説明

携帯電話機

【課題】携帯電話機で文字入力を行う際、より実効性の高い候補語句表示がなされるようにする。
【解決手段】携帯電話機の内部表示手段33の画面は、入力領域33a、参照データ表示領域33b、及び候補語句表示領域33cに区分されていて、候補語句表示領域33cに表示された複数の候補語句のいずれかを選択することにより、文字入力を遂行できる。参照データ表示領域33bには使用者が文章作成の参考としたい、過去の受信メールや送信メールの全部あるいは一部を表示させる。参照データ表示領域33cの参照データに含まれる候補語句が優先順位第1の候補語句として候補語句表示領域33cに表示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は文字入力機能を備えた携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
携帯電話機は、メールで通信したりメモを残したりするため、一般的に文字入力機能を備えている。ところで携帯電話機はパーソナルコンピュータのキーボードに比べキーの数が少なく、1個のキーに複数の文字が割り当てられており、目的とする文字が表示されるまで、何回もキープッシュを繰り返さねばならないことがある。これに加えて和文には漢字変換の問題があり、ひらがなを入力しては漢字変換するという作業に時間をとられ、スピーディーな文字入力が阻害されていた。
【0003】
上記のような文字入力の手間を軽減するため、最近の携帯電話機は、ひらがなを何文字か入力した時点で使用者が入力しようとしている語句の候補を表示し、その候補のどれかを使用者が選択すれば文字入力完了となる機能を備えるようになっている。候補語句は、携帯電話機の工場出荷時にデフォルトで記憶させてある語句や、過去に入力した語句の中から選出される。候補語句の表示領域が狭くて全ての候補語句が表示できない場合はスクロールやページ送りにより全ての候補語句を表示するようになっている。
【0004】
特許文献1も語句の候補を表示する技術の一例を示すものである。特許文献1には他の装置で作成された文書内の文字列も短縮変換候補とすることができる装置が記載されている。
【特許文献1】特開2002−149642号公報([0027][0028]、図1−11)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来の携帯電話機では、文字入力時に候補語句を表示するにあたり、過去に入力された語句が優先して表示されるようになっている。その中でも入力日時の新しいものの方が優先順位が高い。便利な仕組みではあるが、使用者が任意に指定した候補語句ではないために、最初の方に表示された語句が、作成中の文に使用できる語句であるとは必ずしも言えない。直近に作成した文でなく、それ以前の文に関連する文を作成しようとしたとき、選択したい語句が後の方に表示されていて、たどり着くまでに時間がかかるといったケースもしばしば見受けられる。
【0006】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、携帯電話機で文字入力を行う際、より実効性の高い候補語句表示がなされるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記目的を達成するために本発明は、文字入力画面に表示された複数の候補語句のいずれかを選択することにより、文字入力を遂行できる機能を備えた携帯電話機において、前記文字入力画面に使用者の選択した参照データの全部あるいは一部を表示し、当該参照データに含まれる語句を候補語句に含めることを特徴としている。
【0008】
この構成によると、使用者の選択した参照データの中から候補語句が選出されるので、使用者の求める候補語句が表示される確率が高まり、文字入力がスピードアップする。
【0009】
(2)また本発明は、上記構成の携帯電話機において、前記文字入力画面に、入力領域と、参照データ表示領域と、候補語句表示領域とを設定し、前記参照データ表示領域には前記参照データの全部あるいは一部を表示し、前記候補語句表示領域には前記参照データ中の語句を含む候補語句を表示すること特徴としている。
【0010】
この構成によると、参照データを視野に置き、参照データを文章作成の参考としつつ文字入力を進めることができる。
【0011】
(3)また本発明は、上記構成の携帯電話機において、前記文字入力画面に、入力領域と、第1候補語句表示領域と、第2候補語句表示領域とを設定し、前記第1候補語句表示領域には前記参照データの全部あるいは一部を、その中の候補語句に識別を施したうえで表示し、前記第2候補語句表示領域には前記第1候補語句表示領域に表示される候補語句以外の候補語句を表示すること特徴としている。
【0012】
この構成によると、参照データを視野に置き、参照データを文章作成の参考としつつ文字入力を進めることができるうえ、参照データそのものを候補語句の表示場所に兼用できるから、より多くの候補語句の表示が可能となる。
