説明

撮像機器

【課題】 撮影時の被写体の状況が理解しやすくするために、被写体の関連物体の表示を同時に行う行う技術を提供する。
【解決手段】 本発明の撮像機器は、被写体を認識する手段と、被写体の視線方向を予測する手段、その視線方向から関連物体を推測する手段を備える。それにより被写体を表示している画面内に配置される子画面内に、被写体の視線の方向を予測して、撮影画像の中から関連する関連物体を推測し、表示することができることができる。そのため、被写体がどのような関連情報に対して視線を向けているのか分かり、被写体がどのようなものを見ているかという状況が理解しやすくなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被写体の視線の先の関連物体を推測し、表示することができる撮像機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来のカメラでは、被写体の視線が向いている関連物体(人物、動物、建造物など)を同時に記録、表示することができなかったために、被写体の視線が何に対して向いているのかということが分からなかった。被写体の関連物体の表示を同時に行うことで、被写体の状況を理解しやすくすることが求められていた。
【0003】
この問題を解決するために、被写体の関連情報を表示させようと考慮したものがある(たとえば特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−160879号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし特許文献1によれば、被写体の関連情報は被写体自身の情報であったり、撮影者が関連情報を見たい被写体を選択する必要があった。
【0006】
そこで、カメラで撮影をしている被写体の視線を予測して自動的に視線の先にある関連物体の表示を同時に行い、被写体がどのようなものを見ているかという状況が理解しやすい撮像機器が望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、請求項1の撮像機器は、
少なくとも被写体を撮影するための撮像手段と、
撮影画像を表示する表示手段を備える撮像機器において、
カメラの撮影画像の中から被写体を認識する被写体認識手段と、
前記被写体の視線方向を予測する視線方向予測手段と、
カメラの撮影範囲内から前記視線方向から関連物体を推測する関連物体推測手段を備え、
前記表示手段の画面内に配置される子画面内に、
前記関連物体を表示することができることを特徴としている。
【0008】
請求項2の撮像機器は、
請求項1に記載の撮像機器において、
前記子画面は被写体を隠さない位置にレイアウトされることを特徴としている。
【0009】
請求項3の撮像機器は、
請求項1に記載の撮像機器において、
前記子画面は被写体の視線の方向に合わせてレイアウトされることを特徴としている。
【0010】
請求項4の撮像機器は、
請求項2もしくは請求項3に記載の撮像機器において、
前記カメラは魚眼カメラもしくは全方位カメラであることを特徴としている。
【0011】
請求項5の撮像機器は、
被写体を撮影するための少なくとも2つ以上撮像手段と
撮影画像を表示する表示手段を備える撮像機器において、
第1の撮影手段の撮影画像の中から被写体を認識する被写体認識手段と、
前記被写体の視線方向を予測する視線方向予測手段と、
第2の撮影手段の撮影範囲内から前記視線方向から関連物体を推測する関連物体推測手段を備え、
前記被写体を表示している画面内の中に配置される子画面内に、
前記関連物体を表示することができることを特徴としている。
【0012】
請求項6の撮像機器は、
請求項5に記載の撮像機器において、
前記子画面は被写体を隠さない位置にレイアウトされることを特徴としている。
【0013】
請求項7の撮像機器は、
請求項5に記載の撮像機器において、
前記子画面は被写体の視線の方向に合わせてレイアウトされることを特徴としている。
【0014】
請求項8の撮像機器は、
請求項6もしくは請求項7に記載の撮像機器において、
前記サブカメラは魚眼カメラもしくは全方位カメラであることを特徴としている。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、被写体を表示している画面内に配置される子画面内に、被写体の視線の方向を予測して、映像の中から関連物体(人物、動物、建造物など)を推測し、表示することができることができる。
【0016】
そのため、被写体がどのような関連物体に対して視線を向けているのか分かり、被写体がどのようなものを見ているかという状況が理解しやすくなる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】撮影時の使用環境を示す説明図である。
【図2】本発明の第1の実施例のカメラ本体を示す説明図である。
【図3】本発明の第1の実施例のカメラユニットを示す説明図である。
【図4】本発明の第1の実施例の動作のフローチャートである。
【図5】本発明の第1の実施例におけるカメラの撮影画像である。
【図6】本発明の第1の実施例における被写体を切り出した画像である。
【図7】本発明の第1の実施例における画像処理中の図である。
【図8】本発明の第1の実施例における表示画像である。
【図9】本発明の第2の実施例のカメラ本体を示す説明図である。
【図10】本発明の第2の実施例の動作のフローチャートである。
