説明

撮像レンズおよび撮像装置

【課題】高画素の撮像素子に対応した良好な光学性能を有し、小型かつ大口径の安価な撮像レンズを提供する。
【解決手段】撮像レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状の第3レンズと、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第4レンズと、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有する第5レンズとから構成される。撮像レンズは、条件式「3.0 ≦ f3/f4 ≦ 30.0」を満足する。但し、f3は第3レンズの焦点距離であり、f4は第4レンズの焦点距離である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、撮像レンズおよびこの撮像レンズを用いた撮像装置に関する。詳しくは、固体撮像素子を用いたカメラ付き携帯電話等の小型撮像装置に好適な、F2.0程度の大口径撮像用レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、CCDやCMOS等の固体撮像素子を用いたカメラ付携帯電話やデジタルスチルカメラが知られている。このような撮像装置においては、より一層の小型化が要求されており、搭載される撮影用のレンズにおいても小型で全長の短いものが要求されている。また、近年ではカメラ付き携帯電話のような小型撮像機器においても、小型化とともに撮像素子の高画素化が進んでおり、800万画素以上の高画素撮像素子を搭載したモデルも普及している。そのため、搭載される撮像レンズとしても、こうした高画素の固体撮像装置に対応する高いレンズ性能が要求されている。
【0003】
一方、こうした撮像装置では狭セルピッチ化に伴う撮像素子の感度低下やノイズの増加を防止するため、より大口径の明るいレンズが要求されている。こうした小型かつ高性能の撮像レンズとしては、4枚構成の撮像レンズが多く用いられている(例えば、特許文献1および2参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−265245号公報
【特許文献2】特開2010−049113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の従来技術によるレンズは、現在の高画素撮像素子に対応した4枚構成の撮像レンズであり、光学全長を抑制しながら諸収差をバランスよく補正することで、小型でかつ高い光学性能を確保している。しかし、これらの撮像レンズはF2.8程度で最適化されたものであり、F2.0程度の大口径化を図ると軸上収差の球面収差や軸外収差のコマ収差、像面湾曲の補正が不足となり、必要な光学性能を確保することが困難となる。また、さらなる光学性能の向上を図る上では軸上色収差をより抑制することが必要となるが、上述の従来技術では光学全長を抑制しつつ軸上色収差を補正することが困難であり、大口径化に伴い必要となる高い解像性能を確保することは難しい。
【0006】
本技術はこのような状況に鑑みて生み出されたものであり、高画素の撮像素子に対応した良好な光学性能を有し、小型かつ大口径の安価な撮像レンズを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本技術は、上述の問題点を解消するためになされたものであり、その第1の側面は、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状の第3レンズと、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第4レンズと、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有する第5レンズとから構成され、以下の条件式(a)を満足する撮像レンズである。但し、f3は上記第3レンズの焦点距離、f4は上記第4レンズの焦点距離とする。
条件式(a): 3.0 ≦ f3/f4 ≦ 30.0
これにより、高画素の撮像素子に対応した良好な光学性能を有し、小型かつ大口径の安価な撮像レンズを実現する。
【0008】
また、この第1の側面において、以下の条件式(b)、(c)、(d)および(e)をさらに満足するようにしてもよい。但し、νd1は上記第1レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、νd2は上記第2レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、νd3は上記第3レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、νd4は上記第4レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数とする。
条件式(b): νd1 > 50
条件式(c): νd2 < 30
条件式(d): νd3 > 50
条件式(e): νd4 > 50
これにより、高画素の撮像素子に対応した良好な光学性能を有し、小型かつ大口径の撮像レンズを実現する。
【0009】
また、この第1の側面において、以下の条件式(f)をさらに満足するようにしてもよい。但し、f1は上記第1レンズの焦点距離、f2は上記第2レンズの焦点距離とする。
条件式(f): 0.4 < |f1/f2| < 1.2
これにより、良好な光学性能の確保と光学全長の抑制とを実現する。
【0010】
また、この第1の側面において、以下の条件式(g)および(h)をさらに満足するようにしてもよい。但し、f5は上記第5レンズの焦点距離、fは上記第1乃至5レンズからなるレンズ全系の焦点距離、νd5は上記第5レンズのd線に対するアッベ数とする。
条件式(g): 0.2 < |f5/f| < 1.3
条件式(h): νd5 > 50
これにより、良好な光学性能の確保と光学全長の抑制とを実現する。
【0011】
また、この第1の側面において、第1乃至第5レンズは樹脂製のレンズで構成されてもよい。これにより、量産性を確保しつつ温度変動時に問題となる像面湾曲の変動を抑制する。
