説明

摩耗により異なる色相が現われる繊維製品及びその製造方法

【課題】摩耗により布帛の厚み方向中央部から表面層(染色されている場合と染色されていない場合がある)とは異なる色相に染色された部分が現れる洗濯耐久性に優れた新規な繊維製品とその合理的な製造方法を提供すること。
【解決手段】中央部のみが染色されているか、又は、表面部と中央部が異色に染色されたセルロース系布帛で構成され、洗濯堅牢度が3−4級以上であることを特徴とする繊維製品。また、セルロース系繊維を含む布帛の生機に下晒処理を施し、樹脂加工処理し、染色する繊維製品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は中央部のみが染色されているか、または中央部と表面部で異なる色相を有するセルロース系繊維からなる繊維製品であって、洗濯耐久性に優れる一方、摩耗により中央部から異なる色相が現れる繊維製品とその製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、摩耗により中央部から異なる色相が現われる繊維製品としてジーンズがあり、その生地は経糸にインディゴブルーで染色された糸と緯糸に白色の糸が配されたシャンブレー織物の一種である。ジーンズは洗濯や摩耗により染料が脱落又は、生地表面を主として構成する経糸が脱落することで異なる色相が現われるが、古さのみが強調されるだけであり面白味のない物であった。またジーンズでは製品染色時にインディゴ染料のように家庭洗濯で脱落し易い染料を選択する必要があることや、使い古し感を出すために摩耗により経糸のほとんどを脱落させなければならず、それにより強力が著しく低下し、製品寿命が短くなる問題があった。
【0003】
また染色方法にて得られる摩耗により異なる色相が現れる繊維製品として、生地表面部のみ染色され中央部が染色されていないいわゆる中白染色がある。これもジーンズと同様摩耗により染色された表面部分が削られ、中央部の白さが現われるだけの古さのみが強調される面白味のない物であった。
【0004】
またセルロース系繊維布に対して、ビニールスルフォン系反応性染料で染色する第一染色工程と、セルラーゼ等の酵素によるバイオ処理する工程と、センカフロスト等還元剤による脱色工程と、反応性染料で染色する第二染色工程から成る加工を行い、布帛等に所要の染色を施すセルロース系繊維布の染色方法が提案されている。しかしこれは玉虫色調,異色色調を狙った物であり、摩耗により中央部から異なる色相が現われる繊維製品は得られない。(例えば、特許文献1参照。)
【特許文献1】特開平10−280276号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上記のような従来の技術の課題を解決しようとするものであって、従来には存在しなかった摩耗により布帛の厚み方向中央部から表面層(染色されている場合と染色されていない場合がある)とは異なる色相に染色された部分が現れる洗濯耐久性に優れた新規な繊維製品とその合理的な製造方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者らは上記課題を解決するため、鋭意研究した結果、遂に本発明を完成するに到ったもので、以下の構成よりなる。
【0007】
1.中央部のみが染色されているか、又は、表面部と中央部が異色に染色されたセルロース系布帛で構成され、洗濯堅牢度が3−4級以上であることを特徴とする繊維製品。
2.布帛の表面部から中央部にかけて徐々に変色し、繊維製品を構成する糸が紡績糸であることを特徴とする上記第1に記載の繊維製品。
3.繊維製品がセルロース系繊維のみから成り、乾摩擦堅牢度4級以上であることを特徴とする上記第1または第2に記載の繊維製品。
4.セルロース系繊維を含む布帛の生機に下晒処理を施し、樹脂加工処理し、染色する繊維製品の製造方法。
5.樹脂加工前にも、樹脂加工後の染色と異なる色相を有する染料で染色することを特徴とする上記第4に記載の繊維製品の製造方法。
6.樹脂加工処理が、布帛を樹脂加工液に浸漬した後、絞り、乾燥し、キュアーさせるものであることを特徴とする上記第4または5に記載の繊維製品の製造方法。
7.乾燥及びキュアーにおいて、80〜200℃で10秒以上加熱しながら布帛の両面から熱風処理することを特徴とする上記第6に記載の繊維製品の製造方法。
【発明の効果】
【0008】