【0013】
(4)また本発明は、上記構成の携帯電話機において、候補語句の表示は、前記参照データ中の候補語句を優先順位第1とする優先順位順に行われることを特徴としている。
【0014】
この構成によると、使用者の選択した参照データの中から選出した候補語句を優先順位第1とするので、候補語句を早期に選択できる確率が高まる。
【0015】
(5)また本発明は、上記構成の携帯電話機において、1以上の参照データを選択する選択手段を備え、前記選択手段により選択された参照データに含まれる語句を候補語句に含め、前記参照データ中の候補語句を他の候補語句よりも優先的に表示することを特徴としている。
【0016】
この構成によると、使用者の選択した1以上の参照データの中から選出した候補語句を優先順位第1とするので、候補語句を早期に選択できる確率が高まる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によると、使用者の選択した参照データの中から候補語句を選出し、使用者の求める候補語句がより上位の位置に表示される確率を高めることができる。上位の位置に表示されれば、文字入力操作が早くなる。また参照データそのものを表示することにより、参照データを文章作成の参考としつつ文字入力を進めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の第1実施形態を図1−3に基づき説明する。図1は携帯電話機のブロック構成図、図2は文字入力画面の例示、図3は候補語句検索及び表示のフローチャートである。
【0019】
携帯電話機1は図1に示す構成要素を備えるものであり、以下これにつき説明する。
【0020】
電話通信部10は後述するベースバンド部からの信号をアンテナ11を介して基地局へ送信したり、基地局からの電波をアンテナ11を介して受信したりする。
【0021】
ベースバンド部12はCDMA処理部13と音声コーデック14を有する。CDMA処理部13は符号分割多元接続(code division multiple access)、スクランブル、誤り制御、及びタイミング検出を行う。音声コーデック(codec)14は音声の圧縮(符号化)、音声の伸張(復号化)、アナログとディジタルの変換などを行い、また内部の増幅回路(図示せず)により受話音量やマイクロフォンの感度を変更する。
【0022】
ベースバンド部12には切替回路15を介してスピーカ16、マイクロフォン17、及び拡声スピーカ18が接続される。スピーカ16は耳に当てて音を聞く(「受話」)のに用いられるものであり、増幅回路19で増幅されたベースバンド部12の電気信号を音声に変換する。マイクロフォン17は口元に近づけて話をする(「送話」)のに用いられるものであり、音声を電気信号に変換し、増幅回路20で増幅してベースバンド部12に出力する。拡声スピーカ18は受話音を拡声して周囲の人に聞かせるためのものであり、増幅回路21で増幅されたベースバンド部12の電気信号を音声に変換する。拡声スピーカ18は着信報知の鳴動も行う。
【0023】
スピーカ16、マイクロフォン17、及び拡声スピーカ18はそれぞれ増幅回路19、20、21を介して切替回路15に接続される。切替回路15は増幅回路19、20、21とベースバンド部12との接続を制御回路30の制御によりON/OFFする。なお増幅回路19、20、21はいずれもゲイン固定であり、受話音量やマイクロフォンの感度を変更することはできない。スピーカ16と拡声スピーカ18の音量調整やマイクロフォン17の感度調整は制御部30からの指令により音声コーデック14が行う。
【0024】
制御部30はマイクロプロセッサ(図示せず)を主たる構成要素とし、ROM31に記憶させた動作プログラムに基づき各部を制御する。ROM31は不揮発性メモリであり、動作プログラム以外に電話帳情報や時刻情報なども記憶する。ストップウォッチの情報など、プログラム実行中一時的に保持する必要の生じたデータはRAM32に保存される。
【0025】
制御部30は内部表示手段33と外部表示手段34を制御する。携帯電話機1の折り畳み式筐体を開かないと露出しないのが内部表示手段33、開かなくても露出するのが外部表示手段34で、いずれも液晶表示パネルにより構成され、電話番号その他の視覚情報を表示する。
【0026】
制御部30は内部表示手段33及び外部表示手段34の他、CCD方式のカメラ35と、カメラ35のフラッシュ光源となり、懐中電灯の代替にもなる白色LEDのライト36とを制御対象としている。
【0027】
制御部30に指令を伝えるのは内部入力手段40と外部入力手段50である。内部入力手段40はメインの入力手段で、筐体を折り畳んだときに内側になる面に設けられる。外部入力手段は50はサブの入力手段であって、筐体を折り畳んだときに外側になる面に設けられる。
【0028】
