説明

携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置

【課題】。コンバインによる稲等の収穫作業は、刈取から乾燥に至るまでの一連の作業を効率よく行うためには、作業の進行状態を関係作業者が知っておくことが必要であるが、従来の実情においては、圃場で収穫作業を行っているコンバインのオペレーター、一人にしか分からない課題があった。
【解決手段】この発明は、予め、目標収穫量Mを設定して行うコンバインの収穫作業において、制御手段2は、グレンタンク3の穀粒充填量を検出する穀粒センサ4が刈取開始から満タンに達するまでの検出時間の総和を所要時間Tとして求め、該所要時間Tを、指定の携帯電話5に送信する構成とした携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、予め、目標収穫量を設定して行うコンバインの収穫作業において、収穫状況を指定の携帯電話に送信して関係者に知らせる表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年になって、コンピュータと通信技術との発達に伴い、農業機械や建設機械の作業現場と、遠隔地にあるサービスセンターとの間に、通信システムを利用して送受信を行いながら、ユーザーに対して迅速に対応できる作業機のメンテナンスシステムが開発されて公開特許公報に開示されている。すなわち、該特開2002−190871号公報(特許文献1参照)に記載された技術は、正常な状態の過去と異常な状態の現在とを対比させながら、コンバインの不具合の原因を解明し、ユーザーに対して迅速な対応ができるコンバインのメンテナンスシステムである。
【0003】
この公開技術は、コンバインのトラブル発生時に、トラブル関連情報を通信手段によってコンピュータへ送り、コンバインとコンピュータとの間を双方向通信させることにより、トラブルの回復情報をユーザーに伝達する手段が開示されている。
【特許文献1】特開2002−190871号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この出願に係る発明は、作業現場(稲刈りを行う圃場)における収穫作業の進行状態を、指定した携帯電話を利用して関係作業者に知らせ、次工程の準備をタイミングよく行い、作業全体を効率よく進めることを目的としている。
【0005】
そして、コンバインによる稲等の収穫作業は、刈取から乾燥に至るまでの一連の作業を効率よく行うためには、作業の進行状態を関係作業者が知っておくことが必要であるが、従来の実情では、コンバインの収穫状況は、圃場において作業を行っているコンバインのオペレーター、一人にしか分からない課題があった。
【0006】
そのために、この出願に係る発明は、特に、乾燥機の乾燥能力に合わせて単位あたり(例えば、1日あたり)の目標収穫量を設定してコンバインによる収穫作業を行う場合、収穫状況に関するモニター情報、警報等を指定した携帯電話に送信して関係作業者に収穫作業の状況を知らせることによって、作業全体の効率を高めんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明は、上記課題を解決するために、請求項1に記載した発明は、予め、目標収穫量Mを設定して行うコンバインの収穫作業において、制御手段2は、グレンタンク3に順次供給される穀粒の充填量を穀粒センサ4によって検出する構成とし、前記制御手段2は、該穀粒センサ4が刈取開始から満タンに達するまでの検出時間の総和を所要時間Tとして求め、該所要時間Tを、指定の携帯電話5に送信する構成とした携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置であって、関係作業者は、携帯電話に表示される刈取開始から満タンに達する一回の全作業時間、すなわち所要時間を知ることによって、目標収穫量を収穫するまでの収穫作業の全部に要する概略の時間を推定することが可能であって、次工程の関係作業者の準備を効率的に行わせることになる。
【0008】
