説明

撮像方法およびプログラム

【課題】フラッシュ光を投光する撮影方法でも失敗することなく容易に、先幕シンクロ撮影および後幕シンクロ撮影などのスローシンクロ撮影による画像を得ることができる撮像方法およびプログラムを提供する。
【解決手段】被写体を露光する撮像部に予め定めた露光時間での露光を行わせる撮像ステップと、被写体に投光する発光部に予め定めた発光量の発光を行わせる発光ステップと、得られた画像信号に応じた記録用の画像データを生成して記録部に記録させる画像記録ステップと、得られた画像信号に応じた表示用の画像データを生成して表示部に表示させる画像表示ステップと、を含み、撮像指示部からの1回の撮像開始指示に応じて、撮像ステップを実行し、露光を終了する前の露光期間中に発光ステップを実行する第1のシンクロ撮影ステップと、露光を開始した直後の露光期間中に発光ステップを実行する第2のシンクロ撮影ステップと、を連続して行う。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、撮像方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
夜景などの暗いシーンを撮影する方法の一つとして、スローシンクロ撮影という方法がある。スローシンクロ撮影は、長時間露光をしている最中に、フラッシュを発光する撮影方法である。スローシンクロ撮影では、フラッシュ光の投光によって被写体を明るく撮影すると共に、長時間露光によって被写体の背景も明るく撮影することができる。また、動く被写体の軌跡を残した状態の撮影ができるなど様々な効果を得ることができる。
【0003】
また、スローシンクロ撮影では、長時間露光中のフラッシュの発光タイミングによって、先幕シンクロ撮影や後幕シンクロ撮影という撮影方法がある。先幕シンクロ撮影とは、長時間露光を開始するタイミングに近いタイミングでフラッシュを発光する撮影方法であり、フラッシュが発光した後に動く被写体の軌跡を写し込むことができる。また、後幕シンクロ撮影とは、長時間露光が終了するタイミングに近いタイミングでフラッシュを発光する撮影方法であり、フラッシュが発光する前に動いている被写体の軌跡を写し込むことができる。このように、先幕シンクロ撮影と後幕シンクロ撮影とでは、撮影された画像に対して得られる効果が異なる。このため、被写体の動きや、カメラの使用者(ユーザー)の希望によって、撮影方法を使い分けられることが望ましい。
【0004】
しかしながら、スローシンクロ撮影に精通していない一般のユーザーにとっては、上述のような先幕シンクロ撮影や後幕シンクロ撮影などの撮影方法の使い分けを行うことは容易ではない。このようなことから、例えば、特許文献1のような技術が開示されている。特許文献1で開示された技術では、画像処理装置に、時間的な連続性を有する複数フレームの画像データを取得する画像取得部と、各フレームの画像データをバッファリング記憶する記憶部と、バッファリング記憶された複数フレームの画像データを用いて画像合成処理を行って合成画像データを生成し、合成画像データを表示用のデータとする演算制御部と、を備えている。そして、演算制御部が画像合成処理を行う際に、画像合成処理の対象とする各画像データに対して与える重み係数を変化させることによって、先幕シンクロ撮影や後幕シンクロ撮影などと同様の効果を持つ合成画像を生成している。また、画像合成処理によって生成した合成画像をリアルタイムにユーザーに対して表示し、シャッタ操作などのユーザーの指示に応じて、合成画像データを記録媒体に記録している。このようにして、特許文献1の画像処理装置では、ユーザーが望んだシーンにおいて、所望の特殊効果を施した画像を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−253690号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、特許文献1で開示された技術には、被写体にフラッシュ光を投光したときの画像データを使用するという観点について記載がされていない。そのため、例えば、長時間露光とフラッシュの発光とを合わせたスローシンクロ撮影によって得られる画像と同様の効果を持つ画像を生成する場合には、スローシンクロ撮影におけるフラッシュ発光時の画像に対応するフレームの画像データの感度を、画像処理によって上げる必要がある。特許文献1で開示された技術では、重み係数によって同様の効果を得ようとしているが、画像処理によって画像データの感度を上げると、ノイズによって画像が劣化してしまう、という問題がある。
【0007】
また、ノイズによる画像の劣化は、暗いシーンほど、より顕著に現れる。このため、特許文献1で開示された技術では、夜景などの撮影において、フラッシュの発光を行わずにスローシンクロ撮影と同様の効果を持つ画像を高画質で生成することは困難である。
【0008】
本発明は、上記の課題認識に基づいてなされたものであり、スローシンクロ撮影に精通していない一般のユーザーが、フラッシュ光を被写体に投光して撮影する撮影方法でも失敗することなく容易に、スローシンクロ撮影による画像を得ることができる撮像方法およびプログラムを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の課題を解決するため、本発明の撮像方法は、被写体からの光束を露光し、該露光した前記光束に応じた画像信号を出力する撮像部に予め定めた露光時間での露光を行わせる撮像ステップと、被写体に投光する発光部に、予め定めた発光量の発光を行わせる発光ステップと、前記撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた記録用の記録画像データを生成し、画像データを記録する記録部に、該生成した記録画像データを記録させる画像記録ステップと、前記撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた表示用の表示画像データを生成し、画像データを表示する表示部に、該生成した表示画像データを表示させる画像表示ステップと、を含み、撮像の開始を指示する撮像指示部からの1回の撮像開始指示に応じて、前記撮像ステップを実行した後、前記撮像部が前記露光期間に応じて露光を終了する前の予め定めた発光タイミングのときに、前記発光ステップを実行する第1のシンクロ撮影ステップと、前記撮像ステップを実行した後、前記撮像部が前記露光期間に応じた露光を開始した直後に、前記発光ステップを実行する第2のシンクロ撮影ステップと、を連続して行う、ことを特徴とする。
【0010】
また、本発明の前記画像表示ステップは、前記第1のシンクロ撮影ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた第1の表示画像データと、前記第2のシンクロ撮影ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた第2の表示画像データと、をそれぞれ生成して、前記表示部に表示させ、前記画像記録ステップは、前記表示部に表された表示画像データを選択する画像選択部からの選択情報に基づいて、前記表示部に表示した前記第1の表示画像データまたは前記第2の表示画像データのいずれか1つ、または両方の表示画像データを選択する画像選択ステップ、を含み、前記第1のシンクロ撮影ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた第1の記録画像データと、前記第2のシンクロ撮影ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた第2の記録画像データと、をそれぞれ生成し、前記画像選択ステップによって選択された表示画像データに対応する記録画像データを、前記記録部に記録させる、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明の前記撮像ステップは、前記第1のシンクロ撮影ステップの後に、前記第2のシンクロ撮影ステップを実行する、ことを特徴とする。
【0012】
また、本発明の前記撮像ステップは、前記撮像部に前記露光時間よりも短い第1の露光時間での露光を行わせる第1の撮像ステップと、前記撮像部に予め定めた第2の露光時間での露光を行わせると共に、該第2の露光時間中に前記発光部に前記発光量の発光を行わせる発光撮像ステップと、前記第1の撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号を、第1の画像信号として記憶し、該記憶した前記第1の画像信号と、前記発光撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号とを合成した合成画像信号を生成する画像合成ステップと、を含み、該撮像ステップを実行した後、前記第1の撮像ステップを繰り返し実行し、前記撮像指示部からの撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップの実行を中断した後に、前記発光撮像ステップを実行し、該発光撮像ステップにおける前記第2の露光時間に応じた露光が終了した後、再び前記第1の撮像ステップを、予め定められた回数実行する、ことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の前記画像合成ステップは、前記第1の撮像ステップによって前記撮像部から繰り返し出力される画像信号を、それぞれ記憶し、前記発光撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号と、該前記発光撮像ステップが実行されるより前に実行された前記第1の撮像ステップによって前記撮像部から出力されたそれぞれの前記第1の画像信号の内、予め定められた第1の合成枚数の前記第1の画像信号と、を合成した第1の合成画像信号と、前記発光撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号と、該前記発光撮像ステップが実行された後に実行された前記第1の撮像ステップによって前記撮像部から出力されたそれぞれの前記第1の画像信号の内、予め定められた第2の合成枚数の前記第1の画像信号と、を合成した第2の合成画像信号と、を生成し、前記画像表示ステップは、前記第1の合成画像信号に応じた第1の合成表示画像データと、前記第2の合成画像信号に応じた第2の合成表示画像データとをそれぞれ生成し、該生成した前記第1の合成表示画像データと前記第2の合成表示画像データとを、それぞれ、前記第1の表示画像データと前記第2の表示画像データとして前記表示部に表示させ、前記画像記録ステップは、前記第1の合成画像信号に応じた第1の合成記録画像データと、前記第2の合成画像信号に応じた第2の合成記録画像データとをそれぞれ生成し、該生成した前記第1の合成記録画像データと前記第2の合成記録画像データとを、それぞれ、前記第1の記録画像データと前記第2の記録画像データとして、前記画像選択ステップによって選択された表示画像データに対応する記録画像データを、前記記録部に記録させる、ことを特徴とする。
【0014】
また、本発明の前記画像合成ステップは、前記第1の露光時間に基づいて、前記第1の合成画像信号を生成する際に合成する前記第1の画像信号の数である前記第1の合成枚数と、前記第2の合成画像信号を生成する際に合成する前記第1の画像信号の数である前記第2の合成枚数とを決定する合成枚数決定ステップ、を含み、前記合成枚数決定ステップは、前記第1の画像信号を合成した後の前記第1の合成画像信号および前記第2の合成画像信号の信号レベルが、それぞれ、予め定められた信号レベルになるように、前記第1の合成枚数および前記第2の合成枚数を決定する、ことを特徴とする。
【0015】
また、本発明の前記画像合成ステップは、前記第1の画像信号を合成する枚数を指示する合成枚数指示部から入力された、前記第1の表示画像データに対する第1の指示枚数と、前記第2の表示画像データに対する第2の指示枚数とを、それぞれ前記第1の合成枚数と前記第2の合成枚数とに決定する、ことを特徴とする。
