説明

撮像モジュールおよびその製造方法、並びに電子情報機器

【課題】被写体を撮像する固体撮像素子140と、該被写体からの光を該固体撮像素子140に導く光学系2とを備えた固体撮像装置100をフレキシブルプリント配線150上に実装してなる実装構造を有する撮像モジュール1において、部品点数の増大を招くことなく、放熱効果を高める。
【解決手段】上記撮像モジュール1において、固体撮像装置100を、固体撮像素子140および光学系2を支持する支持基板130を有するものとし、固体撮像素子140を、その受光面と反対側の裏面がフレキシブルプリント基板150に対向するよう支持基板130により支持し、固体撮像素子140とフレキシブルプリント基板150との隙間には、固体撮像素子140からフレキシブルプリント基板150に至る放熱経路が形成されるよう接着樹脂161を充填した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像モジュールおよびその製造方法、並びに電子情報機器に関し、特に、固体撮像装置を実装基板上に実装してなる撮像モジュールにおいて、該固体撮像装置に搭載した固体撮像素子から該固体撮像装置で発生した熱を効率よく放熱させる放熱構造、およびこのような撮像モジュールの製造方法、並びにこのような撮像モジュールを搭載した電子情報機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、実装基板上に電子部品を実装してなる半導体装置(半導体モジュール)では、電子部品で発生した熱を半導体装置の外部へ放出するための放熱構造が用いられている。
【0003】
図5は、従来の半導体装置を説明する図であり、該半導体装置における放熱構造を示している。
【0004】
この半導体装置Bは、プリント配線基板Aに電子部品Dを実装してなるものである。プリント基板Aは、絶縁基板10と、絶縁基板10の表面側および裏面側に形成された導電性金属層12a、12bとを有している。
【0005】
この導電性金属層12は、多数の配線パターンを形成するようパターニングされている。この配線パターンにおけるプリント配線基板Aの外側に位置する端部が、入力側アウターリードおよび出力側アウターリードとしてのアウターリード部となっており、絶縁基板10の実装面側に形成された配線パターンのプリント配線基板の内側に位置する端部が、電子部品を実装するための入力側インナーリードおよび出力側インナーリードとしてのインナーリード部となっている。
【0006】
また、プリント配線基板Aは、絶縁基板10の裏面側の導電性金属12bの下面に形成された放熱部材14と、該絶縁基板10およびその上下の導電性金属層12aおよび12bを貫通するよう形成された金属貫通柱Eとを有している。この金属貫通柱Eの上端は導通バンプFに接続され、金属貫通柱Eの下端は上記放熱部材14に接触している。
【0007】
また、プリント配線基板Aには、電子部品Dを実装する実装予定領域Cが設定されており、この実装予定領域C上には電子部品Dが、この電子部品Dの下面が導通バンプFの先端に当接するよう実装されており、電子部品Dから導電バンプFおよび金属貫通柱Eを介して放熱部材14に至る放熱経路が形成されている。
【0008】
次に、プリント配線基板の作成方法、および半導体装置の組立て方法について簡単に説明する。
【0009】
図6は半導体装置の組立て方法を説明する図であり、図6(a)は電子部品が実装される前のプリント配線基板を示し、図6(b)は電子部品を実装したプリント配線基板を示している。
【0010】
図6(a)に示すように、絶縁基板10の表面および裏面に導電性金属層12aおよび12bを形成し、その後、該導電性金属層12a、12bおよび絶縁基板10を貫通する金属貫通柱Eを形成する。
【0011】
次に、絶縁基板10の表面に形成された導電性金属層12aおよび12bを所望の形状にエッチングすることで配線パターンを形成し、さらに導電バンプFを、金属貫通柱E上の領域を含む所定の領域に形成する。
【0012】
その後、図6(b)に示すように、上記プリント配線基板A上に電子部品Dを、これが該プリント配線基板A上の導電バンプFに電気的に接続されるよう、上記実装予定領域C上に実装する。
【0013】
