説明

撮像ネットワークシステムを構成可能な装置及びその制御方法

【課題】ネットワークシステムでの主従関係と、撮像システムでの主従関係とに従って動作しながら撮像ネットワークシステムを構成可能な装置であって、装置の数が動的に増減しても、撮像ネットワークシステムを適切に維持可能な装置を提供する
【解決手段】撮像制御命令を発行するマスター装置と、撮像制御命令を実行するスレーブ装置のうち、前記マスター装置として動作することが設定されている場合、ネットワークを構築してネットワークの管理装置としての動作を開始し、スレーブ装置として動作することが設定されている場合には、管理装置が構築したネットワークに参加する端末としての動作を開始する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像ネットワークシステムを構成可能な装置及びその制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ワイヤレス多灯フラッシュ撮像システムのように、ネットワーク接続された複数の装置が協働して撮像動作を行う撮像ネットワークシステムが知られている。このような撮像ネットワークシステムを構成する装置の各々は、装置間のネットワークを実現するための機能と、協働した撮像動作を実現するための機能を有する。そして、撮像ネットワークシステムは、各装置が有するネットワークに関する機能によって形成されるネットワークシステムと、撮像動作に関する機能によって形成される撮像システムという2つの論理的な内部システムから構成されるものと考えることができる。また、それぞれの内部システムは、主装置と従装置という主従関係に基づいて実現されている。
【0003】
具体的には、ネットワークシステムは、ネットワークを管理する管理装置(主装置)と、管理装置以外の端末(従装置)から構成される。また、撮像システムは、撮像制御命令を発行するマスター装置(主装置)と、発行された撮像制御命令を実行するスレーブ装置(従装置)から構成される。
【0004】
そして、撮像ネットワークシステムを構成する個々の装置は、それぞれのシステムにおいて主装置または従装置のいずれかとして振る舞うことができる。従来、個々の装置がそれぞれの論理的なシステム内で主装置、従装置のどちらとして振る舞うかについてはシステムごとに独立して決定されている。例えば、ある装置は、ネットワークシステムでは管理装置として、撮像システムではスレーブ装置として振る舞い、他の装置はネットワークシステムでは端末として、撮像システムではマスター装置として振る舞う。
【0005】
従来、ネットワークを構成する装置を、その主従関係を考慮して制御する方法が提案されている。特許文献1には、主撮像装置と、主撮像装置の命令によって撮像を行う従撮像装置からなる撮像システムで、要求を先に出した装置か、同時に要求を出した装置のうち予め定められた優先順位で決定された装置を主撮像装置とすることが開示されている。
【0006】
また、特許文献2では、通信端末のうち1つが管理端末、管理端末以外の前記通信端末が一般端末として動作するアドホックネットワークを維持する方法が提案されている。具体的には、一般端末のうち通信エラー率の低いものを管理端末候補として選択しておき、管理端末が不在になった場合には、管理端末候補として選択された一般端末を新たな管理端末として動作させている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2004―274625号公報
【特許文献2】特開2007−81811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述のように、本発明が対象とする撮像ネットワークシステムを構成する装置は、ネットワークシステム内の主従関係と、撮像システム内の主従関係との両方に影響を受けている。そのため、例えばネットワークシステムの管理装置が存在しなくなった場合、単にネットワークシステム内の残りの装置の主従関係のみを考慮してネットワークを維持することは望ましくない。同様に、撮像システムのマスター装置がネットワークシステムから離脱した場合に、ネットワークシステム内の主従関係を考慮せずにはネットワークシステムを維持することは困難である。
【0009】
しかしながら、このような独立した2つの主従関係の影響を受ける装置から構成される撮像ネットワークシステム自体を、特許文献1,2はいずれも開示、示唆していない。このように、従来、本願発明が対象とするような撮像ネットワークシステムにおいてネットワーク管理装置が不在となった場合に、2つの主従関係を考慮してどのようにネットワークを維持するのか適切かは知られていなかった。
【0010】
本発明は、ネットワークシステムでの主従関係と、撮像システムでの主従関係とに従って動作しながら撮像ネットワークシステムを構成する装置であって、装置が動的に増減しても、撮像ネットワークシステムを適切に維持可能とする装置を提供する。また、本発明はこのような装置の制御方法も提供する。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上述の目的は、本発明の要旨は、ネットワーク接続された複数の装置が協働して撮像動作を行う撮像ネットワークシステムを構成可能な装置であって、撮像制御命令を発行するマスター装置と、撮像制御命令を実行するスレーブ装置のうち、装置がマスター装置として動作することが設定されている場合、ネットワークを構築してネットワークの管理装置としての動作を開始し、スレーブ装置として動作することが設定されている場合には、管理装置が構築したネットワークに参加する端末としての動作を開始する、ように装置を制御する制御手段を有することを特徴とする装置によって達成される。
【発明の効果】
【0012】
このような構成により、本発明に係る装置によれば、装置が動的に増減しても、撮像ネットワークシステムを適切に維持可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施形態に係る撮像ネットワークシステムを構成可能な装置の一例としてのフラッシュ装置の機能構成例を示すブロック図
【図2】本発明の第1の実施形態に係る撮像ネットワークシステムの一例を模式的に示す図
