説明

携帯電話システム

【課題】携帯電話端末の搭載機能は全て利用できる状態でありながら、たとえば子供が携帯電話端末を利用する必要のない時間帯に必要のない機能のみ利用制限することが可能な携帯電話システムを提供することである。
【解決手段】
本発明は、契約者がたとえば子供に持たせる携帯電話端末の各種機能に対する利用制限情報を予め登録しておき、その登録情報に基づき携帯電話端末の利用機能の制限を可能とする携帯電話システムを提供する。すなわち本発明は、携帯電話システムに接続された複数の携帯電話端末のうちの所定携帯電話端末について、時間に基づいて該携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを設定する設定手段を備えたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話システムに関し、特に子供向けの携帯電話サービスを提供する携帯電話システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、防犯対策や緊急時の連絡手段を目的として、子供に携帯電話端末を持たせる親が増えている。
【0003】
しかしながら子供は、親が考える携帯電話端末の利用目的とは異なり、友達とのコミュニケーション手段を主目的として使用している。
【0004】
このため、子供に携帯電話端末を持たせた場合、授業中に携帯電話端末を利用する、話をしなければならないような状況であってもメールで済ませる、時間があれば不必要に携帯電話端末を利用するなどの使い方をするために、人と直接コミュニケーションを図る機会が大幅に減少し、子供の成長に欠かせない会話力や人とのコミュニケーション力が低下する問題があった。
【0005】
従来の携帯電話端末で端末機能の制限を行う方法は基本的にはなく、契約時にインターネット接続契約を結ばなければ、インターネットやメール機能の利用を一切できなくすることは可能であった。
【0006】
しかしながら、これでは携帯電話端末の電話機能のみしか利用できず、利便性に欠けてしまう。
【0007】
特許文献1に記載の発明では、ある電話機から他の電話機の機能制限を行う構成を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2006−186625号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
ところが、特許文献1では制限するか否かを設定するのみであるため、上述のインターネットやメール機能の利用を一切できなくすることと同様である。利便性に欠けるという問題があった。
【0010】
本発明は上記の点にかんがみてなされたもので、携帯電話端末の搭載機能は全て利用できる状態でありながら、たとえば子供が携帯電話端末を利用する必要のない時間帯に必要のない機能のみ利用制限することが可能な携帯電話システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、上記課題を解決するにあたり、契約者がたとえば子供に持たせる携帯電話端末の各種機能に対する利用制限情報を予め登録しておき、その登録情報に基づき携帯電話端末の利用機能の制限を可能とする携帯電話システムを提供する。
【0012】
すなわち本発明は、携帯電話システムに接続された複数の携帯電話端末のうちの所定携帯電話端末について、時間に基づいて該携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを設定する設定手段を備えたことを特徴とする。
【0013】
また本発明は、前記携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを別の携帯電話端末から設定可能であることを特徴とする。
【0014】
また本発明は、前記携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを月に応じて設定することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、前記携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを日に応じて設定することを特徴とする。
【0016】
また本発明は、前記携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを曜日に応じて設定することを特徴とする。
【0017】
また本発明は、前記携帯電話端末の機能のうち利用可能とするか利用不可能とするかを設定する機能が、インターネット接続機能であることを特徴とする。
【0018】
また本発明は、前記携帯電話端末の機能のうち利用可能とするか利用不可能とするかを設定する機能が、メール接続機能であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、以下のような効果を奏する。
【0020】
第1の効果は、携帯電話端末の所有者である未成年者ではなく、保護者などの契約者が携帯電話端末の利用を管理するので、未成年者の携帯電話の使いすぎなどを抑止することが可能となることである。
【0021】
第2の効果は、利用制限の情報を容易に変更することが可能であるため、子供の生活習慣や年齢に応じて柔軟に利用制限の設定(利用可能機能、利用可能時間帯の設定)ができることである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明による携帯電話システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【図2】本発明による携帯電話システムの図1とは別の実施形態の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
