説明

携帯電話を用いた双方向的な生活習慣病管理支援システム

【課題】秘密を保持し、改竄から防止すべき患者個人の情報を、適切に保護し、かつ利便性が高く経済的に有利な携帯電話を用いた双方向的な生活習慣病管理支援システムを提供すること。
【解決手段】携帯電話機20は、本人識別情報を記憶した不揮発記憶部を有し、コンピュータ端末40Aは、不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証する認証入力手段42Aと、当該本人識別情報に関連づけて新規に患者情報と、病院のアクセスする権限を有する者の個人認証コードと、当該パスワードと、を記憶する登録記憶手段を有し、サーバ30は、認証入力手段42Aにより認証され登録された患者と、携帯電話機20Xから送信された患者データと、を本人識別情報に関連づけて記憶する記憶手段33と、患者データを解析する解析手段と、を有し、認証入力手段42Aにより入力され特定された患者データを記憶手段33より読み出し、解析手段による解析データを該当する患者の携帯電話機20Xに送信する生活習慣病管理支援システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話を用いた双方向的な生活習慣病管理支援システム、およびそのコンピュータプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年糖尿病患者は増加傾向にある。統計によれば、予備軍を含む糖尿病患者数は平成19年度で2210万人に上る。糖尿病をはじめとする生活習慣病のコントロールにおいてセルフケアを遵守させることは極めて重要である。インスリン治療中の患者にとって、自己血糖測定のようなセルフモニターは大変効果的である。しかし、糖尿病をはじめとする生活習慣病のコントロールには的確なセルフケアの維持が欠かせないが,食事療法や適度な運動で血糖等を根気よく管理するのは専門知識をもたない患者にとって肉体的にも精神的にもつらいものがある。また、担当医師にとって多忙な外来診療時間の間にこの記録を正確に活かすことは困難である。さらに、多くの生活習慣病では体重・血圧などの自己測定や食事管理が実行されておらず、これらの診療が理想的に行われているとは言い難い状況であった。
【0003】
そこで、情報技術を活用した生活習慣病対策の試みは学術的な研究から、健康管理のためのシステムおよびサービスとして企業が展開しているものまで、幅広く行われるようになってきた。
【0004】
企業が提供している健康管理システムを大まかに3つのタイプに分類すると、健康に不安を持つ個人を対象とするセルフケア支援サービス、医師の診療支援を目的とする解析ソフト、企業等組織内の健康健診・保健指導などをサポートするシステムとなる。以下これらの内容につき概要を説明する。
【0005】
〈セルフケア支援システム〉
セルフケア支援サービスでは、利用者は日々血圧・体重・血糖等の健康データを測定し、サービス提供者が用意するサーバに自動または手動で送信・蓄積する。蓄積されたデータは統計処理やグラフ化を施され、PCや携帯から参照することができる。セルフケア支援サービスとしては、TANITAが展開するからだカルテ(非特許文献1等参照)が提案されている。
【0006】
〈データ解析ソフト〉
解析ソフトは主に測定器メーカーが提供するもので、患者が日々測定したデータを測定器に蓄積しておき、受診時に赤外線通信等で医師のPCに読みだして医師に提示する。また、企業によっては個人向けのものも販売している。解析ソフトは測定器とセットであるため、他社のソフトや測定器ではデータを利用することができない。解析ソフトには、ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社が販売する医師向けのアキュチェック
コンパス(非特許文献2等参照)がある。
【0007】
〈健康診断サポートシステム〉
健康診断サポートシステムは、企業等の組織内での健康診断の結果をシステムに入力・蓄積することで、Webなどを通じて利用者に検査結果を提示したり、医師や専門家の判定論理を集約した知識ベースに基づいたアドバイスを行ったりする機能を持つ。組織単位での導入となるため、コストが高く、個人での利用は想定されていない。健康診断サポートシステムには、NTT−ITが開発・販売するHELSMEK(Health
Care Support System with Medical Knowledge)(非特許文献3等参照)がある。
【0008】
これら既存のシステムは、対象別(個人、医師、組織)・用途別(セルフケア、診療、健診)・測定器機別に特化しているものが多い。また、データを蓄積・表示する機能がメインであり、システムから積極的に働きかけ、マネジメントを行うことを目標とするものは見当たらない。
【0009】
特許文献では、潜在患者の多い生活習慣病患者及び予備軍に対し、医療機関等とのネットワークを構築し、自ら或いは医師などによる日常の健康管理をサポートし、健康管理に必要な医療情報のサービスを行う健康管理システムが提案されている(特許文献1等参照)。また、車両に搭載されると共に、搭乗者の健康状態を測定し、測定した健康状態に基づいて生活習慣病等に関するアドバイスなどを行うことができる健康管理支援システムも提案されている(特許文献2等参照)。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0010】
【非特許文献1】TANITA.「タニタの健康応援ネット [からだカルテ]」http//www.karadakarute.jp/tanita/index.jsp.
【非特許文献2】ロシュ・ダイアグノスティックス株式会社「糖尿病血糖自己測定のアキュチェック|アキュチェック コンパスJ」http://www.accu−chek.jp/medical/products/data_mana:gement/ac_compass.htm.
【非特許文献3】NTT アイティ株式会社 ヘルスケアシステム事業「HELSMEK(健康管理システム)」http://www.ntt−it.co.jp/goods/hbj/HELSMEK/main.html.
