場合第1、第2のケースが背合わせ状態となっているので、この状態から誤って更に開く力が作用しても、損傷に至る恐れがなく、又、背合わせ状態で太陽光に晒されるように携帯できるので、携帯中に一方の太陽電池パネルで受光して発電できる、という効果ある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る携帯電話用の携帯充電器を閉じた状態でかつ表側一端部側から視認して示す斜視図である。(B)は本発明の一実施の形態に係る携帯電話用の携帯充電器を閉じた状態でかつ表側他端部側から視認して示す斜視図である。(C)は本発明の一実施の形態に係る携帯電話用の携帯充電器を閉じた状態で裏側から視認して示す斜視図である。
【図2】(A)〜(D)は一実施形態の携帯充電器が夫々異なる角度に開かれた状態を示す斜視図である。
【図3】(A)(B)は一実施形態の携帯充電器が最大に開かれた状態を夫々異なる方向から視認して示す斜視図である。
【図4】一実施形態の携帯充電器を分解して示す斜視図である。
【図5】(A)〜(G)は一実施形態の携帯充電器の夫々異なる状態を示す側面図である。
【図6】図5(A)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図7】図5(B)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図8】図5(C)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図9】図5(D)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図10】図5(E)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図11】図5(F)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図12】図5(G)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図12を参照して本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
図中符号1は携帯電源装置例えば携帯充電器を示している。携帯充電器1は、携帯可能に構成された携帯機器(図示しない)内の二次電池が容量不足になった際に、この二次電池に充電をするために用いられる。携帯機器としては、携帯電話を代表的に挙げることができるが、携帯可能な機器であれば、CDプレーヤー、MDプレーヤー、コンパクト型デジタルカメラ、PDA、ラップトップパソコン等にも、携帯充電器1を用いて充電可能である。
【0022】
携帯電話用として開発された本実施形態の携帯充電器1は、第1のケース例えば本体ケース2と、第2のケース例えば蓋体5と、接続機構20と、第1の太陽電池パネル26と、第2の太陽電池パネル28と、電源電池31と、回路ユニット33と、充電コネクタ35等を具備している。
【0023】
本体ケース2は、略長方形で使用者の手の平に収まる程度の大きさに作られており、合成樹脂製の本体ケース部材3及び本体カバー部材4を連結してなる。本体カバー部材4はその周部を除いて開放された長四角形状の本体開口4a(図4参照)を有して枠状に形成されている。
【0024】
本体ケース2の長手方向一端部は連結端部2aをなしているとともに、本体ケース2の長手方向他端部は連結端部2aより厚く形成されている。連結端部2aは、図4に示すように本体ケース2の幅方向両端部に設けられた一対の凸部2b及びこれらの間に形成された凹部2cを有している。一対の凸部2bは凹部2cに臨んで開放されている。連結端部2aの外面、より具体的には凸部2bの外面は、後述する第1の軸からなる第1の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面2bf(図6で代表する。)を有して形成されている。
【0025】
蓋体5は、本体ケース2と略同じ大きさに作られており、合成樹脂製の蓋体ケース部材6及び蓋体カバー部材7を連結してなる。蓋体カバー部材7はその周部を除いて開放された長四角形状の蓋体開口7a(図4参照)を有して枠状に形成されている。
【0026】
蓋体5の長手方向一端部は連結端部5aをなしているとともに、この連結端部5aは蓋体5の長手方向他端部より厚く形成されている。連結端部5aは、図4に示すように蓋体5の幅方向両端部に設けられた一対の凸部5b及びこれらの間に形成された凹部5cを有している。一対の凸部5bは凹部5cに臨んで開放されている。連結端部5aの外面、より具体的には凸部5bの外面は、後述する第2の軸からなる第2の接続部23を中心とする半径で描かれる半円状面5bf(図6で代表する。)を有して形成されている。
【0027】
接続機構20は、一対の第1の第1の枢支部12と、一対の第2の枢支部16と、継手部材21を備えてなり、本体ケース2と蓋体5を回転可能に接続して設けられている。この接続機構20の継手部材21と本体ケース2と蓋体5とは、携帯充電器1の外郭を形成している。
【0028】
一対の第1の枢支部12は本体ケース2に設けられている。これら第1の枢支部12は、合成樹脂の一体成形品からなり、図4に示すように第1の嵌合部13と固定凸部14を備えている。第1の嵌合部13は図4及び図6〜図12に示すように略四角枠状に形成されている。これとともに、第1の嵌合部13が有した一対の軸挟持部位13aは、第1の嵌合部13の長片をなしていて相対向している。これら軸挟持部位13aは、互いに接離する方向に弾性変形することが可能であり、かつ、内面にV形状又は半円形状の係合溝15が形成されている。固定凸部14は第1の嵌合部13の長手方向一端に突設されている。
【0029】
これら第1の枢支部12は、その固定凸部14を図6〜図12に示すように本体ケース部材3と本体カバー部材4で挟着することによって、本体ケース2に固定されている。これにより、第1の枢支部12は、連結端部2aの幅内に設けられており、具体的には凸部2bに内蔵されている。
【0030】
一対の第2の枢支部16は蓋体5に設けられている。これら第2の枢支部16は、合成樹脂の一体成形品からなり、図4に示すように第2の嵌合部17と固定凸部18を備えている。第2の嵌合部17は図4及び図6〜図12に示すように略四角枠状に形成されている。これとともに、第2の嵌合部17が有した一対の軸挟持部位17aは、第2の嵌合部17の長片をなしていて相対向している。これら軸挟持部位17aは、互いに接離する方向に弾性変形することが可能であり、かつ、内面にV形状又は半円形状の係合溝19が形成されている。固定凸部18は第2の嵌合部17の長手方向一端に突設されている。
【0031】
第1の嵌合部13が有した軸挟持部位13aの弾性力は、第2の嵌合部17が有した軸挟持部位17aの弾性力より強くしてある。そのために、軸挟持部位13aの厚み及び幅が軸挟持部位17aの厚み及び幅より大きく作られている。
【0032】
これら第2の枢支部16は、その固定凸部18を図6〜図12に示すように蓋体ケース部材6と蓋体カバー部材7で挟着することによって、蓋体5に固定されている。これにより、第2の枢支部16は、連結端部5aの幅内に設けられており、具体的には凸部5bに内蔵されている。
【0033】
合成樹脂の一体成形品からなる継手部材21は、その幅方向の半分の部位が凹部2c又は5cに緩く嵌合できる大きさに作られていて、図4に示すように端面形状は略長円形である。継手部材21の一端部に第1の接続部22及び第2の接続部23が並設されているとともに、他端部にも第1の接続部22及び第2の接続部23が並設されている。隣接している第1の接続部22と第2の接続部23と中心間の距離L(図7及び図12で代表する。)は、連結端部2a及び5aの厚み以上であり、本実施形態では連結端部2a及び5aの厚みT(図7及び図12で代表する。)に略等しい。
【0034】
一対の第1の接続部22は同一軸線上に設けられて互いに反対方向に継手部材21の端面から突出された第1の軸で形成されている。これら第1の接続部22の周部に複数の第1係合突起22aが周方向に一定間隔毎に設けられている。これら第1係合突起22aの数は、本実施形態では本体ケース2に対して継手部材21が45°回転されるたびに節度を得られるように8個設けてあるが、これには限定されない。
