説明

携帯電話端末、不正操作判定方法、不正操作判定プログラムおよびプログラム記録媒体

【課題】不正な操作がなされたことを確実に検知し、自動的にロックを掛けることが可能な携帯電話端末を提供する。
【解決手段】操作部2のキーの操作により、通信を行ったり、内部に記憶されている情報を読み出したりすることができる携帯電話端末において、不正操作判定モジュール5において、不正操作の判定基準としてあらかじめ不正操作記憶領域6に設定登録されているキー操作がなされたことを検出した際に、ロック制御部4によって操作部2のキー操作に自動的にロックを掛ける。不正操作記憶領域6に設定登録する不正操作の判定基準に関するキー操作を、当該携帯電話端末の正当なユーザが任意に設定登録および変更登録することを可能とする。例えば、不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数に及ぶキー操作がなされた場合を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、携帯電話端末、不正操作判定方法、不正操作判定プログラムおよびプログラム記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、情報セキュリティが益々厳しくなってきており、より一層安全な携帯電話端末が求められている。携帯電話端末は日常生活で持ち歩くため、紛失などが多い一方、電話帳データやメールデータなどの重要な情報も多く記録されており、情報流出の被害も多い。
【0003】
そこで、例えば、特許文献1の特開平11−4291号公報「携帯電話機」のように、通話終了後に一定時間が経過すると、パスワードの入力以外のキー入力を一切無効にすることによって、携帯電話端末に強制的にロックを掛けるという仕組みも提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−4291号公報(第2−3頁)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前述のように、従来の携帯電話端末の場合、例えば携帯電話端末の盗難や紛失時等において、携帯電話端末のロックが掛からないため、携帯電話端末に記憶されている情報が第三者に読み取られる場合は発生してしまい、セキュリティ的に問題があった。
【0006】
このため、例えば、NTTドコモの「おまかせロック」や「遠隔ロック」等のように、遠隔からの操作信号により、携帯電話端末に対してロックを掛けることも可能な仕組みも考えられており、実用化されているが、ロックの対象となる携帯電話端末が通信圏外時などに存在しているような場合には、当該携帯電話端末に対してロックを掛けることができず、セキュリティ上の問題を解消させることはできない。
【0007】
あるいは、前記特許文献1のような仕組みも提案されているが、一旦、パスワードを入力してロックを解除した後は、通話をしない限り、ロックを掛けることができないので、矢張り、セキュリティ上の問題を解消させることはできない。
【0008】
また、前記特許文献1のような仕組みでは、たとえ、正当な所有者が利用している場合であっても、通話を行う都度、携帯電話端末のロックが掛かってしまうため、通話後に利用しようとする際に、常に、ロックの解除を行う操作を行わなければならなくなるという不都合も発生してしまう。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、不正な操作がなされたことを確実に検知し、自動的にロックを掛けることを可能とする携帯電話端末、不正操作判定方法、不正操作判定プログラムおよびプログラム記録媒体を提供することを、その目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述の課題を解決するため、本発明による携帯電話端末は、次のような特徴的な構成を採用している。
【0011】
(1)操作用の各種のキーを備え、該キーの操作により、通信を行ったり、内部に記憶されている情報を読み出したりすることができる携帯電話端末において、不正操作の判定基準としてあらかじめ設定登録されているキー操作がなされた際に、キー操作に自動的にロックを掛ける携帯電話端末。
【発明の効果】
【0012】
本発明の携帯電話端末、不正操作判定方法、不正操作判定プログラムおよびプログラム記録媒体によれば、以下のような効果を奏することができる。
【0013】
第1の効果は、簡単な操作に基づいた、自動ロック機能を実現することができることである。
【0014】
第2の効果は、正当なユーザは任意に不正操作の判定基準を設定登録することができるので、当該ユーザは情報漏洩を防ぐためのロック発動条件を自由に設定したり、変更したりすることができ、柔軟な自動ロック機構を実現することができることである。
【0015】
第3の効果は、携帯電話端末の電波状況(圏内/圏外)に関係なく、自動ロック機構を実現することができることである。
