説明

携帯電話機

【課題】音楽再生用のメモリ容量の小さな機種でも一曲の音楽データのダウンロード及び再生を可能にするとともに、基地局やインターネットから音楽データとともに配信された関連データを表示部に表示可能とする。
【解決手段】基地局2又はインターネットから配信された配信データを記憶するダウンロード用記憶部(RAM(1))と、一対の音楽再生用記憶部(RAM(2),RAM(3))と、前記一対の音楽再生用記憶部を交互に音楽再生用のバッファに用い、配信された音楽データ一曲を構成する複数の分割音楽データを連続再生する制御手段(CPU10)、文字もしくは映像又は文字及び映像を表示する表示部21とを備え、前記複数の分割音楽データを再生しながら前記複数の分割音楽データとともに配信された文字列データもしくは映像データ又は文字列データ及び映像データからなる関連データを前記表示部21に表示させるように構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は携帯電話機に関し、特に、基地局又はインターネットから音楽データをダウンロードして再生する携帯電話機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最新の携帯電話機は、ダウンロード用のRAM容量が大きく、また、音楽再生用として使用できるRAM容量も大容量化されているので、サーバから携帯電話機にダウンロードした数曲の音楽データを再生できるという特長がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、従来の携帯電話機は、ダウンロード用のRAM容量が小さく、また、音楽再生用として使用できるRAM容量が小さいので、最新の携帯電話機のように大容量のダウンロードやダウンロードした音楽データの再生ができず、ユーザのニーズを満足させることができないという不具合がある。また、RAM容量が大きな最新の携帯電話でも自然で高品質な音楽データを再生する場合はデータのサンプリング数が大きくなりデータとして大容量になるのでこのような場合にも音楽再生用のRAMに容量不足が発生することが想定される。
そこで、音楽再生用のメモリ容量の小さな機種でも一曲の音楽データのダウンロード及び再生を可能にするとともに、基地局やインターネットから音楽データとともに配信された関連データを表示部に表示可能として携帯電話機に対して多様なサービスを提供できるようにするために解決すべき課題が生じるのであり、本発明はこの課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の発明は、基地局又はインターネットから配信された配信データを記憶するダウンロード用記憶部と、一対の音楽再生用記憶部と、前記一対の音楽再生用記憶部を交互に音楽再生用のバッファに用い、前記基地局又はインターネットから配信された音楽データ一曲を構成する複数の分割音楽データを連続再生する制御手段と、文字もしくは映像又は文字及び映像を表示する表示部とを備え、前記制御手段が、前記複数の分割音楽データを再生しながら前記複数の分割音楽データとともに前記基地局又はインターネットから配信された文字列データもしくは映像データ又は文字列データ及び映像データからなる関連データを前記表示部に表示させるように構成されたことを特徴とする携帯電話機を提供するものである。
このように、一曲の音楽データを構成する複数の分割音楽データは、一対の音楽再生用記憶部の容量に基づいて基地局又はインターネットで予め複数に分割されており、制御手段は一対の音楽再生用記憶部を交互に音楽再生用のバッファに用いて一曲を構成する複数の分割音楽データを連続再生する。従って、一対の音楽再生用記憶部の容量が小さい携帯電話機でも一曲の音楽データをノイズなくシームレスに再生することができる。
また、制御手段は、複数の分割音楽データの再生中に、基地局又はインターネットから配信された文字列データもしくは映像データ又はこれらを組み合わせたデータからなる関連データを表示部に表示させる。携帯電話の所有者は、関連データが、音楽データに客観的に関連している場合は、音楽データに対する情報として得、無関係な場合は、別の情報として情報を得る。
【0005】
なお、「分割音楽データ」とは、携帯電話機の機種毎に、携帯電話機の一対の音楽再生用記憶部の容量に基づいて基地局又はインターネット側(以下、配信側ともいう)で複数に分割した分割データをいい、また、「関連データ」とは、配信側で複数の分割音楽データに対して関連付けを行って複数の分割音楽データを再生しながら表示部に表示させるようにした基地局又はインターネットから配信された
データであって、文字列データもしくは映像データ又はこれらを組み合わせたデータからなり、複数の分割音楽データからなる一曲の音楽データに対して有機的且つ客観的に関連性のあるデータ、主観的に関連性のあるデータ、又は全く無関係なデータの形態に区別される。
有機的且つ客観的に関連性のあるデータとしては、例えば、伴奏データと歌詞データの関係や音楽データとこれに密接に関係するアーチスト(作詞家、作曲家、歌手等)の映像データやアーチストの感性や個性に関するデータが挙げられる。
また、関連性のないデータとしては、例えば、音楽データとこの音楽データに対して全く関連性のない映像データが挙げられる。また、「連続再生」とは、分割音楽データ同士を途切れなく且つノイズが発生することのないようにシームレスに再生することをいう。
【0006】
第2の発明は、第1の発明において、前記文字列データが前記複数の分割音楽データにそれぞれ対応する歌詞データからなるものである。なお、前記歌詞データは各分割音楽データに対応するように一曲に対応するように予め複数に分割された歌詞データをいう。
このようにすると、複数の分割音楽データが再生順に順次再生されながら再生分割音楽データ毎に対応する歌詞が表示部に表示されるので、携帯電話機の所有者は、歌詞を見ながら音楽を楽しんだり歌詞を覚えながら音楽を聴いたりすることができる。また、場所を選ばずに手軽にカラオケの練習をすることができる。なお、分割音楽データの音声トラックの再生を禁止するモードを制御手段に設定することにより、カラオケの練習をしやすくしてもよい。さらに、歌詞データの背景画面として歌手の映像(無声の静止画、又は動画)を表示させようにした場合にはサービスの付加価値が向上する。
【0007】
第3の発明は、第1の発明において、前記関連データを広告データとしたものである。このようにすると表示部に表示された文字列データもしくは映像データ又はこれらを組み合わせたデータが表示部に文字もしくは映像又は文字及び映像で広告が表示されるので携帯電話機の所有者の購入意欲が刺激され、需要が喚起される。また、配信側より見ると音楽がCMソング代わりになるので費用対効果が向上する利点もある。
【0008】
第4の発明は、第1〜第3のいずれかに記載の発明において、前記映像データが音声のない静止画データ又は動画データで構成されたものである。音声を含まない静止画データ又は動画データが表示画面に表示されるので、携帯電話機の所有者は、表示部に表示される静止画又は動画を見ながら音楽を楽しむことができる。この場合、静止画又は動画が、プロモーションビデオのように音楽データに対して客観的に関連している場合は、映像と一緒に音楽を楽しむことになるので付加価値が高い。なお、表示部に静止画を表示する場合は、音楽データの再生開始から終了までの間に、同じ静止画を表示させてもよいし、異なる静止画を表示させてもよい。この場合、分割音楽データ毎に異なる静止画を表示させるようにしてもよい。
【0009】
第5の発明は、第1〜第4のいずれかに記載の発明において、前記基地局又は前記インターネットより配信された映像データが予め複数に分割された複数の分割映像データのときは、前記制御手段が、前記一対の音楽再生用記憶部のバッファをそれぞれ複数の分割音楽データを再生するための分割音楽データ再生用バッファ領域と前記分割映像データを再生するための分割映像データ再生用バッファ領域とに分割して前記複数の分割音楽データを前記一対の分割音楽データ再生用バッファ領域で交互に連続再生しながら前記複数の分割映像データを前記一対の分割映像データ再生用バッファ領域で交互に連続再生するように構成されたものである。
ここで、分割音楽データ及び分割映像データは、配信側で一対の分割音楽データ再生用バッファ領域、映像データ再生用バッファ領域の容量に対応するサイズで分割された後、基地局又はインターネットから配信されるものとする。
このようにすると、複数の分割音楽データの連続再生と同様に、複数の連続したフレームからなる分割映像データが連続的に再生される。
【0010】
第6の発明は、第1〜第5のいずれかに記載の発明において、先に再生する前記分割音楽データの後端部のコピーデータが、次に再生する前記分割音楽データの先端に貼り付けられ、前記制御手段が、先に再生する前記分割音楽データの後端部と次に再生される前記分割音楽データのコピーデータとを相互に重ね合わせて再生するように構成されたものである。このようにすると、先に再生される分割音楽データと次に再生する分割音楽データとが継目がなくなるので継目でのノイズの発生がない。
【0011】
第7の発明は、第1〜第6のいずれかに記載の発明において、先に再生する前記分割音楽データの後端に、次に再生する前記分割音楽データの先端部のコピーデータが貼り付けられ、前記制御手段が、先に再生する分割音楽データのコピーデータと次に再生される前記分割音楽データの先端部とを相互に重ね合わせて再生するように構成されたものである。このようにしても先に再生される分割音楽データと次に再生する分割音楽データとが継目がなくなるので継目によるノイズの発生がない。
【0012】
