説明

撥液性コーティング組成物及び高アルカリ耐性を有するコーティング

a)フッ素含有基を有する少なくとも1つの加水分解性シランとカチオン重合性基を有する少なくとも1つの加水分解性シランとの縮合生成物、及びb)カチオン性イニシエーターを含むコーティング組成物は、硬化の際に、耐アルカリ性、撥液性コーティングを有する支持体を提供するのに適する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、フッ素含有基及びカチオン重合性基を含有する有機/無機重縮重合体に基づくコーティング系、このコーティング組成物でコーティングされた支持体、ならびにそのようなコーティングを有する支持体を調製する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
低い表面自由エネルギーのコーティングに対する需要はなお多い。ペルフッ素化(perfluorinated)ポリマー鎖を含有するポリマー(例えば、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)またはアクリレート)のコーティング組成物が開発されている。PTFEの使用はその高い硬化温度に起因してなお困難であるが、フッ化アクリレートは、かなり低い熱及び機械的安定性を有する。従って、無機骨格と、側鎖にフッ化シランとを含むハイブリッド材料が開発されている。これらの系は、増加した機械的及び熱安定性を示す。
【0003】
これらの材料のコーティングが選択的ラジカル重合を達成するためにパターン状に光に曝されるパターン形成法における、このようなハイブリッド材料の使用が記載されている。一般的に、このような系は、十分な機械的特性を得るための高い無機含量により特徴付けられる。しかし、フォトリソグラフィーによるパターニングのための光感受性特性は、このコーティングの無機骨格に起因して制限される。
【0004】
無機骨格のSi−O−Si結合は、高pH値で切断を受けやすいので、このような系の主な欠点の1つは、アルカリ溶液に対する高い感受性である。上述のように、光反応に基づく方法におけるパターン形成特性は、無機骨格により有意に低下する。高い機械的安定性及びフォトリソグラフィーに基づくラジカル重合に対する適合性を達成するために、高い硬化温度(一般的に150℃〜200℃を超える)が必要とされる。しかし、これは、高pH値での高い感受性の問題を解決しない。
【0005】
従って、撥液(liquid repellent)特性を有するコーティングは、特性(例えば、機械的安定性、耐アルカリ性及びパターン形成用途における増感特性)のさらなる改善をなお必要としている。別の所望される特性は、高いワイピングスタビリティー(wiping stability)及びウエアスタビリティー(wear stability)である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従って、本発明の目的は、高アルカリ耐性の撥液コーティングを有する支持体を提供することである。このコーティングは、他の化学的または機械的攻撃(例えば、ワイピング)に関しても耐久性であるべきである。これらのコートされた支持体が、高い光感受性特性を必要とするパターン形成法において用いられ得ることがさらに意図される。
【課題を解決するための手段】
【0007】
これら及び他の目的は、a)フッ素含有基を有する少なくとも1つの加水分解性シランとカチオン重合性基を有する少なくとも1つの加水分解性シランの縮合生成物、及びb)カチオン性イニシエーターを含む本発明に従うコーティング組成物を用いることによって達成される。
【0008】
本発明に従うコーティング組成物の使用は、顕著な特性を有するコーティングをもたらす。特に、これらのコーティングが、10より高いpHを有する高度にアルカリ性の溶液において60℃で3ヶ月間安定であったという事実により証明されるように、このコーティング組成物を用いて得られるコーティングが非常に高い耐アルカリ性を有することが見出されたが、このことは全く予想されていなかった。そのような化学的耐性は、当該技術水準に従うハイブリッド材料コーティングによっては達成されない。さらに、本発明のコーティング組成物は比較的高いシリケート含量を有していても、これらは、光感受性特性も提供し、従って、光反応に関連するパターン形成法に用いられ得る。さらに、得られるコーティングは、優れた撥液特性を保持しながら、非常に良好な耐久性及びワイピングスタビリティーを有する。
【0009】
さらに驚くべき発見は、これらのコーティング組成物が改善された接着特性を示すことであった。この改善された接着は、コーティング組成物が2つの個々の層を備える支持体における上層として用いられる場合、特に両方の層が同時に硬化する場合に特に有利である。例えば、このコーティング組成物は、撥液層としての使用(ここで、本発明のコーティング組成物は、支持体の適切な層に塗布され、次いで両方の層が同時に硬化される)に適している。この様式において、優れた接着を示す非常に所望される層複合体が得られる。
【0010】
いずれの理論にも束縛されることを望まないが、本発明の驚くべき改善は、少なくとも一部は、カチオン性イニシエーターによって、カチオン重合性基を介して同時に形成される無機シリケート骨格と有機重合性ネットワークとの組合せからもたらされていると考えられる。これらのカチオン重合性基は、カチオン重合プロセスによって重合し得、これは、同時に、無機シリケートネットワーク内の縮合度も増強し得る。
【0011】
フッ化シランにより生じる、このコーティング組成物から調製されるコーティングの低い表面自由エネルギーは、高度の撥液特性をもたらす。明らかに、他の系からは知られていなかった驚くべき安定性を導く相互侵入ネットワーク(IPN)を含むような非常に特徴的な構造が、本発明に従って形成される。シリケートが豊富及びシリケートが乏しい領域を導く相分離が回避され、そして形成される、アルカリ攻撃に対して安定な有機重合ネットワークもこの有機重合ネットワーク内に無機骨格を固定化することによってシリケートの溶解を防ぐことが仮定される。
【0012】
硬化したコーティング組成物は、加水分解性シランから形成されるシロキサンフレームワーク(無機フレームワーク)及びエポキシ基が用いられる場合、エーテル結合により結合するカチオン重合性基により形成される有機フレームワークを含む。このように、硬化したコーティング組成物は、有機及び無機成分が組み合わされたハイブリッド材料である。
【0013】
本発明の1つの重要な特徴は、カチオン性イニシエーターの存在、すなわち、コーティング組成物の形成及び硬化がカチオン重合反応を含むという事実である。いずれの理論にも束縛されることを望まないが、ラジカル重合反応を含む系と比較して、驚異的に改善された化学物質に対する耐久性、特に耐アルカリ性は、より安定なネットワークを明らかにもたらす結合、代表的には、エポキシ基の場合のエーテル結合を導くカチオン重合反応の結果であり、その結果、得られるコーティングが高度にアルカリ性の溶液中でほとんど加水分解しないと考えられる。
【0014】
以下に、本発明をより詳細に記載する。
【0015】
本発明のコーティング組成物は、フッ素含有基を有する少なくとも1つの加水分解性シラン及びカチオン重合性基を有する少なくとも1つの加水分解性シランの縮合生成物を含む。
【0016】
