説明

摩砕装置

【課題】 極めて簡単な機構で摩砕シリンダーを上下の正確な位置に移動させ、種々の被摩砕物を理想的な状態で摩砕する。
【解決手段】 摩砕装置は、中心に摩砕開口2を開口している摩砕シリンダー1を上下機構8で上下させて、回転部材3との間に形成される摩砕隙間4の下端に設けられる狭幅リングスリット5の隙間を調整している。摩砕シリンダー1は、外周に、垂直方向に延長して複数の雌ネジ孔9を有する。基台16は、摩砕シリンダー1の雌ネジ孔9にねじ込まれる位置に、複数本のネジ棒10を、回転できるが上下に移動しないように、垂直の姿勢で設けている。複数本のネジ棒10は、駆動機構11に連結されており、駆動機構11で同期して一緒に回転される。駆動機構11が複数本のネジ棒10を回転させて、ネジ棒10でもって摩砕シリンダー1を水平の姿勢で上下に移動させるように構成している。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主として、大豆、とうもろこし、野菜等の食料品や飼料、古紙、肥料、動物の骨や羽根等を小さく摩砕する装置に関する。本発明の摩砕装置は、廃棄合成樹脂を加熱して減溶する装置を含む意味に使用する。
【0002】
【従来の技術】大豆やとうもろこし等の摩砕装置として、図1に示す構造の装置が開発されている。この装置は、特公昭59−32187号公報、特公昭61−3470号公報、特公昭60−39423号公報、特開平1−266862号公報に記載される。この図に示す摩砕装置は、水平面内で回転される回転砥石43と、この回転砥石43の上方に配設されている固定砥石44とを備える。回転砥石43と固定砥石44とは外周の隙間を狭くして、被摩砕物を摩砕する摩砕隙間4としている。この構造の摩砕装置は、供給される被摩砕物を回転砥石43で摩砕する。供給される被摩砕物は、遠心力によって外周方向に加速される。外周に加速される被摩砕物は摩砕隙間4に供給され、ここで摺り潰して摩砕される。
【0003】この構造の摩砕装置は、被破砕物の処理能力が、回転砥石43の回転速度と、摩砕隙間4によって大きく変化する。供給された被破砕物は、回転砥石43の遠心力で外周方向に加速されて摩砕隙間4を通過する。遠心力が大きいと、被破砕物は摩砕隙間4を勢いよく速やかに通過する。反対に、遠心力が弱くなると、被破砕物は摩砕隙間4を通過する力が弱くなり、被破砕物が摩砕隙間4を通過する時間が長くなる。被破砕物を強制的に摩砕隙間4を通過させる遠心力は、回転砥石43の回転速度で大幅に変化する。したがって、供給された被破砕物を、遠心力で摩砕隙間4を通過させるためには、回転砥石43の回転速度を一定以上に速くする必要がある。
【0004】しかしながら、回転砥石43の回転速度を速くすると、被破砕物が摩擦熱で高温に加熱される弊害が発生する。供給された被破砕物の摩砕温度を低くすることと、遠心力を大きくして能率よく摩砕することとは、互いに相反する特性であって、両者を同時に満足するのが難しい。それは、回転砥石43の回転速度を速くすると、遠心力が強くなって処理能率は高くなるが、摩擦熱も大きくなって摩砕温度が高くなるからである。
【0005】さらに、図に示す摩砕装置は、固定砥石44と回転砥石43の上下の相対位置で摩砕隙間4が特定される。摩砕隙間4は、極めて高い精度に制御する必要がある。摩砕隙間4の間隔が、被破砕物を摩砕する大きさを決定するからである。被破砕物を適切な大きさに摩砕するために、摩砕隙間4は100μm程度の極めて高い精度で間隔調整する必要がある。図に示す装置は、摩砕隙間4の間隔を設計値とするために、固定砥石44と、回転砥石43の上下の相対位置を正確に調整する必要がある。回転砥石43は、ベアリングを介して回転自在に基台に装着されている。摩砕隙間4を高精度に調整するためには、回転砥石43と固定砥石44の両方の上下位置を極めて高い精度で装着する必要がある。とくに、砥石を上下に移動させて摩砕隙間4を調整する機構は、上下位置に極めて高い精度が要求され、この部分のコストが相当に高くなる欠点がある。また、摩砕隙間4を高い精度で調整しても、摩砕隙間4がずれ易い欠点もある。それは、被破砕物を摩砕すると、被破砕物によって摩砕隙間4が広げられるように固定砥石44と回転砥石43に上下の力が作用するからである。
【0006】本発明者は、これらの弊害を防止するために、図2に示す摩砕装置を開発した。(特許第2620210号)この図の摩砕装置は、中心に摩砕開口2を開口している摩砕シリンダー1と、摩砕シリンダー1の摩砕開口2に配設されている回転部材3とを備える。回転部材3と摩砕開口2との間には、自重で落下する被摩砕物を摺り潰しながら摩砕して排出する摩砕隙間4を設けている。摩砕シリンダー1と回転部材3とは垂直に配設されており、上方に供給される被摩砕物を、摩砕隙間4でもって摩砕しながら落下させて排出する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】この図に示す摩砕装置は、摩砕隙間4の下部に設けている狭幅リングスリット5の間隔で摩砕能率が大幅に変化する。狭幅リングスリット5が広すぎると、被摩砕物を好ましい状態に摩砕できなくなる。反対に狭幅リングスリット5が狭すぎると、摩砕能率が低下する。さらに、狭幅リングスリット5の最適間隔は、被摩砕物の種類によって大幅に変動する。この欠点を解消するために、本発明者は摩砕シリンダーを油圧シリンダーで上下に移動させる装置を開発した。