第8の発明は、第1〜第7のいずれかに記載の発明において、前記制御手段が、再生の応答遅れに対応して先に再生する前記分割音楽データと次に再生する前記分割音楽データとの再生タイミングを修正し、前後の分割音楽データ同士をシームレスに接続するように構成されたものである。このようにすると、先に再生される分割音楽データと次に再生される分割音楽データとの相互間の応答遅れが修正されるので、ノイズのない連続再生が可能となる。
【0013】
第9の発明は、第1〜第8のいずれかに記載の携帯電話機が、データ保存用記憶部と、着脱自在な外部記憶手段とを備え、前記制御手段が、前記データ保存用記憶部又は前記外部記憶手段の少なくともいずれか一方に前記複数の分割音楽データからなる前記音楽データ一曲又は一曲の一部を偽装画像データとして保存するように構成された構成されたものである。このようにすると、一曲の音楽データ又は一曲の一部がデータ保存用記憶部又はメモリカードの少なくともいずれか一方に保存されるので、データ保存用記憶部又はメモリカードの少なくともいずれか一方から呼び出して再生することができる。
【発明の効果】
【0014】
以上、説明したことから明らかなように、本発明によれば、音楽再生に対してメモリ容量の小さな機種でも一曲の音楽データのダウンロードと連続再生とが可能となる。また、音楽データともに基地局又はインターネットから配信された文字列データもしくは映像データ又は文字列データ及び映像データからなる関連データのサービスを受けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る音楽配信システムの概略図である。
図示されるように、音楽配信システム1は、基地局2とサービス提供会社内の楽曲サーバ(以下、サーバという)3とで構成され、携帯電話機(携帯端末)4に音楽データを一曲ずつ配信する。
サーバ3は、多数の音楽データをジャンル別に格納したデータベース6を有し、インターネットを介して音楽データをダウンロードするためのWebサイトを公開している。前記データベース6の一曲一曲を構成する各音楽データは、サーバ3に接続されたコンピュータ5が作成する。
【0016】
前記サーバ3は、基地局2又はインターネット等の公衆のネットワーク(無線を含む)を介してユーザの携帯電話機4の接続を許可し、接続時に、音楽データのジャンル別の配信リストを送信する。そして、ユーザの携帯電話機4からジャンルの選択信号を受信すると複数の音楽データのタイトルを並べたタイトル画面を携帯電話機4に送信する。このタイトル画面でユーザがダウンロードする音楽データのタイトルを選択し、ユーザより選択したタイトル情報がサーバ3に送信されると、サーバ3はユーザの携帯電話機4に音楽データ一曲を複数に分割した分割音楽データを送信するとともに、これらの分割音楽データに関連付けた関連データを携帯電話機4に配信する。
前記関連データのサービスはユーザとの契約によって実施され、文字列データもしくは映像データ又は文字及び映像データの形態で契約したユーザの携帯電話機4に配信される。
【0017】
各分割音楽データは、市販されている携帯電話機4の一対の音楽再生用RAM(音楽再生用記憶部)(2),(3)の最少のバッファ容量に基づいて決定されている。
このようにすると、携帯電話機4の一対の音楽再生用RAM(音楽再生用記憶部)(2),(3)のそれぞれ容量が小さい機種でもサーバ3から一曲の音楽データをダウンロードし連続再生をすることが可能になる。
なお、以下の説明において、複数の分割音楽データからなる音楽データ一曲を、便宜上、音楽データ、音楽、又は曲ともいう。また、複数の分割音楽データからなる一曲の音楽データ一曲を連続再生する場合において、再生する分割音楽データの再生順番を示す番号を曲番号と呼ぶことにする。また、音楽データとは、伴奏データ又は音声や演奏を含めた音楽データをいい、映像データとは、音声や伴奏データデータを含んでいない無音の静止画データ又は動画データをいう。
【0018】
図2は、前記複数の分割音楽データからなる一曲の音楽データをシームレスに再生するため前記コンピュータ5が編集した分割音楽データの構造を示す解説図である。
図2(a)に示す例は、複数の分割音楽データからなる一曲の音楽データを再生する場合において、先に再生する分割音楽データの後端部(後尾部)のコピーデータを、次に再生する分割音楽データの先端に貼り付けた例を示しており、図2(b)に示す例は、次に再生する分割音楽データの先端部(先頭部)のコピーデータを、先に再生する分割音楽データの後端に貼り付けた例を示している。図中、(1)〜(4)の符号はそれぞれ再生の順番を示し、この例では分割音楽データ(1)から番号順に再生される。
図2(a)に示すように、先に再生する分割音楽データの後端部(後尾部)のコピーデータを、次に再生する分割音楽データの先端に貼り付け、連続再生の際に、先に再生する分割音楽データの後端部と次に再生する分割音楽データの先頭のコピーデータとを相互に重ねて同時に再生すると連続再生の際の継目がなくなるのでノイズのないシームレスな連続再生が可能となる。また、図2(b)に示すように、次に再生する分割音楽データの先端部のコピーデータを先に再生する分割音楽データの後端に貼り付け、先に再生する分割音楽データのコピーデータと、次に再生する分割音楽データの先端部とを相互に重ねて再生する場合でも連続再生の際の継目がなくなるのでノイズのないシームレスな再生が可能となる。
なお、分割音楽データの先端部又は後端部に貼り付けるコピーデータのデータ長は、100ms〜500ms、より好ましくは250msとする。この場合において、最小値100msは、携帯電話機4でプログラムにより取得できるタイマー誤差の範囲が100ms以下であることにより、それ以上の時間を設ける必要がある。最大値500msは、ファイル製作時に作業しやすく且つ長すぎない値として導き出された数値である。
前記分割音楽データの編集後、これらの分割音楽データは、一曲の音楽データを構成する分割音楽データとして前記リストに関連付けられ、この状態で前記データベース6に格納される。なお、各分割音楽データは、携帯電話機4の着信メロディフォーマット形式(例えば、拡張子mld)でデータベース6に格納されており、同じフォーマット形式でユーザの携帯電話機4へと配信される。
【0019】
図3は前記携帯電話機4の機能を示すブロック図であり、10はCPU、26は入力部、21は表示部、22はスピーカである。
図3において、CPU(制御手段)10は前記サーバ3に一曲の音楽データを構成する複数の分割音楽データの配信を要求する配信要求手段であり、また、携帯電話機4の各部を制御する制御手段である。11は通信部であり、外部との無線通信、有線通信を行う。12,13はそれぞれサウンド再生エンジン(再生手段)であり、分割音楽データを音楽信号に変換してこれをスピーカ22に出力する。ROM(リードオンリメモリ)15は、CPU10が実行するプログラムや初期値等を格納している。23は、外部記憶手段として携帯電話機4に着脱自在に装着されるメモリカードである。
【0020】
RAM(1)は、基地局2又はインターネットからの配信データのダウンロードとデータ再生の際のバッファとに使用されるダウンロード用記憶部であり、RAM(2),(3)と比較すると容量が格段に大きい。このダウンロード用記憶部としてのRAM(1)には、基地局2又はインターネットから配信された一曲の音楽データを構成する複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…と、これら複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…に関連付けられた関連データとが格納される。これらのデータは、削除したり書き換えたりすることにより更新される。
音楽再生用記憶部としてのRAM(2)、RAM(3)は、主として、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…からなる一曲の音楽データを再生するための音楽再生用のバッファとして用いられる。
RAM(2)、RAM(3)のバッファ容量は互いに等しく、各分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…のサイズは、RAM(2)、RAM(3)の容量よりも小さい。なお、各分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…は、図2(a),(b)で説明したように前記コンピュータ5によって編集された編集後のデータである。
【0021】
RAM(4)は種々のデータを保存するデータ保存用記憶部である。このRAM(4)及び外部記憶手段としてのメモリカード23は、その保存領域が複数に分割されていて、映像データを保存する映像データ保存領域に複数枚の画像、静止画、動画等の映像データ[1],[2],[3],…を保存し、他の複数のデータ保存領域に、映像データとは異なる保存形式のデータ、例えば、ゲーム等のアプリケーションやアプリケーションのデータを保存するようになっている。そして、後述する偽装画像データ保存プログラムが、前記複数の分割音楽データからなる音楽データの偽装ファイルを作成して前記映像データ保存領域に保存し、また、後述する偽装画像データ再生プログラムが前記偽装ファイルから音楽データを取り出して再生するようになっている。
【0022】
ROM15は、携帯電話機4のハードウェア資源を電話機又は基地局2やインターネットに対する接続端末として使用するプログラムの他、後述する偽装画像データ保存プログラム、偽装画像データ再生プログラム、サウンド再生プログラム、タイミング最適化プログラム、文字列データ表示プログラム、映像データ表示プログラムを格納している。
【0023】