この縮合生成物は、少なくとも2つの異なる加水分解性シランに基づく。加水分解性シランは、少なくとも1つの加水分解性置換基を含む。フッ素含有基を有する少なくとも1つの加水分解性シランは、加水分解性置換基及び少なくとも1つのフッ素原子(一般的に炭素原子に結合している)を保有する少なくとも1つの非加水分解性置換基を有するシランである。簡単のために、これらのシランを、以下、しばしばフルオロシランと示す。本発明に従い用いられ得るフルオロシランの具体例は、本明細書中に参考として援用される、WO92/21729から得ることができる。
【0017】
このフルオロシランは、好ましくは、フッ素含有基を有する非加水分解性置換基を1つ含むのみであるが、フッ素原子を有さない非加水分解性置換基もさらに含み得る。フルオロシランのフッ素含有基を含む少なくとも1つの非加水分解性置換基は、1つ以上の炭素原子に結合した、一般的には少なくとも1個、好ましくは少なくとも3個、そして特に少なくとも5個、そして一般的には30個以下、より好ましくは25個以下、そして特に、21個以下のフッ素原子を含む。これらの炭素原子が脂環式を含む脂肪族原子であることが好ましい。さらに、フッ素原子が結合した炭素原子は、好ましくは、少なくとも2つの原子(好ましくは、炭素及び/または酸素原子(例えば、C1−4アルキレンまたはC1−4アルキレンオキシ(例えば、エチレンまたはエチレンオキシ結合))である)によって珪素原子から隔てられている。
【0018】
好ましいフッ素含有基を有する加水分解性シランは、一般式(I)のものである:
RfSi(R)(3−b) (I)
ここで、Rfは、炭素原子に結合した1〜30個のフッ素原子を有する非加水分解性置換基であり、Rは、非加水分解性置換基であり、Xは、加水分解性置換基であり、そしてbは、0〜2、好ましくは0または1そして特に0の整数である。
【0019】
一般式(I)において、加水分解性置換基X(これらは互いに同一でも異なっていてもよい)は、例えば、水素またはハロゲン(F、Cl、BrまたはI)、アルコキシ(好ましくはC1−6アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、n−プロポキシ、イソプロポキシ、及びn−ブトキシ、sec−ブトキシ、イソブトキシ、及びtert−ブトキシ)、アリールオキシ(好ましくはC6−10アリールオキシ(例えば、フェノキシ))、アシルオキシ(好ましくはC1−6アシルオキシ(例えば、アセトキシまたはプロピオニルオキシ)、アルキルカルボニル(好ましくはC2−7アルキルカルボニル(例えば、アセチル))、アミノ、好ましくは1〜12個、特に1〜6個の炭素原子を有するモノアルキルアミノまたはジアルキルアミノである。好ましい加水分解性の基は、ハロゲン、アルコキシ基、及びアシルオキシ基である。特に好ましい加水分解性の基は、C1−4アルコキシ基、特にメトキシ及びエトキシである。
【0020】
非加水分解性置換基R(これらは、互いに同一でも異なっていてもよい)は、官能基を含有する非加水分解性の基Rでも、官能基を有さない非加水分解性置換基Rでもよい。一般式(I)において、置換基Rは、存在する場合、好ましくは官能基を有さない基である。
【0021】
官能基を有さない非加水分解性の基Rは、例えば、アルキル(例えば、C1−8アルキル、好ましくはC1−6アルキル(例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、s−ブチル及びt−ブチル、ペンチル、ヘキシル及びオクチル))、シクロアルキル(例えば、C3−8シクロアルキル(例えば、シクロプロピル、シクロペンチルまたはシクロヘキシル))、アルケニル(例えば、C2−6アルケニル(例えば、ビニル、1−プロペニル、2−プロペニル及びブテニル))、アルキニル(例えば、C2−6アルキニル(例えば、アセチレニル及びプロパルギル))、シクロアルケニル及びシクロアルキニル(例えば、C2−6アルケニル及びシクロアルキニル)、アリール(例えば、C6−10アリール(例えば、フェニル及びナフチル))、及び対応するアリールアルキル及びアルキルアリール(例えば、C7−15アリールアルキル及びアルキルアリール(例えば、ベンジルまたはトリル))である。基Rは、1つ以上の置換基(例えば、ハロゲン、アルキル、アリール及びアルコキシ))を含み得る。式(I)において、Rは、存在する場合、好ましくはメチルまたはエチルである。
【0022】
上述のように、式(I)の非加水分解性置換基Rは、1つ以上の官能基も含み得る。そのような基の例を、以下の式(III)における官能基を有する置換基Rの定義において見出すことができる。主に、以下の式(II)において定義される置換基Rcも官能基を有する非加水分解性置換基Rと考えられ得る。
【0023】
非加水分解性置換基Rfは、1個以上の炭素原子に結合した、少なくとも1個、好ましくは少なくとも3個、そして特に少なくとも5個のフッ素原子、そして一般的に30個以下、より好ましくは25個以下、そして特に21個以下のフッ素原子を含む。前記炭素原子が脂環式を含む脂肪族原子であることが好ましい。さらに、フッ素原子が結合した炭素原子は、好ましくは、少なくとも2つの原子(好ましくは、炭素及び/または酸素原子(例えば、C1−4アルキレンまたはC1−4アルキレンオキシ(例えば、エチレンまたはエチレンオキシ結合))である)によって珪素から隔てられている。
【0024】
置換基Rfは、好ましくは20個未満の炭素原子を有し、そしてそれが少なくとも3つの炭素原子を有すること(ここで好ましい範囲は、3〜15個の炭素原子を含む)が好ましい。フッ素原子が結合する炭素原子は、好ましくは脂環式炭素原子を含む脂肪族炭素原子である。Rfは、好ましくは、アルキレンまたはアルキレンオキシ単位を介して珪素原子に結合したフッ素化またはペルフッ素化アルキル基を含む。特に好ましい置換基Rfは、CF(CF−Z(ここでn及びZは、以下の式(IV)において定義される通りである)である。Rfの具体例は、CFCHCH、CCHCH、C、n−C13CHCH、i−COCHCHCH、n−C17CHCH、i−CO(CH及びn−C1021CHCHである。n−C13CHCH、n−C17CHCH、及びn−C1021CHCHが特に好ましい。
【0025】
特に好ましいシランは、一般式(IV)の化合物であり、
CF(CF−Z−SiX (IV)
ここでXは、一般式(I)において定義される通りであり、そして好ましくはメトキシまたはエトキシであり、Zは、二価有機性基であり、そしてnは、0〜20、好ましくは3〜15、より好ましくは5〜10の整数である。好ましくは、Zは、10個以下の炭素原子を含み、そしてZは、より好ましくは、6個以下、特に4個以下の炭素原子を有する二価アルキレンまたはアルキレンオキシ基(例えば、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、メチレンオキシ、エチレンオキシ、プロピレンオキシ、及びブチレンオキシ)である。エチレンが最も好ましい。
【0026】
具体例は、CFCHCHSiCl(CH)、CFCHCHSiCl(CH、CFCHCHSi(CH)(OCH、CFCHCHSiX、CCHCHSiX、CCHCHSiX、n−C13CHCHSiX、n−C17CHCHSiX、n−C1021CHCHSiX(X=OCH、OCまたはCl);i−CO−CHCHCH−SiCl(CH)、n−C13−CHCH−SiCl(OCHCH、n−C13−CHCH−SiCl(CH)及びn−C13−CHCH−SiCl(CHである。CF−C−SiX、C−C−SiX、C−C−SiX、C13−C−SiX、C17−C−SiX、及びC1021−C−SiXが特に好ましく、ここで、Xは、メトキシまたはエトキシ基である。