【0016】
第4の効果は、NTTドコモの「おまかせロック」や「遠隔ロック」等の既存の遠隔ロックシステムと併用することができることである。
【0017】
第5の効果は、ハードウェアに依存しない自動ロック機構であり、携帯電話端末の機種によらず柔軟性に富む不正操作防止機構を実現することができることである。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明に係る携帯電話端末の内部構成の一例を示すブロック図である。
【図2】本発明に係る携帯電話端末の第1の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図3】本発明に係る携帯電話端末の第2の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図4】本発明に係る携帯電話端末の第3の動作例を説明するためのフローチャートである。
【図5】本発明に係る携帯電話端末の第4の動作例を説明するためのフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明による携帯電話端末、不正操作判定方法、不正操作判定プログラムおよびプログラム記録媒体の好適な実施例について添付図を参照して説明する。なお、以下の説明においては、本発明による携帯電話端末、不正操作判定方法について説明するが、かかる不正操作判定方法をコンピュータにより実行可能な不正操作判定プログラムとして実施するようにしても良いし、あるいは、不正操作判定プログラムをコンピュータにより読み取り可能な記録媒体に記録するようにしても良いことは言うまでもない。
【0020】
(本発明の特徴)
本発明の実施形態の説明に先立って、本発明の特徴についてその概要をまず説明する。本発明は、携帯電話端末の正当な利用者が利用している限り、ロックが掛かってしまうことはないが、不正な利用者(第三者)による不正操作が行われた場合には、自動的にロックが掛かる仕組みを備えていることを特徴としている。
【0021】
ここで、不正操作の判定基準については、例えば、次のような基準をそれぞれの携帯電話端末について正当な利用者の指示にしたがってあらかじめ設定登録するようにすれば良い。
【0022】
(1)あらかじめ定めた一定時間内におけるキー操作による判定
例えば、あらかじめ定めた一定時間内にあらかじめ定めた閾値回数以上の回数のキー操作がなされた場合を不正操作と判定する。
【0023】
(2)あらかじめ登録した特定のキー操作による判定
例えば、あらかじめ登録した特定のキー例えばメニューキー(機能開始キー)があらかじめ定めた一定時間内にあらかじめ定めた閾値回数以上の回数の操作がなされた場合を不正操作と判定する(例えばメニューキーの場合は不正な機能起動が行われたものと判定する)。あるいは、例えばクリアキーまたは終了キーがあらかじめ定めた一定時間内にあらかじめ定めた閾値回数以上の回数操作された場合を不正操作と判定する(つまり、第三者が、何度も誤った操作を行って、復旧させるための手順を繰り返している場合と判定する)。あるいは、例えばメニューキー押下後、あらかじめ定めた一定時間内に、キー操作が行われなかった場合を不正操作と判定する。
【0024】
(3)正当な利用者に特有な操作としてあらかじめ登録した操作による判定
例えば、機能起動前に特定の操作が行われなかった場合つまりメニューキー(機能開始キー)の前に特定のキー操作が行われなかった場合を不正操作と判定する。具体的には、クリアキーを押下した直後にメニューキー(機能開始キー)を押下した場合にのみ、メニューキーの押下操作を有効とし、メニューの中から選択された機能が起動されるようにあらかじめ登録しておく。クリアキーの押下なしにメニューキーの操作がなされた場合は不正操作と判定する。
【0025】
前記不正操作の判定基準に該当する不正操作が行われた場合には、自動的にロックが掛かる仕組みを導入することにより、携帯電話端末が存在する位置が通信圏内または通信圏外等の電波状況の如何に関係なく、また、通話の有無に関係なく、第三者の不正な操作を検知して自動的にロックが掛かるので、携帯電話端末に記憶されている情報(プライベートな情報等)のセキュリティ性を向上させ、第三者に漏洩することを確実に防止することができる。
【0026】
(実施形態の構成例)
次に、本発明に係る携帯電話端末の実施形態の構成例について、図1を用いて説明する。図1は、本発明に係る携帯電話端末の内部構成の一例を示すブロック図である。図1に示すように、本実施形態における携帯電話端末は、表示部1、操作部2、表示操作制御部3、ロック制御部4、不正操作判定モジュール5および不正操作記憶領域6を少なくとも含んで構成されている。
【0027】