【0008】この摩砕装置は、複数の油圧シリンダーを垂直な姿勢でバランスよく配設して、これに摩砕シリンダーを連結する。油圧シリンダーを伸縮して、摩砕シリンダーを上下に移動させる。この装置は、摩砕シリンダーを上下させて、狭幅リングスリットの隙間を理想的な状態に調整する。しかしながら、実際には、この構造の摩砕装置は、全ての被摩砕物を理想的な状態で摩砕するのが極めて難しい。それは、油圧シリンダーで上下に移動させる摩砕シリンダーを、高い精度で上下に移動させて、移動位置に確実に停止させることが難しいからである。摩砕シリンダーは、摩砕するときに受ける力で上下位置がずれてしまう。油圧シリンダーのロッドの押し出し量を制御して、摩砕シリンダーの上下位置を調整する機構は、油圧シリンダーに作用する軸方向の力でロッドの押出位置がずれるからである。
【0009】この欠点は、摩砕シリンダーをストッパで定位置に停止させる機構で防止できる。しかしながら、この機構は摩砕シリンダーが上下に移動して移動位置で停止するので、実際に実現するのが極めて難しい。また、実現できるとしても、構造が複雑で製造コストが高くなり、また、メンテナンスにも手間がかかって故障しやくなる欠点がある。
【0010】本発明は、さらにこの欠点を解決することを目的に開発されたもので、本発明の重要な目的は、極めて簡単な機構で摩砕シリンダーを上下の正確な位置に移動でき、さらに、ストッパを装備することなく、移動した上下位置に確実に停止して、種々の被摩砕物を理想的な状態で摩砕できる摩砕装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明の摩砕装置は、中心に摩砕開口2を開口している摩砕シリンダー1と、摩砕シリンダー1の摩砕開口2に配設されている回転部材3とを備える。回転部材3と摩砕開口2との間には、自重で落下する被摩砕物を摺り潰しながら排出する摩砕隙間4を設けている。さらに、摩砕シリンダー1と回転部材3とは、垂直に配設されており、摩砕隙間4に供給される被摩砕物を、摩砕しながら落下させて排出するように構成されている。摩砕隙間4は、下端に狭幅リングスリット5を設けており、この狭幅リングスリット5の隙間を、摩砕シリンダー1を上下に移動させて調整できるようにしている。
【0012】さらに、本発明の請求項1の摩砕装置は、摩砕シリンダー1が以下の全ての構造の上下機構8で上下に移動されるように構成されている。
(a) 摩砕シリンダー1は、外周に位置し、かつ垂直方向に延長して複数の雌ネジ孔9を有する。
(b) 基台16に、複数本のネジ棒10を、回転できるが上下に移動しないように、垂直の姿勢で設けている。
(c) 基台16に設けている複数本のネジ棒10は、摩砕シリンダー1の雌ネジ孔9にねじ込まれる位置に垂直に配設される。
(d) 複数本のネジ棒10に駆動機構11を連結しており、駆動機構11は複数本のネジ棒10を、同期して一緒に回転させる。
(e) 駆動機構11が複数本のネジ棒10を回転させて、ネジ棒10でもって摩砕シリンダー1を水平の姿勢で上下に移動させるように構成している。
【0013】本発明の請求項2の摩砕装置は、駆動機構11が、傘歯車22を介してネジ棒10に連結される駆動軸18を有する。摩砕装置は、駆動軸18をハンドル20またはモーター39で回転させて、複数本のネジ棒10を同期して回転させる。
【0014】本発明の請求項3の摩砕装置は、駆動機構11が、摩砕シリンダー1の上下位置を記憶するメモリ40と、ネジ棒10を回転させるサーボモーターを備えている。サーボモーターは、メモリ40に記憶される位置に摩砕シリンダー1を移動させる。
【0015】本発明の請求項4の摩砕装置は、摩砕シリンダー1に、摩砕された被摩砕物を排出する排出ダクト35を連結している。
【0016】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面に基づいて説明する。ただし、以下に示す実施例は、本発明の技術思想を具体化するための摩砕装置を例示するものであって、本発明は摩砕装置を下記のものに特定しない。
【0017】さらに、この明細書は、特許請求の範囲を理解し易いように、実施例に示される部材に対応する番号を、「特許請求の範囲の欄」、および「課題を解決するための手段の欄」に示される部材に付記している。ただ、特許請求の範囲に示される部材を、実施例の部材に特定するものでは決してない。
【0018】図3ないし図6に示す摩砕装置は、摩砕シリンダー1と回転部材3を備える。摩砕シリンダー1は円筒状で、被摩砕物を摩砕して下端から排出する摩砕開口2を開口している。摩砕開口2は円柱状で、内面には、図6に示すように、回転部材3の縦方向に延長して多数の細溝6を設けている。図の摩砕開口2は、下端に向かって多少内径を大きくしている。摩砕開口2は、上下で同じ内径とすることも、また、上端で内径を大きくすることもできる。
【0019】図に示す摩砕シリンダー1は、内面に溝を有するライナー1Aと、このライナー1Aを内面に装着して所定の位置に固定されるシリンダーブロック1Bとで構成している。ライナー1Aは、精密ロストワックス鋳造法や真空鋳造法等で、内面に溝を有する筒状に成形している。ライナー1Aはシリンダーブロック1Bの内面に固定できるように、上端にフランジを設けている。ライナー1Aは、このフランジをシリンダーブロック1Bの開口縁に設けた段差部に嵌合させて、ネジ止して固定される。さらに、ライナー1Aは、簡単に脱着できるように、複数に分割してシリンダーブロック1Bに装着している。