【0035】
同様に、一対の第2の接続部23は同一軸線上に設けられて互いに反対方向に継手部材の端面から突出された第2の軸で形成されている。この軸は第1の接続部22をなした軸と平行である。これら第2の接続部23の周部に複数の第2係合突起23aが周方向に一定間隔毎に設けられている。これら第2係合突起23aの数は、本実施形態では継手部材21に対して蓋体5が45°回転されるたびに節度を得られるように8個設けてあるが、これには限定されない。
【0036】
第1の接続部22は、第1の枢支部12に回転可能に嵌合されている。具体的には、第1の嵌合部13内に第1の接続部22が回転可能に嵌合されている。この嵌合状態で、第1の接続部22は軸挟持部位13aで弾性的に挟持されているとともに、第1の接続部22をなす第1の軸の径方向に対応して位置された一対の第1係合突起22aが係合溝15に係合されている。第1の接続部22と第1の枢支部12との相対的回転に伴い、第1係合突起22aは軸挟持部位13aの弾性変形を伴って係合溝15に係脱可能である。
【0037】
同様に、第2の接続部23は、第2の枢支部16に回転可能に嵌合されている。具体的には、第2の嵌合部17内に第2の接続部23が回転可能に嵌合されている。この嵌合状態で、第2の接続部23は軸挟持部位17aで弾性的に挟持されているとともに、第2の接続部23をなす第2の軸の径方向に対応して位置された一対の第2係合突起23aが係合溝19に係合されている。第2の接続部23と第2の枢支部16との相対的回転に伴い、第2係合突起23aは軸挟持部位17aの弾性変形を伴って係合溝19に係脱可能である。
【0038】
以上のように本体ケース2に固定された第1の枢支部12に対して第1の接続部22が嵌合されることで、継手部材21が本体ケース2の連結端部2aに回転可能に連結されている。これとともに、蓋体5に固定された第2の枢支部16に対して第2の接続部23が嵌合されることで、継手部材21が蓋体5の連結端部5aに回転可能に連結されている。これにより、図1に示すように蓋体5が本体ケース2を閉じた折畳み位置と、図3(A)(B)に示すように本体ケース2と蓋体5が背合わせ状態となる最大開き位置とにわたって、本体ケース2と蓋体5とが回転可能に接続されている。
【0039】
図3(A)(B)及び図4等に示すように本体ケース2にはその本体開口4aを塞いで第1の太陽電池パネル26が配設されている。この第1の太陽電池パネル26の周部は本体開口4aの縁に本体ケース2の内側から接触しており、それにより、第1の太陽電池パネル26の表面(受光面)は本体カバー部材4の表面より僅かに下がっている。同様に、蓋体5にはその蓋体開口7aを塞いで第2の太陽電池パネル28が配設されている。第2の太陽電池パネル28は第1の太陽電池パネル26と略同じ大きさである。この第2の太陽電池パネル28の周部は蓋体開口7aの縁に蓋体5の内側から接触しており、それにより、第2の太陽電池パネル28の表面(受光面)は蓋体カバー部材7の表面より僅かに下がっている。
【0040】
光電変換をする太陽電池パネル26,28は、発電素子、例えば半導体発電素子、具体的には単結晶シリコンセル、多結晶シリコンセル、アモルファスシリコンセルと電極とを連結して薄板状に形成されたものであるが、その発電素子に有機系、無機系、或いは色素系の発電素子を用いてなる太陽電池パネルを用いることも可能である。
【0041】
図6〜図12に示すように本体ケース2に、電源電池31、回路ユニット33、及び図示しないAC充電コネクタが内蔵されているとともに、充電コネクタ35(図1及び図4等参照)が取付けられている。電源電池31は、両太陽電池パネル26,28の発電により回路ユニット33を経由して供給される電力、及びAC充電コネクタを通して給電される電力を蓄える二次電池である。この二次電池にはニッケル水素電池やリチウムイオン電池等を好適に用いることができる。
【0042】
回路ユニット33は、回路基板に複数の電気部品(図示しない)を装着してなり、整流回路その他の必要な回路を有している。回路ユニット33の周部に搭載されたAC充電コネクタには、図1(A)に示した本体ケース2の側面に設けた蓋部2dを開くことにより、この蓋部2dが開かれた跡を通して挿脱されるAC充電コネクタ(図示しない)が接続可能である。
【0043】
充電コネクタ35は、回路ユニット33を介して電源電池31に電気的に接続されているとともに、図1(C)等に示すように本体ケース2の連結端部2aと反対側の端部(自由端部)に開放して形成された格納凹部2eに配設されている。充電コネクタ35は図1(C)中矢印Fに示す方向に略180°回転可能である。この充電コネクタ35が回転操作されることにより、充電コネクタ35は、格納凹部2eに格納される格納位置と、本体ケース2外に突出した使用位置とにわたって移動される。充電コネクタ35は格納されることにより携帯の邪魔にならないとともに、使用位置において充電コネクタ35は、携帯電話等の携帯機器の充電端子に接続可能である。
【0044】
又、図1及び図4中符号37はストラップの取付け孔を示し、符号39は充電表示部を示している。これら取付け孔37及び充電表示部39は本体ケース2に取付けられている。充電表示部39は回路ユニット33の周部に取付けられた図示しないLED(発光ダイオード)で照らされ、このLEDと充電表示部39とにより電源電池31の充電状態が表示されるようになっている。以上のように様々な電気部品が設けられた本体ケース2は、蓋体5よりも重量が重い。更に、図中符号40は蓋体5に自由端部に設けられた弾性変形が可能な係合片を示している。この係合片40は、携帯充電器1を閉じた状態にした際、本体ケース2の自由端に係合して、携帯充電器1の閉じ状態を保持するが、携帯充電器1に開き力が与えられるに伴い、弾性変形して本体ケース2の自由端から外れるようになっている。
【0045】
前記構成の携帯充電器1を携帯する通常の態様では、図1及び図5(A)に示すように携帯充電器1が二つ折りされて閉じた状態にある。この状態では、図6に示すように本体ケース2と蓋体5とが閉じられた折畳み位置にあって、第1の太陽電池パネル26と第2の太陽電池パネル28とが向かい合っている。こうした携帯の態様では、第1の太陽電池パネル26と第2の太陽電池パネル28が外部に露出することなく本体ケース2と蓋体5とで保護されているので、両太陽電池パネル26,28の受光面が傷付くことがない。しかも、本体開口4a及び蓋体開口7aより若干下がっている太陽電池パネル26,28は、その受光面同士が接して傷付くこともない。したがって、継続使用に伴い受光面を原因とする見栄えが低下することがないだけではなく、受光面の傷付きを原因とする両太陽電池パネル26,28の発電効率の低下を抑制できる。
【0046】
前記構成の携帯充電器1は、図1及び図5(A)に示すように閉じられた折畳み位置から図5(G)及び図3に示すように本体ケース2と蓋体5が背合わせ状態となる最大開き位置にわたって、本体ケース2に対して蓋体5を回転させることができる。こうした回転の工程を図5(A)〜図5(G)に順に示す。
【0047】
すなわち、まず、蓋体5が、閉じた状態から図5(B)に示すように90°開かれる場合、第2の枢支部16と第2の接続部23との相対位置が変わり、その際、45°回転された時点と90°回転された時点とにおいて第2係合突起23aと係合溝19との係脱による節度が与えられるとともに、その開き位置に蓋体5が保持される。蓋体5が90°開かれた状態での接続機構20の状態を図7に示す。
【0048】
蓋体5の回転が更に継続されて図5(C)に示すように180°まで蓋体5が開かれる場合、135°回転された時点と180°回転された時点とにおいて第2係合突起23aと係合溝19との係脱による節度が与えられるとともに、その開き位置に蓋体5が保持される。蓋体5が180°開かれた状態での接続機構20の状態を図8に示す。
【0049】
この状態から蓋体5が更に回転される場合、本体ケース2の連結端部2aが邪魔になるので、蓋体5が水平姿勢を保ったままで連結端部2aの上部周面に沿うように動かされる。この動作は、それまで立っていた継手部材21が90°倒れるように本体ケース2に対して回転することにより実現されて、図5(D)に示すように本体ケース2と蓋体5とが同じ高さで水平状態に並べられる。この動作において、第1の枢支部12と第1の接続部22との相対位置が変わり、その際、継手部材21が45°回転される度に第1係合突起22aと係合溝15との係脱による節度が与えられる。こうして、蓋体5が180°開かれて本体ケース2と同じ高さ水平に並べられた状態での接続機構20の状態を図9に示す。