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特開2002−56099号公報
【特許文献2】特開2008−234009号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかしながら、生活習慣病等のデータは各患者の秘密の個人情報である。これらのデータを他人に見られ悪用される恐れがある。また、転送中でデータが改竄されると、誤った診断に結びつき重大な結果を招くこともある。特に、インターネットのような誰にでも開放されているインフラを使用した場合には、これらの重大な危険があった。
【0013】
したがって、本発明は、秘密を保持し、改竄から防止すべき患者個人の情報を、適切に保護し、かつ利便性が高く経済的に有利な携帯電話を用いた双方向的な生活習慣病管理支援システム、およびそのコンピュータプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明者らは鋭意検討した結果、上記課題に対して本人識別情報を記憶した不揮発記憶部を有する携帯電話機と、電子証明書と公開鍵により暗号化して送受信することを適切にシステムに取り込むことの有用性を見出し、下記の発明を完成するに至った。
【0015】
(1) 複数の携帯電話機と、少なくとも一つ以上のコンピュータ端末と、サーバと、が通信回線で接続された生活習慣病管理支援システムにおいて、前記携帯電話機は、本人識別情報を記憶した不揮発記憶部と、生活習慣病管理データを入力する入力手段と、前記生活習慣病管理支援情報を表示する携帯表示手段と、を備え、前記コンピュータ端末は、前記不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証する認証入力手段と、当該本人識別情報に関連づけて新規に患者情報と、病院のアクセスする権限を有する者の個人認証コードと、当該パスワードと、を記憶する登録記憶手段と、端末表示手段と、を備え、前記サーバは、前記認証入力手段により認証され登録された患者と、前記携帯電話機から送信された患者データと、を本人識別情報に関連づけて記憶する記憶手段と、前記患者データを解析する解析手段と、を備え、前記認証入力手段により入力され特定された患者データを前記記憶手段より読み出し前記表示手段により表示し、前記解析手段による解析データを該当する患者の携帯電話機に前記記憶手段より読み出して送信する生活習慣病管理支援システム。
【0016】
(1)に記載の発明の生活習慣病管理支援システムは、本人識別情報を記憶した不揮発記憶部を有する携帯電話機を有する。認証入力手段により携帯電話機の不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証する。当該本人識別情報に関連づけて新規に患者情報と、病院のアクセスする権限を有する者の個人認証コードと、当該パスワードと、を登録記憶手段に記憶する。
【0017】
したがって、患者個人を確実に認証して登録することができる。また、患者情報は、病院のアクセスする権限を有する者の個人認証コードと当該パスワードとが登録記憶手段に記憶されているので、本当に病院の権限を有する者しかアクセスすることできず、患者情報が適切に保護される。
【0018】
また、携帯電話機から送信された患者データは本人識別情報に関連づけて記憶手段に記憶される。そして、解析手段により患者データを解析される。解析手段による解析データは、認証入力手段により入力され特定された患者データを記憶手段より読み出し、該当する患者の携帯電話機に送信される。
【0019】
よって、認証された患者の携帯電話機に解析データが送信されるので、解析した結果をタイムリーに患者は知ることができ、解析結果に対応する適切な対応を自らの意思で実行する強力な支援となる。
【0020】
ここで、不揮発記憶部に本人識別情報を持った携帯電話機としては、モバイルFeliCa対応の携帯電話機により実現することができ、望ましい。しかし、本人識別情報が秘密性を保持して、電源事情に左右せれず記憶されているものであれば、これに限られない。また、携帯電話機はPHS電話機、PDA装置であっても良い。
【0021】
(2) 前記サーバには、電子証明書とサーバの公開鍵を記憶する記憶部をさらに備え、 前記携帯電話機と前記サーバとの接続を、送信された当該携帯電話機の本人識別情報と、前記記憶手段に記憶されている本人識別情報とを照合することにより認証し、認証した場合は、前記記憶部に記憶されている電子証明書と公開鍵を読み出して、当該携帯電話機に送信し、受信した携帯電話機は、受信した電子証明書と公開鍵により暗号化して送受信する(1)に記載の生活習慣病管理支援システム。
【0022】
(2)に記載の発明に係る生活習慣病管理支援システムは、サーバには、電子証明書とサーバの公開鍵を記憶する記憶部をさらに備える。携帯電話機とサーバとの接続を、送信された当該携帯電話機の本人識別情報と、記憶手段に記憶されている本人識別情報とを照合することにより認証し、認証した場合は、記憶部に記憶されている電子証明書と公開鍵を読み出して、当該携帯電話機に送信し、受信した携帯電話機は、受信した電子証明書と公開鍵により暗号化して送受信する。
【0023】
したがって、携帯電話機とサーバとの間の送受信が暗号化されて送受信されるので、患者の情報の秘密が保たれ、かつ、他人に改竄されるおそれがない。インターネット上でデータを暗号化して送受信するSSL(Secure Socket Layer)方式によることが望ましい。
【0024】
また、公開鍵を用いた方式によるので、携帯電話機に電子証明書を記憶する方式に比して、患者の準備する負担がすくなく、システムとして市場に受け入れられやすい。
【0025】
(3) 前記コンピュータ端末は、入力手段をさらに備え、前記入力手段により入力された個人認証コードと、当該パスワードと前記登録記憶手段にあらかじめ記憶されている個人認証コードと、当該パスワードとが同一である場合に、前記認証入力手段により前記不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証し、当該患者データを前記記憶手段より読み出す(1)に記載の生活習慣病管理支援システム。
【0026】