【0027】
さらに、本発明者らは、異なる種類のフッ素含有基を有する少なくとも2つの異なる加水分解性シランを用いることによって、特に撥液特性、ワイピング−プルーフ(wiping−proof)特性、及び化学物質(例えば、現像(developing)溶液またはアルカリ溶液)に対する耐性に関して、予想外に改善された結果が得られることを見出した。用いられるシランは、好ましくは、その中に含まれるフッ素原子の数またはフッ素含有置換基の長さ(鎖中の炭素原子数)が異なる。
【0028】
これらの改善の理由は明らかではないが、フルオロアルキル基が最上部表面において最適な構成をとるべきであるので、種々の長さのフルオロアルキル基が、より高い密度の構造的構成をもたらしていると考えられる。例えば、C13−C−SiX、C17−C−SiX、及びC1021−C−SiX(Xは上で定義した通り)のうち少なくとも2つが一緒に用いられる場合、最上部表面における高フッ素濃度は、種々の長さのフルオロアルキル基により表され、これは、単独のフルオロシランの添加と比較して顕著な改善をもたらす。
【0029】
カチオン重合性の基を有する加水分解性シランは、少なくとも1つの加水分解性置換基及び少なくとも1つのカチオン重合性の基を含む少なくとも1つの非加水分解性置換基を含む。カチオン性イニシエーターによって重合または架橋され得るカチオン重合性の基は、当業者に公知である。
【0030】
カチオン重合性基の具体例は、電子供与基(例えば、アルキル、アルケニル、アルコキシ、アリール、CN、またはCOOアルキル)が結合した、環状エーテル基(好ましくは、グリシジル及びグリシドキシを含むエポキシ基)、環状チオエーテル基、スピロオルトエステル基、環状アミド基(ラクタム)、環状エステル基(ラクトン)、環状イミン、1,3−ジオキサシクロアルカン(ケタール)、及びビニル基(例えば、ビニルエーテル基、イソブテニル基、またはビニルフェニル基)である。好ましいカチオン重合性の基は、エポキシ及びビニルエーテル基であり、特にそのアベイラビリティー及び反応制御の容易さの点から、エポキシ基が特に好ましい。
【0031】
好ましいカチオン重合性の基を有する加水分解性シランは、一般式(II)の化合物であり:
RcSi(R)(3−b) (II)
ここで、Rcは、カチオン重合性の基を有する非加水分解性置換基であり、Rは、非加水分解性置換基であり、Xは、加水分解性置換基であり、そしてbは、0〜2、好ましくは0の整数である。置換基X及びRは、一般式(I)及び以下の式(III)において定義される通りである。
【0032】
それにより重合または架橋が可能となる非加水分解性置換基Rcのカチオン重合性基の具体例は、エポキシド基(グリシジル及びグリシドキシ基を含む)、環状チオエーテル基、スピロオルトエステル基及びビニルエーテル基である。これらの官能基は、二価有機性基(例えば、シクロアルキレンを含む、アルキレン、アルケニレンまたはアリーレン架橋基(これらは、酸素または−NH−基が介在されていてもよい)により珪素原子に結合している。前記架橋基のさらなる例は、一般式(I)の官能基を有さない非加水分解性置換基Rについて定義されている、全ての基の二価の等価物(これらは、酸素または−NH−基が介在されていてもよい)である。当然、架橋は、1つ以上の慣用の置換基(例えば、ハロゲンまたはアルコキシ)を含んでいてもよい。架橋は、好ましくは、置換されていてもよい、C1−20アルキレン、より好ましくはC1−6アルキレン(例えば、メチレン、エチレン、プロピレンまたはブチレン、特にプロピレン)またはシクロヘキシルアルキル(特にシクロヘキシルエチル)である。
【0033】
前記置換基Rcの具体例は、グリシジルまたはグリシジルオキシC1−20アルキル(例えば、γ−グリシジルプロピル、β−グリシドキシエチル、γ−グリシドキシプロピル、δ−グリシドキシブチル、ε−グリシドキシペンチル、ω−グリシドキシヘキシル、及び2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルである。最も好ましい置換基Rcは、グリシドキシプロピル及びエポキシシクロヘキシルエチルである。
【0034】
対応するシランの具体例は、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(GPTS)、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(GPTES)、エポキシシクロヘキシルエチルトリメトキシシラン、及びエポキシシクロヘキシルエチルトリエトキシシランである。しかし、本発明の上述の化合物に限定されない。
【0035】
本発明の1つの実施形態によれば、さらなるシランは、縮合生成物を調製するために用いられ得、このシランは、少なくとも1つのアルキル置換基を有する1つ以上のシラン、少なくとも1つのアリール置換基を有するシラン、及び非加水分解性置換基を有さないシランから選択され得る。これらのシランの加水分解性または非加水分解性置換基は、置換されていなくても、置換されていてもよい。適切な置換基の例は、ハロゲンもしくはアルコキシのような慣用の置換基または以下の式(III)について定義される官能基である。アルキル置換基、アリール置換基を有するかまたは非加水分解性置換基を有さないこれらのシランは、撥液層の物理的特性を調節するために用いられ得る。
【0036】
本発明において用いられ得る好ましいさらなる加水分解性のシランは、一般式(III)のものであり:
SiX(4−a) (III)
ここで、Rは、好ましくは置換または非置換のアルキル及び置換または非置換のアリールから独立して選択される非加水分解性置換基であり、Xは、加水分解性置換基であり、そしてaは、0〜3の整数である。aが0の場合、シランは、加水分解性基のみを含む。置換基R及びXは、式(I)において定義されるのと同じ意味を有する。
【0037】
式(I)におけるように、非加水分解性置換基Rは、官能基を含んでいてもよいが、好ましくは、Rは、そのような官能基を有さない基である。本明細書中において、官能基とは、コーティングの調製の過程において反応を受け得る、相対的に反応性の基を意味するが、それは未反応のままでもよい。式(II)のシランのカチオン重合性基は排除される。
【0038】
官能基の具体例は、イソシアネート、ヒドロキシル、エーテル、アミノ、モノアルキルアミノ、ジアルキルアミノ、必要に応じて置換したアニリノ、アミド、カルボキシル、アリル、アクリロイル、アクリロイルオキシ、メタクリロイル、メタクリロイルオキシ、メルカプト、及びシアノである。これらの官能基は、二価有機性基(例えば、シクロアルキレンを含むアルキレン、アルケニレンまたはアリーレン架橋基)(これらは酸素または−NH−基により介在されていてもよい)によって珪素原子に結合する。これらの架橋基の例は、一般式(I)の官能基を有さない非加水分解性基Rについて定義されている、全ての基の二価等価物(これらは、酸素または−NH−基により介在されていてもよい)である。当然、架橋は、ハロゲンまたはアルコキシのような1つ以上の通常の置換基を含んでいてもよい。
【0039】