つぎに、請求項2に記載した発明は、前記制御手段2は、前記所要時間Tを求めるにあたり、搬送穀稈の有無を検出する穀稈センサ6の検出中であることを要件とするONモードと、検出中と否検出中とを合わせて要件とするOFFモードとに切替可能に構成して、二種類の所要時間T1、T2の一方を選択して求めることができる構成とした請求項1記載の携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置であって、刈取開始から満タンに達するまでの所要時間を求めるにあたり、ONモードを選択して収穫作業をすると、搬送通路に臨ませている穀稈センサが搬送穀稈を検出している間、穀粒センサが検出した時間の総和を求めて所要時間とするから、コンバインが圃場のコーナーで旋回中にかかる時間が除かれて実刈取脱穀時間が所要時間となる。そして、所要時間は、OFFモードを選択すると、実刈取脱穀時間も旋回中の時間も通して、穀粒センサが検出時間の総和が求められるもので、収穫作業に要したほとんどの時間が含まれることになる。
【0009】
したがって、オペレータは、所要時間の精度を高めるために、初回の満タンまでをONモードで収穫作業を行って求めた所要時間を指定の携帯電話に送信して関係作業者に送信し、次回の収穫作業をOFFモードに切り替えて作業にかかる所要時間を送信すれば、関係作業者が、目標収穫量に達するまでの収穫時間を推定するために精度の高い所要時間を知らせることができるものとなった。
【0010】
つぎに、請求項3に記載した発明は、前記制御手段2は、グレンタンク3から穀粒を排出する時間を計測し、該計測時間の積算値と、単位時間に排出される穀粒量とに基づいて収穫した穀粒の総収穫量Sを算出し、該総収穫量Sが、予め、設定している目標収穫量Mに達したときに、指定の携帯電話5に送信して、音声、警報音等のモニタ情報を表示できる構成とした請求項1記載の携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置であって、設定している目標収穫量に対して、収穫作業中の穀粒の量を比較するにあたり、グレンタンクから機外に排出される時間の総和から求める方法である。この方法は、グレンタンクの排出クラッチのON時間の累積値に基づくもので、時間単位の穀粒の排出流量が分かっているから簡単に求められ、指定の携帯電話を利用して自動的に送信され、関係作業者に音声か、警報音で知らせることができる。
【0011】
つぎに、請求項4に記載した発明は、前記制御手段2は、指定の携帯電話5に、前記目標収穫量Mを送信してグラフGmで表示し、一方、収穫作業中に増加する変化値を加算した総収穫量Sを、前記携帯電話5に送信して総収穫量SをグラフGsで表示して、両者を携帯電話の表示面5H上に表示して対比できる構成とした請求項1記載の携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置であって、携帯電話の画面上に目標収穫量と総収穫量とをグラフ化して表示するから、目視によって目標値に対する現在値を簡単に知ることができる。
【発明の効果】
【0012】
まず、請求項1に記載した発明は、コンバインの収穫作業に関係する人々(関係作業者)が、携帯電話に表示される刈取開始から満タンに達するまでの一回の全作業時間、言い換えると、グレンタンクが空の状態から満タンに達するまでの所要時間を知ることによって、目標収穫量を収穫するまでの収穫作業に要する概略の時間を推定することが可能となり、次工程の関係作業者が自分の受け持つ作業の準備を迅速で効率的に行うことができる優れた特徴がある。
【0013】
そして、請求項2に記載した発明は、刈取開始から満タンに達するまでの所要時間を求めるにあたり、ONモードとOFFモードとを選択して切替え、収穫作業にかかる2つの所要時間の一方を選択して求めることができる特徴がある。
【0014】
したがって、オペレータは、所要時間の精度を高めるために、初回の満タンまでの収穫作業をONモードで行って、求めた所要時間を指定の携帯電話に送信して関係作業者に知らせ、次回の収穫作業をOFFモードに切り替えて作業に要する所要時間を送信すれば、関係作業者が、目標収穫量に達するまでの収穫時間を推定するとき、2つの所要時間を勘案しながら目標収穫量に達成するまでの時間を推定するから、精度の高い推測値を求めることがでる特徴がある。通常、コンバイン作業は、初回の回り刈り作業では、コーナー旋回に意外に時間がかかることが多く、初回をONモードで収穫作業することが効果的である。
【0015】
そして、請求項3に記載した発明は、グレンタンクの排出クラッチのON時間の累積値に基づくもので、時間単位の穀粒の排出流量が分かっているから、簡単に求められ、指定の携帯電話を利用して自動的に関係作業者に音声か、警報音で送信できる特徴がある。
【0016】
そして、請求項4に記載した発明は、指定した携帯電話の画面上に目標収穫量と総収穫量とをグラフ化して表示するから、関係作業者は、目視によって一目で目標値に対する現在までの収穫値を知ることができる優れた特徴がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
