説明

携帯電話端末、携帯電話端末の音声伝達方法、携帯電話端末の音声伝達プログラム

【課題】パネルスピーカと骨伝導との両方を利用可能であって、小型であり、軽量であって、低価格な携帯電話端末、携帯電話端末の音声伝達方法、携帯電話端末の音声伝達プログラムを提供する。
【解決手段】携帯電話端末100は、表示部121を振動させることができるように設けられた第1の振動子124及び第2の振動子125と、第1の振動子124を振動させて表示部121を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、第2の振動子125を振動させて表示部121を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように第1の振動子124及び第2の振動子125を制御する制御部133とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、骨伝導モードと、スピーカモードとを利用可能な携帯電話端末、携帯電話端末の音声伝達方法、携帯電話端末の音声伝達プログラムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
携帯電話端末の着信時や音楽再生時等に、空気を振動させる気導音を発する手段として、従来のスピーカに代えてパネルスピーカを用いるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
しかし、パネルスピーカでは、周りに音声が漏れてしまうので、通話時に利用するのは望ましくない場合が多かった。
【0003】
一方、音漏れの少ない音声伝達方法として、骨伝導が知られている(例えば、特許文献2参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第3929465号公報
【特許文献2】特開2003−145048号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、パネルスピーカと骨伝導との両方を携帯電話端末に装備すると、端末の小型化、軽量化、低価格化等の要求に応えることができないという問題があった。
【0006】
本発明の課題は、パネルスピーカと骨伝導との両方を利用可能であって、小型であり、軽量であって、低価格な携帯電話端末、携帯電話端末の音声伝達方法、携帯電話端末の音声伝達プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上記の課題を解決するために、以下の事項を提案している。なお、理解を容易にするために、本発明の実施形態に対応する符号を付して説明するが、これに限定されるものではない。
【0008】
(1)本発明は、表示パネル(121,221)又は外装部材の少なくとも一方を振動させることができるように設けられた少なくとも1つの振動子(124,224,125,225,226)と、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように前記振動子を制御する制御部(133,233)と、を備える携帯電話端末(100,200)を提案している。
【0009】
この発明によれば、振動子は、表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を振動させることができるように設けられている。制御部は、振動子を振動させて表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、振動子を振動させて表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように振動子を制御する。したがって、振動子を骨伝導モードとスピーカモードとに共用でき、パネルスピーカと骨伝導との両方を利用可能な携帯電話端末を、小型化し、軽量化し、低価格化できる。
【0010】
(2)本発明は、(1)に記載の携帯電話端末において、前記振動子(124,224,125,225,226)は、少なくとも前記骨伝導モード時に振動する第1の振動子(124,224)と、前記第1の振動子とは異なる位置に配置された第2の振動子(125,225)と、を含み、前記骨伝導モード時に、音漏れを軽減させるように前記第2の振動子を振動させる振動波形変更部(132,232A,232B)を備えること、を特徴とする携帯電話端末(100,200)を提案している。
【0011】