【0020】シリンダーブロック1Bは、リング状の枠体で、2分割して開閉できるように、回転軸1Cを介して連結している。開閉自在なシリンダーブロック1Bは、内側に配設されるライナー1Aや回転部材3等の経時的に摩耗する部材を極めて簡単に交換できる。とくに、ライナー1Aとシリンダーブロック1Bとで構成される摩砕シリンダー1は、摩耗部材であるライナー1Aのみを取り外して交換できるので、この部分のみを安価に製作してメンテナンスを低コストにできる特長がある。しかも、この摩砕シリンダー1は、シリンダーブロック1Bを開閉できる構造として、複数に分割したライナー1Aを脱着自在に装着しているので、簡単に、かつ短時間で交換作業できる特長もある。それは、重量が大きいライナー1Aを複数に分割するので、専門の技術者がクレーン等の機械を使用することなく交換できるからである。
【0021】摩砕開口2の内面に設けている細溝6は、好ましくは、幅を約5mm、深さを約3mmに設計する。ただし、細溝6は、例えば幅を1〜15mm、深さを1〜10mmとすることもできる。細溝6は、摩砕開口2の内面に上端から下端まで延長して、すなわち、摩砕開口2の下端に設けられる狭幅リングスリット5まで延長して設けている。細溝6を狭幅リングスリット5まで延長する装置は、細溝6によって被摩砕物の排出量を多くできる。細溝6は、被摩砕物の排出量を制限するために、下端で幅を狭く、あるいは浅くすることもできる。さらに、細溝は、下端に向かって次第に浅くして、摩砕開口の下端に設けている狭幅リングスリットまでは延長しない形状とすることもできる。
【0022】さらに、摩砕開口2の内面には、縦に延長して幅の広い太溝7を設けることもできる。太溝7は、摩砕開口2の下端までは延長して設けない。被摩砕物が摩砕されない状態で排出されるからである。太溝7は摩砕開口2の上部に設けられる。また、太溝7は、上部で深くて幅を広くして、下部に向かって次第に浅く、幅を狭くする。
【0023】摩砕シリンダー1は、外周に垂直に設けている雌ネジ孔9にねじ込んでいるネジ棒10と、ネジ棒10を回転させる駆動機構11とからなる上下機構8で上下に移動される。狭幅リングスリット5の間隔を調整するためである。
【0024】摩砕シリンダー1は、雌ネジ孔9を設けるために、上下プレート12を外周に突出させている。上下プレート12は、図4の平面図に示すように、対向する位置にバランスして雌ネジ孔9を設けている。図5は、摩砕装置の一部断面側面図である。この図において左側の断面は、上下プレート12の中央部の断面を、右側の断面は、上下プレート12の隅部の断面を示している。この図に示すように、摩砕シリンダー1は、雌ネジ孔9を設けるために上下プレート12の下面にナット材13を固定している。ナット材13は、上端のフランジを上下プレート12の下面にネジ止している。ナット材13によって、上下プレート12に垂直の雌ネジ孔9を設けている。
【0025】さらに、上下プレート12は、四隅にガイド穴14を設けている。ガイド穴14を設けるために上下プレート12の下面にガイド筒15を固定している。ガイド筒15は、上端のフランジを上下プレート12の下面にネジ止している。ガイド筒15によって、上下プレート12の四隅に垂直のガイド穴14を設けている。
【0026】雌ネジ孔9にねじ込まれる2本のネジ棒10を基台16に垂直に装着している。ネジ棒10は、雌ネジ孔9にねじ込まれる位置に、垂直の姿勢で回転できるが、上下に移動しないように基台16に連結している。
【0027】さらに、上下プレート12の四隅に設けられたガイド穴14に挿入する4本のガイド棒17を、基台16に垂直に固定している。ガイド棒17は、上下プレート12に設けられたガイド穴14に対向して、基台16の四隅に配設されている。ガイド棒17は、ガイド穴14を構成するガイド筒15に挿入できるように、ガイド筒15の内径にほぼ等しい外径を有する。四隅のガイド穴14にガイド棒18が挿入された上下プレート12は、上下機構8で上下されて、ガイド棒18に沿って上下に平行移動する。
【0028】2本のネジ棒10は、下端部が駆動機構11に連結されており、駆動機構11で同期して回転される。駆動機構11の概略図を図7に示す。この図に示す駆動機構11は、2本のネジ棒10をそれぞれ回転させる2本の中間軸19と、2本の中間軸19を回転させる駆動軸18と、駆動軸18を回転させるハンドル20とを備える。
【0029】2本の中間軸19と駆動軸18は、水平の姿勢で基台16の内部に配設している。2本の中間軸19と駆動軸18は、軸受21に支承されて水平の姿勢に保持されている。2本の中間軸19は、駆動軸18の先端部と根元部に、それぞれ傘歯車22を介して垂直に連結している。2本のネジ棒10は、2本の中間軸19に、それぞれ傘歯車22を介して垂直に連結している。駆動軸18と中間軸19とネジ棒10は、図の矢印で示すように、2本のネジ棒10が同じ方向に同期して回転できるように傘歯車22で連結している。駆動軸18は、後端を基台16の外部まで延長して、基台16の側面から突出しており、この突出部にハンドル20を設けている。