【0012】
また、本技術の第2の側面は、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状の第3レンズと、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第4レンズと、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有する第5レンズとから構成される撮像レンズと、上記撮像レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子とを備え、以下の条件式(a)を満足する撮像装置である。但し、f3は上記第3レンズの焦点距離、f4は上記第4レンズの焦点距離とする。
条件式(a): 3.0 ≦ f3/f4 ≦ 30.0
これにより、高画素の撮像素子に対応した良好な光学性能を有し、小型かつ大口径の安価な撮像レンズを備える撮像装置を実現する。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、高画素の撮像素子に対応した良好な光学性能を有し、小型かつ大口径の安価な撮像レンズを提供することができるという優れた効果を奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本技術の第1の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図2】本技術の第1の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。
【図3】本技術の第2の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図4】本技術の第2の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。
【図5】本技術の第3の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図6】本技術の第3の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。
【図7】本技術の第4の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図8】本技術の第4の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。
【図9】本技術の第5の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。
【図10】本技術の第5の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。
【図11】本技術の第1乃至第5の実施の形態による撮像レンズを撮像装置100に適用した例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示における撮像レンズは、物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズと、負の屈折力を有する第2レンズと、正の屈折力を有する第3レンズと、正の屈折力を有する第4レンズと、正の屈折力を有する第5レンズとを備える。第2レンズは、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第3レンズは、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状のレンズである。第4レンズは、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第5レンズは、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有するレンズである。なお、第5レンズと結像面の間には、撮像素子を保護するためのシールガラスが配置される。
【0016】
本開示における撮像レンズは、以下の条件式(a)を満足するように構成される。
3.0 ≦ f3/f4 ≦ 30.0 ・・・条件式(a)
但し、f3は第3レンズの焦点距離であり、f4は第4レンズの焦点距離である。この条件式(a)を満足するように設定することにより、良好な光学性能の確保と光学全長の抑制を実現することができる。条件式(a)は第3レンズの焦点距離と第4レンズの焦点距離との比を規定するものであり、屈折力のバランスを制限している。条件式(a)の上限値を外れると、コマ収差および像面湾曲の補正が困難となる。一方、この条件式の下限値を外れると収差補正上は有利になるが、光学全長が増大し、カメラ付き携帯電話で要求される本レンズ系の小型化および低背化を実現することができない。
【0017】
なお、光学全長の短縮とコマ収差および像面湾曲の補正をよりバランスよく実現するためには、条件式(a)の範囲内において、以下の条件式(a')を満たすようにすることが望ましい。
3.0 ≦ f3/f4 ≦ 12.0 ・・・条件式(a')
【0018】
また、本開示における撮像レンズは、以下の条件式(b)、(c)、(d)および(e)を満足するように構成される。
νd1 > 50 ・・・条件式(b)
νd2 < 30 ・・・条件式(c)
νd3 > 50 ・・・条件式(d)
νd4 > 50 ・・・条件式(e)
但し、νd1は第1レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、νd2は第2レンズのd線に対するアッベ数、νd3は第3レンズのd線に対するアッベ数、νd4は第4レンズのd線に対するアッベ数である。これらの条件式を満足するように設定することにより、高画素の撮像素子に対応した良好な光学性能を有し、小型かつ大口径の撮像レンズを実現することができる。これらの条件式は、レンズ系で発生する色収差を良好に補正するための条件である。これらの条件式の指定値を外れると、F2.0以下の大口径化に際して必要となる軸上色収差の補正が困難となる。
【0019】
また、本開示における撮像レンズは、以下の条件式(f)を満足するように構成される。