内部入力手段40は各種キーにより構成される。キーには数字や文字の入力に用いるテンキー41、通話を開始する通話キー42、通話を終了する終了キー43、表示画面上のカーソルを上下左右に移動させるカーソルキー44、メールモードにするmailキー45、及び電話帳を操作する電話帳キー46がある。
【0029】
外部入力手段50はライトキー51とメモキー52により構成される。ライトキー51はカメラ35による撮影時にライト36にフラッシュ点灯をさせたり、ライト36を懐中電灯代わりに点灯するのに用いる。ライトキー51はストップウォッチモードの切り替え操作やストップウォッチのリセット操作にも用いられる。メモキー52は音声のメモ録音操作、ストップウォッチモードの切り替え操作、ストップウォッチのスタート/ストップ操作などに用いられる。
【0030】
図2には内部表示手段33の文字入力時の画面の例が示されている。画面は上下方向に3分割され、一番上が文字入力作業を行う入力領域33a、中間が使用者が選択し表示させた参照データを表示する参照データ表示領域33b、一番下が候補語句を表示する候補語句表示領域33cとなっている。参照データ表示領域33bには過去に受信したメールや送信したメールを表示できる。図の例では、過去に送信したメールが表示されているという設定になっている。
【0031】
画面は入力領域33aに「と」という文字が入力されたところを示しており、候補語句表示領域には「と」や「ど」で始まる語句が選択候補として表示される。候補語句の優先順位は、参照データ表示領域33bの参照データに含まれる語句を第1とし、過去入力した語句を第2とし、工場出荷時に記憶させた語句を第3とする。過去入力した語句は、入力日時の新しいものが上位の位置に表示される。図の例では「豆腐」「トマト」「とうもろこし」が参照データに含まれる語句であり、「知美」が過去入力した語句であり、「東京」が工場出荷時に記憶させた語句である。カーソルは「豆腐」に重なっている。
【0032】
図3のフローチャートには候補語句を検索・選出し、表示する手順が示されている。最初にステップS101で、優先順位第1の候補語句を参照データ表示領域33bに表示された参照データの中から検索する。次にステップS102で、優先順位第2の候補語句を過去の入力語句から検索する。次にステップS103で、優先順位第3の候補語句を工場出荷時に記憶させたデータの中から検索する。ステップS104では検索した候補語句を候補語句表示領域33cに優先順位順に表示する。
【0033】
この構成では、使用者が文字入力の参考にしようとして表示させた参照データの中から候補語句が選出され、それが優先順位第1で表示されるので、使用者の求める候補語句が候補語句表示領域33cの先頭の方、すなわち上位の位置に表示されている確率が高い。そのため、候補語句を早期に選択できる確率が高まり、候補語句の選択、すなわち文字入力がスピードアップする。また参照データが表示されているので、参照データを視野に置き、それを文章作成の参考としつつ文字入力を進めることができる。
【0034】
続いて本発明の第2実施形態を図4、5に基づき説明する。図4は文字入力画面の例示、図5は候補語句検索及び表示のフローチャートである。
【0035】
第2実施形態の携帯電話機1は、文字入力時の画面が第1実施形態と異なる。すなわち画面は第1実施形態のときと同様に上下方向に3分割され、一番上が入力領域33aであるが、中間は第1候補語句表示領域33d、一番下は第2候補語句表示領域33eとなっている。
【0036】
第1候補語句表示領域33dには参照データが、その中の候補語句に識別を施したうえで表示される。図では「豆腐」と「トマト」が網掛け表示で識別されている。「豆腐」にはカーソルが重なっている。第2候補語句表示領域33eには参照データに含まれる候補語句以外の候補語句が表示される。図の例では、優先順位第1ではあるものの第1候補語句表示領域33dからはみ出した「とうもろこし」、優先順位第2の「知美」、及び優先順位第3の「東京」「ところで」「何処」がこの記載順序で表示されている。
【0037】
図5のフローチャートには候補語句を検索・選出し、表示する手順が示されている。最初にステップS111で、優先順位第1の候補語句を第1候補語句表示領域33bに表示された参照データの中から検索する。次にステップS112で、優先順位第2の候補語句を過去の入力語句から検索する。次にステップS113で、優先順位第3の候補語句を工場出荷時に記憶させたデータの中から検索する。ステップS114では第1候補語句表示領域33dに候補語句が存在するかどうかを調べる。存在すればステップS115に進み、存在しなければステップS116に進む。
【0038】
ステップS115では第1候補語句表示領域33dに存在する候補語句(図4の例では「豆腐」「トマト」)に識別処理を行う。なお識別処理は網掛け表示に限られるものではなく、ハイライト表示したり、文字の色を変えるなど、他の方式によってもよい。識別処理された語句の先頭にカーソルを移動させる。ステップS116では第1候補語句表示領域33dに現れた候補語句以外の候補語句(第1候補語句表示領域33dで表示されていない候補語句「とうもろこし」を含む)を第2候補語句表示領域33eに優先順位順に表示する。