【0030】以上の構造の駆動機構は、ハンドル20を回転させると駆動軸18が回転し、回転する駆動軸18が、傘歯車22を介して2本の中間軸19を回転させる。2本の中間軸19は、傘歯車22を介して2本のネジ棒10を同じ方向に回転させる。2本のネジ棒10は、同期して回転されて、それぞれが上下プレート12の雌ネジ孔9に沿って回転し、上下プレート12を水平の姿勢で上下に平行移動させる。
【0031】ただ、駆動機構11は、図8で示すように、駆動軸18をモーター39で駆動することもできる。駆動軸18を駆動するモーター39には、サーボモーターが最適である。この駆動機構11は、摩砕シリンダー1の上下位置をメモリ40に記憶させて、摩砕シリンダー1の上下移動を制御回路41で制御する。この構造の駆動機構11は、摩砕シリンダー1の上下位置を極めて簡単に、しかも、正確に微調整できる特長がある。ただ、この構造の駆動機構は、図の鎖線で示すように、制御回路41にテンキー42を接続して、テンキー42から入力される数値に基づいて摩砕シリンダー1の上下位置を制御することもできる。
【0032】回転部材3は、摩砕シリンダー1の摩砕開口2に垂直の姿勢で、円筒状の摩砕シリンダー1と同軸に配設される。回転部材3の平面図を図9に、断面図を図10に、回転部材と摩砕シリンダーの位置関係を図11R>1の概略断面図に示す。これ等の図に示す回転部材3は、供給される被摩砕物をガイド溝23に案内し、ガイド溝23に沿って落下させながら、強制引込凸条24で摩砕しながら排出する。
【0033】回転部材3は、供給される被摩砕物を下方に落下させながら摩砕する。回転部材3は、半径方向に延長する4条の強制引込凸条24を有し、この強制引込凸条24の間にガイド溝23を設けている。ただ、本発明の摩砕装置は強制引込凸条24を4条に特定しない。強制引込凸条は被破砕物の種類を考慮して、例えば3〜8条とすることもできる。ガイド溝23は、供給される被摩砕物をスムーズに案内して、能率よく摩砕できるように、図11のごとく、上方を深く、下部を浅く形成している。ガイド溝23を上部で深くするために、回転部材3は全体の形状を円錐状として外周に強制引込凸条24を設けている。この形状の回転部材3は、強制引込凸条24の間に、上部で深く、下部に向かって次第に浅くなるガイド溝23を形成している。ガイド溝23の下端は、図3の拡大断面図に示すように、幅の狭い狭幅リングスリット5となっている。
【0034】ガイド溝23に落下された被摩砕物は、回転部材3の回転によって強制的に引き込まれる。したがって、強制引込凸条24は、図9に示すように、回転部材3の回転方向と反対の方向に向かって下り勾配に傾斜している。図9に示す回転部材3は、矢印で示すように左に回転して被摩砕物を摩砕する。
【0035】強制引込凸条24の回転軸に対する傾斜角αは、強制引込凸条24から落下する被摩砕物の引き込み状態を決定する。傾斜角が大きいと、被摩砕物の引き込み作用が強くなる。反対に、傾斜角が小さいと、被摩砕物の引き込みが少なくなる。強制引込凸条24が回転部材3の回転軸となす傾斜角は、好ましくは10度〜60度、さらに好ましくは12〜50度の範囲に設計される。
【0036】さらに、図9と図10に示す強制引込凸条24は、下端部であって、円錐状の回転部材3との境界部分に補強部材25を連結している。この部分は、回転部材3が回転して被摩砕物を引き込むときに、最も荷重が加わる部分であって、摩耗しやすい部分である。補強部材25は、硬い合金等で成形されており、この部分に固定されてここを補強する。補強部材25は、強制引込凸条24の下端部を略三角形状に切削して設けた切欠に脱着自在に装着している。補強部材25は、強制引込凸条24の切欠に嵌合する形状に成形している。
【0037】補強部材25は、図12に示すように、側部に連結面25Aを有する。補強部材25は、この連結面25Aを回転部材3にネジ止して定位置に固定している。連結面25Aは、図10に示すように、下り勾配に傾斜する強制引込凸条24の下側の面を切削して設けた連結面24Bに固定される。補強部材25は、回転部材3に連結された状態で、表面が強制引込凸条24と同一平面となる形状に成形している。このように、補強部材25で補強される強制引込凸条24は、被摩砕物を引き込むときの負荷による損傷を極減できる。さらに、脱着自在に装着できる補強部材25は、損傷を受けたり摩耗したときに、簡単に交換できる特長がある。
【0038】強制引込凸条24の外周面24Aは、図11R>1に示すように、摩砕シリンダー1の摩砕開口2の内面に接近し、摩砕開口2の内面と強制引込凸条24の外周面24Aとの間に摩砕隙間4を形成する。図11は、図1010の鎖線で示す強制引込凸条24の外周面24Aの回転軌跡と、摩砕シリンダー1の摩砕開口2との位置関係を示している。ガイド溝23に供給された被摩砕物は、摩砕隙間4と狭幅リングスリット5とを通過するときに摺り潰されて摩砕される。ガイド溝23に供給された被摩砕物は、ガイド溝23から摩砕隙間4に、摩砕隙間4からガイド溝23に移送されながら摩砕されて次第に下方に移送される。ガイド溝23の下部に移送された後は、摩砕隙間4の下端に設けられる狭幅リングスリット5を通過し、通過するときに、さらに摩砕されて排出される。