【0050】
更に、蓋体5が更に回転される場合、蓋体5が水平姿勢を保ったままで連結端部2aの下部周面に沿うように動かされる。この動作は、それまで横倒れ状態にあった継手部材21が本体ケース2の裏側に突出するように更に90°回転することで実現されて、図5(E)に示すように本体ケース2に対して蓋体5が一段下がった水平状態に並べられる。この動作において、第1の枢支部12と第1の接続部22との相対位置が変わり、その際、継手部材21が45°回転される度に第1係合突起22aと係合溝15との係脱による節度が与えられる。こうして、蓋体5が180°開かれた状態でかつ本体ケース2に対して一段下がって本体ケース2に並べられた状態での接続機構20の状態を図10に示す。
【0051】
この状態から、蓋体5が更に回転される場合、本体ケース2の連結端部2aは邪魔にならないので、第2の枢支部16と第2の接続部23との相対位置が変わり、その際、225°回転された時点と270°回転された時点とにおいて第2係合突起23aと係合溝19との係脱による節度が与えられるとともに、その開き位置に蓋体5が保持される。蓋体5が270°開かれた状態では、図5(E)に示すように蓋体5は本体ケース2の裏側に略直角に配置され、又、こうした配置での接続機構20の状態を図11に示す。
【0052】
引き続いて蓋体5が更に回転される場合、第2の枢支部16と第2の接続部23との相対位置が変わり、その際、315°回転された時点と略360°回転された時点とにおいて第2係合突起23aと係合溝19との係脱による節度が与えられるとともに、その開き位置に蓋体5が保持される。蓋体5が略360°最大に開かれた状態では、図3(A)(B)に示すように第1の太陽電池パネル26及び第2の太陽電池パネル28がともに露出されるとともに、図5(G)に示すように蓋体5が本体ケース2と背合わせとなる関係位置に配置され、又、こうした配置での接続機構20の状態を図12に示す。
【0053】
以上のように携帯充電器1は蓋体5が閉じた状態から略360°開くことができるとともに、蓋体5が最大開き位置からそれ以上開かれようとする場合、蓋体5はこれに対して背合わせ状態の本体ケース2の背面で支持される。このため、蓋体5が過度に開かれて本体ケース2と蓋体5を接続した接続機構20に過負荷が与えられて損傷に至る恐れがない。又、以上と逆の手順により携帯充電器1を最大開き位置から折畳み位置に閉じることができる。
【0054】
軸挟持部位13aの弾性力は軸挟持部位17aの弾性力より強いので、第1の枢支部12の係合溝15と第1の接続部22の第1係合突起22aとの係合力は、第2の枢支部16の係合溝19と第2の接続部23の第2係合突起23aとの係合力よりも強い。そのため、以上の携帯充電器1が平行な二軸の回転中心を有しているにも拘らず、図5(A)〜(G)に示した順序で必ず蓋体5が開かれ、こうした順序とは異なる順序で蓋体5が開かれることがないとともに、蓋体5を閉じる場合にも図5(G)〜(A)に示した順序で必ず蓋体5が閉じられる。このように一定の順序で蓋体5を開閉できるので、取扱い易い。
【0055】
更に、本体ケース2の連結端部2aの外面が既述の半円状面2bfを有しているとともに、蓋体5の連結端部5aの外面が既述の半円状面5bfを有しているので、継手部材21の第1の接続部22と第2の接続部23との間の距離Lを、連結端部2a,5aの幅に略等しくできる。そのため、図5(D)のように水平に展開した状態で、連結端部2a,5a間にできる隙間を極力小さくできるので体裁上好ましい。それだけではなく、図5(G)のように背合わせ状態に展開した状態で、本体ケース2と蓋体5とを略平行に配して、極力薄い状態にできる。
【0056】
携帯充電器1の電源電池31に充電をする場合、最適な受光姿勢となるように携帯充電器1を図2(A)〜(D)のいずれかの状態に開いて、両太陽電池パネル26,28を露出させ、その受光面に太陽光を受光させればよい。
【0057】
この場合、第1の接続部22が軸挟持部位13aで弾性的に挟持されているだけではなく、既述の開閉手順で説明したように第1係合突起22aが係合溝15に係合されていることによる節度で、本体ケース2に対して継手部材21が不用意に動かないように保持されている。これとともに、第2の接続部23が軸挟持部位17aで弾性的に挟持されているだけではなく、既述の開閉手順で説明したように第2係合突起23aが係合溝19に係合されていることによる節度で、蓋体5が継手部材21に対して不用意に動かないように保持されている。このため、蓋体5はその開き角度の選択により図2(A)〜(D)のいずれかの状態に示した開き位置に保持される。
【0058】
更に、携帯充電器1が最大開き角度まで開かれた状態で、図5(G)に示すように背合わせ状態の本体ケース2と蓋体5との間には、若干の隙間Gが形成される。この隙間Gは連結端部2a,5a側を除いた三方が開放されている。
【0059】
そのため、図3(A)に示すように使用者の例えば胸等のポケットPに蓋体5を差し込んで本体ケース2とともに第1の太陽電池パネル26をポケットPの外側に露出させて、携帯充電器1を携帯できる。或いは、この逆に図3(B)に示すように本体ケース2をポケットPに差し込んで蓋体5とともに第2の太陽電池パネル28をポケットPの外側に露出させて、携帯充電器1を携帯できる。こうした用法により、第1の太陽電池パネル26又は第2の太陽電池パネル28に受光させて、携帯中にも電源電池31に充電できる。又、同様な理由により、使用者のバッグやリュック等のポケットに支持させても電源電池31に充電できる。
【0060】
又、携帯充電器1は既述のように本体ケース2と蓋体5とが背合わせ状態となる最大開き角度まで開くことができるので、この状態で展示することにより、コンパクトに展示できるとともに、この展示状態では第1の太陽電池パネル26又は第2の太陽電池パネル28が視認されるので、展示物が携帯充電器1であることを知らしめることができる利点がある。その上、既述の節度により受光状態と同じく図2(A)〜(D)に示すいずれかの開き状態として展示することも可能であるため、展示状態の多様化を図ることができる。
【0061】
本発明は前記一実施形態には制約されない。例えば、電源電池31及び充電コネクタ35の少なくとも一方は、本体ケース(第1のケース)2ではなく、蓋体(第2のケース)5に設けてもよい。
【0062】
又、本発明で、接続機構20で開閉に節度を与える手段(係合溝及び係合突起)は省略してもよい。このため、第1の枢支部12の第1の嵌合部13、及び第2の枢支部16の第2の嵌合部17を単なる孔として、第1の嵌合部13に継手部材21の軸からなる第1の接続部22を回転可能に嵌合させるとともに、第2の嵌合部17に継手部材21の軸からなる第2の接続部23を回転可能に嵌合させて、接続機構20を構成することもできる。
【0063】
同様の理由により、第1の枢支部12の第1の嵌合部13、及び第2の枢支部16の第2の嵌合部17を軸で形成して、継手部材21の第1の接続部22を穴で形成して、この穴を第1の嵌合部13に回転可能に嵌合させるとともに、継手部材21の第2の接続部23を穴で形成して、この穴を第2の嵌合部17に軸からなる回転可能に嵌合させて、接続機構20を構成することもできる。
【0064】
又、継手部材21が有する一対の第1の接続部22、及び一対の第2の接続部23は、それらが軸からなる場合、継手部材21を貫通する金属の軸であっても差し支えない。又、既述のように開閉動作中に所定回転ごとに節度を与える場合、前記一実施形態とは逆に、蓋体(第2のケース)5と継手部材21との間の節度を、本体ケース(第1のケース)2と継手部材21との間の節度より強くして実施することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…携帯充電器(携帯電源装置)、2…本体ケース(第1のケース)、2a…本体ケース(第1のケース)の連結端部、2bf…半円状面、5…蓋体(第2のケース)、5a…蓋体(第2のケース)の連結端部、5bf…半円状面、12…第1の枢支部、13…第1の嵌合部、13a…第1の軸挟持部位、15…係合溝、16…第2の枢支部、17…第2の嵌合部、17a…第2の軸挟持部位、19…係合溝、20…接続機構、21…継手部材、22…第1の接続部、22a…第1係合突起、23…第2の接続部、23a…第2係合突起、26…第1の太陽電池パネル、28…第2の太陽電池パネル、31…電源電池、35…充電コネクタ、L…第1、第2の接続部間の距離、T…連結端部の厚み