サウンド再生エンジン12は、サウンド再生プログラムに基づいてRAM(2)に格納した分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を音楽信号に変換してスピーカ22に出力し、サウンド再生エンジン13は、サウンド再生プログラムに基づいてRAM(3)に格納した分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を音楽信号に変換してスピーカ22に出力する。
【0024】
サウンド再生プログラムは、一対のサウンド再生エンジン12,13が、一対の音楽再生用のRAM(2),RAM(3)を交互に音楽再生用バッファとして用いて複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…からなる一曲の音楽データをシームレスに再生させるプログラムであり、タイミング最適化プログラムは、サウンド再生プログラムによる各分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生タイミングを最適化し、ノイズのないシームレスな連続再生を実現するように構成されたプログラムである。
【0025】
サウンド再生プログラム及びタイミング最適化プログラムの動作を説明すると、サウンド再生プログラムは、まず、一方のサウンド再生エンジン(サウンドジェネレータ)12を作動して一方の音楽再生用のRAM(2)に、一番目の分割音楽データ(1)を格納し、他方のサウンド再生エンジン(サウンドジェネレータ)13を作動して他方の音楽再生用のRAM(3)のバッファに、二番目の分割音楽データ(2)を格納する。この後、一方のサウンド再生エンジン12が、先に、一方の音楽再生用のRAM(2)の一番目の分割音楽データ(1)を再生し、次に、他方のサウンド再生エンジン13が他方のRAM(3)のバッファに格納した2番目の分割音楽データ(2)の再生を開始する。
他方のサウンド再生エンジン13の再生開始位置は、タイミング最適化プログラムによって補正され、図2(a)に示すように、二番目の分割音楽データ(2)の再生開始位置が、二番目の分割音楽データ(2)の先端Xの位置より応答遅れ(遅延時間)tを加算した位置に補正される。この応答遅れ(遅延時間)は、一方のサウンド再生エンジン12が再生を指示してから初めてスピーカ22が鳴るまでの遅延時間である。これは、言い換えると、二番目の分割音楽データ(2)の再生開始位置は、一番目に再生する分割音楽データ(1)の後端から再生方向と逆方向に250ms戻った位置より応答遅れtを減算した位置に補正される。
この位置では、一番目に再生する分割音楽データ(1)の後端部と、二番目に再生する分割音楽データ(2)に貼り付けたコピーデータとを重ね合わせて同時に再生できる位置となり、重ね合せ再生時の波形にずれが生じない。
一方のサウンド再生エンジン12は、一番目の分割音楽データ(1)の再生を完了すると、次に、一方の音楽再生用のRAM(2)のバッファに、三番目の分割音楽データ(3)を格納する。
一方のサウンド再生エンジン12による三番目の分割再生データ(3)の再生開始位置は、図2(a)に示すように、タイミング最適化プログラムにより、二番目に再生する分割音楽データ(2)の先端X1の位置より応答遅れ(遅延時間)t1を加算した位置、言い換えると、二番目に再生した分割音楽データ(2)の後端から再生方向と逆方向に250ms戻った位置より応答遅れt1を減算した位置に補正される。
この場合も二番目の分割音楽データ(2)の後端部と三番目の分割音楽データ(3)のコピーデータとが相互に重ね合わせて再生されるのでノイズのないシームレスな接続がなされる。
このようにタイミング再生プログラムは、一対のサウンド再生エンジン12,13により一対の音楽再生用のRAM(2)、RAM(3)を交互に音楽再生用のバッファとして用い、先に再生する分割音楽データの後端部と、次に、再生する分割音楽データのコピーデータとの重ね合せ再生を可能とする。サウンド再生プログラム及びタイミング最適化プログラムは、このような制御を繰り返し、ノイズのないシームレスな連続再生を実現する。以下、このように先に再生する分割音楽データと次に再生する分割音楽データとの間のタイミングの補正値t,t1,…をタイミング最適化プログラムにおける最適化値という。
【0026】
偽装画像データ保存プログラムは、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…をデータ保存用記憶部としてのRAM(4)、外部記憶手段としてのSDカードと呼称されるメモリカード23の少なくともいずれか一方の映像データ保存領域に保存する場合には、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を連結し、連結した連結ファイルを偽装ファイルに保存するようになっている。なお、データ保存用のRAM(4)と、メモリカード23とは相互に転送が可能である。
【0027】
図4はデータ保存用記憶部としてのRAM(4)や外部記憶手段としてのメモリカード23に格納する偽装ファイルの偽装フォーマット構造を示す解説図である。外部記憶手段は、携帯電話機4に着脱自在に取り付け可能な外部記憶媒体をいい、特に、カードやステック等の装着形式によって限定を受けるものはない。
偽装ファイルのフォーマット構造は、JPEG映像データ、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…、JPEG映像データ終了タグを有するフォーマット構造であり、偽装画像データ保存プログラムによって複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…に関連付けされた1又は複数の映像データ[1],[2],[3],…を偽装ファイルのJPEG映像データ部に格納する。
この映像データ[1],[2],[3],…は、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生の際に複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…に対応する映像として前記携帯電話機4の表示部21に表示されるが分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…に対して有機的に且つ客観的に関係するデータであってもよいし、主観的に関係するデータでも、また、無関係なデータであってもよい。
分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の格納数は、偽装ファイルの最大容量の範囲で制限を受けるが、通常の曲であれば一曲分の格納が可能である。また、これらの分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…は、再生順に連結され、結合データとして偽装ファイル内の偽装画像データに埋め込まれる。なお、偽装ファイルは、拡張子が映像ファイルの拡張子(JPEG)であり、また、ヘッダは映像ファイルの情報をもつので、音楽データとしては取り扱われず、映像データとして取り扱われる。
従って、音楽データを保存するメモリ容量が小さい場合でも音楽データを前記偽装画像データ保存プログラムによって映像や音楽データの保存用として用いられているRAM(4)及び外部記憶手段としてのメモリカード23に保存することができる。
【0028】
そして、制御手段としてのCPU10は、一対のサウンド再生エンジン12,13により一曲を構成する複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を再生しながら文字列データ表示エンジン16と映像データ表示エンジン24により関連データを表示部21に表示させ、ユーザに対して文字もしくは映像又は文字及び映像による配信側のサービスを提供する。
【0029】
文字列データ表示エンジン16は、文字列データ表示プログラムと基地局又はインターネットより配信されRAM(1)に格納された制御情報としての文字列データ表示用制御情報に基づいて文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…を所定のタイミングで表示部21に表示させるプログラム上の手段であり、映像データ表示エンジン24は、映像データ表示プログラムと、RAM(1)に格納された制御情報としての映像データ表示用制御用情報とに基づいて映像データ[1],[2],[3],…を所定のタイミングで表示部21に表示させるプログラム上の手段であり、それぞれCPU10の機能上の手段である。
【0030】
制御情報としての文字列データ表示用制御情報には、携帯電話機4の表示部21の画面モードを文字列データ表示モードに切り替える画面モード情報と、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…のフォント情報と、表示部21の表示画面に対する文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…の表示位置を決定するための文字列データ表示位置情報と、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…の文字列データ表示開始時期と文字列データ表示終了時期とを決定する文字列データ表示時間情報とが含まれている。また、制御情報としての映像データ表示用制御情報には、携帯電話機4の表示部21の画面モードを映像データ表示モードに切り替える画面モード情報と、映像データ[1],[2],[3],…の映像表示開始時期と映像終了時期とを決定する映像表示時間情報と、表示部21に対する映像データの表示位置を決定する映像データ表示位置情報とが含まれている。また、文字列データ表示用制御情報には、配信側の関連データのサービスの形態に応じて、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…に対するエフェクト情報が含まれている。