【0039】摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の間隔は、上下機構8で摩砕シリンダー1を上下させて変更される。図11に示す摩砕装置は、摩砕シリンダー1を上昇させると、摩砕隙間4と幅狭スリット5の間隔が広くなる。逆に、摩砕シリンダー1を降下させると、摩砕隙間4と幅狭スリット5の間隔は狭くなる。摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の間隔は、ここで被摩砕物を効率よく十分に摩砕できるように、0〜10mm、好ましくは、0.3〜5mm、さらに好ましくは0.4〜2mmの範囲で変更される。
【0040】摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の最適間隔は、被摩砕物の種類と要求される摩砕の程度とによって種々に変更される。たとえば、古紙を繊維状に摩砕するときは、摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の隙間を約0.3〜1.0mmに調整し、大豆やとうもろこし等の飼料や肥料を摩砕するときには、摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の隙間を0.5〜1.5mmとし、動物の骨や羽根を摩砕するときには、摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の隙間を0.3〜0.8mmに調整する。
【0041】図11で示す回転部材3は、強制引込凸条24の外周面24Aの回転軌跡が、摩砕シリンダー1の摩砕開口2の内面と平行になるように強制引込凸条24を成形している。摩砕シリンダー1は、下端に向かって多少内径を大きくしているので、回転部材3も、強制引込凸条24の回転軌跡が下端に向かって多少大きな外径となるように強制引込凸条24を成形している。この構造は、摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の隙間を等しくできる。
【0042】ただ、摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の隙間は、図13に示すように、下端に向かって次第に狭くなるようにすることもできる。この回転部材は、強制引込凸条24の回転軌跡の傾斜が、摩砕開口の内面の傾斜よりも緩やかになるように成形している。この構造の摩砕装置は、被摩砕物を下方に移送しながら、次第に小さく摺り潰して摩砕できる。
【0043】さらに、摩砕装置は、回転部材の回転軌跡の傾斜と、摩砕シリンダーの摩砕開口の傾斜を途中で変化させることもできる。図14に示す摩砕装置は、回転部材3の回転軌跡の傾斜と、摩砕シリンダー1の摩砕開口2の傾斜を、上端から下端部にかけては急峻に、下端部では緩やかに成形している。この摩砕装置は、上端から下端部にかけての急峻な部分で摩砕隙間4を形成し、下端部の傾斜が緩やかな部分で幅狭リングスリット5を形成している。この構造の摩砕装置は、摩砕シリンダー1を上下させたときに、狭幅リングスリット5の隙間の変化量を、摩砕隙間4の変化量よりも大きくできる。
【0044】さらに、摩砕装置は、図示しないが、回転部材の回転軌跡の傾斜と、摩砕シリンダーの摩砕開口の傾斜を、上端から下端部にかけては緩やかに、下端部では急峻に成形することもできる。この摩砕装置は、摩砕シリンダーを上下させたときの狭幅リングスリットの隙間の変化量を、摩砕隙間の変化量よりも小さくできる。さらにまた、図15に示す摩砕装置は、回転部材3の回転軌跡と、摩砕シリンダー1の摩砕開口2を、上端から下端部にかけては垂直に、下端部ではテーパー状に成形している。この摩砕装置は、垂直部分で摩砕隙間4を形成し、テーパー部で幅狭リングスリット5を形成している。この構造の摩砕装置は、摩砕シリンダー1を上下させたときに、摩砕隙間4を一定の間隔として、幅狭リングスリット5の隙間のみを変化できる。
【0045】回転部材3は、中心に回転軸26を固定している。回転軸26はベアリング27を介して基台28に垂直に支承されている。回転軸26の下端には、プーリー29が固定される。プーリー29は、タイミングベルト30を介してモーター31のプーリー32に連結される。モーター31は変速モーターで、回転部材3の回転速度を理想の回転数に調整する。回転部材3の理想的な回転数は、回転部材3の半径と摩砕する被摩砕物の種類によって異なる。回転部材の外径が360mmφ、被摩砕物を古紙とするとき、回転部材の理想的な回転数は、約400〜1000rpmである。被摩砕物を、大豆やとうもろこし等の食品、飼料、肥料、動物の骨や羽根とするとき、回転部材の理想的な回転数は約300〜600rpmである。回転部材の回転数を速くすると、時間当りの処理能力は著しく増大する。ただ、回転速度が速くなると、回転部材と摩砕シリンダーの温度が高くなる。したがって、回転部材の回転数は、時間当りの処理能力と被摩砕物の温度上昇とを考慮して、たとえば、250〜2000rpm、好ましくは300〜1800rpmの範囲に設定される。ところで、摩砕シリンダー1は、図3に示すように、内部にキャビティー33を設けて、強制的に冷却できる。強制冷却される摩砕シリンダー1は、被摩砕物を摩砕する温度が低くなるので、回転部材3の回転速度を速くできる。ただ、キャビティーは、回転部材の内部に設けることもできる。