この発明によれば、振動子は、少なくとも骨伝導モード時に振動する第1の振動子と、第1の振動子とは異なる位置に配置された第2の振動子とを含む。振動波形変更部は、骨伝導モード時に、音漏れを軽減させるように第2の振動子を振動させる。したがって、骨伝導モード時の音漏れを軽減できる。
【0012】
(3)本発明は、(2)に記載の携帯電話端末において、前記振動波形変更部(132,232A,232B)は、前記第2の振動子(125,225)の振動の位相を前記第1の振動子(124,224)の振動波形に対して反転させること、を特徴とする携帯電話端末(100,200)を提案している。
【0013】
この発明によれば、振動波形変更部は、第2の振動子の振動の位相を第1の振動子の振動波形に対して反転させる。したがって、第1の振動子の振動と第2の振動子の反転した振動によって互いの振動を打ち消すことにより、音漏れ成分を軽減することができる。
【0014】
(4)本発明は、(2)又は(3)に記載の携帯電話端末において、前記第2の振動子(125)は、前記第1の振動子(124)から離れた隔離位置に配置されており、前記スピーカモード時には、前記第1の振動子と同位相の振動を行うこと、を特徴とする携帯電話端末(100)を提案している。
【0015】
この発明によれば、第2の振動子は、第1の振動子から離れた隔離位置に配置されており、スピーカモード時には、第1の振動子と同位相の振動を行う。したがって、ステレオ音声の各チャネルの信号にしたがって第1の振動子と第2の振動子とのそれぞれを振動させることにより、スピーカモード時にステレオ音声を再生できる。
【0016】
(5)本発明は、(2)又は(3)に記載の携帯電話端末において、前記第1の振動子(224)から離れた隔離位置に配置された第3の振動子(226)を備え、前記第2の振動子(225)は、前記隔離位置よりも前記第1の振動子に近い近接位置に配置されており、前記骨伝導モード時には、音漏れを軽減させるように振動を行い、前記スピーカモード時には、振動を行わず、前記第3の振動子は、前記骨伝導モード時には、振動を行わず、前記スピーカモード時には、前記第1の振動子と同位相の振動を行うこと、を特徴とする携帯電話端末(200)を提案している。
【0017】
この発明によれば、第3の振動子は、第1の振動子から離れた隔離位置に配置されている。第2の振動子は、隔離位置よりも第1の振動子に近い近接位置に配置されており、骨伝導モード時には、音漏れを軽減させるように振動を行い、スピーカモード時には、振動を行わない。したがって、第1の振動子と第2の振動子とがより近い位置で互いの振動を打ち消す振動を行うことにより、骨伝導モード時の音漏れの抑制効果をより高めることができる。また、第3の振動子は、骨伝導モード時には、振動を行わず、スピーカモード時には、第1の振動子と同位相の振動を行う。よって、ステレオ音声の各チャネルの信号にしたがって第1の振動子と第3の振動子とのそれぞれを振動させることにより、スピーカモード時にステレオ音声を再生できる。
【0018】
(6)本発明は、(4)又は(5)に記載の携帯電話端末において、前記第1の振動子(224)は、前記スピーカモード時には、BTL接続されており、前記振動波形変更部(232A,232B)は、BTL接続の回路において逆位相の信号を生成する機能を有すること、を特徴とする携帯電話端末(200)を提案している。
【0019】
この発明によれば、第1の振動子は、スピーカモード時には、BTL接続されている。振動波形変更部は、BTL接続の回路において逆位相の信号を生成する機能を有する。したがって、振動波形変更部を音漏れ抑制とBTL接続との両方に利用でき、構成を簡素化できる。よって、携帯電話端末を小型化、軽量化、低価格化できる。また、アンプ出力をBTL接続することにより2倍にできるため、スピーカモード時に必要となる大きな振動出力を得ることができる。
【0020】
(7)本発明は、表示パネル(121,221)又は外装部材の少なくとも一方を振動させることができるように設けられた少なくとも1つの振動子(124,224,125,225,226)を備えた携帯電話端末(100,200)の音声伝達方法であって、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように前記振動子を制御すること、を特徴とする携帯電話端末の音声伝達方法を提案している。
【0021】
この発明によれば、振動子を振動させて表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、振動子を振動させて表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように振動子を制御する。したがって、振動子を骨伝導モードとスピーカモードとに共用でき、パネルスピーカと骨伝導との両方を利用可能な携帯電話端末を、小型化し、軽量化し、低価格化できる。