【図3】本発明の第1の実施形態に係る装置の、マスター装置としての動作を説明するためのフローチャート
【図4】本発明の第1の実施形態に係る装置の、スレーブ装置としての動作を説明するためのフローチャート
【図5】本発明の第1の実施形態に係る装置の、ネットワーク管理装置としての動作を説明するためのフローチャート
【図6】本発明の第1の実施形態に係る装置の、端末としての動作を説明するためのフローチャート
【図7】本発明の第2の実施形態に係る撮像ネットワークシステムの一例を模式的に示す図
【図8】本発明の第2の実施形態に係る装置の、マスター装置としての動作を説明するためのフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、添付図面を参照して、本発明の例示的な実施形態について詳細に説明する。
(第1の実施形態)
本実施形態における撮像ネットワークシステムは、撮像制御命令(発光制御命令)を発行するマスターフラッシュ装置と、発行された発光制御命令を実行するスレーブフラッシュ装置とが無線ネットワーク接続され、両者が協働して多灯フラッシュ撮像を実現する。従って、撮像ネットワークシステムは、複数のフラッシュ装置で構成されるネットワークシステムと、複数のフラッシュ装置間で発光制御を行う撮像システムという論理的な内部システムから構成されているものと考えることができる。
【0015】
そして、複数のフラッシュ装置の各々は、ネットワークシステムでは管理装置又は端末として機能し、撮像システムでは発光制御命令を出力するマスター装置又は発光制御命令に従って発光するスレーブ装置として機能する。ただし、撮像ネットワークシステムを構成する装置はフラッシュに限定されず、撮像装置や電動制御可能なマウントなど、撮像に係る動作を協調して実行可能な任意の装置を用いることができる。
【0016】
また、本実施形態では、無線通信を用いてネットワークシステムを構築するが、有線通信を用いることも可能である。また、ネットワークシステムを構成する装置を動的に変更可能な任意のネットワークプロトコルを用いることができる。
【0017】
まず、各実施形態で用いる用語を以下のように定義する。
「管理装置」とは、ネットワークシステムを構成する装置のうち、自身及びネットワークを構築する他の装置(「端末」)を管理する装置である。管理装置は、ネットワークシステム内に1つ存在する。
「端末」とは、管理装置が管理するネットワークシステムを構成する、管理装置以外の装置である。
「マスター装置」とは、ネットワークシステム上の撮像システムを構成する装置のうち、撮像システムに含まれる他の装置に、制御命令(本実施形態では発光制御命令)を発行可能な装置である。マスター装置は、撮像システム内に複数存在することが可能である。
「スレーブ装置」とは、ネットワークシステム上の撮像システムを構成する装置のうち、マスター装置が発行した制御命令を受信し、制御命令に応じた動作(本実施形態では発光)を実行する装置である。
【0018】
図1は、本実施形態における撮像ネットワークシステムを構成可能な装置の一例としての、フラッシュ装置101の機能構成例を示すブロック図である。
メイン制御CPU102は、ROM、RAMを含み、ROMに記憶された制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、フラッシュ装置101の動作を制御する。
【0019】
無線通信回路103は、メイン制御CPU102の制御に従い、アンテナ105を介した他のフラッシュ装置との無線通信を行う。
【0020】
電源回路106は、装着された電池(一次電池、二次電池のいずれでもよい)からのフラッシュ装置101各部への電源供給を制御する。また、電池の電圧を監視し、残容量の情報をメイン制御CPU102に通知する。
【0021】
発光制御回路110は、キセノン管などの発光部を有し、メイン制御CPU102の制御に従ってフラッシュ装置101の発光タイミング、発光量、発光時間などを制御する。
【0022】
表示回路104は、例えば小型の液晶表示パネルを有し、メイン制御CPU102の制御に従い、フラッシュ装置101に関する各種情報を表示する。表示回路104に表示する情報としては、フラッシュ装置101の動作モード(マスター装置モードか、スレーブ装置モードか)、電源回路106から得られる電池残容量の情報、無線通信の受信感度の情報などを例示することができる。
【0023】
カメラI/F112は、カメラ301との通信インタフェースである。コネクタ111は例えばカメラ301が有するホットシューコネクタ305と係合し、機械的および電気的にフラッシュ装置101とカメラ301とを接続する。
【0024】
電源ボタン107は、電源回路106からフラッシュ装置101各部への電源供給をオン、オフするためのボタンである。
【0025】
機能選択ボタン108は、フラッシュ装置101の動作モードを、発光制御命令を発行するマスター装置として機能するモードか、マスター装置から受信した発光制御命令に従って発光するスレーブ装置として機能するモードに設定するためのボタンである。なお、本実施形態では、動作モードの設定(切り替え)は、電源ボタン107によって電源供給がオンされた際に行うことができるものとする。例えば、電源ボタン107によって電源供給がオンされた際に機能選択ボタン108で選択されている動作モードが設定されるように構成することができる。
【0026】
文字入力ボタン109は、例えば方向ボタンと決定ボタンとを有し、表示回路104を用いて文字入力するためのボタンである。例えば、参加するネットワークのIDを入力する際に用いられる。
【0027】
記憶装置113は例えば不揮発性半導体メモリであり、メイン制御CPU102が実行するプログラムや各種の設定情報、機器の固有情報などを書き換え可能に記憶する。
【0028】
一方、カメラ301において、カメラ制御CPU302は、ROM、RAMを含み、ROMに記憶された制御プログラムをRAMに展開して実行することにより、カメラ301の動作を制御する。
【0029】
また、カメラ301には撮像準備指示ボタン303、撮像指示ボタン304が設けられ、これらボタンの状態はカメラ制御CPU302が検出可能である。なお、撮像準備指示ボタン303、撮像指示ボタン304は、実際にはレリーズスイッチの半押し及び全押しでそれぞれオンになるスイッチであってよい。