(4) 前記解析手段は、患者データを解析して生活習慣病として許容範囲を超えるか否かを解析する許容範囲解析手段をさらに備え、前記記憶手段には、患者ごとに送信する条件を設定して記憶する患者個別条件テーブルを有し、前記許容範囲解析手段により許容範囲を逸脱した場合に、前記患者別条件テーブルを記憶手段より読み出して照合し、条件に適合した場合に、当該患者の携帯電話機に逸脱情報を送信する(1)又は(2)に記載の生活習慣病管理支援システム。
【0027】
(4)に記載の発明に係る生活習慣病管理支援システムは、解析手段は、患者データを解析して生活習慣病として許容範囲を超えるか否かを解析する許容範囲解析手段をさらに備える。また、記憶手段には、患者ごとに送信する条件を設定して記憶する患者個別条件テーブルを有する。
【0028】
したがって、許容範囲解析手段により許容範囲を逸脱した場合に、患者別条件テーブルを記憶手段より読み出して照合し、条件に適合した場合に、当該患者の携帯電話機に逸脱情報を送信することができる。より個別の患者に対応した情報の提供をすることができる。
【0029】
(5) 複数の携帯電話機と、少なくとも一つ以上のコンピュータ端末と、サーバと、が通信回線で接続された生活習慣病管理支援システムに使用されるコンピュータプログラムであって、前記コンピュータに、前記携帯電話機の不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証し、当該本人識別情報に関連づけて新規の患者情報と、病院のアクセスする権限を有する者の個人認証コードと、当該パスワードと、を登録するステップと、前記携帯電話機より送信された患者データを当該患者の本人識別情報と、受信した日時と、に関連づけて記憶する記憶ステップと、前記患者データを解析する解析ステップと、を実行させるコンピュータプログラム。
【0030】
(5)に記載の発明に係るコンピュータプログラムを、コンピュータに実行させることにより(1)に記載した発明に係る生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末及びサーバとして使用することができる。作用効果は、(1)と同様であるので、説明を省略する。
【0031】
(6) 前記携帯電話機と前記サーバとの接続を、送信された当該携帯電話機の本人識別情報と、登録されている本人識別情報とを照合することにより認証するステップと、
認証した場合は、あらかじめ記憶部に記憶されている電子証明書と公開鍵を読み出して、当該携帯電話機に電子証明書と公開鍵とを、電子証明書と公開鍵により暗号化して送信するステップと、をさらに含む(5)に記載のコンピュータプログラム。
【0032】
(6)に記載の発明に係るコンピュータプログラムを、コンピュータに実行させることにより(2)に記載した発明に係る生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末及びサーバとして使用することができる。作用効果は、(2)と同様であるので、説明を省略する。
【0033】
(7) 前記解析ステップは、患者データを解析して生活習慣病として許容範囲を超えるか否かを解析するステップを予め記憶されている患者別条件テーブルを記憶手段より読み出して照合するステップと、をさらに含む(5)又は(6)に記載のコンピュータプログラム。
【0034】
(7)に記載の発明に係るコンピュータプログラムを、コンピュータに実行させることにより(4)に記載した発明に係る生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末及びサーバとして使用することができる。作用効果は、(4)と同様であるので、説明を省略する。
【発明の効果】
【0035】
以上説明したように、本発明によれば、秘密を保持し、改竄から防止すべき患者個人の情報を、適切に保護し、かつ利便性が高く経済的に有利な携帯電話を用いた双方向的な生活習慣病管理支援システム、およびそのコンピュータプログラムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明の実施例である携帯電話機を用いた双方向的な生活習慣病管理支援システムを示す図である。
【図2】本発明の生活習慣病管理支援システムの携帯電話機に表示される患者個人ページを表す図である。
【図3】本発明の生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末に表示される医師の個人ページを表す図である。
【図4】本発明の生活習慣病管理支援システムの患者と医師の担当関係を記憶するテーブル一例である。
【図5】本発明の生活習慣病管理支援システムの携帯電話機に表示される付記事項の入力画面を表す図である。
【図6】本発明の生活習慣病管理支援システムのサーバに記憶される患者の血糖値データを表す図である。
【図7】本発明の実施例であるモバイルFeliCaを利用した患者識別を説明する図である。
【図8】本発明の実施例であるモバイルFeliCaを利用した医師が患者識別をしてデータの読み出しを説明する図である。
【図9】本発明の生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末に表示される患者データの視覚化の一例で血糖値表を説明する図である。
【図10】本発明の生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末に表示される患者データの視覚化の一例で血糖値範囲分布を説明する図である。
【図11】本発明の生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末に表示される患者データの視覚化の一例で血糖値グラフを説明する図である。
【図12】本発明の生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末に表示される医師の患者管理画面を表す図である。
【図13】本発明の生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末に表示される医師の血糖値レンジの表示と変更を示す図である。
【図14】本発明の生活習慣病管理支援システムの携帯電話機に表示される患者にデータ入力時に返信される一例を表す図である。
【図15】本発明の実施例である高血糖値注意喚起メール送信アルゴリズムを説明する図である。
【図16】本発明の生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末に表示される患者データの血糖値グラフ(全体の血糖値推移)を説明する図である。