【0016】
また、本発明の前記撮像ステップは、前記撮像指示部が半押し状態となったときの第1の撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップを繰り返し実行し、前記撮像指示部が全押し状態となったときの第2の撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップの実行を中断した後に、前記発光撮像ステップを実行する、ことを特徴とする。
【0017】
また、本発明の前記発光撮像ステップは、前記撮像部に予め定めた第3の露光時間での露光を行わせると共に、該第3の露光時間中に前記発光部に前記発光量よりも少ない第1の発光量の発光を行わせる第1の発光撮像ステップ、を含み、前記撮像ステップは、前記撮像指示部からの撮像開始指示に応じて、繰り返し実行している前記第1の撮像ステップの実行を中断した後に、前記第1の発光撮像ステップを、予め定められた回数、繰り返し実行し、該第1の発光撮像ステップにおける最終回の前記第3の露光時間に応じた露光が終了した後、再び前記第1の撮像ステップを実行し、前記画像合成ステップは、前記第1の発光撮像ステップによって前記撮像部から繰り返し出力される画像信号を、第2の画像信号として、それぞれ記憶し、該記憶した前記第2の画像信号の内、予め定められた第3の合成枚数の前記第2の画像信号を合成した第3の合成画像信号を、前記発光撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号として生成し、該生成した前記第3の合成画像信号と前記第1の画像信号とを合成した前記第1の合成画像信号と前記第2の合成画像信号とを生成する、ことを特徴とする。
【0018】
また、本発明の前記画像合成ステップは、前記第1の露光時間に基づいて、前記第1の合成画像信号を生成する際に合成する前記第1の画像信号の数である前記第1の合成枚数と、前記第2の合成画像信号を生成する際に合成する前記第1の画像信号の数である前記第2の合成枚数とを決定する合成枚数決定ステップと、前記第3の露光時間に基づいて、前記第3の合成画像信号を生成する際に合成する前記第2の画像信号の数である前記第3の合成枚数を決定する第1の合成枚数決定ステップと、を含み、前記合成枚数決定ステップは、前記第1の画像信号を合成した後の前記第1の合成画像信号および前記第2の合成画像信号の信号レベルが、それぞれ、予め定められた第1の信号レベルになるように、前記第1の合成枚数および前記第2の合成枚数を決定し、前記第2の画像信号を合成した後の前記第3の合成画像信号の信号レベルが、予め定められた第2の信号レベルになるように、前記第3の合成枚数を決定する、ことを特徴とする。
【0019】
また、本発明の前記画像合成ステップは、前記第1の画像信号を合成する枚数および前記第2の画像信号を合成する枚数を指示する合成枚数指示部から入力された、前記第1の表示画像データに対する第1の指示枚数と、前記第2の表示画像データに対する第2の指示枚数とを、それぞれ前記第1の合成枚数と前記第2の合成枚数とに決定し、前記合成枚数指示部から入力された、前記第1の表示画像データおよび前記第2の表示画像データに対する第3の指示枚数を、前記第3の合成枚数に決定する、ことを特徴とする。
【0020】
また、本発明の前記撮像ステップは、前記撮像指示部が半押し状態となったときの第1の撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップを繰り返し実行し、前記撮像指示部が全押し状態となったときの第2の撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップの実行を中断した後に、前記第1の発光撮像ステップを、予め定められた回数、繰り返し実行する、ことを特徴とする。
【0021】
また、本発明のプログラムは、被写体からの光束を露光し、該露光した前記光束に応じた画像信号を出力する撮像部に予め定めた露光時間での露光を行わせる撮像ステップと、被写体に投光する発光部に、予め定めた発光量の発光を行わせる発光ステップと、前記撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた記録用の記録画像データを生成し、画像データを記録する記録部に、該生成した記録画像データを記録させる画像記録ステップと、前記撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた表示用の表示画像データを生成し、画像データを表示する表示部に、該生成した表示画像データを表示させる画像表示ステップと、をコンピュータに実行させるプログラムであって、撮像の開始を指示する撮像指示部からの1回の撮像開始指示に応じて、前記撮像ステップを実行した後、前記撮像部が前記露光期間に応じて露光を終了する前の予め定めた発光タイミングのときに、前記発光ステップを実行する第1のシンクロ撮影ステップと、前記撮像ステップを実行した後、前記撮像部が前記露光期間に応じた露光を開始した直後に、前記発光ステップを実行する第2のシンクロ撮影ステップと、を連続して行う、ことを特徴とする。
【発明の効果】
【0022】
本発明によれば、フラッシュ光を被写体に投光して撮影する撮影方法でも、スローシンクロ撮影に精通していない一般のユーザーが失敗することなく容易に、先幕シンクロ撮影および後幕シンクロ撮影などのスローシンクロ撮影による画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施形態における撮像装置の概略構成を示したブロック図である。
【図2】本実施形態の撮像装置におけるフラッシュ撮影動作の手順を示したフローチャートおよびタイミングを示したタイミングチャートである。
【図3】本実施形態の撮像装置における先幕シンクロ撮影動作の手順を示したフローチャートおよびタイミングを示したタイミングチャートである。
【図4】本実施形態の撮像装置における後幕シンクロ撮影動作の手順を示したフローチャートおよびタイミングを示したタイミングチャートである。
【図5】本実施形態の撮像装置におけるスローシンクロ撮影によって取得する画像の一例を示した図である。
【図6】本実施形態の撮像装置における第1の撮影方法の動作の手順を示したフローチャートである。
【図7】本実施形態の撮像装置における第1の撮影方法の動作のタイミングを示したタイミングチャートである。
【図8】本実施形態の撮像装置において撮影した先幕シンクロ画像と後幕シンクロ画像との表示の一例と、記録する画像を選択する操作の一例を示した図である。
【図9】本実施形態の撮像装置における第2の撮影方法の動作の手順を示したフローチャートである。
【図10】本実施形態の撮像装置における第2の撮影方法の動作のタイミングを示したタイミングチャートである。
【図11】本実施形態の撮像装置における第3の撮影方法の動作の手順を示したフローチャートである。
【図12】本実施形態の撮像装置における第3の撮影方法の動作のタイミングを示したタイミングチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照して説明する。図1は、本実施形態における撮像装置の概略構成を示したブロック図である。図1に示した撮像装置10は、撮像部1と、システムコントローラ2と、記録部3と、シャッターボタン4と、表示部5と、設定スイッチ6と、発光部7と、を備えている。
【0025】
撮像部1は、レンズなどを介して入射された被写体光を画像信号に変換する、例えば、固体撮像素子を備え、システムコントローラ2からの制御に基づいて、変換した画像信号をシステムコントローラ2に出力する。
【0026】
システムコントローラ2は、撮像装置10内の各構成要素の制御を行う。また。システムコントローラ2は、撮像部1から入力された画像信号に対して、例えば、記録や表示をするための画像処理を行った画像データを生成する。また、システムコントローラ2は、撮像部1から入力された画像信号に対して画像合成処理を行った合成画像データを生成する。
【0027】
記録部3は、システムコントローラ2からの制御に基づいて、システムコントローラ2によって記録用の画像処理がされた画像データや、画像合成処理がされた合成画像データなどの記録用の画像データを、例えば、図示しないメモリカードなどの画像記録媒体に記録する。また、記録部3は、データを一時的に記憶する、例えば、DRAM(Dynamic Random Access Memory)などのメモリを備え、システムコントローラ2が画像処理や画像合成処理を行う際に生成される一時的な画像データを、一時記憶する。
【0028】
表示部5は、画像データを表示する、例えば、液晶などの表示装置を備え、システムコントローラ2からの制御に基づいて、システムコントローラ2によって表示用の画像処理がされた画像データや、画像合成処理がされた合成画像データなどの表示用の画像データを表示する。また、表示部5は、ユーザーに対して撮像装置10の操作の指示を促すための、例えば、メニュー画面なども表示する。
【0029】
シャッターボタン4は、ユーザーの操作に応じて、撮像装置10における撮影の開始の指示を、システムコントローラ2に通知する。
設定スイッチ6は、ユーザーの操作に応じて、撮像装置10の操作の内容を、システムコントローラ2に通知する。なお、本実施形態の撮像装置10においては、後述する撮影画像を選択する際にも、ユーザーによって操作される。ユーザーによる設定スイッチ6の操作の一例に関しては、後述する。
発光部7は、例えば、フラッシュなどの発光装置であり、システムコントローラ2からの制御に基づいて、被写体にフラッシュ光などを投光する。
【0030】
ここで、本実施形態の撮像装置10において、フラッシュ光を被写体に投光して撮影する撮影方法について説明する。図2は、本実施形態の撮像装置10におけるフラッシュ撮影動作の手順を示したフローチャートおよびタイミングを示したタイミングチャートである。なお、以下の説明においては、図2(a)に示したフローチャートを用いて、フラッシュ撮影の動作を説明し、適宜、図2(b)に示したタイミングチャートを参照する。なお、図2に示したフラッシュ撮影の動作は、従来の一般的なフラッシュ撮影の動作と同様である。
【0031】
ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を押下することによって、システムコントローラ2にフラッシュ撮影の開始が指示されると、まず、システムコントローラ2は、撮像部1に露光開始の指示を出力する(ステップS11)。また、システムコントローラ2は、撮像部1の露光開始に同期して、発光部7にフラッシュの発光の指示を出力する(ステップS12)。これにより、撮像部1が露光を開始し、発光部7がフラッシュ光を被写体に投光する(タイミングt11およびタイミングt12参照)。
【0032】
続いて、システムコントローラ2は、予め定めた露光時間が経過する、すなわち、露光期間が終了すると、撮像部1に露光終了の指示を出力する(ステップS13)。これにより、撮像部1は、露光を終了する(タイミングt13参照)。その後、システムコントローラ2は、撮像部1が露光した被写体光に応じた画像信号を読み出す(ステップS14)。
【0033】
続いて、システムコントローラ2は、撮像部1からの画像信号の読み出しが終了する(タイミングt14参照)と、読み出した画像信号を記録するための画像フォーマット(例えば、JPEG:Joint Photographic Experts Group)に変換する画像処理を行う(ステップS15)。なお、ステップS14で撮像部1から読み出した画像信号を記録部3に一時的に記憶し、ステップS15における画像処理において、記録部3に一時的に記憶している画像信号を読み出し、読み出した画像信号に対して画像処理を行う構成とすることもできる。また、ステップS15における画像処理において、一時的に生成された画像処理の途中の画像データを記録部3に一時的に記憶し、記録部3に一時的に記憶している画像処理の途中の画像データを読み出しながら画像処理を行う構成とすることもできる。