【0030】
フラッシュI/F306はフラッシュ装置101との通信インタフェースであり、ホットシューコネクタ305が有する電気接点と接続されている。ホットシューコネクタ305は、フラッシュ装置101などのアクセサリーを着脱可能に装着するためのコネクタである。
【0031】
カメラ制御CPU302は、ホットシューコネクタ305にフラッシュ装置101が装着されたことを、ホットシューコネクタ305が有する電気接点を通じて検出することができる。フラッシュ装置101の装着が検出されている間、撮像準備指示ボタン303及び撮像指示ボタン304の状態は、カメラ制御CPU302を通じてフラッシュ装置101のメイン制御CPU102に通知される。
【0032】
なお、図1においては、カメラ301が有する構成のうち、フラッシュ装置101の装着及びフラッシュ装置101に対して発光を指示するために必要なものを主に図示していることに留意されたい。
【0033】
図2は、本実施形態に係る撮像ネットワークシステムの一例を模式的に示す図である。本実施形態において、撮像ネットワークシステムは4台のフラッシュ装置101、202、204、205から構成されている。
【0034】
また、フラッシュ装置101は、機能選択ボタン108によってマスター装置として機能するように設定されている。以後、フラッシュ装置101を第1のマスター装置とも呼ぶ。フラッシュ装置101は、カメラ301に装着されている。
【0035】
図2において、フラッシュ装置101は、無線ネットワーク201を形成している。つまり、フラッシュ装置101は、ネットワークシステムの管理装置としても機能している。
【0036】
フラッシュ装置204及び205は、機能選択ボタン108によってスレーブ装置として機能するように設定されている。フラッシュ装置204及び205を、第1及び第2のスレーブ装置とも呼ぶ。
【0037】
フラッシュ装置202は、機能選択ボタン108により、マスター装置として機能するように設定されている。フラッシュ装置202を第2のマスター装置とも呼ぶ。フラッシュ装置202はカメラ203に装着されている。なお、206は被写体である。
【0038】
このように、本実施形態においては、
ネットワークシステムという観点では、
フラッシュ装置101が管理装置、フラッシュ装置202、204、205が端末である。
一方、撮像システムという観点では、
フラッシュ装置101及びフラッシュ装置202がマスター装置、フラッシュ装置204及び205がスレーブ装置である。
【0039】
次に、図2に記載した撮像ネットワークシステムで実現される撮像動作について説明する。なお、ここでは説明及び理解を容易にするため、本撮像時には全てのフラッシュ装置を発光させるものとし、また撮像準備指示ボタンがオンになったカメラに装着されているフラッシュ装置は予備発光するものとする。
【0040】
カメラ301の撮像準備指示ボタン303がオンになったことがフラッシュ装置101(第1のマスター装置)のメイン制御CPU102に通知されると、メイン制御CPU102は無線通信回路103に撮像準備指示ボタン303のオンを通知する。そして、メイン制御CPU102は、予備発光を行うため、発光制御回路110に対して、発光命令を通知し、発光制御回路110は発光部を発光させる。
【0041】
一方、メイン制御CPU102より通知を受けた無線通信回路103は、撮像準備指示がなされたことを示す情報を含んだ撮像準備通知パケットをネットワーク上に送信する。たとえば、無線通信回路103は、撮像準備通知パケットをネットワーク上にブロードキャストすることで、ネットワークシステムを構成する全ての端末に対して撮像準備通知パケットを送信してもよい。あるいは、無線通信回路103は、撮像準備通知パケット内に端末宛であることを示す情報を含めたり、端末のアドレスを含めたりしてもよい。
【0042】
その後、カメラ301の撮像指示ボタン304がオンになったことがカメラ制御CPU302通知されると、フラッシュ装置101のメイン制御CPU102は、無線通信回路103に撮像指示ボタン304のオンを通知する。そして、メイン制御CPU102は、本発光を行うため、発光制御回路110に対して発光命令を通知し、発光制御回路110を発光させる。
また、無線通信回路103は、撮像指示がなされたことを示す情報を含んだ撮像指示通知パケットをネットワーク上に送信する。
【0043】
なお、実際には、単に撮像準備指示や撮像指示だけでなく、本発光時の発光制御パラメータなどの制御情報についてもカメラ制御CPU302からフラッシュ装置101のメイン制御CPU102に通知される。また、スレーブ装置に送信されるパケットにも、スレーブ装置に対する発光制御パラメータが含まれてよい。ただし、これら制御パラメータの決定や配信に係る動作は公知技術を利用可能であるため、発明の理解を妨げないように説明を省略している。
【0044】
なお、もう1つのマスター装置であるフラッシュ装置202においても、カメラ203における撮像準備指示ボタン303及び撮像指示ボタン304のオンに応じて同様に動作する。
【0045】
一方、スレーブ装置であるフラッシュ装置204及び205の無線通信回路103は、マスター装置であるフラッシュ装置101又は202から送信された撮像準備指示パケット及び撮像指示パケットをアンテナ105を介して受信する。無線通信回路103は、受信したパケットの中身を解釈し、メイン制御CPU102に予備発光通知及び本発光通知を行う。メイン制御CPU102はこれら通知に応じて発光制御回路110に発光命令を通知し、発光制御回路110が発光部を発光させる。
【0046】
このように、本実施形態における撮像ネットワークシステムは、マスター装置として機能するフラッシュ装置101又は202から撮像準備指示や撮像指示をパケットとしてネットワーク上に送信する。そして、スレーブ装置として機能するフラッシュ装置204、205がこれらパケットを受信して、パケットの内容を解釈して発光制御する。このようにして、フラッシュ装置101,204,205又は202,204,205を組み合わせた多灯撮像を実現する。
【0047】
次に、ネットワークの構築方法に関して説明する。
(マスター装置の動作)
図3は、マスター装置の動作を説明するためのフローチャートである。