0.4 < |f1/f2| < 1.2 ・・・条件式(f)
但し、f1は第1レンズの焦点距離であり、f2は第2レンズの焦点距離である。この条件式(f)を満足するように設定することにより、良好な光学性能の確保と光学全長の抑制とを実現することができる。この条件式(f)は、第1レンズの焦点距離と第2レンズの焦点距離との比を規定するものであり、屈折力のバランスを制限している。条件式(f)の上限値を外れると、収差補正上は有利になるが、光学全長が増大し、本レンズ系に要求される小型化を実現することができなくなる。一方、この条件式の下限値を外れると、軸上色収差の補正が困難となる。
【0020】
なお、光学全長の短縮と軸上色収差の補正をよりバランスよく実現するためには、条件式(f)の範囲内において、以下の条件式(f')を満たすようにすることが望ましい。
0.5 < |f1/f2| < 1.0 ・・・条件式(f')
【0021】
また、本開示における撮像レンズは、以下の条件式(g)および(h)を満足するように構成される。
0.2 < |f5/f| < 1.3 ・・・条件式(g)
νd5 > 50 ・・・条件式(h)
但し、f5は第5レンズの焦点距離であり、fはレンズ全系の焦点距離である。また、νd5は第5レンズのd線に対するアッベ数である。この条件式(g)および(h)を満足するように設定することにより、良好な光学性能の確保と光学全長の抑制とを実現することができる。条件式(g)は、第5レンズの焦点距離とレンズ全系の焦点距離との比を規定するものであり、第5レンズの屈折力を制限している。条件式(g)の上限値を外れると、収差補正上は有利になるが、光学全長が増大し、本レンズ系に要求される小型化を実現することができなくなる。一方、この条件式の下限値を外れると、小型化には有利だが、中心から中間像高で発生する像面湾曲をバランスよく補正することが困難となる。また、条件式(h)は、第5レンズのd線に対するアッベ数を規定するものであり、レンズ系で発生する色収差を良好に補正するための条件である。この条件式の指定値を外れると、軸上色収差と倍率色収差とをバランスよく補正することが困難となる。
【0022】
また、本開示における撮像レンズは、第1乃至第5レンズの全てのレンズが樹脂製のレンズで構成される。全てのレンズを安価な樹脂製のレンズで構成することにより、量産性を確保しつつ温度変動時に問題となる像面湾曲の変動を抑制することができる。
【0023】
なお、ここでは第1乃至第5レンズの5枚のレンズからなる撮像レンズについて説明するが、実質的にレンズパワーを有さないレンズをさらに備えるようにしてもよく、その場合にも撮像レンズ全系としての性能に影響を与えない。
【0024】
本開示における撮像レンズは、このようなパワー配置を採ることにより色収差を改善するとともに、特に第3乃至第5レンズにおいて自由度の高い高次の非球面レンズを採用することによりコマ収差、像面湾曲をバランスよく補正することができる。
【0025】
以下、本技術を実施するための形態(以下、実施の形態と称する)について説明する。説明は以下の順序により行う。
1.第1の実施の形態(数値実施例1)
2.第2の実施の形態(数値実施例2)
3.第3の実施の形態(数値実施例3)
4.第4の実施の形態(数値実施例3)
5.第5の実施の形態(数値実施例3)
6.適用例(撮像装置)
【0026】
なお、以降の各表や説明において示す記号の意味等については、以下に示す通りであ
る。すなわち、「Fno」は開放F値(Fナンバー)である。「f」はレンズ系全体の焦点距離である。「2ω」は対角の全画角である。「Si」は物体側から数えてi番目の面である。「Ri」は面Siの曲率半径である。「di」は物体側からi番目の面とi+1番目の面との間の面間隔である。「ni」は第iレンズのd線(波長587.6nm)における屈折率である。「νi」は第iレンズのd線におけるアッベ数である。また、「∞」は当該面が平面であることを、「ASP」は当該面が非球面(aspherical)であることをそれぞれ示す。
【0027】
また、各実施の形態において用いられる撮像レンズは、レンズ面が非球面によって構成される。非球面形状は、非球面の深さをZ、光軸からの高さをYとすると、
Z=(Y2/R)/(1+(1−(1+κ)(Y/R)21/2
+AY3+BY4+CY5+DY6+EY7+FY8+GY9
+HY10+IY11+JY12+LY13+MY14+NY15+PY16
によって定義されるものとする。なお、Rは曲率半径、кは円錐(コーニック)定数である。また、A、B、C、D、E、F、G、H、I、J、L、M、N、および、Pは、それぞれ3次、4次、5次、6次、7次、8次、9次、10次、11次、12次、13次、14次、15次、および、16次の非球面係数である。
【0028】
<1.第1の実施の形態>
[レンズ構成]
図1は、本技術の第1の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。この第1の実施の形態におけるレンズは、物体側から像面IMGに対して順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5とを備える。第1レンズL1は、正の屈折力を有するレンズである。第2レンズL2は、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第3レンズL3は、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状のレンズである。第4レンズL4は、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第5レンズL5は、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有するレンズである。メニスカス形状とは両面が同じ方向の曲面からなる形状であり、その曲率の符号は何れの面も同じである。また、第1レンズL1と第2レンズL2との間には絞りSTOが配置され、第5レンズL5と像面IMGとの間にはシールガラスSGが配置される。
【0029】
[レンズの緒元]
表1に、第1の実施の形態における撮像レンズに具体的数値を適用した数値実施例1のレンズデータを示す。
【表1】