本発明による繊維製品は、洗濯耐久性に優れる一方、摩耗により白さではなく、異なる色調が現われるので使うほどに表面色彩が変化する面白味のあるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明を詳細に説明する。
【0010】
本発明で言うセルロース系繊維とは木綿100%はもちろんのこと、他の繊維、例えば麻、亜麻、パルプ、バクテリアセルロース繊維等の天然セルロース繊維、ビスコース法レーヨン(ポリノジックを含む)、銅アンモニア法レーヨン、溶剤紡糸法レーヨン等の再生セルロース繊維類である。
【0011】
本発明で言う表面部と中央部とは、繊維製品を構成する布帛を垂直に切断した断面において、表面付近を表面部とし厚み中央付近を中央部とする。本発明で言う異色とは、2色以上の異なる色相で染められた状態を意味する。単色で染色した場合、摩耗しても同じ色しか現われず面白味のあるものではない。さらに表面部のみ染色され中央部が染色されていないいわゆる中白染色は、摩耗により染色された表面部分が削られ、中央部の白さが現われるだけの古さのみが強調される面白味のない物でしかない。
【0012】
本発明の繊維製品は洗濯堅牢度が3−4級以上であることが好ましい。3級以下の繊維製品は家庭洗濯時、洗濯水による他繊維への汚染が発生するためである。顔料を用いた繊維製品は、洗濯堅牢度が3級以下になりやすいので好ましくない。
【0013】
本発明でいう繊維製品とは、布帛(織物、編物、不織布)や前記のような布帛が少なくとも一部として含まれてれなる衣料品、生活資材製品やその他の縫製品などを示す。
【0014】
繊維製品を構成する糸が紡績糸であることが好ましい。紡績糸からつくられた製品は長繊維に比べて一般にかさ高性があり、独特の風合を持っているためである。
【0015】
また表面部から中央部にかけて徐々に変色していることが好ましい。
表面の色彩変化が緩やかであるため、味のある2色階調の擬似多色調外観が得られる。これに対して例えばコアヤーンのように芯部と鞘部で異なる色相の糸を複合した場合では、多色調の外観は得られない。また、連続又は浸染染色後に顔料染色することも考えられるが、同じく色彩変化が急であるので多色調の外観が得られにくいし、洗濯耐久性、摩擦堅牢度も劣ったものになりやすい。
【0016】
繊維製品がセルロース繊維のみから成ることが好ましい。セルロース系の特徴である、吸湿性や柔らかい風合が得られる為である。さらに綿では従来技術としていわゆる中白加工は存在したが、表面部と中央部に異色で染色することはできなかった。
【0017】
本発明の繊維製品は乾摩擦堅牢度が4級以上であることが好ましい。3-4級以下の繊維製品は着用時、繊維同士の摩擦により染料の汚染が発生するためである。顔料を用いた繊維製品は、乾摩擦堅牢度が3-4級以下になりやすいので好ましくない。
【0018】
セルロース系繊維を含む布帛生機に下晒処理を施し、樹脂加工処理し、染色する加工方法が好ましい。樹脂加工を染色前に行うことで、布帛表面部のセルロースのOH基を樹脂と反応させることで染料の固着を防止する。樹脂加工後に染色すると表面部は染まらず、中央部のみ染色することが可能となる。これで得られる布帛は従来の中白加工と異なり、摩耗するほどに色が出てくるものとなる。
【0019】
本発明において、樹脂加工処理で使用する樹脂加工剤は、セルロースのOH基と反応性を持つものであることが好ましく、ジメチルジヒドロキシエチレン尿素、ジメチロールエチレン尿素、ジメチロールプロピレン尿素、ジメチロールアルキルトリアゾン、トリメチロールメラミン、ヘキサメチロールメラミン等のメラミン−ホルマリン系樹脂が望ましいが、ジメチロールジヒドロキシエチレン尿素等のグリオキザール系樹脂やアクリル系エマルジョン、酢酸ビニール系エマルジョン、水溶性アクリル系、ポリウレタンポリ尿素樹脂、熱効果型ポリアミド樹脂、芳香族ポリエステル樹脂等も利用できる。
【0020】
本発明の樹脂加工で使用する触媒としては、AlCl3、Al2(SO43、MgCl2、Mg(H2PO42、Zn(BF42、Zn(NO32、ZnCl2、Mg(BF42、Mg(ClO42、Al2(OH)4Cl2等の各種金属塩(結晶水含有物も含む)類、2−アミノー2メチルー1プロパノールの塩酸類など各種アルカノールアミンの酸性塩、硝酸、塩酸、硫酸、燐酸などの強酸のアンモニウム塩類及びこれらの混合物が利用できる。
【0021】