ここでは、フラッシュ装置が、電源ON時にマスター装置として機能するように設定されていれば、自動的にネットワークを構築するように構成されているものとする。例えば、電源ON時に行う初期化処理の一部として実行するように構成することができる。もちろん、電源ON時以外にネットワークを構築可能としてもよい。
【0048】
フラッシュ装置101が電源ON時にマスター装置として機能するように設定されていると、メイン制御CPU102は、構築するネットワークシステムのネットワークIDを設定する(S403)。ネットワークIDは予め定められていてもよいし、日時情報などフラッシュ装置101内で取得可能な任意の情報に基づいてメイン制御CPU102が自動生成してもよい。あるいは、ユーザに対して文字入力ボタン109を用いて設定するように促してもよい。
【0049】
次に、メイン制御CPU102は、S403で設定したネットワークIDを用いて、ネットワークシステムを構築する無線チャネルを、使用可能な無線チャネルの中から無線通信回路103を用いて選択する(S404)。この時点で、構築しようとするネットワークシステムのIDとチャネルの設定が完了する。
【0050】
この状態で、メイン制御CPU102は、同一ネットワークIDの管理装置が存在しないか確認するための要求を、設定した無線チャネルに無線通信回路103を通じてブロードキャストする(S411)。
同一ネットワークIDを持った管理装置が設定した無線チャネル上に存在しなければ、(S412,YES)、フラッシュ装置101は、ネットワークシステムの管理装置として機能する。
【0051】
すなわち、この時点で、フラッシュ装置101が、ネットワークシステムの管理装置かつマスター装置として機能するようになる。ネットワークシステムの管理装置になったフラッシュ装置101は、構築したネットワークシステムへの参加要求の受信待機モードに遷移し(S405)、参加要求を受信するか、管理装置がネットワークを離脱するまで待機する(S406、S610(図5))。
【0052】
参加要求を受信すると、メイン制御CPU102は、参加要求に含まれているネットワークIDが、自身が設定したネットワークIDと同じかどうか判別する(S407)。ネットワークIDが異なれば、メイン制御CPU102は、ネットワークシステムへの参加要求を拒否する(S410)。参加要求を拒否する方法に特に制限はなく、参加要求の送信元の端末に対して、無線通信回路103を通じて拒否通知を送信してもよいし、単に参加要求に応答しなくてもよい。
【0053】
参加要求に含まれるネットワークIDが自身の設定したネットワークIDと同じであると判別されれば、メイン制御CPU102は、ネットワークシステムに参加している端末の数が所定の上限数に達しているか否か確認する(S408)。
すでに上限数の端末がネットワークシステムに参加している場合、メイン制御CPU102は参加を拒否し(S410)、S406へ処理を戻す。
【0054】
一方、参加中の端末の台数が上限数未満であれば、メイン制御CPU102は参加要求の送信元端末にネットワークシステムへの参加を許可する(S409)。具体的には、メイン制御CPU102は、無線通信回路103を通じ、参加要求の送信元端末のアドレスを指定して参加許可を通知する。送信元端末のアドレス情報は、参加要求に含まれている。以後の、ネットワーク管理装置としての動作については、図5を参照して後述する。
【0055】
なお、S412において、同一ネットワークIDを有する管理装置の存在が確認された場合、メイン制御CPU102は無線チャネルを変更してから再度S412の処理を行ってもよい。ここでは、最初に設定した無線チャネル上に同一ネットワークIDを有する管理装置が存在した場合、マスター装置として機能するように設定されていても、端末としてネットワークシステムに参加するものとする。
そのため、メイン制御CPU102はS403で設定したネットワークIDを含んだ参加要求を無線通信回路103を通じてネットワーク上に送信する(S505)。
【0056】
メイン制御CPU102は、参加要求に対する参加許可通知を受信したか、所定時間経過するまで監視する(S506,S507)。所定期間経過前に参加許可通知を管理装置から受信したら、メイン制御CPU102はネットワークシステムへの参加が確認されたものとして、その後は端末として動作する(S510)。端末の動作は図6を参照して後述する。
【0057】
参加許可通知を受信せずに所定時間が経過した場合(あるいは、参加拒否通知を受信した場合)、メイン制御CPU102は、ネットワークへの参加が許可されなかったと認識して、表示回路104に参加失敗通知を表示する(S509)。そして、他のネットワークIDへの参加を試みる。この処理は、スレーブ装置として機能するように設定されているフラッシュ装置がネットワークシステムに参加する際の動作と同様であるため、図4を用いて後述する。
【0058】
フラッシュ装置101がネットワークシステムを構築した後で、マスター装置として機能するように設定されている他のフラッシュ装置202の電源がオンされた場合、フラッシュ装置202における処理はS412からS505に移行する。そのため、フラッシュ装置202はネットワークシステムにおいては端末として動作する。しかし、撮像システムにおいてマスター装置として機能することに変化はない。
【0059】
(スレーブ装置の動作)
次に、スレーブ装置として機能するように設定されているフラッシュ装置の動作について、図4のフローチャートを参照して説明する。ここでは、ネットワークシステムへの参加処理を電源投入時に行うものとして説明するが、任意のタイミングで、例えばユーザの指示に応じて実行してもよい。
【0060】
ここでは、スレーブ装置を代表して、フラッシュ装置204の動作を説明する。
フラッシュ装置101が電源ON時にスレーブ装置として機能するように設定されていると、メイン制御CPU102は、無線通信回路103を用いてチャンネルをスキャンし、存在するネットワークシステムのネットワークIDを探索する。そして、見つかったネットワークIDの中から、参加するネットワークシステムのネットワークIDを設定する(S503)。
【0061】