【0031】
文字列データ表示エンジン16は、文字列データ表示用制御情報に含まれる画面モード情報により表示部21の画面モードを文字列データ表示モードに切り替え、文字列データ表示開始時期に、フォント情報に対応する文字列を、文字列データ表示位置情報に指定された位置に表示させる。そして、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…の表示を開始してから終了するまでの間で、エフェクト情報に対応するエフェクト処理、具体的には、点滅、拡大・縮小、色変更、回転、スクロール等を文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…に文字単位又は文字列単位で施してユーザに文字表示によるサービスを提供する。
また、前記複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…、すなわち、一曲の音楽データの制御情報としては、携帯電話機4の音楽再生機能、具体的には、サウンド再生エンジン12,13を使用した分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生機能を使用できるようにするための再生動作情報が含まれている。
【0032】
前記映像データ表示エンジン24は、基地局2又はインターネットから複数の音楽データとともに配信された制御情報としての映像データ表示用制御情報に含まれる画面モード情報に基づいて携帯電話機4の表示部21の画面モードを映像データ表示モードに切り替え、映像データ[1],[2],[3],…の映像表示開始時期から映像終了時期までに映像データ[1],[2],[3],…を画面に表示させ、ユーザに映像によるサービスを提供する。
なお、CPU10は、文字列データ表示用制御情報の画面モードと映像データ表示用制御情報の画面モードが相違するとき、すなわち、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…と映像データ[1],[2],[3],…との両方を表示部21に表示させる必要がある場合は、画面モード変更プログラムにより、表示部21の画面モードを、文字と映像の両方を表示できる画面モードに設定するか、又は、一方の画面モードを表示部21の画面モードとして選択し、この画面モードに表示された文字又は映像の一方を背景としてこれに映像又は文字を重ねて表示させるようになっている。
【0033】
次に、図1乃至図7を参照して携帯電話機4の動作について説明する。なお、図5、図6、図7は、一つのフローチャートを三分割した分図である。
前記CPU10は、図5に示すように、ステップS1で映像保存用のRAM(4)に音楽データが保存されているかどうかを判定する。図13はユーザに、このような判定をさせるための問い合わせ画面の一例である。この例では、“「サンプル」が保存されています。”“こちらを再生しますか?”という文字により、ユーザの意思を確認する。この場合、文字中の「サンプル」は、後述する偽装ファイル中の偽装画像データのタイトル(名称)を示している。
図13の問い合わせ画面において、ユーザが前記入力部26の操作ボタン20を用いて画面中の「はい」を選択すると、CPU10は、ユーザの希望する音楽(曲)データがRAM(4)に保存されておらず、ダウンロードを希望するものとみなして前記通信部11をサーバ3に接続し、前記サーバ3にダウンロードを要求する。
サーバ3はこの要求に対応してサーバ3からユーザの携帯電話機4の前記通信部11にジャンル別の選択リスト(図14参照)を送信し、CPU10は、このジャンル別の選択リストを表示部21に表示する。
ユーザが携帯電話機4の入力部26の操作ボタン20を操作し、ジャンルの選択信号をサーバ3に送信すると、サーバ3はジャンル別の選択リストの下位の音楽選択リストをユーザの携帯電話機4に返信する。
【0034】
<データダウンロード>
携帯電話機4の表示部21に表示された音楽選択リストからユーザがダウンロードを希望する曲を選択すると(ステップS2)、CPU10は、この曲(音楽データ)を構成している分割ファイル数を、インターネット又は基地局2を介してサーバ3から取得し(ステップS3)、この分割ファイル数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…をインターネット(又は基地局2)からRAM(1)に格納する(ステップS4)。なお、インターネットを、図5では、ネットワークと表示している。
CPU10は、次に、ステップS6、ステップS7、ステップS8に順次進んで映像データ (静止画データ又は動画データ) [1],[2],[3],…、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…、制御情報をそれぞれダウンロードしてRAM(1)に格納する。なお、前記関連データはサーバ3、すなわち、基地局又はインターネット側がユーザに配信する情報なので、基地局又はインターネット側(以下、配信側という)のサービスの形態によっては、映像データ[1],[2],[3],…のみ、または文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…のみが配信されることもある。
なお、CPU10は、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…のダウンロードの開始から制御情報のダウンロード終了までの間、ダウンロード中の表示を前記表示部21に表示している。図15は、「ダウンロード中」の表示画面の一例である。図15に示すように、ダウロードの雰囲気を表現する背景に「ダウンロード中」の文字を重ねて表示するとユーザ自身が現在の状態がダウンロード中であるかどうかの確認が容易になる。
ステップS6〜ステップS8のダウンロードを完了すると、CPU10は、表示部21に音楽(曲)を保存するかどうかの問い合わせ画面を表示する(ステップS9)。
図17はかかる問い合わせ画面の一例である。この問い合わせ画面を見てユーザがダウンロードした音楽(曲)を保存しないことを選択したとき(選択は携帯電話機4の入力部26の操作ボタン20によって行われる)、CPU10は、ユーザが試聴を選択したものとして図7のステップS10に進み、ダウンロードした音楽(曲)を再生するかどうかを問い合わせる問い合わせ画面を前記表示部21に表示させ、前記表示部21に、ダウンロードした音楽(曲)を再生するかどうかを問い合わせる。
ステップS10で入力部26の操作ボタン20により再生が選択されると、CPU10は、一対のサウンド再生エンジン12,13によるRAM(1)の複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を再生しながら文字列データ表示エンジン16、映像データ表示エンジン24により、分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…とともに配信された文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…もしくは映像データ[1],[2],[3],…又は文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…及び映像データ[1],[2],[3],…(いずれも関連データ)をそれぞれ文字もしくは映像又は文字及び映像として前記表示部21に表示させる。
【0035】
図7はデータ再生処理プログラムによるデータ再生処理の一例を示すフローチャートの一例である。
ステップS10において、CPU10が前記入力部26の操作ボタン20の押し込みによる「再生」を検出すると、CPU10は、ステップS11において、分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の制御情報に前記再生動作情報が含まれているかどうかによって、音楽データ再生機能を使用するかどうかを判定し、また、ステップS12において、制御情報としての文字列データ表示用制御情報に、画面モード情報が含まれているかどうかによって文字列データ表示機能を使用するかどうかを判定し、さらに、ステップS13において、制御情報としての映像データ表示用制御情報に、画面モード情報が含まれているかどうかにより、映像データ表示機能を使用するかどうかを判定する。再生動作情報は、一曲を構成する複数の分割音楽データともに基地局2またはインターネットから配信された分割音楽データを携帯電話機4のCPU10が制御する際に用いる制御情報である。
ステップS10において、CPU10は、前記再生動作情報が前記分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の関連データに含まれているときは、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を連続再生するものとしてステップS14以降の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…再生処理に進み(YES)、再生動作信号が含まれていないときは、RAM(1)に配信された音楽データが分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…ではなく、一対のサウンド再生エンジン12,13による分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生ができないものとしてステップS14以降の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生処理を終了する(NO)。