表示部1と操作部2とにより、携帯電話端末の一般的なユーザインターフェースを提供する。なお、表示操作制御部3の制御の下、表示部1と操作部2とを用いて、パスワード等により個人認証が得られた正当なユーザは不正操作の判定基準の登録を行うことが可能であり、当該ユーザにより登録の指示があった不正操作の判定基準は、不正操作記憶領域6に格納される。
【0028】
ロック制御部4は、携帯電話端末の操作をロックするための制御機構を提供する。ロック機能の発動可否については、表示部1と操作部2とのユーザインターフェースから得られた操作情報が正当な操作か不正な操作かについて、不正操作の判定基準を基にして、不正操作判定モジュール5にて判定を行い、不正な操作がなされたと判定した場合は、当該ロック制御部4により、ロック機能が発動される。なお、不正操作の判定基準については、前述したように、不正操作記憶領域6に登録されている情報を使用する。
【0029】
(実施形態の動作の説明)
次に、図1に示す携帯電話端末の動作について、いくつかの具体例を用いて説明する。
【0030】
(第1の動作例)
まず、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数のキー操作がなされた場合を不正操作と判定する旨が、不正操作記憶領域6に不正操作の判定基準として登録されている場合について、図2のフローチャートを用いて第1の動作例として説明する。図2は、本発明に係る携帯電話端末の第1の動作例を説明するためのフローチャートであり、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数のキー操作がなされた場合を不正操作と判定する動作について示している。
【0031】
例えば、携帯電話端末の表示部1に表示されている待受け画面から、何らかの機能を起動する際には、操作部2のキー押下操作を行うが、まず、いずれかのキーが押下された際に(ステップS1)、タイマーを起動するとともに(ステップS2)、キー押下回数のカウントアップを開始する(ステップS3)。
【0032】
しかる後、不正操作判定モジュール5において、不正操作記憶領域6に登録されている不正操作の判定基準に基づいて、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上のキー操作が行われたか否かを判定し(ステップS4)、前記一定時間が経過していない場合で、かつ、前記閾値回数よりもキー操作回数が少ない場合(ステップS4のNO)、前記一定時間が経過したか否かを確認する(ステップS5)。
【0033】
まだ、前記一定時間が経過していない場合は(ステップS5のNO)、一応正常な操作中であるものとみなして、操作の継続を許可して(ステップS6)、ステップS3に復帰する。一方、前記一定時間が経過していた場合には(ステップS5のYES)、前記一定時間が経過しても前記閾値回数よりもキー操作回数が少ない場合であったので、正常な操作がなされているものと判定して、今までカウントアップしてきたキー操作回数のカウンタをリセットした後(ステップS7)、ステップS1に復帰して、次のキー操作を待ち合わせる。
【0034】
一方、前記一定時間が経過していない場合であって、かつ、前記閾値回数以上のキー操作回数がなされた場合(ステップS4のYES)、不正操作判定モジュール5において、不正操作がなされたものと判定して、ロック制御部4に対してその旨を通知することにより、ロック制御部4において、当該携帯電話端末にロックを掛ける動作を自動的に発動する(ステップS8)。
【0035】
なお、タイマーが計時する前記一定時間およびキー操作回数に関する前記閾値回数については、不正操作記憶領域6に不正操作の判定基準として登録されている情報であるが、ユーザが適宜設定したり変更したりすることが可能である。
【0036】
かくのごとく、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数のキー操作がなされた場合を不正操作の判定基準として登録することによって、第三者が短時間のうちに様々な個人データを参照しようとして、携帯電話端末の操作部2のキーを繰り返し押下するような場合、情報の漏洩を防ぐために自動的にロックを掛けることができるという効果が得られる。
【0037】
(第2の動作例)
次に、あらかじめ定めた特定のキーについて、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数の当該特定キーの操作がなされた場合を不正操作と判定する旨が、不正操作記憶領域6に不正操作の判定基準として登録されている場合について、図3のフローチャートを用いて第2の動作例として説明する。図3は、本発明に係る携帯電話端末の第2の動作例を説明するためのフローチャートであり、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数の特定キーの操作がなされた場合を不正操作と判定する動作について示している。
【0038】