ネットワークIDは、見つかったものの1つ(例えば最も受信強度の高いネットワークシステムのネットワークID)を自動的に設定してもよいし、ユーザにリストを提示して選択させてもよい。あるいは、ユーザに対して文字入力ボタン109を用いて直接入力させてもよい。この場合、ユーザは参加するネットワークシステムのネットワークIDを知っていることが前提である。
【0062】
次に、メイン制御CPU102は、S403で設定したネットワークIDのネットワークシステムが存在する無線チャネルを無線通信回路103に設定する(S404)。この時点で、参加しようとするネットワークシステムのIDとチャネルの設定が完了する。
【0063】
メイン制御CPU102は、無線通信回路103を用い、ネットワークシステムの管理装置であるフラッシュ装置101に対し、設定したネットワークIDを含んだ参加要求パケットをネットワーク上にブロードキャストする(S505)。
【0064】
メイン制御CPU102は、参加要求に対する参加許可通知を受信したか、所定時間経過するまで監視する(S506,S507)。所定期間経過前に参加許可通知を管理装置から受信したら、メイン制御CPU102はネットワークシステムへの参加を認識する(S510)。
【0065】
以後の処理は、撮像システムのスレーブ装置としての動作に相当する。すなわち、メイン制御CPU102は、マスター装置(フラッシュ装置101又は202)からの発光制御命令の受信を待機する(S511)。無線通信回路103が発光制御命令を含んだパケットを受信すると、メイン制御CPU102に予備発光通知又は本発光通知を行う。メイン制御CPU102はこれら通知に応じて発光制御回路110に発光命令を通知し、発光制御回路110が発光部を発光させる(S512)。
【0066】
メイン制御CPU102は、発光制御回路110の充電完了を待ち(S513)、充電の完了を検出すると、無線通信回路103を通じて充電完了通知をマスター装置(フラッシュ装置101又は202)に送信する(S514)。
【0067】
一方、参加要求をネットワーク上に配信したにも関わらず、参加許可要求が所定時間待っても来ない場合(S507、YES)、参加許可されなかったと認識して参加失敗通知を表示回路104に表示する(S509)。なお、所定時間経過したら、参加要求を再度送信するように構成してもよい。
【0068】
メイン制御CPU102は、処理をS503に戻し、他のネットワークIDを有するネットワークシステムへの参加を試みる。あるいは、同じネットワークIDを設定して再度参加を試みてもよい。
【0069】
このようにして、図2のように4台のフラッシュ装置101,202,204,205によって構成される撮像ネットワークシステムにおいて、
| ネットワークシステム | 撮像システム
・フラッシュ装置101| 管理装置 | マスター装置
・フラッシュ装置202| 端末 | マスター装置
・フラッシュ装置204| 端末 | スレーブ装置
・フラッシュ装置205| 端末 | スレーブ装置
としてそれぞれ機能する。
【0070】
(ネットワーク管理装置の動作)
次に、本実施形態において管理装置かつマスター装置であるフラッシュ装置101のネットワーク管理装置としての動作について、図5に示すフローチャートを参照して説明する。
【0071】
S601において、フラッシュ装置101のメイン制御CPU102は、自身が構築したネットワークシステムに新たに参加した端末の機器情報を取得する。
ここで取得する端末の情報には、端末の動作モード(マスター装置かスレーブ装置か)を少なくとも含む。それ以外にも、電池の残容量や、型式を認識するためのモデルナンバーなどの端末に固有な情報を取得してもよい。
【0072】
端末の動作モードがマスター装置であった場合(図2の例ではフラッシュ装置202の場合)、メイン制御CPU102は、その端末を、自身がネットワークを離脱したあとで管理装置として機能させる候補装置と認識する。具体的には、管理装置のメイン制御CPU102は、フラッシュ装置101が何らかの理由によりネットワークシステムから離脱しても、ネットワークシステムの管理を引き継ぎ、ネットワークシステムを維持する端末を事前に選定しておく。
【0073】
本実施形態の撮像ネットワークシステムは、ネットワークシステムの管理装置が、端末のモデル、動作モード(マスター装置かスレーブ装置か)、総数といった情報を管理、維持している。このような端末からは、例えばスレーブ装置が何台ネットワークに参加しているかといった情報を得ることができるため、撮像システムにおけるマスター装置にとって有用である。従って、本実施形態では、上述のように、マスター装置として機能するように設定されたフラッシュ装置を、ネットワークシステムを管理する管理装置として用いるようにしている。
【0074】
従って、現在の管理装置がネットワークシステムから離脱する際に管理装置としての機能を引き継ぐ端末(管理装置候補)についても、マスター装置である端末を優先的に選定する。
【0075】
S602でマスター装置が見つかった場合、メイン制御CPU102は既に管理装置候補が存在するかを調べる(S603)。ある端末が管理装置候補かどうかは、例えば記憶装置113に記憶されているその端末の機器情報と関連付けて記憶しておくことができる。そして、メイン制御CPU102は記憶装置113を参照して管理装置候補の有無を判別可能である。
【0076】
S603で管理装置候補が存在しないと判断された場合、メイン制御CPU102は、新たに参加したマスター装置を、最上位の優先順位を有する管理装置候補に設定する(S606)。
【0077】
そして、メイン制御CPU102は、S601で取得した機器情報を、管理装置候補であること及びその優先順位(最上位)を示す情報と関連付けて追加することによって記憶装置113内の機器情報リストを更新する(S607)。
【0078】
一方、S603において、既に管理装置候補が存在すると判別された場合、メイン制御CPU102は、新たに参加したマスター装置を管理装置候補とするとともに、その優先順位を設定する(S604)。具体的には、メイン制御CPU102は、既に存在する管理装置候補のうち、スレーブ装置よりも上位で、かつマスター装置の中で最下位の優先順位を与える。
【0079】