【0030】
この第1の実施の形態における撮像レンズの各面は、上述の通り非球面形状によって構成されている。これら各面の円錐定数к、および、各次の非球面係数を、表2に示す。なお、表中「E−××」は10を底とする指数表現である。例えば、「E−01」は「10-1」を表す。
【表2】

【0031】
また、この第1の実施の形態における撮像レンズにおいて、開放F値Fnoは「2.07」、焦点距離fは「3.69」、対角の全画角は「75.8°」である。
【0032】
[レンズの収差]
図2は、本技術の第1の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。同図(a)は球面収差図、同図(b)は非点収差図、同図(c)は歪曲収差図である。球面収差図において、実線はd線(587.6nm)、破線はc線(波長656.3nm)、一点鎖線はg線(波長435.8nm)における値を示す。また、非点収差図において、実線Sはサジタル像面、破線Mはメリディオナル像面における値を示す。
【0033】
これら収差図により、第1の実施の形態における撮像レンズでは諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0034】
<2.第2の実施の形態>
[レンズの構成]
図3は、本技術の第2の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。この第2の実施の形態におけるレンズは、物体側から像面IMGに対して順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5とを備える。第1レンズL1は、正の屈折力を有するレンズである。第2レンズL2は、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第3レンズL3は、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状のレンズである。第4レンズL4は、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第5レンズL5は、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有するレンズである。また、第1レンズL1の物体側には絞りSTOが配置され、第5レンズL5と像面IMGとの間にはシールガラスSGが配置される。
【0035】
[レンズの緒元]
表3に、第2の実施の形態における撮像レンズに具体的数値を適用した数値実施例2のレンズデータを示す。
【表3】

【0036】
この第2の実施の形態における撮像レンズの各面は、上述の通り非球面形状によって構成されている。これら各面の円錐定数к、および、各次の非球面係数を、表4に示す。
【表4】

【0037】
また、この第2の実施の形態における撮像レンズにおいて、開放F値Fnoは「1.96」、焦点距離fは「3.80」、対角の全画角は「74.1°」である。
【0038】
[レンズの収差]
図4は、本技術の第2の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。同図(a)は球面収差図、同図(b)は非点収差図、同図(c)は歪曲収差図である。なお、各収差図における線種は第1の実施の形態において説明したものと同様である。
【0039】
これら収差図により、第2の実施の形態における撮像レンズでは諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0040】
<3.第3の実施の形態>
[レンズの構成]
図5は、本技術の第3の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。この第3の実施の形態におけるレンズは、物体側から像面IMGに対して順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5とを備える。第1レンズL1は、正の屈折力を有するレンズである。第2レンズL2は、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第3レンズL3は、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状のレンズである。第4レンズL4は、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第5レンズL5は、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有するレンズである。また、第1レンズL1の物体側には絞りSTOが配置され、第5レンズL5と像面IMGとの間にはシールガラスSGが配置される。
【0041】
[レンズの緒元]
表5に、第3の実施の形態における撮像レンズに具体的数値を適用した数値実施例3のレンズデータを示す。
【表5】