【図17】本発明の生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末に表示される患者データの血糖値グラフ(食前の血糖値推移)を説明する図である。
【図18】本発明の生活習慣病管理支援システムのコンピュータ端末に表示される患者データの血糖値グラフ(方式2による高血糖判定)を説明する図である。
【図19】本発明の別の実施例である地域医療システムに展開した生活習慣病管理支援システムを示す図である。
【図20】本発明に使用するコンピュータのハードウェアの一例である。
【図21】本発明に使用する携帯電話機のハードウェアの一例である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明を実施するための形態について、糖尿病患者を例として図を参照しながら説明する。なお、これはあくまでも一例であって、本発明の技術的範囲はこれに限られるものではない。
【実施例1】
【0038】
図1は、本発明の実施例である携帯電話機を用いた双方向的な生活習慣病管理支援システムを示す図である。図1に示すように、生活習慣病管理支援システム100は、複数の携帯電話機20X、20Yと、少なくとも一つ以上のコンピュータ端末40Aと、サーバ30と、が通信回線10で接続されている。
【0039】
携帯電話機20X、20Yは、図4に示すように本人識別情報を記憶した不揮発記憶部であるモバイルFeliCa ICチップを搭載したFeliCa対応携帯電話機であり、生活習慣病管理データを入力する入力手段22と、生活習慣病管理支援情報を表示する携帯表示手段24と、がある。
【0040】
コンピュータ端末40Aは、不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証する認証入力手段であるFeliCaリーダライタ42Aと、当該本人識別情報に関連づけて新規に患者情報と、病院のアクセスする権限を有する者の個人認証コードと、当該パスワードと、を記憶する登録記憶手段と、端末表示手段44Aと、がある。
【0041】
サーバ30は、認証入力手段であるFeliCaリーダライタ42Aにより認証され登録された患者と、携帯電話機20X、20Yから送信された患者データと、を本人識別情報に関連づけて記憶する記憶手段33と、患者データを解析する解析手段と、が有る。
【0042】
サーバ30のOSはRed Hat Enterprise Linux ES release 4 (Nahant Update 7)、サーバ30に用いるソフトウエアはApache 2.0.52 (Red Hat)、データベース管理システムはMySQL
version4.1.22、ソフトウエアの開発言語はPHP 4.3.9を用いた。
【0043】
実施例1の本システムを利用する医療機関において患者をシステムに登録すると、携帯アドレスに個人用ページのURLがメールで送信される。患者がそのページから測定した血糖値を入力すると、データはSSL通信で大学病院内に設置されたサーバ30に送信され記憶される。患者本人は個人ページからいつでも過去の血糖値等を、図2に示すように参照することができる。診察時に医師がデータを参照する際には、PCに接続したFea
IDを読み出すことが鍵となってセキュリティが保たれるしくみとなっている。
【0044】
患者の個人ページ及び診察時のデータ閲覧画面では、図2(c)に示すようにグラフや統計値などによりデータ推移や管理状況をわかりやすく表示し、セルフケアや診断の助けとしている。
【0045】
実施例1の本システムは全てWeb上で動作するため、医療機関への導入に必要なものは、インターネット接続可能なPCとFeliCaリーダライタだけであり、非常に低コストでの利用が可能である。利用前に必要な作業は、FeliCaリーダライタのドライバ及びFeliCaブラウザエクステンションのインストールのみである。FeliCaブラウザエクステンションをインストールすることで、Internet
Explorer上からFeliCa HTMLを用いてモバイルFeliCaを利用することが可能になる。インストールはどちらも非常に簡単な作業であり、医師の負担は少ない。
【0046】
利用患者の登録は、受診時に医療機関で行う。予め、患者にシステムの仕組みを説明し、了解が得られれば登録を行う。医師の個人ページ内の新規患者登録フォームに患者の氏名、身長、携帯メールアドレスを入力し、FeliCaリーダライタに患者の携帯電話機20Xを置いて登録処理を行うと、患者ごとの個人ページが自動的に作成され、間もなく登録したメールアドレスに個人ページのURLを記したメールが送信される。患者は図2に示した(a)トップページ、(b)血糖値入力画面、(c)蓄積した血糖値データ等の個人ページのURLをブックマークし、以後そのページから血糖値等のデータの送信・閲覧を行う。
【0047】
登録された患者は登録を行った医師の担当患者として紐付けられる。医師の個人ページからは担当患者のデータ入力回数や最新入力日などが確認できる他、患者の診断名での分類や、患者へのメールの送信などが可能である。一人の患者を複数の医師が看る場合、図4に示すようなテーブルで患者はそれぞれの医師に紐付けられて記憶される。
【0048】
〈患者データの入力・蓄積〉
患者は血糖、血圧、体重、腹囲を必要に応じて日々測定し、携帯電話から図2の個人ページにアクセスしてそれらのデータを入力する。血糖値については、(b)のように食前後の区分やインスリン使用量の変更、間食や体調不良などの図5に示す携帯電話機20X等の入力画面より、付記事項も合わせて入力する。既存の測定器の中には測定データを無線で送信できるものがあるが、特定の測定器への依存を避けるため、本発明のシステムでは携帯電話機へのデータ入力は患者が手動で行うこととしている。手入力は、患者の自己管理意識を高める上でも有効であると考えられる。入力後には図2の(c)に示すように過去の値や平均値との比較、目標までの差などが携帯画面上に表示され、生活習慣管理へのフィードバックを促す。
【0049】
入力された患者データは、携帯電話機20X等により、登録時に受信した電子証明書と公開鍵により暗号化してサーバ30に送信し、サーバ30は、受信した患者データを図6に示すテーブル形式でサーバ30の記憶手段33のデータベースに記憶する。
【0050】
〈診察時のデータ参照〉
(1)モバイルFeliCaを利用した患者認証
システムでは診療時に医師のPCからサーバにアクセスして患者のデータを参照するが、その際図7に示すようにモバイルFeliCaを利用した患者識別を行う。携帯電話機20Xに内蔵されたモバイルFeliCa