【0034】
続いて、システムコントローラ2は、画像処理を完了した記録用の画像データ(以下、「フラッシュ画像」という)を、記録部3に一時記憶(ステップS16)して、フラッシュ撮影の動作を完了する。
【0035】
上記に述べたような、フラッシュ撮影によって、被写体を十分に露光したフラッシュ画像を得ることができる。ところで、暗い場所で一般的なフラッシュ撮影を行うと、フラッシュの光が届く被写体は十分に露光することができるが、被写体の背景にはフラッシュの光が届かないため、十分に露光することができず、例えば、背景が暗いまたは黒つぶれした画像になってしまうことがある。このような場合に、スローシンクロ撮影を行うと、フラッシュ撮影における背景の黒つぶれを防止することができる。
【0036】
スローシンクロ撮影とは、暗い場所でフラッシュ撮影を行う場合に、被写体だけではなく背景も十分に露光したい場合や、被写体の動きを表現する際に用いられる撮影方法である。より具体的には、フラッシュ撮影のときに、露光時間を長くしたスローシャッターで撮影を行い、露光の開始もしくは露光の終了に同期させてフラッシュを発光させるという撮影方法である。露光の開始に同期させてフラッシュを発光させる撮影方法が先幕シンクロ撮影と呼ばれ、露光の終了に同期させてフラッシュを発光させる撮影方法が後幕シンクロ撮影と呼ばれている。
【0037】
スローシンクロ撮影では、フラッシュの光が届く被写体は、フラッシュ撮影と同様に十分に露光することができ、さらに、スローシャッターによる撮影によって、フラッシュの光が届かない背景もある程度の露光量を確保することができる。これにより、フラッシュ撮影における背景の黒つぶれを防止することができる。
【0038】
図3および図4は、本実施形態の撮像装置10におけるスローシンクロ撮影動作の手順を示したフローチャートおよびタイミングを示したタイミングチャートである。図3には、先幕シンクロ撮影の動作を示し、図4には、後幕シンクロ撮影の動作を示している。
【0039】
まず、図3に示した先幕シンクロ撮影の動作について説明する。なお、以下の説明においては、図3(a)に示したフローチャートを用いて、先幕シンクロ撮影の動作を説明し、適宜、図3(b)に示したタイミングチャートを参照する。
【0040】
ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を押下することによって、システムコントローラ2に先幕シンクロ撮影の開始が指示されると、まず、システムコントローラ2は、撮像部1に露光開始の指示を出力する(ステップS21)。また、システムコントローラ2は、撮像部1の露光開始に同期して、発光部7にフラッシュの発光の指示を出力する(ステップS22)。これにより、撮像部1が露光を開始し、発光部7がフラッシュ光を被写体に投光する(タイミングt21およびタイミングt22参照)。
【0041】
その後、システムコントローラ2は、所定の露光時間(スローシンクロ撮影の露光期間)だけ、撮像部1の露光終了の出力を待つ状態に入る(ステップS23)。なお、所定の露光時間は、ユーザーが決定した任意の時間を事前に設定することができるが、撮像部1に入射している光量や、撮影する被写体の速度などに応じて、システムコントローラ2が決定することもできる。
【0042】
そして、システムコントローラ2は、所定の露光時間が経過すると、撮像部1に露光終了の指示を出力する(ステップS24)。これにより、撮像部1は、露光を終了する(タイミングt23参照)。その後、システムコントローラ2は、撮像部1が露光した被写体光に応じた画像信号を読み出す(ステップS25)。
【0043】
続いて、システムコントローラ2は、撮像部1からの画像信号の読み出しが終了する(タイミングt24参照)と、読み出した画像信号を記録するための、例えば、JPEGフォーマットに変換する画像処理を行う(ステップS26)。なお、ステップS25およびステップS26におけるシステムコントローラ2の処理においては、図2に示したフラッシュ撮影の動作と同様に、画像信号や画像処理において一時的に生成される画像処理の途中の画像データを、記録部3に一時的に記憶して処理を行う構成とすることもできる。
【0044】
続いて、システムコントローラ2は、画像処理を完了した記録用の画像データ(以下、「先幕シンクロ画像」という)を、記録部3に一時記憶(ステップS27)して、先幕シンクロ撮影の動作を完了する。
【0045】
次に、図4に示した後幕シンクロ撮影の動作について説明する。なお、以下の説明においては、図4(a)に示したフローチャートを用いて、後幕シンクロ撮影の動作を説明し、適宜、図4(b)に示したタイミングチャートを参照する。
【0046】
ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を押下することによって、システムコントローラ2に後幕シンクロ撮影の開始が指示されると、まず、システムコントローラ2は、撮像部1に露光開始の指示を出力する(ステップS31)。これにより、撮像部1が露光を開始する(タイミングt31参照)。
【0047】
その後、システムコントローラ2は、所定の時間だけ、発光部7に出力するフラッシュの発光指示の出力を待つ状態に入る(ステップS32)。なお、所定の時間は、予め決定されたスローシンクロ撮影の露光時間から、発光部7におけるフラッシュの発光時間を差し引いた時間である。
【0048】
そして、システムコントローラ2は、所定の時間が経過すると、発光部7にフラッシュの発光の指示を出力する(ステップS33)。これにより、発光部7がフラッシュ光を被写体に投光する(タイミングt32参照)。
【0049】
また、システムコントローラ2は、発光部7によるフラッシュの発光に同期して、撮像部1に露光終了の指示を出力する(ステップS34)。これにより、撮像部1は、露光を終了する(タイミングt33参照)。その後、システムコントローラ2は、撮像部1が露光した被写体光に応じた画像信号を読み出す(ステップS35)。
【0050】
続いて、システムコントローラ2は、撮像部1からの画像信号の読み出しが終了する(タイミングt34参照)と、読み出した画像信号を記録するための、例えば、JPEGフォーマットに変換する画像処理を行う(ステップS36)。なお、ステップS35およびステップS36におけるシステムコントローラ2の処理においては、図2に示したフラッシュ撮影の動作および図3に示した先幕シンクロ撮影の動作と同様に、画像信号や画像処理において一時的に生成される画像処理の途中の画像データを、記録部3に一時的に記憶して処理を行う構成とすることもできる。
【0051】
続いて、システムコントローラ2は、画像処理を完了した記録用の画像データ(以下、「後幕シンクロ画像」という)を、記録部3に一時記憶(ステップS37)して、後幕シンクロ撮影の動作を完了する。
【0052】
上記に述べたような、スローシンクロ撮影によって、フラッシュ撮影における背景の黒つぶれを防止することができる。また、スローシンクロ撮影では、上述したように、動く被写体の軌跡を写し込んだ画像を得ることができる。例えば、夜間に走行している車をスローシンクロ撮影で撮影すると、被写体である車に加えて、車の移動に伴うヘッドライトの軌跡を捉えることができ、車の動きを表現した画像を得ることができる。先幕シンクロ撮影では、図5(a)に示したように、フラッシュ光が被写体である車に投光された後に、車が移動した軌跡を写し込んだ先幕シンクロ画像を得ることができる。また、後幕シンクロ撮影では、図5(b)に示したように、フラッシュ光が被写体である車に投光された前に、車が移動した軌跡を写し込んだ後幕シンクロ画像を得ることができる。このように、スローシンクロ撮影では、先幕シンクロ撮影で取得した画像と、後幕シンクロ撮影で取得した画像とで、印象の異なる画像、すなわち、異なる効果の画像を得ることができる。
【0053】
<第1の撮影方法>
次に、上記に述べた先幕シンクロ撮影および後幕シンクロ撮影を利用した、第1の撮影方法について説明する。図6は、本実施形態の撮像装置10における第1の撮影方法の動作の手順を示したフローチャートである。ユーザーによって、撮像装置10に本第1の撮影方法によるスローシンクロ撮影(以下、「第1のスローシンクロ撮影」という)を開始する旨の指示を受けると、システムコントローラ2は、第1のスローシンクロ撮影の動作を開始する。
【0054】
なお、システムコントローラ2に第1のスローシンクロ撮影動作を開始させるために行うユーザーによる指示の方法には、様々な方法が考えられる。例えば、撮像装置10の撮影モードの1つに本第1のスローシンクロ撮影を行うための「スローシンクロ撮影モード」を予め準備しておき、ユーザーが表示部5に表示されたメニュー画面から、設定スイッチ6の操作によって、「スローシンクロ撮影モード」を選択すると、システムコントローラ2が第1のスローシンクロ撮影の動作を開始する構成が考えられる。また、例えば、上述したメニュー画面からの「スローシンクロ撮影モード」の選択した後に、ユーザーがシャッターボタン4を半押しするなどの操作に応じて、ステムコントローラ2が第1のスローシンクロ撮影の動作を開始する構成も考えられる。
【0055】
第1のスローシンクロ撮影の動作が開始されると、まず、システムコントローラ2は、ユーザーによるシャッターボタン4の押下の監視を行う(ステップS110)。ステップS110におけるシャッターボタン4の押下の監視は、ユーザーによってシャッターボタン4が押下されるまで繰り返される(ステップS110の“NO”)。
【0056】
ステップS110におけるシャッターボタン4の押下の監視において、ユーザーによるシャッターボタン4の押下が確認される(ステップS110の“YES”)と、システムコントローラ2は、後幕シンクロ撮影を行う(ステップS120)。なお、ステップS120における後幕シンクロ撮影の動作は、図4に示した後幕シンクロ撮影の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。ただし、ステップS120における後幕シンクロ撮影の動作においては、図4に示した後幕シンクロ撮影の動作の内、ステップS31の露光開始〜ステップS35の画像読み出しまでの動作が行われる。そして、ステップS35においてシステムコントローラ2が撮像部1から読み出した画像信号は、記録部3に一時記憶する。
【0057】
これは、ステップS120の後幕シンクロ撮影において、撮像部1から画像信号を読み出した後、すぐに次の動作を開始できるようにするためである。すなわち、図4に示した後幕シンクロ撮影の動作における画像処理(ステップS36)は、画像信号を記録するために、例えば、JPEGフォーマットに変換する画像処理であるため、撮像部1から画像信号を読み出した後に、すぐ実行することができなくても問題がない処理である。そして、ステムコントローラ2が撮像部1から画像信号を読み出した後は、撮像部1は次の露光を開始することができる。このことにから、ステムコントローラ2は、撮像部1から読み出した画像信号を記録部3に一時記憶し、次の動作を開始する。
【0058】
ステップS120における後幕シンクロ撮影が完了する、すなわち、撮像部1からの画像信号の読み出しおよび記録部3への画像信号の一時記憶が完了すると、システムコントローラ2は、先幕シンクロ撮影を行う(ステップS130)。なお、ステップS130における先幕シンクロ撮影の動作は、図3に示した先幕シンクロ撮影の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。ただし、ステップS130における先幕シンクロ撮影の動作においては、図3に示した先幕シンクロ撮影の動作の内、ステップS26の画像処理〜ステップS27の一時記憶までの動作において、すでに記録部3に一時記憶している後幕シンクロ撮影で取得した画像信号に対しても処理を行う。