【0042】
この第3の実施の形態における撮像レンズの各面は、上述の通り非球面形状によって構成されている。これら各面の円錐定数к、および、各次の非球面係数を、表6に示す。
【表6】

【0043】
また、この第3の実施の形態における撮像レンズにおいて、開放F値Fnoは「2.06」、焦点距離fは「3.60」、対角の全画角は「75.6°」である。
【0044】
[レンズの収差]
図6は、本技術の第3の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。同図(a)は球面収差図、同図(b)は非点収差図、同図(c)は歪曲収差図である。なお、各収差図における線種は第1の実施の形態において説明したものと同様である。
【0045】
これら収差図により、第3の実施の形態における撮像レンズでは諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0046】
<4.第4の実施の形態>
[レンズの構成]
図7は、本技術の第4の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。この第4の実施の形態におけるレンズは、物体側から像面IMGに対して順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5とを備える。第1レンズL1は、正の屈折力を有するレンズである。第2レンズL2は、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第3レンズL3は、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状のレンズである。第4レンズL4は、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第5レンズL5は、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有するレンズである。また、第1レンズL1の物体側には絞りSTOが配置され、第5レンズL5と像面IMGとの間にはシールガラスSGが配置される。
【0047】
[レンズの緒元]
表7に、第4の実施の形態における撮像レンズに具体的数値を適用した数値実施例4のレンズデータを示す。
【表7】

【0048】
この第4の実施の形態における撮像レンズの各面は、上述の通り非球面形状によって構成されている。これら各面の円錐定数к、および、各次の非球面係数を、表8に示す。
【表8】

【0049】
また、この第4の実施の形態における撮像レンズにおいて、開放F値Fnoは「1.97」、焦点距離fは「3.83」、対角の全画角は「73.8°」である。
【0050】
[レンズの収差]
図8は、本技術の第4の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。同図(a)は球面収差図、同図(b)は非点収差図、同図(c)は歪曲収差図である。なお、各収差図における線種は第1の実施の形態において説明したものと同様である。
【0051】
これら収差図により、第4の実施の形態における撮像レンズでは諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0052】
<5.第5の実施の形態>
[レンズの構成]
図9は、本技術の第5の実施の形態における撮像レンズのレンズ構成を示す図である。この第5の実施の形態におけるレンズは、物体側から像面IMGに対して順に、第1レンズL1と、第2レンズL2と、第3レンズL3と、第4レンズL4と、第5レンズL5とを備える。第1レンズL1は、正の屈折力を有するレンズである。第2レンズL2は、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第3レンズL3は、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状のレンズである。第4レンズL4は、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状のレンズである。第5レンズL5は、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有するレンズである。また、第1レンズL1の物体側には絞りSTOが配置され、第5レンズL5と像面IMGとの間にはシールガラスSGが配置される。
【0053】
[レンズの緒元]
表9に、第5の実施の形態における撮像レンズに具体的数値を適用した数値実施例5のレンズデータを示す。
【表9】

【0054】
この第5の実施の形態における撮像レンズの各面は、上述の通り非球面形状によって構成されている。これら各面の円錐定数к、および、各次の非球面係数を、表10に示す。
【表10】

【0055】
また、この第5の実施の形態における撮像レンズにおいて、開放F値Fnoは「1.97」、焦点距離fは「3.83」、対角の全画角は「73.9°」である。
【0056】
[レンズの収差]
図10は、本技術の第5の実施の形態による撮像レンズの各収差図である。同図(a)は球面収差図、同図(b)は非点収差図、同図(c)は歪曲収差図である。なお、各収差図における線種は第1の実施の形態において説明したものと同様である。
【0057】
これら収差図により、第5の実施の形態における撮像レンズでは諸収差が良好に補正され、優れた結像性能を有していることがわかる。
【0058】
[条件式のまとめ]
表11に第1乃至第5の実施の形態の数値実施例1乃至5における焦点距離の値を示す。
【表11】

【0059】
表12に数値実施例1乃至5の焦点距離の値を用いて条件式(a)乃至(h)に対応する値を計算した値を示す。この表から明らかなように、数値実施例1乃至5による値は条件式(a)乃至(h)を満足することがわかる。
【表12】