【技術分野】
【0001】
本発明は、太陽光エネルギーを電気エネルギーに変換する太陽電池パネルを備え、携帯電話等の携帯機器内の二次電池に充電するために携帯される携帯電源装置に関する。
【背景技術】
【0002】
二次電池が内蔵される外装部材をなす筐体及び蓋体を折畳み可能にヒンジ連結するとともに、筐体と蓋体の内側に夫々太陽電池パネルを装備し、これらのパネルが合わさる形態に外装部材を閉じて携帯することができ、外装部材を開くことで太陽電池パネルが露光されるようにして太陽電池パネルに発電を行わせる携帯電源装置が、従来知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3105755号公報(段落0004−0007、図1、図3)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の携帯電源装置でのヒンジ連結は、筐体の上部に設けられたヒンジ凸部と蓋体の下部に設けられたヒンジ凸部とを交互に並ぶように組み合わせるとともに、これらヒンジ凸部を外装部材の幅方向に貫通する1本の軸で連結した構成である。
【0005】
この携帯電源装置は、それを販売店等で展示する場合、必ず外装部材を開いた状態にする必要がある。外装部材が閉じた状態であると、太陽電池パネルが視認できないので、外装部材の外観のみに依存してどのような商品であるのかを知らせることが困難であり、販売をする上での訴求力が低い。
【0006】
更に、特許文献1の携帯電源装置の構成では、外装部材を開閉する際の回転中心となる単一の軸が、外装部材の厚み方向中間位置に配置されているので、外装部材の開き角度は最大で略270°が限界であり、外装部材をなした筐体と蓋体を背合わせ状態に開くことはできない。更に、以上のように外装部材の開き角度に限界があるため、それ以上開く外力が誤って加わることがあると、ヒンジ連結の部分に過負荷が掛かり、損傷する恐れが考えられる。
【0007】
又、特許文献1の携帯電源装置は、外装部材を閉じた状態で携帯するものであるため、この携帯中に太陽電池パネルで受光し、それにより発電した電力を蓄電することはできない。
【0008】
以上のように従来技術の携帯電源装置は、展示をする上で不利であるとともに、過度の開力を受けて損傷に至る恐れがあり、しかも、携帯中に発電できない、という課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、本発明は、第1のケースと、この第1のケースに支持された第1の太陽電池パネルと、第2のケースと、この第2のケースに支持された第2の太陽電池パネルと、前記第1、第2のケースを回転可能に接続し、かつ、前記第1、第2の太陽電池パネルが向かい合うように前記第1、第2のケースが閉じられた折畳み位置と前記第1、第2の太陽電池パネルが露出しかつ前記第1、第2のケースが背合わせ状態となるように前記第1、第2のケースが最大に開かれた最大開き位置とにわたって前記第1、第2のケースの回転を許す接続機構と、前記第1、第2のケースの内のいずれか一方に内蔵され前記太陽電池パネルが発電した電力を蓄える電源電池と、前記一方のケースに設けられて前記電源電池の電力を外部に供給する充電コネクタと、を具備することを特徴としている。
【0010】
本発明の好ましい形態では、前記接続機構が、前記第1のケースの連結端部の幅内に設けられた一対の第1の枢支部と、前記第2のケースの連結端部の幅内に設けられた一対の第2の枢支部と、前記連結端部の厚み以上の距離を隔てて配設される第1の接続部及び第2の接続部を夫々両端部に有し、前記第1の接続部を前記第1の枢支部に回転可能に嵌合するとともに前記第2の接続部を前記第2の枢支部に回転可能に嵌合して、前記第1、第2のケースを接続してこれらの間に設けられた継手部材と、を備えていることを特徴としている。
【0011】
この好ましい形態において、第1の枢支部は、第1のケースと別に形成されていてこの第1のケースに固定されていてもよく、或いは第1のケースに一体に形成されていてもよく、同様に、第2の枢支部は、第2のケースと別に形成されていてこの第2のケースに固定されていてもよく、或いは第2のケースに一体に形成されていてもよい。更に、この好ましい形態で、枢支部と接続部とは相対的に回転可能に嵌合される関係にあればよいとともに、枢支部と接続部とは、所定角度ごとに節度を伴って相対的に回転されるようにしても、或いはこうした節度を伴うことなく相対的に回転されるようにしてもよい。又、この好ましい形態において、並設された第1、第2の接続部間の距離が連結端部の厚み以上であるとは、第1、第2の接続部の中心間距離を指している。これとともに、前記距離を連結端部の厚みと略等しくすることは、第1、第2のケースの背合わせ面が略平行となるので、最大開き状態を厚み方向にコンパクトにできる点で好ましいが、前記距離を長くする程、第1、第2のケースの背合わせ面の平行度が損なわれる反面で、360°を超えて一方のケースを基準として他方のケースを回転させることが可能となる。
【0012】
又、本発明の好ましい形態では、前記第1の枢支部とこれに嵌合される前記第1の接続部の内の一方が軸であるとともに、他方が前記第1の枢支部に嵌合する第1の嵌合部を有しており、前記第2の枢支部とこれに嵌合される前記第2の接続部の内の一方が軸であるとともに、他方が前記第2の軸枢支部に嵌合する第2の嵌合部を有していることを特徴としている。
【0013】
又、本発明の好ましい形態では、前記第1の枢支部が枠状に形成された前記第1の嵌合部を備えているとともに、前記第2の枢支部が枠状に形成された前記第2の嵌合部を備えており、前記第1の接続部が前記継手部材の端面から突出して前記第1の嵌合部内に回転可能に嵌合される第1の軸であるとともに、前記第2の接続部が前記継手部材の端面から突出して前記第2の嵌合部内に回転可能に嵌合される第2の軸であり、前記第1、第2の嵌合部は弾性変形が可能な一対の軸挟持部位を有しており、これらの軸挟持部位の相対向する面に係合溝が形成されているとともに、これら係合溝に係脱される複数の係合突起が前記第1、第2の軸の周部に設けられていることを特徴としている。
【0014】
この好ましい形態において、係合突起の数を多くする程、係合溝への係脱に伴う節度の回数と、係合溝に係合突起が係合した位置に開かれた方のケースを保持する回数を、より多く確保できる点で好ましい。
【0015】
又、本発明の好ましい形態では、前記電源電池及び充電コネクタが設けられた前記一方のケース側の前記第1の嵌合部が有した前記軸挟持部位の弾性力が、他方のケース部材側の前記第2の嵌合部が有した前記軸挟持部位の弾性力より強いことを特徴としている。
【0016】
この好ましい形態において、第1、第2の嵌合部が有した軸挟持部位の弾性力の差は、第1、第2の嵌合部の軸挟持部位の厚み及び幅の内の少なくとも一方を変えることで設定できるとともに、第1、第2の嵌合部を異なる材料で作り、或いは同種の材料でも組成が異なる材料で作ることで設定できる。
【0017】
又、本発明の好ましい形態では、前記第1のケースの連結端部の外面が前記第1の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面を有して形成されているとともに、前記第2のケースの連結端部の外面が前記第2の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面を有して形成されていることを特徴としている。
【発明の効果】
【0018】