また、CPU10は、ステップS12において、文字列データ表示用制御情報に、画面モード情報が含まれているときは、文字列データ表示機能を使用し、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…を表示部21に表示させるものとしてステップS18以降の文字列データ表示処理に進み(YES)、画面モード情報が含まれていないときは、以降の文字列データ表示処理を終了する(NO)。
また、CPU10は、ステップS13において、映像データ表示用制御情報に画面モード情報が含まれているときは、映像データ[1],[2],[3],…を表示部21に表示させるものとしてステップS20以降の映像データ表示処理に進み(YES)、画面モード情報が含まれていないときは、以降の映像データ表示処理を終了する(NO)。
以下、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生処理、映像データ表示処理について説明する。
【0036】
<分割音楽データ再生処理>
分割音楽データ再生処理では、ステップS11からステップS14に進んで、一番目に再生する分割音楽データの番号を1にセットし、次に、ステップS15のタイミング読み込み処理で前記最適化値をセットする。そして、最適化値のセット後は、図7のステップS16に進んで音楽データ再生プログラムを実行する。
【0037】
図8は前記タイミング読み込み処理を示すフローチャートの一例である。
このフローチャートでは、まず、前記CPU10が設定ファイルに最適化値が保存されているかどうかを判定する(ステップS60)。設定ファイルには、最初、最適化値は、設定されておらず、RAM(1)にも格納されていない(NO)。このため、最初は、図8に示すようにステップS61に進んで最適化値の初期値を1ファイルの終わり、すなわち、先に再生する分割音楽データのエンド(後端)から次に再生する分割音楽データのコピーデータの再生開始位置250msに決定(セット)する。ステップS60で、設定ファイルに最適化値が格納されている場合(YES)、すなわち、曲番号のカウンタが1ステップ以降は、S62に進んで前記設定ファイルから最適化値を読み込み、この最適化値をセットする(ステップS63)。タイミング読み込み処理で最適化値をセットした後は、図7のステップS16に進み音楽データ再生プログラムを実行する。
【0038】
図9は音楽データ再生プログラムのフローチャートの一例であり、図10はタイミング最適化処理のフローチャートの一例である。
この音楽データ再生用プログラムでは、RAM(1)に格納されている複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を読み出し、最初にセットされている分割音楽データ(1)の曲番号の再生を開始し、前記表示部21に曲名のタイトルを表示したタイトル画面(図19参照)を表示する。なお、分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の読み出し中は、表示部21に分割音楽データを読み出していることを示す文字表示を表示する(図16)。最初は1番目に再生する分割音楽データ(1)をセットし(ステップS64)、続いて、タイミング最適化処理を実行する(ステップS65)。タイミング最適化処理は、図10に示すように、再生を指示してから実際に前記一対のサウンド再生エンジン12,13による再生が開始されるまでの遅延時間(応答遅れ)を記録し(ステップS101)、続いて、記録した遅延時間の平均を算出する(ステップS102)。次に、ステップ103に進んで先に再生する分割音楽データの後端(エンド)から次に再生する分割音楽データの先頭のコピーデータの再生開始位置までの250msから、ステップS102で算出した遅延平均時間を減算し(ステップS103)、これを最適化値として設定ファイルに保存(セット)する(ステップS104)。
【0039】
タイミング最適化処理により最適化値を得ると、図9のステップS66に戻ってユーザが停止操作をしたかどうか、すなわち、停止操作に割り当てられた携帯電話機4の操作ボタン20を操作したかどうかを判定する。このステップS66でNO のときは、現在、再生中の曲番号(最初の曲番号は1番)の分割音楽データの再生開始位置が、その終わりから最適化値の場所であるかどうかを判定する(ステップS67)。ステップS67で判定がYES のときは、2番目の分割音楽データ(2)をセットし(ステップS69)、ステップS69に進んで配信された全ての分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生が終了したかどうかを判定する。このステップS69でNOのときは、ステップS65からステップS69のステップを繰り返す。そして、図2で説明したように、2番目以降の分割音楽データ(2)からn番目(最後)までの最適化値のセットと最適化値の位置の確認に際しては、先に再生する分割音楽データの後端から再生方向と逆方向に250ms戻った位置より応答遅れt1を減算した位置かどうかを確認し、ステップS67での判定で最適化値のときに他方のサウンド再生エンジン13による再生を開始させて先に再生する分割音楽データの後端部と次に再生する分割音楽データのコピーデータとを重ねて同時に再生する。この結果、全ての分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…についてノイズのないシームレスな連続再生が実現される。
ステップS66でユーザの携帯電話機4の入力部26の操作ボタン20により停止操作がなされた場合、CPU10は、図7のステップS10に戻り、図13で説明した問い合わせ画面を表示部21に表示させ、現在、再生を完了した楽曲データを繰り返し再生するかどうかを問い合わせる。
ユーザにより停止操作がなされない場合は操作ボタン20により停止操作がなされるまでそのままで待機する。なお、ステップS10を抜け出し、通常の携帯電話の使用モードに移る場合は、携帯電話機4の操作部を操作し、このルーチンを抜け出すと、データ再生プログラムが終了する。
<文字列データ表示処理>
この文字列データ表示処理は、前記分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生と並行して実施される。
最初に、CPU10が前記RAM(1)に格納された文字列データの一回目の文字列データをセットしてステップS19に進み、文字列データ表示プログラムを起動する。図11はこの文字列データ表示プログラムの一例である。同図に示すように、文字列データ表示プログラムは、一回目に表示する文字列データを前記文字列データ表示エンジン16に転送する(ステップS70)。この場合、文字列データは、一つの文字列データでも複数の文字列データでもよい。
文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…の転送を終了すると、文字列データ表示エンジン16は、1又は複数の文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>…の個々の文字列データ表示用制御情報からそれぞれ表示部21に対する画面上の表示位置、使用する文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…のフォント情報、表示部21に対する表示開始時期及び表示終了時期、エフェクト情報を取得し、表示開始時期に、フォントテーブル情報で指定されたフォント種、フォント色、サイズの文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…を表示部21の文字列データ表示位置情報に指定された表示位置に表示させる(ステップS71)。
文字列データ表示エンジン16は、次に、表示部21の画面上に表示した文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…に対して文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…の表示時期が表示終了時期に到達したかどうかを判定し(ステップS72)、表示終了時期に到達しない場合は(NO)、表示終了時期に到達するまで表示部21に表示している文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…の表示を継続する。そして、この間に、文字列データ表示プログラムは、表示部21の画面上に表示した文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…に対してエフェクト情報に対応したエフェクト処理を施す。エフェクト情報は、スクロール、フォント色変更、フォントサイズ変更、フォント拡大又は縮小、回転等である。例えば、分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生に連動して文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…として表示部21に各分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…にそれぞれ対応する歌詞データを表示させる場合は、分割音楽データごとに表示部21に表示させた歌詞データに対して先頭から末尾側に向かって、曲の進行に対応する速度でフォントの色を一文字、複数文字ごと変更することによって見やすくした場合には、分割音楽データのそれぞれに対する歌詞データの進行具合を一目で把握することができる。この場合、フォントの大きさを変えて進行の程度を表現すると、分割音楽データのそれぞれに対する歌詞データの進行具合を把握することができる。