【0046】さらに、図3に示す摩砕装置は、摩砕隙間4の下方に、粉砕排出羽根34を配設している。粉砕排出羽根34は、回転軸26に固定されている。粉砕排出羽根34は回転軸26で回転される。粉砕排出羽根34は、回転部材3の回転軸26から半径方向に延長されると共に、回転方向に対して後退する方向に湾曲させている。粉砕排出羽根34は、摩砕隙間4から連続して紐状に押し出される被摩砕物をさらに小さく粉砕しなから円周方向に加速する。
【0047】さらに、摩砕装置は、粉砕排出羽根34の下方に排出ダクト35を設けている。排出ダクト35は、接線方向に延長して排出口36を開口している。排出ダクト35は、粉砕排出羽根34で小さく粉砕されて円周方向に加速された被摩砕物を排出口36から勢いよく排出する。さらに、排出ダクト35は、内側に向かって水を噴射する複数のノズル(図示せず)を備える。複数のノズルは、排出ダクト35の外周の内面に、等間隔に配設されている。ノズルは、粉砕排出羽根34で小さく粉砕された被摩砕物に、霧状の水を噴霧する。この構造の摩砕装置は、ノズルから噴射される水で、効率よく冷却できる特長がある。さらに、水が付着して冷却された微細な被摩砕物は、粘着性が失われて互いに結合することなく、また、排出ダクト35内に付着することなく確実に円周方向に加速される。さらにまた、ノズルから噴霧される水は、回転する粉砕排出羽根34によって、排出ダクト35内で渦状の水流となって小さく粉砕された被摩砕物を速やかに排出する。このように、ノズルを備える排出ダクト35は、小さく粉砕された被摩砕物の排出能力を極めて高くできる特長がある。ノズルから噴射される水の量は、摩砕される被摩砕物の種類と量によって最適な量に調整される。さらに、図示しないが、排出口に吸引機を接続して、小さく摩砕された被摩砕物やノズルから噴射される水を吸引機で吸引して排出することもできる。
【0048】さらに、摩砕装置は、図16に示すように、摩砕シリンダー1を、摩砕開口2が上端で内径が大きくなる形状に成形して、回転部材3を、摩砕開口2の内面に沿う形状に成形することもできる。この構造の摩砕装置は、摩砕シリンダー1を上昇させると、摩砕隙間4と幅狭スリット5の間隔が狭くなる。逆に、摩砕シリンダー1を降下させると、摩砕隙間4と幅狭スリット5の間隔は広くなる。さらに、この構造の摩砕装置は、図1313ないし図15に示す摩砕装置と同様に、摩砕隙間と幅狭スリットの間隔や、摩砕シリンダーの摩砕開口および回転部材の回転軌跡の傾斜を種々に変更することもできる。
【0049】以上の実施例は、回転部材3の表面に強制引込凸条24とガイド溝23とを設けている。本発明の摩砕装置は、図17の断面図と図18の平面図とに示すように、摩砕シリンダー1の摩砕開口2に強制引込凸条24とガイド溝23を設けることもできる。これ等の図に示す摩砕装置は、図3と図4に示す装置とは反対に、回転部材3に細溝6を、摩砕シリンダー1に強制引込凸条24とガイド溝23とを設けている。この図の摩砕開口2と回転部材3は、下端に向かって径が大きくなるテーパー状に成形している。ただ、摩砕開口と回転部材は、上端に向かって径を大きくすることも、部分的に径を変化させることもできる。細溝6は、図3に示す装置と同じように、回転部材3の軸方向に延長して設けられ。細溝6の幅、深さ、下端の構造は、図3に示す装置と同じに設計できる。
【0050】この摩砕装置も、回転部材3を回転させると、供給される被摩砕物が、強制引込凸条24で下方に移送されながら摩砕される。摩砕シリンダー1の強制引込凸条24は、摩砕開口2の内面に半径方向に延長して設けられており、強制引込凸条24の間にガイド溝23を設けている。ガイド溝23は、供給される被摩砕物をスムーズに案内して、能率よく摩砕できるように、図17R>7に示すように、上方を深く、下部を浅く形成している。ガイド溝23を上部で深くするために、摩砕シリンダー1は、摩砕開口2の全体形状を、上方で内径が大きくなる円錐状として、内面に突出して強制引込凸条24を設けている。この形状の摩砕シリンダー1は、強制引込凸条24の間に、上部で深く、下部に向かって次第に浅くなるガイド溝23を形成している。ガイド溝23の下端は、図17の拡大断面図に示すように、幅の狭い狭幅リングスリット5となっている。
【0051】ガイド溝23に落下された被摩砕物は、回転部材3の回転によって強制的に引き込まれる。したがって、摩砕シリンダー1の強制引込凸条24は、図18に示すように、回転部材3の回転方向と反対の方向に向かって下り勾配に傾斜している。図18に示す回転部材3は、矢印で示すように左に回転して被摩砕物を摩砕する。強制引込凸条24の回転軸26に対する傾斜角は、図3に示す装置と同じように設計される。
【0052】強制引込凸条24の内周面24Cは、回転部材3の外周面に接近し、回転部材3の外周面と強制引込凸条24の内周面24Cとの間に摩砕隙間4を形成している。ガイド溝23に供給された被摩砕物は、摩砕隙間4と狭幅リングスリット5とを通過するときに摺り潰されて摩砕される。ガイド溝23に供給された被摩砕物は、ガイド溝23から摩砕隙間4に、摩砕隙間4からガイド溝23に移送されがら摩砕されて次第に下方に移送される。ガイド溝23の下部に移送された後は、摩砕隙間4の下端に設けられる狭幅リングスリット5を通過し、通過するときにさらに摩砕されて排出される。