本発明で樹脂加工前の染色で用いる染料、染色方法は建染染料によるバット染、シクロルトリアジン,ジフロルクロルピリミジン、モノフロルトリアジン、ジクロルキノキサリン、ビニルスルフォン、モノクロルトリアジン、トリクロルピリミジン等の反応性染料による反応染、ナフトール染料によるナフトール染、硫化バット染料による硫化染も利用できる、特に指定しない。
【0022】
樹脂加工前の染色と、樹脂加工後の染色は異なる色相で染色することが好ましい。同一色相で染色した場合、摩耗により異なる色相が現われないためである。
【0023】
本発明で樹脂加工後の染色で用いる染料、染色方法は、建染染料によるバット染、シクロルトリアジン,ジフロルクロルピリミジン、モノフロルトリアジン、ジクロルキノキサリン、ビニルスルフォン、モノクロルトリアジン、トリクロルピリミジン等の反応性染料による反応染が好ましい。これは布帛表面部のセルロースのOH基を樹脂と反応するため、特に好ましい。これらの染料であれば、洗濯耐久性及び乾摩擦堅牢度に優れたものになりやすい。
【0024】
布帛を樹脂加工液に浸漬した後、絞り、乾燥し、キュアーさせる樹脂加工方法であることが好ましい。樹脂加工剤を浸漬し絞ることにより、繊維と反応できる樹脂量を調節しやすくなる。前記のキュアーという用語はいわゆるパッド、ドライ、キュアーのキュアーであり、付与された樹脂を安定的に付着せしめるための加熱処理を意味している。樹脂の種類がセルロースのOH基と反応性を持つ場合には、このキュアーの工程で主に反応が進むこととなる。
【0025】
樹脂加工における乾燥及びキュアーにおいて、80〜200℃で10秒以上加熱しながら布帛の両面に熱風処理することが好ましい。乾燥又はキュアーのいずれかの工程で80℃未満であると樹脂が繊維に均一に反応するので2層染色ができなくなりやすくあまり好ましくない。また200℃を超えると樹脂加工により急激な強力低下と染料が分解或いは繊維が黄変することで色相の変化が起こりやすく好ましくない。より好ましい温度範囲としては、130〜180℃である。また加熱時間が10秒未満であると、反応が充分起こらずに2層染色ができなくなりやすい。より好ましい加熱時間範囲としては、30〜300秒である。布帛の両面に熱風処理した場合、布帛表面で樹脂の反応が進むため2層染色が綺麗に出来るが、片面に直接熱風を当てた場合は、反応に表裏差が発生し、布帛の表裏の色相が異なったものとなりやすい。
【0026】
前記の乾燥とキュアーの両工程において、その処理温度はキュアーの方が相対的に高いことが好ましく、処理時間についても、キュアーの方が相対的に長いことが好ましい。乾燥はあくまでも乾燥を目的とするものであるのに対し、キュアーは付与した樹脂を安定的に洗濯耐久性よく付着せしめる目的であることに理由がある。
【0027】
一般に染色製品に施される起毛等の風合加工、樹脂加工剤、柔軟剤、撥水剤、制電剤その他の処理剤による仕上げ加工は、本発明にも例外なく適用できる。
【実施例】
【0028】
次に実施例及び比較例を用いて、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例または比較例における繊維製品の用いた評価法を以下に示す。本発明はこれら実施例に制限されるものではない。
【0029】
布帛の異色性(グラデーション性):
120メッシュの粒度のエメリーペーパにて生地表面を3N/cm2の荷重で10〜100回まで10段階擦り、生地表面部と中央部の色相を比較確認した。
【0030】
洗濯堅牢度: JIS-L-0844 A-2法 変退色 に準拠した。
【0031】
摩擦堅牢度: JIS-L-0849 II型 乾燥 に準拠した。
【0032】
(実施例1)
木綿織物(12/1×14/1/110×80 2/1ツイル織物)を常法により毛焼き、糊抜き、精練漂白、シルケット加工した。この加工布を下記組成の建染染色液(ア)に浸漬し絞り率55% になるように絞りその後乾燥し、還元液(イ)を浸漬し絞り率70%にし、スチーミング後酸化工程を経てマルセル石鹸によりソーピングを行い乾燥し、常法により連続建染染色した。この工程で得られた布帛はオリーブに染色された。次いで下記組成の樹脂加工液(ウ)に浸漬し絞り率70%になるように絞り、その後生地の両面より130℃の熱風にて90秒かけ乾燥させた後、さらに生地の両面より160℃の熱風にて150秒キュアーした。次いで下記組成の建染染色液(エ)に浸漬し絞り率55%になるように絞り乾燥しその後乾燥し、還元液(オ)を浸漬し絞り率70%にし、スチーミング後酸化工程を経てマルセル石鹸によりソーピングを行い乾燥し、常法により連続建染染色し、表面部がブラウンで中央部がレッドで染色された本発明の実施例1の製品を得た。得られた製品の評価を表1に示した。