上述のように、式(III)により表されるさらなるシランの置換基Rは、好ましくは、官能基を有さない置換基である。式(III)において、Rは、好ましくは、アルキル、好ましくはC1−6アルキル、またはアリール、好ましくはフェニルであり、そしてXは、好ましくは、C1−4アルコキシ、好ましくはメトキシまたはエトキシである。
【0040】
これらのさらなる加水分解性シランの特定の非限定的な例は、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリプロポキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリプロポキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、プロピルトリプロポキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリプロポキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、及びジフェニルジエトキシシランである。
【0041】
縮合生成物を調製するために用いられるシランの割合は、所望される用途に従い選択され、そして無機縮重合物の製造の分野における当業者の知識の範囲内である。フッ素含有基を有する加水分解性シランが、用いられる加水分解性化合物の総量に基づき、0.5〜20モル%、好ましくは1〜10モル%の範囲の量で適切に用いられることが見出された。これらの範囲内では、高い撥液性及び非常に均一な表面が得られる。後者は、放射を含む光硬化及び/または記録用途に特に重要である。なぜならば得られる表面は、しばしば、光の散乱に影響する凹面及び/または凸面を有する傾向にあるからである。従って、上述の範囲は、光硬化及び/または記録用途に特に適する、高い撥液性の、平らな表面を提供する。
【0042】
カチオン重合性の基を有する加水分解性シランと更なる加水分解性シランとの間の割合は、好ましくは10:1〜1:10の範囲内である。
【0043】
縮合生成物の調製のために、珪素を含まない他の加水分解性金属化合物も少量用いられ得る。これらの加水分解性化合物は、元素周期表の主族III〜V、特にIII及びIVならびに/または遷移族II〜Vからの少なくとも1つの金属Mから選択され得、好ましくは、Al、B、Sn、Ti、Zr、VまたはZnの加水分解性化合物、特にAl、TiもしくはZrのもの、またはこれらの元素の2つ以上の混合物を含む。これらの化合物は、通常、式MXを満たし、ここで、Xは、式(I)において定義された通りであって、代表的には、アルコキシであり、nは、金属Mの価数に等しい(通常3または4)。1つ以上の置換基Xは、キレート配位子により置換され得る。また、周期表の主族I及びIIの金属(例えば、Na、K、Ca及びMg)、周期表の遷移族VI〜VIIIの中の金属(例えば、Mn、Cr、Fe、及びNi)、及びランタニドの加水分解性化合物が用いられ得る。上で示されるように、これらの他の加水分解性化合物は、一般的に、あったとしても低量(例えば、触媒量)で用いられる。必要に応じた触媒的使用は、以下に説明する。
【0044】
一般的に、上述の加水分解性シランの縮合生成物は、当業者に公知のゾルゲル法に従い、これらの出発化合物の加水分解及び縮合によって調製される。ゾルゲル法は、一般的に、必要に応じて酸または塩基触媒に補助される、これらの加水分解性シランの加水分解を含む。加水分解される種は、少なくとも部分的に縮合する。加水分解及び縮合反応は、例えば、ヒドロキシ基および/またはオキソブリッジを有する縮合生成物の形成をもたらす。加水分解/縮合生成物は、例えば、加水分解のための含水量、温度、時間、pH値、溶媒の型、及び溶媒量のようなパラメータを、所望の縮合度及び粘度を得るために適切に調整することによって制御され得る。
【0045】
さらに、加水分解を触媒するため及び縮合度を調節するために金属アルコキシドを用いることも可能である。この金属アルコキシドについて、上に定義される他の加水分解性化合物、特にアルミニウムアルコキシド、チタンアルコキシド、ジルコニウムアルコキシドが用いられ得、そして対応する錯体化合物(例えば、錯体配位子としてアセチルアセトンを伴う)が適する。
【0046】
ゾルゲル法において、溶媒が用いられ得る。しかし、溶媒なしでゾルゲル法を実施することも可能である。通常の溶媒(例えば、アルコール(例えば、脂肪族C−Cアルコール(例えば、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロパノール及びn−ブタノール))、ケトン(例えば、C1−6アルキルケトン(例えば、アセトン及びメチルイソブチルケトン))、エーテル(例えば、C1−6ジアルキルエーテル(例えば、ジエチルエーテル)、またはジオールモノエーテル)、アミド(例えば、ジメチルホルムアミド)、テトラヒドロフラン、ジオキサン、スルホキシド、スルホン、及びグリコール(例えば、ブチルグリコール)、ならびにこれらの混合物)が用いられ得る。アルコールは、好ましい溶媒である。加水分解性シランアルコキシドの加水分解の間に得られるアルコールは、溶媒としての役割を果たし得る。
【0047】
ゾルゲル法のさらなる詳細は、例えば、C.J.Brinker、G.W.Scherer:「Sol-Gel Science-The Physics and Chemistry of Sol-Gel-Processing」、Academic Press、Boston、San Diego、New York、Sydney(1990)中に見出され得る。
【0048】
加水分解性シランモノマーの代わりに、これらのモノマーの既に一部または全部が(プレ)加水分解した種またはプレ縮合物が出発物質として用いられ得る。本発明において用いられる縮合生成物は、用いられるシランの非加水分解性有機置換基に起因する有機的に改変された無機縮重合物を表す。縮合度及び粘度は、所望される特性に依存し、そして当業者により調節され得る。通常、珪素に関してさらに完全な縮合度が、最終硬化生成物において得られる。コーティング組成物の縮合生成物中に含まれるカチオン重合性の基は、通常、実質的に未反応であり、そして次の硬化工程の間に重合または架橋するための役割を果たす。
【0049】
本発明に従うコーティング組成物は、カチオン性イニシエーターをさらに含む。カチオン性イニシエーターは、市販されており、そして当該分野において公知である。用いられるカチオン性イニシエーターの特定の型は、例えば、存在するカチオン重合性基の型、イニシエーションの様式(熱または光分解)、温度、放射の型(光分解イニシエーションの場合)等に依存し得る。
【0050】