【0053】摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の間隔は、上下機構8で摩砕シリンダー1を上下させて変更される。図17に示す摩砕装置は、摩砕シリンダー1を上昇させると、摩砕隙間4と幅狭スリット5の間隔が広くなる。逆に、摩砕シリンダー1を降下させると、摩砕隙間4と幅狭スリット5の間隔は狭くなる。摩砕隙間4と狭幅リングスリット5の間隔は、前述の図3に示す装置と同じ範囲で種々に変更される。
【0054】図17に示す摩砕装置は、強制引込凸条24の内周面24Cと回転部材3の外周面とがを平行となるように強制引込凸条24を形成して摩砕隙間4と幅狭リングスリット5とを設けている。ただ、本発明の摩砕装置は、図13ないし図15に示す摩砕装置と反対の構造で、摩砕シリンダーに強制引込凸条とガイド溝を、回転部材に細溝を設けて、摩砕隙間と幅狭リングスリットの隙間や、これ等の傾斜を種々に変更することもできる。
【0055】さらに、本発明の摩砕装置は、摩砕シリンダー1と回転部材3を冷却して摩砕温度を低くできる。図3に示す装置は摩砕シリンダー1の内部に、冷却用のキャビティー33を設けている。図17に示す装置は回転部材3の内部に、冷却用のキャビティー33を設けている。キャビティー33には冷却水が循環される。ただ、キャビティーは、摩砕シリンダーと回転部材の両方の内部に設けることもできる。
【0056】図3に示す摩砕シリンダー1のキャビティー25は、冷却水の流入路と排出路に連結されている。冷却水の流入路から供給される冷水は、摩砕シリンダー1のキャビティー33を循環して、摩砕シリンダー1とを冷却する。
【0057】図17に示す摩砕装置は、キャビティー33に冷却水を循環させるために、回転軸26の下端に、ロータリージョイント37を連結している。回転部材3のキャビティー33は、回転軸26の中心に開口された循環路38を介してロータリージョイント37に連結されている。回転軸26は、2重管の循環路38を内蔵している。回転軸26の2重管はキャビティー33の流入側と排出側に連結されている。二重管の循環路38はロータリージョイント37を介して、冷却水の流入路と、排出路に連結されている。
【0058】さらに、以上の実施例の摩砕装置は、摩砕シリンダー1を垂直の姿勢で立てて配設している。垂直の摩砕シリンダー1は、もっとも効率よく、被摩砕物を摩砕隙間4から狭幅リングスリット5に供給できる。ただ、摩砕シリンダーを垂直な姿勢から多少傾斜して配設することもできるのは言うまでもない。したがって、本明細書において、摩砕シリンダーを垂直に配設するとは、摩砕シリンダーをほぼ垂直に配設する状態を含む。
【0059】
【発明の効果】本発明の摩砕装置は、極めて簡単な機構で摩砕シリンダーを上下の正確な位置に移動でき、移動した上下位置に確実に停止して、種々の被摩砕物を理想的な状態で摩砕できる特長がある。それは、本発明の摩砕装置が、摩砕シリンダーを独特の構成の上下機構で上下させて、回転部材との間に形成される摩砕隙間の下端に設けられる狭幅リングスリットの隙間を調整しているからである。上下機構は、基台に垂直の姿勢で設けた複数本のネジ棒を、摩砕シリンダーの外周に垂直方向に設けた雌ネジ孔に挿入しており、複数本のネジ棒を駆動機構で同期して一緒に回転させて摩砕シリンダーを上下に移動させている。
【0060】このように、複数本のネジ棒を同期して一緒に回転させる構造は、簡単な機構で摩砕シリンダーを水平の姿勢でバランスして上下に移動できる。しかも、この上下機構は、回転するネジ棒で摩砕シリンダーを上下に移動させるので、上下移動するピッチを小さくして高い精度で幅狭リングスリットの隙間を微調整できる特長がある。さらに、摩砕シリンダーの雌ネジ孔に挿入されるネジ棒は、摩砕するときに受ける力で回転することがなく、摩砕シリンダーの上下位置のずれを阻止して、移動位置に確実に停止させることができる。以上のように、本発明の摩砕装置は、極めて簡単な機構で、摩砕シリンダーを水平の姿勢で上下の正確な位置に高い精度で移動させて、幅狭リングスリットの隙間を最適な間隔に微調整でき、しかも、移動した上下位置に確実に停止させて、種々の被摩砕物を理想的な状態で摩砕できる特長が実現できる。
【0061】さらに、本発明の請求項2の摩砕装置は、簡単な機構で、複数のネジ棒を同期して一緒に回転させて、摩砕シリンダーを正確に上下に移動できる特長がある。それは、この摩砕装置の駆動機構が、傘歯車を介してネジ棒に連結される駆動軸を有し、駆動軸をハンドルまたはモーターで回転させて、複数本のネジ棒を同期して回転させているからである。
【0062】さらに、本発明の請求項3の摩砕装置は、摩砕シリンダーの上下位置を、極めて簡単に、しかも正確に微調整できる特長がある。それは、この摩砕装置の動機構が、摩砕シリンダーの上下位置を記憶するメモリと、ネジ棒を回転させるサーボモーターとを備え、サーボモーターでメモリに記憶される位置に摩砕シリンダーを移動させているからである。
【0063】本発明の請求項4の摩砕装置は、摩砕シリンダーに排出ダクトを連結しているので、小さく粉砕された被摩砕物を効率よく排出できる特長がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の摩砕装置の断面図