【0022】
(8)本発明は、表示パネル(121,221)又は外装部材の少なくとも一方を振動させることができるように設けられた少なくとも1つの振動子(124,224,125,225,226)を備えた携帯電話端末(100,200)の音声伝達プログラムであって、携帯電話端末のコンピュータ(133,233)に、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように前記振動子を制御する手順を実行させるための携帯電話端末の音声伝達プログラムを提案している。
【0023】
この発明によれば、音声伝達プログラムは、携帯電話端末のコンピュータに、振動子を振動させて表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、振動子を振動させて表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように振動子を制御する手順を実行させる。したがって、振動子を骨伝導モードとスピーカモードとに共用でき、パネルスピーカと骨伝導との両方を利用可能な携帯電話端末を、小型化し、軽量化し、低価格化できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、振動子を骨伝導モードとスピーカモードとに共用でき、パネルスピーカと骨伝導との両方を利用可能な携帯電話端末を、小型化し、軽量化し、低価格化できる。
また、本発明によれば、骨伝導モード時の音漏れを軽減できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明による第1実施形態の携帯電話端末100を示す図である。
【図2】骨伝導モード時の携帯電話端末100の一部を図1中の矢印A−Aで切断した断面を模式的に示した図である。
【図3】骨伝導モード時の携帯電話端末100の動作を説明するブロック図である。
【図4】スピーカモード時の携帯電話端末100の一部を図1中の矢印A−Aで切断した断面を模式的に示した図である。
【図5】スピーカモード時の携帯電話端末100の動作を説明するブロック図である。
【図6】本発明による第2実施形態の携帯電話端末200を示す図である。
【図7】骨伝導モード時の携帯電話端末200の一部を図6中の矢印B−Bで切断した断面を模式的に示した図である。
【図8】骨伝導モード時の携帯電話端末200の動作を説明するブロック図である。
【図9】スピーカモード時の携帯電話端末200の一部を図6中の矢印B−Bで切断した断面を模式的に示した図である。
【図10】スピーカモード時の携帯電話端末200の動作を説明するブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、図面を用いて、本発明の実施形態について詳細に説明する。
なお、本実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素等との置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、本実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0027】
(第1実施形態)
図1は、本発明による第1実施形態の携帯電話端末100を示す図である。
携帯電話端末100は、第1の筐体110と、第2の筐体120とが相対的にスライド移動可能な可動部として形成された、いわゆるスライド型の携帯電話端末である。
図1では、第1の筐体110及び第2の筐体120をスライドさせて開いた状態である使用形態を示している。以下、第1の筐体110及び第2の筐体120の図1において見えている側の面を表面と呼ぶ。一方、第1の筐体110及び第2の筐体120の図4において隠れている側の面を裏面と呼ぶ。
【0028】
第1の筐体110の表面には、第1の操作キー111と、マイク112とが設けられている。
第1の操作キー111は、数字や文字入力、各種選択等を行うときに操作される操作部材である。
マイク112は、通話時の音声を入力するマイクである。
【0029】
第2の筐体120の表面には、表示部121と、第2の操作キー122とが設けられている。
【0030】
表示部121は、携帯電話端末100の各種情報を表示する表示パネルである。
【0031】
第2の操作キー122は、第1の操作キー111が第2の筐体120により隠れてしまう収納形態であっても、基本的な操作を行うことができるように設けられている操作部材である。