また、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…により表示部21に広告文字列を表示した場合は、点滅、スクロール、フォントの拡大・縮小、フォントの色の変更することで様々な表現が表現でき、ユーザに対して広告の内容を印象付けることができる。
ステップS72において、文字列データの表示時間が文字列データ表示用制御情報の表示終了時間に到達すると、CPU10は、ステップS73に進んで2回目の文字列データをセットし、次のステップS74で前記RAM(1)に格納された全ての文字列データの表示が終了したかどうかを判定する。
ステップS74の判定でNOの場合、CPU10は、ステップS70〜ステップS75の制御を繰り返して全ての文字列データを表示部21に表示させ、ステップS74でYESの場合に文字列データ表示処理を終了する。
<映像データ表示処理>
この映像データ処理も前記複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生と並行して実行される。
この処理では、まず、CPU10が配信側より配信された映像データ[1],[2],[3],…のうち一回目の映像データ(無音の静止画又は動画)をセットしてステップS80に進み、映像データ表示プログラムを起動する。
図12はこの映像データ表示プログラムの一例である。
図12に示すように、映像データ表示プログラムは、一回目に表示する映像データを前記映像データ表示エンジン24に転送する(ステップS80)。映像データを静止画とする場合は、一つの画面に複数の映像を同時にレイアウトできるので複数の映像データを転送してもよい。転送を終了すると、前記映像データ表示エンジン24は、1又は複数の映像データ[1],[2],[3],…の個々の映像データ表示用制御情報より、表示部21に対する映像データ[1],[2],[3],…の表示位置、表示開始時期、表示終了時期、画面上の表示位置情報等の各種の制御情報を取得した後、表示開始時期に、1又は複数の映像を表示部21の画面上の指定された表示位置に表示させる(ステップS81)。次に、映像データ表示エンジン24は、表示した映像データが表示終了時期に到達したかどうかを判定し(ステップS82)、表示終了時期に合致した場合は(YES)、次のステップS83に進み、到達していない場合は、表示終了時間となるまで1又複数の映像データ[1],[2],[3],…の表示を継続する。
ステップS82で映像データの表示時間が表示終了時間に合致したときは、次に、ステップS83で2回目の字列データをセットしてステップS84に進み、前記RAM(1)に格納された全ての映像データ[1],[2],[3],…の表示が終了したかどうかを判定する。ステップS82の判定でNOの場合は、ステップS80〜ステップS84の制御を繰り返し、YESの場合は、この文字列データ表示プログラムを終了する。
【0040】
<偽装保存>
図5に示すように、一曲の音楽データを構成する複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…をRAM(1)に格納し、表示部21の画面に表示された、「分割音楽データを保存するかどうかの問い合わせ」(図17参照)に対してユーザが操作ボタン20を操作して保存する、を選択したときは(ステップS9、YES)、CPU10は偽装画像データ保存プログラムを実行する。
図6は偽装画像データ保存プログラムの一例を示すフローチャートである。同図に示すように、この偽装画像データ保存プログラムでは、まず、偽装ファイルの最大容量内で分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を結合して偽装データとする(ステップS92)。続いて、偽装データを偽装ファイルの偽装画像データに埋め込み偽造画像データを作成する(ステップS93)。
次に、偽装画像データをデータ保存用のRAM(4)の映像データ保存領域に保存し(ステップS94)、全ての分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…がRAM(4)に保存したかどうかを判定する(ステップS95)。このステップS95で全ての分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…が格納されたときは(YES)のときは、偽装画像データとして保存した分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生が可能であるものとして図7の再生操作の判定(ステップS10)に進む。
【0041】
<偽装データ読み込み>
ステップS1でデータ保存用のRAM(4)に音楽データが偽装ファイルの形式で保存されている場合、CPU10は、前記偽装画像データ再生プログラムを起動し、ステップS85に進んで、データ保存用のRAM(4)の映像データ保存領域から保存してある偽装ファイルのファイル数を取得する。
次に、偽装画像データを読み出す(ステップS86)。このとき、CPU10は、表示部21には、例えば、図14に示す音楽ファイル(偽装画像データ)の呼び出し画面を表示する。続いて、ステップS87に進んで偽装ファイルの偽装画像データが削除されているかどうかを判定する。このステップS87で、ユーザにより偽装画像データが削除されている場合(YES)は、携帯電話機4の表示部21にエラー表示を表示させ、ステップS3に進んで、基地局2又はネットワークを介して同じ楽曲データをデータベース6から取得し、前記した偽装ファイルの保存手順でデータ保存用のRAM(4) の映像データ保存領域に保存する。
ステップS87でユーザにより偽装画像データが削除されていない場合(NO)は、偽装画像データから偽装データ、すなわち、複数の結合データを抽出し(ステップS88)、さらに、ステップS89に進んで結合データを分割した後、分割された結合データから複数のサウンドファイル(拡張子mld)を生成してこれらの分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を再生可能な状態でRAM(1)に格納する(ステップS90)。そして、全ての偽装画像データを呼び出したかどうかの判定を行い(ステップS91)、全ての偽装画像ファイルが呼び出されていない場合は、ステップS81からステップS91のルーチンを繰り返す。
【0042】
このように図5〜図12のフローチャートに示したように、本実施の形態に係る携帯電話機4によれば、音楽再生用のメモリ容量の小さな従来の携帯電話機4でも一曲の音楽データのダウンロードが可能となり、又、一対の音楽再生用のRAM(2)、RAM(3)の交互の使用により、ノイズのない連続再生が可能となり、さらに、基地局2又はインターネットから一曲の音楽データを構成する複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…とともに配信された関連データを表示部21に表示させることにより、カラオケのサービスや、広告、プロモーションビデオ等の多様なサービスを受けることが可能となり、携帯電話機4を多様な情報端末として使用することが可能となった。
【0043】
以下、前記携帯電話機4が配信側より受けるサービスについて説明する。
本実施形態に係る携帯電話機4は、図7に示したように、ステップS11、ステップS12、ステップS13に対応する画面モード情報(文字列データ用)、再生動作情報、画面モード情報(映像用)が基地局2又はインターネットからの制御情報に含まれているかどうかによって、表示部21の画面モードを文字列データ表示モード、映像データ表示モードに決定し、両方の場合は、両方に対応した画面モードに決定する。従って、これらの画面モード情報(文字列データ用)、再生動作情報、画面モード情報(映像用)の組み合わせによって、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…もしくは映像データ[1],[2],[3],…又は文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>…及び映像データ[1],[2],[3],…の両方を表示部21に表示させることが可能となる。本実施の形態では、サービスの種別に応じてこれらの情報を複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の制御情報に含ませて基地局又はインターネットからユーザとなる携帯電話機4に送り、表示部21によるサービスの形態を、文字によるサービスか、映像によるサービスか、又は文字及び又は映像の両方によるサービスかを決定している。
【0044】
このため、図7の例では、ステップS11、ステップS13がYESになると、表示部21の画面モードが、文字及び映像の両方を表示可能な文字列データ・映像データ表示モードとなり、ステップS11がYESでステップS13がNOの場合は、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…を前記表示部21に表示させる文字列データ表示モードとなる。また、ステップS13がYESでステップS11がNOの場合、映像データを前記表示部21に表示させる映像データ表示モードとなる。そして、これらのモードで複数に分割された分割音楽データを連続再生するようにすると、前記携帯電話機4における各モードは、それぞれ音楽データ再生・文字列データ・映像データ表示モード、分割音楽データ再生・文字列データ表示モード、分割音楽データ再生・映像データ表示モードとすることができる。
図20は音楽データ再生・文字列データ・映像データ表示モードにおける処理の一例を示すタイミングチャートの一例である。このタイミングチャートは横軸を携帯電話機4のシステムクロックを基準とした時間軸としている。この図では分割音楽データは、(1)〜(6)としており、分割音楽データ(4)と分割音楽データ(5)との間は、分割音楽データを時間軸に対して自由に配置できることを示している。従って、この分割音楽データ(4)と分割音楽データ(5)との間に、CM用の音声を配置して再生させるようにすることも可能である。