【0060】
<6.適用例>
[撮像装置の構成]
図11は、本技術の第1乃至第5の実施の形態による撮像レンズを撮像装置100に適用した例を示す図である。この撮像装置100は、第1乃至第5の実施の形態として説明した撮像レンズ111と、撮像レンズ111によって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子112とを含む光学系110を備える。撮像素子112としては、例えば、CCDセンサーやCMOSセンサー等が用いられる。
【0061】
光学系110は、カメラ制御部120によって制御される。カメラ制御部120は、光学系110を制御することにより静止画や動画の撮影を行う。また、カメラ制御部120は、撮影により取得された画像データについて、JPEGやMPEG等の圧縮方式による符号化を行い、バス101を介してCPU131、表示制御部150、通信制御部170、メモリカードインターフェース190等へ送出する。
【0062】
撮像装置100は、バス101を介して撮像装置100全体を統括制御する処理装置としてCPU131を備える。CPU131はRAM132を作業データ領域として用いる。CPU131により動作するプログラムはROM133に記憶される。
【0063】
CPU131は、カメラ制御部120から供給された画像データをRAM132に対して一時的に保存する。また、CPU131は、必要に応じてメモリカードインターフェース190によりメモリカード191に保存し、または、表示制御部150を介して液晶表示パネル142に出力する。
【0064】
撮像装置100は、ユーザインターフェースとして、操作キー141と、液晶表示パネル142と、スピーカ143と、マイクロフォン144とを備える。液晶表示パネル142の制御部として表示制御部150を備える。RAM132やメモリカード191保存されている画像データに基づいて液晶表示パネル142に動画または静止画を表示する場合、カメラ制御部120により画像データの復号処理を行った後、表示制御部150を介して液晶表示パネル142へ出力する。
【0065】
撮像装置100は、マイクロフォン144から入力された音声信号の符号化や、スピーカ143に音声出力する際の音声信号の復号を行うために音声コーデック160を備える。
【0066】
撮像装置100は、他の装置との通信を行うために通信制御部170を備える。通信制御部170は、(図示しない)アンテナを介して他の装置との間で電波による送受信を行う。音声通話モードにおいて、受信した音声データに対して所定の処理を施した後、音声コーデック160を介してスピーカ143へ出力する。
【0067】
撮像装置100は、赤外線通信を行うための赤外線通信部181と、赤外線通信部181を接続するための赤外線インターフェース180を備える。これにより、赤外線通信機能を備える他の電子機器との通信を行う。
【0068】
撮像装置100は、メモリカードインターフェース190を備え、メモリカード191に対するアクセスを行う。
【0069】
この撮像装置100は、内部に組み込まれている撮像レンズ111が、上述のように、光学全長を抑制しつつ小型化かつ大口径化し得る構成であるため、携帯電話機等のような小型化が要求される電子機器に搭載される際に特に有利となる。
【0070】
なお、上述の実施の形態は本技術を具現化するための一例を示したものであり、実施の形態における事項と、特許請求の範囲における発明特定事項とはそれぞれ対応関係を有する。同様に、特許請求の範囲における発明特定事項と、これと同一名称を付した本技術の実施の形態における事項とはそれぞれ対応関係を有する。ただし、本技術は実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において実施の形態に種々の変形を施すことにより具現化することができる。
【0071】
なお、本技術は以下のような構成もとることができる。
(1)物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状の第3レンズと、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第4レンズと、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有する第5レンズとから構成され、以下の条件式(a)を満足する撮像レンズ。
条件式(a): 3.0 ≦ f3/f4 ≦ 30.0
但し、
f3:前記第3レンズの焦点距離、
f4:前記第4レンズの焦点距離
とする。
(2)以下の条件式(b)、(c)、(d)および(e)をさらに満足する前記(1)に記載の撮像レンズ。
条件式(b): νd1 > 50
条件式(c): νd2 < 30
条件式(d): νd3 > 50
条件式(e): νd4 > 50
但し、
νd1:前記第1レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、
νd2:前記第2レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、
νd3:前記第3レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、
νd4:前記第4レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数
とする。
(3)以下の条件式(f)をさらに満足する前記(1)または(2)に記載の撮像レンズ。
条件式(f): 0.4 < |f1/f2| < 1.2
但し、
f1:前記第1レンズの焦点距離、
f2:前記第2レンズの焦点距離
とする。
(4)以下の条件式(g)および(h)をさらに満足する前記(1)から(3)のいずれかに記載の撮像レンズ。
条件式(g): 0.2 < |f5/f| < 1.3
条件式(h): νd5 > 50
但し、
f5:前記第5レンズの焦点距離、
f:前記第1乃至5レンズからなるレンズ全系の焦点距離、
νd5:前記第5レンズのd線に対するアッベ数
とする。
(5)第1乃至第5レンズは樹脂製のレンズで構成される前記(1)から(4)のいずれかに記載の撮像レンズ。
(6)実質的にレンズパワーを有さないレンズをさらに有する前記(1)から(5)のいずれかに記載の撮像レンズ。
(7)物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状の第3レンズと、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第4レンズと、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有する第5レンズとから構成される撮像レンズと、
前記撮像レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と
を備え、
以下の条件式(a)を満足する撮像装置。
条件式(a): 3.0 ≦ f3/f4 ≦ 30.0
但し、
f3:前記第3レンズの焦点距離、
f4:前記第4レンズの焦点距離
とする。
(8)実質的にレンズパワーを有さないレンズをさらに有する前記(7)に記載の撮像装置。
【符号の説明】
【0072】
L1〜L5 第1〜第5レンズ
SG シールガラス
STO 絞り
100 撮像装置
101 バス
110 光学系
111 撮像レンズ
112 撮像素子
120 カメラ制御部
141 操作キー
142 液晶表示パネル
143 スピーカ
144 マイクロフォン
150 表示制御部
160 音声コーデック
170 通信制御部
180 赤外線インターフェース
181 赤外線通信部
190 メモリカードインターフェース
191 メモリカード