染色液(ア):
CIBANON OLIVE-S 1.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 建染染料)
イルガパドール(登録商標)MP 7.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 マイグレーション防止剤)
水 92.0重量部
還元液(イ):
NaOH (32.5%) 4.5重量部
ハイドロサルファイト 4.0重量部
水 91.5重量部
樹脂加工液(ウ):
Sumitex Resin(登録商標)M-3 3.0重量部
(住化ケムテックス(株)社製 メラミン樹脂)
Sumitex Resin(登録商標)NS-200 1.5重量部
(住化ケムテックス(株)社製 グリオキザール樹脂)
キャタリストG 1.5重量部
(大日本インキ化学工業(株)社製 潜在性酸性触媒)
エバファノール(登録商標)N33 1.5重量部
(日華化学(株)社製 ポリウレタン樹脂)
水 92.5重量部
染色液(エ):
CIBANON Red 6B 2.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ製 建染染料)
イルガパドール(登録商標)MP 7.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ製 マイグレーション防止剤)
水 91.0重量部
還元液(オ):
NaOH (32.5%) 4.5重量部
ハイドロサルファイト 4.0重量部
水 91.5重量部
【0033】
(実施例2)
木綿織物(40/2×40/2/110×80 2/1ツイル織物)を常法により毛焼き、糊抜き、精練漂白、シルケット加工後した。この加工布を下記組成の樹脂加工液(カ)に浸漬し絞り率70%になるように絞り、その後生地の両面より130℃の熱風にて90秒かけ乾燥させた後、さらに生地の両面より160℃の熱風にて150秒キュアーした。次いで下記組成の反応染色液(キ)に浸漬し絞り率70%になるように絞り乾燥し、アルカリ液(ク)に浸漬し絞り率70%になるように絞り、スチーミング後マルセル石鹸にてソーピングを行い乾燥し、常法により連続反応染色し、表面部が染色されずで中央部が赤色で染色された本発明の実施例2の製品を得た。得られた製品の評価を表1に示した。
樹脂加工液(カ):
Sumitex Resin(登録商標)M-3 3.0重量部
(住化ケムテックス(株)社製 メラミン樹脂)
Sumitex Resin(登録商標)NS-200 1.5重量部
(住化ケムテックス(株)社製 グリオキザール樹脂)
キャタリストG 1.5重量部
(大日本インキ化学工業(株)社製 潜在性酸性触媒)
エバファノール(登録商標)N33 1.5重量部
(日華化学(株)社製 ポリウレタン樹脂)
水 92.5重量部
染色液(キ):
Sumifix Supra(登録商標)Brilliant Red 3BF150% 3.0重量部
(住化ケムテックス(株)反応染料)
イルガパドール(登録商標)MP 5.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 マイグレーション防止剤)
水 92.0重量部
アルカリ液(ク):
ソーダ灰 2.0重量部
NaOH (32.5%) 1.5重量部
芒硝 3.0重量部
水 93.5重量部
【0034】
(実施例3)
木綿編物(40/2 天竺 22ゲージ)を常法により毛焼き、糊抜き、精練漂白、シルケット加工後した。次いで下記組成の染色液(ケ)を60℃に昇温して染浴を作製した。次いで、この染浴中に加工布を入れ(浴比1:20、染色時間50分)、染色開始後15分経過後ソーダ灰を0.8重量部添加し、さらに35分経過のち染色を終了した。次いで、常法により洗浄後、乾燥して染色 物を得た。得られた染色 物は均一な青色であった。次いで下記組成の樹脂加工液(コ)に浸漬し絞り率70%になるように絞り、その後生地の両面より130℃の熱風にて90秒かけ乾燥させた後、さらに生地の両面より160℃の熱風にて150秒キュアーした。次いで下記組成の染色液(サ)を60℃に昇温して染浴を作製した。次いで、この染浴中に加工布を入れ(浴比1:20、染色時間50分)、染色開始後15分経過後ソーダ灰を0.8重量部添加し、さらに35分経過のち染色を終了した。次いで、常法により洗浄後、乾燥し、表面部がブルーで中央部がレッドで染色された本発明の実施例3の製品を得た。得られた製品の評価を表1に示した。