ICチップにはそれぞれ固有のFeliCa IDが振られており、FeliCaリーダライタを介してPCに読みだすことができる。このFeliCa IDを患者のIDとして利用し、患者を識別する。一方、図8に示すように、医師の個人認証コードであるIDと、パスワードと前記登録記憶手段にあらかじめ記憶されている個人認証コードと、当該パスワードとが同一である場合に、ログインされるので、他のシステムであるEdy等の鍵は読みださないで、認証入力手段であるFeliCaリーダライタ42Aにより不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証し、当該患者データを記憶手段33より読み出す。すなわち、本発明のシステムでは、Edy等の他サービスの情報を読み出すことはできない構成になっているので、患者は、携帯電話機から大切な情報を読み出されフィッシングされることを心配する必要はない。
【0051】
具体的には、診療時には医師のPCに接続したFeliCaリーダライタ42Aに患者の携帯電話機20Xを置いてFeliCa
IDを読み出し、登録時に記憶手段33に記録しておいたものと照合して、該当患者のデータを取得する。これにより患者の識別が瞬時に自動で行われるため、スムーズに診療に移ることが可能である。
【0052】
また、基本的に患者の携帯電話機がなければデータを参照することができないため、患者の意思に反して勝手にデータを参照されることはない。担当医師だけに自由な参照を認める設定も可能であり、その場合、非受診時にも医師がリアルタイムに血糖等の推移を確認できるため、患者へのメール送信機能などを利用したきめ細やかな対応が期待できる。
【0053】
逆に、携帯電話機さえあれば実施例1の本システムを導入している全ての医療機関で同じようにデータを閲覧できる。したがって、普段は診療所で治療を受け、検査などの際に大きな病院に行くような場合にも対応することができる。このようにシームレスなデータ利用が可能であるため、病診連携、ひいては地域医療連携の場においても力を発揮することが期待できる。
【0054】
(2)患者データの視覚化
サーバ30に蓄積された患者データは、診療時に医師の個人ページから、また任意に患者の個人ページから参照される。その際、データに統計処理およびグラフ化処理を施し、わかりやすい形でクライアントに提示する。図9に示すように、血糖値表では、各食前食後の区分ごとに最大値、最小値、平均値、標準偏差を表示し、測定値は患者ごとに設定可能な血糖レンジ(危険、高め、普通、低め)に則って色分けする。インスリン使用量の増減はアイコンで表す。飲酒や体調不良などの付記事項がある場合には値に下線を引いて表わし、マウスを操作して詳細を確認することができる。
【0055】
図11に示すように血糖値グラフでは、グラフの背景を血糖レンジで色分けする他、一週間単位の移動平均をとり、血糖値推移のトレンドを一目で把握できるようにしている。図11の血糖値の目標範囲分布グラフでは、各血糖レンジに分布するデータ数および割合を円グラフで表し、一目で大まかな管理状況を把握することができる。血糖値は食前、食後などの区分ごとの値も非常に重要な意味を持つため、グラフは食前、食後、朝食後、夕食前など、表示するデータを自由に切り替えることができる。
【0056】
また、血糖値データはCSV形式で保存が可能である。データは、将来の診療情報の標準化・相互運用性にも対応可能とするため、JAHIS臨床検査データ交換規約Ver.3.0や患者標準情報(HL7)などの標準コードに準拠させるのが望ましい。
【0057】
体重、血圧、腹囲についても折れ線グラフで表示し、移動平均でトレンドを表す。体重グラフでは、BMI(Body Mass Index)から算出した標準体重を元に背景を色分けする。体重については目標値設定が可能で、グラフから目標値まであとどの程度かを確認することができる。データの表示期間は一週間から一年まで設定でき、様々なスパンでの値の変動を確認することができる。このように、データに様々な処理を施してわかりやすい形で提示することにより、医師が問題のある箇所を素早く的確に判断することが可能になる。
【0058】
また、患者にとっても、血糖値手帳のように値をただ記入するだけでは張り合いがないが、このように入力した値を処理して提示することで、自分の健康状態の推移を的確に把握でき、健康管理の意欲を高めることが期待できる。
【0059】
(6)医師による担当患者の管理
医師個人ページの担当患者一覧をクリックすると、図12に示す画面が表示される。
診断名での分類、データ入力状況の確認、患者へのメール送信などの機能があり、患者が許諾した場合にはオンラインで患者の状況を参照することも可能である。
【0060】
担当医師だけには自由な参照を認めることで、受診時以外にも医師が血糖等の推移を確認でき、患者へのメール送信などきめ細かい対応が可能になる。血糖値レンジの変更は、患者データ参照画面の上部で、図13に示すように閾値(危険、高め、普通、低め)を変更できる。
【0061】
〈双方向通信機能〉
実施例1の本システムは、患者データを解析して生活習慣病として許容範囲を超えるか否かを解析する許容範囲解析手段を準備しており、患者データが許容範囲を逸脱するとメールで注意を促すといった双方向通信機能により、患者の自己管理を支援することを特徴としている。どのような状況で、どのようなフィードバックを返すかは、予め医師が患者毎に設定できる設計になっている。
【0062】
(1)非受診時のサポート
糖尿病治療では、患者は1〜2か月に1度受診して診察を受けるが、非受診時の管理は患者自身に任されている。患者はその間、食事療法や適度な運動を行い、血糖をコントロールすることを求められるが、自覚症状がなく受診間隔も長いため、自己管理を維持していくことは容易ではない。
【0063】
そこで、非受診時に双方向通信機能によってサーバ30から積極的な働きかけを行うことは、患者の自己管理を支える上でも非常に大きな意味がある。双方向通信機能は、大きく分けて2つのフェーズで実現する。一つは患者が血糖値や血圧を測定・入力する際にサーバ30より送信携帯電話機20Xにローカルに返すフィードバック、もう一つは蓄積された患者データの動きを見て、医師が予め設定したルールに従って電子メールで返すフィードバックである。
【0064】
一方、生活習慣の改善のためにはシステムの長期間の利用が前提となるため、ゲーム要素の導入や、データ入力に何らかのインセンティブを与えるなど、継続しやすくさせるための仕組みの検討も必要であろう。