複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を連続再生しながら、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…及び映像データを前記表示部21に表示させる場合は、一番目の分割音楽データの再生開始時期を基準(スタート開始時刻)として、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…と映像データ[1],[2],[3]…の表示開始時期、表示終了時期を決定する。図示例にあっては、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…、映像データ[1],[2],[3],…は、時系列順に並べてあるので、表示部21には、まず、映像データ<1>が表示され、映像データ<2>による映像<2>の表示時間が約無半分になった時点で最初の分割文字列データによる文字列<1>が表示され、映像データによる映像が表示された後、所定時間遅れて映像データによる映像<4>が表示される。
なお、複数の映像データ[1],[2],[3],…を表示部21に順次表示する場合、RAM(1)をバッファとして使用する。CPU10は、データ種別判定プログラムによって、分割映像データとともに基地局2又はインターネットから配信された制御情報としてのデータ種別情報を用い、RAM(1)に格納した映像データが通常の映像データか又は大容量のため配信側で予め複数に分割して配信した分割映像データかのいずれかを判定するように構成されており、判定結果に対応して分割映像データ再生プログラムを起動するようになっている。
また、分割映像データ再生プログラムは、データ種別情報により、配信側より配信された映像データ[1],[2],[3]…をそれぞれ複数の分割映像データと判定した場合には、図3に示すように、一対の音楽再生用RAM(2),RAM(3)のバッファを、それぞれ複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を再生する分割音楽データ再生用バッファ領域と分割映像データを再生するための分割映像データ再生用バッファ領域とに分割して複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を、一対の音楽データ再生用バッファ領域で交互に連続再生すべく前記分割音楽データ再生プログラムに一時的な変更を加え、(複数の分割映像データの連続再生終了後は、分割音楽データ再生プログラムを元の状態に復元する)、この変更した分割音楽データ再生プログラムによって一曲の音楽データを構成する複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を連続再生しながら前記複数の分割映像データ[1],[2],[3]…を、一対の分割映像データ再生用バッファ領域で交互に連続再生するようにプログラムされている。
そして、前記分割映像データ再生プログラムは、視覚の残像現象に基づいて複数のフレームからなる分割映像データ同士を連続再生するようにプログラムされている。また、前記分割映像データ再生プログラムは、前記データ種別情報によって、映像データが分割映像データでない場合、すなわち、データ容量が小さく配信側で分割して配信されていない場合は、RAM(1)を再生用のバッファとして使用し、図20で説明したように表示部21に1又は複数の映像データ[1],[2],[3],…を表示させるようにプログラムされている。
なお、分割音楽データ再生用バッファ領域と分割映像データ再生用バッファ領域とを交互に使用して複数の分割音楽データを連続再生しながら複数の分割映像データを連続再生する場合、分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生に対する一対の音楽再生用RAM(2),RAM(3)の再生における容量が相対的に減少することになるが、この場合には、配信側が、一対の音楽再生用RAM(2),RAM(3)の音楽再生用のバッファ領域に対応したサイズとなるように一曲の音楽データを複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…に分割して配信しているのでこのような場合においても複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の連続再生に対して支障が発生する虞はない。
従って、データ容量の大きい映像データ[1],[2],[3],…でも複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を連続再生しながら配信側より配信された分割映像データを表示部21に表示させることができる。なお、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…に予めCM音楽を挿入しておいてこのCM音楽バックとしてCMの文字列やCMの映像を表示するようなサービスや、カラオケのように、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の音声トラックに記録されている音声データの再生の禁止を可能とするための音声禁止情報を前記制御情報に含ませておいてカラオケの際に音声データの再生を禁止するように構成してもよい。このようにすると、カラオケの練習がしやすくなる。
【0045】
文字列データ・映像データ表示モードは、分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を再生しながら映像や文字列を表示するモーであるので各分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…にそれぞれ対応する歌詞データを画面に表示しながら関連する映像を背景として表示するカラオケサービスや文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…、映像データからなる広告データを表示するカラオケサービスが好適である。この文字列データ・映像データ表示モードでカラオケサービスを実施する場合は、CPU10は、映像制御プログラムを起動して、表示部21の画面モードを文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…と、映像データ[1],[2],[3]…とを表示できる画面モードに切り替え、文字列データ表示エンジン16が、文字列データ表示開始時期に、フォント情報に対応する文字列を、文字列データ表示位置情報に指定された表示位置に表示させる。そして、文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…の表示を開始してから終了するまでの間で、エフェクト情報に対応するエフェクト処理、具体的には、点滅、拡大・縮小、色変更、回転、スクロール等を文字単位又は文字列単位で歌詞データに加え、その表示形式を変更することにより、表示部21に各分割音楽データの進み具合に対応した見やすい表示とすることができる。
【0046】
図21は、広告サービスを実施する場合の画面の一例である。この例では、画面の上部に配置されている情報表示スクロールバー30に、エフェクト情報による広告の文字列データ<1>,<2>,<3>,<4>,…を表示させながら、表示部21に映像データによる映像(無声の動画又は静止画)を表示し、映像に重ねてデータによる歌詞を表示するようにしている。情報表示スクロールバー30に表示する文字は、エフェクト情報に含まれるスクロール情報により右側にスクロールさせ、歌詞表示の部分には、前記したように、分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…にそれぞれ対応する歌詞データによる歌詞を表示するようにしている。歌詞データは、エフェクト情報によって指定されたタイミングで文字単位又は文字列単位で、フォントの大きさ、フォントの色を変えることにより、音楽の進み具合が分かるようになっている。図21中、表示Aは、図5で説明した操作ボタン20による再生動作に連動するボタンを示している。
なお、図21に示す例では、歌詞データを横書きで一列表示しているが、同時に複数列を表示してもよいし、縦書きで一列または複数列、表示してもよい。
また、歌詞を表示する場合に、例えば、シフトボタン(機能選択ボタン)や他のボタンと操作ボタン20との併用等、二以上のボタンの併用によって、ユーザのニーズに対応する割り込み処理を実行するようにし、割り込み処理後に、特定の割り付けボタンを押すことによって元のプログラムに復帰させるようにしてもよい。
例えば、前記した分割音楽データを再生しながら歌詞を表示部21に表示するカラオケの場合、ユーザは、音楽データを聴きながら、一曲分の歌詞を見たいという場合や、特定部分の歌詞を見たいという場合がある。このような場合、表示部21には、割り込み処理の開始と同時に、メニュー画面を表示させ、メニュー画面に表示された一括表示と、分割表示とをスクロールバーによって選択し、決定するとよい。また、歌詞データを順送り、逆送りするためのプログラムをそれぞれ携帯電話機4の特定のボタンにそれぞれ割り付けてこれらのボタンが操作された際に、表示部21に表示する歌詞データが1又は複数小節毎に、順送り又は逆送りで切り替わるように構成すると、ユーザの使い勝手が向上する。この場合、歌詞データを少なくとも一又は複数に分割した分割歌詞データとして、分割歌詞データを前記順送り、逆送りの最小の単位として表示部21に表示させ、一括表示の場合は、これらの分割歌詞データを結合して表示部21に一括表示させるようにしてもよい。なお、これらの割り込み処理も前記CPU10が実行するものとする。