【0032】
第1実施形態の携帯電話端末100は、骨伝導モードと、スピーカモードとの2つの音声伝達手法を備えている。
骨伝導モードでは、表示部121を骨伝導可能なように振動させる。骨伝導モード時には、表示部121は、利用者の頭部等に接触させられることにより、利用者の頭蓋骨等に振動を伝える。
スピーカモードでは、表示部121は、気導音が発生するように振動してパネルスピーカとして機能する。
これら、骨伝導モード、及び、スピーカモードに用いるために、表示部121の内側には、第1の振動子124と、第2の振動子125とが設けられている。
【0033】
第1の振動子124は、表示部121の領域のうち、第2の操作キー122から離れた上端側の位置に設けられている。したがって、第1の振動子124が配置されている位置は、利用者が通話時に頭蓋骨等に接触しやすい位置となっている。第1の振動子124は、表示部121の裏面側に密着して設けられており、表示部121を振動させることができる。第1実施形態の第1の振動子124は、骨伝導モードのとき、及び、スピーカモードのときに振動を行う。
【0034】
第2の振動子125は、表示部121の領域のうち、第2の操作キー122に近い下端側の位置、つまり、第1の振動子124から離れた隔離位置に配置されている。第2の振動子125は、表示部121の裏面側に密着して設けられており、表示部121を振動させることができる。
第1実施形態の第2の振動子125は、スピーカモード時には、第1の振動子124と同位相の振動を行う。また、第2の振動子125は、骨伝導モード時には、第1の振動子124の振動波形から位相が反転した逆位相の振動を行う。
第1の振動子124及び第2の振動子125としては、例えば、圧電素子を積層したバイモルフ型振動子を用いることができる。
【0035】
図2は、骨伝導モード時の携帯電話端末100の一部を図1中の矢印A−Aで切断した断面を模式的に示した図である。
図3は、骨伝導モード時の携帯電話端末100の動作を説明するブロック図である。
携帯電話端末100は、アンプ部131Aと、アンプ部131Bと、極性反転部132Aと、極性反転部132Bと、制御部133とを備えている。
【0036】
アンプ部131Aは、第1の振動子124を駆動するアンプである。アンプ部131Aは、2つのアンプを有しており、それぞれから出力があり、1つは、第1の振動子124へ直接繋がっており、もう1つは、極性反転部132A及びスイッチSW101を介して第1の振動子124へ、又は、第2の振動子125へ繋がっている。
【0037】
アンプ部131Bは、後述する図5に示すスピーカモード時に、第2の振動子125を駆動するアンプである。アンプ部131Bは、アンプ部131Aと同様に、2つのアンプを有しており、それぞれから出力があり、1つは、スイッチSW103を介して第2の振動子125へ繋がるようになっており、もう1つは、極性反転部132B及びスイッチSW104を介して第2の振動子125へ繋がるようになっている。
【0038】
骨伝導モード時には、スイッチSW101及びスイッチSW103が、極性反転部132Aと第2の振動子125とが繋がる側へ切り替えられる。また、スイッチSW102が閉じ、スイッチSW104は、第2の振動子125が接地する側に切り換えられる。さらに、アンプ部131Bは、OFFとなる。
そして、骨伝導モード時には、骨伝導で伝えるべき音声信号は、アンプ部131Aが有する2つのアンプのうちの1つからの出力が第1の振動子124へ伝わり、もう1つのアンプからの出力が極性反転部132Aにより逆位相の信号となって第2の振動子125へ伝わる。
【0039】
極性反転部132Aは、骨伝導モード時には、上述したように、アンプからの出力を反転させて音漏れを軽減させるように第2の振動子125を振動させる振動波形変更部である。したがって、骨伝導モード時には、第2の振動子125は、第1の振動子124の振動波形とは逆位相の振動波形で振動を行う。一方、後述するスピーカモード時には、極性反転部132Aは、BTL(Bridged Tied Load 又は Bridged Transless 又は Balanced Transformerless)接続において第1の振動子124への印加電圧が2倍となるように、音声信号を反転させて逆位相の信号に変換する。
【0040】
極性反転部132Bは、骨伝導モード時には、OFFとなっている。一方、後述するスピーカモード時には、極性反転部132Bは、BTL接続において第2の振動子125への印加電圧が2倍となるように、音声信号を反転させて逆位相の信号に変換する。
【0041】