例えば、携帯電話端末の操作部2の各種のキーのうち、メニューキーのような機能開始キー等を、特性キーとして、あらかじめ設定登録しておき、設定登録された該特定キーが押下された際には(ステップS11)、タイマーを起動するとともに(ステップS12)、該特定キーの押下回数のカウントアップを開始する(ステップS13)。
【0039】
しかる後、不正操作判定モジュール5において、不正操作記憶領域6に登録されている不正操作の判定基準に基づいて、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の前記特定キーに関するキー操作が行われたか否かを判定し(ステップS14)、前記一定時間が経過していない場合で、かつ、前記閾値回数よりも前記特定キーのキー操作回数が少ない場合(ステップS14のNO)、前記一定時間が経過したか否かを確認する(ステップS15)。
【0040】
まだ、前記一定時間が経過していない場合は(ステップS15のNO)、一応正常な操作中であるものとみなして、操作の継続を許可して(ステップS16)、ステップS13に復帰する。一方、前記一定時間が経過した場合には(ステップS15のYES)、前記一定時間が経過しても前記閾値回数よりも前記特定キーの操作回数が少ない場合であったので、正常な操作がなされているものと判定して、今までカウントアップしてきた特定キーの操作回数のカウンタをリセットした後(ステップS17)、ステップS11に復帰して、次のキー操作を待ち合わせる。
【0041】
一方、前記一定時間が経過していない場合であって、かつ、前記閾値回数以上の前記特定キーのキー操作がなされた場合(ステップS14のYES)、不正操作判定モジュール5において、不正操作がなされたものと判定して、ロック制御部4に対してその旨を通知することにより、ロック制御部4において、当該携帯電話端末にロックを掛ける動作を自動的に発動する(ステップS18)。
【0042】
なお、タイマーが計時する前記一定時間、特定キー操作回数に関する前記閾値回数、および、前記特定キーについては、不正操作記憶領域6に不正操作の判定基準として登録されている情報であるが、ユーザが適宜設定したり変更したりすることが可能である。
【0043】
例えば、特定キーに関しては、前述のメニューキー(機能開始キー)に限るものではなく、例えば、クリアキーや終了キーを設定登録するようにしても良い。基本的に、クリアキーや終了キーは、誤操作を行った場合に操作するキーであり、通常の操作では、前記一定時間内に前記閾値回数以上も押下操作することは少ないキーである。一方、当該携帯電話端末のユーザインターフェースを知らない第三者が操作している場合には、誤操作が増え、クリアキーや終了キーを押下操作する回数が、前記一定時間内に前記閾値回数以上に及ぶ可能性が高い。
【0044】
かくのごとく、あらかじめ設定登録した特定キーに関して、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の前記特定キーの操作がなされた場合を不正操作の判定基準として登録することによって、携帯電話端末のユーザインターフェースを知らない第三者が短時間のうちに操作部2のキーの誤操作を繰り返すような場合、あるいは、種々の情報を参照しようとしてメニューキー等の特定キーを短時間のうちに繰り返し押下操作するような場合、情報の漏洩を防ぐために自動的にロックを掛けることができるという効果が得られる。
【0045】
(第3の動作例)
次に、あらかじめ定めた特定のキーの押下後、あらかじめ定めた一定時間内に、何らかのキーの操作がなされかった場合を不正操作と判定する旨が、不正操作記憶領域6に不正操作の判定基準として登録されている場合について、図4のフローチャートを用いて第3の動作例として説明する。図4は、本発明に係る携帯電話端末の第3の動作例を説明するためのフローチャートであり、特定のキーの押下後、あらかじめ定めた一定時間内に、何らかのキーの操作がなされかった場合を不正操作と判定する動作について示している。
【0046】
例えば、メニューキーのような機能開始キー等、あらかじめ設定登録した特定のキーが押下された際に(ステップS21)、タイマーを起動する(ステップS22)。
【0047】
しかる後、不正操作判定モジュール5において、不正操作記憶領域6に登録されている不正操作の判定基準に基づいて、あらかじめ定めた一定時間内に何らかのキー操作が行われたか否かを監視し(ステップS23)、何らかのキー操作がなされた場合には(ステップS23のYES)、正常な操作がなされているものと判定して、操作の継続を許可して(ステップS24)、ステップS21に復帰して、次の特定キーの操作がなされるまで、不正操作の判定処理を待ち合わせる。
【0048】
一方、一定時間内に何らのキー操作も行われず、該一定時間が経過した場合は(ステップS23のNO)、不正操作判定モジュール5において、不正操作がなされたものと判定して、ロック制御部4に対してその旨を通知することにより、ロック制御部4において、当該携帯電話端末にロックを掛ける動作を自動的に発動する(ステップS25)。