適切なイニシエーターは、全ての一般的なイニシエーター/イニシエーティング系(カチオン性フォトイニシエーター、カチオン性サーマルイニシエーター、及びこれらの組み合わせを含む)を含む。カチオン性フォトイニシエーターが好ましい。用いられ得るカチオン性イニシエーターの代表としては、オニウム塩(例えば、スルホニウム、ヨードニウム、カルボニウム、オキソニウム、シリセニウム、ジオキソレニウム、アリールジアゾニウム、セレノニウム、フェロセニウム及びインモニウム塩)、ホウ酸塩(例えば、[BFOH]H(BF及び微量の水から得ることができる))及び対応するルイス酸の塩(例えば、AlCl、TiCl、SnCl)、イミド構造またはトリアゼン構造を含む化合物、Meerwein錯体(例えば、[(CO]BF、過塩素酸、アゾ化合物及びペルオキシドが挙げられる。適切なカチオン性サーマルイニシエーターは、1−メチルイミダゾール、(C[SbCl、(C[SbF、(C[ClO、(C[SbCl、(C[ClO、(C[SbCl、(C[BF及び(C[BFである。カチオン性フォトイニシエーターとしては、芳香族スルホニウム塩または芳香族ヨードニウム塩が、感受性及び安定性の点から有利である。カチオン性フォトイニシエーターは、市販されており、例は、フォトイニシエーターDegacure(登録商標)KI85(ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィド−ビス−ヘキサフルオロホスフェート)、Cyracure(登録商標)UVI-6974/UVI-6990、Rhodorsil(登録商標)2074(トリルクミルヨードニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート))、Silicolease UV200 Cata(登録商標)(ジフェニルヨードニウム−テトラキス(ペンタフルオロフェニルボレート))及びSP170(登録商標)(4,4’−ビス[ジ(β−ヒドロキシエトキシ)フェニルスルホニオ]フェニル−スルフィド−ビス−ヘキサフルオロアンチモネート)である。
【0051】
カチオン性イニシエーターは、通常の量、コーティング組成物の総固形分に基づき、好ましくは0.01〜10重量%、特に0.1〜5重量%で使用される。
【0052】
コーティング組成物は、目的及び所望の特性に従って、さらに従来の添加物を含み得る。具体例は、チキソトロピック剤、架橋剤、溶媒(例えば、上述の溶媒)、有機及び無機顔料、UV吸収剤、潤滑剤、レベリング剤、湿潤剤、接着促進剤、及び界面活性剤である。架橋剤は、架橋を可能にする少なくとも2つの官能基を含む有機化合物であり得る。
【0053】
高アルカリ耐性コーティングを有する支持体を調製するために、本発明に従うコーティング組成物が、任意の所望される支持体に適用され得る。これらの例は、金属、ガラス、セラミック及びプラスチック支持体だけでなく、紙、建築材(例えば、(天然)石及びコンクリート)、及びテキスタイルである。金属支持体の例としては、銅、アルミニウム、鉄(鋼鉄を含む)及び亜鉛ならびに合金(例えば、真鍮)が挙げられる。プラスチック支持体の例は、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート、ポリアクリレート、及びポリエチレンテレフタラートである。ガラスまたはセラミック支持体は、例えば、主にSiO、TiO、ZrO、PbO、B、Al、及び/またはPに基づくものであり得る。支持体は、任意の形態(例えば、プレート、シートまたはフィルム)で存在し得る。当然、表面処理した支持体(例えば、サンドブラスト(sand-blasted)、コーティングまたはメタライズ(metalized)した表面(例えば、ガルバナイズした鉄プレート)を有する支持体)も適切である。特定の実施形態において、支持体は、少なくとも1つのベース層と共にコーティングされる。
【0054】
コーティング組成物は、任意の従来法によって支持体に塗布され得る。この文脈において、全ての一般的なウェットケミカルコーティング法(wet-chemical coating method)が使用され得る。代表的な方法は、例えば、ダイレクトコーティング、スピンコーティング、ディップコーティング、スプレーコーティング、ウェブコーティング、バーコーティング、ブラシコーティング、フローコーティング、ドクターブレードコーティング及びロールコーティングならびに印刷法(例えば、パット印刷、シルクスクリーン印刷、フレキソ印刷及びパッド印刷)である。さらに適切な方法は、ダイレクトコーティングである。
【0055】
塗布の後に、このコーティングは、必要な場合、乾燥され得る。次いで、支持体に塗布されたコーティング組成物が、硬化(cured)(硬化(hardened))される。硬化工程は、このカチオン重合性基のカチオン重合を含む。この硬化工程は、光もしくは放射への曝露によって及び/または加熱によって実施され得る。硬化工程において、無機縮重合物の縮合度が増強され得る。さらに、有機性側鎖におけるカチオン重合性基は、その系を架橋するように重合し、それによって所望の無機−有機ハイブリッド材料を形成する。
【0056】
本発明に従うコーティング組成物は、好ましくは、光及び熱への曝露の組み合わせによって硬化される。曝露及び加熱は、同時に及び/または連続的に実施され得る。しばしば、第一に放射及び熱の組み合わせ処理によって硬化し、引き続いてさらなる単独での加熱により硬化工程を完了させるのが好ましい。
【0057】
適切な放射は、例えば、カチオン重合性基及び用いられるカチオン性イニシエーターの型に依存する。例えば、UV放射またはレーザー光が用いられてもよい。光または放射線への曝露及び/または加熱の工程の間、カチオン性イニシエーターは、酸を生成し得る。カチオン重合性基の重合(架橋)に加えて、この酸も、シロキサンフレームワークの硬化(無機縮合)を、特にコーティングが加熱される場合、殆ど完了するまで補助し得る。
【0058】
硬化後、非常に高い耐アルカリ性、改善されたワイピングスタビリティー及び優れた機械的特性を有し、驚くべきほどに改善された光感受性特性も示す、低表面自由エネルギーのコーティングが得られる。
【0059】
本発明の好ましい実施形態において、本発明のコーティング組成物により得られるコーティングは、さらなるコーティング層としてカチオン光重合したコートを含む特徴的な2層の複合コートにおけるトップコートとして用いられる。
【0060】
従って、本発明は、
a)支持体にカチオン光重合性材料及びカチオン性イニシエーターを含むコーティング層組成物を塗布する工程、
b)該塗布したコーティング層を必要に応じて乾燥する工程、
c)該コーティング層上に耐アルカリ性、撥液性層とするためのコーティング組成物を塗布する工程であって、該組成物は、フッ素含有基を有する少なくとも1つの加水分解性シランとカチオン重合性基を有する少なくとも1つの加水分解性シランとの縮合生成物を含む、工程、ならびに
d)放射により両方の層を硬化する工程
を含む、耐アルカリ性、撥液コーティングを有する支持体を調製するプロセスにも関する。
【0061】
支持体に関して、上述のものと同じ支持体が用いられ得る。両方のコーティング組成物が、任意の従来の手段(例は、上記されている)により塗布され得る。ダイレクトコーティングは、特に、撥液層の形成のために適切な方法である。両方の層が、放射によって、すなわち、上記のような光または放射線への曝露によって硬化される。好ましい実施形態において、両方の層は同時に硬化される。
【0062】
工程a)のコーティング層組成物は、カチオン光重合性材料及びカチオン性イニシエーターを含む。適切なイニシエーターとしては、当該分野において公知の全ての一般的なイニシエーター/イニシエーティング系、特にカチオン性フォトイニシエーターが挙げられる。用いられ得るイニシエーターは、上述のものと同一である。
【0063】