【0039】
この構成では、使用者が文字入力の参考にしようとして表示させた参照データの中から候補語句が選出され、それが優先順位第1で表示されるので、使用者の求める候補語句が候補語句表示領域33cの上位の位置に表示されている確率が高まり、候補語句の選択、すなわち文字入力がスピードアップする。また参照データ中の候補語句に識別処理を施すことにより、参照データそのものを候補語句の表示場所に兼用できるから、より多くの候補語句の表示が可能となる。さらに、表示された参照データを視野に置き、それを文章作成の参考としつつ文字入力を進めることができる。
【0040】
尚、参照データは複数でもよく、また、選択された参照データの文は文字入力時に表示されていなくても参照データ中の語句を候補語句にすることができる。例えば、使用者が文字入力する前に、予め候補語句にする参照データを受信メール、送信メール、メールの添付ファイル、カメラで文字認識した文字、ケーブルから転送された文字データなどから複数選択する。そして、選択された参照データの文を表示すること無く文字入力しても、選択された参照データ中の語句を候補語句として最優先で表示することは可能である。このようにしても、使用者の求める候補語句がより上位の位置に表示される確率を高めることができる。
【0041】
以上、本発明の実施形態につき説明したが、本発明の範囲はこれに限定されるものではなく、発明の主旨を逸脱しない範囲で種々の変更を加えて実施することができる。
【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は文字入力機能を備えた携帯電話機に広く利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】携帯電話機のブロック構成図
【図2】文字入力画面の例示
【図3】候補語句検索及び表示のフローチャート
【図4】第2実施形態に係る文字入力画面の例示
【図5】第2実施形態に係る候補語句検索及び表示のフローチャート
【符号の説明】
【0044】
1 携帯電話機
30 制御部
33 内部表示手段
33a 入力領域
33b 参照データ表示領域
33c 候補語句表示領域
33d 第1候補語句表示領域
33e 第2候補語句表示領域
34 外部表示手段
40 内部入力手段
50 外部入力手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
文字入力画面に表示された複数の候補語句のいずれかを選択することにより、文字入力を遂行できる機能を備えた携帯電話機において、
前記文字入力画面に使用者の選択した参照データの全部あるいは一部を表示し、当該参照データに含まれる語句を候補語句に含めることを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記文字入力画面に、入力領域と、参照データ表示領域と、候補語句表示領域とを設定し、前記参照データ表示領域には前記参照データの全部あるいは一部を表示し、前記候補語句表示領域には前記参照データ中の語句を含む候補語句を表示することを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記文字入力画面に、入力領域と、第1候補語句表示領域と、第2候補語句表示領域とを設定し、前記第1候補語句表示領域には前記参照データの全部あるいは一部を、その中の候補語句に識別を施したうえで表示し、前記第2候補語句表示領域には前記第1候補語句表示領域に表示される候補語句以外の候補語句を表示することを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
【請求項4】
候補語句の表示は、前記参照データ中の候補語句を優先順位第1とする優先順位順に行われることを特徴とする請求項2または3に記載の携帯電話機。
【請求項5】
文字入力画面に表示された複数の候補語句のいずれかを選択することにより、文字入力を遂行できる機能を備えた携帯電話機において、
1以上の参照データを選択する選択手段を備え、前記選択手段により選択された参照データに含まれる語句を候補語句に含め、前記参照データ中の候補語句を他の候補語句よりも優先的に表示することを特徴とする携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−258775(P2007−258775A)
【公開日】平成19年10月4日(2007.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−76649(P2006−76649)
【出願日】平成18年3月20日(2006.3.20)
【出願人】(000001889)三洋電機株式会社 (18,308)
【出願人】(000214892)鳥取三洋電機株式会社 (1,582)
【Fターム(参考)】