本発明の携帯電源装置によれば、太陽電池パネルを露出させるための開き角度の自由度が高く、かつ、太陽電池パネルを露出させて展示可能であるので、展示上の訴求力を向上できるとともに、最大に開かれた場合第1、第2のケースが背合わせ状態となっているので、この状態から誤って更に開く力が作用しても、損傷に至る恐れがなく、又、背合わせ状態で太陽光に晒されるように携帯できるので、携帯中に一方の太陽電池パネルで受光して発電できる、という効果ある。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】(A)は本発明の一実施の形態に係る携帯電話用の携帯充電器を閉じた状態でかつ表側一端部側から視認して示す斜視図である。(B)は本発明の一実施の形態に係る携帯電話用の携帯充電器を閉じた状態でかつ表側他端部側から視認して示す斜視図である。(C)は本発明の一実施の形態に係る携帯電話用の携帯充電器を閉じた状態で裏側から視認して示す斜視図である。
【図2】(A)〜(D)は一実施形態の携帯充電器が夫々異なる角度に開かれた状態を示す斜視図である。
【図3】(A)(B)は一実施形態の携帯充電器が最大に開かれた状態を夫々異なる方向から視認して示す斜視図である。
【図4】一実施形態の携帯充電器を分解して示す斜視図である。
【図5】(A)〜(G)は一実施形態の携帯充電器の夫々異なる状態を示す側面図である。
【図6】図5(A)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図7】図5(B)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図8】図5(C)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図9】図5(D)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図10】図5(E)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図11】図5(F)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【図12】図5(G)の状態での携帯充電器の一部を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、図1〜図12を参照して本発明の一実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
図中符号1は携帯電源装置例えば携帯充電器を示している。携帯充電器1は、携帯可能に構成された携帯機器(図示しない)内の二次電池が容量不足になった際に、この二次電池に充電をするために用いられる。携帯機器としては、携帯電話を代表的に挙げることができるが、携帯可能な機器であれば、CDプレーヤー、MDプレーヤー、コンパクト型デジタルカメラ、PDA、ラップトップパソコン等にも、携帯充電器1を用いて充電可能である。
【0022】
携帯電話用として開発された本実施形態の携帯充電器1は、第1のケース例えば本体ケース2と、第2のケース例えば蓋体5と、接続機構20と、第1の太陽電池パネル26と、第2の太陽電池パネル28と、電源電池31と、回路ユニット33と、充電コネクタ35等を具備している。
【0023】
本体ケース2は、略長方形で使用者の手の平に収まる程度の大きさに作られており、合成樹脂製の本体ケース部材3及び本体カバー部材4を連結してなる。本体カバー部材4はその周部を除いて開放された長四角形状の本体開口4a(図4参照)を有して枠状に形成されている。
【0024】
本体ケース2の長手方向一端部は連結端部2aをなしているとともに、本体ケース2の長手方向他端部は連結端部2aより厚く形成されている。連結端部2aは、図4に示すように本体ケース2の幅方向両端部に設けられた一対の凸部2b及びこれらの間に形成された凹部2cを有している。一対の凸部2bは凹部2cに臨んで開放されている。連結端部2aの外面、より具体的には凸部2bの外面は、後述する第1の軸からなる第1の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面2bf(図6で代表する。)を有して形成されている。
【0025】
蓋体5は、本体ケース2と略同じ大きさに作られており、合成樹脂製の蓋体ケース部材6及び蓋体カバー部材7を連結してなる。蓋体カバー部材7はその周部を除いて開放された長四角形状の蓋体開口7a(図4参照)を有して枠状に形成されている。
【0026】
蓋体5の長手方向一端部は連結端部5aをなしているとともに、この連結端部5aは蓋体5の長手方向他端部より厚く形成されている。連結端部5aは、図4に示すように蓋体5の幅方向両端部に設けられた一対の凸部5b及びこれらの間に形成された凹部5cを有している。一対の凸部5bは凹部5cに臨んで開放されている。連結端部5aの外面、より具体的には凸部5bの外面は、後述する第2の軸からなる第2の接続部23を中心とする半径で描かれる半円状面5bf(図6で代表する。)を有して形成されている。
【0027】
接続機構20は、一対の第1の第1の枢支部12と、一対の第2の枢支部16と、継手部材21を備えてなり、本体ケース2と蓋体5を回転可能に接続して設けられている。この接続機構20の継手部材21と本体ケース2と蓋体5とは、携帯充電器1の外郭を形成している。
【0028】
一対の第1の枢支部12は本体ケース2に設けられている。これら第1の枢支部12は、合成樹脂の一体成形品からなり、図4に示すように第1の嵌合部13と固定凸部14を備えている。第1の嵌合部13は図4及び図6〜図12に示すように略四角枠状に形成されている。これとともに、第1の嵌合部13が有した一対の軸挟持部位13aは、第1の嵌合部13の長片をなしていて相対向している。これら軸挟持部位13aは、互いに接離する方向に弾性変形することが可能であり、かつ、内面にV形状又は半円形状の係合溝15が形成されている。固定凸部14は第1の嵌合部13の長手方向一端に突設されている。
【0029】
これら第1の枢支部12は、その固定凸部14を図6〜図12に示すように本体ケース部材3と本体カバー部材4で挟着することによって、本体ケース2に固定されている。これにより、第1の枢支部12は、連結端部2aの幅内に設けられており、具体的には凸部2bに内蔵されている。
【0030】
一対の第2の枢支部16は蓋体5に設けられている。これら第2の枢支部16は、合成樹脂の一体成形品からなり、図4に示すように第2の嵌合部17と固定凸部18を備えている。第2の嵌合部17は図4及び図6〜図12に示すように略四角枠状に形成されている。これとともに、第2の嵌合部17が有した一対の軸挟持部位17aは、第2の嵌合部17の長片をなしていて相対向している。これら軸挟持部位17aは、互いに接離する方向に弾性変形することが可能であり、かつ、内面にV形状又は半円形状の係合溝19が形成されている。固定凸部18は第2の嵌合部17の長手方向一端に突設されている。
【0031】
第1の嵌合部13が有した軸挟持部位13aの弾性力は、第2の嵌合部17が有した軸挟持部位17aの弾性力より強くしてある。そのために、軸挟持部位13aの厚み及び幅が軸挟持部位17aの厚み及び幅より大きく作られている。
【0032】
これら第2の枢支部16は、その固定凸部18を図6〜図12に示すように蓋体ケース部材6と蓋体カバー部材7で挟着することによって、蓋体5に固定されている。これにより、第2の枢支部16は、連結端部5aの幅内に設けられており、具体的には凸部5bに内蔵されている。
【0033】
合成樹脂の一体成形品からなる継手部材21は、その幅方向の半分の部位が凹部2c又は5cに緩く嵌合できる大きさに作られていて、図4に示すように端面形状は略長円形である。継手部材21の一端部に第1の接続部22及び第2の接続部23が並設されているとともに、他端部にも第1の接続部22及び第2の接続部23が並設されている。隣接している第1の接続部22と第2の接続部23と中心間の距離L(図7及び図12で代表する。)は、連結端部2a及び5aの厚み以上であり、本実施形態では連結端部2a及び5aの厚みT(図7及び図12で代表する。)に略等しい。
【0034】
一対の第1の接続部22は同一軸線上に設けられて互いに反対方向に継手部材21の端面から突出された第1の軸で形成されている。これら第1の接続部22の周部に複数の第1係合突起22aが周方向に一定間隔毎に設けられている。これら第1係合突起22aの数は、本実施形態では本体ケース2に対して継手部材21が45°回転されるたびに節度を得られるように8個設けてあるが、これには限定されない。