このような構成の半導体装置Bでは、プリント配線基板Aはその裏面側に設けられた放熱部材14を有し、電子部品Dとこの放熱部材14とが金属貫通柱Eおよび導電バンプFにより接続されているので、電子部品Dで発生した熱を金属貫通柱Eおよび導電バンプFを介して放熱部材14に伝えて、この放熱部材14により効率よく放熱することができる。
【0014】
また、上記電子部品Dとしては種々のものがあり、半導体装置(半導体モジュール)の1つとしては、例えば、CCDイメージセンサやCMOSイメージセンサなど固体撮像素子および光学系を搭載した固体撮像装置を電子部品として実装基板上に実装してなる構造を有する撮像モジュールなどがあるが、このような半導体モジュールにおいても、上記のような放熱構造を用いることができる。なお、撮像モジュールを搭載したカメラなどでは固体撮像素子の温度上昇がユーザに不快感を与えたり、また画質劣化の原因にもなり、撮像モジュールでは放熱効率が画質保持の観点からも重要な要素となる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】特開2010−21400号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
しかしながら、従来の半導体装置(半導体モジュール)の放熱構造では、放熱効果は非常に高いものの、放熱用部材を別途プリント配線基板などの実装基板に取り付ける必要があり、部品点数が増えることで、製造工程が長くなったり、小型化が難しくなったりするといった問題がある。
【0017】
特に、イメージセンサとしての半導体チップだけでなく光学系を組み込んだ撮像モジュールでは、半導体チップで発生した熱だけでなく光学系の駆動部で発生した発熱を放熱させる必要もあり、より一層放熱効果の高い放熱構造が求められ、また、このような撮像モジュールはより小型化される傾向にあるが、上記のような放熱部材を別途設けるという放熱構成は、撮像モジュールの小型化の妨げになるという問題がある。
【0018】
本発明は、上記のような問題点を解決するためになされたものであり、イメージセンサ等の固体撮像素子として搭載された半導体チップで発生した熱だけでなく、光学系として搭載された光学部品の駆動部で発生した熱の放熱効率を、小型化の妨げとならないように高めることができる撮像モジュールおよびその製造方法、並びにこのような撮像モジュールを搭載した電子情報機器を得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明に係る撮像モジュールは、被写体を撮像して撮像信号を生成する固体撮像素子と、該被写体からの光を該固体撮像素子に導く光学系とを備えた固体撮像装置を実装基板上に実装してなる実装構造を有する撮像モジュールであって、該固体撮像装置は、該固体撮像素子および該光学系を支持し、該固体撮像素子から該撮像信号を取り出すとともに、該光学系の駆動部に制御信号を供給するための支持基板を有し、該支持基板は、該実装基板に取り付けられ、該実装基板は、該固体撮像素子で生成された撮像信号を該支持基板から受けるとともに、該光学系の駆動部への制御信号を該支持基板に供給するよう構成されており、該固体撮像素子は、その受光面と反対側の裏面が該実装基板に対向するよう該支持基板により支持されており、該固体撮像素子と該実装基板との隙間には、該固体撮像素子から該実装基板に至る放熱経路が形成されるよう接着樹脂が充填されているものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0020】
本発明は、上記撮像モジュールにおいて、前記光学系は、前記被写体からの光を該固体撮像素子の受光部に集光する集光レンズと、該支持基板の、該固体撮像素子が配置されている面とは反対側の面上に取り付けられ、該集光レンズを保持するレンズホルダと、前記制御信号に基づいて該集光レンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動部とを有することが好ましい。
【0021】
本発明は、上記撮像モジュールにおいて、前記支持基板は、その実装基板側の表面に形成した凹状部を有し、該固体撮像素子を該凹状部内に収容して保持するものであり、該支持基板の該凹状部の周囲には、該固体撮像素子と該実装基板との隙間に充填した接着樹脂を囲むよう電極パッドが配置され、該撮像信号あるいは該制御信号により生じた熱が該電極パッドを介して該実装基板に放熱されることが好ましい。
【0022】