【0059】
より具体的には、後幕シンクロ撮影で取得した画像信号と、今回のステップS130において撮像部1から読み出した先幕シンクロ撮影の画像信号とのそれぞれに対して、例えば、JPEGフォーマットに変換する画像処理を、それぞれ行う。そして、画像処理を完了したそれぞれの記録用の画像データ(後幕シンクロ画像および先幕シンクロ画像)を、記録部3にそれぞれ一時記憶する。
【0060】
なお、記録部3に一時記憶している後幕シンクロ撮影で取得した画像信号に対する画像処理と、画像処理を完了した後幕シンクロ画像の記録部3への一時記憶の動作は、ステップS130における先幕シンクロ撮影の動作と並列して行うこともできる。例えば、システムコントローラ2が、ステップS130において撮像部1に先幕シンクロ撮影の露光開始の指示を出力した後に、すでに記録部3に一時記憶している後幕シンクロ撮影で取得した画像信号を読み出して、読み出した画像信号に対する画像処理を行うこともできる。
【0061】
ステップS130における先幕シンクロ撮影が完了した後、すなわち、記録用の後幕シンクロ画像と記録用の先幕シンクロ画像とが、記録部3に一時記憶された後、システムコントローラ2は、記録用の後幕シンクロ画像と記録用の先幕シンクロ画像とに対して表示用の画像処理を行った、表示用の後幕シンクロ画像と表示用の先幕シンクロ画像とを生成する。そして、システムコントローラ2は、表示用の後幕シンクロ画像と表示用の先幕シンクロ画像とを表示する旨の指示を、表示部5に出力する(ステップS140)。これにより、表示部5は、表示用の後幕シンクロ画像と表示用の先幕シンクロ画像とを表示する。
【0062】
その後、ユーザーは、表示部5に表示された表示用の後幕シンクロ画像または表示用の先幕シンクロ画像のいずれか1つの画像、または両方の画像を記録部3の画像記録媒体に記録するための指示を、設定スイッチ6の操作によって指示する。なお、本実施形態の撮像装置10における表示用の後幕シンクロ画像と表示用の先幕シンクロ画像との表示の一例、およびユーザーが画像記録媒体に記録する画像を選択するための設定スイッチ6の操作の一例に関しては、後述する。
【0063】
続いて、設定スイッチ6から、ユーザーによって選択された画像記録媒体に記録する画像の通知を受け付け(ステップS150)ると、システムコントローラ2は、選択された画像に対応した記録用の後幕シンクロ画像または記録用の先幕シンクロ画像のいずれか1つの画像、または両方の画像を選択する。そして、システムコントローラ2は、選択した記録用の後幕シンクロ画像または記録用の先幕シンクロ画像のいずれか1つの画像、または両方の画像を記録する旨の指示を、記録部3に出力する(ステップS160)。これにより、記録部3は、ユーザーによって選択された記録用の後幕シンクロ画像または記録用の先幕シンクロ画像のいずれか1つの画像、または両方の画像を、画像記録媒体に記録して、第1のスローシンクロ撮影の動作を完了する。
【0064】
次に、第1のスローシンクロ撮影における撮影のタイミングについて説明する。図7は、本実施形態の撮像装置10における第1の撮影方法(第1のスローシンクロ撮影)の動作のタイミングを示したタイミングチャートである。
【0065】
本第1のスローシンクロ撮影では、タイミングt100において撮影開始の指示がされる、すなわち、ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を押下(図6のステップS110)したことによってレリーズ信号が入力されると、システムコントローラ2は、後幕シンクロ撮影を行う(図6のステップS120)。その後、システムコントローラ2は、タイミングt101において後幕シンクロ撮影が完了すると、引き続き、先幕シンクロ撮影を行う(図6のステップS130)。その後、タイミングt102において先幕シンクロ撮影が完了すると、後幕シンクロ画像と先幕シンクロ画像とを生成する。
【0066】
このように、第1のスローシンクロ撮影では、ユーザーによる1回の撮影開始の指示、すなわち、ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を1回押下することによって、先幕シンクロ撮影と後幕シンクロ撮影との両方のスローシンクロ撮影を行う。そして、生成した先幕シンクロ撮影と後幕シンクロ撮影とから、画像記録媒体に記録する画像をユーザーが選択し、選択した画像を画像記録媒体に記録する。
【0067】
次に、第1のスローシンクロ撮影において画像記録媒体に記録する画像を選択する方法の一例について説明する。図8は、本実施形態の撮像装置10において撮影した先幕シンクロ画像と後幕シンクロ画像との表示の一例と、記録する画像を選択する操作の一例を示した図である。図8(a)は、表示部5に表示された表示用の後幕シンクロ画像と表示用の先幕シンクロ画像との表示の一例を示している。また、図8(b)および図8(c)は、画像記録媒体に記録する画像がユーザーによって選択された状態の表示の一例を示し、図8(a)には、先幕シンクロ画像が選択された場合の一例、図8(c)には、先幕シンクロ画像と後幕シンクロ画像とが選択された場合の一例をそれぞれ示している。
【0068】
上記に述べたように、システムコントローラ2は、後幕シンクロ撮影と先幕シンクロ撮影とが完了すると、記録用の後幕シンクロ画像と記録用の先幕シンクロ画像とを生成し、引き続き、表示用の後幕シンクロ画像と表示用の先幕シンクロ画像とを生成する。そして、図8(b)に示したように、表示用の後幕シンクロ画像と表示用の先幕シンクロ画像とを、表示部5に表示する。その後、ユーザーは、表示部5に表示された表示用の後幕シンクロ画像および表示用の先幕シンクロ画像から、記録部3の画像記録媒体に記録する画像を、設定スイッチ6を操作することによって指示する。
【0069】
なお、設定スイッチ6を操作することによって画像記録媒体に記録する画像を選択するために行うユーザーによる指示の方法には、様々な方法が考えられる。例えば、設定スイッチ6を予め定めた方向に押下する毎に、「先幕シンクロ画像の選択」と、「後幕シンクロ画像の選択」と、「先幕シンクロ画像および後幕シンクロ画像の選択」とに表示部5の表示が切り替わるようにしておき、画像記録媒体に記録する画像が選択されている表示のときに、設定スイッチ6の決定(OK)ボタンを押下する構成が考えられる。また、例えば、設定スイッチ6を予め定めた方向に押下すると、先幕シンクロ画像または後幕シンクロ画像が選択された状態に表示部5の表示が切り替わり、画像記録媒体に記録する画像が選択されている表示のときに、設定スイッチ6の決定(OK)ボタンを押下する構成も考えられる。
【0070】
上記に述べたように、本第1の撮影方法(第1のスローシンクロ撮影)では、ユーザーによる1回の撮影開始の指示、すなわち、ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を1回押下することによって、先幕シンクロ撮影と後幕シンクロ撮影との両方のスローシンクロ撮影を行うことができる。このことにより、本第1の撮影方法では、一般のユーザーでも失敗することなく容易に、先幕シンクロ画像および後幕シンクロ画像を得ることができる。
【0071】
また、本第1の撮影方法では、先に後幕シンクロ撮影を行い、続いて、先幕シンクロ撮影を行う。これにより、後幕シンクロ撮影におけるフラッシュの発光と、先幕シンクロ撮影におけるフラッシュの発光との間隔を短くすることができ、後幕シンクロ画像と先幕シンクロ画像に撮影された十分な露光量の被写体の位置を、ほぼ同じ位置にすることができる。このことにより、ユーザーが後幕シンクロ画像と先幕シンクロ画像との差を容易に認識することができ、記録する画像を容易に判断することができる。
【0072】
なお、本第1の撮影方法では、後幕シンクロ撮影と先幕シンクロ撮影とにおいてフラッシュを発光する。例えば、図7に示した第1のスローシンクロ撮影動作のタイミングチャートにおいては、システムコントローラ2は、タイミングt101において後幕シンクロ撮影が完了する前のタイミングと、先幕シンクロ撮影を開始するタイミングとにおいて、フラッシュを2回発光させる。しかし、例えば、後幕シンクロ撮影においてフラッシュの発光を開始するタイミングから先幕シンクロ撮影においてフラッシュの発光が終了するタイミングまで被写体に投光することができる場合には、この期間被写体への投光を行う構成とすることもできる。
【0073】
なお、本第1の撮影方法では、ユーザーが撮影開始を指示した後、後幕シンクロ撮影においてフラッシュを発光させるタイミングは、システムコントローラ2が制御している。しかし、ユーザー毎に所望の被写体の位置があるため、ユーザーにとっては、十分な露光量の被写体の位置を決定することができることが望ましい。すなわち、被写体がユーザーの所望する位置にあるときに、フラッシュが発光することが望ましい。
【0074】
<第2の撮影方法>
次に、上記に述べたフラッシュ撮影を利用したスローシンクロ撮影である第2の撮影方法について説明する。図9は、本実施形態の撮像装置10における第2の撮影方法の動作の手順を示したフローチャートである。ユーザーによって、撮像装置10に本第2の撮影方法によるスローシンクロ撮影(以下、「第2のスローシンクロ撮影」という)を開始する旨の指示を受けると、システムコントローラ2は、第2のスローシンクロ撮影の動作を開始する。
【0075】
なお、システムコントローラ2に第2のスローシンクロ撮影動作を開始させるために行うユーザーによる指示の方法には、様々な方法が考えられるが、その方法は、図6に示した第1のスローシンクロ撮影と同様に考えることができるため、詳細な説明は省略する。
【0076】
第2のスローシンクロ撮影の動作が開始されると、まず、システムコントローラ2は、短い露光時間での撮影を行う(ステップS210)。ステップS210における短い露光時間での撮影の動作では、まず、システムコントローラ2が、撮像部1に露光開始の指示を出力する。その後、システムコントローラ2は、予め定めた露光時間が経過する、すなわち、露光期間が終了すると、撮像部1に露光終了の指示を出力し、撮像部1が露光した被写体光に応じた画像信号を読み出す。
【0077】
なお、ステップS210の短い露光時間での撮影における予め定めた露光時間は、スローシンクロ撮影における露光時間よりも短い時間である。例えば、フラッシュ光を被写体に投光せずに撮影する通常の撮影において設定される露光時間や、フラッシュ撮影において設定される露光時間(ただし、フラッシュの発光は行わない)などである。また、例えば、撮像部1が露光することができる最も短い露光時間に設定することもできる。
【0078】
なお、ステップS210の1回の撮影動作によって撮像部1が露光した被写体光に応じた画像信号からは、全体的に暗い画像しか得られない場合もある。しかし、本第2のスローシンクロ撮影においては、後述するように、複数の画像を合成する。これにより、合成した画像の合計枚数に応じて露光時間を変えることができる。すなわち、合成したそれぞれの画像の露光時間の合計時間を、最終的な露光時間とすることができる。
【0079】
続いて、システムコントローラ2は、撮像部1から読み出した画像信号を、記録部3に一時記憶する(ステップS211)。そして、システムコントローラ2は、ユーザーによるシャッターボタン4の押下があるか否かを判断する(ステップS212)。ステップS212の判断の結果、ユーザーによるシャッターボタン4の押下がない場合(ステップS212の“NO”)には、ステップS210に戻って、短い露光時間での撮影、撮像部1から読み出した画像信号の記録部3への一時記憶、およびユーザーによるシャッターボタン4の押下があるか否かの判断を、ユーザーによってシャッターボタン4が押下されるまで繰り返す。
【0080】