骨伝導モードでは、振動が例えば頭蓋骨に伝わると、頭蓋骨が振動し、その振動が骨を介して聴覚器官である蝸牛に伝わり、いわゆる骨伝導による音声伝達が実現される。また、振動が弱く、頭蓋骨が振動する程の振動を生じさせない場合であっても、利用者の耳近傍の耳介等の人体を音声信号に応じて振動させることができる。この振動により直接鼓膜を振動させることができる他、外耳道内に気導音を発生させることができ、利用者は、この気導音を鼓膜により感知して音として認識することができる。
【0042】
このような人体の振動を利用する骨伝導モードでは、理想的には、音漏れが少ない。しかし、第1の振動子124は、表示部121を振動させるので、本来は不要である気導音としての音漏れが生じてしまうおそれがある。
【0043】
第1実施形態では、骨伝導モード時に、第2の振動子125が、第1の振動子124の振動波形とは逆位相の振動波形で振動を行うので、骨伝導モード時の不要な音漏れ成分を軽減することができる。
【0044】
制御部133は、第1の振動子124と、第2の振動子125とを制御する。
制御部133は、音声伝達の動作モードが骨伝導モードの場合には、第1の振動子124を、骨伝導に必要な振幅で振動させ、第2の振動子125を第1の振動子124とは逆位相で振動させるように駆動させる。一方、制御部133は、音声伝達の動作モードがスピーカモードの場合には、BTL接続により、第1の振動子124及び第2の振動子125を骨伝導モードの場合に比べて2倍の電圧で駆動可能として、大音量の音声を発声可能なように、いずれも同位相で駆動する。
また、制御部133は、音声伝達の動作モードが骨伝導モードであるのか、スピーカモードであるのかにより、第2の振動子125の振動の位相を、第1の振動子124の振動波形に対して反転させて、第2の振動子125を振動させるのか否かを、スイッチSW101,スイッチSW102,スイッチSW103,スイッチSW104を切り替えさせることにより制御する。
さらに、制御部133は、音源に応じて、不図示の入力切り替え部によりアンプ部131A,131Bへの入力を切り替える。例えば、音源が通話音声の場合には、制御部133は、アンプ部131A,131Bの双方へ同じ音声信号を入力させる。一方、音源がステレオ音声である場合には、制御部133は、アンプ部131Aに左チャネルの信号を入力し、アンプ部131Bに右チャネルの信号を入力する。
【0045】
図4は、スピーカモード時の携帯電話端末100の一部を図1中の矢印A−Aで切断した断面を模式的に示した図である。
図5は、スピーカモード時の携帯電話端末100の動作を説明するブロック図である。
スピーカモードでは、制御部133は、スイッチSW101を極性反転部132Aと第1の振動子124とが繋がる側に切り換え、スイッチSW102を開き、第1の振動子124についてBTL回路を形成する。また、制御部133は、スイッチSW103をアンプ部131Bと第2の振動子125とが繋がる側に切り換え、スイッチSW104を極性反転部132Bと第2の振動子125とが繋がる側に切り換えて、第2の振動子125についてBTL回路を形成する。これにより、第1の振動子124及び第2の振動子125は、いずれも、骨伝導モードの場合に比べて2倍の電圧で駆動可能として、大音量の音声を発声可能なように駆動する。
また、スピーカモードでは、音源がステレオ音声の場合には、例えば、第1の振動子124へは、左チャネルの信号を伝え、第2の振動子125へは、右チャネルの信号を伝え、ステレオ音声の再生を行うことができる。
【0046】
以上説明したように、第1実施形態によれば、携帯電話端末100は、第1の振動子124及び第2の振動子125を骨伝導モードとスピーカモードとの両方に用いる。したがって、パネルスピーカと骨伝導との両方を利用可能な携帯電話端末100を、小型化し、軽量化し、低価格化することができる。また、携帯電話端末100は、骨伝導モード時に、第2の振動子125を、第1の振動子124の振動波形に対して反転した振動波形で駆動させる極性反転部132Bを設けたので、骨伝導モード時の音漏れを軽減することができる。また、第1の振動子124と第2の振動子125とは、離れて配置されているので、スピーカモード時に、ステレオ音声の再生を効果的に行うことができる。
【0047】
(第2実施形態)
図6は、本発明による第2実施形態の携帯電話端末200を示す図である。
第2実施形態の携帯電話端末200は、第1実施形態と同様に、第1の筐体210と、第2の筐体220とが相対的にスライド移動可能な可動部として形成された、いわゆるスライド型の携帯電話端末である。
