説明

携帯電話機

【課題】本発明は、ディスプレイユニットを備えるとともに、ディスプレイホルダの厚みを厚くすることなく、このディスプレイユニットの強度を高めることができる携帯電話機を提供する。
【解決手段】ディスプレイが装備されたディスプレイ部材20、ディスプレイに対するコネクタが装備された基板部材40、及び、一方の面にディスプレイ部材20を保持し他方の面に基板部材40を保持する板状のホルダ部材30からなるディスプレイユニット13Aを備えた携帯電話機1であって、基板部材40がフレキシブル基板により形成されるとともに、ホルダ部材30が基板部材40のコネクタを内部に収納する凹部33、34を備え、基板部材40は、コネクタがホルダ部材30の凹部33、34に嵌め込まれるようにして、ホルダ部材30に保持されたことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、薄型でかつ強靭なディスプレイユニットを備えた携帯電話機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の携帯電話機のディスプレイ構造において、通常、基板が実装面を筐体の内側に向けるようにして、ディスプレイホルダ(ディスプレイユニットを保持するホルダ)に保持されている。このため、筐体にディスプレイユニットを収納する際に、電気的シールドを行うための部品が必要になってしまう。よって、従来の携帯電話機を薄型に形成しようとした際には困難が生じてしまっていた。
【0003】
そこで、表示部の堅牢性を維持しつつ表示部の薄型化を図り得る携帯電話機が提案されている(特許文献1参照)。この携帯電話機は、本体ユニットと表示ユニットとが接続され、表示ユニットに表示パネルを備えたクラムシェル型の携帯電話機で、表示パネルに対して前面におけるほぼ全面を覆う透明の緩衝材と、表示パネルに対して裏面におけるほぼ全面を覆う緩衝材とを有しているものである。
【特許文献1】特開2006−119299号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
緩衝材を用いた構造では、ディスプレイユニットを保持するホルダの厚みが、基板からディスプレイユニットまでの間のみとなるため、ディスプレイホルダの厚みを厚くして構造上の強度を確保することが難しいという問題があった。
【0005】
本発明は、上記課題を鑑みてなされてものであり、ディスプレイユニットを備えた携帯電話機であって、筐体の厚みを厚くすることなく、ディスプレイユニットの強度を高めることができる携帯電話機を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る携帯電話機は、ディスプレイが装備されたディスプレイ部材、ディスプレイに対するコネクタが装備された基板部材、及び、一方の面にディスプレイ部材を保持し他方の面に基板部材を保持する板状のホルダ部材からなるディスプレイユニットを備えた携帯電話機であって、前記基板部材がフレキシブル基板により形成されるとともに、前記ホルダ部材が前記基板部材のコネクタを内部に収納する第1の凹部を備え、前記基板部材は、コネクタが前記ホルダ部材の第1の凹部に嵌め込まれるようにして、前記ホルダ部材に保持されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る携帯電話機によると、ディスプレイに対するコネクタを備えた基板部材をフレキシブル基板で形成し、ディスプレイホルダに凹部やリブを設けることで、この基板部材がディスプレイホルダに設置される際に、基板部材に設けられたコネクタ等の凸状部品が、ディスプレイホルダの凹部やリブの形状に合わせて設置されることにより、シールド効果を保ちつつ、また筐体の厚みを厚くすることなく、ディスプレイユニットの強度を高めることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明に係る携帯電話機の実施形態について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係る携帯電話機として、複数の筐体が開閉自在に結合されてなるクラムシェル型の携帯電話機1を例にあげて説明する。図1は、携帯電話機1の開いた状態を示す斜視図である。
【0009】
携帯電話機1は、図1に示すように、主に、矩形の板状の上筐体10と、この上筐体10とほぼ同形状をした下筐体11とにより構成されていて、これらの上筐体10及び下筐体11は、閉じた状態において相互に一面を覆うように積層されている。上筐体10及び下筐体11は、ヒンジ部12を挟むようにヒンジ結合されていて、上筐体10は下筐体11に対して、ヒンジ部12を軸にして、図1のX方向に所定角度だけ回転自在なように形成されている。携帯電話機1は、上筐体10を下筐体11に対して回転させることにより、閉じた状態から開いた状態に、あるいは開いた状態から閉じた状態に変形する。