従って、もし既存の管理装置候補がスレーブ装置であれば、メイン制御CPU102は新たに参加したマスター装置を、最上位の優先順位を有する管理装置候補に設定する。なお、この場合、メイン制御CPU102は、記憶装置113を再度参照し、スレーブ装置で管理装置候補になっている端末について、管理装置候補という属性を削除するようにしてもよい。これは、既にマスター装置が管理装置候補として確保できたため、あえてスレーブ装置を管理装置候補としておく必要は小さいからである。
【0080】
そして、メイン制御CPU102は、S601で取得した機器情報を、管理装置候補であること及びその優先順位を示す情報と関連付けて追加することによって記憶装置113内の機器情報リストを更新する(S607)。また、メイン制御CPU102は、スレーブ装置で管理装置候補になっている端末の機器情報も、必要に応じて更新する。
【0081】
また、S602において、新たに参加してきた端末がスレーブ装置であると判別された場合、メイン制御CPU102は、S621にて、既に管理装置候補が存在するかを確認する。そして、管理候補装置が存在しなければ、S608にてこのスレーブ装置を、最上位の優先順位を有する管理装置候補に設定する。
【0082】
そして、メイン制御CPU102は、S601で取得した機器情報を、管理装置候補であること及びその優先順位(最上位)を示す情報と関連付けて追加することによって記憶装置113内の機器情報リストを更新する(S607)。
【0083】
一方、S602及びS621において、参加してきた端末がスレーブ装置であり、管理装置候補が存在すると判別された場合、メイン制御CPU102は、S601で取得した機器情報を追加して記憶装置113内の機器情報リストを更新する(S607)。
【0084】
このように、ネットワークシステムに参加する端末が加わると、管理装置であるフラッシュ装置101はネットワーク機器情報を更新する。そして、メイン制御CPU102は、更新したネットワーク機器情報を、ネットワークシステム上でブロードキャストする。これにより、ネットワークシステムに参加している端末の各々が、次に管理装置となることが予定されている端末を認識することが可能になる。
【0085】
この様に、ネットワークシステムの管理装置であるフラッシュ装置101は、自身が構築したネットワークシステムに参加する端末が増えるごとに、端末の機器情報を取得し、機器情報を更新するとともに管理装置候補の選択及び優先順位の付与を行う。
【0086】
このように、端末が1つでも参加していれば、ネットワークシステムの管理装置としての動作を引き継ぐべき端末が決定されているため、ネットワークを効率良く維持することが可能になる。
【0087】
フラッシュ装置101は、例えばフラッシュ装置101における電池の交換やオフ操作、電池電圧の不足や、装着されているカメラ301の移動など、何らかの理由によってネットワークシステムを離脱しうる。そのため、フラッシュ装置101のメイン制御CPU102は、予め定められた、ネットワークシステムからの離脱につながるイベント(離脱イベント)の発生を監視している。
【0088】
S610で離脱イベントの発生が検出された場合、フラッシュ装置101のメイン制御CPU102は、自身がネットワークシステムを離脱したことを示す情報を含めた機器情報リストをネットワークシステム上にブロードキャストする。この機器情報リストが離脱通知となる。メイン制御CPU102は、例えば、機器情報リスト中のフラッシュ装置101の情報に、離脱情報を関連付けてブロードキャストすることができる。
【0089】
S610で離脱イベントの発生が検出されなければ、メイン制御CPU102は、処理をS406(図3)に戻し、新たな参加要求が受信されたか確認する。
【0090】
S611で単に離脱を伝える情報だけを通知せず、機器情報リストを配信するのは、直前の配信時に何らかの理由で機器情報リストを受信できなかった端末が存在しうるからである。離脱時に機器情報を配信することで、各端末が機器情報リストを受信している確実性を高めることができる。
【0091】
(端末の動作)
次に、端末の動作について、図6のフローチャートを参照して説明する。ここでは、図6のフローチャートが図3からの継続処理として記載されているため、端末がマスター装置(フラッシュ装置202)であるものとして説明する。ただし、後述するように、ここで説明する動作は端末として動作するスレーブ装置でも実施する。
【0092】
S702でメイン制御CPU102は、管理装置(フラッシュ装置101)からの機器情報リストの受信を待機している。
機器情報リストを受信すると、メイン制御CPU102は、リスト中の機器情報をデコードし、自身(フラッシュ装置202とする)が管理装置候補に設定されているかどうか、また管理装置候補であれば優先順位が何番目かを確認する(S704)。
【0093】
また、メイン制御CPU102は、受信した機器情報リストに管理装置の離脱情報が含まれているか(機器情報リストが離脱通知か否か)確認する(S705)。
受信した機器情報リストが管理装置の離脱通知でなければ、メイン制御CPU102は機器情報リストの受信待機状態に戻る(S702)。
【0094】
一方、受信した機器情報リストが管理装置の離脱通知だった場合、メイン制御CPU102は、S704で確認した優先順位が最上位だったかどうか判別する(S706)。ここで、優先順位が最上位でなければ、他のマスター装置が新たに管理装置としての動作を開始するはずなので、メイン制御CPU102は機器情報リストの受信待機状態に戻る(S702)。
【0095】
しかし、自身(フラッシュ装置202)に最上位の優先順位が設定されていた場合には、ネットワークシステムの管理装置としての動作を開始する(S707)。具体的にはメイン制御CPU102は、機器情報リストにおけるフラッシュ装置202の機器情報を変更し、管理装置候補の情報を削除するとともに、有効な管理装置であることを示す情報を関連付ける。
【0096】
次にメイン制御CPU102は、フラッシュ装置202が管理装置となったことにより、機器情報リストにおける管理装置候補の優先順位を1つずつ繰り上げ、更新した機器情報リストを生成する(S709)。
【0097】
そして、メイン制御CPU102は、更新後の機器情報リストをネットワーク上にブロードキャストし、端末に配信する(S710)。その後、メイン制御CPU102はS406(図3)からの処理を実行する。