工程a)のコーティング層組成物のカチオン光重合性材料は、好ましくは、当業者に公知のカチオン光重合性エポキシ化合物である。カチオン重合性樹脂は、電子リッチな求核性基(例えば、ビニルアミン、ビニルエーテル、ビニルアリール)を有するかまたは異核基(heteronuclear group)(例えば、アルデヒド、ケトン、チオケトン、ジアゾアルカン)を有する任意の他の樹脂であり得る。カチオン重合性の環式基(例えば、環状エーテル、環状チオエーテル、環状イミン、環状エステル(ラクトン)、環状アミド(ラクタム)または1,3−ジオキサシクロアルカン(ケタール))を有する樹脂も特に重要である。カチオン重合性樹脂のさらなる種は、スピロオルトエステル及びスピロオルトカルボネート(例えば、1,5,7,11−テトラオキサスピロ−[5,5]−ウンデカン)である。一般的に、カチオン光重合性材料は、樹脂材料であり得る。コーティング層組成物に用いられるエポキシ化合物は、好ましくは、エポキシ樹脂である。
【0064】
工程c)において使用されるコーティング組成物は、上記の撥液コーティング組成物に対応し、従って、その成分及び製造方法の上記の記載が参照され得る。しかし、通常、カチオン性イニシエーターが添加されるが、本発明者らは、工程(a)のコーティング層組成物がカチオン性イニシエーターを必須成分として含むので、工程c)の撥液性コーティング組成物へのカチオン性イニシエーターのさらなる混合が必ずしも必要ではないことを見出した。いずれの理論にも束縛されることを望まないが、この驚くべき結果は、カチオン性イニシエーターまたは塗布されたコーティング層組成物におけるこのイニシエーターの活性化から生じるその反応生成物(例えば、イニシエーターの活性化の際に生成される酸)が、恐らく上層中へのカチオン性イニシエーターまたはその反応生成物の拡散によって、上部のコーティング組成物のカチオン重合性基も重合/架橋することができるという事実から生じると考えられる。従って、縮合生成物を含む上層も、カチオン重合/架橋を受ける。
【0065】
本発明のコーティングは、このコーティングがアルカリ溶液と接触する場合に、特に有用であるが、中性及び/または酸性溶液との組み合わせにおいても効果的である。
【0066】
本発明のコーティング組成物は、金属、プラスチック、改変もしくは非改変の天然物質、セラミック、コンクリート、粘土及び/またはガラスの表面のコーティングに特に適する。金属表面は、金属化合物の表面も含む。言及され得る例は、金属銅、銀、金、プラチナ、パラジウム、鉄、ニッケル、クロム、亜鉛、錫、鉛、アルミニウム及びチタン、ならびにこれらの金属を含有する合金(例えば、(ステンレス)鋼、真鍮及び青銅)である。
【0067】
上記コーティング組成物は、金属及び非金属の酸化物、炭化物、珪化物、窒化物、ホウ化物等の表面(例えば、金属酸化物、炭化物(例えば、炭化珪素、炭化タングステン及び炭化ホウ素)、窒化珪素、二酸化珪素等を含むかまたはこれらからなる表面)にも塗布され得る。
【0068】
(改変または非改変)天然物質の表面の中でも、上記コーティング組成物を使用する有利な様式において、特に、天然石(例えば、砂岩、大理石、花崗岩等)、(焼成(fired))粘土及びセルロース材料のものが言及され得るが、一方で、当然、コンクリート、セラミック、磁器、石膏、ガラス及び紙(合成紙を含む)の表面をコートすることも可能である。本明細書中において、用語「ガラス」とは、非常に広範な組成を有する全ての型のガラスを含み、例えば、ソーダ石灰ガラス、カリ・ガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、バリウムガラス、ホスフェートガラス、光学ガラス、及び古典的ガラスである。
【0069】
上記コーティング組成物でコートされ得る表面を形成するプラスチックの中でも、熱可塑性物質、熱硬化性樹脂、エラストマー及び発泡プラスチックが挙げられる。そのようなプラスチックの具体例としては:オレフィン型不飽和化合物(olefinically unsaturated compound)(例えば、オレフィン(例えば、エチレン、プロピレン、ブテン、ペンテン、ヘキセン、オクテン及びデセン));ジエン(例えば、ブタジエン、クロロプレン、イソプレン、ヘキサジエン、エチリデンノルボルネン及びジシクロペンタジエン);芳香族ビニル化合物(例えば、スチレン及びその誘導体(例えば、メチルスチレン、クロロスチレン、ブロモスチレン、メチルスチレン等));ハロゲン化ビニル化合物(例えば、塩化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン及びテトラフルオロエチレン);α,β−不飽和カルボニル化合物(例えば、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸及びフマル酸)及びこれらの誘導体(特に、(アルキル)エステル、アミド、無水物、イミド、ニトリル及び塩(例えば、エチルアクリレート、メチルメタクリレート、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、(メト)アクリルアミド及びマレイン酸無水物));及びビニルアセテートのホモ−及びコポリマーが挙げられる。
【0070】
さらなる例は、ポリエステル(例えば、ポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレート);ポリアミド(例えば、ナイロン);ポリイミド;ポリウレタン;ポリエーテル;ポリスルホン;ポリアセタール;エポキシ樹脂;ポリカーボネート;ポリフェニレンスルフィド;(加硫または非加硫)合成ゴム;(加硫)天然ゴム;フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、フェノール−尿素樹脂;フェノール−メラミン樹脂;アルキド樹脂;及びポリシロキサンである。
【0071】
この種のプラスチックは、当然、通常のプラスチック添加物(例えば、フィラー、顔料、色素、強化材(例えば、(ガラス)ファイバー)、安定化剤、防炎剤、インヒビター及び潤滑剤)を含んでいてもよい。
【0072】
上記コーティング組成物は、特に、構造物及びその部分;交通及び輸送の手段ならびにこれらの部分;商業及び産業目的ならびに研究のためのオペレーティング(operating)器具、装置及び機械ならびにこれらの部分;家庭用品及び家具調度品ならびにこれらの部分;ゲーム、スポーツ及びレジャーのための器具、設備及びアクセサリならびにこれらの部分;ならびに医療目的及び患者のための機器、アクセサリ及びデバイスのコーティングに適する。そのようなコーティング可能な材料及び物品の具体例を、以下に示す。
【0073】
建造物(特にビルディング)及びこれらの部分:
ビルディングの内装及び外装、天然石、コンクリート等でできた床及び階段、床のプラスチックのカバーリング、敷き詰めた及びルースのカーペット、幅木(base board)(幅木(skirting board))、窓(特に窓枠、窓敷居、ガラスまたはプラスチックのグレージング(glazing)及び窓の取手)、ベネチアンブラインド、ローラーブラインド、ドア、ドアの取手、WC、風呂及びキッチンの家具類、シャワーキャビネット、サニタリーモジュール(sanitary module)、洗面所、パイプ(特に、汚物の堆積が回避されるべき排水管)、ラジエーター、鏡、ライトスイッチ、壁及び床のタイル、ライト、郵便箱、屋根瓦、樋、アンテナ、パラボラアンテナ、バルコニー及びエスカレーターの手すり、アーキテクチュアルグレージング(architectual glazing)、太陽熱収集機、ウインターガーデン、リフト(lift)の壁;記念物、彫刻及び一般的に、天然石(例えば、花崗岩、大理石)、金属などから作製された芸術作品、特に屋外に構築されたもの。
【0074】
交通及び輸送の手段(例えば、車、トラック、バス、モーターバイク、モーペッド、自転車、鉄道、路面電車、船及び飛行機)ならびにこれらの部分:
ヘッドランプ、内部及び外部のミラー、フロントガラス、リアウインドー、サイドウインドー、自転車及びモーターバイクの泥除け、モーターバイクのプラスチックバイザー、モーターバイクの装置、シート、サドル、ドアハンドル、ステアリングホイール、タイヤリム、燃料タンクポート(特にディーゼル用)、ナンバープレート、網棚、車のルーフコンテナ、及びコクピット。例えば、自動車の外装コーティングとして用いられる本発明のコーティングは、これらを洗浄し易くする。
【0075】
商業及び産業目的ならびに研究のためのオペレーティング器具、装置及び機械ならびにこれらの部分:
型(例えば、キャスティングモールド(casting mould)、特に金属製のもの)、ホッパー、充填ユニット、押出成形機、水車、ローラー、コンベアベルト、印刷機、スクリーン−印刷ステンシル、ディスペンシングマシーン(dispensing machine)、(マシーン)ハウジング、射出成形された部品、ドリルビット、タービン、パイプ(内部及び外部)、ポンプ、のこぎり、スクリーン(例えば、スケール(scale)用)、キーボード、スイッチ、ノブ、ボールベアリング、シャフト、スクリュー、ディスプレイ、太陽電池、ソーラーユニット、ツール、ツールハンドル、液体用容器、絶縁体、キャピラリーチューブ、レンズ、実験装置(例えば、クロマトグラフィーカラム及びフード)及びコンピュータ(特にケーシング及びモニタースクリーン)。
【0076】
家庭用品及び家具調度品ならびにこれらの部分:
家具用ベニア、家具用ストリップ、ゴミ箱、トイレブラシ、テーブルクロス、焼物(例えば、磁器及び石器製)、ガラス製品、刃物類(例えば、ナイフ)、トレイ、フライパン、ソースパン、ベーキングシート、調理器具(例えば、クッキングスプーン、おろし金、ガーリックプレス等)、インセットクッキングプレート、ホットプレート、オーブン(内部及び外部)、花瓶、壁時計のカバー、テレビ装置(特にスクリーン)、ステレオ装置、(電気)家庭用品のハウジング、ピクチャーグラス(picture glass)、壁紙、ランプ及びライト、布張りされた家具、革製品。
【0077】
特に家具のコーティングは、クリーニングを簡単にし、そして目に見える表面のしみ(mark)を防ぐ。
【0078】
ゲーム、スポーツ及びレジャーのための器具、設備及びアクセサリ:
ガーデンファニチャー、園芸用具、(特にガラスをはめた)温室、ツール、運動場の器具(例えば、すべり台)、ボール、エアベッド、テニスラケット、テーブルテニスバット、テーブルテニステーブル、スキー、スノーボード、サーフボード、公園、運動場等のベンチ、モーターバイク用衣類、モーターバイクヘルメット、スキー服、スキー靴、スキーゴーグル、スーツ用(for suit)安全ヘルメット、及びダイビングゴーグル。
【0079】
医療目的及び患者のための機器、アクセサリ及びデバイス:
(特に四肢の)プロテーゼ、インプラント、カテーテル、肛門プロテーゼ、歯ブラシ、義歯、眼鏡(レンズ及びフレーム)、(手術及び歯の処置のための)医療機器、ギブス包帯、体温計及び車椅子等、非常に一般的には、(なかでも)衛生状態を改善するための診療器具。
【0080】
上記の物品に加えて、当然、他の物品及びこれらの部分を、有利には、上記のコーティング組成物を用いて、コートすることも可能であり、例は、ジュエリー、コイン、芸術作品(例えば、絵画)、ブックカバー、墓石、壺、標識(例えば、交通標識)、ネオンサイン、交通用光柱、CD、雨降り用衣類、テキスタイル、ポスト、公衆電話ボックス、公共交通機関のためのシェルター(shelter)、保護用ゴーグル、保護用ヘルメット、ロケット、食品包装の内側及びオイルキャニスター、(例えば、食品を包装するための)フィルム、電話、給水栓のシール、及び非常に一般的には、ゴムから製造される全ての物品、ボトル、光−、熱−または圧力−感受性の記録物質(記録の前または後、例えば、写真)及び教会の窓、及び(例えば、鉄板製の)落書きを受ける物品(例えば、客車の内部及び外部、地下及び地上の都市交通の駅の壁等)である。
【0081】
撥液層(liquid-repellent layer)に光感受性を付与することが可能であり、そして光学的グレーチングまたは他の光学的構造を形成することが可能である。
【実施例】
【0082】
以下の実施例は、本発明を限定することなく、それを例示する。
【0083】
実施例1
28gのグリシドキシプロピルトリエトキシシラン(0.1モル)、18gのメチルトリエトキシシラン(0.1モル)、6.6gのトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシラン(0.013モル:全加水分解性シラン量に対し6モル%に相当する)、17.3gの水及び37gのエタノールを室温で攪拌した。引き続きこの混合物を、還流条件で24時間加熱して、縮合生成物を得た。この縮合生成物を、7重量%の固形分まで2−ブタノール/エタノールにより希釈した。
【0084】
100gの得られた複合体に、カチオン性フォトイニシエーターとして0.04gの芳香族スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(Asahi Denka Kogyo K.K.製SP170(登録商標))を添加し、これにより撥液層のためのコーティング組成物を得た。
【0085】
実施例2
6.6gのトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシランの代わりに4.4gのトリデカフルオロ−1,1,2,2−テトラヒドロオクチルトリエトキシシランと1H,1H,2H,2H−ペルフルオロドデシルトリエトキシシランとの混合物を用いたことを除き、縮合生成物を得るために実施例1と同じ方法を繰り返した。
【0086】
さらに、この縮合生成物も、2−ブタノール/エタノールを用いて7重量%の固形分まで希釈した。100gのこの複合体に、カチオン性フォトイニシエーターとして0.04gの芳香族スルホニウムヘキサフルオロアンチモネート塩(Asahi Denka Kogyo K.K.のSP170(登録商標))を添加し、これにより撥液層のためのコーティング組成物を得た。
【0087】
硬化及び評価
実施例1及び2において得られたコーティング組成物を、各々、ロールコート法によってポリアミドフィルムに塗布した。塗布したコーティングを、90℃の温度で1分間乾燥させた。
【0088】
次いで、これらのコーティングをUV照射に曝露し、そして90℃に4分間加熱した。次に、加熱オーブン中で200℃で1時間加熱することによって硬化を継続して、本発明の硬化撥液層を得た。その後、接触角を測定して、水に対する撥液性のレベルを評価した。自動接触角測定機(Kruss G2)を用いた。以下、Θは、前進接触角(advancing contact angle)を意味し、そしてΘは、後退接触角(receding contact angle)を意味する。結果を表1に示す。
【0089】
表1
【0090】
【表1】

【0091】
引き続き、撥液層が形成されたポリアミドフィルムを、60℃の温度で、4週間、アルカリ溶液(NaOH水溶液 pH=10−10.5)中に浸漬することによって撥液層の耐アルカリ性を試験した。結果を表2に示す。
【0092】
表2
【0093】
【表2】

【0094】