【図11】本発明の第2の実施例におけるメインカメラの撮影画像である。
【図12】本発明の第2の実施例におけるサブカメラの撮影画像である。
【図13】本発明の第2の実施例における表示画像である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
実施例を説明する前に、想定する撮影の環境について説明する。
【0019】
図1のように、カメラ本体11において被写体Aがを被写体Bに対して視線を向けている状態を撮影しようとしているものとする。
【0020】
[実施例1]
以下、本発明の第1の実施例について図を参照しながら説明する。
【0021】
図2には、本発明の実施例である撮像機器としてのビデオカメラの外観を示す。カメラ本体11には、撮像光学系を収容したカメラユニット15、表示の切り出し範囲を変更するズームレバー12、静止画撮像を行うためのレリーズ釦13、動画の撮影を行うためのトリガー釦14、画像を表示するディスプレイユニット16が設けられている。またカメラ本体11の内部には、画像や音声を記録したり再生したりする記録再生部が設けられている。
【0022】
カメラユニット15はその構成について後述する全方位カメラであり、カメラ本体11の上部に設置されているため、カメラ本体11の周囲水平方向360°の範囲を撮影することができる。そのため被写体Aと被写体Bがカメラ本体11の周囲のどこにいても撮影範囲内であり撮影をすることができる。
【0023】
図3にカメラユニット15の拡大図を示す。カメラユニット15の上部に備え付けられている全方位ミラー31はカメラの周囲360°の範囲において被写体からの光束を反射させ、カメラユニット15の下部に備え付けられているカメラレンズ32において撮影をすることができる。
【0024】
図4は本発明の第1の実施例の動作のフローチャートである。図4を用いて本発明の撮像機器の動作を説明する。
【0025】
まずS101では、トリガー釦14が押されたかを判断する。
【0026】
次にS102でカメラユニット15で被写体Aを撮影する。図5は全方位カメラであるカメラユニット15で撮影された撮影画像である。S103において、被写体認識手段でこの撮影画像の中からカメラ本体11の正面の被写体Aを認識する。図5では分かりやすく被写体検出枠21を点線で示してある。
【0027】
図6は撮影画像から被写体Aの周囲を切り出し、歪補正等の画像処理を行った画像である。この画像の中から被写体Aの顔を画像処理等によって検出する。図6では検出結果の範囲を示した被写体顔検出枠22を点線で示してある。
【0028】
その後、S104では視線方向予測手段において被写体顔検出枠22の範囲の中において視線検出を行い、被写体Aの視線方向の予測を行う。視線検出のプロセスとしては、被写体顔検出枠内の顔や眼球を検知対象物とした特徴量算出及び形状判断等の認識処理と行い、認識した検知対象物に基づき、被写体Aの視線方向を予測する。例えば、特開2007−265367号公報には目特徴量と顔特徴量とを用いて視線の向きを検出する視線検出方法が開示されていたり、特開2009−266086号公報には検出対象者の瞳位置および顔の向きに基づいて視線の方向を推定する視線検出装置が開示されている。被写体の視線方向を予測するにあたってはこういった技術を参考にすることが可能なため、ここでは視線方向の予測方法に関しての詳細な説明は省略する。なお画像データの認識処理において、特徴量予測の処理では図7の被写体Aの画像をを二値化処理した後の画像データに対して、画素の連続性に基づくラベリング処理を行い、抽出した検知対象物の重心および面積および外接四角形の縦横比等を予測する。また形状判断の処理では、例えばあらかじめ記憶している所定パターンに基づき画像データ上の検索を行い、所定パターンとの類似性に応じて検知対象物を抽出するといった処理を行っている。
【0029】
被写体Aの視線方向の予測が行われた後、S105では関連物体推測手段において撮影画像の中から被写体Aの視線の先の関連物体の推測が行われる。本発明の実施例においては、推測された関連物体が被写体Bであるので、図4では分かりやすく点線で示した関連物体検出枠23が被写体Bを囲んでいる。
【0030】
図8は図2に示したディスプレイユニット16に表示される表示画像である。S106では被写体Aを表示する画面41の中に子画面42は被写体Aの視線の方向や被写体Aと重ならない位置に自動的にレイアウトされる。子画面42の中に歪み補正等の画像処理された被写体Bの映像をディスプレイユニット16に表示する。
【0031】
これで一連の動作シーケンスは終了する。
【0032】
[実施例2]
以下、本発明の第2の実施例について図を参照しながら説明する。
【0033】
図9には、本発明の実施例である撮像機器としてのビデオカメラの外観を示す。カメラ本体11には、撮像光学系を収容したメインカメラユニット51、表示の切り出し範囲を変更するズームレバー12、静止画撮像を行うためのレリーズ釦13、動画の撮影を行うためのトリガー釦14、画像を表示するディスプレイユニット16が設けられている。またカメラ本体11の内部には、画像や音声を記録したり再生したりする記録再生部が設けられている。
【0034】
カメラ本体11の上部には全方位カメラのサブカメラユニット52が設置されている。そのため被写体Aと被写体Bがカメラ本体11の周囲のどこにいても撮影範囲内であり撮影をすることができる。
【0035】