本発明は、上記撮像モジュールにおいて、前記支持基板は、前記凹状部の、前記固体撮像素子に対向する部分には、該固体撮像素子に前記被写体からの光を導入するための開口が形成され、該光学系は、該開口を覆うよう該支持基板に取り付けられた光学フィルタを含むことが好ましい。
【0023】
本発明は、上記撮像モジュールにおいて、前記実装基板は、フレキシブルプリント基板であることが好ましい。
【0024】
本発明は、上記撮像モジュールにおいて、前記フレキシブルプリント基板は、可撓性を有する帯状のコア部材と、該帯状のコア部材の表面に形成された配線パターンと、該配線パターンを覆うよう形成された絶縁性保護層とを有することが好ましい。
【0025】
本発明に係る撮像モジュールの製造方法は、被写体を撮像して撮像信号を生成する固体撮像素子と、該被写体からの光を該固体撮像素子に導く光学系とを備えた固体撮像装置を実装基板上に実装する実装工程を含み、該実装基板上に固体撮像装置を実装してなる実装構造を有する撮像モジュールを製造する方法であって、該固体撮像装置は、該固体撮像素子および該光学系を支持し、該固体撮像素子から該撮像信号を取り出すとともに、該光学系の駆動部に制御信号を供給するための支持基板を有し、該支持基板は該実装基板に取り付けられ、該実装基板は、該固体撮像素子で生成された撮像信号を該支持基板から受けるとともに、該光学系の駆動部への制御信号を該支持基板に供給するよう構成されており、該実装工程は、該固体撮像装置と該実装基板とを電気的および機械的に接続する際、該支持基板に支持された固体撮像素子と該実装基板とを接着樹脂で同時に接続するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0026】
本発明は、上記撮像モジュールの製造方法において、前記実装工程は、前記実装基板の、前記固体撮像素子が配置されるべき素子配置領域に前記接着樹脂を塗布する工程と、前記固体撮像装置を該実装基板上に、該固体撮像素子の受光面と反対側の裏面が該実装基板に塗布された接着樹脂に接触するよう配置する工程と、該固体撮像装置の支持基板と該実装基板とが半田接合により接続されると同時に、該固体撮像素子と該実装基板とがこれらの間に介在する接着樹脂の硬化により接続されるよう熱処理を行う工程とを含むことが好ましい。
【0027】
本発明は、上記撮像モジュールの製造方法において、前記実装工程は、前記固体撮像装置における固体撮像素子の受光面と反対側の裏面に接着樹脂を塗布する工程と、前記固体撮像装置を該実装基板上に、該固体撮像素子の裏面に塗布した接着樹脂が該実装基板に接触するよう配置する工程と、該固体撮像装置の支持基板と該実装基板とが半田接合により接続されると同時に、該固体撮像素子と該実装基板とがこれらの間に介在する接着樹脂の硬化により接続されるよう熱処理を行う工程とを含むことが好ましい。
【0028】
本発明に係る電子情報機器は、被写体の撮像を行う撮像部を備えた電子情報機器であって、該撮像部は、上述した本発明に係る撮像モジュールを含むものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0029】
次に、本発明の作用について説明する。
【0030】
本発明においては、被写体を撮像する固体撮像素子と、該被写体からの光を該固体撮像素子に導く光学系とを備えた固体撮像装置を実装基板上に実装してなる実装構造を有する撮像モジュールにおいて、固体撮像装置を、固体撮像素子および光学系を支持する支持基板を有するものとし、固体撮像素子を、その受光面と反対側の裏面が実装基板に対向するよう支持基板により支持し、固体撮像素子と実装基板との隙間には、固体撮像素子から実装基板に至る放熱経路が形成されるよう接着樹脂を充填したので、部品点数の増大を招くことなく、放熱効果を高めることができる。
【0031】
また、本発明においては、支持基板を、その実装基板側の表面に形成した凹状部を有し、該固体撮像素子を該凹状部内に収容して保持するものとし、該支持基板の該凹状部の周囲には、該固体撮像素子と該実装基板との隙間に充填した接着樹脂を囲むよう電極パッドを配置し、電気信号により生じた熱を該電極パッドを介して該実装基板に放熱するので、撮像モジュール内で発生した熱をより効果的に放熱することが可能となる。
【発明の効果】
【0032】