【0049】
なお、タイマーが計時する前記一定時間や前記特定キーについては、不正操作記憶領域6に不正操作の判定基準として登録されている情報であるが、ユーザが適宜設定したり変更したりすることが可能である。
【0050】
本動作例においては、例えば、特定キーに関しては、メニューキーを設定登録するようにしても良い。基本的に、メニューキーは、メニュー画面を表示部1に表示して各種の機能を選択して実行しようとする機能開始キーであるが、当該携帯電話端末のユーザインターフェースを知らない第三者は、メニューキーを操作してメニュー画面を表示しても、操作に悩んで、無操作のままになることも想定され、前記一定時間が経過してしまった場合、第三者の不正操作とみなして、情報の漏洩を防ぐために自動的にロックを掛けることができるという効果が得られる。
【0051】
(第4の動作例)
次に、機能を起動する前に、あらかじめ定めた特定の操作がなされかった場合を不正操作と判定する旨が、不正操作記憶領域6に不正操作の判定基準として登録されている場合について、図5のフローチャートを用いて第4の動作例として説明する。図5は、本発明に係る携帯電話端末の第4の動作例を説明するためのフローチャートであり、機能を起動する前に、あらかじめ定めた特定の操作がなされかった場合を不正操作と判定する動作について示している。
【0052】
不正操作の判定基準として、機能開始前に、あらかじめ設定登録した特定操作を行う旨を登録しておく。例えば、仮に、「特定操作」=「クリアキー押下」として登録しておく。
【0053】
表示部1のメニュー画面から機能を起動する前に、まず、「クリアキー」の押下など、あらかじめ設定登録した特定の操作を行う(ステップS31)。しかる後、メニューキーを押下することによりメニュー画面を開く機能を開始しようとする(ステップS32)。このとき、不正操作判定モジュール5において、不正操作記憶領域6に登録されている不正操作の判定基準に基づいて、あらかじめ設定登録した特定操作が行われたか否か判定する(ステップS33)。
【0054】
メニューキー(機能開始キー)の押下によって機能を起動する前に、例えば「クリアキー」の押下などのあらかじめ設定登録した特定の操作が行われていた場合は(ステップS33のYES)、正常な操作がなされているものと判定して、操作の継続を許可して(ステップS34)、ステップS31に復帰して、次の特定の操作がなされるか、あるいは、機能の起動操作がなされるまで、不正操作の判定処理を待ち合わせる。
【0055】
一方、メニューキー(機能開始キー)の押下によって機能を起動する前に、例えば「クリアキー」の押下などのあらかじめ設定登録した特定の操作が行われていなかった場合は(ステップS33のNO)、不正操作判定モジュール5において、不正操作がなされたものと判定して、ロック制御部4に対してその旨を通知することにより、ロック制御部4において、当該携帯電話端末にロックを掛ける動作を自動的に発動する(ステップS35)。
【0056】
なお、前記特定操作については、不正操作記憶領域6に不正操作の判定基準として登録されている情報であるが、ユーザが適宜設定したり変更したりすることが可能である。
【0057】
携帯電話端末の一般的な操作方法しか分からない第三者は、一般的な携帯電話端末の場合には、メニュー画面から或る機能を起動しようとする場合、不正操作の判定用としてあらかじめ設定登録しているような特定操作は行わないので、機能を起動する前に、あらかじめ定めた特定の操作がなされかった場合を、第三者の不正操作とみなして、情報の漏洩を防ぐために自動的にロックを掛けることができるという効果が得られる。
【0058】
(実施形態の効果の説明)
以上に詳細に説明したように、本実施形態においては、次のような効果が得られる。
(1)簡単な操作に基づいた、自動ロック機能を実現することができる。
(2)正当なユーザは任意に不正操作の判定基準を設定登録することができるので、当該ユーザは情報漏洩を防ぐためのロック発動条件を自由に設定したり、変更したりすることができ、柔軟な自動ロック機構を実現することができる。
(3)携帯電話端末の電波状況(圏内/圏外)に関係なく、自動ロック機構を実現することができる。
(4)NTTドコモの「おまかせロック」や「遠隔ロック」等の既存の遠隔ロックシステムと併用することができる。
(5)ハードウェアに依存しない自動ロック機構であり、携帯電話端末の機種によらず柔軟性に富む不正操作防止機構を実現することができる。
【0059】
以上、本発明の好適実施例の構成を説明した。しかし、斯かる実施例は、本発明の単なる例示に過ぎず、何ら本発明を限定するものではないことに留意されたい。本発明の要旨を逸脱することなく、特定用途に応じて種々の変形変更が可能であることが、当業者には容易に理解できよう。例えば、本発明の実施態様は、課題を解決するための手段における構成(1)に加えて、次のような構成として表現できる。