【0035】
同様に、一対の第2の接続部23は同一軸線上に設けられて互いに反対方向に継手部材の端面から突出された第2の軸で形成されている。この軸は第1の接続部22をなした軸と平行である。これら第2の接続部23の周部に複数の第2係合突起23aが周方向に一定間隔毎に設けられている。これら第2係合突起23aの数は、本実施形態では継手部材21に対して蓋体5が45°回転されるたびに節度を得られるように8個設けてあるが、これには限定されない。
【0036】
第1の接続部22は、第1の枢支部12に回転可能に嵌合されている。具体的には、第1の嵌合部13内に第1の接続部22が回転可能に嵌合されている。この嵌合状態で、第1の接続部22は軸挟持部位13aで弾性的に挟持されているとともに、第1の接続部22をなす第1の軸の径方向に対応して位置された一対の第1係合突起22aが係合溝15に係合されている。第1の接続部22と第1の枢支部12との相対的回転に伴い、第1係合突起22aは軸挟持部位13aの弾性変形を伴って係合溝15に係脱可能である。
【0037】
同様に、第2の接続部23は、第2の枢支部16に回転可能に嵌合されている。具体的には、第2の嵌合部17内に第2の接続部23が回転可能に嵌合されている。この嵌合状態で、第2の接続部23は軸挟持部位17aで弾性的に挟持されているとともに、第2の接続部23をなす第2の軸の径方向に対応して位置された一対の第2係合突起23aが係合溝19に係合されている。第2の接続部23と第2の枢支部16との相対的回転に伴い、第2係合突起23aは軸挟持部位17aの弾性変形を伴って係合溝19に係脱可能である。
【0038】
以上のように本体ケース2に固定された第1の枢支部12に対して第1の接続部22が嵌合されることで、継手部材21が本体ケース2の連結端部2aに回転可能に連結されている。これとともに、蓋体5に固定された第2の枢支部16に対して第2の接続部23が嵌合されることで、継手部材21が蓋体5の連結端部5aに回転可能に連結されている。これにより、図1に示すように蓋体5が本体ケース2を閉じた折畳み位置と、図3(A)(B)に示すように本体ケース2と蓋体5が背合わせ状態となる最大開き位置とにわたって、本体ケース2と蓋体5とが回転可能に接続されている。
【0039】
図3(A)(B)及び図4等に示すように本体ケース2にはその本体開口4aを塞いで第1の太陽電池パネル26が配設されている。この第1の太陽電池パネル26の周部は本体開口4aの縁に本体ケース2の内側から接触しており、それにより、第1の太陽電池パネル26の表面(受光面)は本体カバー部材4の表面より僅かに下がっている。同様に、蓋体5にはその蓋体開口7aを塞いで第2の太陽電池パネル28が配設されている。第2の太陽電池パネル28は第1の太陽電池パネル26と略同じ大きさである。この第2の太陽電池パネル28の周部は蓋体開口7aの縁に蓋体5の内側から接触しており、それにより、第2の太陽電池パネル28の表面(受光面)は蓋体カバー部材7の表面より僅かに下がっている。
【0040】
光電変換をする太陽電池パネル26,28は、発電素子、例えば半導体発電素子、具体的には単結晶シリコンセル、多結晶シリコンセル、アモルファスシリコンセルと電極とを連結して薄板状に形成されたものであるが、その発電素子に有機系、無機系、或いは色素系の発電素子を用いてなる太陽電池パネルを用いることも可能である。
【0041】
図6〜図12に示すように本体ケース2に、電源電池31、回路ユニット33、及び図示しないAC充電コネクタが内蔵されているとともに、充電コネクタ35(図1及び図4等参照)が取付けられている。電源電池31は、両太陽電池パネル26,28の発電により回路ユニット33を経由して供給される電力、及びAC充電コネクタを通して給電される電力を蓄える二次電池である。この二次電池にはニッケル水素電池やリチウムイオン電池等を好適に用いることができる。
【0042】
回路ユニット33は、回路基板に複数の電気部品(図示しない)を装着してなり、整流回路その他の必要な回路を有している。回路ユニット33の周部に搭載されたAC充電コネクタには、図1(A)に示した本体ケース2の側面に設けた蓋部2dを開くことにより、この蓋部2dが開かれた跡を通して挿脱されるAC充電コネクタ(図示しない)が接続可能である。
【0043】
充電コネクタ35は、回路ユニット33を介して電源電池31に電気的に接続されているとともに、図1(C)等に示すように本体ケース2の連結端部2aと反対側の端部(自由端部)に開放して形成された格納凹部2eに配設されている。充電コネクタ35は図1(C)中矢印Fに示す方向に略180°回転可能である。この充電コネクタ35が回転操作されることにより、充電コネクタ35は、格納凹部2eに格納される格納位置と、本体ケース2外に突出した使用位置とにわたって移動される。充電コネクタ35は格納されることにより携帯の邪魔にならないとともに、使用位置において充電コネクタ35は、携帯電話等の携帯機器の充電端子に接続可能である。
【0044】
又、図1及び図4中符号37はストラップの取付け孔を示し、符号39は充電表示部を示している。これら取付け孔37及び充電表示部39は本体ケース2に取付けられている。充電表示部39は回路ユニット33の周部に取付けられた図示しないLED(発光ダイオード)で照らされ、このLEDと充電表示部39とにより電源電池31の充電状態が表示されるようになっている。以上のように様々な電気部品が設けられた本体ケース2は、蓋体5よりも重量が重い。更に、図中符号40は蓋体5に自由端部に設けられた弾性変形が可能な係合片を示している。この係合片40は、携帯充電器1を閉じた状態にした際、本体ケース2の自由端に係合して、携帯充電器1の閉じ状態を保持するが、携帯充電器1に開き力が与えられるに伴い、弾性変形して本体ケース2の自由端から外れるようになっている。
【0045】
前記構成の携帯充電器1を携帯する通常の態様では、図1及び図5(A)に示すように携帯充電器1が二つ折りされて閉じた状態にある。この状態では、図6に示すように本体ケース2と蓋体5とが閉じられた折畳み位置にあって、第1の太陽電池パネル26と第2の太陽電池パネル28とが向かい合っている。こうした携帯の態様では、第1の太陽電池パネル26と第2の太陽電池パネル28が外部に露出することなく本体ケース2と蓋体5とで保護されているので、両太陽電池パネル26,28の受光面が傷付くことがない。しかも、本体開口4a及び蓋体開口7aより若干下がっている太陽電池パネル26,28は、その受光面同士が接して傷付くこともない。したがって、継続使用に伴い受光面を原因とする見栄えが低下することがないだけではなく、受光面の傷付きを原因とする両太陽電池パネル26,28の発電効率の低下を抑制できる。
【0046】
前記構成の携帯充電器1は、図1及び図5(A)に示すように閉じられた折畳み位置から図5(G)及び図3に示すように本体ケース2と蓋体5が背合わせ状態となる最大開き位置にわたって、本体ケース2に対して蓋体5を回転させることができる。こうした回転の工程を図5(A)〜図5(G)に順に示す。
【0047】
すなわち、まず、蓋体5が、閉じた状態から図5(B)に示すように90°開かれる場合、第2の枢支部16と第2の接続部23との相対位置が変わり、その際、45°回転された時点と90°回転された時点とにおいて第2係合突起23aと係合溝19との係脱による節度が与えられるとともに、その開き位置に蓋体5が保持される。蓋体5が90°開かれた状態での接続機構20の状態を図7に示す。
【0048】
蓋体5の回転が更に継続されて図5(C)に示すように180°まで蓋体5が開かれる場合、135°回転された時点と180°回転された時点とにおいて第2係合突起23aと係合溝19との係脱による節度が与えられるとともに、その開き位置に蓋体5が保持される。蓋体5が180°開かれた状態での接続機構20の状態を図8に示す。
【0049】
この状態から蓋体5が更に回転される場合、本体ケース2の連結端部2aが邪魔になるので、蓋体5が水平姿勢を保ったままで連結端部2aの上部周面に沿うように動かされる。この動作は、それまで立っていた継手部材21が90°倒れるように本体ケース2に対して回転することにより実現されて、図5(D)に示すように本体ケース2と蓋体5とが同じ高さで水平状態に並べられる。この動作において、第1の枢支部12と第1の接続部22との相対位置が変わり、その際、継手部材21が45°回転される度に第1係合突起22aと係合溝15との係脱による節度が与えられる。こうして、蓋体5が180°開かれて本体ケース2と同じ高さ水平に並べられた状態での接続機構20の状態を図9に示す。