以上のように、本発明によれば、固体撮像素子および光学系を搭載した固体撮像装置を、該固体撮像素子で発生した電気信号を取り出し、かつ光学系の駆動部に制御信号を供給するための実装基板に実装し、該固体撮像装置に搭載した固体撮像素子と実装基板との隙間を接着樹脂で埋めることで、固体撮像素子から実装基板への放熱経路が形成されることとなり、部品点数の増大を招くことなく、撮像モジュールの放熱効果を高めることができ、その結果、高品質で安価で小型な熱に強い撮像モジュール、およびこのような撮像モジュールを搭載した電子情報機器の提供が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】図1は、本発明の実施形態1による撮像モジュールを説明する図であり、図1(a)は、断面構造を模式的に示し、図1(b)は支持基板の、固体撮像素子を実装する側の面の構造を示している。
【図2】図2は、本発明の実施形態1による撮像モジュールの製造方法を説明する図であり、図2(a)は電子部品としての固体撮像装置100、およびこれが実装される前のフレキシブルプリント配線基板(実装基板)を示し、図2(b)はフレキシブルプリント配線基板の部品配置領域に接着樹脂を塗布した状態を示し、図2(c)は、該フレキシブルプリント配線基板に固体撮像装置を実装した状態を示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態1による撮像モジュールの製造方法の変形例を説明する図であり、図3(a)は電子部品としての固体撮像装置100、およびこれが実装される前のフレキシブルプリント配線基板(実装基板)を示し、図3(b)は、固体撮像装置に搭載された固体撮像素子の裏面に接着樹脂を貼り付けた状態を示し、図3(c)は、該フレキシブルプリント配線基板に固体撮像装置を実装した状態を示している。
【図4】図4は、本発明の実施形態2として、実施形態1の撮像モジュールを撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【図5】図5は、従来の半導体装置を説明する図であり、該半導体装置における放熱構造を示している。
【図6】図6は、従来の半導体装置の組立て方法を説明する図であり、図6(a)は電子部品が実装される前の配線基板を示し、図6(b)は電子部品を実装した配線基板を示している。
【発明を実施するための形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0035】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1による撮像モジュールを説明する図であり、図1(a)は、断面構造を模式的に示し、図1(b)は、撮像モジュールにおける支持基板の、固体撮像素子を実装する側の面の構造を示している。
【0036】
この実施形態1による撮像モジュール1は、被写体を撮像して撮像信号を生成する固体撮像素子140と、該被写体からの光を該固体撮像素子140に導く光学系2とを備えた固体撮像装置100を実装基板150上に実装してなる実装構造を有している。
【0037】
この固体撮像装置100は、該固体撮像素子140および該光学系2を支持し、該固体撮像素子140から該撮像信号を取り出すとともに、該光学系2の駆動部120に制御信号を供給するための支持基板130を有している。
【0038】
該支持基板130は、該実装基板150に取り付けられ、該実装基板150は、該固体撮像素子140で生成された撮像信号を該支持基板130から受けるとともに、該光学系2の駆動部120への制御信号を該支持基板130に供給するよう構成されている。
【0039】
該固体撮像素子140は、その受光面と反対側の裏面が該実装基板150に対向するよう該支持基板130により支持されている。
【0040】
該固体撮像素子140と該実装基板150との隙間には、該固体撮像素子140から該実装基板150に至る放熱経路が形成されるよう、銀ペーストなどの接着樹脂161が充填されている。なお、該接着樹脂161として銀ペーストを用いるが、接着樹脂はこれに限定されるものではなく、例えば、シリコンペーストであってもよい。
【0041】
ここで、上記光学系2は、上記被写体からの光を該固体撮像素子140の受光部(図示せず)に集光する集光レンズLと、該支持基板130の、該固体撮像素子140が配置されている面とは反対側の面上に取り付けられ、該集光レンズLを保持するレンズホルダ110と、上記制御信号に基づいて該集光レンズLを光軸方向に移動させるレンズ駆動部120とを有している。上記レンズホルダ110は、集光レンズLを保持する上部ホルダ111と、該上部ホルダ111を収容する下部ホルダ112とを有している。