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状の第3レンズと、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第4レンズと、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有する第5レンズとから構成され、以下の条件式(a)を満足する撮像レンズ。
条件式(a): 3.0 ≦ f3/f4 ≦ 30.0
但し、
f3:前記第3レンズの焦点距離、
f4:前記第4レンズの焦点距離
とする。
【請求項2】
以下の条件式(b)、(c)、(d)および(e)をさらに満足する請求項1記載の撮像レンズ。
条件式(b): νd1 > 50
条件式(c): νd2 < 30
条件式(d): νd3 > 50
条件式(e): νd4 > 50
但し、
νd1:前記第1レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、
νd2:前記第2レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、
νd3:前記第3レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数、
νd4:前記第4レンズのd線(波長587.6nm)に対するアッベ数
とする。
【請求項3】
以下の条件式(f)をさらに満足する請求項1記載の撮像レンズ。
条件式(f): 0.4 < |f1/f2| < 1.2
但し、
f1:前記第1レンズの焦点距離、
f2:前記第2レンズの焦点距離
とする。
【請求項4】
以下の条件式(g)および(h)をさらに満足する請求項1記載の撮像レンズ。
条件式(g): 0.2 < |f5/f| < 1.3
条件式(h): νd5 > 50
但し、
f5:前記第5レンズの焦点距離、
f:前記第1乃至5レンズからなるレンズ全系の焦点距離、
νd5:前記第5レンズのd線に対するアッベ数
とする。
【請求項5】
第1乃至第5レンズは樹脂製のレンズで構成される請求項1記載の撮像レンズ。
【請求項6】
物体側より順に、正の屈折力を有する第1レンズと、像側に凹面を向けた負の屈折力を有するメニスカス形状の第2レンズと、光軸近傍において正の屈折力を有する両凸形状の第3レンズと、光軸近傍において物体側に凹面を向けた正の屈折力を有するメニスカス形状の第4レンズと、光軸近傍において負の屈折力を有し周辺部において正の屈折力を有する第5レンズとから構成される撮像レンズと、
前記撮像レンズによって形成された光学像を電気的信号に変換する撮像素子と
を備え、
以下の条件式(a)を満足する撮像装置。
条件式(a): 3.0 ≦ f3/f4 ≦ 30.0
但し、
f3:前記第3レンズの焦点距離、
f4:前記第4レンズの焦点距離
とする。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−109085(P2013−109085A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−252706(P2011−252706)
【出願日】平成23年11月18日(2011.11.18)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】