また、ユーザーによるシャッターボタン4の押下がされた場合、ステップS212の判断の結果は“YES”となり、システムコントローラ2は、フラッシュ撮影を行う(ステップS220)。なお、ステップS220におけるフラッシュ撮影の動作は、図2に示したフラッシュ撮影の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。ただし、ステップS220におけるフラッシュ撮影の動作においては、図2に示したフラッシュ撮影の動作の内、ステップS11の露光開始〜ステップS14の画像読み出しまでの動作が行われる。そして、ステップS14においてシステムコントローラ2が撮像部1から読み出した画像信号は、記録部3に一時記憶する。
【0081】
これは、ステップS220のフラッシュ撮影において、撮像部1から画像信号を読み出した後、すぐに次の動作を開始できるようにするためである。すなわち、図2に示したフラッシュ撮影の動作における画像処理(ステップS15)は、画像信号を記録するために、例えば、JPEGフォーマットに変換する画像処理であるため、撮像部1から画像信号を読み出した後に、すぐ実行することができなくても問題がない処理である。そして、ステムコントローラ2が撮像部1から画像信号を読み出した後は、撮像部1は次の露光を開始することができる。このことにから、ステムコントローラ2は、撮像部1から読み出した画像信号を記録部3に一時記憶し、次の動作を開始する。
【0082】
ステップS220におけるフラッシュ撮影が完了、すなわち、撮像部1からの画像信号の読み出しおよび記録部3への画像信号の一時記憶が完了すると、システムコントローラ2は、短い露光時間での撮影を再び行う(ステップS230)。ステップS230における短い露光時間での撮影の動作および予め定めた露光時間は、ステップS210における短い露光時間での撮影の動作および露光時間と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0083】
続いて、システムコントローラ2は、撮像部1から読み出した画像信号を、記録部3に一時記憶する(ステップS231)。そして、システムコントローラ2は、予め定めた所定回数の撮影が完了したか否かを判断する(ステップS232)。ステップS232の判断の結果、所定回数の撮影が完了していない場合(ステップS232の“NO”)には、ステップS230に戻って、短い露光時間での撮影、撮像部1から読み出した画像信号の記録部3への一時記憶、および所定回数の撮影が完了したか否かの判断を、所定回数の撮影が完了するまで繰り返す。
【0084】
なお、ステップS232における予め定めた所定の回数は、スローシンクロ撮影における露光時間に基づいて決定される。すなわち、所定の回数は、ステップS232における短い露光時間で得られる画像信号を合成することによって得られる最終的な露光時間が、スローシンクロ撮影における露光時間と同じ露光時間となるために必要な画像の枚数が設定される。なお、スローシンクロ撮影における露光時間の決定方法は、第1のスローシンクロ撮影と同様に、ユーザーが事前に設定した任意の露光時間にすることができるが、撮像部1に入射している光量や、撮影する被写体の速度などに応じて、システムコントローラ2が決定することもできる。
【0085】
また、予め定めた所定回数の撮影が完了した場合、ステップS232の判断の結果は“YES”となり、システムコントローラ2は、記録部3に一時記録されているそれぞれの画像信号の画像合成処理を行う(ステップS240)。システムコントローラ2は、ステップS240における画像合成処理によって、記録用の後幕シンクロ画像(以下、「合成後幕シンクロ画像」という)と記録用の先幕シンクロ画像(以下、「合成先幕シンクロ画像」という)とを生成し、記録部3にそれぞれ一時記憶する。
【0086】
より具体的には、システムコントローラ2が画像合成処理によって合成後幕シンクロ画像を生成する場合には、ステップS220のフラッシュ撮影で取得した画像信号と、ステップS210の短い露光時間での撮影で取得した複数の画像信号との合成を行う。また、システムコントローラ2が画像合成処理によって合成先幕シンクロ画像を生成する場合には、ステップS220のフラッシュ撮影で取得した画像信号と、ステップS230の短い露光時間での撮影で取得した複数の画像信号との合成を行う。
【0087】
なお、画像合成処理によって合成するステップS210の短い露光時間での撮影またはステップS230の短い露光時間での撮影で取得した画像信号の数、すなわち、画像合成に用いる画像の枚数は、画像合成処理した後の画像が適正露光になるように、システムコントローラ2が決定する。ここで、適正露光とは、画像合成処理した後の画像の主要の被写体に、白飛びおよび黒つぶれが発生しない状態の露光量である。なお、上述したように、画像合成に用いた画像を撮影したときのそれぞれの露光時間の合計が、画像合成処理した後の画像の最終的な露光時間となる。
【0088】
ステップS240の画像合成処理が完了した後、すなわち、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とが、記録部3に一時記憶された後、システムコントローラ2は、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とに対して表示用の画像処理を行った、表示用の合成後幕シンクロ画像と表示用の合成先幕シンクロ画像とを生成する。そして、システムコントローラ2は、表示用の合成後幕シンクロ画像と表示用の合成先幕シンクロ画像とを表示する旨の指示を、表示部5に出力する(ステップS250)。これにより、表示部5は、表示用の合成後幕シンクロ画像と表示用の合成先幕シンクロ画像とを表示する。
【0089】
その後、ユーザーは、表示部5に表示された表示用の合成後幕シンクロ画像または表示用の合成先幕シンクロ画像のいずれか1つの画像、または両方の画像を記録部3の画像記録媒体に記録するための指示を、設定スイッチ6の操作によって指示する。なお、表示用の合成後幕シンクロ画像と表示用の合成先幕シンクロ画像との表示、およびユーザーが画像記録媒体に記録する画像を選択するための設定スイッチ6の操作は、第1のスローシンクロ撮影における表示および操作と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0090】
続いて、システムコントローラ2は、図6に示した第1のスローシンクロ撮影におけるステップS150と同様に、設定スイッチ6から、ユーザーによって選択された画像記録媒体に記録する画像の通知を受け付けると、選択された画像に対応した合成後幕シンクロ画像または合成先幕シンクロ画像のいずれか1つの画像、または両方の画像を選択する(ステップS260)。
【0091】
そして、システムコントローラ2は、図6に示した第1のスローシンクロ撮影におけるステップS160と同様に、選択した合成後幕シンクロ画像または合成先幕シンクロ画像のいずれか1つの画像、または両方の画像を記録する旨の指示を、記録部3に出力する(ステップS270)。これにより、記録部3は、ユーザーによって選択された合成後幕シンクロ画像または合成先幕シンクロ画像のいずれか1つの画像、または両方の画像を、画像記録媒体に記録して、第2のスローシンクロ撮影の動作を完了する。
【0092】
次に、第2のスローシンクロ撮影における撮影のタイミングについて説明する。図10は、本実施形態の撮像装置10における第2の撮影方法(第2のスローシンクロ撮影)の動作のタイミングを示したタイミングチャートである。
【0093】
本第2のスローシンクロ撮影では、第2のスローシンクロ撮影の動作が開始されると、システムコントローラ2は、タイミングt200から、短い露光時間での撮影1を行う(図9のステップS210)。そして、予め定めた短い露光時間が経過すると、タイミングt201において、システムコントローラ2は、撮像部1から画像信号を読み出し、記録部3に一時記憶する(図9のステップS211)。以降、短い露光時間での撮影と、撮像部1からの画像信号の読み出しと、記録部3への一時記憶とを、ユーザーによってシャッターボタン4が押下されるまで繰り返す。この期間の短い露光時間での撮影で取得した複数の画像信号は、その後の画像合成処理において、合成後幕シンクロ画像を生成するための画像信号となる。
【0094】
その後、タイミングt202から開始した短い露光時間での撮影Nが完了したときに、タイミングt203において撮影開始の指示がされる、すなわち、ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を押下(図9のステップS212の“YES”)したことによってレリーズ信号が入力されると、システムコントローラ2は、フラッシュ撮影を行う(図9のステップS220)。
【0095】
その後、フラッシュ撮影において撮像部1からの画像信号の読み出しおよび記録部3への画像信号の一時記憶が完了すると、システムコントローラ2は、タイミングt204から、再び短い露光時間での撮影N+1を行う(図9のステップS230)。そして、予め定めた短い露光時間が経過すると、タイミングt205において、システムコントローラ2は、撮像部1から画像信号を読み出し、記録部3に一時記憶する(図9のステップS231)。以降、短い露光時間での撮影と、撮像部1からの画像信号を読み出しと、記録部3への一時記憶とを、予め定めた所定の回数繰り返す。この期間の短い露光時間での撮影で取得した複数の画像信号は、その後の画像合成処理において、合成先幕シンクロ画像を生成するための画像信号となる。
【0096】
そして、タイミングt206から開始した予め定めた所定回数の短い露光時間での撮影N+Mがタイミングt207で完了(図9のステップS232の“YES”)すると、システムコントローラ2は、記録部3に一時記録されているそれぞれの画像信号を用いて、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成する。
【0097】
このように、第2のスローシンクロ撮影では、ユーザーによる1回の撮影開始の指示、すなわち、ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を1回押下することによって、フラッシュ撮影を行う。そして、フラッシュ撮影の前後に一時記憶した画像信号を用いて、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成する。そして、生成した合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とから、画像記録媒体に記録する画像をユーザーが選択し、選択した画像を画像記録媒体に記録する。
【0098】
上記に述べたように、本第2のスローシンクロ撮影においては、後幕シンクロ画像と先幕シンクロ画像とを、システムコントローラ2による画像合成処理によって生成している。そして、システムコントローラ2は、画像合成処理した後の画像が適正露光になるように、画像合成に用いる画像の枚数を決定している。また、本第2のスローシンクロ撮影においては、ユーザーからの指示に応じて、画像合成に用いる画像の枚数を増減することもできる。
【0099】
図10に示した第2のスローシンクロ撮影のタイミングチャートでは、最大で、フラッシュ撮影で取得した画像信号と、短い露光時間での撮影1〜撮影Nで取得したN枚の画像信号とを用いた合成後幕シンクロ画像を生成することができる。また、図10に示した第2のスローシンクロ撮影のタイミングチャートでは、最大で、フラッシュ撮影で取得した画像信号と、短い露光時間での撮影N+1〜撮影N+Mで取得したM枚の画像信号とを用いた合成先幕シンクロ画像を生成することができる。
【0100】
ユーザーによる画像合成に用いる画像の枚数を増減は、例えば、図9に示した本第2のスローシンクロ撮影のフローチャートにおいて、ステップS240〜ステップS260の動作と同様の動作を繰り返すことによって行うことができる。以下にその一例を説明する。ただし、以下の説明においては、ステップS240〜ステップS260の動作と同様の動作を、ステップS241〜ステップS261として説明する。