【0042】
また、レンズ駆動部120は、下部ホルダ112の取り付けられた永久磁石121と、該永久磁石121に対向するよう配置された電磁石122とを有している。これらのレンズ駆動部120およびレンズホルダ110は、上記支持基板130上にスペーサ部材123aを介して固定された部品取付板123上に取り付けられている。
【0043】
上記支持基板130は、その実装基板150側の表面に形成した凹状部130bを有し、該固体撮像素子140を該凹状部130b内に収容して保持するものであり、固体撮像素子140の外周面と該凹状部130bの内周面との間には補強樹脂Rが充填されている。
【0044】
また、該支持基板130の該凹状部130bの周囲には、該固体撮像素子140と該実装基板150との隙間に充填した接着樹脂161を囲むよう電極パッド130aが配置され、上記撮像信号や制御信号などの電気信号により生じた熱が該電極パッド130aを介して該実装基板150に放熱されるようになっている。
【0045】
また、上記支持基板130は、該凹状部130bの、上記固体撮像素子140に対向する部分には、該固体撮像素子140に被写体からの光を導入するための開口130cが形成され、上記光学系を構成する部品として、該開口を覆うよう該支持基板130に赤外線をカットする光学フィルタ(IRカットフィルタ)113が取り付けられている。
【0046】
ここで、上記実装基板150には、フレキシブルプリント基板を用いており、このフレキシブルプリント基板150は、可撓性を有する帯状の絶縁性コア部材151と、該帯状の絶縁性コア部材151の表面および裏面に形成された配線パターン152と、該配線パターン152を覆うよう形成された絶縁性保護層(例えば、レジスト層)153とを有している。ただし、該絶縁性保護層153は、支持基板のバンプ電極と接続される接続端子(図示せず)が配置されている部分では除去されている。
【0047】
また、この配線パターン152は、該絶縁性コア部材151の表面および裏面に形成した導電層をパターニングして得られたものである。また、この絶縁性コア部材151の表面および裏面に形成した配線パターン152は、スルーホール151aにより所要箇所で電気的に接続されている。
【0048】
次に製造方法について説明する。
【0049】
図2は、本発明の実施形態1による撮像モジュールの製造方法を説明する図であり、図2(a)は電子部品としての固体撮像装置100、およびこれが実装される前のフレキシブルプリント基板(実装基板)を示し、図2(b)はフレキシブルプリント基板の部品配置領域に接着樹脂を塗布した状態を示し、図2(c)は、該フレキシブルプリント基板に固体撮像装置を実装した状態を示している。
【0050】
この実施形態1による撮像モジュールの製造方法は、被写体を撮像して撮像信号を生成する固体撮像素子140と、該被写体からの光を該固体撮像素子に導く光学系2とを備えた固体撮像装置100を実装基板150上に実装する実装工程を含んでいる。
【0051】
この実装工程では、まず、図2(a)に示すように、支持基盤130にフェイスダウン実装された固体撮像素子140を有する固体撮像装置100と、該固体撮像装置100から電気信号を取り出し、かつ該固体撮像装置100に制御信号を供給するフレキシブルプリント基板(実装基板)を用意する。
【0052】
次に、図2(b)に示すように、フレキシブルプリント基板150の、固体撮像装置を配置すべき領域に接着樹脂161を塗布する。なお、図中、160は接着樹脂の塗布装置であり、161aは該塗布装置160のノズル160aから出射された接着樹脂である。
【0053】
その後、該固体撮像装置100をフレキシブルプリント基板150上に、該固体撮像素子140の受光面と反対側の裏面が、該フレキシブルプリント基板150に塗布された接着樹脂161に接触するよう載置する。このとき、支持基板130の下面に形成された半田バンプなどのバンプ電極130aをフレキシブルプリント基板150の接続端子(図示せず)に接触させる。
【0054】
さらに、該固体撮像装置100の支持基板130と該フレキシブルプリント基板130とが半田接合により接続されると同時に、該固体撮像素子140と該フレキシブルプリント基板150とがこれらの間に介在する接着樹脂161の硬化により接続されるよう熱処理を行う。