【0065】
(2)データ入力時のフィードバック
実施例1の本システムでは、患者はデータを入力するために毎回個人ページにアクセスする。アクセス時に入力されたデータに応じたフィードバックを返す。
体重を記録した場合の表示例を図11に示す。前回との差分や目標値までの乖離が表示され、これによって毎回の測定結果を自己管理に着実にフィードバックしていくことができる。
【0066】
(3)メール送信によるフィードバック
サーバ30が、蓄積された患者データに基づいてセルフケアの状況を監視・分析し、必要に応じて患者にアラートメールを送る機能である。本実施のシステムの中核を成す機能であり、受診と受診の間の期間にも、状況に応じたフィードバックを行うことができる。
メールによるフォローとしては、
(A)血糖のコントロール状況が許容範囲を逸脱した場合に、注意を喚起するメール
(B)入力が滞っている場合に入力を促すメール
(C)管理状況の良い患者に対する称賛のメール
(D)血糖値の変化に応じてインスリン量の増減をアドバイスするメール
などが考えられる。
【0067】
実施例1の本システムでは、(A)〜(C)についてメール送信を自動化する機能を実装した。(D)については、アルゴリズムは考案したが、入力されるデータは患者の自己記録であるので、そのデータだけから診断を下すことはリスクを伴うと考え、患者へのフィードバックは、事実を伝えるに留めることとした。
【0068】
(4)コントロール異常の判定アルゴリズム
上記(A)の「血糖のコントロール状況が許容範囲を逸脱した場合に、注意を喚起するメール」については、何を基準に許容範囲を逸脱したと判断するのか、どの程度逸脱したらアラートメールを送信するのかが問題となる。
【0069】
以下、高血糖が続く場合を例に、判定アルゴリズムとその適用結果について述べる。
(ア)高血糖の判定基準
高血糖の判定基準として以下の2方式を用いる。
[方式1]
食前/食後/全体の3区分に対して、危険領域に属するデータ数が該区分全体のデータ数に占める割合がX以上である。
[方式2]
朝食前/昼食前/夕食前の各区分に対して、危険領域に属するデータがL個以上連続するパターンが1回以上存在する。
【0070】
判定は、全体/食前/食後の3区分に対して行う。この際に留意すべき事として、
a)データのサンプル数が少な過ぎる、
b)データが完全ではない(各区分におけるデータが完備しておらず、「歯抜け」状態になっている)、
c)特異データ(単発的に血糖値が異常に高くなる)が存在する、
等の場合が挙げられる。実施例1の本システムでは、a)については、N日間の測定データ数がY個以上あることを判定の前提条件とし、b)およびc)については、方式2において判定アルゴリズムで考慮することとした。
【0071】
(イ)高血糖の判定アルゴリズム
メール送信判定プログラムは、図15に示すように、患者が個人ページにアクセスした際に一日に一回自動的に起動され、条件に合致する患者の携帯電話に高血糖への注意を促すメールを送信する。ただし、毎日のように注意喚起メールが送信されることを防ぐため、患者ごとに最新のメール送信日時を記録しておき(S10)、前回の送信からM日以上経過するまではメールを送信しない(S20、S42)。
【0072】
方式1に基づくアルゴリズム案を図12に示す。患者に注意喚起メールを送信するか否かは、前日からN日前までの間の血糖値に占める高血糖の割合をもとに判定する。
【0073】
全体(すべての区分のデータ)について、高血糖の割合がX以上の場合、高血糖注意喚起メールの送信を決定するが(S30)、ほとんど入力していないにもかかわらずメールが送信されることを防ぐため、データ数が少なすぎる(Y未満)場合には判断を保留する(S40)。
【0074】
全体において高血糖の条件を満たす場合、同様にして、食前(朝食前、昼食前、夕食前)(S60)、食後(朝食後、昼食後、夕食後)(S70)について条件判定を行う。その結果に従い、食前、食後共に高血糖の条件を満たす場合は「全体の高血糖に注意」(S84)、食前のみなら「食前の高血糖に注意」(S86)といった内容で患者に注意喚起メールを送信する(S80)。
【0075】
方式2(高血糖が連続)に基づくアルゴリズムは、朝食前/昼食前/夕食前の各区分において、L個の移動平均が危険域に入ることで判定できる。なお、測定値に欠損がある(「歯抜け」状態になっている)場合、例えばL個の平均を取るべき所に、L-1個しかデータがなければ、L-1個の平均を取ることとしている。また、特異データ(単発的な高血糖)は移動平均をとる過程で自然にはじかれる。
【0076】
ウ)高血糖判定アルゴリズムの適用結果
患者の実データにアルゴリズムを適用した結果について述べる。図16は、ある患者の1か月の血糖値データの推移を示す。図16は全体、図17は食前だけの推移である。背景画面は、血糖レンジ(危険、高め、普通、低め)で色分けされている。アルゴリズムのパラメータとなるN、M、X、Y、Lなどの値は、実験を行いながら経験的に最適化して行く必要がある。今回のアルゴリズム評価では、N=30、X=0.5、Y=130、
L=3とした。
【0077】
エ)方式1(高血糖の割合)のアルゴリズム評価
図16、図17に示した実患者データに適用した結果、X=0.5では高血糖には当たらず、アラートメールは送信しないという判定になった。全体および食前のデータで、9月19日の血糖値が高く、23日から26日にかけて血糖値の多くが危険域に入っている。しかし、この程度ではコンロトール状況が許容範囲を逸脱したとは見做されないことが分かる。
【0078】
オ)方式2(高血糖の連続)のアルゴリズム評価
図16、図17では視覚化のために点線の折れ線で7日間の移動平均のトレンドを表示している。7日の移動平均では、値が危険域に入ることはない。
【0079】
高血糖の連続を判定するために、夕食前のデータについて、連続するL個(L=3)のデータで移動平均を取ったトレンドを図18に示す。今度は9月19日以降に移動平均値が危険域に入る点が現れた。すなわち、高血糖が連続3回という条件では、コントロール状況が許容範囲を逸脱したと判定されることが分かる。
【0080】
このような場合は、方式2の方が、適切である判断される。したがって、医師は、患者個人の傾向を看て、方式1と、方式2のどちらをとるか選択することができる。
【0081】