【0010】
上筐体10の内面(下筐体11に対面する側の面)10aには、文字や画像等からなる画面を表示するための液晶ディスプレイ13、音声を出力するためのスピーカ14が設けられている。これらの液晶ディスプレイ13やスピーカ14は、携帯電話機1が閉じた状態のときには、下筐体11により覆われていて外部に露出していないが、上筐体10を下筐体11に対して回転させて開いた状態に変形させたときには、外部に露出される。
【0011】
下筐体11の内面(上筐体10に対面する側の面)11aには、例えば、カーソルや表示画面を上下左右に移動させるための十字キーや、項目を選択するための選択キーや、数字を入力するための数字キー、発信処理を行うための発信キー等の操作キー15が設けられている。また下筐体11の内面には、音声を集音するためのマイクロフォン16が設けられている。これらの操作キー15やマイクロフォン16は、携帯電話機1が閉じた状態のときには、上筐体10により覆われていて外部に露出していないが、上筐体10を下筐体11に対して回転させて開いた状態に変形させたときには、外部に露出される。
【0012】
図2は、上筐体10の内部に収納されるディスプレイユニット13Aを外面10bの側から見た状態を示す分解斜視図である。また、図3は、上筐体10の内部に収納されるディスプレイユニット13Aを内面10aの側から見た状態を示す分解斜視図である。図2及び図3に示すように、ディスプレイユニット13Aは、ディスプレイ部材20、ホルダ部材30、及び基板部材40により構成されていて、ディスプレイ部材20及び基板部材40が板状のホルダ部材30の内面31a及び外面31bにそれぞれ設置された状態で、上筐体10の内部に収納される。
【0013】
ディスプレイ部材20は、液晶ディスプレイ13が装備された基板であるディスプレイ本体21を備えている。ディスプレイ本体21の内面21aには、文字や画像等からなる画面を表示する液晶ディスプレイ13のディスプレイパネル22が備えられている。また、ディスプレイ部材20の外面21bには、ディスプレイパネル22に画面を表示するための画像信号を入力する部品等が収納された凸部23が設けられている。
【0014】
基板部材40は、フレキシブル基板(FPC基板)からなる基板本体41を備えている。基板本体41の内面41aは、液晶ディスプレイ13に画像信号を入力するための回路等の基板部品が実装される基板部品実装部42が設けられている。また、基板本体41の外面41bは、基板部品実装部42に画像信号を入力するための上下接続用BtoBコネクタ43が凸状に設けられている。さらに、基板本体41の外面41bは、ディスプレイ部材20のディスプレイパネル22に対して画像信号を送信するためのディスプレイコネクタ44が凸状に設けられている。
【0015】
ホルダ部材30は、板状に形成されたディスプレイホルダであり、ディスプレイ部材20や基板部材40を設置するためのホルダ本体31を備えている。ホルダ本体31の内面31aは、ディスプレイ部材20が設置される面であり、ディスプレイ部材20のディスプレイ部品が収納された凸部23が内部に収納される凹部32が設けられている。
【0016】
ディスプレイ本体31の外面31bは、基板部材40が設置される面であり、基板部材40の上下接続用BtoBコネクタ43が内部に収納される凹部33が設けられている。また、ディスプレイ本体31の外面31bは、基板部材40のディスプレイコネクタ44が内部に収納されるための凹部34が設けられている。さらにホルダ部材30の外面31bは、基板部材40の基板部品実装部42がホルダ部材30に対して対面するように(上筐体10の外側方向(内面10a側の方向)を向くように)収納されるために基板部品実装部42を保持するリブ35が、凸状に設けられている。なお、このリブ35に基板部品実装部42が当接した際に、基板部品実装部42とホルダ部材30との間に空間が生成される。
【0017】
携帯電話機1の上筐体10に、図2及び図3に示すように、ディスプレイ部材20、ホルダ部材30、基板部材40が順番に積層されるようにして収納される。この際、ホルダ部材30の凹部32にはディスプレイ部材20の凸部22が嵌め込まれるとともに、ディスプレイ部材20の凹部33に基板部材40の上下接続用BtoBコネクタ43が、端子が表面に露出するようにして嵌め込まれる。
【0018】
また、ホルダ部材30の凹部34には基板部材40のディスプレイコネクタ44が嵌め込まれるとともに、ホルダ部材30のリブ35に基板部材40の基板部材実装部42が、実装部分をディスプレイ部材30の側に向けるようにして保持される。