【0055】
これにより固体撮像装置をフレキシブルプリント基板上に実装してなる撮像モジュール1が得られる。
【0056】
このように本実施形態の撮像モジュール1では、被写体を撮像する固体撮像素子140と、被写体からの光を固体撮像素子140に導く光学系2とを備えた固体撮像装置100をフレキシブルプリント基板(実装基板)150上に実装してなる実装構造を有する撮像モジュール1において、固体撮像装置100を、固体撮像素子140および光学系2を支持する支持基板130を有するものとし、固体撮像素子140を、その受光面と反対側の裏面がフレキシブルプリント基板150に対向するよう支持基板130により支持し、固体撮像素子140とフレキシブルプリント基板150との隙間には、固体撮像素子140からフレキシブルプリント基板150に至る放熱経路が形成されるよう接着樹脂161を充填したので、固体撮像素子140とその電気信号を取り出すフレキシブルプリント基板150とが、これらの固体撮像素子とフレキシブルプリント基板との間の空間を接着樹脂で埋めることで直接接合されることとなり、撮像モジュール内で発生した熱の放熱効果を、部品点数の増大を招くことなく高めることができ、その結果、高品質で安価で小型の、熱に強い撮像モジュールの提供が可能となる。
【0057】
また、本実施形態では、支持基板130を、そのフレキシブルプリント基板150側の表面に形成した凹状部130bを有し、該固体撮像素子140を該凹状部130b内に収容して保持するものとし、該支持基板130の該凹状部の周囲には、該固体撮像素子と該フレキシブルプリント基板との隙間に充填した接着樹脂を囲むよう電極パッド130aを配置し、該電気信号により生じた熱を該電極パッド130aを介して該フレキシブルプリント基板150に放熱するので、撮像モジュール1内で発生した熱をより効果的に放熱することが可能となる。
【0058】
また、本実施形態1の撮像モジュールの製造方法では、1つの熱処理工程で、固体撮像素装置とフレキシブルプリント基板を電気的接続すると同時に固体撮像素子の背面とフレキシブルプリント基板を接続樹脂で接着するので、実装工程の簡略化を図ることができる。
【0059】
なお、上記実施形態1では、実装基板として可撓性を有するフレキシブルプリント基板を用いているが、実装基板は、可撓性のない通常のプリント基板でもよい。
【0060】
また、上記実施形態1による撮像モジュールの製造方法では、接着樹脂を予めフレキシブルプリント基板の、固体撮像装置の配置予定領域に塗布しているが、接着樹脂として予め、樹脂フィルムなどの形態のものを固体撮像装置に搭載されている固体撮像素子の裏面側に貼り付けておいてもよい。
【0061】
以下、このような撮像モジュールの製造方法を、上記実施形態1による撮像モジュールの製造方法の変形例として、図3を用いて説明する。
【0062】
図3は、本発明の実施形態1による撮像モジュールの製造方法の変形例を説明する図であり、図3(a)は電子部品としての固体撮像装置100、およびこれが実装される前のフレキシブルプリント基板(実装基板)を示し、図3(b)は、固体撮像装置に搭載された固体撮像素子の裏面に接着樹脂(樹脂フィルム)を貼り付けた状態を示し、図3(c)は、該フレキシブルプリント基板に固体撮像装置を実装した状態を示している。
【0063】
この実施形態1の変形例による撮像モジュールの製造方法は、実施形態1による固体撮像装置の製造方法と同様、被写体を撮像して撮像信号を生成する固体撮像素子140と、該被写体からの光を該固体撮像素子に導く光学系2とを備えた固体撮像装置100をフレキシブルプリント基板(実装基板)150上に実装する実装工程を含んでおり、この変形例では、固体撮像装置に搭載されている固体撮像素子140の裏面に樹脂フィルム162を貼り付ける点で、上記実施形態1でフレキシブルプリント基板150の、固体撮像装置の配置領域に接着樹脂161を塗布しているのとは異なる。
【0064】
具体的には、まず、図3(a)に示すように、支持基板130にフェイスダウン実装された固体撮像素子140を有する固体撮像装置100と、該固体撮像装置100から撮像信号を取り出し、かつ該固体撮像装置100に制御信号を供給するフレキシブルプリント基板(実装基板)150とを用意する。
【0065】
次に、図3(b)に示すように、固体撮像装置100に搭載された固体撮像素子140の裏面に樹脂フィルム162を貼り付ける。