この発明は、コンバインによる刈取脱穀作業を、予め、目標収穫量Mを設定して行う場合、制御手段2は、刈取脱穀作業に伴ってグレンタンク3に順次供給される穀粒の充填量を検出する穀粒センサ4が設けられており、前記制御手段2は、該穀粒センサ4が刈取開始時のグレンタンクが空の時から満タンに達するまでの検出時間の総和を所要時間Tとして求め、該所要時間Tを、指定の携帯電話5に送信する構成としている。したがって、収穫作業に関係する作業者は、自分の携帯電話が受信した1回の所要時間Tを知ることによって、目標として設定している穀粒量に達するまでの収穫作業に要する時間を推定することが可能となる特徴を有するものである。
【0018】
以下、この発明の実施例を図面に基づいて、具体的に説明する。
まず、コンバイン1は、図3に示すように、クローラを有する車体10上に、進行方向に向かって左側に脱穀装置11と、右側の前部に操縦座席12を、その後部にグレンタンク3をそれぞれ併設して搭載した構成としている。そして、刈取前処理装置13は、図面に示すように、前部の低位置に分草杆14を、その後方に刈取装置15を、更に、これらの上側に傾斜した穀稈引起し装置16を、そして、刈取穀稈を前記脱穀装置11まで搬送する穀稈搬送装置17をそれぞれ配置して一体に構成し、前記車体10の前部に昇降自由に支持した構成としている。
【0019】
そして、脱穀装置11は、図3に示すように、始端部を前記穀稈搬送装置17の終端部に臨ませて受継チエン18、フィードチエン19の順に設け、まず、受継チエン18が穀稈の株元を受け継いで挟持して搬送した後、フィードチエン19の始端部側に穀稈の株元を受け継ぎ挟持させて、穂部を扱室に挿入して搬送しながら脱穀、選別を行う構成としている。
【0020】
つぎに、グレンタンク3は、図2に示すように、併設した前記脱穀装置11との間に一番揚穀装置20で連結され、脱穀され選別された後の一番穀粒が揚穀されて供給され、順次貯留される構成としている。そして、グレンタンク3は、図2に示すように、底面に前後方向に軸架した排出螺旋21が設けられ、その排出螺旋21の終端部を、図3に示すように、揚穀装置22を介して排出オーガー23に接続して貯留した穀粒を機外に排出できる構成としている。図4において、28は排出クラッチレバー、24はクラッチセンサ(オーガクラッチセンサー)である。
【0021】
そして、穀粒センサ4は、図2に示すように、前記グレンタンク3の内壁に、所定間隔ごとに上下方向に配列して設け、タンク3に充填される穀粒を検出する構成としている。
つぎに、この発明の制御手段2、すなわち、実施例のコントローラ2について説明する。
【0022】
まず、コントローラ2は、図1に示すように、入力側に穀粒センサ4と、穀稈センサ6と、オーガークラッチセンサ24と、目標収穫量設定ダイヤル25と、車速センサ26と、モード切替スイッチ30とを接続し、それぞれ情報を入力する構成としている。そして、コントローラ2は、図面に示すように、出力側に発信機27を接続して発信制御を行い、設定情報、或いは検出情報、又は検出情報等に基づいて求めた多数のモニタ情報を指定した携帯電話5に自動的に送信する構成としている。
【0023】
そして、前記穀粒センサ4は、既に説明したが、図2に示すように、グレンタンク2の内壁面に縦方向に所定間隔ごとに配列して設け、充填される穀粒の量を順次検出する構成としている。そして、穀稈センサ6は、図3に示すように、穀稈搬送装置17の終端部位に穀稈ガイドを兼ねて設けられ、搬送される穀稈の有無を検出する機能を持たせ、刈取作業の実施中か、又は休止中か、更には刈取開始時、及び終了時を検出してコントローラ2に情報として入力する構成としている。
【0024】
そして、コントローラ2は、実施例の場合、穀粒センサ4が検出した情報を入力すると、その検出情報に基づいて、満タンまでの所要時間T、及び満タンに達する時刻を演算して求めることができる。この場合、コントローラ3は、満タンに代えて,又は満タンと共に、充填量を設定している場合には、その設定した充填量に達するまでの所要時間Tと達する時刻とを演算の結果、求めることができる構成としている。
【0025】