(2)前記不正操作の判定基準に関するキー操作を、当該携帯電話端末の正当なユーザが任意に設定登録および変更登録することが可能な上記(1)の携帯電話端末。
(3)前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数に及ぶキー操作がなされた場合を設定登録する上記(1)または(2)の携帯電話端末。
(4)前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するためのキーとしてあらかじめ設定登録した特定キーに関し、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数に及んで、当該特定キーの操作がなされた場合を設定登録する上記(1)ないし(3)のいずれかの携帯電話端末。
(5)前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するためのキーとしてあらかじめ設定登録した特定キーを操作した後、あらかじめ定めた一定時間が経過するまでに、キー操作がなされなかった場合を設定登録する上記(1)ないし(3)のいずれかの携帯電話端末。
(6)前記特定キーとして、機能開始用のメニューキー、クリアキー、終了キーのいずれか1ないし複数を少なくとも含む上記(4)または(5)の携帯電話端末。
(7)前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するために機能開始前に実施する操作としてあらかじめ設定登録した特定操作を行うことなく、機能開始用のメニューキーを操作した場合を設定登録する上記(1)ないし(6)のいずれかの携帯電話端末。
(8)前記特定操作として、クリアキーの操作を少なくとも含む上記(7)の携帯電話端末。
(9)操作用の各種のキーを備え、該キーの操作により、通信を行ったり、内部に記憶されている情報を読み出したりすることができる携帯電話端末における不正操作判定方法であって、不正操作の判定基準としてあらかじめ設定登録されているキー操作がなされた際に、キー操作に自動的にロックを掛ける不正操作判定方法。
(10)前記不正操作の判定基準に関するキー操作を、携帯電話端末の正当なユーザが任意に設定登録および変更登録することが可能な上記(9)の不正操作判定方法。
(11)前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数に及ぶキー操作がなされた場合を設定登録する上記(9)または(10)の不正操作判定方法。
(12)前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するためのキーとしてあらかじめ設定登録した特定キーに関し、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数に及んで、当該特定キーの操作がなされた場合を設定登録する上記(9)ないし(11)のいずれかの不正操作判定方法。
(13)前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するためのキーとしてあらかじめ設定登録した特定キーを操作した後、あらかじめ定めた一定時間が経過するまでに、キー操作がなされなかった場合を設定登録する上記(9)ないし(11)のいずれかの不正操作判定方法。
(14)前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するために機能開始前に実施する操作としてあらかじめ設定登録した特定操作を行うことなく、機能開始用のメニューキーを操作した場合を設定登録する上記(9)ないし(13)のいずれかの不正操作判定方法。
(15)上記(9)ないし(14)のいずれかの不正操作判定方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施している不正操作判定プログラム。
(16)上記(15)の不正操作判定プログラムを、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録しているプログラム記録媒体。
【符号の説明】
【0060】
1 表示部
2 操作部
3 表示操作制御部
4 ロック制御部
5 不正操作判定モジュール
6 不正操作記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作用の各種のキーを備え、該キーの操作により、通信を行ったり、内部に記憶されている情報を読み出したりすることができる携帯電話端末において、不正操作の判定基準としてあらかじめ設定登録されているキー操作がなされた際に、キー操作に自動的にロックを掛けることを特徴とする携帯電話端末。
【請求項2】
前記不正操作の判定基準に関するキー操作を、当該携帯電話端末の正当なユーザが任意に設定登録および変更登録することが可能なことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話端末。