【0066】
その後、該固体撮像装置100をフレキシブルプリント基板150上に、該固体撮像素子140の裏面に貼り付けた樹脂フィルム162が、該フレキシブルプリント基板150に接触するよう載置する。このとき、支持基板130の下面に形成された半田バンプなどのバンプ電極130aがフレキシブルプリント基板150の接続端子(図示せず)に接触する。
【0067】
さらに、該固体撮像装置100の支持基板130と該フレキシブルプリント基板150とが半田接合により接続されると同時に、該固体撮像素子140と該フレキシブルプリント基板150とがこれらの間に介在する樹脂フィルム162の硬化により接続されるよう熱処理を行う。
【0068】
さらに、上記実施形態1では、特に説明しなかったが、上記実施形態1の撮像モジュールを撮像部に用いた、例えばデジタルビデオカメラ、デジタルスチルカメラなどのデジタルカメラや、画像入力カメラ、スキャナ、ファクシミリ、カメラ付き携帯電話装置などの、画像入力デバイスを有した電子情報機器について以下簡単に説明する。
(実施形態2)
図4は、本発明の実施形態2として、本発明の実施形態1による撮像モジュールを撮像部に用いた電子情報機器の概略構成例を示すブロック図である。
【0069】
図4に示す本発明の実施形態2による電子情報機器90は、本発明の上記実施形態1の撮像モジュール1を、被写体の撮影を行う撮像部91として備えたものであり、このような撮像部による撮影により得られた高品位な画像データを記録用に所定の信号処理した後にデータ記録する記録メディアなどのメモリ部92と、この画像データを表示用に所定の信号処理した後に液晶表示画面などの表示画面上に表示する液晶表示装置などの表示部93と、この画像データを通信用に所定の信号処理をした後に通信処理する送受信装置などの通信部94と、この画像データを印刷(印字)して出力(プリントアウト)する画像出力部95とのうちの少なくともいずれかを有している。
【0070】
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0071】
本発明は、撮像モジュールおよびその製造方法、並びに電子情報機器の分野において、益々小型薄型化する通信機器をはじめとする携帯端末用に用いられる撮像モジュールとして、高品質で安価な熱に強い小型な撮像モジュールを提供することができ、さらにはこのような撮像モジュールを搭載した電子情報機器を提供することができる。
【符号の説明】
【0072】
1 撮像モジュール
2 光学系
90 電子情報機器
91 撮像部
92 メモリ部
93 表示手段
94 通信手段
95 画像出力手段
100 固体撮像装置
110 レンズホルダ
111 上部ホルダ
112 下部ホルダ
113 光学フィルタ(IRカットフィルタ)
120 駆動部
121 永久磁石
122 電磁石
123 部品取付板
123a スペーサ部材
130 支持基板
130a 電極パッド
130c 開口
140 固体撮像素子
150 フレキシブルプリント基板
151 絶縁性コア部材
151a スルーホール
152 配線パターン
153 絶縁性保護層(レジスト層)
160 塗布装置
160a 塗布ノズル
161、161a 接着樹脂
162 樹脂フィルム
L 集光レンズ
R 補強樹脂

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体を撮像して撮像信号を生成する固体撮像素子と、該被写体からの光を該固体撮像素子に導く光学系とを備えた固体撮像装置を実装基板上に実装してなる実装構造を有する撮像モジュールであって、
該固体撮像装置は、該固体撮像素子および該光学系を支持し、該固体撮像素子から該撮像信号を取り出すとともに、該光学系の駆動部に制御信号を供給するための支持基板を有し、
該支持基板は、該実装基板に取り付けられ、
該実装基板は、該固体撮像素子で生成された撮像信号を該支持基板から受けるとともに、該光学系の駆動部への制御信号を該支持基板に供給するよう構成されており、
該固体撮像素子は、その受光面と反対側の裏面が該実装基板に対向するよう該支持基板により支持されており、
該固体撮像素子と該実装基板との隙間には、該固体撮像素子から該実装基板に至る放熱経路が形成されるよう接着樹脂が充填されている、撮像モジュール。
【請求項2】
請求項1に記載の撮像モジュールにおいて、