【0047】
図22は同じくカラオケに対応した画面を、図23は分割音楽データ再生・文字列データ表示モードで文字列と映像と表示した表示部21の画面例を示している。この図22に示すように、アーチストの分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を再生しながら、表示部21に映像を表示し、映像に重ねて歌詞データを表示している。映像と文字とが表示されているので、単に、文字、映像をそれぞれ表示する場合と比べて表現力が豊かになり、文字色の変化によって伴奏データに合わせたカラオケが可能になる。
また、図23に示すように、アーチストの公演に関するジャケットの映像を背景として公演内容、場所等、日時に関する情報を表示し、情報表示スクロールバー30に広告の内容を文字でスクロールさせながら、表示部21に広告の内容を表示させ、これらの文字に、スクロール等のエフェクトを施すと、公演への参加意識やアルバムの購入意識の刺激に効果的になる。
【0048】
図24は、分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…を再生しながら、表示部21に背景として映像(無声の静止画又は動画)を表示させ、情報表示スクロールバー30に、文字放送の文字や広告の文字(CM)を表示させ、スクロールバーの文字にスクロール処理を施すようにしたものである。このようにすると、文字放送による情報やCM文字による広告内容をユーザに伝達することができる。
【0049】
なお、本発明の実施の形態では、連続再生する分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…の再生において、先に再生する分割音楽データの後端又は次に再生する分割音楽データの先端に、次に再生する分割音楽データの先端部又は先に再生する分割音楽データの後端部のコピーデータをそれぞれ貼り付けて、先に再生する分割音楽データのコピーデータと次に再生する分割音楽データの先端部、先に再生する分割音楽データの後端部と次に再生する分割音楽データのコピーデータとを相互に重ねて同時に再生することにより、ノイズのないシームレスな再生を可能としたが、この場合にコピーデータとこれに重ね合わせて同時に再生する分割音楽データの後端部又は先端部のデータを、相互に同じデータで且つ振幅、周期が1/2としてこれらを重ね合わせて同時に再生するようにしてもよい。なお、この場合に、コピーデータは、先に再生する分割音楽データの後端部又は次に再生する分割音楽データの先端部のデータのコピーとし、これを編集により振幅、周期が1/2になるように加工するものとする。このようにしてもノイズのないシームレスな連続再生が可能となる。
なお、本発明では、一対の音楽再生用記憶部としてRAM(2),(3)を用い、複数の分割音楽データ(1),(2),(3),(4),…や分割映像データを再生する説明をしたが、RAM(4)又はRAM(1)に、RAM(2),(3)に代わる再生用のバッファ領域をそれぞれ確保して一対の音楽再生用記憶部とすることで、RAM(2),(3)を使用した場合と同様に、分割音楽デー(1),(2),(3),(4),…や分割映像データ[1],[2],[3]…を交互に連続再生するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】本発明の一実施形態に係る音楽配信システムの概略図である。
【図2】複数の分割音楽データからなる一曲の音楽データをシームレスに再生するために編集した分割音楽データを示す解説図である。
【図3】携帯電話機の内部構造を示すブロック図である。
【図4】データ保存用のRAMに格納される偽装画像ファイルの偽装フォーマット構造を示す解説図である。
【図5】制御手段としてのCPUの制御内容を示すフローチャートである。
【図6】図5に続くCPUの制御内容を示すフローチャートである。
【図7】図6に続くCPUの制御内容を示すフローチャートである。
【図8】タイミング読み込み処理を示すフローチャートである。
【図9】音楽データ再生プログラムを示すフローチャートである。
【図10】タイミング最適化処理を示すフローチャートである。
【図11】文字列データ表示プログラムを示すフローチャートである。
【図12】映像データプログラムを示すフローチャートである。
【図13】音楽ファイル(偽装画像データ)の呼び出し画面の一例である。
【図14】ジャンル別の選択画面の一例を示す図である。
【図15】ダウンロードの際に表示される画面の一例である。
【図16】ダウンロードした音楽(曲)の読み出し中に表示される画面の一例である。
【図17】ダウンロードした音楽(曲)を保存するかどうかを問い合わせるための問い合わせ画面の一例である。
【図18】分割音楽データの再生操作の際に表示される音楽データのタイトル画面の一例を示す図である。
【図19】曲名のタイトルを表示したタイトル画面の一例を示す図である。
【図20】分割音楽データの再生の際の関連データとしての文字列データ、映像データの表示タイミングの一例を示す処理タイミングチャートである。
【図21】歌詞、広告、映像の画面例を示す図である。
【図22】歌詞、映像の画面例を示す図である。
【図23】映像、広告の画面例を示す図である。
【図24】映像と文字放送サービスとを組み合わせたサービスの画面例を示す図である。
【符号の説明】
【0051】
1 音楽配信システム
2 基地局
3 サーバ
4 携帯電話機
5 コンピュータ
6 データベース
10 CPU(制御手段)
11 通信部
12 サウンド再生エンジン
13 サウンド再生エンジン
14 映像データ表示エンジン
15 ROM
21 表示部
22 スピーカ
26 入力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基地局又はインターネットから配信された配信データを記憶するダウンロード用記憶部と、一対の音楽再生用記憶部と、前記一対の音楽再生用記憶部を交互に音楽再生用のバッファに用い、前記基地局又はインターネットから配信された音楽データ一曲を構成する複数の分割音楽データを連続再生する制御手段と、文字もしくは映像又は文字及び映像を表示する表示部とを備え、
前記制御手段が、前記複数の分割音楽データを再生しながら前記複数の分割音楽データとともに前記基地局又はインターネットから配信された文字列データもしくは映像データ又は文字列データ及び映像データからなる関連データを前記表示部に表示させるように構成されたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記文字列データが前記複数の分割音楽データにそれぞれ対応する歌詞データからなる請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記関連データが広告データである請求項1記載の携帯電話機。
【請求項4】
前記映像データが音声のない静止画データ又は動画データで構成された請求項1〜3いずれかに記載の携帯電話機。
【請求項5】
前記基地局又は前記インターネットより配信された映像データが予め複数に分割された複数の分割映像データのときは、前記制御手段が、前記一対の音楽再生用記憶部のバッファをそれぞれ複数の分割音楽データを再生するための分割音楽データ再生用バッファ領域と前記分割映像データを再生するための分割映像データ再生用バッファ領域とに分割して前記複数の分割音楽データを前記一対の分割音楽データ再生用バッファ領域で交互に連続再生しながら前記複数の分割映像データを前記一対の分割映像データ再生用バッファ領域で交互に連続再生するように構成された請求項1〜4いずれかに記載の携帯電話機。
【請求項6】
先に再生する前記分割音楽データの後端部のコピーデータが、次に再生する前記分割音楽データの先端に貼り付けられ、前記制御手段が、先に再生する前記分割音楽データの後端部と次に再生される前記分割音楽データのコピーデータとを相互に重ね合わせて再生するように構成された請求項1〜5いずれかに記載の携帯電話機。
【請求項7】
先に再生する前記分割音楽データの後端に、次に再生する前記分割音楽データの先端部のコピーデータが貼り付けられ、前記制御手段が、先に再生する分割音楽データのコピーデータと次に再生される前記分割音楽データの先端部とを相互に重ね合わせて再生するように構成された請求項1〜6いずれかに記載の携帯電話機。
【請求項8】
前記制御手段が、再生の応答遅れに対応して先に再生する前記分割音楽データと次に再生する前記分割音楽データとの再生タイミングを修正し、前後の分割音楽データ同士をシームレスに接続するように構成された請求項1〜7いずれかに記載の携帯電話機。
【請求項9】
請求項1〜8いずれかに記載の携帯電話機が、データ保存用記憶部と、着脱自在な外部記憶手段とを備え、前記制御手段が、前記データ保存用記憶部又は前記外部記憶手段の少なくともいずれか一方に前記複数の分割音楽データからなる前記音楽データ一曲又は一曲の一部を偽装画像データとして保存するように構成されたことを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図20】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2007−158477(P2007−158477A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−347345(P2005−347345)
【出願日】平成17年11月30日(2005.11.30)
【出願人】(505233804)株式会社ウインライト (6)
【Fターム(参考)】