なお、前述した第1実施形態と同様の機能を果たす部分には、末尾に同一の符号を付して、重複する説明を適宜省略する。
【0048】
第1の筐体210の表面には、第1の操作キー211と、マイク212とが設けられている。
第2の筐体220の表面には、表示部221と、第2の操作キー222とが設けられている。
【0049】
第2実施形態の携帯電話端末200も、第1実施形態と同様に、骨伝導モードと、スピーカモードとの2つの音声伝達手法を備えている。
【0050】
第2実施形態の携帯電話端末200は、表示部221の内側に、第1の振動子224と、第2の振動子225と、第3の振動子226とを有している。
【0051】
第1の振動子224は、第1実施形態の第1の振動子124と同様に、表示部221の領域のうち、第2の操作キー222から離れた上端側の位置に設けられている。また、第1の振動子224は、表示部221の裏面側に密着して設けられており、表示部221を振動させることができる。
第2実施形態の第1の振動子224は、骨伝導モードのとき、及び、スピーカモードのときに振動を行う。
【0052】
第2の振動子225は、第1実施形態の第2の振動子125とは異なり、表示部221の領域のうち、第1の振動子224の近接位置に配置されている。また、第2の振動子225は、表示部221の裏面側に密着して設けられており、表示部221を振動させることができる。
第2実施形態の第2の振動子225は、スピーカモード時には、振動を行わない。また、第2の振動子225は、骨伝導モード時には、第1の振動子224の振動波形に対して反転した逆位相の振動波形で振動を行う。
【0053】
第3の振動子226は、表示部221の領域のうち、第2の操作キー222に近い下端側の位置、つまり、第1の振動子224から離れた隔離位置に配置されている。また、第3の振動子226は、表示部221の裏面側に密着して設けられており、表示部221を振動させることができる。
第3の振動子226は、骨伝導モード時には、振動を行わない。また、第3の振動子226は、スピーカモード時には、第1の振動子224と同位相の振動を行う。
【0054】
図7は、骨伝導モード時の携帯電話端末200の一部を図6中の矢印B−Bで切断した断面を模式的に示した図である。
図8は、骨伝導モード時の携帯電話端末200の動作を説明するブロック図である。
携帯電話端末200は、アンプ部231Aと、アンプ部231Bと、極性反転部232Aと、極性反転部232Bと、制御部233とを備えている。
【0055】
アンプ部231Aは、第1の振動子224と、第2の振動子225とを駆動するアンプである。アンプ部231Aは、2つのアンプを有しており、それぞれから出力があり、1つは、第1の振動子へ直接繋がっており、もう1つは、極性反転部232Aを介して第2の振動子225へ繋がっている。
骨伝導モード時には、スイッチSW201が第2の振動子225に接続するようになっており、スイッチSW202が閉じることにより、音声信号は、第1の振動子224へ伝わり、逆位相の音声信号が第2の振動子225へ伝わる。
【0056】
アンプ部231Bは、骨伝導モード時には、OFFとなっている。一方、後述するスピーカモード時には、アンプ部231Bは、第3の振動子226を駆動するアンプとして機能する。アンプ部231Bも、2つのアンプを有している。
【0057】
極性反転部232Aは、骨伝導モード時に、第2の振動子225を、第1の振動子224の振動波形に対して反転させて、音漏れを軽減させるように第2の振動子125を振動させる振動波形変更部である。したがって、骨伝導モード時には、第2の振動子225は、第1の振動子224の振動波形とは逆位相の振動波形で振動を行う。
【0058】
第2実施形態では、骨伝導モード時に、第2の振動子225が、第1の振動子224の振動波形とは逆位相の振動波形で振動を行うので、骨伝導モード時の不要な音漏れ成分を軽減することができる。特に、第2実施形態では、第2の振動子225が、第1の振動子224の近傍に配置されているので、第1実施形態の場合よりもより高い音漏れの抑制効果が期待できる。
【0059】
また、極性反転部232Aは、後述するスピーカモード時には、BTL(Bridged Tied Load 又は Bridged Transless 又は Balanced Transformerless)接続において第1の振動子224への印加電圧が2倍となるように、音声信号を反転させて逆位相の信号に変換する。
【0060】
極性反転部232Bは、骨伝導モード時には、アンプ部231BがOFFとなっていることから、作動せず、実質的にOFFとなっている。一方、後述するスピーカモード時には、極性反転部232Bは、BTL接続において第3の振動子226への印加電圧が2倍となるように、音声信号を反転させて逆位相の信号に変換する。