浸漬試験後、このポリアミドフィルムからの撥液層の剥離は観察されなかった。この結果から見出され得るように、本発明の撥液層は、非常に大きい水に対する接触角(すなわち高い撥液性)を示した。さらに、十分な撥液性は浸漬試験後も維持され、アルカリ溶液中でさえも長期保護を示す。さらに、支持体に対する優れた接着は、浸漬試験後も維持され、アルカリ溶液中でさえも長期保護が見込まれる。実施例2は、加水分解性縮合生成物が種々の長さのフッ化アルキル基を有する2つ以上の加水分解性シラン化合物を含む場合の、さらに増強された撥液性を示す。
【0095】
実施例3(2層系)
第一に、ロールコーティングによって、フォトイニシエーターとしてSP170(登録商標)を(エポキシ樹脂に基づき2重量%で)含むビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂を、ポリアミドフィルム上にコーティングした。次に、実施例1において得られたコーティング組成物を、ダイレクトコーティングによって、上記のエポキシ樹脂層上にコーティングした。しかし、この場合、実施例1のコーティング組成物は、フォトイニシエーターを含有していなかった。
【0096】
次いで、これらの2層を同時にUV照射に曝し、そして90℃で4分間加熱した。次いで、加熱オーブン中、200℃で1時間、加熱することによって硬化を継続して、本発明の硬化撥液層を得た。両方の層が完全に硬化しており、そして実施例1の単層のものと同一の高い撥液性を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)フッ素含有基を有する少なくとも1つの加水分解性シランとカチオン重合性基を有する少なくとも1つの加水分解性シランとの縮合生成物、及び
b)カチオン性イニシエーター
を含む、耐アルカリ性、撥液層のためのコーティング組成物。
【請求項2】
前記縮合生成物が、少なくとも1つのアルキル置換基を有するシラン、少なくとも1つのアリール置換基を有するシラン、及び非加水分解性置換基を有さないシランから選択されるさらなる加水分解性シランを用いて調製される、請求項1に記載のコーティング組成物。
【請求項3】
前記カチオン性イニシエーターがカチオン性フォトイニシエーターである、請求項1または請求項2に記載のコーティング組成物。
【請求項4】
フッ素含有基を有する少なくとも1つの前記加水分解性シランが、一般式(I)
RfSi(R)(3−b) (I)
により表される化合物から選択され、
ここで、Rfが炭素原子に結合した1〜30個のフッ素原子を有する非加水分解性置換基であり、Rが非加水分解性置換基であり、Xが加水分解性置換基であり、そしてbが0〜2の整数である、
請求項1〜3のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項5】
フッ素含有基を有する少なくとも1つの前記加水分解性シランが少なくとも5個のフッ素原子を含有する、請求項1〜4のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項6】
前記縮合生成物がフッ素含有基を有する少なくとも2つの加水分解性シランを用いて調製され、該シランが、異なる数のフッ素原子をその中に含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項7】
カチオン重合性基を有する少なくとも1つの前記加水分解性シランが、一般式(II)
RcSi(R)(3−b) (II)
により表される化合物から選択され、
ここで、Rcがカチオン重合性基を有する非加水分解性置換基であり、Rが非加水分解性置換基であり、Xが加水分解性置換基であり、そしてbが0〜2の整数である、
請求項1〜6のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項8】
前記さらなる加水分解性シランが、一般式(III)
SiX(4−a) (III)
により表される化合物から選択され、
ここで、Rが置換または非置換のアルキル及び置換または非置換のアリールから選択される非加水分解性置換基であり、Xが加水分解性置換基であり、そしてaが0〜3の整数である、
請求項2〜6のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項9】
フッ素含有基を有する少なくとも1つの前記加水分解性シランが、一般式(IV)
CF(CF−Z−SiX (IV)
により表される化合物から選択され、
ここで、Xが一般式(I)において定義されるとおりであり、Zが二価の有機性基であり、そしてnが0〜10の整数であり、カチオン重合性基を有する少なくとも1つの前記加水分解性シランがγ−グリシドキシプロピルトリアルコキシシランであり、そして該さらなる加水分解性シランがアルキルトリアルコキシシランである、請求項2〜8のいずれか一項に記載のコーティング組成物。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれか一項に従う硬化したコーティング組成物を含む、耐アルカリ性、撥液性コーティングを有する支持体。
【請求項11】
前記支持体が、金属、ガラス、セラミックまたはポリマー支持体から選択され、該支持体が必要に応じて前処理またはプレコートされる、請求項10に記載の支持体。
【請求項12】
a)支持体にカチオン光重合性材料及びカチオン性イニシエーターを含むコーティング層組成物を塗布する工程、
b)該塗布されたコーティング層を必要に応じて乾燥する工程、
c)該コーティング層上に、耐アルカリ性、撥液性層のためのコーティング組成物を塗布する工程であって、該組成物がフッ素含有基を有する少なくとも1つの加水分解性シランとカチオン重合性基を有する少なくとも1つの加水分解性シランとの縮合生成物を含む、工程、ならびに
d)放射によって両方の層を硬化させる工程、
を含む、耐アルカリ性、撥液性コーティングを有する支持体を調製するプロセス。
【請求項13】
前記両方の層が同時に硬化する、請求項12に記載の支持体調製プロセス。
【請求項14】
前記工程c)のコーティング組成物がカチオン性イニシエーターを含む、請求項12または請求項13に記載の支持体調製プロセス。
【請求項15】
前記工程a)のコーティング層組成物のカチオン光重合性材料がカチオン光重合性エポキシ化合物である、請求項12〜14のいずれか一項に記載の支持体調製プロセス。
【請求項16】
請求項12〜15のいずれか一項に従うプロセスにより得ることができる耐アルカリ性、撥液性コーティングを有する支持体。

【公表番号】特表2007−515498(P2007−515498A)
【公表日】平成19年6月14日(2007.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−507496(P2005−507496)
【出願日】平成15年7月22日(2003.7.22)
【国際出願番号】PCT/EP2003/007999
【国際公開番号】WO2005/014742
【国際公開日】平成17年2月17日(2005.2.17)
【出願人】(500449008)ライプニッツ−インスティトゥート フィア ノイエ マテリアーリエン ゲマインニュッツィゲ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクタ ハフトゥンク (22)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】