【0101】
まず、システムコントローラ2は、ステップS241において、画像合成処理した後の画像が適正露光になるように決定した画像の枚数に基づいて、スローシンクロ撮影において基準となる基準合成後幕シンクロ画像と基準合成先幕シンクロ画像として生成し、記録部3にそれぞれ一時記憶する。
【0102】
続いて、システムコントローラ2は、ステップS251において、基準合成後幕シンクロ画像と基準合成先幕シンクロ画像とに対して表示用の画像処理を行った、表示用の基準合成後幕シンクロ画像と表示用の基準合成先幕シンクロ画像とを生成する。そして、システムコントローラ2は、表示用の基準合成後幕シンクロ画像と表示用の基準合成先幕シンクロ画像とを表示する旨の指示を、表示部5に出力する。これにより、表示部5は、表示用の基準合成後幕シンクロ画像と表示用の基準合成先幕シンクロ画像とを表示する。
【0103】
その後、ユーザーは、表示部5に表示された表示用の基準合成後幕シンクロ画像および表示用の基準合成先幕シンクロ画像を確認し、例えば、設定スイッチ6を操作して、画像合成処理に用いる画像枚数の増減を指示する。
【0104】
続いて、システムコントローラ2は、ステップS261において、設定スイッチ6から画像合成処理に用いる画像枚数を増減するユーザーの指示に応じた通知を受け付けると、ステップS241に戻って、ユーザーの指示に応じた増減後の画像枚数での合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成し、記録部3に一時記憶する。なお、ユーザーによる画像枚数の増減の指示が基準合成後幕シンクロ画像または基準合成先幕シンクロ画像のいずれか一方の合成画像に対する指示である場合には、指示された合成画像に対応する合成後幕シンクロ画像または合成先幕シンクロ画像を生成し、指示されていない他方の合成画像は変更しない構成にすることもできる。
【0105】
続いて、システムコントローラ2は、ステップS251において、ユーザーの指示に応じた増減後の画像枚数での合成画像に対して表示用の画像処理を行った、表示用の合成画像を生成し、表示部5に表示用の合成画像を表示する旨の指示を出力する。これにより、表示部5は、ユーザーの指示に応じた増減後の画像枚数で画像合成処理した表示用の合成画像を表示する。
【0106】
その後、ユーザーは、表示部5に表示された増減後の画像枚数で画像合成処理した表示用の合成画像を確認し、さらに画像合成処理に用いる画像枚数を増減する場合には、同様に、設定スイッチ6を操作して、画像合成処理に用いる画像枚数の増減を指示する。また、画像記録媒体に記録する場合には、記録する合成画像を選択するための設定スイッチ6の操作を行う。
【0107】
続いて、システムコントローラ2は、ステップS261において、設定スイッチ6から、画像合成処理に用いる画像枚数を増減するユーザーの指示に応じた通知を受け付けると、同様に、ユーザーの指示に応じた増減後の画像枚数での合成画像の生成、記録部3への一時記憶(ステップS241)と、表示用の合成画像の生成および表示部5への表示用の合成画像の表示の指示(ステップS251)と、ユーザーの指示の受け付け(ステップS261)とを、ユーザーが記録する画像の選択が完了するまで繰り返す。すなわち、システムコントローラ2は、ユーザーによる画像枚数の増減の調整が終了するまで、ユーザーの指示に応じた増減後の画像枚数での画像合成処理を繰り返す。
【0108】
また、システムコントローラ2は、ステップS261において、設定スイッチ6から、ユーザーによって記録する合成画像の選択が完了した、すなわち、ユーザーによる画像枚数の増減の調整が終了した通知を受け付けると、直前のユーザーの指示に応じた増減後の画像枚数による画像合成処理で生成した合成画像を記録する旨の指示を、記録部3に出力する。これにより、記録部3は、ユーザーによって選択された合成画像を画像記録媒体に記録する。このように、ユーザーは、生成された合成画像の露光の状態を確認しながら、画像合成処理によって合成する画像の枚数を決定することができる。
【0109】
上記に述べたように、本第2の撮影方法(第2のスローシンクロ撮影)では、ユーザーによる撮影開始の指示によって、1回のフラッシュ撮影を行う。これにより、ユーザーがシャッターボタン4を押下したタイミングと、フラッシュ撮影のタイミングとを一致させることができる。
【0110】
また、本第2の撮影方法では、フラッシュ撮影で取得した画像信号と、フラッシュ撮影の前後の短い露光時間での撮影で取得した画像信号を用いて、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成することができる。これにより、本第2の撮影方法では、一般のユーザーでも失敗することなく容易に、先幕シンクロ画像および後幕シンクロ画像と同様のスローシンクロ撮影画像を得ることができる。
【0111】
また、本第2の撮影方法では、画像合成に用いる画像の枚数の増減を、ユーザーが指示することができる。これにより、ユーザーは、露光状態を確認しながら、画像合成に用いる画像の枚数を決定することができる。例えば、夜間に走行している車を本第2の撮影方法で撮影した場合、画像合成に用いる画像の枚数の増減によって、露光時間を調整することができるので、ヘッドライトの軌跡の長さを調整することができるなど、被写体の背景の明部の効果を、撮影後に調整することができる。
【0112】
<第3の撮影方法>
次に、上記に述べたフラッシュ撮影を利用したスローシンクロ撮影である第3の撮影方法について説明する。図11は、本実施形態の撮像装置10における第3の撮影方法の動作の手順を示したフローチャートである。本第3の撮影方法によるスローシンクロ撮影(以下、「第3のスローシンクロ撮影」という)は、図9に示した第2のスローシンクロ撮影のステップS220におけるフラッシュ撮影を、複数回行う撮影方法である。従って、図9に示した第2のスローシンクロ撮影と同様の動作については、詳細な説明を省略する。
【0113】
ユーザーによって、撮像装置10に第3のスローシンクロ撮影を開始する旨の指示を受けると、システムコントローラ2は、第3のスローシンクロ撮影の動作を開始する。第3のスローシンクロ撮影の動作が開始されると、システムコントローラ2は、図9に示した第2のスローシンクロ撮影におけるステップS210〜ステップS212と同様に、短い露光時間での撮影(ステップS310)、撮像部1から読み出した画像信号の記録部3への一時記憶(ステップS311)、ユーザーによるシャッターボタン4の押下の判断(ステップS312)を行う。ユーザーによるシャッターボタン4の押下がない場合(ステップS312の“NO”)には、図9に示した第2のスローシンクロ撮影と同様に、ステップS310に戻って、短い露光時間での撮影、撮像部1から読み出した画像信号の記録部3への一時記憶、およびユーザーによるシャッターボタン4の押下の判断を、ユーザーによってシャッターボタン4が押下されるまで繰り返す。
【0114】
ユーザーによってシャッターボタン4が押下されると、ステップS312の判断の結果は“YES”となり、システムコントローラ2は、少ない発光量のフラッシュ撮影を行う(ステップS320)。ステップS310における少ない発光量のフラッシュ撮影の動作では、システムコントローラ2は、通常のフラッシュ撮影のときよりも弱い、予め定めた光量で同期発光するように、発光部7に指示を出力する。これにより、発光部7は、通常のフラッシュ撮影時の光量よりも弱いフラッシュ発光を行う。なお、少ない発光量のフラッシュ撮影の動作は、フラッシュの発光量が異なるのみで、その他の動作は、図2に示したフラッシュ撮影の動作と同様であるため、詳細な説明は省略する。その後、システムコントローラ2は、少ない発光量のフラッシュ撮影で撮像部1が露光した被写体光に応じた画像信号を、撮像部1から読み出して記録部3に一時記憶する。
【0115】
続いて、システムコントローラ2は、予め定めた所定回数の少ない発光量のフラッシュ撮影が完了したか否かを判断する(ステップS321)。ステップS321の判断の結果、所定回数の少ない発光量のフラッシュ撮影が完了していない場合(ステップS321の“NO”)には、ステップS320に戻って、少ない発光量のフラッシュ撮影と、撮像部1から読み出した画像信号の記録部3への一時記憶、および所定回数の少ない発光量のフラッシュ撮影が完了したか否かの判断を、所定回数の少ない発光量のフラッシュ撮影が完了するまで繰り返す。
【0116】
また、予め定めた所定回数の少ない発光量のフラッシュ撮影が完了した場合、ステップS321の判断の結果は“YES”となり、システムコントローラ2は、図9に示した第2のスローシンクロ撮影におけるステップS230〜ステップS232と同様に、再び、短い露光時間での撮影(ステップS330)、撮像部1から読み出した画像信号の記録部3への一時記憶(ステップS331)、予め定めた所定回数の撮影が完了したか否かの判断(ステップS332)を行う。所定回数の撮影が完了していない場合(ステップS332の“NO”)には、図9に示した第2のスローシンクロ撮影と同様に、ステップS330に戻って、短い露光時間での撮影、撮像部1から読み出した画像信号の記録部3への一時記憶、および所定回数の撮影が完了したか否かの判断を、所定回数の撮影が完了するまで繰り返す。
【0117】
予め定めた所定回数の撮影が完了すると、ステップS332の判断の結果は“YES”となり、システムコントローラ2は、記録部3に一時記録されているそれぞれの画像信号の画像合成処理を行う(ステップS340)。システムコントローラ2は、ステップS340における画像合成処理によって、図9に示した第2のスローシンクロ撮影におけるステップS240と同様に、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成し、記録部3にそれぞれ一時記憶する。
【0118】
ただし、ステップS340における画像合成処理では、フラッシュ撮影時の画像信号が、少ない発光量のフラッシュ撮影における複数の画像信号になっているため、システムコントローラ2は、合成後幕シンクロ画像および合成先幕シンクロ画像を生成する際に、少ない発光量のフラッシュ撮影における複数の画像信号の画像合成処理も併せて行う。以下の説明においては、画像合成処理によって生成されるフラッシュ画像を、「合成フラッシュ画像」という。
【0119】
なお、画像合成処理によって合成するステップS320の少ない発光量のフラッシュ撮影で取得した画像信号の数、すなわち、合成フラッシュ画像の画像合成に用いるフラッシュ画像の枚数は、画像合成処理した後の合成フラッシュ画像の露光量がオーバーフローしない範囲の枚数を、システムコントローラ2が決定する。ここで、オーバーフローしない露光量とは、画像合成処理した後の合成フラッシュ画像の主要の被写体に、白飛びが発生しない状態の露光量である。なお、画像合成に用いたフラッシュ画像を撮影したときのそれぞれの露光時間の合計が、画像合成処理した後の合成フラッシュ画像の最終的な露光時間となる。
【0120】
ステップS340の画像合成処理が完了した後、すなわち、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とが、記録部3に一時記憶された後、システムコントローラ2は、図9に示した第2のスローシンクロ撮影におけるステップS350〜ステップS370と同様に、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像との表示部5への表示(ステップS350)、ユーザーによって選択された画像記録媒体に記録する画像の選択(ステップS360)、選択した画像の画像記録媒体への記録(ステップS370)を行い、第3のスローシンクロ撮影の動作を完了する。
【0121】
次に、第3のスローシンクロ撮影における撮影のタイミングについて説明する。図12は、本実施形態の撮像装置10における第3の撮影方法(第3のスローシンクロ撮影)の動作のタイミングを示したタイミングチャートである。