【0050】
更に、蓋体5が更に回転される場合、蓋体5が水平姿勢を保ったままで連結端部2aの下部周面に沿うように動かされる。この動作は、それまで横倒れ状態にあった継手部材21が本体ケース2の裏側に突出するように更に90°回転することで実現されて、図5(E)に示すように本体ケース2に対して蓋体5が一段下がった水平状態に並べられる。この動作において、第1の枢支部12と第1の接続部22との相対位置が変わり、その際、継手部材21が45°回転される度に第1係合突起22aと係合溝15との係脱による節度が与えられる。こうして、蓋体5が180°開かれた状態でかつ本体ケース2に対して一段下がって本体ケース2に並べられた状態での接続機構20の状態を図10に示す。
【0051】
この状態から、蓋体5が更に回転される場合、本体ケース2の連結端部2aは邪魔にならないので、第2の枢支部16と第2の接続部23との相対位置が変わり、その際、225°回転された時点と270°回転された時点とにおいて第2係合突起23aと係合溝19との係脱による節度が与えられるとともに、その開き位置に蓋体5が保持される。蓋体5が270°開かれた状態では、図5(E)に示すように蓋体5は本体ケース2の裏側に略直角に配置され、又、こうした配置での接続機構20の状態を図11に示す。
【0052】
引き続いて蓋体5が更に回転される場合、第2の枢支部16と第2の接続部23との相対位置が変わり、その際、315°回転された時点と略360°回転された時点とにおいて第2係合突起23aと係合溝19との係脱による節度が与えられるとともに、その開き位置に蓋体5が保持される。蓋体5が略360°最大に開かれた状態では、図3(A)(B)に示すように第1の太陽電池パネル26及び第2の太陽電池パネル28がともに露出されるとともに、図5(G)に示すように蓋体5が本体ケース2と背合わせとなる関係位置に配置され、又、こうした配置での接続機構20の状態を図12に示す。
【0053】
以上のように携帯充電器1は蓋体5が閉じた状態から略360°開くことができるとともに、蓋体5が最大開き位置からそれ以上開かれようとする場合、蓋体5はこれに対して背合わせ状態の本体ケース2の背面で支持される。このため、蓋体5が過度に開かれて本体ケース2と蓋体5を接続した接続機構20に過負荷が与えられて損傷に至る恐れがない。又、以上と逆の手順により携帯充電器1を最大開き位置から折畳み位置に閉じることができる。
【0054】
軸挟持部位13aの弾性力は軸挟持部位17aの弾性力より強いので、第1の枢支部12の係合溝15と第1の接続部22の第1係合突起22aとの係合力は、第2の枢支部16の係合溝19と第2の接続部23の第2係合突起23aとの係合力よりも強い。そのため、以上の携帯充電器1が平行な二軸の回転中心を有しているにも拘らず、図5(A)〜(G)に示した順序で必ず蓋体5が開かれ、こうした順序とは異なる順序で蓋体5が開かれることがないとともに、蓋体5を閉じる場合にも図5(G)〜(A)に示した順序で必ず蓋体5が閉じられる。このように一定の順序で蓋体5を開閉できるので、取扱い易い。
【0055】
更に、本体ケース2の連結端部2aの外面が既述の半円状面2bfを有しているとともに、蓋体5の連結端部5aの外面が既述の半円状面5bfを有しているので、継手部材21の第1の接続部22と第2の接続部23との間の距離Lを、連結端部2a,5aの幅に略等しくできる。そのため、図5(D)のように水平に展開した状態で、連結端部2a,5a間にできる隙間を極力小さくできるので体裁上好ましい。それだけではなく、図5(G)のように背合わせ状態に展開した状態で、本体ケース2と蓋体5とを略平行に配して、極力薄い状態にできる。
【0056】
携帯充電器1の電源電池31に充電をする場合、最適な受光姿勢となるように携帯充電器1を図2(A)〜(D)のいずれかの状態に開いて、両太陽電池パネル26,28を露出させ、その受光面に太陽光を受光させればよい。
【0057】
この場合、第1の接続部22が軸挟持部位13aで弾性的に挟持されているだけではなく、既述の開閉手順で説明したように第1係合突起22aが係合溝15に係合されていることによる節度で、本体ケース2に対して継手部材21が不用意に動かないように保持されている。これとともに、第2の接続部23が軸挟持部位17aで弾性的に挟持されているだけではなく、既述の開閉手順で説明したように第2係合突起23aが係合溝19に係合されていることによる節度で、蓋体5が継手部材21に対して不用意に動かないように保持されている。このため、蓋体5はその開き角度の選択により図2(A)〜(D)のいずれかの状態に示した開き位置に保持される。
【0058】
更に、携帯充電器1が最大開き角度まで開かれた状態で、図5(G)に示すように背合わせ状態の本体ケース2と蓋体5との間には、若干の隙間Gが形成される。この隙間Gは連結端部2a,5a側を除いた三方が開放されている。
【0059】
そのため、図3(A)に示すように使用者の例えば胸等のポケットPに蓋体5を差し込んで本体ケース2とともに第1の太陽電池パネル26をポケットPの外側に露出させて、携帯充電器1を携帯できる。或いは、この逆に図3(B)に示すように本体ケース2をポケットPに差し込んで蓋体5とともに第2の太陽電池パネル28をポケットPの外側に露出させて、携帯充電器1を携帯できる。こうした用法により、第1の太陽電池パネル26又は第2の太陽電池パネル28に受光させて、携帯中にも電源電池31に充電できる。又、同様な理由により、使用者のバッグやリュック等のポケットに支持させても電源電池31に充電できる。
【0060】
又、携帯充電器1は既述のように本体ケース2と蓋体5とが背合わせ状態となる最大開き角度まで開くことができるので、この状態で展示することにより、コンパクトに展示できるとともに、この展示状態では第1の太陽電池パネル26又は第2の太陽電池パネル28が視認されるので、展示物が携帯充電器1であることを知らしめることができる利点がある。その上、既述の節度により受光状態と同じく図2(A)〜(D)に示すいずれかの開き状態として展示することも可能であるため、展示状態の多様化を図ることができる。
【0061】
本発明は前記一実施形態には制約されない。例えば、電源電池31及び充電コネクタ35の少なくとも一方は、本体ケース(第1のケース)2ではなく、蓋体(第2のケース)5に設けてもよい。
【0062】
又、本発明で、接続機構20で開閉に節度を与える手段(係合溝及び係合突起)は省略してもよい。このため、第1の枢支部12の第1の嵌合部13、及び第2の枢支部16の第2の嵌合部17を単なる孔として、第1の嵌合部13に継手部材21の軸からなる第1の接続部22を回転可能に嵌合させるとともに、第2の嵌合部17に継手部材21の軸からなる第2の接続部23を回転可能に嵌合させて、接続機構20を構成することもできる。
【0063】
同様の理由により、第1の枢支部12の第1の嵌合部13、及び第2の枢支部16の第2の嵌合部17を軸で形成して、継手部材21の第1の接続部22を穴で形成して、この穴を第1の嵌合部13に回転可能に嵌合させるとともに、継手部材21の第2の接続部23を穴で形成して、この穴を第2の嵌合部17に軸からなる回転可能に嵌合させて、接続機構20を構成することもできる。
【0064】
又、継手部材21が有する一対の第1の接続部22、及び一対の第2の接続部23は、それらが軸からなる場合、継手部材21を貫通する金属の軸であっても差し支えない。又、既述のように開閉動作中に所定回転ごとに節度を与える場合、前記一実施形態とは逆に、蓋体(第2のケース)5と継手部材21との間の節度を、本体ケース(第1のケース)2と継手部材21との間の節度より強くして実施することも可能である。
【符号の説明】
【0065】