【0061】
制御部233は、第1の振動子224と、第2の振動子225と、第3の振動子226の振動モードを制御する。また、制御部233は、音声伝達の動作モードが骨伝導モードであるのか、スピーカモードであるのかにより、第1の振動子224と第2の振動子225の振動モードを切り替えるために、スイッチSW201,スイッチSW202を切り替えるように制御する。
さらに、制御部233は、第1実施形態の制御部133と同様に、音源に応じて、不図示の入力切り替え部によりアンプ部231A,231Bへの入力を切り替える。例えば、音源が通話音声の場合には、制御部233は、アンプ部231A,231Bの双方へ同じ音声信号を入力させる。一方、音源がステレオ音声である場合には、制御部233は、アンプ部231Aに左チャネルの信号を入力し、アンプ部231Bに右チャネルの信号を入力する。
【0062】
図9は、スピーカモード時の携帯電話端末200の一部を図6中の矢印B−Bで切断した断面を模式的に示した図である。
図10は、スピーカモード時の携帯電話端末200の動作を説明するブロック図である。
スピーカモードでは、制御部233は、スイッチSW201をスピーカモード側へ切り替え、第2の振動子を切断し、第1の振動子を接続し、スイッチSW202を開く。これにより、第2の振動子225には、駆動信号が伝わらず、振動を停止する。一方、極性反転部232Aは、第1の振動子224への印加電圧が2倍となるように、音声信号を反転させて逆位相の信号に変換する。第1の振動子224は、第3の振動子226と同様にBTL接続された状態となり、これにより、表示部221は、スピーカの振動板として機能する。
【0063】
また、スピーカモードでは、アンプ部231Bと、極性反転部232Bとは、いずれも動作を行う。第3の振動子226は、BTL接続されているので、極性反転部232Bは、第3の振動子226への印加電圧が2倍となるように、音声信号を反転させて逆位相の信号に変換する。
また、スピーカモードでは、音源がステレオ音声の場合には、例えば、第1の振動子224へは、左チャネルの信号を伝え、第3の振動子226へは、右チャネルの信号を伝え、ステレオ音声の再生を行うことができる。
【0064】
以上説明したように、第2実施形態では、骨伝導モード時に、第2の振動子225を、第1の振動子224の振動波形に対して反転させた振動波形で振動させる極性反転部232Aを設けたので、骨伝導モード時の音漏れを軽減することができる。また、第2の振動子225は、第1の振動子224の近傍に配置されているので、骨伝導モード時の音漏れの抑制効果をより高めることができる。
さらに、第1の振動子224から離れた位置に第3の振動子226を設け、スピーカモード時には、第2の振動子225を振動させず、第3の振動子226を振動させるので、スピーカモード時に、ステレオ音声の再生を効果的に行うことができる。
【0065】
なお、携帯電話端末の処理をコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録し、この記録媒体に記録されたプログラムを携帯電話端末の制御部(コンピュータ)に読み込ませ、実行することによって本発明の携帯電話端末、携帯電話端末の音声伝達方法、携帯電話端末の音声伝達プログラムを実現することができる。ここでいうコンピュータとは、OSや周辺装置等のハードウェアを含む。
【0066】
また、「コンピュータ」は、WWW(World Wide Web)システムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(又は表示環境)も含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータから、伝送媒体を介して、又は、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。
【0067】
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、前述した機能をコンピュータにすでに記録されているプログラムとの組み合せで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【0068】
以上、この発明の実施形態につき、図面を参照して詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の設計等も含まれる。
【0069】
(変形形態)