そして、コントローラ3は、出力側に制御信号を出力して発信機27の発信制御を行って、指定している携帯電話5に各情報を送信することができる構成については、既に述べたが、この場合、携帯電話5に送信する情報は、予め分類して設定しておき、満タンに伴う警報音、満タンまでの所要時間、満タンになる時刻、又は設定量までの所要時間、設定量に達する時刻、目標収穫量M、総収穫量S等であって、携帯電話5の表示面5HにグラフGm、Gsとして表示される構成としている。
【0026】
これによって、関係作業者は、遠隔地で待機していても、圃場で作業中であるコンバイン1の収穫状況を知ることができるものであって、次工程の作業の準備をタイミングよく行うことができる。
【0027】
以上、述べた構成に基づいて、更に、各実施例について具体的に説明する。
まず、この発明に係る各実施例は、その日に収穫する目標収穫量Mを、目標収穫量設定ダイヤル25によって設定し、コントローラ2に設定値として記憶させて作業を開始するものである。ここに、目標収穫量Mは、通常、乾燥施設の1日当りの乾燥容量に基づいて決め、米の食味を確保するために、収穫した穀粒を未乾燥のまま放置して翌日に持ち越さないことを前提としている。
【0028】
このように目標収穫量Mを設定して、コンバイン1は、刈取脱穀作業を開始すると、コントローラ2には、穀粒センサ4からグレンタンク3に順次供給される穀粒の充填量の検出情報が入力されている。そして、コントローラ2は、刈取開始から満タンに達するまでの穀粒センサ4の検出時間の総和を所要時間Tとして求め、その所要時間Tを、出力側の発信機27に制御信号として出力して指定の携帯電話5に送信する。
【0029】
すると、待機中の関係作業者は、受信した携帯電話5に表示される刈取開始から満タンに達するまでの初回の全作業時間、すなわち所要時間Tを知ることができ、これに基づき、目標収穫量Mを収穫するまでの収穫作業の全部に要する概略の所要時間を推定することが可能となる。したがって、関係作業者は、次工程の準備を収穫作業が完了する推定時間に合わせて行うことが可能となる。
【0030】
つぎに、上記した所要時間Tを穀稈センサ6の検出を要件に加えて、2つの所要時間T1、T2を得る実施例について説明する。
まず、コントローラ2は、前記所要時間Tを求めるときに、穀稈搬送装置17の搬送終端部に設けたガイドを兼ねた穀稈センサ6が搬送穀稈を検出しているときに、グレンタンク3内の穀粒センサ4の検出時間を積算するONモードと、穀稈センサ6の穀稈検出中と否検出中とを合わせて積算するOFFモードとに切替可能にモード切替スイッチ30を設けて構成している。
【0031】
したがって、この実施例では、上記モード切替スイッチ30の切替によって2種類の所要時間T1、T2の一方を選択して求めることができる構成となっている。
ここで、コントローラ2は、ONモードを選択して収穫作業をすると、搬送通路に臨ませている穀稈センサ6が搬送穀稈を検出している間、穀粒センサ4が検出した時間の総和を求めて所要時間T1とするから、コンバイン1が圃場のコーナーで旋回中(刈取作業中断中)にかかる時間が除かれて、実刈取脱穀時間中に穀粒センサ4が検出した時間の総和が所要時間T1となり、指定の携帯電話5に送信される。
【0032】
そして、コントローラ2は、OFFモードを選択すると、上記実刈取脱穀時間と旋回中等の時間も合わせて、これらの間に、穀粒センサ4が検出した時間の総和が求められるもので、収穫作業中に穀粒センサ4が検出したほとんどの時間が所要時間T2として含まれることになる。
【0033】
したがって、オペレータは、所要時間Tの精度を高めるために、コンバイン作業の初回の満タンまでを、ONモードを選択して収穫作業を行って求めた所要時間T1を指定の携帯電話5に送信して関係作業者に知らせ、次回の収穫作業をOFFモードに切り替えて作業に要する所要時間T2を送信すれば、関係作業者が、目標収穫量Mに達するまでの収穫時間を推定するために精度の高い所要時間Tを知ることができる。
【0034】
既に述べたように、コンバイン1による収穫作業は、圃場で回り刈り作業を行う場合、初回はコーナー旋回に意外に時間を取られることが知られているから、初回はONモードを選択して収穫作業を行い、2回目からOFFモードに切り替えることによって、推定時間の誤差をできるだけ少なくすることができる。
【0035】
つぎの実施例について説明する。
まず、コントローラ2は、グレンタンク3が満タンに達して排出作業に移るとき、排出クラッチレバー28を入り側に操作して、オートクラッチセンサ24(図4参照)によって排出クラッチのON時間が検出され、入力される。そして、コントローラ2は、そのON時間の積算値と、一方、登録されている単位時間当たりの排出穀粒量とに基づいて収穫した穀粒の総収穫量Sを算出する。そして、コントローラ2は、この総収穫量Sが、予め、設定している目標収穫量Mに達したときに制御信号を発信機27に出力して、指定の携帯電話5に送信し、実施例の場合には、警報音によって関係作業者に通報する。