【0019】
図4(A)は、ディスプレイ部材20、ホルダ部材30、基板部材40が順番に積層されてなるディスプレイユニット13Aを示す正面図である。ディスプレイユニット13Aにおいて、基盤部材40の上下接続用BtoBコネクタ43、及びディスプレイコネクタ44が上筐体10の内側方向に露出している。これにより、下接続用BtoBコネクタ43やディスプレイコネクタ44に端子を接続することができる。
【0020】
一方で、ディスプレイユニット13Aにおいて、基板部品実装部42が上筐体10の外側方向に向くようにして設置されているため、実装部分が上筐体10の内側方向に露出していない。これにより、基板部品実装部42に対するシールド部材を設ける必要がなくなり、ディスプレイユニット13A(すなわち上筐体10)を厚くすること無く形成することが可能となる。
【0021】
また、図4(B)は、ディスプレイ部材20、ホルダ部材30、基板部材40が積層されるようにして上筐体10に収納された状態を示す側面図である。この状態において、ホルダ部材30内の凹部32の内部で、基板部材40の上下接続用BtoBコネクタ43が上筐体10の内側を向くように収納されている。また、基板部材40の基板部品実装部42が、ホルダ部材30のリブ35によって実装部分が上筐体10の外側方向(内面10a側の方向)を向くように保持されることにより、ホルダ部材30の裏面31bと接することなく、基板部品実装部42とホルダ部材30との間に空間が生成されている。また、基板部材40のディスプレイコネクタ43が、ホルダ部材30の凹部34の内部に収納されている。また、ディスプレイ部材20の液晶ディスプレイ13の部品が収納された凸部23が内部に凹部32に収納されている。
【0022】
このように、ディスプレイ部材20や基板部材40をホルダ部材30に設置する際に、ディスプレイ部材20や基板部材40において凸状に形成されている部分を、ホルダ部材30の凹部に収納されるようにしてホルダ部材30に設置することで、ディスプレイユニット13Aの全体の厚さを厚くすること無く、ディスプレイユニット13Aの全体の強度を高めることができる。また、基板部品実装部42が上筐体10の外側方向(内面10a側の方向)に向けて設置されることにより、基板部品実装部42に対するシールド部材を設ける必要がなくなり、ディスプレイユニット13Aの全体の厚さを厚くすること無く形成することができる。
【0023】
ただし、基板部品実装部42を上筐体10の外側方向(内面10a側の方向)に向けて設置した構造では、コネクタ等を従来通りに、ホルダ部材30の反対面(外側面)に配置すると、その分厚みが厚くなってしまうが、基板部材40をフレキシブル基板にして、ホルダ部材30における基板部材40の各部分の取り付け位置(高さ)を変えることにより、ディスプレイユニット13Aの全体の厚みを増すことなくコネクタを配置できる。
【0024】
図5(A)に、携帯電話機1のディスプレイユニット13Aの作用を説明するための図を示す。図5(A)に示すように、携帯電話機1のディスプレイユニット13Aにおいて、ホルダ部材30に設けられた凹凸に合わせて基板部材40が組み込まれているため、ホルダ部材30の厚さBと、ディスプレイユニット13Aの全体の厚さCとが、ほぼ同程度の厚さとなり、ディスプレイユニット13Aが薄型に形成されていることがわかる。
【0025】
また、ホルダ部材30が凹部やリブを備えた形状に形成されていて、基板部材40がこの凹部やリブにより保持されるため、凹部やリブを有さない単純な板状のホルダ部材を用いた場合に比べて、ディスプレイユニット13Aの強度が高められることがわかる。
【0026】
一方、図5(B)に、従来の携帯電話機において、ディスプレイユニットの強度を高めようとした場合による作用を説明するための図を示す。図5(B)に示すように、従来の携帯電話機の強度を高めようとした場合では、ホルダ部材Eの一方の面にディスプレイ部材Fが嵌め込まれるとともに、ホルダ部材Eのもう一方の面に基板部材Gが設置され、基板部材Gに備えられた基板部品実装部Hや上下接続用BtoBコネクタIやディスプレイコネクタJが、基板部材Gから突出するような構造となる。よって、従来の携帯電話機1は、ディスプレイユニットの全体の厚さが、ホルダ部材Eの厚さBよりだいぶ厚くなってしまう。また、基板部材Gの基板部品実装部Hが筐体の内側方向に向いて設置されているため、この基板部品実装部Hに対するシールド部材を設ける必要が生じてしまい、従来の携帯電話機によって強度を高めようとすると、さらに厚く形成されざるを得ないことがわかる。
【0027】