前記光学系は、
前記被写体からの光を該固体撮像素子の受光部に集光する集光レンズと、
該支持基板の、該固体撮像素子が配置されている面とは反対側の面上に取り付けられ、該集光レンズを保持するレンズホルダと、
前記制御信号に基づいて該集光レンズを光軸方向に移動させるレンズ駆動部とを有する、撮像モジュール。
【請求項3】
請求項1に記載の撮像モジュールにおいて、
前記支持基板は、その実装基板側の表面に形成した凹状部を有し、該固体撮像素子を該凹状部内に収容して保持するものであり、
該支持基板の該凹状部の周囲には、該固体撮像素子と該実装基板との隙間に充填した接着樹脂を囲むよう電極パッドが配置され、該撮像信号あるいは該制御信号により生じた熱が該電極パッドを介して該実装基板に放熱される、撮像モジュール。
【請求項4】
請求項3に記載の撮像モジュールにおいて、
前記支持基板は、前記凹状部の、前記固体撮像素子に対向する部分には、該固体撮像素子に前記被写体からの光を導入するための開口が形成され、
該光学系は、該開口を覆うよう該支持基板に取り付けられた光学フィルタを含む、撮像モジュール。
【請求項5】
請求項1に記載の撮像モジュールにおいて、
前記実装基板は、フレキシブルプリント基板である、撮像モジュール。
【請求項6】
請求項5に記載の撮像モジュールにおいて、
前記フレキシブルプリント基板は、可撓性を有する帯状のコア部材と、該帯状のコア部材の表面に形成された配線パターンと、該配線パターンを覆うよう形成された絶縁性保護層とを有する、撮像モジュール。
【請求項7】
被写体を撮像して撮像信号を生成する固体撮像素子と、該被写体からの光を該固体撮像素子に導く光学系とを備えた固体撮像装置を実装基板上に実装する実装工程を含み、該実装基板上に固体撮像装置を実装してなる実装構造を有する撮像モジュールを製造する方法であって、
該固体撮像装置は、該固体撮像素子および該光学系を支持し、該固体撮像素子から該撮像信号を取り出すとともに、該光学系の駆動部に制御信号を供給するための支持基板を有し、
該支持基板は該実装基板に取り付けられ、
該実装基板は、該固体撮像素子で生成された撮像信号を該支持基板から受けるとともに、該光学系の駆動部への制御信号を該支持基板に供給するよう構成されており、
該実装工程は、
該固体撮像装置と該実装基板とを電気的および機械的に接続する際、該支持基板に支持された固体撮像素子と該実装基板とを接着樹脂で同時に接続する、撮像モジュールの製造方法。
【請求項8】
請求項7に記載の撮像モジュールの製造方法において、
前記実装工程は、
前記実装基板の、前記固体撮像素子が配置されるべき素子配置領域に前記接着樹脂を塗布する工程と、
前記固体撮像装置を該実装基板上に、該固体撮像素子の受光面と反対側の裏面が該実装基板に塗布された接着樹脂に接触するよう配置する工程と、
該固体撮像装置の支持基板と該実装基板とが半田接合により接続されると同時に、該固体撮像素子と該実装基板とがこれらの間に介在する接着樹脂の硬化により接続されるよう熱処理を行う工程とを含む、撮像モジュールの製造方法。
【請求項9】
請求項7に記載の撮像モジュールの製造方法において、
前記実装工程は、
前記固体撮像装置における固体撮像素子の受光面と反対側の裏面に接着樹脂を塗布する工程と、
前記固体撮像装置を該実装基板上に、該固体撮像素子の裏面に塗布した接着樹脂が該実装基板に接触するよう配置する工程と、
該固体撮像装置の支持基板と該実装基板とが半田接合により接続されると同時に、該固体撮像素子と該実装基板とがこれらの間に介在する接着樹脂の硬化により接続されるよう熱処理を行う工程とを含む、撮像モジュールの製造方法。
【請求項10】
被写体の撮像を行う撮像部を備えた電子情報機器であって、
該撮像部は、請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の撮像モジュールを含む電子情報機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−119795(P2012−119795A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−265833(P2010−265833)
【出願日】平成22年11月29日(2010.11.29)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】