例えば、各実施形態において、骨伝導モード時には、第2の振動子の振動波形は、第1の振動子の振動波形に対して反転している例を挙げて説明した。これに限らず、第2の振動子の振動波形の位相をずらして駆動させるようにしてもよい。
【0070】
なお、第1実施形態と第2実施形態及び変形形態は、適宜組み合わせて用いることもできるが、詳細な説明は省略する。
【符号の説明】
【0071】
100,200 携帯電話端末
110,210 第1の筐体
111,211 第1の操作キー
112,212 マイク
120,220 第2の筐体
121,221 表示部
122,222 第2の操作キー
124,224 第1の振動子
125,225 第2の振動子
131A,131B,231A,231B アンプ部
132A,132B,232A,232B 極性反転部
133,233 制御部
226 第3の振動子
SW101,SW102,SW103,SW104,SW201,SW202 スイッチ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を振動させることができるように設けられた少なくとも1つの振動子と、
前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように前記振動子を制御する制御部と、
を備える携帯電話端末。
【請求項2】
請求項1に記載の携帯電話端末において、
前記振動子は、
少なくとも前記骨伝導モード時に振動する第1の振動子と、
前記第1の振動子とは異なる位置に配置された第2の振動子と、
を含み、
前記骨伝導モード時に、音漏れを軽減させるように前記第2の振動子を振動させる振動波形変更部を備えること、
を特徴とする携帯電話端末。
【請求項3】
請求項2に記載の携帯電話端末において、
前記振動波形変更部は、前記第2の振動子の振動の位相を前記第1の振動子の振動波形に対して反転させること、
を特徴とする携帯電話端末。
【請求項4】
請求項2又は請求項3に記載の携帯電話端末において、
前記第2の振動子は、前記第1の振動子から離れた隔離位置に配置されており、前記スピーカモード時には、前記第1の振動子と同位相の振動を行うこと、
を特徴とする携帯電話端末。
【請求項5】
請求項2又は請求項3に記載の携帯電話端末において、
前記第1の振動子から離れた隔離位置に配置された第3の振動子を備え、
前記第2の振動子は、前記隔離位置よりも前記第1の振動子に近い近接位置に配置されており、前記骨伝導モード時には、音漏れを軽減させるように振動を行い、前記スピーカモード時には、振動を行わず、
前記第3の振動子は、前記骨伝導モード時には、振動を行わず、前記スピーカモード時には、前記第1の振動子と同位相の振動を行うこと、
を特徴とする携帯電話端末。
【請求項6】
請求項4又は請求項5に記載の携帯電話端末において、
前記第1の振動子は、前記スピーカモード時には、BTL接続されており、
前記振動波形変更部は、BTL接続の回路において逆位相の信号を生成する機能を有すること、
を特徴とする携帯電話端末。
【請求項7】
表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を振動させることができるように設けられた少なくとも1つの振動子を備えた携帯電話端末の音声伝達方法であって、
前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように前記振動子を制御すること、
を特徴とする携帯電話端末の音声伝達方法。
【請求項8】
表示パネル又は外装部材の少なくとも一方を振動させることができるように設けられた少なくとも1つの振動子を備えた携帯電話端末の音声伝達プログラムであって、
携帯電話端末のコンピュータに、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を骨伝導可能なように振動させる骨伝導モードと、前記振動子を振動させて前記表示パネル又は前記外装部材の少なくとも一方を気導音が発生するように振動させるスピーカモードと、を行うように前記振動子を制御する手順を実行させるための携帯電話端末の音声伝達プログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−55571(P2013−55571A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−193580(P2011−193580)
【出願日】平成23年9月6日(2011.9.6)
【出願人】(000208891)KDDI株式会社 (2,700)
【Fターム(参考)】