【0024】
本発明は、契約者が子供に持たせる携帯電話端末の各種機能に対する利用制限情報を予め登録しておき、その登録情報に基づき携帯電話端末の利用機能の制限を可能とする。
【0025】
図1は、本発明による携帯電話システムの一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0026】
通信事業者ネットワーク1は、携帯事業者が運営する通信ネットワークである。
【0027】
メモリ2は、通信事業者ネットワーク内にある顧客の個別情報を保存管理するものであり、契約時の情報や携帯電話機端末固有の情報を保存する。
【0028】
アンテナ3は、電波を受信または送信する。
【0029】
送受信信号処理部4は、前記アンテナ3にて受信した電波を電気信号に変換し、信号処理を行うことと携帯電話端末側から送信したい情報に対する信号処理を行う。
【0030】
メモリ5は、携帯電話端末内の各機能を利用許可するか否かの情報を蓄積する。
【0031】
タイマ6は、携帯電話端末内の時間を管理する。
【0032】
制御部7は、携帯電話端末利用者が携帯電話端末機能を使用するときに、使用する機能が利用可能かどうかをメモリ5の情報とタイマ6を元に判断する。
【0033】
操作部8は、携帯電話端末の各機能を起動するためのキー操作ボタンである。
【0034】
表示部9は、携帯電話端末の各機能の操作内容、メール内容、インターネットの接続した情報などを表示する。
【0035】
子供に持たせる携帯電話端末は、上記アンテナ3、送受信信号処理部4、メモリ5、タイマ6、制御部7、操作部8、および表示部9を有して構成される。
【0036】
次に本実施形態の動作について図1を参照しながら説明する。
【0037】
まず契約者が、携帯電話事業者窓口で携帯電話端末の契約を行う際に子供に持たせる携帯電話端末の各機能に対する利用制限の設定申請を行う。
【0038】
例えば、子供が学校に行っている平日の時間は、メールやインターネットを利用する必要がないため、8時30分から15時00分までの時間帯は、メールおよびインターネットを利用しない設定にしたとする。
【0039】
携帯電話事業者ネットワーク1は、携帯電話事業者が運営するネットワーク内にユーザ情報として、利用制限の設定をメモリ2に保存しておく。利用可能あるいは利用不可能とする機能は選択可能であり、またその選択された機能を利用可能あるいは利用不可能とする時刻は選択可能である。またその選択された機能を利用可能とするか利用不可能とするかは、月、日、曜日、時刻等に応じて定めることができる。
【0040】
購入後、初めて携帯電話端末の電源が投入され、携帯電話事業者ネットワーク1と通信を行うための情報のやり取りを行う際にメモリ2に保存している利用制限の設定を携帯電話端末側に送信する。
【0041】
携帯電話事業者ネットワーク1より送信された信号を携帯電話端末のアンテナ3で受信する。
【0042】
受信した信号を送受信信号処理部4にて信号処理を行い、信号処理後の情報を制御部7に出力する。
【0043】
制御部7は、前記情報が利用制限の設定情報かどうかを判断し、設定情報である場合にはその情報をメモリ5に保存する。
【0044】
この状態で携帯電話端末に利用制限設定が完了したこととなる。
【0045】
このような利用制限設定がされているときの携帯電話端末の動作について以下に説明する。
【0046】
まず他の携帯電話端末利用者からのメールが、前記利用制限が掛かっている時間帯にあった場合について説明する。
【0047】
他の携帯電話端末利用者が、本利用制限が掛かっている携帯電話端末所有者宛にメールを送信する。
【0048】
送信されたメール情報は、携帯電話事業者ネットワーク1を経由して利用制限の掛かっている携帯電話端末のアンテナ3にて受信する。
【0049】
受信した信号を送受信信号処理部4にて信号処理を行い、信号処理後の情報を制御部7に出力する。
【0050】
制御部7では、送受信信号処理部4から送られてきた信号が電話情報かメール情報かインターネット情報かを判断する。
【0051】
メール情報であると判断したらメール情報をメモリに格納し、メール受信があったことを表示部9に表示するとともに着信音あるいはバイブレーション機能にて所有者に通知する。
【0052】
メール着信を受けた所有者は、メール内容を表示部9で確認するために操作部8のメール機能呼び出しキーを押す。
【0053】
操作部8は、メール機能が呼び出されたことを制御部7に通知する。通知を受けた制御部7は、メモリ5に保存されている利用制限情報の中からメール機能に利用制限がかかっているかどうかを確認する情報を読み出し、利用制限がかかっていると判断した場合には、メモリ5より利用制限時間帯の情報を読みだす。
【0054】
読み出した利用制限時間帯とタイマ6より読み出した現在時刻とを比較し、利用制限時間帯である場合には表示部9に利用制限がかかっている旨を表示する。
【0055】
以上説明したように、本発明においては、以下に記載するような効果を奏する。
【0056】
第1の効果は携帯電話端末の所有者である未成年者ではなく、契約者が携帯電話端末の利用を管理するので、未成年者の携帯電話の使いすぎを抑止することである。
【0057】
第2の効果は利用制限の情報を容易に変更することが可能であるため、子供の生活習慣や年齢に応じて柔軟に利用制限の設定ができることである。
【0058】
本発明の他の実施形態として、その基本的構成は上記の通りであるが、利用制限の設定方法についてさらに工夫している。
【0059】
その構成を図2に示す。図2は、本発明による携帯電話システムの図1とは別の実施形態の構成を示すブロック図である。
【0060】
本実施形態の構成について図2を用いて説明する。
【0061】