染色液(ケ):
Sumifix Supra(登録商標)Blue BRF150% 0.5重量部
(住化ケムテックス(株)社製 反応染料)
無水芒硝 5.0重量部
水 94.5重量部
樹脂加工液(コ):
Sumitex Resin(登録商標)M-3 3.0重量部
(住化ケムテックス(株)社製 メラミン樹脂)
Sumitex Resin(登録商標)NS-200 1.5重量部
(住化ケムテックス(株)社製 グリオキザール樹脂)
キャタリストG 1.5重量部
(大日本インキ化学工業(株)社製 潜在性酸性触媒)
エバファノール(登録商標)N33 1.5重量部
(日華化学(株)社製 ポリウレタン樹脂)
水 92.5重量部
染色液(サ):
Sumifix Supra(登録商標)Brilliant Red 3BF150% 0.5重量部
(住化ケムテックス(株)社製 反応染料)
無水芒硝 5.0重量部
水 94.5重量部
【0035】
(比較例1)
実施例1で使用した木綿織物を、下記組成の建染染色液(シ)に浸漬し絞り率55% になるように絞りその後乾燥し、還元液(ス)を浸漬し絞り率70%にし、スチーミング後酸化工程を経てマルセル石鹸によりソーピングを行い乾燥し、常法により連続建染染色した。次いで下記組成の建染染色液(セ)に浸漬し絞り率55%になるように絞り乾燥しその後乾燥し、還元液(ソ)を浸漬し絞り率70%にし、スチーミング後酸化工程を経てマルセル石鹸によりソーピングを行い乾燥し、常法により連続建染染色し、本発明の比較例1の製品を得た。得られた製品の評価を表1に示した。
染色液(シ):
CIBANON OLIVE-S 1.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 建染染料)
イルガパドール(登録商標)MP 7.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 マイグレーション防止剤)
水 92.0重量部
還元液(ス):
NaOH (32.5%) 4.5重量部
ハイドロサルファイト 4.0重量部
水 91.5重量部
染色液(セ):
CIBANON Red 6B 2.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 建染染料)
イルガパドール(登録商標)MP 7.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 マイグレーション防止剤)
水 91.0重量部
還元液(ソ):
NaOH (32.5%) 4.5重量部
ハイドロサルファイト 4.0重量部
水 91.5重量部
【0036】
(比較例2)
実施例1で使用した木綿織物を、下記組成の建染染色液(タ)に浸漬し絞り率55%になるように絞りその後乾燥し、還元液(チ)を浸漬し絞り率70%にし、スチーミング後酸化工程を経てマルセル石鹸によりソーピングを行い乾燥し、常法により連続建染染色した。本発明の比較例2の製品を得た。得られた製品の評価を表1に示した。
染色液(タ):
CIBANON OLIVE-S 1.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 建染染料)
イルガパドール(登録商標)MP 7.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 マイグレーション防止剤)
水 92.0重量部
還元液(チ):
NaOH (32.5%) 4.5重量部
ハイドロサルファイト 4.0重量部
水 91.5重量部
【0037】
(比較例3)
実施例3で使用した木綿編物を、下記組成の染色液(ツ)を60℃に昇温して染浴を作製した。次いで、この染浴中に加工布を入れ(浴比1:20、染色時間50分)、染色開始後15分経過後ソーダ灰を0.8重量部添加し、さらに35分経過のち染色を終了した。次いで、常法により洗浄後、乾燥して染色 物を得た。次いで下記組成の染色液(テ)を60℃に昇温して染浴を作製した。次いで、この染浴中に加工布を入れ(浴比1:20、染色時間50分)、染色開始後15分経過後ソーダ灰を0.8重量部添加し、さらに35分経過のち染色を終了した。次いで、常法により洗浄後、乾燥して本発明の比較例3の製品を得た。得られた製品の評価を表1に示した。
染色液(チ):