1…携帯充電器(携帯電源装置)、2…本体ケース(第1のケース)、2a…本体ケース(第1のケース)の連結端部、2bf…半円状面、5…蓋体(第2のケース)、5a…蓋体(第2のケース)の連結端部、5bf…半円状面、12…第1の枢支部、13…第1の嵌合部、13a…第1の軸挟持部位、15…係合溝、16…第2の枢支部、17…第2の嵌合部、17a…第2の軸挟持部位、19…係合溝、20…接続機構、21…継手部材、22…第1の接続部、22a…第1係合突起、23…第2の接続部、23a…第2係合突起、26…第1の太陽電池パネル、28…第2の太陽電池パネル、31…電源電池、35…充電コネクタ、L…第1、第2の接続部間の距離、T…連結端部の厚み
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のケースと、
この第1のケースに支持された第1の太陽電池パネルと、
第2のケースと、
この第2のケースに支持された第2の太陽電池パネルと、
前記第1、第2のケースを回転可能に接続し、かつ、前記第1、第2の太陽電池パネルが向かい合うように前記第1、第2のケースが閉じられた折畳み位置と前記第1、第2の太陽電池パネルが露出しかつ前記第1、第2のケースが背合わせ状態となるように前記第1、第2のケースが最大に開かれた最大開き位置とにわたって前記第1、第2のケースの回転を許す接続機構と、
前記第1、第2のケースの内のいずれか一方に内蔵され前記太陽電池パネルが発電した電力を蓄える電源電池と、
前記一方のケースに設けられて前記電源電池の電力を外部に供給する充電コネクタと、
を具備することを特徴とする携帯電源装置。
【請求項2】
前記接続機構が、
前記第1のケースの連結端部の幅内に設けられた一対の第1の枢支部と、
前記第2のケースの連結端部の幅内に設けられた一対の第2の枢支部と、
前記連結端部の厚み以上の距離を隔てて配設される第1の接続部及び第2の接続部を夫々両端部に有し、前記第1の接続部を前記第1の枢支部に回転可能に嵌合するとともに前記第2の接続部を前記第2の枢支部に回転可能に嵌合して、前記第1、第2のケースを接続してこれらの間に設けられた継手部材と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電源装置。
【請求項3】
前記第1の枢支部とこれに接続される前記第1の接続部の内の一方が軸であるとともに、他方が前記第1の枢支部に嵌合する第1の嵌合部を有しており、前記第2の枢支部とこれに接続される前記第2の接続部の内の一方が軸であるとともに、他方が前記第2の枢支部に嵌合する第2の嵌合部を有していることを特徴とする請求項2に記載の携帯電源装置。
【請求項4】
前記第1の枢支部が枠状に形成された前記第1の嵌合部を備えているとともに、前記第2の枢支部が枠状に形成された前記第2の嵌合部を備えており、前記第1の接続部が前記継手部材の端面から突出して前記第1の嵌合部内に回転可能に嵌合される第1の軸であるとともに、前記第2の接続部が前記継手部材の端面から突出して前記第2の嵌合部内に回転可能に嵌合される第2の軸であり、前記第1、第2の嵌合部は弾性変形が可能な一対の軸挟持部位を有しており、これらの軸挟持部位の相対向する面に係合溝が形成されているとともに、これら係合溝に係脱される複数の係合突起が前記第1、第2の軸の周部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の携帯電源装置。
【請求項5】
前記電源電池及び充電コネクタが設けられた前記一方のケース側の前記第1の嵌合部が有した前記軸挟持部位の弾性力が、他方のケース部材側の前記第2の嵌合部が有した前記軸挟持部位の弾性力より強いことを特徴とする請求項4に記載の携帯電源装置。
【請求項6】
前記第1のケースの連結端部の外面が前記第1の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面を有して形成されているとともに、前記第2のケースの連結端部の外面が前記第2の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面を有して形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の携帯電源装置。
【請求項1】
第1のケースと、
この第1のケースに支持された第1の太陽電池パネルと、
第2のケースと、
この第2のケースに支持された第2の太陽電池パネルと、
前記第1、第2のケースを回転可能に接続し、かつ、前記第1、第2の太陽電池パネルが向かい合うように前記第1、第2のケースが閉じられた折畳み位置と前記第1、第2の太陽電池パネルが露出しかつ前記第1、第2のケースが背合わせ状態となるように前記第1、第2のケースが最大に開かれた最大開き位置とにわたって前記第1、第2のケースの回転を許す接続機構と、
前記第1、第2のケースの内のいずれか一方に内蔵され前記太陽電池パネルが発電した電力を蓄える電源電池と、
前記一方のケースに設けられて前記電源電池の電力を外部に供給する充電コネクタと、
を具備することを特徴とする携帯電源装置。
【請求項2】
前記接続機構が、
前記第1のケースの連結端部の幅内に設けられた一対の第1の枢支部と、
前記第2のケースの連結端部の幅内に設けられた一対の第2の枢支部と、
前記連結端部の厚み以上の距離を隔てて配設される第1の接続部及び第2の接続部を夫々両端部に有し、前記第1の接続部を前記第1の枢支部に回転可能に嵌合するとともに前記第2の接続部を前記第2の枢支部に回転可能に嵌合して、前記第1、第2のケースを接続してこれらの間に設けられた継手部材と、
を備えていることを特徴とする請求項1に記載の携帯電源装置。
【請求項3】
前記第1の枢支部とこれに接続される前記第1の接続部の内の一方が軸であるとともに、他方が前記第1の枢支部に嵌合する第1の嵌合部を有しており、前記第2の枢支部とこれに接続される前記第2の接続部の内の一方が軸であるとともに、他方が前記第2の枢支部に嵌合する第2の嵌合部を有していることを特徴とする請求項2に記載の携帯電源装置。
【請求項4】
前記第1の枢支部が枠状に形成された前記第1の嵌合部を備えているとともに、前記第2の枢支部が枠状に形成された前記第2の嵌合部を備えており、前記第1の接続部が前記継手部材の端面から突出して前記第1の嵌合部内に回転可能に嵌合される第1の軸であるとともに、前記第2の接続部が前記継手部材の端面から突出して前記第2の嵌合部内に回転可能に嵌合される第2の軸であり、前記第1、第2の嵌合部は弾性変形が可能な一対の軸挟持部位を有しており、これらの軸挟持部位の相対向する面に係合溝が形成されているとともに、これら係合溝に係脱される複数の係合突起が前記第1、第2の軸の周部に設けられていることを特徴とする請求項3に記載の携帯電源装置。
【請求項5】
前記電源電池及び充電コネクタが設けられた前記一方のケース側の前記第1の嵌合部が有した前記軸挟持部位の弾性力が、他方のケース部材側の前記第2の嵌合部が有した前記軸挟持部位の弾性力より強いことを特徴とする請求項4に記載の携帯電源装置。
【請求項6】
前記第1のケースの連結端部の外面が前記第1の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面を有して形成されているとともに、前記第2のケースの連結端部の外面が前記第2の接続部を中心とする半径で描かれる半円状面を有して形成されていることを特徴とする請求項4又は5に記載の携帯電源装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−45206(P2011−45206A)
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−192584(P2009−192584)
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(592074441)東京コイルエンジニアリング株式会社 (62)
【出願人】(507161891)株式会社StrapyaNext (9)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年8月21日(2009.8.21)
【出願人】(592074441)東京コイルエンジニアリング株式会社 (62)
【出願人】(507161891)株式会社StrapyaNext (9)
【Fターム(参考)】
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