【0122】
本第3のスローシンクロ撮影では、第3のスローシンクロ撮影の動作が開始されると、タイミングt300〜タイミングt303において、システムコントローラ2は、図10に示した第2のスローシンクロ撮影のタイミングチャートにおけるタイミングt200〜タイミングt203と同様に、短い露光時間での撮影1〜撮影Nを行う(図11のステップS310〜ステップS312)。この期間の短い露光時間での撮影で取得した複数の画像信号は、その後の画像合成処理において、合成後幕シンクロ画像を生成するための画像信号となる。
【0123】
その後、タイミングt302から開始した短い露光時間での撮影Nが完了したタイミングt303のときに、ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を押下(図11のステップS312の“YES”)したことによってレリーズ信号が入力されると、システムコントローラ2は、少ない発光量のフラッシュ撮影1を行う(図11のステップS320)。そして、予め定めたフラッシュ撮影の露光時間が経過すると、タイミングt304において、システムコントローラ2は、少ない発光量のフラッシュ撮影で撮像部1が露光した被写体光に応じた画像信号を、撮像部1から読み出して記録部3に一時記憶する。以降、少ない発光量のフラッシュ撮影と、撮像部1からの画像信号を読み出しと、記録部3への一時記憶とを、予め定めた所定の回数繰り返す。この期間の少ない発光量のフラッシュ撮影で取得した複数の画像信号は、その後の画像合成処理において、合成フラッシュ画像を生成するための画像信号となる。
【0124】
その後、タイミングt305から開始した予め定めた所定回数の少ない発光量のフラッシュ撮影Lがタイミングt306で完了(図11のステップS321の“YES”)すると、タイミングt306〜タイミングt309において、システムコントローラ2は、図10に示した第2のスローシンクロ撮影のタイミングチャートにおけるタイミングt204〜タイミングt207と同様に、再び短い露光時間での撮影N+1〜撮影N+Mを行う(図11のステップS330〜ステップS332)。この期間の短い露光時間での撮影で取得した複数の画像信号は、その後の画像合成処理において、合成先幕シンクロ画像を生成するための画像信号となる。
【0125】
そして、タイミングt308から開始した予め定めた所定回数の短い露光時間での撮影N+Mがタイミングt309で完了(図11のステップS332の“YES”)すると、システムコントローラ2は、記録部3に一時記録されているそれぞれの画像信号を用いて、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成する。
【0126】
このように、第3のスローシンクロ撮影では、ユーザーによる1回の撮影開始の指示、すなわち、ユーザーが撮像装置10のシャッターボタン4を1回押下することによって、少ない発光量のフラッシュ撮影を行って複数の画像信号を取得する。そして、一時記憶した複数の画像信号を用いて、合成フラッシュ画像を生成する。また、第3のスローシンクロ撮影では、生成した合成フラッシュ画像と、フラッシュ撮影の前後に一時記憶した画像信号を用いて、合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成する。これにより、第3のスローシンクロ撮影では、被写体の背景のみではなく、フラッシュ光が投光される被写体の露光時間も変えた合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成することができる。
【0127】
上記に述べたように、本第3のスローシンクロ撮影においては、フラッシュ画像を、システムコントローラ2による画像合成処理によって生成している。そして、システムコントローラ2は、画像合成処理した後の合成フラッシュ画像の露光量がオーバーフローしないように、合成画像に用いるフラッシュ画像の枚数を決定している。このため、本第3のスローシンクロ撮影においては、ユーザーからの指示に応じて、合成画像に用いるフラッシュ画像の枚数を増減することもできる。
【0128】
図12に示した第3のスローシンクロ撮影のタイミングチャートでは、最大で、フラッシュ撮影1〜フラッシュ撮影Lで取得したL枚の画像信号を用いて合成フラッシュ画像を生成することができる。そして、合成フラッシュ画像と、短い露光時間での撮影1〜撮影Nで取得したN枚の画像信号とを用いた合成後幕シンクロ画像を生成することができる。また、合成フラッシュ画像と、短い露光時間での撮影N+1〜撮影N+Mで取得したM枚の画像信号とを用いた合成先幕シンクロ画像を生成することができる。
【0129】
図12に示した第3のスローシンクロ撮影のタイミングチャートでは、最小で、フラッシュ撮影1〜フラッシュ撮影Lのいずれか1回のフラッシュ撮影で取得した1枚の画像信号を、合成フラッシュ画像とすることができる。そして、例えば、フラッシュ撮影1で取得した1枚の画像信号と、短い露光時間での撮影1〜撮影Nで取得したN枚の画像信号とを用いた合成後幕シンクロ画像を生成することができる。また、例えば、フラッシュ撮影Lで取得した1枚の画像信号と、短い露光時間での撮影N+1〜撮影N+Mで取得したM枚の画像信号とを用いた合成先幕シンクロ画像を生成することができる。また、例えば、少ない発光量のフラッシュ撮影を行う期間の中心のタイミングで撮影されたL/2回目のフラッシュ撮影L/2で取得した1枚の画像信号と、短い露光時間での撮影1〜撮影Nで取得したN枚の画像信号とを用いて合成後幕シンクロ画像を生成することや、フラッシュ撮影L/2で取得した1枚の画像信号と、短い露光時間での撮影N+1〜撮影N+Mで取得したM枚の画像信号とを用いて合成先幕シンクロ画像を生成することもできる。
【0130】
なお、ユーザーからの指示に応じて、合成フラッシュ画像の合成画像に用いるフラッシュ画像の枚数を増減する方法は、第2のスローシンクロ撮影において合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成する際に画像枚数を増減する方法と同様に考えることができるため、詳細な説明は省略する。
【0131】
上記に述べたように、本第3の撮影方法(第3のスローシンクロ撮影)では、ユーザーによる撮影開始が指示されたタイミングで、少ない発光量のフラッシュ撮影を複数回行う。これにより、被写体の背景のみではなく、フラッシュ光が投光される被写体の露光時間も変えた合成後幕シンクロ画像と合成先幕シンクロ画像とを生成することができる。また、本第3の撮影方法では、画像合成に用いる画像の枚数の増減を、ユーザーが指示することができる。これにより、ユーザーは、被写体および背景の露光状態を確認しながら、画像合成に用いる画像の枚数を決定することができる。このことにより、本第3の撮影方法では、一般のユーザーでも失敗することなく容易に、先幕シンクロ画像および後幕シンクロ画像と同様のスローシンクロ撮影画像を得ることができ、被写体の白飛びの防止と、背景の明部の効果とを、撮影後に調整することができる。
【0132】
上記に述べたとおり、本発明を実施するための形態によれば、ユーザーによる1回の撮影開始の指示に応じて、一般のユーザーでも失敗することなく容易に、先幕シンクロ画像および後幕シンクロ画像と同様のスローシンクロ撮影画像を得ることができる。
【0133】
また、本発明を実施するための形態によれば、フラッシュ撮影で取得した画像信号とフラッシュ撮影の前後の撮影で取得した画像信号とを、一時記憶しておく。これにより、先幕シンクロ画像および後幕シンクロ画像を生成する際の画像合成に用いる画像の枚数を増減することができる。これにより、先幕シンクロ画像および後幕シンクロ画像における効果を、撮影後に調整することができる。
【0134】
なお、本実施形態においては、それぞれの撮影で取得した画像信号に対して、ます、記録用の画像処理を行い、その後、記録用の画像処理を行った画像に対して表示用の画像処理を行って表示部5に表示する場合について説明したが、表示部5に画像を表示する方法は、本発明を実施するための形態に限定されるものではない。例えば、それぞれの撮影で取得した画像信号に対して、ます、表示用の画像処理を行って表示部5に表示し、ユーザーによって画像記録媒体に記録する画像が選択された後に、選択された画像に対応する画像信号に対して記録用の画像処理を行って、画像記録媒体に記録することもできる。
【0135】
また、本実施形態においては、撮像装置内のシステムコントローラが、記録や表示用の画像処理、画像合成処理など、全ての処理を行う構成について説明したが、撮像装置の構成は、本発明を実施するための形態に限定されるものではない。例えば、記録や表示用の画像処理を行う画像処理部と、画像合成を行う画像処理部とをそれぞれ備え、システムコントローラの指示に応じて、それぞれの画像処理部が処理する構成とすることもできる。
【0136】
なお、図1に示した撮像装置10内の各構成要素による処理、例えば、本実施形態において示したそれぞれの撮影方法における各処理ステップを実現するためのプログラムを、コンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、当該記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより、システムコントローラ2に係る上述した種々の処理を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものであってもよい。また、「コンピュータシステム」は、WWWシステムを利用している場合であれば、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)も含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、フラッシュメモリ等の書き込み可能な不揮発性メモリ、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。
【0137】
さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(例えばDRAM(Dynamic Random Access Memory))のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【0138】
以上、本発明の実施形態について、図面を参照して説明してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲においての種々の変更も含まれる。
【符号の説明】
【0139】
10・・・撮像装置
1・・・撮像部
2・・・システムコントローラ
3・・・記録部
4・・・シャッターボタン(撮像指示部)
5・・・表示部(表示部,画像選択部,合成枚数指示部)
6・・・設定スイッチ(画像選択部,合成枚数指示部)
7・・・発光部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被写体からの光束を露光し、該露光した前記光束に応じた画像信号を出力する撮像部に予め定めた露光時間での露光を行わせる撮像ステップと、
被写体に投光する発光部に、予め定めた発光量の発光を行わせる発光ステップと、
前記撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた記録用の記録画像データを生成し、画像データを記録する記録部に、該生成した記録画像データを記録させる画像記録ステップと、
前記撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた表示用の表示画像データを生成し、画像データを表示する表示部に、該生成した表示画像データを表示させる画像表示ステップと、
を含み、
撮像の開始を指示する撮像指示部からの1回の撮像開始指示に応じて、