このようにして、患者の個人情報を、適切に保護し、かつ利便性が高く経済的に有利な携帯電話を用いた双方向的な生活習慣病管理支援システムを提供することができる。なお、上記の説明では、血糖コントロールの長期的なセルフケア支援を目的としているため、高血糖のコントロールが主対象として説明した。しかし、低血糖の方が危険であり、自己血糖測定で低血糖が出れば、患者は即座に糖補給を行うなど必要な措置を講ずる必要がある。
このような場合は、上記で説明したデータ入力時のフィードバックとして、医師から至急来院して適切な相談したい旨を携帯電話機20Xに表示することもできる。したがって、低血糖のケースでも、上記で説明した本発明の生活習慣病管理支援システムを応用して対応することが可能である。
【実施例2】
【0082】
実施例2は実施例1を地域医療連携に展開した例である。実施例1のシステムはWebベースであるため、インターネット接続環境とFeliCaリーダさえあればどの医療機関でも患者の同意があれば簡単に利用することが可能である。また、データはサーバ30で集中管理されており、患者の携帯電話機さえあればどの医療機関でも同じようにデータを参照できる。このため、患者は病院と診療所の使い分けなどに対応でき、医師は病診連携(紹介状)における入力負担を軽減できるなど、地域医療連携へのスムーズな展開が期待できる。
【0083】
図19は、患者受診の視点から見た地域医療連携の一般的な展開形態を示したものである。(1)は広域地域の医療連携、(2)は地域内で機能分担した医療連携で、主に病・病連携、(3)は地域内の病診連携、(4)は地域内の慢性疾患連携で、在宅を含むものである。図19の(5)に示すように、(2)、(3)には、本発明の実施例1の生活習慣病管理支援システムを中核病院がアプリケーションサービスプロバイダ(ASP)となってサービスを提供する形態も含まれる。また、救急医療についてはこれらすべての形態を含む。
【0084】
このようにして、患者の携帯電話機さえあればどの医療機関でも同じようにデータを参照できる。患者の個人情報を、適切に保護し、かつ利便性が高く経済的に有利な携帯電話を用いた双方向的な生活習慣病管理支援システムを提供することができる。 また、患者は病院と診療所の使い分けなどに対応でき、医師は病診連携(紹介状)における入力負担を軽減できるなど、地域医療連携へのスムーズな展開が期待できる双方向的な生活習慣病管理支援システムを提供することができる。
【0085】
〈コンピュータハードウエア〉
図20は、生活習慣病管理支援システムで使用することができるコンピュータ1000のハードウェア構成の一例を示す。コンピュータ1000は、CPU(Central Processing Unit)1010、バスライン1005、通信I/F1040、メインメモリ1050、BIOS(Basic Input Output System)1060、パラレルポート1080、USBポート1090、グラフィック・コントローラ1020、I/Oコントローラ1070、並びにキーボード及びマウス・アダプタ等1092を備える。I/Oコントローラ1070には、ハード・ディスク1074、光ディスクドライブ1076、半導体メモリ1078、等の記憶手段を接続することができる。これらの記憶手段を記憶装置として使用することができる。グラフィック・コントローラ1020には、表示装置1022が接続されている。
【0086】
BIOS1060は、コンピュータ1000の起動時にCPU1010が実行するブートプログラムや、コンピュータ1000のハードウェアに依存するプログラム等を格納する。これにより、図1で示した、サーバ30のハードウェアが実現される。
【0087】
光ディスクドライブ1076としては、例えば、CD−ROMドライブ、DVD−ROMドライブ、DVD−RAMドライブ、BD(Blu−ray Disk)−ROMドライブ等を使用することができる。この際は各ドライブに対応した光ディスク1077を使用する必要がある。光ディスク1077から光ディスクドライブ1076によりプログラムまたはデータを読み取り、I/Oコントローラ1070を介してメインメモリ1050またはハード・ディスク1074に提供することもできる。
【0088】
コンピュータ1000に提供される本発明によるコンピュータプログラムは、光ディスク1077、またはメモリーカード等の記録媒体に格納されて利用者によって提供される。コンピュータプログラムは、I/Oコントローラ1070を介して、記録媒体から読み出され、又は通信I/F1040を介してダウンロードされることによって、コンピュータ1000にインストールされ実行される。
【0089】
〈携帯電話機ハードウェア〉
図21は、生活習慣病管理支援システムで使用することができる携帯電話機2000のハードウェア構成の一例を示す。図21に示すように基地局との間でデータの送受信を行うアンテナ2001及び通信回路2002と、受話音声、動画ファイルの音声、音楽データの音声等の音声出力を得るためのスピーカ部2003と、送話音声を集音するマイクロホン部2004と、受信した画像を表示する表示部2006と、データを入力する操作部2007と、生活習慣病管理アプリケーションプログラム等が記憶されたメモリ2008と、当該携帯電話機全体の動作制御をおこなう制御部2010とを有している。
【0090】
また、いわゆる非接触ICカード2009を有しており、非接触ICカード2009には、リーダライタとの間で通信を行うアンテナ2012と、該リーダライタとの間で通信制御や本人識別情報の情報処理制御等を行う制御部2013と、本人識別情報を記憶した不揮発記憶部を含むモバイルFeliCa部2014と、を有している。
【0091】
以上の例は、生活習慣病管理支援システムについて主に説明したが、コンピュータに、生活習慣病管理支援システムで説明した機能を有するプログラムをインストールして、そのコンピュータを生活習慣病管理支援システムもサーバ、又はコンピュータ端末として動作させることにより上記で説明した生活習慣病管理支援システムと同様な機能を実現することができる。したがって、本発明において一つの実施するための形態として説明した生活習慣病管理支援システムは、コンピュータプログラムによっても実現可能である。
【0092】
以上、本発明について、本発明の技術的範囲は上記実施形態に記載の範囲には限定されない。例えば、上記実施形態に、多様な変更又は改良を加えることができる。例えば、生活習慣病については、糖尿病の予防である血糖値について主に説明したが、その他の生活習慣病であるメタボリック症候群の予防にも使用することができる。そのような変更又は改良を加えた形態も本発明の技術的範囲に含まれ得ることが、特許請求の範囲の記載から明らかである。