Sumifix Supra(登録商標)Blue BRF150% 0.5重量部
(住化ケムテックス(株)社製 反応染料)
無水芒硝 5.0重量部
水 94.5重量部
染色液(ツ):
Sumifix Supra(登録商標)Brilliant Red 3BF150% 0.5重量部
(住化ケムテックス(株)社製 反応染料)
無水芒硝 5.0重量部
水 94.5重量部
【0038】
(比較例4)
実施例1で使用した木綿織物の代わりにポリエステル100%の織物を使用した以外は実施例1にしたがった。
【0039】
(比較例5)
実施例3で使用した木綿編物を、下記組成の染色液(テ)を60℃に昇温して染浴を作製した。次いで、この染浴中に加工布を入れ(浴比1:20、染色時間50分)、染色開始後15分経過後ソーダ灰を0.8重量部添加し、さらに35分経過のち染色を終了した。次いで、常法により洗浄後、乾燥して染色 物を得た。次いで下記組成の顔料染色液(ト)に浸漬し絞り率70%になるように絞り130度で乾燥しその後150℃で150秒でキュアーし、本発明の比較例5の製品を得た。得られた製品を評価を表1に示した。
染色液(テ):
Sumifix Supra(登録商標)Blue BRF150% 0.5重量部
(住化ケムテックス(株)社製 反応染料)
無水芒硝 5.0重量部
水 94.5重量部
染色液(ト):
ニューラクチミン(登録商標)Standard Red FL2B 5.0重量部
(大日精化(株)社製 顔料)
ディックナール V−18 5.0重量部
(大日本インキ(株)社製 バインダー)
水 90.0重量部
【0040】
(比較例6)
実施例1で使用した木綿織物を、下記組成の建染染色液(ナ)に浸漬し絞り率55% になるように絞りその後乾燥し、還元液(ニ)を浸漬し絞り率70%にし、スチーミング後酸化工程を経てマルセル石鹸によりソーピングを行い乾燥し、常法により連続建染染色した。本発明の比較例6の製品を得た。従来からある中白製品で面白味のないものであった。得られた製品の評価を表1に示した。
染色液(ナ):
CIBANON OLIVE-S 1.0重量部
(チバスペシャリティケミカルズ(株)社製 建染染料)
水 99.0重量部
還元液(ニ)
NaOH (32.5%) 4.5重量部
ハイドロサルファイト 4.0重量部
水 91.5重量部
【0041】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0042】
本発明は、シャツ,スラックス,コートなどの衣料用品、シーツ、枕カバーなどの寝装用品、ハンカチ、テーブルクロス、タオルなどの日用雑貨用品として好適なセルロース含有等繊維構造物及びその製品に関するものであり、産業界に寄与することが大である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央部のみが染色されているか、又は、表面部と中央部が異色に染色されたセルロース系布帛で構成され、洗濯堅牢度が3−4級以上であることを特徴とする繊維製品。
【請求項2】
布帛の表面部から中央部にかけて徐々に変色し、繊維製品を構成する糸が紡績糸であることを特徴とする請求項1に記載の繊維製品。
【請求項3】
繊維製品がセルロース系繊維のみから成り、乾摩擦堅牢度4級以上であることを特徴とする請求項1または2に記載の繊維製品。
【請求項4】
セルロース系繊維を含む布帛の生機に下晒処理を施し、樹脂加工処理し、染色する繊維製品の製造方法。
【請求項5】
樹脂加工前にも、樹脂加工後の染色と異なる色相を有する染料で染色することを特徴とする請求項4に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項6】
樹脂加工処理が、布帛を樹脂加工液に浸漬した後、絞り、乾燥し、キュアーさせるものであることを特徴とする請求項4または5に記載の繊維製品の製造方法。
【請求項7】
乾燥及びキュアーにおいて、80〜200℃で10秒以上加熱しながら布帛の両面から熱風処理することを特徴とする請求項6に記載の繊維製品の製造方法。

【公開番号】特開2007−31874(P2007−31874A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−216075(P2005−216075)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000003160)東洋紡績株式会社 (3,622)
【Fターム(参考)】