前記撮像ステップを実行した後、前記撮像部が前記露光期間に応じて露光を終了する前の予め定めた発光タイミングのときに、前記発光ステップを実行する第1のシンクロ撮影ステップと、
前記撮像ステップを実行した後、前記撮像部が前記露光期間に応じた露光を開始した直後に、前記発光ステップを実行する第2のシンクロ撮影ステップと、
を連続して行う、
ことを特徴とする撮像方法。
【請求項2】
前記画像表示ステップは、
前記第1のシンクロ撮影ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた第1の表示画像データと、
前記第2のシンクロ撮影ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた第2の表示画像データと、
をそれぞれ生成して、前記表示部に表示させ、
前記画像記録ステップは、
前記表示部に表された表示画像データを選択する画像選択部からの選択情報に基づいて、前記表示部に表示した前記第1の表示画像データまたは前記第2の表示画像データのいずれか1つ、または両方の表示画像データを選択する画像選択ステップ、
を含み、
前記第1のシンクロ撮影ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた第1の記録画像データと、
前記第2のシンクロ撮影ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた第2の記録画像データと、
をそれぞれ生成し、
前記画像選択ステップによって選択された表示画像データに対応する記録画像データを、前記記録部に記録させる、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像方法。
【請求項3】
前記撮像ステップは、
前記第1のシンクロ撮影ステップの後に、前記第2のシンクロ撮影ステップを実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像方法。
【請求項4】
前記撮像ステップは、
前記撮像部に前記露光時間よりも短い第1の露光時間での露光を行わせる第1の撮像ステップと、
前記撮像部に予め定めた第2の露光時間での露光を行わせると共に、該第2の露光時間中に前記発光部に前記発光量の発光を行わせる発光撮像ステップと、
前記第1の撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号を、第1の画像信号として記憶し、該記憶した前記第1の画像信号と、前記発光撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号とを合成した合成画像信号を生成する画像合成ステップと、
を含み、
該撮像ステップを実行した後、前記第1の撮像ステップを繰り返し実行し、前記撮像指示部からの撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップの実行を中断した後に、前記発光撮像ステップを実行し、該発光撮像ステップにおける前記第2の露光時間に応じた露光が終了した後、再び前記第1の撮像ステップを、予め定められた回数実行する、
ことを特徴とする請求項1に記載の撮像方法。
【請求項5】
前記画像合成ステップは、
前記第1の撮像ステップによって前記撮像部から繰り返し出力される画像信号を、それぞれ記憶し、
前記発光撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号と、該前記発光撮像ステップが実行されるより前に実行された前記第1の撮像ステップによって前記撮像部から出力されたそれぞれの前記第1の画像信号の内、予め定められた第1の合成枚数の前記第1の画像信号と、を合成した第1の合成画像信号と、
前記発光撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号と、該前記発光撮像ステップが実行された後に実行された前記第1の撮像ステップによって前記撮像部から出力されたそれぞれの前記第1の画像信号の内、予め定められた第2の合成枚数の前記第1の画像信号と、を合成した第2の合成画像信号と、
を生成し、
前記画像表示ステップは、
前記第1の合成画像信号に応じた第1の合成表示画像データと、前記第2の合成画像信号に応じた第2の合成表示画像データとをそれぞれ生成し、該生成した前記第1の合成表示画像データと前記第2の合成表示画像データとを、それぞれ、前記第1の表示画像データと前記第2の表示画像データとして前記表示部に表示させ、
前記画像記録ステップは、
前記第1の合成画像信号に応じた第1の合成記録画像データと、前記第2の合成画像信号に応じた第2の合成記録画像データとをそれぞれ生成し、該生成した前記第1の合成記録画像データと前記第2の合成記録画像データとを、それぞれ、前記第1の記録画像データと前記第2の記録画像データとして、前記画像選択ステップによって選択された表示画像データに対応する記録画像データを、前記記録部に記録させる、
ことを特徴とする請求項4に記載の撮像方法。
【請求項6】
前記画像合成ステップは、
前記第1の露光時間に基づいて、前記第1の合成画像信号を生成する際に合成する前記第1の画像信号の数である前記第1の合成枚数と、前記第2の合成画像信号を生成する際に合成する前記第1の画像信号の数である前記第2の合成枚数とを決定する合成枚数決定ステップ、
を含み、
前記合成枚数決定ステップは、
前記第1の画像信号を合成した後の前記第1の合成画像信号および前記第2の合成画像信号の信号レベルが、それぞれ、予め定められた信号レベルになるように、前記第1の合成枚数および前記第2の合成枚数を決定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の撮像方法。
【請求項7】
前記画像合成ステップは、
前記第1の画像信号を合成する枚数を指示する合成枚数指示部から入力された、前記第1の表示画像データに対する第1の指示枚数と、前記第2の表示画像データに対する第2の指示枚数とを、それぞれ前記第1の合成枚数と前記第2の合成枚数とに決定する、
ことを特徴とする請求項5に記載の撮像方法。
【請求項8】
前記撮像ステップは、
前記撮像指示部が半押し状態となったときの第1の撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップを繰り返し実行し、前記撮像指示部が全押し状態となったときの第2の撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップの実行を中断した後に、前記発光撮像ステップを実行する、
ことを特徴とする請求項4に記載の撮像方法。
【請求項9】
前記発光撮像ステップは、
前記撮像部に予め定めた第3の露光時間での露光を行わせると共に、該第3の露光時間中に前記発光部に前記発光量よりも少ない第1の発光量の発光を行わせる第1の発光撮像ステップ、
を含み、
前記撮像ステップは、
前記撮像指示部からの撮像開始指示に応じて、繰り返し実行している前記第1の撮像ステップの実行を中断した後に、前記第1の発光撮像ステップを、予め定められた回数、繰り返し実行し、該第1の発光撮像ステップにおける最終回の前記第3の露光時間に応じた露光が終了した後、再び前記第1の撮像ステップを実行し、
前記画像合成ステップは、
前記第1の発光撮像ステップによって前記撮像部から繰り返し出力される画像信号を、第2の画像信号として、それぞれ記憶し、該記憶した前記第2の画像信号の内、予め定められた第3の合成枚数の前記第2の画像信号を合成した第3の合成画像信号を、前記発光撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号として生成し、該生成した前記第3の合成画像信号と前記第1の画像信号とを合成した前記第1の合成画像信号と前記第2の合成画像信号とを生成する、
ことを特徴とする請求項5に記載の撮像方法。
【請求項10】
前記画像合成ステップは、
前記第1の露光時間に基づいて、前記第1の合成画像信号を生成する際に合成する前記第1の画像信号の数である前記第1の合成枚数と、前記第2の合成画像信号を生成する際に合成する前記第1の画像信号の数である前記第2の合成枚数とを決定する合成枚数決定ステップと、
前記第3の露光時間に基づいて、前記第3の合成画像信号を生成する際に合成する前記第2の画像信号の数である前記第3の合成枚数を決定する第1の合成枚数決定ステップと、
を含み、
前記合成枚数決定ステップは、
前記第1の画像信号を合成した後の前記第1の合成画像信号および前記第2の合成画像信号の信号レベルが、それぞれ、予め定められた第1の信号レベルになるように、前記第1の合成枚数および前記第2の合成枚数を決定し、
前記第2の画像信号を合成した後の前記第3の合成画像信号の信号レベルが、予め定められた第2の信号レベルになるように、前記第3の合成枚数を決定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像方法。
【請求項11】
前記画像合成ステップは、
前記第1の画像信号を合成する枚数および前記第2の画像信号を合成する枚数を指示する合成枚数指示部から入力された、前記第1の表示画像データに対する第1の指示枚数と、前記第2の表示画像データに対する第2の指示枚数とを、それぞれ前記第1の合成枚数と前記第2の合成枚数とに決定し、
前記合成枚数指示部から入力された、前記第1の表示画像データおよび前記第2の表示画像データに対する第3の指示枚数を、前記第3の合成枚数に決定する、
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像方法。
【請求項12】
前記撮像ステップは、
前記撮像指示部が半押し状態となったときの第1の撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップを繰り返し実行し、前記撮像指示部が全押し状態となったときの第2の撮像開始指示に応じて前記第1の撮像ステップの実行を中断した後に、前記第1の発光撮像ステップを、予め定められた回数、繰り返し実行する、
ことを特徴とする請求項9に記載の撮像方法。
【請求項13】
被写体からの光束を露光し、該露光した前記光束に応じた画像信号を出力する撮像部に予め定めた露光時間での露光を行わせる撮像ステップと、
被写体に投光する発光部に、予め定めた発光量の発光を行わせる発光ステップと、
前記撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた記録用の記録画像データを生成し、画像データを記録する記録部に、該生成した記録画像データを記録させる画像記録ステップと、
前記撮像ステップによって前記撮像部から出力された画像信号に応じた表示用の表示画像データを生成し、画像データを表示する表示部に、該生成した表示画像データを表示させる画像表示ステップと、
をコンピュータに実行させるプログラムであって、
撮像の開始を指示する撮像指示部からの1回の撮像開始指示に応じて、
前記撮像ステップを実行した後、前記撮像部が前記露光期間に応じて露光を終了する前の予め定めた発光タイミングのときに、前記発光ステップを実行する第1のシンクロ撮影ステップと、
前記撮像ステップを実行した後、前記撮像部が前記露光期間に応じた露光を開始した直後に、前記発光ステップを実行する第2のシンクロ撮影ステップと、
を連続して行う、
ことを特徴とするプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2012−194269(P2012−194269A)
【公開日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−56911(P2011−56911)
【出願日】平成23年3月15日(2011.3.15)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】