【図2】本発明者が先に開発した摩砕装置の断面図
【図3】本発明の実施例の摩砕装置の垂直断面図
【図4】図3に示す摩砕装置の平面図
【図5】図3に示す摩砕装置の一部断面側面図
【図6】図3に示す摩砕装置の摩砕シリンダーの斜視図
【図7】図4に示す摩砕装置の駆動機構を示す概略平面図
【図8】駆動機構の他の一例を示す概略平面図
【図9】図3に示す摩砕装置の回転部材の平面図
【図10】図9に示す回転部材の正面図
【図11】回転部材と摩砕シリンダーの位置関係を示す概略断面図
【図12】図9に示す回転部材に装着される補強部材の平面図
【図13】本発明の他の実施例の摩砕装置の回転部材と摩砕シリンダーの位置関係を示す概略断面図
【図14】本発明の他の実施例の摩砕装置の回転部材と摩砕シリンダーの位置関係を示す概略断面図
【図15】本発明の他の実施例の摩砕装置の回転部材と摩砕シリンダーの位置関係を示す概略断面図
【図16】本発明の他の実施例の摩砕装置の回転部材と摩砕シリンダーの位置関係を示す概略断面図
【図17】本発明の他の実施例の摩砕装置の垂直断面図
【図18】図17に示す摩砕装置の平面図
【符号の説明】
1…摩砕シリンダー 1A…ライナー 1B…シリンダーブロック
1C…回転軸
2…摩砕開口
3…回転部材
4…摩砕隙間
5…狭幅リングスリット
6…細溝
7…太溝
8…上下機構
9…雌ネジ孔
10…ネジ棒
11…駆動機構
12…上下プレート
13…ナット材
14…ガイド穴
15…ガイド筒
16…基台
17…ガイド棒
18…駆動軸
19…中間軸
20…ハンドル
21…軸受
22…傘歯車
23…ガイド溝
24…強制引込凸条 24A…外周面 24B…連結面
24C…内周面
25…補強部材 25A…連結面
26…回転軸
27…ベアリング
28…基台
29…プーリー
30…タイミングベルト
31…モーター
32…プーリー
33…キャビティー
34…粉砕排出羽根
35…排出ダクト
36…排出口
37…ロータリージョイント
38…循環路
39…モーター
40…メモリ
41…制御回路
42…テンキー
43…回転砥石
44…固定砥石

【特許請求の範囲】
【請求項1】 中心に摩砕開口(2)を開口している摩砕シリンダー(1)と、摩砕シリンダー(1)の摩砕開口(2)に配設されている回転部材(3)とを備え、回転部材(3)と摩砕開口(2)との間には、自重で落下する被摩砕物を摺り潰しながら排出する摩砕隙間(4)を設けており、さらに、摩砕シリンダー(1)と回転部材(3)とは垂直に配設されており、摩砕隙間(4)に供給される被摩砕物を、摩砕しながら落下させて排出するように構成されており、さらにまた、摩砕隙間(4)は下端に狭幅リングスリット(5)を設けると共に、この狭幅リングスリット(5)の隙間が、摩砕シリンダー(1)を上下に移動させて調整できるようにしてなる摩砕装置において、摩砕シリンダー(1)が以下の全ての構造の上下機構(8)で上下に移動されるようにしてなることを特徴とする摩砕装置。
(a) 摩砕シリンダー(1)は、外周に位置し、かつ垂直方向に延長して複数の雌ネジ孔(9)を有する。
(b) 基台(16)に、複数本のネジ棒(10)を、回転できるが上下に移動しないように、垂直の姿勢で設けている。
(c) 基台(16)に設けている複数本のネジ棒(10)は、摩砕シリンダー(1)の雌ネジ孔(9)にねじ込まれる位置に垂直に配設される。
(d) 複数本のネジ棒(10)に駆動機構(11)を連結しており、駆動機構(11)は複数本のネジ棒(10)を、同期して一緒に回転させる。
(e) 駆動機構(11)が複数本のネジ棒(10)を回転させて、ネジ棒(10)でもって摩砕シリンダー(1)を水平の姿勢で上下に移動させるように構成している。
【請求項2】 駆動機構(11)が、傘歯車(22)を介してネジ棒(10)に連結される駆動軸(18)を有し、駆動軸(18)をハンドル(20)またはモーター(39)で回転させて、複数本のネジ棒(10)を同期して回転させるようにしてなる請求項1に記載される摩砕装置。
【請求項3】 駆動機構(11)が、摩砕シリンダー(1)の上下位置を記憶するメモリ(40)と、ネジ棒(10)を回転させるサーボモーターを備えており、サーボモーターがメモリ(40)に記憶される位置に摩砕シリンダー(1)を移動させるようにしてなる請求項1に記載される摩砕装置。
【請求項4】 摩砕シリンダー(1)に、摩砕された被摩砕物を排出する排出ダクト(35)を連結している請求項1に記載される摩砕装置。

【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図13】
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【図14】
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【図8】
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【図9】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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