【0036】
なお、総収穫量Sが目標収穫量Mに達するまでのモニタ情報としては、目標収穫量Mに達するまでのグレンタンク3の満タン回数やグレンタンクの分数分表示(目標収穫量Mに達するための満タンまでの収穫量)等の音声や画像表示が考えられる。更に、実施例としては、目標収穫量Mを目標排出時間に置き換え、総収穫量Sを現状排出時間に置き換えて求め、これらの情報を指定の携帯電話5に送信して知らせることも考えられる。
【0037】
このように、この実施例によれば、コントローラ2は、グレンタンク3の排出クラッチのON時間の累積値に基づいて、時間単位の穀粒の排出流量を記憶しているから比較的簡単に総収穫量Sが求められ、指定の携帯電話5を利用して自動的に関係作業者に上述のとおり送信して知らせることができる。
【0038】
つぎの実施例について説明する。
まず、コントローラ2は、指定の携帯電話5に、予め設定している目標収穫量Mを送信して携帯電話5の表示面5HにグラフGmで表示する。そして、コンバイン1は収穫作業を開始してグレンタンク3に順次穀粒を供給するが、その過程で、コントローラ2は、穀粒センサ4の検出作用によって、増加する変化値を加算した穀粒の総収穫量Sを求めて、携帯電話5に送信する。すると、指定の携帯電話5は、図5に示すように、受信した総収穫量Sを表示面5HにグラフGsで表示するが、この場合、前記目標収穫量MのグラフGmに並べて総収穫量SのグラフGsを表示して、両者を携帯電話の表示面5H上で対比できるものとしている。
【0039】
したがって、関係作業者は、図5から解るように、携帯電話5の表示面5H上に目標収穫量Mと総収穫量Sとをグラフ化して表示するから、目視によって目標値に対する現在値を簡単に知ることができる。
【0040】
以下に述べる各実施例は、コントローラ2が指定の携帯電話5に送信する所要時間Tを如何にして正確に求め、設定した目標収穫量Mに達するまでの作業時間(所要時間)、及び目標収穫量Mに達する時刻等を表示面5Hにモニタ表示する技術を説明する。
【0041】
まず、上記所要時間Tは、コンバインが現実に刈取脱穀作業を実行している時間を積算することが肝要であるから、副変速装置を高速(路上走行速度)に変速して走行した時間を、車速センサ26で検出してその時間を削除し、刈取装置15、脱穀装置11のONの状態にある時間(車速センサ26が作業速度として検出した時間)のみを積算して算出するものとしている。
【0042】
このように、コントローラ2は、現実に、コンバイン1が刈取脱穀作業をしている実働時間を正確に算出することによって、作業開始から満タンまでの所要時間Tを正確に算出することができる。
【0043】
同様に、実働時間を正確に把握する手段として、搬送される穀稈の有無を検出する穀稈センサ6のON時間があるが、これについては既に説明している。
以上のように、関係作業者は、コントローラ2によって指定した携帯電話5に送信して表示面5Hに、作業開始から満タンまでの正確な所要時間Tが表示されれば、これに基づいて目標量収穫Mまでの所要時間を推定することができる。
【0044】
そして、コントローラ2は、予め目標収穫量Mを入力して刈取脱穀作業を行えば、グレンタンク3が空の状態で作業を開始して、満タンに達するまでの作業時間を基準にして演算すれば、目標収穫量Mまでの所要時間と、目標の収穫量に達する時刻を求めることが可能である。そして、コントローラ2は、発信機27に出力して発信して、携帯電話5の表示面5Hに、上記のようにして求めた所要時間Tと作業終了時刻とを表示することができる。
【0045】
このように、所要時間と作業終了時刻とは、表裏の関係にあって、コントローラ2は、一方を演算の結果求めれば、自動的に他方も算出できる関係にあるから、両者を並べて携帯電話5の表示面5H上に表示することが可能である。そして、コントローラ2は、グレンタンク3の穀粒排出完了ごとに、目標収穫量Mに達するまでの残り満タン回数と、残りの作業時間とを求めて送信し、携帯電話5の表示面5H上に表示することも比較的簡単にできる。
【0046】
そして、最初に設定した目標収穫量Mは、永久不変の数値ではなく、諸般の事情によって変更する必要が出る場合もあるが、そのときには、通常、目標収穫量設定ダイヤル25を再操作するが、本案の実施例では、携帯電話5の側からコントローラ2側に通信して補正、変更を可能にしている。