【符号の説明】
【0093】
10 通信回線
20X、20Y 携帯電話機
30 サーバ
33 記憶手段
40A コンピュータ端末
42A FeliCaリーダライタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の携帯電話機と、少なくとも一つ以上のコンピュータ端末と、サーバと、が通信回線で接続された生活習慣病管理支援システムにおいて、
前記携帯電話機は、
本人識別情報を記憶した不揮発記憶部と、
生活習慣病管理データを入力する入力手段と、
前記生活習慣病管理支援情報を表示する携帯表示手段と、
を備え、
前記コンピュータ端末は、
前記不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証する認証入力手段と、
当該本人識別情報に関連づけて新規の患者情報と、病院のアクセスする権限を有する者の個人認証コードと、当該パスワードと、を記憶する登録記憶手段と、
端末表示手段と、
を備え、
前記サーバは、
前記認証入力手段により認証され登録された患者と、前記携帯電話機から送信された患者データと、を本人識別情報に関連づけて記憶する記憶手段と、
前記患者データを解析する解析手段と、
を備え、
前記認証入力手段により入力され特定された患者データを前記記憶手段より読み出し前記表示手段により表示し、
前記解析手段による解析データを該当する患者の携帯電話機に前記記憶手段より読み出して送信する生活習慣病管理支援システム。
【請求項2】
前記サーバには、
電子証明書とサーバの公開鍵を記憶する記憶部をさらに備え、
前記携帯電話機と前記サーバとの接続を、送信された当該携帯電話機の本人識別情報と、前記記憶手段に記憶されている本人識別情報とを照合することにより認証し、
認証した場合は、前記記憶部に記憶されている電子証明書と公開鍵を読み出して、当該携帯電話機に電子証明書と公開鍵とを、電子証明書と公開鍵により暗号化して送信し、
受信した携帯電話機は、前記本人識別情報により復号化し、
その後は、受信した電子証明書と公開鍵により暗号化して相互に送受信する請求項1に記載の生活習慣病管理支援システム。
【請求項3】
前記コンピュータ端末は、入力手段をさらに備え、
前記入力手段により入力された個人認証コードと、当該パスワードと前記登録記憶手段にあらかじめ記憶されている個人認証コードと、当該パスワードとが同一である場合に、前記認証入力手段により前記不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証し、
当該患者データを前記記憶手段より読み出す請求項1に記載の生活習慣病管理支援システム。
【請求項4】
前記解析手段は、患者データを解析して生活習慣病として許容範囲を超えるか否かを解析する許容範囲解析手段をさらに備え、
前記記憶手段には、患者ごとに送信する条件を設定して記憶する患者個別条件テーブルを有し、
前記許容範囲解析手段により許容範囲を逸脱した場合に、前記患者別条件テーブルを記憶手段より読み出して照合し、条件に適合した場合に、当該患者の携帯電話機に逸脱情報を送信する請求項1又は2に記載の生活習慣病管理支援システム。
【請求項5】
複数の携帯電話機と、少なくとも一つ以上のコンピュータ端末と、サーバと、が通信回線で接続された生活習慣病管理支援システムに使用されるコンピュータプログラムであって、
前記コンピュータに、
前記携帯電話機の不揮発記憶部より本人識別情報を呼び出して当該患者を認証し、当該本人識別情報に関連づけて新規の患者情報と、病院のアクセスする権限を有する者の個人認証コードと、当該パスワードと、を登録するステップと、
前記携帯電話機より送信された患者データを当該患者の本人識別情報と、受信した日時と、に関連づけて記憶する記憶ステップと、
前記患者データを解析する解析ステップと、
前記解析ステップによる解析結果情報を該当する患者の携帯電話機に送信するステップと、
を実行させるコンピュータプログラム。
【請求項6】
前記携帯電話機と前記サーバとの接続を、送信された当該携帯電話機の本人識別情報と、登録されている本人識別情報とを照合することにより認証するステップと、
認証した場合は、あらかじめ記憶部に記憶されている電子証明書と公開鍵を読み出して、当該携帯電話機に電子証明書と公開鍵とを、電子証明書と公開鍵により暗号化して送信するステップと、
をさらに含む請求項5に記載のコンピュータプログラム。
【請求項7】
前記解析ステップは、患者データを解析して生活習慣病として許容範囲を超えるか否かを解析するステップと
予め記憶されている患者別条件テーブルを記憶手段より読み出して照合するステップと、をさらに含む請求項5又は6に記載のコンピュータプログラム。



【図2】
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【図11】
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【図14】
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【図1】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図12】
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【図13】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−272031(P2010−272031A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−124777(P2009−124777)
【出願日】平成21年5月22日(2009.5.22)
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第1項適用申請有り 平成21年1月22日開催の社団法人電子情報通信学会技術研究報告にて配布の刊行物「信学技法IN2008−115」(2009年1月15日発行)に掲載、同大会において文書をもって平成21年1月23日発表した。
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Linux
【出願人】(504171134)国立大学法人 筑波大学 (510)
【Fターム(参考)】