本発明に係る携帯電話機1によると、ディスプレイ部材20やフレキシブル基板で形成された基板部材40がホルダ部材30に設置される際に、ディスプレイ部材20や基板部材40に設けられた凸状の部品が、ホルダ部材30の凹凸に合わせて設置されることにより、ディスプレイユニット13Aの全体の厚みを大きくすることなく、強度を高めることが可能となる。この際、基板部材40をフレキシブル基板で形成することにより、基板部材40の各部分の取り付け位置(高さ)を変えて、ホルダ部材30の凹部の内部にコネクタを配置することにより、ディスプレイユニット13Aの全体の厚みを厚くすることなく強度を高めることが可能となる。
【0028】
また、本発明に係る携帯電話機1によると、基板部材40がホルダ部材30に、基板部品実装部42の実装部分が上筐体10の外側方向(内面10a側の方向)を向くように設置されることにより、ホルダ部材30によって基板部材40の電気的シールドを行うことが可能となる。
【0029】
本発明の説明として、携帯電話機1について説明したが、これに限らず、PHS(Personal Handyphone System)、PDA(Personal Digital Assistants)、携帯ゲーム機、携帯テレビ等、液晶ディスプレイを備えた電子機器であれば、任意の電子機器であって良い。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明に係る携帯電話機を示す斜視図。
【図2】本発明に係る携帯電話機のディスプレイユニットの分解図を外面側から見た状態を示す分解斜視図。
【図3】本発明に係る携帯電話機のディスプレイユニットの分解図を内面側から見た状態を示す分解斜視図。
【図4】(A)は、本発明に係る携帯電話機において、ディスプレイ部材、ホルダ部材、基板部材が順に積層されてなるディスプレイユニットを示す上面図、(B)は、(A)のA方向における断面図。
【図5】(A)は、本発明に係る携帯電話機のディスプレイユニットによる作用を説明するための図、(B)は、従来の携帯電話機のディスプレイユニットによる作用を説明するための図。
【符号の説明】
【0031】
1…携帯電話機,10…上筐体,10a…上筐体の内面,10b…上筐体の外面,11…下筐体,11a…下筐体の内面,11b…下筐体の外面,12…ヒンジ部,13…液晶ディスプレイ,13A…ディスプレイユニット,14…スピーカ,15…操作キー,16…マイクロフォン,20…ディスプレイ部材,21…ディスプレイ本体,21a…ディスプレイ本体の内面,21b…ディスプレイ本体の外面,22…ディスプレイパネル,23…凸部,30…ホルダ部材,31…ホルダ本体,31a…ホルダ本体の内面,31b…ホルダ本体の外面,32、33、34…凹部,35…リブ,40…基板部材,41…基板本体,41a…基板本体の内面,41b…基板本体の外面,42…基板部品実装部,43…上下接続用BtoBコネクタ,44…ディスプレイコネクタ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ディスプレイが装備されたディスプレイ部材、ディスプレイに対するコネクタが装備された基板部材、及び、一方の面にディスプレイ部材を保持し他方の面に基板部材を保持する板状のホルダ部材からなるディスプレイユニットを備えた携帯電話機であって、
前記基板部材がフレキシブル基板により形成されるとともに、前記ホルダ部材が前記基板部材のコネクタを内部に収納する第1の凹部を備え、
前記基板部材は、コネクタが前記ホルダ部材の第1の凹部に嵌め込まれるようにして、前記ホルダ部材に保持されたことを特徴とする携帯電話機。
【請求項2】
前記ホルダ部材は、前記基板部材の部品実装面を保持するリブを備え、
前記基板部材は、前記部品実装面が前記ホルダ部材のリブに、前記ホルダ部材と対面するようにして前記ホルダ部材に保持されたことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。
【請求項3】
前記ディスプレイ部材が、画像信号を入力するための部品が収納された凸部を備えるとともに、前記ホルダ部材が、前記ディスプレイ部材の凸部を内部に収納する第2の凹部を備え、
前記ディスプレイ部材は、前記凸部が前記ホルダ部材の第2の凹部に嵌め込まれるようにして、前記ホルダ部材に保持されたことを特徴とする請求項1記載の携帯電話機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−164762(P2009−164762A)
【公開日】平成21年7月23日(2009.7.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−340162(P2007−340162)
【出願日】平成19年12月28日(2007.12.28)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】