【0047】
そして、上記所要時間T、及び終了時刻は、連続的に刈取脱穀作業を続けた場合を前提にして算出した時間であり、時刻であるから、これを、過去のデータに基づいて、予想可能な範囲で常に補正して、精度の高い所要時間、及び終了時刻表示をする必要がある。
【0048】
そのために、実施例に係るコントローラ2は、例えば、目標収穫量Mを入力した後、車速(刈取速度)を車速センサ26で検出して入力し、単位距離当りの収量の入力、満タン回数のカウント、重要なことは第1に作業中における穀稈センサ6のON時間、第2に刈取速度をサンプリングして、全体の作業時間の中から実働率に基づいて補正計算し、最も頻度の高い刈取速度(或いは刈取速度の平均値)を求めて補正計算して作業時間、及び終了時刻を表示するものとしている。
【0049】
以上のように、コントローラ2は、実施例の場合、携帯電話5の表示面5Hにより精度の高いものに補正して表示するために、コントローラ2による補正計算の頻度を高め、グレンタンク3の満タン時の排出ごとに修正して行うのは当然であるが、その作業中でも必要時にスイッチ操作で目標収穫量に達するための残り作業時間、及び終了時刻を表示できる構成にしてより精度の高い装置にしている。
【0050】
なお、この実施例に係るコントローラ2は、グレンタンク3の満タンまでの作業時間と走行距離、及び登録している収量データ等に基づいて演算すれば、単位面積あたりの収穫量を求めることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0051】
【図1】制御機構のブロック図
【図2】グレンタンクの内部背面図
【図3】コンバインの平面図
【図4】排出クラッチレバーの作用図
【図5】表示面に表示したグラフ
【符号の説明】
【0052】
1 コンバイン 2 制御手段
3 グレンタンク 4 穀粒センサ
5 携帯電話 5H 表示面
6 穀稈センサ
M 目標収穫量 T 所要時間
S 総収穫量 Gm 目標収穫量のグラフ
Gs 総収穫量。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め、目標収穫量Mを設定して行うコンバインの収穫作業において、制御手段2は、グレンタンク3に順次供給される穀粒の充填量を穀粒センサ4によって検出する構成とし、前記制御手段2は、該穀粒センサ4が刈取開始から満タンに達するまでの検出時間の総和を所要時間Tとして求め、該所要時間Tを、指定の携帯電話5に送信する構成とした携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置。
【請求項2】
前記制御手段2は、前記所要時間Tを求めるにあたり、搬送穀稈の有無を検出する穀稈センサ6が穀稈検出中であることを要件とするONモードと、検出中と否検出中とを合わせて要件とするOFFモードとに切替可能に構成して、二種類の所要時間T1、T2の一方を選択して求めることができる構成とした請求項1記載の携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置。
【請求項3】
前記制御手段2は、グレンタンク3から穀粒を排出する時間を計測し、該計測時間の積算値と、単位時間に排出される穀粒量とに基づいて収穫した穀粒の総収穫量Sを算出し、該総収穫量Sが、予め、設定している目標収穫量Mに達したときに、指定の携帯電話5に送信して、音声、警報音等のモニタ情報を表示できる構成とした請求項1記載の携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置。
【請求項4】
前記制御手段2は、指定の携帯電話5に、前記目標収穫量Mを送信してグラフGmで表示し、一方、収穫作業中に増加する変化値を加算した総収穫量Sを、前記携帯電話5に送信して総収穫量SをグラフGsで表示して、両者を携帯電話5の表示面5H上に表示して対比できる構成とした請求項1記載の携帯電話を利用したコンバインの収穫状況表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−94780(P2006−94780A)
【公開日】平成18年4月13日(2006.4.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−284728(P2004−284728)
【出願日】平成16年9月29日(2004.9.29)
【出願人】(000000125)井関農機株式会社 (3,813)
【Fターム(参考)】