【請求項3】
前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数に及ぶキー操作がなされた場合を設定登録することを特徴とする請求項1または2に記載の携帯電話端末。
【請求項4】
前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するためのキーとしてあらかじめ設定登録した特定キーに関し、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数に及んで、当該特定キーの操作がなされた場合を設定登録することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯電話端末。
【請求項5】
前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するためのキーとしてあらかじめ設定登録した特定キーを操作した後、あらかじめ定めた一定時間が経過するまでに、キー操作がなされなかった場合を設定登録することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の携帯電話端末。
【請求項6】
前記特定キーとして、機能開始用のメニューキー、クリアキー、終了キーのいずれか1ないし複数を少なくとも含むことを特徴とする請求項4または5に記載の携帯電話端末。
【請求項7】
前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するために機能開始前に実施する操作としてあらかじめ設定登録した特定操作を行うことなく、機能開始用のメニューキーを操作した場合を設定登録することを特徴とする請求項1ないし6のいずれかに記載の携帯電話端末。
【請求項8】
前記特定操作として、クリアキーの操作を少なくとも含むことを特徴とする請求項7に記載の携帯電話端末。
【請求項9】
操作用の各種のキーを備え、該キーの操作により、通信を行ったり、内部に記憶されている情報を読み出したりすることができる携帯電話端末における不正操作判定方法であって、不正操作の判定基準としてあらかじめ設定登録されているキー操作がなされた際に、キー操作に自動的にロックを掛けることを特徴とする不正操作判定方法。
【請求項10】
前記不正操作の判定基準に関するキー操作を、携帯電話端末の正当なユーザが任意に設定登録および変更登録することが可能なことを特徴とする請求項9に記載の不正操作判定方法。
【請求項11】
前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数に及ぶキー操作がなされた場合を設定登録することを特徴とする請求項9または10に記載の不正操作判定方法。
【請求項12】
前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するためのキーとしてあらかじめ設定登録した特定キーに関し、あらかじめ定めた一定時間内に、あらかじめ定めた閾値回数以上の回数に及んで、当該特定キーの操作がなされた場合を設定登録することを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載の不正操作判定方法。
【請求項13】
前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するためのキーとしてあらかじめ設定登録した特定キーを操作した後、あらかじめ定めた一定時間が経過するまでに、キー操作がなされなかった場合を設定登録することを特徴とする請求項9ないし11のいずれかに記載の不正操作判定方法。
【請求項14】
前記不正操作の判定基準に設定登録するキー操作として、不正操作を検出するために機能開始前に実施する操作としてあらかじめ設定登録した特定操作を行うことなく、機能開始用のメニューキーを操作した場合を設定登録することを特徴とする請求項9ないし13のいずれかに記載の不正操作判定方法。
【請求項15】
請求項9ないし14のいずれかに記載の不正操作判定方法を、コンピュータによって実行可能なプログラムとして実施していることを特徴とする不正操作判定プログラム。
【請求項16】
請求項15に記載の不正操作判定プログラムを、コンピュータによって読み取り可能な記録媒体に記録していることを特徴とするプログラム記録媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2010−199754(P2010−199754A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−39947(P2009−39947)
【出願日】平成21年2月23日(2009.2.23)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】