携帯電話端末100は、親が利用している携帯電話端末であり、子供に持たせる携帯電話端末の利用制限設定確認および利用制限設定を行う端末である。
【0062】
通信事業者ネットワーク101は、携帯事業者が運営する通信ネットワークである。
【0063】
メモリ102は、通信事業者ネットワーク内にある顧客の情報を保存管理するものであり、契約時の情報や携帯電話機端末固有の情報を保存する。
【0064】
アンテナ103は、電波を受信または送信する。
【0065】
送受信信号処理部104は、前記アンテナ103にて受信した電波を電気信号に変換し、信号処理を行うことと携帯電話端末側から送信したい情報に対する信号処理を行う。
【0066】
メモリ105は、携帯電話端末内の各機能を利用許可するか否かの情報を蓄積する。
【0067】
タイマ106は、携帯電話端末内の時間を管理する。
【0068】
制御部107は、携帯電話端末利用者が携帯電話端末機能を使用するときに、使用する機能が利用可能かどうかメモリ105の情報とタイマ106を元に判断する。
【0069】
操作部108は、携帯電話端末の各機能を起動するためのキー操作ボタンである。
【0070】
表示部109は、携帯電話端末の各機能の操作内容、メール内容、インターネットの接続した情報などを表示する。
【0071】
子供に持たせる携帯電話端末は、上記アンテナ103、送受信信号処理部104、メモリ105、タイマ106、制御部107、操作部108、および表示部109を有して構成される。
【0072】
次に本実施形態の動作について図2を参照しながら説明する。
【0073】
図1に示した実施形態との違いは、契約者が、携帯電話事業者窓口で携帯電話端末の契約を行う際に子供に持たせる携帯電話端末の各機能に対する利用制限の設定申請時に契約者が所有する携帯電話端末から子供に持たせる携帯電話端末の利用制限が変更できる権限の申請も併せて行うことによっていつでも自由に子供の携帯電話端末の利用制限内容が変更可能となる点である。
【0074】
契約者の所有する携帯電話端末より子供の携帯電話端末の設定情報を更新するとその情報が通信事業者ネットワーク101内の顧客情報を管理するメモリ102情報を更新する。
【0075】
顧客情報が変更されたことを検知した通信事業者ネットワーク101は、変更がかかった子供が使用している携帯電話端末に対して、変更情報を送信する。
【0076】
携帯電話事業者ネットワーク101より送信された信号を携帯電話端末のアンテナ103で受信する。
【0077】
受信した信号を送受信信号処理部104にて信号処理を行い、信号処理後の情報を制御部107に出力する。
【0078】
制御部107は、前記情報が利用制限の設定情報かどうかを判断し、設定情報である場合にはその情報をメモリ105に保存する。
【0079】
この状態で携帯電話端末に変更された利用制限設定が完了したこととなる。
【0080】
以降の動作については、図1に示した実施形態と同様である。
【産業上の利用可能性】
【0081】
本発明は、携帯電話やPHS等の通信システムに適用可能である。
【符号の説明】
【0082】
1 通信事業者ネットワーク
2 メモリ
3 アンテナ
4 送受信信号処理部
5 メモリ
6 タイマ
7 制御部
8 操作部
9 表示部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
携帯電話システムに接続された複数の携帯電話端末のうちの所定携帯電話端末について、時間に基づいて該携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを設定する設定手段を備えたことを特徴とする携帯電話システム。
【請求項2】
前記携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを別の携帯電話端末から設定可能であることを特徴とする請求項1に記載の携帯電話システム。
【請求項3】
前記携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを月に応じて設定することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話システム。
【請求項4】
前記携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを日に応じて設定することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話システム。
【請求項5】
前記携帯電話端末の機能のうちの所定機能を利用可能とするか利用不可能とするかを曜日に応じて設定することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話システム。
【請求項6】
前記携帯電話端末の機能のうち利用可能とするか利用不可能とするかを設定する機能が、インターネット接続機能であることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話システム。
【請求項7】
前記携帯電話端末の機能のうち利用可能とするか利用不可能とするかを設定する機能が、メール接続機能であることを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話システム。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2010−226601(P2010−226601A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−73613(P2009−73613)
【出願日】平成21年3月25日(2009.3.25)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】