【0098】
なお、図6に示した処理は端末の動作であるから、ネットワークシステムにおいて端末として動作していれば、マスター装置に限らずスレーブ装置でも実施する。そして、図5のS608で説明したように、ネットワークシステムの管理装置が唯一のマスター装置である場合、スレーブ装置が最上位の優先順位を有する管理装置候補になる。この状態で離脱通知を受信すれば、スレーブ装置が管理装置として動作を開始する。
【0099】
これにより、ネットワークシステムが維持され、離脱した管理装置(=マスター装置)が復帰可能になる。なお、別のマスター装置が新たにネットワークシステムに参加可能であることは言うまでない。
【0100】
スレーブ装置が管理装置として動作している際に、ネットワークシステムにマスター装置が参加してくれば、そのマスター装置を管理装置に変更することもできる。具体的には、スレーブ装置のメイン制御CPU102は、新たに参加してきた端末がマスター装置であることを検出したら(S602)、離脱通知ではなく、譲渡通知としての機器情報リストを生成する。
【0101】
具体的には、メイン制御CPU102は、自身(フラッシュ装置204とする)の機器情報に、管理装置の権限を譲渡する旨の情報を関連付けるとともに、新たに参加したマスター装置の機器情報に管理装置候補の最高優先順位を関連付ける。メイン制御CPU102はこのような機器情報リストをブロードキャストし、端末としての動作を開始する。
【0102】
一方で、新たに参加したマスター装置のメイン制御CPU102は、譲渡通知としての機器情報を受信すると、自身が管理装置として動作すべきことを認識し、S707以降の処理を行う。
【0103】
以上説明したように、ネットワークシステムでの主従関係と、撮像システムでの主従関係とに従って動作しながら撮像ネットワークシステムを構成する装置において、撮像システムにおけるマスター装置を優先的にネットワークシステムの管理装置とする。
【0104】
撮像システムのスレーブ装置はマスター装置と比較して増減されやすいので、例えば撮像システムにおけるスレーブ装置がネットワークシステムの管理装置であった場合、ネットワークの管理装置が存在しなくなりやすい。しかし、マスター装置を管理装置としておくことにより、ネットワークシステムを維持しやすくなる。
【0105】
また、管理装置かつマスター装置がネットワークシステムから離脱しても、残っているマスター装置が優先的に次の管理装置となるため、ユーザはネットワークの維持を意識することなく、スレーブ装置を外したり追加したりすることができる。
【0106】
さらに、ネットワークシステムからマスター装置が存在しなくなった場合には、スレーブ装置が管理装置として動作してネットワークシステムを維持する。そのため、マスター装置がネットワークシステムに復帰することが可能であり、ネットワークを構築し直す必要がない。
【0107】
(第2の実施形態)
第1の実施形態では、ネットワークシステムの管理装置が、離脱通知をブロードキャストしてから離脱するものであった。
しかし、実際には、離脱イベントの検知から実際に離脱するまでの時間が短かったり、離脱イベントとして検知可能な原因以外で離脱したりする場合のように、離脱通知をブロードキャストできない場合も考えられる。あるいは、最上位の優先順位が設定された装置が何らかの原因で離脱通知を受信できないこともありうる。
本実施形態では、このように、離脱通知がブロードキャストされずに管理装置がネットワークシステムから離脱した場合でも、管理装置の移転を実現することを特徴とする。
【0108】
なお、以下では、第1の実施形態にて説明した内容については省略もしくは極簡単な記載に止める。
図7は、図2の状態から、ネットワークシステムを構築したフラッシュ装置101がネットワークシステムから突然離脱した状態を示している。つまり、ネットワークシステム801内に管理装置が存在しない状態である。
【0109】
ここで、第3のスレーブ装置802が、ネットワークシステム801に参加を試みようとしている。第3のスレーブ装置802は、前述した図4の手順に従って、管理装置が存在しないネットワークシステム801に対して参加を試みる。
【0110】
また、マスター装置であるフラッシュ装置202は、ネットワークシステム801の端末として動作し、図7の状態では端末情報リストの受信待ち(S702(図6))の状態にある。
【0111】
このような状態で、第3のスレーブ装置802のメイン制御CPU102は、ネットワークシステム801に参加するため、図4のS505でネットワークシステム801に参加要求をブロードキャストで配信する。
【0112】
第3のスレーブ装置802から配信された参加要求は、ブロードキャストパケットであるため、ネットワークシステム801に存在するマスター装置であるフラッシュ装置202をはじめ、全ての装置が受信可能である。
【0113】
本実施形態における端末の動作を示すフローチャートの図8を参照して、フラッシュ装置202の動作を説明する。なお、図8において図6と同様の処理を行うステップについては同じ参照数字を付してある。
【0114】
機器情報リストの受信待ち状態で、フラッシュ装置202のメイン制御CPU102が参加要求を受信したが判別する(S910)。参加要求を受信した場合、メイン制御CPU102は、受信した参加要求に含まれるネットワークIDが、ネットワークシステム801のネットワークIDと同じか(正しい参加要求か)どうか判別する(S911)。
【0115】
正しい参加要求が受信されたことが判別された場合、メイン制御CPU102は処理をS912へ移行し、ネットワークシステム801に存在するはずの管理装置(フラッシュ装置101)からの応答(参加許可通知あるいは参加拒否通知)の配信を監視する。
【0116】
参加要求を受信してから所定時間経過しても管理装置からの応答が配信されない場合、フラッシュ装置202のメイン制御CPU102は、ネットワークシステム801に管理装置が存在しないと判断する。
【0117】
そして、S706からの処理を実行する。従って、ネットワークシステム801に残っている装置のうち、管理装置が離脱した時点の機器情報リストで最上位の優先順位が設定されている装置が、ネットワークシステム801の新たな管理装置としての動作を開始する。