図10は本発明の第2の実施例の動作のフローチャートである。図10を用いて本発明の撮像機器の動作を説明する。
【0036】
まずS201では、トリガー釦14が押されたかを判断する。トリガー釦14が押されることで、S202でメインカメラユニット51で被写体Aを撮影する。またS203ではサブカメラユニット52によってカメラの周囲水平方向360°の撮影が開始される。
【0037】
図11はメインカメラユニット51で撮影された撮影画像であるである。
【0038】
S204において、被写体認識手段でメインカメラの撮影画像の中からカメラ本体11の正面の被写体Aを認識する。図11では分かりやすく被写体検出枠21を点線で示してある。また被写体Aの顔を画像処理等によって検出する。検出結果の範囲を示した被写体顔検出枠22を点線で示してある。
【0039】
その後、S205では視線方向予測手段において視線方向予測手段において被写体顔検出枠22の範囲の中において視線検出を行い、被写体Aの視線方向の予測を行う。
【0040】
図12は全方位カメラであるサブカメラユニット52で撮影された撮影画像である。
【0041】
被写体Aの視線方向の予測が行われた後、S206では関連物体推測手段においてサブカメラの撮影画像の中から被写体Aの視線の先の関連物体の推測が行われる。本発明の実施例においては、推測された関連物体が被写体Bであるので、図12では分かりやすく点線で示した関連物体検出枠23が被写体Bを囲んでいる。
【0042】
最後にS207において、被写体Aと被写体Bを表示することで、動作シーケンスは終了する。
【0043】
図13はディスプレイユニット16に表示される表示画像である。被写体Aを表示する画面41の中に子画面42は被写体Aの視線の方向や被写体Aと重ならない位置に自動的にレイアウトされる。子画面42の中に歪み補正等の画像処理された被写体Bの映像をディスプレイユニット16に表示する。
【0044】
以上説明した各実施例は代表的な例にすぎず、本発明の実施に際しては、各実施例に対して種々の変形や変更が可能である。
【0045】
例えば、上記実施例では、カメラとして全方位カメラを用いた場合について説明したが、魚眼レンズを用いたり、広角レンズを用いたレンズを用いてもよい。またレリーズ釦13の位置や、ズームレバー12の位置等の各構成要素の具体的な形状や取り付け方法は、上記実施例のものに限らず、任意に変更可能である。さらに上記実施例では、ビデオカメラについて説明したが、本発明は、デジタルカメラやカメラ機能付き携帯電話等の各種撮像機器に適用することができる。
【符号の説明】
【0046】
A‥‥被写体
B‥‥被写体
11‥‥カメラ本体
12‥‥ズームレバー
13‥‥レリーズ釦
14‥‥トリガー釦
15‥‥カメラユニット
16‥‥ディスプレイユニット
21‥‥被写体検出枠
22‥‥被写体顔検出枠
23‥‥関連物体検出枠
31‥‥全方位ミラー
32‥‥カメラレンズ
41‥‥画面
42‥‥子画面
51‥‥メインカメラユニット
52‥‥サブカメラユニット


【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも被写体を撮影するための撮像手段と、
撮影画像を表示する表示手段を備える撮像機器において、
カメラの撮影画像の中から被写体を認識する被写体認識手段と、
前記被写体の視線方向を予測する視線方向予測手段と、
カメラの撮影範囲内から前記視線方向から関連物体を推測する関連物体推測手段を備え、
前記表示手段の画面内に配置される子画面内に、
前記関連物体を表示することができることを特徴とする撮像機器。
【請求項2】
前記子画面は被写体を隠さない位置にレイアウトされることを特徴とする請求項1に記載の撮像機器。
【請求項3】
前記子画面は被写体の視線の方向に合わせてレイアウトされることを特徴とする請求項1に記載の撮像機器。
【請求項4】
前記カメラは魚眼カメラもしくは全方位カメラであることを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の撮像機器。
【請求項5】
被写体を撮影するための少なくとも2つ以上撮像手段と、
撮影画像を表示する表示手段を備える撮像機器において、
第1の撮影手段の撮影画像の中から被写体を認識する被写体認識手段と、
前記被写体の視線方向を予測する視線方向予測手段と、
第2の撮影手段の撮影範囲内から前記視線方向から関連物体を推測する関連物体推測手段を備え、
前記被写体を表示している画面内の中に配置される子画面内に、
前記関連物体を表示することができることを特徴とする撮像機器。
【請求項6】
前記子画面は被写体を隠さない位置にレイアウトされることを特徴とする請求項5に記載の撮像機器。
【請求項7】
前記子画面は被写体の視線の方向に合わせてレイアウトされることを特徴とする請求項5に記載の撮像機器。
【請求項8】
前記第2の撮影手段は魚眼カメラもしくは全方位カメラであることを特徴とする請求項6又は請求項7に記載の撮像機器。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2012−124767(P2012−124767A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−274823(P2010−274823)
【出願日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(000001007)キヤノン株式会社 (59,756)
【Fターム(参考)】