【0118】
このように、本実施形態によれば、参加要求に対して応答がないことによって管理装置の離脱を判別し、ネットワークシステム内の装置のいずれかがネットワークシステムの新たな管理装置として動作を開始することができる。そのため、第1の実施形態の効果に加え、ネットワークシステムの管理装置が離脱通知を配信せずに離脱してしまった場合などにおいても、ネットワークシステムを維持することが可能となる。
【0119】
以上、本発明をその好適な実施形態に基づいて詳述してきたが、本発明はこれら特定の実施形態に限られるものではなく、この発明の要旨を逸脱しない範囲の様々な形態も本発明に含まれる。上述の実施形態の一部を適宜組み合わせてもよい。
【0120】
(その他の実施形態)
第1の実施形態において、ネットワークシステムの管理装置は、ネットワークシステムへの参加順に、管理装置候補の優先順位を設定していた。しかし、他の条件に応じて優先順位を設定してもよい。例えば、マスター装置のうち、電池残容量が多い順に優先順位を設定するようにしてもよい。
【0121】
また、本発明は、以下の処理を実行することによっても実現される。即ち、上述した実施形態の機能を実現するソフトウェア(プログラム)を、ネットワーク又は各種記憶媒体を介してシステム或いは装置に供給し、そのシステム或いは装置のコンピュータ(またはCPUやMPU等)がプログラムを読み出して実行する処理である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネットワーク接続された複数の装置が協働して撮像動作を行う撮像ネットワークシステムを構成可能な装置であって、
撮像制御命令を発行するマスター装置と、前記撮像制御命令を実行するスレーブ装置のうち、前記装置が前記マスター装置として動作することが設定されている場合、ネットワークを構築して該ネットワークの管理装置としての動作を開始し、前記スレーブ装置として動作することが設定されている場合には、管理装置が構築したネットワークに参加する端末としての動作を開始する、ように前記装置を制御する制御手段を有することを特徴とする装置。
【請求項2】
前記制御手段はさらに、
前記装置が前記管理装置として動作している際、前記ネットワークに参加してきた装置から該装置の機器情報を取得して前記ネットワークに参加している装置の機器情報リストを生成し、
該機器情報リストを前記ネットワークで配信する、
ように前記装置を制御することを特徴とする請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記ネットワークに参加してきた装置の前記機器情報が、該装置が前記マスター装置および前記スレーブ装置のどちらとして動作しているかの情報を含み、
前記制御手段はさらに、
該装置が前記マスター装置として動作している場合、該装置を管理装置候補として選択し、前記機器情報リストにおいて、該装置が管理装置候補であることを示す情報を含める、ように前記装置を制御することを特徴とする請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記制御手段はさらに、
前記装置が前記管理装置として動作している際、前記ネットワークからの離脱につながる予め定められた離脱イベントの発生が検出された場合、離脱情報を含んだ前記機器情報リストを前記ネットワークで配信する、ように前記装置を制御することを特徴とする請求項2または請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記制御手段はさらに、
前記装置が前記端末として動作している際に前記管理装置から受信した前記機器情報リストに前記離脱情報が含まれており、かつ前記機器情報リストから該装置が最上位の優先順位を有する管理装置候補であると判別された場合には、前記ネットワークにおける新たな管理装置としての動作を開始する、ように前記装置を制御することを特徴とする請求項4記載の装置。
【請求項6】
前記制御手段はさらに、
前記装置が前記端末として動作している際に、前記管理装置が前記ネットワークへの参加要求に対して所定時間経過しても応答しないことが検出され、かつ前記機器情報リストから該装置が最上位の優先順位を有する管理装置候補であると判別された場合には、前記ネットワークにおける新たな管理装置としての動作を開始する、ように前記装置を制御することを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記制御手段はさらに、
ネットワークの構築を試みた際、既にネットワークが管理装置によって構築されていれば、該ネットワークに参加する端末としての動作を開始する、ように前記装置を制御することを特徴とする請求項1乃至請求項6のいずれか1項に記載の装置。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の装置の複数から構成されることを特徴とする撮像ネットワークシステム。
【請求項9】
ネットワーク接続された複数の装置が協働して撮像動作を行う撮像ネットワークシステムを構成可能な装置の制御方法であって、
前記装置の制御手段が、
撮像制御命令を発行するマスター装置と、前記撮像制御命令を実行するスレーブ装置のうち、前記装置が前記マスター装置として動作することが設定されている場合、ネットワークを構築して該ネットワークの管理装置としての動作を開始し、前記スレーブ装置として動作することが設定されている場合には、管理装置が構築したネットワークに参加する端末としての動作を開始する、ように前記装置を制御する制御ステップを有することを特徴とする制御方法。
【請求項10】
コンピュータを、請求項1乃至請求項7のいずれか1項に記載の装置として機能させるためのプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−46172(P2013−46172A)
【公開日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−181929(P2011−181929)
【出願日】平成23年8月23日(2011.8.23)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】